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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041572
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】連結機構
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/20 20060101AFI20220304BHJP
   B60D 1/24 20060101ALI20220304BHJP
   B62B 1/12 20060101ALI20220304BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20220304BHJP
   B62B 5/04 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B60T7/20
B60D1/24
B62B1/12
B62B5/00 C
B62B5/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146850
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】520334421
【氏名又は名称】株式会社シゲオー
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】特許業務法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】村上 敬博
(72)【発明者】
【氏名】千葉 勇
【テーマコード(参考)】
3D050
3D246
【Fターム(参考)】
3D050EE04
3D050JJ09
3D050KK02
3D246AA12
3D246BA01
3D246DA01
3D246GC16
3D246LA12Z
(57)【要約】
【課題】 自転車およびリヤカーを連結する連結機構であって、連結状態からこれらを容易に分離でき、かつ、リヤカーの制動が可能となるものを提供すること。
【解決手段】 この連結機構100は、第1部材110と、第1部材110に嵌合されて第1部材110と相対移動可能に構成された第2部材120とを備える。自転車後部の連結部位に、第1部材110の一端111が係合され、第2部材120は、第3部材130を介してリヤカーと連結される。自転車の減速時に、リヤカーの慣性力により、第1部材110および第2部材120が相対移動する。それに応じて、ワイヤ341が引っ張られ、リヤカーの制動機構を作動させることができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車の走行方向において前記自転車の後部に位置する第1連結部位と、
前記走行方向において前記自転車の後方に配置されるリヤカーであって、前記リヤカーが備える制動機構の作動により制動可能な前記リヤカーの前部に位置する第2連結部位と、をそれぞれ連結し、
前記自転車の推進に応じて、前記リヤカーが前記自転車と一体的に走行可能となるように構成された連結機構であって、
一端が前記第1連結部位と連結可能に構成された第1部材と、
所定の範囲内で前記第1部材と軸方向に沿って相対移動可能に構成された第2部材と、
前記第2連結部位と前記第2部材とを連結可能に構成された第3部材と、
を備え、
前記自転車の減速時における前記第1部材および前記第2部材の前記相対移動に基づいて、前記制動機構を作動させて前記リヤカーが制動されるように構成された連結機構。
【請求項2】
請求項1に記載の連結機構において、
前記リヤカーの前記制動機構は、
ワイヤを備え、前記ワイヤの一端の前記リヤカーに対する前記走行方向への引っ張りに応じて前記リヤカーが制動されるように構成され、
一端が前記第1部材に取付けられて、前記一端を支点として、前記第1部材の軸に直交する軸まわりに前記第1部材に対し回動可能に構成されるとともに、他端に前記ワイヤの前記一端が取付けられるように構成された第4部材と、
一端が前記第2部材に取付けられて前記第2部材と一体的に移動可能に構成されるとともに、他端に前記第4部材が取付けられるように構成された第5部材と、
を更に備え、
前記自転車の減速時において、前記第5部材が、前記第1部材に対する前記第2部材の前記相対移動の方向と同じ方向へ移動し、前記第5部材の移動に応じて、前記第4部材が、前記第1部材に対する前記第2部材の前記相対移動の方向と同じ方向に回動し、前記第4部材の回動に応じて、前記ワイヤの前記一端が前記走行方向へ引っ張られることで前記リヤカーが制動されるように構成された連結機構。
