(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041578
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】グリル
(51)【国際特許分類】
F24C 3/02 20060101AFI20220304BHJP
A47J 37/06 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
F24C3/02 F
A47J37/06 366
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146860
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】矢野 宏治
【テーマコード(参考)】
4B040
【Fターム(参考)】
4B040AA03
4B040AA08
4B040AB02
4B040AD04
4B040CA17
4B040EB20
4B040GD01
(57)【要約】
【課題】グリル扉を開放してグリル皿を引き出してもグリル皿内の煮汁等がグリル庫の前方開放部付近に飛び散ることを防止し且つ上火バーナの高温の燃焼排気が前方開放部から外に多く放出されることを防止することが可能なグリルを提供する。
【解決手段】グリル1は、前方開放部21を有し且つ上下火バーナ31,32が設けられるグリル庫2、前方開放部21を開閉可能なグリル扉4、調理物が載置されると共に前方開放部21からグリル庫2内に出し入れ自在に収容されるグリル皿5、グリル庫2の後方域に設けられる排気口26を備える。グリル皿の後部にグリル皿の左右幅の全長にわたり飛び散り防止壁7が設けられ、飛び散り防止壁7とグリル皿5はグリル扉の開閉により一連となって移動するように設けられ、飛び散り防止壁7の上端はグリル扉4側から見た前面視で前方開放部21の上部枠21aの下端近傍に達する高さとなるように設定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方開放部を有し且つ上火バーナおよび下火バーナが設けられているグリル庫と、
前方開放部を開閉可能なグリル扉と、
調理物が載置されると共に前方開放部からグリル庫内に出し入れ自在に収容されるグリル皿と、
グリル庫の後方域に設けられ、グリル庫内の燃焼排気を外部へ排気する排気口とを備えるグリルであって、
前記グリル皿の後部に、グリル皿の左右幅の全長にわたり飛び散り防止壁が設けられており、
前記飛び散り防止壁と前記グリル皿は、前記グリル扉の開閉により一連となって移動するように設けられ、
前記飛び散り防止壁の上端は、グリル扉側から見た前面視で前方開放部の上部枠の下端近傍に達する高さとなるように設定されているグリル。
【請求項2】
請求項1に記載のグリルにおいて、
前記上火バーナから排気口に通じる上火排気経路におけるグリル庫の天井面は、後方ほど高くなるように傾斜した構成とされているグリル。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のグリルにおいて、
前記飛び散り防止壁は、グリル皿の後部から着脱可能に構成されているグリル。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のグリルにおいて、
前記飛び散り防止壁は、下火バーナから排気口に通じる下火排気経路を塞がないように開放部を形成する構成とされているグリル。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のグリルにおいて、
前記飛び散り防止壁は、上端に向かうにつれて後方に傾斜するように設けられているグリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリル皿を用いて調理物の加熱調理を行うことができるグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、グリルにおいて、グリル庫に上火バーナおよび下火バーナを設置し、調理物を載せたグリル皿をグリル庫の前方開放部からグリル庫内に出し入れ自在に収容する構成を備え、グリル皿の前壁部と後壁部とにおける下火バーナに対応する中央部分が、グリル皿の他の部分よりも高さが高い高壁部とするものがある(特許文献1)。このグリルは、グリル皿を前後方向に移動させる際、グリル皿に溜まった煮汁等が、前壁部および後壁部の高壁部の上端を乗り越えて溢れ出難くし、煮汁等が下バーナに付着することを抑制するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、グリル皿には調理物が直接載置されるので、料理によっては大量の煮汁が溜まっていることがあり、高壁部を下バーナに対応する部分に設けただけでは、グリル皿を前方いっぱいに引き出したとき、煮汁が高壁部の両端や高壁部上端を乗り越えて飛び散って、グリル庫の前方開放部付近を汚してしまう不具合が生じる。
