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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041582
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】二重管式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/10 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
F28D7/10 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146866
(22)【出願日】2020-09-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000190677
【氏名又は名称】新光産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】木原 均
(72)【発明者】
【氏名】今橋 拓士
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103CC12
3L103DD10
3L103DD38
3L103DD82
(57)【要約】
【課題】組立て及び分解が容易で、必要に応じて分解洗浄や部品交換を行うことができ、衛生的でメンテナンス性に優れた二重管式熱交換器を提供する。
【解決手段】外管11と内管12とを有する二重管式熱交換器10であって、外管本体13の長手方向の一端部に設けられた第1の外管ヘルール16aと、内管本体18の長手方向の一側外周に溶接固定されたエンドへルール20が、第1のガスケット21を挟んで対向配置されて第1のクランプバンド30aで連結固定され、内管本体18の長手方向の他側外周に溶接固定された凸条部23の外周に外管シールヘルール24の円筒部25が嵌着され、凸条部23と円筒部25との間がOリング29でシールされると共に、外管本体13の長手方向の他端部に設けられた第2の外管ヘルール16bと、外管シールヘルール24が、第2のガスケット26を挟んで対向配置されて第2のクランプバンド30bで連結固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管と内管とを有する二重管式熱交換器であって、
外管本体と、該外管本体の長手方向の一側及び他側の側部に設けられた第1、第2の流出入口と、前記外管本体の長手方向の一端部及び他端部に設けられた第1、第2の外管ヘルールとを有する前記外管と、前記外管本体に内挿され長手方向の両端部がそれぞれ前記外管本体の長手方向の両端部から突出する内管本体と、該内管本体の長手方向の一側外周に溶接固定され第1のガスケットを挟んで前記第1の外管ヘルールと対向配置されるエンドへルールと、前記内管本体の長手方向の他側外周に溶接固定された凸条部とを有する前記内管と、前記凸条部の外周に嵌着される円筒部を有し第2のガスケットを挟んで前記第2の外管ヘルールと対向配置される外管シールヘルールと、前記凸条部と前記円筒部との間をシールするOリングと、前記第1の外管ヘルールと前記エンドへルールを連結固定する第1のクランプバンドと、前記第2の外管ヘルールと前記外管シールヘルールを連結固定する第2のクランプバンドとを備えたことを特徴とする二重管式熱交換器。
【請求項2】
請求項1記載の二重管式熱交換器において、前記第1、第2の流出入口の開口端に第1、第2の接続用ヘルールが設けられたことを特徴とする二重管式熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の二重管式熱交換器において、前記内管本体の長手方向の一端部及び他端部に第1、第2の内管ヘルールが設けられたことを特徴とする二重管式熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体等の各種流動物を搬送しながら所定の温度に加熱又は冷却するために用いられ、特に食品及び医薬品等の製造に好適な二重管式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二重管式熱交換器は、例えば特許文献1に記載されたように、内管と外管が要所で溶接固定された構造であり、内管と外管を分解することができず、メンテナンス性に欠けるという問題があった。また、内管と外管の材質が異なる場合、そのままでは溶接できないため、内管と同じ材質(例えばチタン)と、外管と同じ材質(例えばステンレス)を予め貼り合わせた特殊なクラッド鋼を用いて溶接を行う必要があり、量産性に欠けるという問題があった。さらに、内管と外管の温度差による熱膨張(内管と外管の伸縮量の差)が発生した場合、応力集中による破損が生じ易く、耐久性に欠けるという問題もあった。なお、外管に伸縮継手を設けることにより、熱膨張を吸収して応力を緩和する二重管式熱交換器もあるが、内管と外管の温度差が大きくなって伸縮継手の許容値を超えることや、経年劣化により伸縮継手が破損するという問題があった。