【請求項3】
請求項2に記載の連結機構において、
前記第1部材は、前記第2部材と嵌合し、前記第1連結部位と連結される前記一端が、前記第2部材から露出するように構成されるとともに、前記第2部材と嵌合する領域において、前記第4部材の前記一端の取付け部位を備えるように構成され、
前記第2部材は、
前記第4部材に嵌合される貫通孔を、前記第1部材における前記第4部材の前記一端の取付け部位に対応する部位に備えるように構成され、
前記第4部材は、
前記第1部材に取付けられる前記一端が、前記第1部材とともに前記第2部材に囲われるとともに、前記ワイヤの前記一端に取付けられる前記他端が、前記第2部材から露出するよう前記第2部材の前記貫通孔と嵌合するように構成され、
前記第5部材は、
前記第4部材に取付けられる前記他端が、前記第4部材の前記一端および前記第4部材の前記他端の間に位置するとともに、前記第2部材に取付けられる前記一端および前記第4部材に取付けられる前記他端の間にリンク機構を備えるように構成された連結機構。
【請求項4】
請求項2に記載の連結機構において、
前記第1部材は、前記第2部材と嵌合し、前記第1連結部位と連結される前記一端と、前記一端と反対側の他端とが、前記第2部材からそれぞれ露出するように構成されるとともに、前記第1部材の前記他端において、前記第4部材の前記一端の取付け部位を備えるように構成され、
前記第4部材は、
前記第1部材に取付けられる前記一端と、前記ワイヤの前記一端に取付けられる前記他端とが、前記第2部材から露出するように構成され、
前記第5部材は、
前記第4部材に取付けられる前記他端が、前記第4部材の前記一端および前記第4部材の前記他端との間に位置するように構成された連結機構。
【請求項5】
請求項1に記載の連結機構において、
前記リヤカーは、
前記走行方向における前記前部に所定位置に孔を備えた中空状のバーを備えるとともに、前記第2連結部位が前記バーに位置するように構成され、
前記リヤカーの前記制動機構は、
ワイヤを備え、前記ワイヤが前記バーの中空部を連通しつつ、前記ワイヤの一端が前記バーの前記孔から露出するとともに、前記ワイヤの前記一端の、前記リヤカーに対する前記走行方向とは逆の方向への引っ張りに応じて前記リヤカーが制動されるように構成され、
前記第1部材は、
前記第2部材により囲われるように前記第2部材と嵌合する小径部と、前記第1連結部位と連結される前記一端と、前記一端と反対側の他端と、前記他端に位置する大径部とが、前記第2部材からそれぞれ露出するように構成されるとともに、前記第1部材の前記他端において、前記ワイヤの前記一端の取付け部位を備えるように構成され、
前記第3部材は、
前記リヤカーの前記バーが、前記第1部材の前記他端よりも前記走行方向側に配置されるよう、前記第2部材と連結可能に構成され、
前記自転車の減速時において、前記バーが、前記第1部材に対する前記第2部材の前記相対移動の方向と同じ方向へ移動し、前記バーの移動に応じて、前記ワイヤの前記一端が前記走行方向とは逆の方向への引っ張られることで前記リヤカーが制動されるように構成された連結機構。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の連結機構であって、
前記自転車の減速時における前記第1部材および前記第2部材の前記相対移動に対し、弾性的に抗力を付勢する付勢機構を更に備えた連結機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車およびリヤカーを連結し、自転車の推進に応じて、リヤカーが自転車と一体的に走行可能となるように構成された連結機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自転車およびリヤカーを連結する連結機構が知られている。この種の連結機構は、一般に、自転車の後部とリヤカーの前部とを連結可能に構成される場合が多い。この場合、リヤカーは、自転車の後方に配置されて、自転車の推進に応じて一体的に走行可能となる。
【0003】
上記のように連結機構により連結された自転車およびリヤカーにおいては、リヤカーに制動機構が備えられると好適である。自転車およびリヤカーが、一体的に走行している状態で、運転者の操作により自転車が減速する場合を考える。この場合、走行方向と同じ方向に、リヤカーの慣性力が発生する。この慣性力は、リヤカーの前部から、連結機構を介して、自転車の後部に作用する。
【0004】