【0005】
また、上下火バーナの燃焼継続中のままグリル皿を取り出した場合、グリル庫の前方開放部上端で上火バーナからの高温の燃焼排気が漏れ出て、キッチンカウンターの過熱や焼損を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、グリル扉を開放してグリル皿を引き出しても、グリル皿内の煮汁等がグリル庫の前方開放部付近に飛び散ることを防止し、且つ、上火バーナの高温の燃焼排気が前方開放部から外に多く放出されることを防止することが可能なグリルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るグリルは、
前方開放部を有し且つ上火バーナおよび下火バーナが設けられているグリル庫と、
前方開放部を開閉可能なグリル扉と、
調理物が載置されると共に前方開放部からグリル庫内に出し入れ自在に収容されるグリル皿と、
グリル庫の後方域に設けられ、グリル庫内の燃焼排気を外部へ排気する排気口とを備えるグリルであって、
前記グリル皿の後部に、グリル皿の左右幅の全長にわたり飛び散り防止壁が設けられており、
前記飛び散り防止壁と前記グリル皿は、前記グリル扉の開閉により一連となって移動するように設けられ、
前記飛び散り防止壁の上端は、グリル扉側から見た前面視で前方開放部の上部枠の下端近傍に達する高さとなるように設定されているものである。
ここで「前記グリル皿の後部」とは、グリル皿の後方位置やグリル皿の後壁を含む。
【0008】
前記構成より、煮汁が多い調理物の調理の際にグリル扉を開放して前方いっぱいにグリル皿を引き出しても、飛び散り防止壁によってグリル皿からの煮汁等の飛び散りが遮られ、グリル庫の前方開放部付近への煮汁等の飛び散りが防止される。従って、グリル庫の前方開放部付近を煮汁等で汚してしまうことがなく、グリル庫を綺麗な状態に保つことができる。よって、グリル庫の掃除の手間を軽減することができる。
【0009】
また、グリル扉を開放しても、飛び散り防止壁がグリル庫の前方開放部の蓋のような役割となって、上火バーナの高温の燃焼排気が前方開放部から外に多く放出されることが抑制される。従って、例えば、グリルを配設するキッチンカウンターの過熱や焼損を防ぐことができる。また、使用者が燃焼排気を浴びて不快に感じることもない。
【0010】
前記上火バーナから排気口に通じる上火排気経路におけるグリル庫の天井面は、後方ほど高くなるように傾斜した構成とすることができる。これにより、上火バーナの高温の燃焼排気が後方の排気口に流れやすくなるので、グリル扉を開放しても、上火バーナの高温の燃焼排気がグリル庫の前方開放部から外に多く放出されることがさらに抑制される。
【0011】
前記飛び散り防止壁は、グリル皿の後部から着脱可能に構成することができる。これにより、飛び散り防止壁を単独に取り外して綺麗に洗浄しやすくなり、綺麗な状態を保つことができる。
【0012】
前記飛び散り防止壁は、下火バーナから排気口に通じる下火排気経路を塞がないように開放部を形成する構成とすることができる。これにより、下火排気経路を通る下火バーナからの燃焼排気の流れが阻害されることなく排気口に向かって円滑に流れ、排気口を通して外部に円滑に排出することができる。
【0013】
前記飛び散り防止壁は、上端に向かうにつれて後方に傾斜するように設けられている構成とすることができる。これにより、グリル扉を開放したとき、グリル庫の前方開放部の上部枠と飛び散り防止壁の上端との間に上下方向に開放する隙間が形成される。この隙間を通じて外部の空気が前方開放部上端からグリル庫内の上部に流れ込みやすくなり、上火バーナの高温の燃焼排気がグリル庫の前方開放部から外に多く放出されることをさらに抑制することができる。また、前方開放部の上部枠と飛び散り防止壁の上端との間に形成される隙間は、上下方向に開放するので、グリル扉を開放しても、グリル皿内の煮汁等のグリル庫内への飛び散りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態のグリル(グリル扉は図示を省略)であり、グリル皿を前方へ引き出した状態を示す斜視図である。
【
図2】実施形態のグリルを示す断面図であり、同図(a)はグリル皿をグリル庫内に収容した状態の断面図、同図(b)はグリル皿を前方へ引き出した状態の断面図である。
【
図3】グリル皿を皿載置台に載せたてグリル皿の後部に飛び散り防止壁が配設された状態の部分を示す斜視図である。