【0003】
一方、特許文献2には、内管の一端側を外管の一端側から突出させて径大部を形成し、外管の一端側の口端部をラッパ状に拡径させ、径大部を含む内管の一端側の外周を短管状の口金で覆い、外管の一端側と口金の他端側をシールリングを介して連結すると共に、径大部の外周面と口金の内周面との間をスクイーズパッキンで密封することにより、外管の熱膨張と内管の熱膨張との差で口金が軸方向にスライドしても、外管と内管との密封状態を維持できる構造とした二重管式熱交換器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-104879号公報
【特許文献2】実開平3-38570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二重管式熱交換器においては、外管と内管を同心円上に配置し、外管の内周面と内管の外周面との間に均等な隙間(流路)を形成することが好ましく、そのために外管と内管の要所を固定する必要がある。しかしながら、特許文献2には、上述のように、二重管(外管及び内管)の一端側の構造しか記載されておらず、外管と内管との隙間をどのようにして全長にわたって均等に保持するのかが不明である。特に、特許文献2の第1図で示されたように、二重管が蛇行している場合、一端側のみを上述の構造で固定するだけでは製造不能である。また、仮に、外管と内管が直線状であるとして、他端側の構造を一端側の構造と同一にした場合、製造することはできても、内管の両端部に径大部が設けられた後では、少なくとも一方の径大部を切除しない限り、内管を外管から引き抜くことができないため、分解洗浄を行うことができず、非衛生的でメンテナンス性に欠けるという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、組立て及び分解が容易で、必要に応じて分解洗浄や部品交換を行うことができ、衛生的でメンテナンス性に優れた二重管式熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係る二重管式熱交換器は、外管と内管とを有する二重管式熱交換器であって、
外管本体と、該外管本体の長手方向の一側及び他側の側部に設けられた第1、第2の流出入口と、前記外管本体の長手方向の一端部及び他端部に設けられた第1、第2の外管ヘルールとを有する前記外管と、前記外管本体に内挿され長手方向の両端部がそれぞれ前記外管本体の長手方向の両端部から突出する内管本体と、該内管本体の長手方向の一側外周に溶接固定され第1のガスケットを挟んで前記第1の外管ヘルールと対向配置されるエンドへルールと、前記内管本体の長手方向の他側外周に溶接固定された凸条部とを有する前記内管と、前記凸条部の外周に嵌着される円筒部を有し第2のガスケットを挟んで前記第2の外管ヘルールと対向配置される外管シールヘルールと、前記凸条部と前記円筒部との間をシールするOリングと、前記第1の外管ヘルールと前記エンドへルールを連結固定する第1のクランプバンドと、前記第2の外管ヘルールと前記外管シールヘルールを連結固定する第2のクランプバンドとを備える。
【0008】
本発明に係る二重管式熱交換器において、前記第1、第2の流出入口の開口端に第1、第2の接続用ヘルールが設けられることが好ましい。
【0009】
本発明に係る二重管式熱交換器において、前記内管本体の長手方向の一端部及び他端部に第1、第2の内管ヘルールが設けられてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る二重管式熱交換器によれば、外管本体の長手方向の一端部に設けられた第1の外管ヘルールと、内管本体の長手方向の一側外周に溶接固定されたエンドへルールが、第1のガスケットを挟んで対向配置されて第1のクランプバンドで連結固定され、内管本体の長手方向の他側外周に溶接固定された凸条部の外周に外管シールヘルールの円筒部が嵌着され、凸条部と円筒部との間がOリングでシールされると共に、外管本体の長手方向の他端部に設けられた第2の外管ヘルールと、外管シールヘルールが、第2のガスケットを挟んで対向配置されて第2のクランプバンドで連結固定されるので、工具を用いることなく、外管と内管を簡単に分解することができ、必要に応じて洗浄や部品の交換を行うことが可能であり、衛生的でメンテナンス性に優れる。そして、分解洗浄が可能であるため、従来のように、内管側にプロセス液(加熱又は冷却の対象となる流動物)を流し、外管側に冷媒を流す使用方法に限られず、外管側にプロセス液を流し、内管側に冷媒を流して使用することもでき、多様性に優れる。また、第2の外管ヘルールと連結固定される外管シールヘルールが、内管本体に溶接固定された凸条部に嵌着される円筒部を有し、凸条部と円筒部との間がOリングでシールされており、凸条部と円筒部が軸方向に相対移動(スライド)可能となっているので、外管の熱膨張と内管の熱膨張に差が生じても、密閉性を確保することができる。