このため、自転車の後輪に対し、運転者が意図しない力が加わることになる。従って、自転車の操作に影響を及ぼす事象が、発生する可能性がある。これに対し、リヤカーに制動機構が備えられている場合(例えば、下記特許文献を参照)、自転車の減速時に、リヤカーの制動が可能となる。このため、上述の事象の発生が、抑制され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭64-40782号公報
【特許文献2】特開2003-291789号公報
【特許文献3】実用新案登録第3180446号公報
【特許文献4】特開2004-155319号公報
【特許文献5】特開2018-52366号公報
【発明の概要】
【0006】
一方で、自転車とリヤカーは連結した状態では全長が大きくなるため、特に都市部において、自転車およびリヤカーを、それぞれ簡易に分離して保管できることが望ましい。このように、上述のリヤカーにおける制動と容易な分離を両立させる技術が求められている。しかしながら、上記特許文献に記載のいずれの技術においても、上記両立の達成は困難である。
【0007】
本発明の目的は、自転車およびリヤカーを連結する連結機構であって、連結されている自転車およびリヤカーをそれぞれ容易に分離できるとともに、リヤカーの制動が可能となるものを提供することにある。
【0008】
本発明による連結機構は、自転車の走行方向において自転車の後部に位置する第1連結部位と、走行方向において自転車の後方に配置されるリヤカーであってリヤカーが備える制動機構の作動により制動可能なリヤカーの前部に位置する第2連結部位と、をそれぞれ連結し、自転車の推進に応じて、リヤカーが自転車と一体的に走行可能となるように構成される。
【0009】
本発明による連結機構の特徴は、上記連結機構が、一端が第1連結部位と連結可能に構成されるとともに、一端が第1連結部位と連結可能に構成された第1部材と、所定の範囲内で第1部材と軸方向に沿って相対移動が可能に構成された第2部材と、第2連結部位と第2部材とを連結可能に構成された第3部材とを備え、自転車の減速時における第1部材および第2部材の相対移動に基づいて、制動機構を作動させてリヤカーが制動されるように構成されたことにある。
【0010】
これによれば、上記連結機構における相対移動により、リヤカーが制動され得る。加えて、第1連結部位から上記連結機構を取り外すことにより、連結されている自転車およびリヤカーを、それぞれ容易に分離することができる。
【0011】
上記発明に係る連結機構においては、リヤカーの制動機構が、ワイヤを備え、ワイヤの一端のリヤカーに対する走行方向への引っ張りに応じてリヤカーが制動されるように構成され、一端が第1部材に取付けられて、一端を支点として第1部材の軸に直交する軸まわりに第1部材に対し回動可能に構成されるとともに、他端にワイヤの一端が取付けられるように構成された第4部材と、一端が第2部材に取付けられて第2部材と一体的に移動可能に構成されるとともに、他端に第4部材が取付けられるように構成された第5部材と、が更に備えられ、上記連結機構が、自転車の減速時において、第5部材が、第1部材に対する第2部材の相対移動の方向と同じ方向へ移動し、第5部材の移動に応じて、第4部材が、第1部材に対する第2部材の相対移動の方向と同じ方向に回動し、第4部材の回動に応じて、ワイヤの一端が走行方向へ引っ張られることでリヤカーが制動されるように構成されると好適である。
【0012】
ここにおいて、第1部材が、第2部材と嵌合し、第1連結部位と連結される一端が第2部材から露出するように構成されるとともに、第2部材と嵌合する領域において第4部材の一端の取付け部位を備えるように構成され、第2部材が、第4部材に嵌合される貫通孔を、第1部材における第4部材の一端の取付け部位に対応する部位に備えるように構成され、第4部材が、第1部材に取付けられる一端が第1部材とともに第2部材に囲われるとともに、ワイヤの一端に取付けられる他端が第2部材から露出するよう第2部材の貫通孔と嵌合するように構成され、第5部材が、第4部材に取付けられる他端が第4部材の一端および第4部材の他端の間に位置するとともに、第2部材に取付けられる一端および第4部材に取付けられる他端の間にリンク機構を備えるように構成されてもよい。
【0013】
また、第1部材が、第2部材と嵌合し、第1連結部位と連結される一端と、一端と反対側の他端とが第2部材からそれぞれ露出するように構成されるとともに、第1部材の他端において、第4部材の一端の取付け部位を備えるように構成され、第4部材が、第1部材に取付けられる一端と、ワイヤの一端に取付けられる他端とが第2部材から露出するように構成され、第5部材が、第4部材に取付けられる他端が、第4部材の一端および第4部材の他端との間に位置するように構成されてもよい。
【0014】