【
図4】グリル皿、皿載置台、飛び散り防止壁、壁受けの各部品を示す分解斜視図である。
【
図5】飛び散り防止壁を壁受けに取り付けた状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
実施形態のグリル1は、ガスコンロに組み込まれたグリルである。
図1、
図2を参照して、このグリル1は、図示しないガスコンロのコンロ本体内に設置されたグリル庫2と、グリル庫2の前面に開設する前方開放部21を開閉可能に設置されたグリル扉4(
図1では図示を省略)とを備える。グリル庫2内には、上火バーナ31及び下火バーナ32が設けられ、グリル庫2の後方域の後板22に上下火バーナ31,32の燃焼排気を外部へ排気する排気口26と、排気口26に連通して後方斜め上に延びる排気ダクト27とが設けられている。
【0016】
このグリル1は、グリル調理の際にグリル皿5を使用することができる。グリル皿5は、調理物を載置してグリル庫2の前方開放部21からグリル庫2内に出し入れ自在に収容される。グリル皿5は、グリル扉4の背面に連結部材41を介して取り付けられた皿載置台6上に載置される。皿載置台6は、金属製の棒材を枠状に形成したものである(
図4参照)。グリル扉4を開いて前方へ移動させると、皿載置台6とともにグリル皿5がグリル庫2外の前方に引き出され、この状態からグリル扉4を後方へ移動させて閉じると、皿載置台6とともにグリル皿5がグリル庫2内に収容される。
【0017】
上火バーナ31は、グリル庫2の天井面23に設置され、上火バーナ31の下面に形成された多数の炎口31aでの燃焼による熱気がグリル皿5の上面側を照射してグリル皿5上の調理物を加熱調理する。下火バーナ32は、グリル庫2の左右側板24の下部に前後方向に長手となるように設置され、炎口32aをグリル庫2内中央側に向けて開設し、炎口32aからの燃焼排気をグリル皿5の左右側壁53,54の外面及び底壁50の下面に当ててグリル皿5上の調理物を加熱調理する。
【0018】
グリル庫2内には、調理物の加熱温度等を検出するためにサーミスタ等で構成する第1、第2の温度センサS1,S2が設けられている。第1の温度センサS1は、グリル庫2の底板25の後方中央部に突設され、グリル皿5の下面に接触するように設けられている。第2の温度センサS2は、グリル庫2の後板22下部の傾斜面上に突設され、下火バーナ32からの燃焼排気が後板22の排気口26に向かって流れる下火排気経路上に設けられている。
【0019】
第1の温度センサS1は、グリル皿5の下面に接触してグリル皿5の温度を検出することでグリル皿5内の調理物の加熱温度を監視し、また、第2の温度センサS2は、下火バーナ32よりグリル皿5を加熱した後に排気口26に向かう燃焼排気の温度を検出することでグリル皿5内の調理物の加熱温度を監視する。これら第1、第2の温度センサS1,S2により、2重に調理物の加熱温度を検知することで調理温度の検知精度を高めることができ、また、温度の異常上昇を検知すると上下火バーナ31,32を消火等するように制御して安全性を確保している。
【0020】
図3、
図4を参照して、本実施形態のグリル1において使用するグリル皿5は、調理物を載置する底壁50の周囲から立ち上がった側壁(前壁51、後壁52、右壁53、左壁54)を形成する矩形皿形状を有する。底壁50の上面には、左右に延びる細長い凸部55が前後方向に複数形成されており、調理物から生じる煮汁等が調理物に付着することが抑制される。底壁50の上面外周部には、中央部よりも低い凹部56が形成されており、調理物の煮汁等がこの凹部56に溜まるようになっている。このグリル皿5は、蓋を配置せずに上方を開放させた状態で調理物の調理に使用することができる。
【0021】
ところで、グリル皿5には、調理物が直接載置されるので、調理によっては大量の煮汁が溜まることがあり、この場合、グリル扉4を前方へ移動させてグリル皿5を前方いっぱいに引き出したときに、煮汁がグリル皿5の後壁52を乗り越えて外に飛び散ってグリル庫2の前方開放部21付近を汚すことがある。
【0022】
本実施形態のグリル1は、グリル皿5を載置する皿載置台6の後端部には、上方に延びる板状の飛び散り防止壁7が設けられている。この飛び散り防止壁7は、皿載置台6上のグリル皿5の後部に配設される。従って、グリル扉4の開閉により、飛び散り防止壁7とグリル皿5は、一連となって移動される。飛び散り防止壁7の上端は、グリル扉4側から見た前面視で前方開放部21の上部枠21aの下端近傍に達する高さとなるように設定されている。飛び散り防止壁7の左右幅は、皿載置台6上のグリル皿5の左右幅より長く、グリル皿5の左右幅の全長にわたって配設されている。これにより、煮汁が多い調理物の調理の際にグリル扉4を開いて前方いっぱいにグリル皿5を引き出しても、飛び散り防止壁7によってグリル皿5からの煮汁等の飛び散りが遮られ、グリル庫2の前方開放部21付近への煮汁等の飛び散りが防止される。従って、グリル庫2内の前方開放部21付近を煮汁等で汚してしまうことがなく、グリル庫2を綺麗な状態に保つことができる。よって、グリル庫2の掃除の手間を軽減することができる。