【0011】
第1の発明に係る二重管式熱交換器によれば、第1、第2の流出入口の開口端に第1、第2の接続用ヘルールが設けられた場合、ヘルール継手を用いて簡単に第1、第2の流出入口の一方に流入管を接続し、他方に流出管を接続することができ、施工性に優れる。
【0012】
第1の発明に係る二重管式熱交換器によれば、内管本体の長手方向の一端部及び他端部に第1、第2の内管ヘルールが設けられた場合、ヘルール継手を用いて簡単に内管と他の管を接続することができ、第1の発明に係る複数の二重管式熱交換器をU字管等を介して容易に連結することが可能であり、配管作業性及び設計自在性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態に係る二重管式熱交換器の断面図である。
図2】同二重管式熱交換器の外管の断面図である。
図3】同二重管式熱交換器の内管の断面図である。
図4】(A)、(B)はそれぞれ同二重管式熱交換器の一側及び他側の固定構造を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示す本発明の一実施の形態に係る二重管式熱交換器10は、外管11と内管12とを有しており、内管12の内側又は外側(外管11と内管12との間)を流れるプロセス液(液体等の各種流動物)と、内管12の外側(外管11と内管12との間)又は内側を流れる冷媒との温度差により、プロセス液を搬送しながら所定の温度に加熱又は冷却するために用いられる。
【0015】
以下、二重管式熱交換器10の構造の詳細について説明する。
図1図2に示すように、外管11は、直管状の外管本体13と、外管本体13の長手方向の一側及び他側の側部に設けられた第1、第2の流出入口14a、14bを有している。そして、第1、第2の流出入口14a、14bの開口端には第1、第2の接続用ヘルール15a、15bが設けられている。また、外管本体13の長手方向の一端部及び他端部には第1、第2の外管ヘルール16a、16bが設けられている。
第1、第2の流出入口14a、14bのうち、一方を流入口とし、他方を流出口として、外管11と内管12との間にプロセス液又は冷媒を流すことができ、向流式及び並流式のいずれにも対応することができる。
【0016】
本実施の形態では、外管本体13の軸心と、第1、第2の流出入口14a、14bの軸心との交差角度を直角としたが、この交差角度は、適宜、選択することができ、外管本体に対して第1、第2の流出入口を傾斜配置してもよく、それぞれの交差角度(傾斜方向)は、同一でも異なっていてもよい。なお、第1、第2の接続用ヘルール15a、15b及び第1、第2の外管ヘルール16a、16bは、第1、第2の流出入口14a、14b及び外管本体13の両端部にそれぞれ溶接される。また、第1、第2の流出入口14a、14bに第1、第2の接続用ヘルール15a、15bが設けられていることにより、ヘルール継手を用いて簡単に流入管又は流出管等の他の管と接続することができるが、第1、第2の接続用ヘルールの代わりにフランジ又は雄螺子若しくは雌螺子を形成し、フランジ継手又はねじ込み継手を用いて他の管と接続することもできる。
【0017】
内管12は、図1に示すように、外管本体13に内挿され長手方向の両端部がそれぞれ外管本体13の長手方向の両端部から突出する直管状の内管本体18を有している。そして、図1図3に示すように、内管本体18の長手方向の一端部及び他端部には第1、第2の内管ヘルール19a、19bが設けられている。また、図1図4(A)に示すように、内管本体18の長手方向の一側外周には、エンドへルール20が溶接固定されている。そして、内管12が外管11に挿通された状態で、第1の外管ヘルール16aとエンドへルール20が対向配置されており、その間には、シールのための第1のガスケット21が挟まれている。なお、内管本体18に第1の内管ヘルール19aを溶接する前に、内管本体18に第1のガスケット21を挿通し、さらにエンドへルール20を挿通して溶接固定することにより、組立てを容易に行うことができる。
【0018】