上記発明に係る連結機構においては、リヤカーが、走行方向における前部に所定位置に孔を備えた中空状のバーを備えるとともに第2連結部位がバーに位置するように構成され、リヤカーの制動機構が、ワイヤを備え、ワイヤがバーの中空部を連通しつつワイヤの一端がバーの孔から露出するとともに、ワイヤの一端のリヤカーに対する走行方向とは逆の方向への引っ張りに応じてリヤカーが制動されるように構成され、第1部材が、第2部材により囲われるように第2部材と嵌合する小径部と、第1連結部位と連結される一端と、一端と反対側の他端と、他端に位置する大径部とが、第2部材からそれぞれ露出するように構成されるとともに、第1部材の他端において、ワイヤの一端の取付け部位を備えるように構成され、第3部材は、リヤカーのバーが、第1部材の他端よりも走行方向側に配置されるよう、第2部材と連結可能に構成され、自転車の減速時において、バーが、第1部材に対する第2部材の相対移動の方向と同じ方向へ移動し、バーの移動に応じてワイヤの一端が走行方向とは逆の方向への引っ張られることでリヤカーが制動されるように構成されると好適である。
【0015】
上記発明に係る連結機構においては、上記連結機構が、自転車の減速時における第1部材および第2部材の相対移動に対し、弾性的に抗力を付勢する付勢機構を更に備えるとより好適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係る連結機構が適用された自転車およびリヤカーの構成図である。
図2図1に示した連結機構の構成図である。
図3図1に示した連結機構を構成する各部材を説明するための図である。
図4図1に示した連結機構の第1連結部位と第1部材の一端を示す斜視図である。
図5図1に示した連結機構の第3部材を示す斜視図である。
図6図1に示した連結機構の作動を説明するための図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る連結機構の構成図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る連結機構を構成する各部材を説明するための図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る連結機構の作動を説明するための図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る連結機構が適用された自転車およびリヤカーの構成図である。
図11図10に示した連結機構の構成図である。
図12図10に示した連結機構を構成する各部材を説明するための図である。
図13図10に示した連結機構の作動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による連結機構の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
(第1実施形態)
先ず、本発明による連結機構の第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る連結機構100が適用された自転車200およびリヤカー300の構成図である。連結機構100は、自転車200およびリヤカー300を連結している。
【0019】
自転車200は、図1の矢印に示すよう方向Aに沿って走行する。自転車200は、図示しない前輪と、方向Aにおける後部に、後輪210と、荷台220とを備えている。後輪210のハブ211には、荷台220が連結されており、第1連結部位221が、荷台220と一体的に備えられている。第1連結部位221は、方向Aにおいて、自転車200の後部に位置している。第1連結部位221は、図4に示すように上下方向に延びる概略円筒状をして、上側の端部から下方に延びる雌ネジ221aを形成したものとすることが好ましい。
【0020】
リヤカー300は、荷台310と、一対の車輪320と、バー330と、制動機構340とを備えている。荷台310は箱状に形成されており、その側面に一対の車輪320が取付けられている。荷台310の前部には、バー330が取付けられている。第2連結部位331は、バー330上に配置されており、リヤカー300の方向Aにおける最前部に位置している。第2連結部位331は、後述する連結機構100の第3部材130と係合可能なように形成されている。
【0021】
連結機構100は、方向Aにおいて、リヤカー300が自転車200の後方に配置されるよう、第1連結部位221および第2連結部位331を連結している。これにより、自転車200の方向Aへの走行に応じて、リヤカー300が自転車200と一体的に方向Aに走行可能となっている。
【0022】
