(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041488
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】フェイスマスク
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146713
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】520270071
【氏名又は名称】中井 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130580
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100126963
【氏名又は名称】来代 哲男
(72)【発明者】
【氏名】中井 正夫
(57)【要約】
【課題】例えば、スポーツや屋外での作業、外出等の際に、顔面及び首周りの充分な保温又は日よけ対策ができ、かつ、熱中症等の防暑対策や防寒対策が可能なフェイスマスクを提供する。
【解決手段】本発明のフェイスマスク1は筒状の織布製からなり、ゴム紐21を内部に収容した伸縮部11と、着用者の首周りを被覆する被覆部13と、伸縮部11と被覆部13の間に設けられ、かつ、少なくとも着用者の鼻及び口を被覆し、通気性を有するマスク部12とを備え、ゴム紐21は、フェイスマスク1の上端部を周回させた状態で伸縮部11の内部に収容されており、被覆部13は、蓄熱材(又は保冷剤)33の収容を可能にする収容部31と、蓄熱材(又は保冷材)33を収容部31内に挿入するための少なくとも1つの挿入口32とを備え、挿入口32は内側面に於いて下端から任意の距離だけ離間した位置に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の顔の一部及び首周りを被覆することが可能な筒状の織布製のフェイスマスクであって、
前記フェイスマスクの上端部に設けられ、かつ、長尺の弾性伸縮部材又は紐状部材を内部に収容した伸縮部と、
前記フェイスマスクの下端部に設けられ、かつ、前記フェイスマスクを着用した際、着用者の首周りを被覆する被覆部と、
前記伸縮部と前記被覆部の間に設けられ、かつ、前記フェイスマスクを着用した際、少なくとも着用者の鼻及び口を被覆し、通気性を有するマスク部とを備え、
前記弾性伸縮部材又は紐状部材は、前記フェイスマスクの上端部を周回させた状態で前記伸縮部の内部に環状となるように収容されており、
前記被覆部は、蓄熱材又は保冷剤の収容を可能にする収容部と、当該蓄熱材又は保冷材を前記収容部内に挿入するための少なくとも1つの挿入口とを備え、
前記挿入口は、前記フェイスマスクの内側面に於いて当該フェイスマスクの下端から任意の距離だけ離間した位置に設けられているフェイスマスク。
【請求項2】
前記挿入口は、前記フェイスマスクの下端に対し任意の角度で直線状に開口する請求項1に記載のフェイスマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スポーツや屋外での作業、外出などの際に、顔面及び首周りの充分な保温又は日よけ対策ができ、かつ、熱中症等の防暑対策や防寒対策が可能なフェイスマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、スポーツや屋外での作業、外出などの際、顔面の日焼けは、日傘や鍔の大きな帽子、サンバイザーを用いて防止しようとしていた。しかし、これらの方法では太陽の位置や姿勢等により、太陽光やその照り返し等を十分に防ぐことは困難である。また、これらの方法では、首周りの日焼けを防止することも困難である。
【0003】
そのため、顔面の日よけ対策を可能にするものとして、例えば、特許文献1には顔面遮光布が開示されている。この特許文献1によれば、顔面遮光布は、使用者の顔面部分が顔面遮光布により覆われ、日焼けや紫外線による皮膚の異常を防止できるとされている。
【0004】
また、特許文献2には、フェイスカバーに紐を取り付け、単独で直接頭部に着けられるようにした日よけカバーが開示されている。この特許文献2によれば、帽子では全てを被いきれない顔面や首周りを、日焼けや紫外線による皮膚異常から防止することができるとされている。
【0005】
また、特許文献3には、顔面の鼻と耳から下の部分及び首周りを覆う筒状の遮光布と、筒状遮光布の上部前側に接合し顔面の目から下の部分を覆う帯状遮光布と、帯状遮光布の下部中央に形成した呼気排出用開口部と、帯状遮光布の上部両端部に突出形成し顔面の目の横を覆う遮光片と、帯状遮光布の両端部に設け帯状遮光布を耳に取付け固定する固定紐とからなる日よけカバーが開示されている。この特許文献3によれば、耳を覆わないためスポーツ用として最適であり、遮光片でシミのできやすい目の横を覆うことができ、且つ遮光片を形成した帯状遮光布の両端部を固定紐で耳に取付け固定しているので、スポーツ時の激しい動きにも遮光片が位置ずれして視界を塞ぐこともなく、有効に遮光できるとされている。
【0006】
しかし、特許文献1~3の日よけカバーやフェイスマスク等では、単に日光を遮るだけであることから、熱中症等の防暑対策や防寒対策が不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3136084号公報
【特許文献2】実用新案登録第3115938号公報