【0023】
飛び散り防止壁7の上部71の左右隅部71aは、グリル庫2の前方開放部21の上部枠21aにおける左右の三角形形状に合わせて切り欠かれている。飛び散り防止壁7の左右幅は、グリル扉4側から見た前面視で前方開放部21の左右開口端部近傍に達する長さとなるように設定されている。グリル扉4を開いて前方いっぱいにグリル皿5を引き出した状態では、飛び散り防止壁7の上端がグリル庫2の前方開放部21における上部枠21aの下端近傍に配置され、また、飛び散り防止壁7の左右端がグリル庫2の前方開放部21における左右開口端部近傍に配置される。これにより、グリル扉4を開放しても、飛び散り防止壁7がグリル庫2の前方開放部21の蓋のような役割となって、上火バーナ31の高温の燃焼排気が前方開放部21から外に多く放出されることが抑制される。従って、例えば、ビルトインコンロに設置するグリル1では、キッチンカウンターの過熱や焼損を防ぐことができ、また、調理物の確認等の際に使用者が燃焼排気を浴びて不快に感じることもない。
【0024】
図4、
図5を参照して、飛び散り防止壁7は、皿載置台6の後端部に左右に延びて配設する後スライド棒61に設けられた板状の壁受け8に対して差し込むようにして着脱可能に取り付けられている。
【0025】
壁受け8は、中央下部72に皿載置台6の後スライド棒61に取り付ける保持部81が設けられ、保持部81の左右両側に下方へ延びる垂下部82が形成され、垂下部82の下端に前方へ延びる受片83が形成され、垂下部82の外側の側辺部に内側に折り曲げ形成した係合片84が形成されている。皿載置台6の後スライド棒61は、中央部分が上方に位置するように折り曲げ形成されており、中央部分の上段棒部62と、左右側部分の下段棒部63とを有する。壁受け8は、後スライド棒61における上段棒部62に中央の保持部81を取り付けて溶接することにより後スライド棒61に設けられている。
【0026】
飛び散り防止壁7は、下部72の左右位置に下方へ延びる足片72aが形成されており、この左右の足片72aの下端が壁受け8の左右の受片83に当接するまで壁受け8の左右の係合片84内に差し込むことで、壁受け8に対して着脱可能に取り付けられる。このように、飛び散り防止壁7を皿載置台6に対して着脱可能に設けることにより、グリル調理の使用後に飛び散り防止壁7を皿載置台6から取り外して飛び散り防止壁7や皿載置台6を綺麗に洗浄しやすくすることができ、綺麗な状態を保つことができる。
【0027】
飛び散り防止壁7および壁受け8は、最下端が、皿載置台6に載置するグリル皿5の下面付近に達する位置までしか配置されないように設けられており(
図2(a)参照)、飛び散り防止壁7および壁受け8の下方には、下火バーナ32から排気口26に通じる下火排気経路を塞がないように開放部pを形成する。これにより、下火排気経路を通る下火バーナ32からの燃焼排気の流れが阻害されることなく排気口26に向かって円滑に流れる。そして、下火バーナ32からの燃焼排気は、排気口26から排気ダクト27を通って外部に排出される。また、飛び散り防止壁7および壁受け8は、下部72が門型に形成されて下部中央部が開放(
図4、
図5参照)されているので、グリル皿5の下面に沿って流れる下火バーナ32からの燃焼排気も、飛び散り防止壁7および壁受け8に遮られることなく排気口26に向かって円滑に流される。
【0028】
従って、グリル庫2の後板22の下火排気経路上に設ける第2の温度センサS2には、下火バーナ32によりグリル皿5を加熱した後の燃焼排気を常時流通させることができ、この排気温度に基づいて下火バーナ32によるグリル皿5の調理物の加熱温度を検出することができる。第1の温度センサS1で検知するグリル皿5の温度に基づいてグリル皿5の調理物の加熱温度を検出するが、調理物がグリル皿5上に偏って載置される等していた場合に第1の温度センサS1の検知温度が調理物の加熱温度を十分に反映できない場合でも、第2の温度センサS2によって調理物の加熱温度を検出することができる。従って、調理物の加熱温度を常時監視し、調理物の調理性能を良好に確保することができる。また、第2の温度センサS2の検知温度に基づいて庫内温度の異常上昇を検出した場合は上下火バーナ31,32を消火する等して安全性を確保することができる。