リヤカー300においては、制動機構340が、各車輪320のハブ321にそれぞれ取付けられている。制動機構340は、ワイヤを引っ張ることで作動し、車輪320を制動するものを用いることができる。例えば、ドラム式のブレーキを用いることができる。2つの制動機構340は、ワイヤ341をそれぞれ備えている。このワイヤ341が、制動機構340に対して、方向Aと同じ方向に沿って引っ張られることで、制動機構340が作動するようになっている。ワイヤ341の一端341aは、後述するように連結機構100の第4部材140に取付けられている。
【0023】
図2は、本発明の第1実施形態に係る連結機構100の構成図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る連結機構100を構成する各部材を説明するための図である。図2及び図3は、自転車の左側下方から見た状態を示している。これらの図を参照しつつ、連結機構100の構成を説明する。なお、図2および図3における方向Aは、図1に示したものと対応している。
【0024】
連結機構100は、第1部材110と、第2部材120と、第3部材130と、第4部材140と、第5部材150と、付勢機構160とを備えている。第1部材110、第2部材120、第3部材130、第4部材140、第5部材150、付勢機構160は、ステンレス等の金属から形成することができる。
【0025】
第1部材110は、中心軸線Bを有する段付きロッド状に形成されている。方向Aおよび中心軸線Bは、互いに平行である。第1部材110の一端111は、図4に示すように、リング部110aの内側にボール110bが嵌合している。ボール110bは、貫通穴110cを画定している。リング部110aとボール110bとの間には不図示の低摩擦材が介在し、ボール110bはリング部110a内であらゆる方向に摺動回転可能に構成されている。図4に示すように、第1部材110の一端111は、貫通穴110cに第1連結部位221を挿入し、雌ネジ221aにノブボルト170のネジ軸170aを螺合することで、第1連結部位221に結合される。これにより、自転車200とリヤカー300の一体的な走行を可能としつつ、自転車200とリヤカー300との間の相対的な角度の変化を可能としている。また、このような連結手段を採用することで、使用者はノブボルト170を操作して、自転車200へのリヤカー300の着脱を容易に行うことができる。
【0026】
第1部材110は、一端111から方向Aの前側から順に、小径部112と、大径部113と備えている。一端111、小径部112、及び大径部113は、中心軸線Bを中心として形成されている。第1部材110の他端114には、大径部113の断面直径上に、中心軸線Bに沿って切込み部115が、備えられている。この切込み部115は、第4部材140の一端141の取付け部位に対応する。
【0027】
第2部材120は、スリーブ状に形成されており、中心軸線Bを中心に形成されている。第2部材120は、第1部材110と嵌合し、第1部材110と中心軸線Bに沿って相対移動可能に構成されている。第1部材110は、大径部113と小径部112の一部とが第2部材120により囲われるように、第2部材120と嵌合する。第1部材110の切込み部115は、第2部材120の内側に位置している。一方、第1部材110の一端111は、第2部材120から露出する。
【0028】
第2部材120は、中径部121を備えている。この中径部121の内径は、第1部材110の大径部113の径よりも小さく、かつ、小径部112の径よりも大きい。第1部材110が第2部材120に嵌合された状態において、第2部材120の中径部121は、小径部112と大径部113の境界付近に位置する。大径部113および中径部121の当接により、第1部材110および第2部材120の相対移動、具体的には、方向Aにおいて、第1部材110が前側、第2部材120が後側への移動が規制される。これにより、使用者が自転車200のペダルをこぐと、自転車200とリヤカー300が一体的に走行する。
【0029】
第2部材120は、第4部材140に嵌合される貫通孔122を備えている。貫通孔122は、細長状に形成されている。貫通孔122は、第1部材110の切込み部115と対向する部位(すなわち、第4部材140の一端141の取付け部位に対応する部位)に位置している。
【0030】