図1図3図4(B)に示すように、内管本体18の長手方向の他側外周には凸条部23が溶接固定されている。内管本体18に第2の内管ヘルール19bを溶接する前に、内管本体18に凸条部23を挿通して溶接固定することにより、組立てを容易に行うことができる。そして、外管本体13の内径は、第2の内管ヘルール19b及び凸条部23の外径(最大径)よりも大きいので、外管11の一側から内管12の他側を内挿し、図1に示すように、外管11の他側から内管12の他側(第2の内管ヘルール19b及び凸条部23)を突出させることができる。
また、内管12が外管11に挿通された状態で、外管11の他側には、図1図4(B)に示すように、第2の外管ヘルール16bと対向するように外管シールヘルール24が取り付けられる。この外管シールヘルール24は、凸条部23の外周に嵌着される円筒部25を有しており、第2の外管ヘルール16bと外管シールヘルール24の間には、シールのための第2のガスケット26が挟まれている。このとき、外管シールヘルール24の内径は第2の内管ヘルール19bの外径(最大径)よりも大きく、第2のガスケット26の内径も第2の内管ヘルール19b及び凸条部23の外径(最大径)よりも大きいので、内管12が外管11に挿通された状態で、内管12の他側から第2のガスケット26を挿通し、さらに外管シールヘルール24を挿通して凸条部23に嵌着することができる。なお、凸条部23の外周には、図3図4(B)に示すように、溝28が形成されてOリング29が取り付けられており、このOリング29によって凸条部23と円筒部25との間がシールされる。
【0019】
図1図4(A)、(B)に示すように、第1の外管ヘルール16aとエンドへルール20は第1のクランプバンド30aで連結固定され、第2の外管ヘルール16bと外管シールヘルール24は第2のクランプバンド30bで連結固定される。第1、第2のクランプバンド30a、30bは、手締めで簡単に固定することができ、工具を用いることなく、二重管式熱交換器10(外管11と内管12)の分解及び組立てを簡単に行うことができるので、必要に応じて各部の洗浄や部品の交換等を行うことが可能である。また、分解洗浄が可能であるため、従来のように、内管12側にプロセス液(加熱又は冷却の対象となる流動物)を流し、外管11側に冷媒を流す使用方法に限られず、外管11側にプロセス液を流し、内管12側に冷媒を流して使用することもでき、用途の拡大を図ることができる。
【0020】
二重管式熱交換器10では、凸条部23と円筒部25との間がOリング29でシールされることにより、凸条部23と円筒部25が軸方向に相対移動(スライド)可能となるので、外管11の熱膨張と内管12の熱膨張に差が生じても、密閉性を確保することができる。なお、本実施の形態では、凸条部23の外周に溝28を形成してOリング29を取り付けたが、円筒部の内周に溝を形成してOリングを取り付けることもできる。
また、内管本体18の長手方向の両端部に第1、第2の内管ヘルール19a、19bが設けられていることにより、ヘルール継手を用いて簡単に内管12と他の管を接続することができるが、第1、第2の内管ヘルールの代わりに雄螺子若しくは雌螺子を形成し、ねじ込み継手を用いて他の管と接続することもできる。
外管11及び内管12の材質としては、チタン及びステンレスが好適に用いられるが、プロセス液及び冷媒の種類に応じて、適宜の金属又は合金を組み合わせて用いることができ、両者の材質は同一でも異なっていてもよい。また、外管11及び内管12の直径(口径)は、用途(プロセス液の種類等)に応じて、適宜、選択し、組み合わせることができる。
【0021】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものであり、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
【符号の説明】
【0022】
10:二重管式熱交換器、11:外管、12:内管、13:外管本体、14a:第1の流出入口、14b:第2の流出入口、15a:第1の接続用ヘルール、15b:第2の接続用ヘルール、16a:第1の外管ヘルール、16b:第2の外管ヘルール、18:内管本体、19a:第1の内管ヘルール、19b:第2の内管ヘルール、20:エンドへルール、21:第1のガスケット、23:凸条部、24:外管シールヘルール、25:円筒部、26:第2のガスケット、28:溝、29:Oリング、30a:第1のクランプバンド、30b:第2のクランプバンド
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-09-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外管と内管とを有する二重管式熱交換器であって、