【特許文献3】特開2012-149369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、例えば、スポーツや屋外での作業、外出等の際に、顔面及び首周りの充分な保温又は日よけ対策ができ、かつ、熱中症等の防暑対策や防寒対策が可能なフェイスマスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るフェイスマスクは、前記の課題を解決するために、着用者の顔の一部及び首周りを被覆することが可能な筒状の織布製のフェイスマスクであって、前記フェイスマスクの上端部に設けられ、かつ、長尺の弾性伸縮部材又は紐状部材を内部に収容した伸縮部と、前記フェイスマスクの下端部に設けられ、かつ、前記フェイスマスクを着用した際、着用者の首周りを被覆する被覆部と、前記伸縮部と前記被覆部の間に設けられ、かつ、前記フェイスマスクを着用した際、少なくとも着用者の鼻及び口を被覆し、通気性を有するマスク部とを備え、前記弾性伸縮部材又は紐状部材は、前記フェイスマスクの上端部を周回させた状態で前記伸縮部の内部に環状となるように収容されており、前記被覆部は、蓄熱材又は保冷剤の収容を可能にする収容部と、当該蓄熱材又は保冷材を前記収容部内に挿入するための少なくとも1つの挿入口とを備え、前記挿入口は、前記フェイスマスクの内側面に於いて当該フェイスマスクの下端から任意の距離だけ離間した位置に設けられていることを特徴とする。
【0010】
前記の構成に於いて、前記挿入口は、前記フェイスマスクの下端に対し任意の角度で直線状に開口するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のフェイスマスクは筒状の織布製からなり、その上端部には長尺の弾性伸縮部材又は紐状部材を内部に収容した伸縮部が設けられている。弾性伸縮部材又は紐状部材はフェイスマスクの上端部を周回させた状態で伸縮部の内部に収容されているので、着用者は、フェイスマスクの上端部が着用者の目の下に位置するように着用することで、マスク部により着用者の鼻や口、耳を被覆させることができる。また、フェイスマスクの下端部に設けられた被覆部が着用者の首周りを被覆させることもできる。これにより、本発明では、着用者の顔のうち目の下の部分や耳及び首周りを覆うことができ、視認性を損なうことなく効果的な日よけ対策が可能になる。
【0012】
また、本発明のフェイスマスクは筒状の織布製からなり、着用者の鼻及び口を被覆するマスク部は少なくとも通気性を有している。このため、フェイスマスク着用の際、着用者の顔にマスク部が密着するのを防止し、着用者が息苦しさを感じるのを軽減することができる。
【0013】
さらに、着用者の首周りを被覆する被覆部には、蓄熱材及び保冷材の収容が可能な収容部が設けられている。これにより、本発明のフェイスマスクは単に保温や日よけ防止をするだけでなく、防暑及び防寒対策も可能となる。ここで、蓄熱材及び保冷材を収容部に挿入するための挿入部は、フェイスマスクの内側面に於いて下端から任意の距離だけ離間した位置に設けられている。そのため、蓄熱材及び保冷材が収容部から脱落するのを低減し又は防止している。
【0014】
すなわち、本発明の構成であると、例えば、スポーツや屋外での作業、外出などの際に、顔面及び首周りの充分な保温や日よけ対策ができ、かつ、熱中症等の防暑対策や防寒対策が可能なフェイスマスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1(a)は本発明の実施の形態に係るフェイスマスクを表す斜視図であり、同図(b)は当該フェイスマスクを表す平面図である。
【
図2】
図1(b)に示すフェイスマスク1の斜視図に於けるA-A線矢視断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るフェイスマスクの内側面を表す平面図である。
【
図4】
図3に示すフェイスマスク1の内側面を表す平面図に於けるB-B線矢視断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るフェイスマスクの着用例を表す模式図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るフェイスマスクの他の着用例を表す模式図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るフェイスマスクのさらに他の着用例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について、
図1~
図7を参照しながら以下に説明する。但し、説明に不要な部分は省略し、また説明を容易にする為に拡大または縮小等して図示した部分がある。
【0017】
本実施の形態のフェイスマスク1は、着用者の顔の一部及び首周りを被覆することが可能な筒状の織布製からなり、
図1(a)及び1(b)に示すように、伸縮部11と、マスク部12と、被覆部13とを少なくとも備える。ここで、本明細書に於いて「織布」とは、繊維を経緯に組み合わせ作った織物、及び繊維を編みあげた編物等を含む概念を意味し、織らずに熱や接着剤によって繊維同士を絡ませた不織布材料を含まない。
図1(a)は、本実施の形態に係るフェイスマスク1を表す斜視図であり、同図(b)はフェイスマスク1を表す平面図である。
【0018】
伸縮部11は、フェイスマスク1の上端部に於いて、当該上端部を周回するように設けられている。伸縮部11の内部には空間が設けられており、当該伸縮部11の内部には、
図2に示すように、長尺の弾性伸縮部材としてのゴム紐21が収容されている。
図2は、
図1(b)に示すフェイスマスク1の平面図に於けるA-A線矢視断面図である。