第3部材130は、図5に示すように、ステム状に形成される。具体的には第3部材は、中心軸線が互いに直行する第1クランプ部130aと第2クランプ部130bとを一体に有する。第1クランプ部130aと第2クランプ部130bは、それぞれボルト130cによって容易に締付けが可能である。第1クランプ部130aは、リヤカー300のバー330における第2連結部位331を把持する。バー330は、中心軸線Bに対して垂直となる中心軸線Cを中心として形成されている。第2クランプ部130bは、第2部材120を把持する。第2クランプ部130bによって把持される第2部材120の部位は、中径部121と貫通孔122との間に位置している。このように、第3部材130は、第2連結部位331と第2部材120とを連結可能に構成されている。従って、自転車200は、連結機構100の第1部材110、第2部材120、および第3部材130を介して、リヤカー300と連結される。
【0031】
第4部材140は、長方形のプレート状に形成されている。第4部材140の一端141は、第1部材110の切込み部115に挟み込まれるように取付けられている。第4部材140の取り付けは、例えば、第2部材120に形成した不図示の貫通孔からボルトを通して、大径部113に形成した不図示の雌ネジ部にボルトを螺合することにより行うことができる。第4部材140は、一端141を支点として、中心軸線Bに直交する中心軸線Dまわりに、第1部材110に対し回動可能に構成される。第4部材140の一端141は、第1部材110とともに、第2部材120に囲われるように配置される。
【0032】
第4部材140は、第1部材110が第2部材120に嵌合された状態において、第2部材120の貫通孔122と嵌合している。第4部材140の他端142は、第2部材120から露出している。他端142には、ワイヤ341の一端341aが固定される。ワイヤ341の取付けおよび取外しが容易となるよう、一端341aは、タイコを取り付け、第4部材140の他端142は、このタイコと係合可能な形状とすることが好ましい。
【0033】
第5部材150は、2つの長方形のプレートで構成されていて、固定プレート150aと、リンクプレート150bとを備えている。固定プレート150aとリンクプレート150bは、相互に片側で接続されている。固定プレート150aの一端151(すなわち、第5部材150の一端151)は、第2部材120に取付けられており、固定プレート150aは第2部材120と一体的に移動可能に構成されている。リンクプレート150bの他端152(すなわち、第5部材150の他端152)は、第4部材140に接続されている。この他端152の取付け部位は、第4部材140における第2部材120から露出している部位であって、第4部材140の一端141および他端142の間に位置している。このように、第5部材150は、一端151および他端152の間にリンク機構を構成する。
【0034】
付勢機構160としては、コイルスプリングを用いることが好ましい。第2部材120は、第1部材110の他端114側を封止する蓋部材123を備えており、付勢機構160は、他端114および蓋部材123の間に介装されている。付勢機構160は、第1部材110を前方に、第2部材120を後方に付勢する。これにより、第1部材110と第2部材120の相対移動が制限され、適切な制動力を設定することができる。好ましくは、蓋部材123の外周面に雄ネジを形成し、第2部材120の外側に露出する蓋部材123の面に六角ナット等を固着させ、第2部材120の後方側端部の内周面に所定の範囲にわたって雌ネジを形成する。これにより、六角ナット等を用いて蓋部材123を回転させて第2部材120の雌ネジと蓋部材123の雄ネジを螺合させ、蓋部材123の位置を調整することができ、付勢機構160の付勢力を調整することができる。
【0035】
図6は、本発明の第1実施形態に係る連結機構100の作動を説明するための図である。自転車200が、方向Aに走行しており、かつ、減速しない状態においては、連結機構100を介して、リヤカー300が牽引される。この場合、連結機構100においては、第1部材110の大径部113および第2部材120の中径部121が当接している。第1部材110および第2部材120は相対移動せず、図2に示す状態が維持される。このとき、ワイヤ341に関する作動が生じないため、リヤカー300の制動機構340は作動しない(図6の破線部を参照)。
【0036】
自転車200の減速時においては、第1部材110は、自転車200と一体的に移動する。一方、第2部材120および第3部材130は、リヤカー300と一体的に移動する。したがって、この場合、リヤカー300の慣性力により、第2部材120は、付勢機構160による付勢力に抗して、第1部材110に対して方向Aに相対移動する。第2部材120に固定されている第5部材150は、第1部材110に対して方向Aに相対移動する。第5部材150が方向Aに相対移動するのに応じて、第4部材140が回動する。このとき、第5部材150の他端152が力点、第4部材140の一端141が支点、第4部材140の他端142が作用点となって、第4部材140が、第1部材110に対して方向Aに回動する。第4部材140が回動するのに応じて、ワイヤ341の一端341aが、方向Aへ引っ張られる。これにより、リヤカー300の制動機構340が作動し、リヤカー300の車輪320が制動される。