外管本体と、該外管本体の長手方向の一側及び他側の側部に設けられた第1、第2の流出入口と、前記外管本体の長手方向の一端部及び他端部に設けられた第1、第2の外管ヘルールとを有する前記外管と、前記外管本体に内挿され長手方向の両端部がそれぞれ前記外管本体の長手方向の両端部から突出する内管本体と、該内管本体の長手方向の一側及び他側にそれぞれ外挿される第1、第2のガスケットと、前記内管本体の長手方向の一側外周に溶接固定され前記第1のガスケットを挟んで前記第1の外管ヘルールと対向配置されるエンドへルールと、前記内管本体の長手方向の他側外周に溶接固定された凸条部とを有する前記内管と、前記凸条部の外周に嵌着される円筒部を有し前記第2のガスケットを挟んで前記第2の外管ヘルールと対向配置される外管シールヘルールと、前記凸条部と前記円筒部との間をシールするOリングと、前記第1の外管ヘルールと前記エンドへルールを連結固定する第1のクランプバンドと、前記第2の外管ヘルールと前記外管シールヘルールを連結固定する第2のクランプバンドとを備えたことを特徴とする二重管式熱交換器。
【請求項2】
請求項1記載の二重管式熱交換器において、前記第1、第2の流出入口の開口端に第1、第2の接続用ヘルールが設けられたことを特徴とする二重管式熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の二重管式熱交換器において、前記内管本体の長手方向の一端部及び他端部に第1、第2の内管ヘルールが設けられたことを特徴とする二重管式熱交換器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体等の各種流動物を搬送しながら所定の温度に加熱又は冷却するために用いられ、特に食品及び医薬品等の製造に好適な二重管式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二重管式熱交換器は、例えば特許文献1に記載されたように、内管と外管が要所で溶接固定された構造であり、内管と外管を分解することができず、メンテナンス性に欠けるという問題があった。また、内管と外管の材質が異なる場合、そのままでは溶接できないため、内管と同じ材質(例えばチタン)と、外管と同じ材質(例えばステンレス)を予め貼り合わせた特殊なクラッド鋼を用いて溶接を行う必要があり、量産性に欠けるという問題があった。さらに、内管と外管の温度差による熱膨張(内管と外管の伸縮量の差)が発生した場合、応力集中による破損が生じ易く、耐久性に欠けるという問題もあった。なお、外管に伸縮継手を設けることにより、熱膨張を吸収して応力を緩和する二重管式熱交換器もあるが、内管と外管の温度差が大きくなって伸縮継手の許容値を超えることや、経年劣化により伸縮継手が破損するという問題があった。
【0003】
一方、特許文献2には、内管の一端側を外管の一端側から突出させて径大部を形成し、外管の一端側の口端部をラッパ状に拡径させ、径大部を含む内管の一端側の外周を短管状の口金で覆い、外管の一端側と口金の他端側をシールリングを介して連結すると共に、径大部の外周面と口金の内周面との間をスクイーズパッキンで密封することにより、外管の熱膨張と内管の熱膨張との差で口金が軸方向にスライドしても、外管と内管との密封状態を維持できる構造とした二重管式熱交換器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-104879号公報
【特許文献2】実開平3-38570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
二重管式熱交換器においては、外管と内管を同心円上に配置し、外管の内周面と内管の外周面との間に均等な隙間(流路)を形成することが好ましく、そのために外管と内管の要所を固定する必要がある。しかしながら、特許文献2には、上述のように、二重管(外管及び内管)の一端側の構造しか記載されておらず、外管と内管との隙間をどのようにして全長にわたって均等に保持するのかが不明である。特に、特許文献2の第1図で示されたように、二重管が蛇行している場合、一端側のみを上述の構造で固定するだけでは製造不能である。また、仮に、外管と内管が直線状であるとして、他端側の構造を一端側の構造と同一にした場合、製造することはできても、内管の両端部に径大部が設けられた後では、少なくとも一方の径大部を切除しない限り、内管を外管から引き抜くことができないため、分解洗浄を行うことができず、非衛生的でメンテナンス性に欠けるという問題がある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、組立て及び分解が容易で、必要に応じて分解洗浄や部品交換を行うことができ、衛生的でメンテナンス性に優れた二重管式熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係る二重管式熱交換器は、外管と内管とを有する二重管式熱交換器であって、