【0019】
ゴム紐21は、伸縮部11の内部に於いて、フェイスマスク1の上端部を周回するように収容されている。また、ゴム紐21の両端部は互いに結ばれ環状となっている。フェイスマスク1の上端部にゴム紐21を収容した伸縮部11を設けることで、本発明は、例えば、耳に掛けて保持するための左右の耳掛け部を不要にする。また、顔等にフェイスマスク1を着用した際、位置ずれや脱落が生じるのを防止又は低減することができる。
【0020】
尚、本実施の形態では、伸縮部11の内部にゴム紐21からなる弾性伸縮部材を用いた場合を例にして説明したが、本発明はこの態様に限定されるものではない。ゴム紐21からなる弾性伸縮部材に代えて、弾性伸縮性を有しない紐状部材を用いてもよい。この場合、伸縮部11には、少なくとも1箇所の開口部を設け、紐状部材の両端部が開口部から表出可能にしておくのが好ましい。これにより、着用者がフェイスマスク1を着用する際、紐状部材の両端部を、着用するのに必要な長さ分だけを開口部から表出させ、相互に結びつけることにより容易に着用することができる。
【0021】
マスク部12は伸縮部11と被覆部13との間に設けられている。マスク部12は、例えば、着用者がフェイスマスク1の上端部(伸縮部11)が着用者の目の下に位置するように着用した際、鼻、口及び耳等を被覆することができる。マスク部12は通気性を有しており、これにより着用者が鼻及び口で呼吸する際の息苦しさを抑制又は軽減することができる。尚、マスク部12を構成する材料は、通気性を備える織布製のものであれば特に限定されない。
【0022】
マスク部12の高さH(フェイスマスク1の上端及び下端に対し垂直となる方向の長さ)は、着用者がフェイスマスク1の上端部(伸縮部11)が着用者の目の下に位置するように着用した際、鼻、口及び耳等を被覆する程度であれば特に限定されない(
図1(b)参照)。
【0023】
被覆部13は、フェイスマスク1の下端部に於いて、当該下端部を周回するように設けられている。被覆部13は、例えば、着用者がフェイスマスク1の上端部(伸縮部11)が着用者の目の下に位置するように着用した際、着用者の首周りを被覆することができる。被覆部13は、
図3及び
図4に示すように、蓄熱材(又は保冷材)33の収容を可能にする収容部31と、当該蓄熱材(又は保冷材)33を収容部31内に挿入するための一対の挿入口32とを少なくとも備える。尚、
図3は、本実施の形態に係るフェイスマスク1の内側面を表す平面図である。
図4は、
図3に示すフェイスマスク1の内側面を表す平面図に於けるB-B線矢視断面図である。
【0024】
被覆部13に収容部31を設けることで、蓄熱材(又は保冷材)33の収容が可能となり、被覆部13に於いて首周りの加温又は冷却を行うことができる。その結果、本実施の形態のフェイスマスク1であると、被覆部13による首周りの保温や日よけ対策が可能になるだけでなく、防暑又は防寒対策も行うことができる。尚、蓄熱材や保冷材としては特に限定されず、公知のものを用いることができる。
【0025】
一対の挿入口32は、フェイスマスク1(すなわち、被覆部13)の内側面に於いて対抗するように設けられている。挿入口32は、フェイスマスク1の下端部に対し略垂直となるように、直線状に開口している(
図3参照)。挿入口32を設けることで、収容部31内への蓄熱材(又は保冷材)33の出し入れが可能となる。また、挿入口32は、当該挿入口32の下端がフェイスマスク1の下端から任意の距離だけ離間した位置に設けられている。これにより、収容部31内収容されている蓄熱材(又は保冷材)33が、挿入口32から容易に脱落するのを防止することができる。
【0026】
尚、本実施の形態に於いては、挿入口としてフェイスマスク1の下端に対し略垂直となるように直線状に開口している態様を例にして説明した。しかし、本発明はこの態様に限定されない。挿入口は、フェイスマスク1の下端に対し任意の角度を形成するように直線状に開口するものであってもよい。
【0027】
また、本実施の形態では、挿入口32が被覆部13の内側面に一対設けられている態様を例にして説明したが、本発明はこの態様に限定されない。挿入口32は少なくとも1つ設けられていれば足りる。また、挿入口32は、被覆部13の外側面に少なくとも1つ設けられていてもよい。
【0028】
本実施の形態のフェイスマスク1は、例えば
図5に示すように、フェイスマスク1の上端部(伸縮部11)が着用者の目の下に位置するようにして着用することができる。この様な着用方法であると、着用者は、鼻、口及び耳等をマスク部12で被覆し、首周りを被覆部13で被覆することができる。
【0029】
また、
図6に示すように、フェイスマスク1を着用者の首の周りのみ被覆するように着用してもよい。この様な着用方法であると、例えば、収容部31に蓄熱材(又は保冷材)33を収容させておくことで、着用者の首周りのみ防暑又は防寒対策を行うことができる。
【0030】
さらに、
図7に示すように、フェイスマスク1を頭部にのみ巻き付けるように着用することができる。この様な着用方法であると、ヘアバンド又はスポーツを行う際の汗止めとして機能させることができる。尚、
図5は、本実施の形態に係るフェイスマスク1の着用例を表す模式図である。
図6は、本実施の形態に係るフェイスマスク1の他の着用例を表す模式図である。
図7は、本実施の形態に係るフェイスマスク1のさらに他の着用例を表す模式図である。
【符号の説明】
【0031】
1 フェイスマスク
11 伸縮部
12 マスク部
13 被覆部
21 ゴム紐(弾性伸縮部材)
31 収容部
32 挿入口