【0037】
以上、本発明の第1実施形態に係る連結機構100によれば、自転車200の減速時における第1部材110および第2部材120の相対移動に基づいて、制動機構340を作動させてリヤカー300が制動され得る。加えて、制動機構が連結機構100とリヤカー300内で完結し、自転車に固定されるワイヤ等が存在しないため、第1連結部位221から連結機構100を取り外すことで、連結されている自転車200およびリヤカー300を、それぞれ容易に分離することができる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、本発明による連結機構の第2実施形態を説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る連結機構100の構成図である。図8は、本発明の第2実施形態に係る連結機構100を構成する各部材を説明するための図である。この第2実施形態は、連結機構100の第1部材110の構成、第4部材140の取付け位置、および第5部材150の構成のみ、上記第1実施形態と異なる。以下、第2実施形態の上記第1実施形態と異なる点を説明する。
【0039】
第1部材110は、更に第2小径部116を備えている。第2小径部116は、中心軸線Bを中心として形成され、その一端が大径部113の端部に結合されている。第1部材110が第2部材120に嵌合された状態において、第2小径部116は、付勢機構160および第2部材120の蓋部材123を貫通するように配置されている。第2小径部116の他端116a(すなわち、第1部材110の一端111と反対側の他端116a)は、第2部材120から露出するように構成されている。第1部材110における他端116aは、第4部材140の一端141が取り付けられるように構成されている。
【0040】
第4部材140の一端141は、第2小径部116の他端116aに取付けられている。第4部材140は、一端141を支点として、中心軸線Bに直交する中心軸線Dまわりに、第1部材110に対し回動可能に構成されている。一端141および他端142を含む第4部材140の全体が、第2部材120から露出している。
【0041】
第5部材150は、L字型のプレートで構成されている。その一端151は、第2部材120に取付けられており、第2部材120と一体的に移動可能に構成されている。他端152は、第4部材140に接続され、他端152の取付け部位は、第4部材140の一端141および他端142の間に位置している。第4部材140の一端141と第5部材150の他端152の間の距離によっては、他端152を取り付ける第4部材140の部位には、第4部材140の長手方向に延びる長孔を形成し、長孔を通したボルトによって第5部材150の他端152と第4部材140を接続しても良い。
【0042】
図9は、本発明の第2実施形態に係る連結機構100の作動を説明するための図である。自転車200の減速時においては、上記第1実施形態と同様に、リヤカー300の慣性力により、第2部材120は、第1部材110に対して方向Aに相対移動する。第2部材120に固定されている第5部材150は、第1部材110に対して方向Aに相対移動する。第5部材150が方向Aに相対移動するのに応じて、第4部材140が回動する。第5部材150の他端152が力点、第4部材140の一端141が支点、第4部材140の他端142が作用点となって、第4部材140が、第1部材110に対して方向Aに回動する。第4部材140の他端142も、同様に方向Aに回動するのに応じて、ワイヤ341の一端341aが、方向Aへ引っ張られる。これにより、リヤカー300の制動機構340が作動し、リヤカー300の車輪320が制動される。
【0043】
以上、本発明の第2実施形態に係る連結機構100によれば、上記第1実施形態と同様に、リヤカー300が制動され得る。加えて、上記第1実施形態と同様に、制動機構が連結機構100とリヤカー300内で完結し、自転車に固定されるワイヤ等が存在しないため、第1連結部位221から連結機構100を取り外すことで、連結されている自転車200およびリヤカー300を、それぞれ容易に分離することができる。
【0044】
(第3実施形態)