【0029】
飛び散り防止壁7は、く字状に折り曲げて形成され、上部71が上端に向かうにつれて後方に傾斜するように形成されている。これにより、飛び散り防止壁7は、グリル庫2内で第2の温度センサS2の前方から上方の範囲を囲むように配設される(
図2(a)参照)。従って、上火バーナ31の高温の燃焼排気が下火排気経路に設ける第2の温度センサS2へ向かうことなく排気口26に誘導される。よって、第2の温度センサS2は、上火バーナ31の高温の燃焼排気に晒されることが防止されるから、上火バーナ31からの燃焼排気による熱影響を受けず、下火バーナ32からの燃焼排気の温度に基づいてグリル皿5上の調理物の加熱温度を正しく検出することができる。
【0030】
また、飛び散り防止壁7の上部71が傾斜して形成されていることから、グリル扉4を開いてグリル皿5を前方いっぱいに引き出した状態では、グリル庫2の前方開放部21の上部枠21aと飛び散り防止壁7の上端との間に上下方向に開放する隙間a(
図2(b)参照)が形成される。これにより、前記隙間aを通じて外部の空気が前方開放部21上端からグリル庫2内の上部に流れ込みやすくなり、上火バーナ31の高温の燃焼排気がグリル庫2の前方開放部21から外に多く放出されることをさらに抑制することができる。前記隙間aは、上下方向に開放するので、グリル扉4を開放しても、グリル皿5内の煮汁等のグリル庫2内への飛び散りは防ぐことができる。
【0031】
また、上火バーナ31から排気口26に通じる上火排気経路におけるグリル庫2の天井面、すなわち、上火バーナ31の後側に配設される天井面23aは、後方ほど高くなるように傾斜した構成となっている。これにより、グリル庫2内での飛び散り防止壁7の上方域に上火バーナ31の燃焼排気が円滑に流通可能な断面積を確保しやすくすることができる。また、天井面23aの傾斜により、上火バーナ31の高温の燃焼排気が後方の排気口26に流れやすくなり、グリル扉4を開放しても、上火バーナ31の高温の燃焼排気がグリル庫2の前方開放部21から外に多く放出されることがさらに抑制される。
【0032】
以上より、本実施形態によれば、グリル扉4を開いてグリル皿5を前方いっぱいに引き出しても、飛び散り防止壁7によって、グリル皿5内の煮汁等がグリル庫2内へ飛び散ることを防止することができ、且つ、上火バーナ31の高温の燃焼排気が前方開放部21から外に多く放出されることを防止することができる。従って、グリル庫2の前方開放部21付近の汚れを防止しグリル庫2のお掃除の手間を軽減することができ、また、高温の燃焼排気が前方開放部21から外に漏れ出てキッチンカウンターを過熱したり焼損を生じさせたりすることもなく、また、使用者が燃焼排気を浴びて不快に感じることも防止することができる。
【0033】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲内で必要に応じて様々な変更を施すことが可能である。
例えば、飛び散り防止壁7は、グリル皿5の後壁52に着脱可能に設けてもよいし、グリル皿5の後壁52を他の側壁51,53,54よりも高く延ばして設けたものでもよい。
飛び散り防止壁7を取り付ける壁受け8は、皿載置台6の後スライド棒61に溶接して設けたが、溶接せずに後スライド棒61に対して着脱可能に設けるようにしてもよい。
飛び散り防止壁7は、保持部81等を形成して皿載置台6の後スライド棒61に溶接して設けたり溶接せずに後スライド棒61に対して着脱可能に設けるようにして、壁受け8を有しない構成としてもよい。
また、飛び散り防止壁7は、く字状に折り曲げて形成して上部71が後方に傾斜するように設けられるが、折り曲げずに平板状のものとし、壁受け8を上端が後方へ傾くように皿載置台6の後スライド棒61に設けることで、飛び散り防止壁7を上端に向かうにつれて後方に傾斜するように配設してもよい。
また、飛び散り防止壁7は、傾斜させずに略垂直に立設したものでもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 グリル
2 グリル庫
4 グリル扉
5 グリル皿
6 皿載置台
7 飛び散り防止壁
8 壁受け
21 前方開放部
21a 上部枠
22 後板
23 天井面
24 側板
25 底板
26 排気口
27 排気ダクト
31 上火バーナ
31a 炎口
32 下火バーナ
32a 炎口
41 連結部材
50 底壁
51 前壁
52 後壁
53 右壁
54 左壁
55 凸部
56 凹部
61 後スライド棒
62 上段棒部
63 下段棒部
71 上部
71a 隅部
72 下部
72a 足片
81 保持部
82 垂下部
83 受片
84 係合片
a 隙間
p 開放部
S1 第1の温度センサ
S2 第2の温度センサ