次に、本発明による連結機構の第3実施形態を説明する。図10は、本発明の第3実施形態に係る連結機構100が適用された自転車200およびリヤカー300の構成図であり、図1に対応している。
【0045】
この第3実施形態は、上記第1、第2実施形態の第4部材140および第5部材150を備えておらず、また、制動機構340の構成とワイヤ341の作動、連結機構100の第1部材110の構成、および付勢機構160の介装位置のみ、上記第1、第2実施形態と異なる。以下、第3実施形態の上記第1、第2実施形態と異なる点を説明する。
【0046】
リヤカー300のバー330は、中空状に形成されている。バー330の両端330aより、制動機構340のワイヤ341が、中空部へ侵入可能となっている。バー330は、第2連結部位331の両隣に2つの孔330bを備えている。ワイヤ341は、バー330の両端330aから中空部を連通しつつ、孔330bから露出するようになっている。孔330bから露出しているワイヤ341の一端341aは、連結機構100の第1部材110に取付けられている。
【0047】
図11は、本発明の第3実施形態に係る連結機構100の構成図である。図12は、本発明の第3実施形態に係る連結機構100を構成する各部材を説明するための図である。第1部材110は、小径部112が第2部材120により囲われるように、第2部材120と嵌合している。第2部材120の蓋部材123には、中心軸線Bを中心とする貫通孔(中径部121に相当する)が備えられている。第1部材110が第2部材120に嵌合された状態において、第1部材110の小径部112は、この貫通孔を貫通して、一端111と反対側の他端側にて第2部材120から露出するようになっている。
【0048】
第1部材110は、小径部112の他端側にて、中心軸線Bを中心として形成された大径部113と結合している。すなわち、本実施形態においては、第1部材110の他端に、大径部113が形成されている。蓋部材123の貫通孔の径は、小径部112の径よりも大きく、かつ、大径部113の径よりも小さい。本実施形態においては、蓋部材123の貫通孔部が、中径部121の役割を果たす。なお、第1部材110の大径部も、第1部材110が第2部材120に嵌合された状態において、第2部材120から露出するようになっている。この大径部113の両端113aに、ワイヤ341の一端341aの取付け部位が備えられている。
【0049】
第3部材130は、リヤカー300のバー330(すなわち、第2連結部位331)と、第2部材120とを結合している。第3部材130により、バー330は、第1部材110の大径部113(すなわち、第1部材110の他端)よりも、方向A側(すなわち、自転車200の走行方向側)に配置されている。従って、バー330の2つの孔330bは、ワイヤ341の一端341aの取付け部位よりも、方向A側に配置されることになる。
【0050】
付勢機構160は、第1部材110の小径部112に貫通されるとともに、第2部材120の外側にて、第1部材110の一端111および第2部材120の間に介装されている。
【0051】
図13は、本発明の第3実施形態に係る連結機構100の作動を説明するための図である。自転車200の減速時においては、リヤカー300の慣性力により、バー330は、第2部材120と一体的に、付勢機構160の付勢力に抗して、第1部材110に対して方向Aに相対移動する。このバー330の移動に応じて、ワイヤ341の一端341aが方向Aとは逆の方向へ引っ張られる。これにより、リヤカー300の制動機構340が作動し、リヤカー300の車輪320が制動される。
【0052】
以上、本発明の第3実施形態に係る連結機構100によれば、上記第1、第2実施形態と同様に、リヤカー300が制動され得る。加えて、上記第1、第2実施形態と同様に、制動機構が連結機構100とリヤカー300内で完結し、自転車に固定されるワイヤ等が存在しないため、第1連結部位221から連結機構100を取り外すことで、連結されている自転車200およびリヤカー300を、それぞれ容易に分離することができる。
【0053】
なお、本発明による連結機構における構成要素の形状、材料等は、特許請求の範囲のものであればよく、上記各実施形態のものに限定されない。
【符号の説明】
【0054】
100…連結機構、200…自転車、221…第1連結部位、300…リヤカー、330…バー、331…第2連結部位、340…制動機構、341…ワイヤ、110…第1部材、112…小径部、113…大径部、120…第2部材、121…中径部、130…第3部材、140…第4部材、142…第4部材の他端、150…第5部材、160…付勢機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13