外管本体と、該外管本体の長手方向の一側及び他側の側部に設けられた第1、第2の流出入口と、前記外管本体の長手方向の一端部及び他端部に設けられた第1、第2の外管ヘルールとを有する前記外管と、前記外管本体に内挿され長手方向の両端部がそれぞれ前記外管本体の長手方向の両端部から突出する内管本体と、該内管本体の長手方向の一側及び他側にそれぞれ外挿される第1、第2のガスケットと、前記内管本体の長手方向の一側外周に溶接固定され前記第1のガスケットを挟んで前記第1の外管ヘルールと対向配置されるエンドへルールと、前記内管本体の長手方向の他側外周に溶接固定された凸条部とを有する前記内管と、前記凸条部の外周に嵌着される円筒部を有し前記第2のガスケットを挟んで前記第2の外管ヘルールと対向配置される外管シールヘルールと、前記凸条部と前記円筒部との間をシールするOリングと、前記第1の外管ヘルールと前記エンドへルールを連結固定する第1のクランプバンドと、前記第2の外管ヘルールと前記外管シールヘルールを連結固定する第2のクランプバンドとを備える。
【0008】
本発明に係る二重管式熱交換器において、前記第1、第2の流出入口の開口端に第1、第2の接続用ヘルールが設けられることが好ましい。
【0009】
本発明に係る二重管式熱交換器において、前記内管本体の長手方向の一端部及び他端部に第1、第2の内管ヘルールが設けられてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る二重管式熱交換器によれば、外管本体の長手方向の一端部に設けられた第1の外管ヘルールと、内管本体の長手方向の一側外周に溶接固定されたエンドへルールが、第1のガスケットを挟んで対向配置されて第1のクランプバンドで連結固定され、内管本体の長手方向の他側外周に溶接固定された凸条部の外周に外管シールヘルールの円筒部が嵌着され、凸条部と円筒部との間がOリングでシールされると共に、外管本体の長手方向の他端部に設けられた第2の外管ヘルールと、外管シールヘルールが、第2のガスケットを挟んで対向配置されて第2のクランプバンドで連結固定されるので、工具を用いることなく、外管と内管を簡単に分解することができ、必要に応じて洗浄や部品の交換を行うことが可能であり、衛生的でメンテナンス性に優れる。そして、分解洗浄が可能であるため、従来のように、内管側にプロセス液(加熱又は冷却の対象となる流動物)を流し、外管側に冷媒を流す使用方法に限られず、外管側にプロセス液を流し、内管側に冷媒を流して使用することもでき、多様性に優れる。また、第2の外管ヘルールと連結固定される外管シールヘルールが、内管本体に溶接固定された凸条部に嵌着される円筒部を有し、凸条部と円筒部との間がOリングでシールされており、凸条部と円筒部が軸方向に相対移動(スライド)可能となっているので、外管の熱膨張と内管の熱膨張に差が生じても、密閉性を確保することができる。
【0011】
第1の発明に係る二重管式熱交換器によれば、第1、第2の流出入口の開口端に第1、第2の接続用ヘルールが設けられた場合、ヘルール継手を用いて簡単に第1、第2の流出入口の一方に流入管を接続し、他方に流出管を接続することができ、施工性に優れる。
【0012】
第1の発明に係る二重管式熱交換器によれば、内管本体の長手方向の一端部及び他端部に第1、第2の内管ヘルールが設けられた場合、ヘルール継手を用いて簡単に内管と他の管を接続することができ、第1の発明に係る複数の二重管式熱交換器をU字管等を介して容易に連結することが可能であり、配管作業性及び設計自在性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施の形態に係る二重管式熱交換器の断面図である。
図2】同二重管式熱交換器の外管の断面図である。
図3】同二重管式熱交換器の内管の断面図である。
図4】(A)、(B)はそれぞれ同二重管式熱交換器の一側及び他側の固定構造を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1に示す本発明の一実施の形態に係る二重管式熱交換器10は、外管11と内管12とを有しており、内管12の内側又は外側(外管11と内管12との間)を流れるプロセス液(液体等の各種流動物)と、内管12の外側(外管11と内管12との間)又は内側を流れる冷媒との温度差により、プロセス液を搬送しながら所定の温度に加熱又は冷却するために用いられる。
【0015】
以下、二重管式熱交換器10の構造の詳細について説明する。
図1図2に示すように、外管11は、直管状の外管本体13と、外管本体13の長手方向の一側及び他側の側部に設けられた第1、第2の流出入口14a、14bを有している。そして、第1、第2の流出入口14a、14bの開口端には第1、第2の接続用ヘルール15a、15bが設けられている。また、外管本体13の長手方向の一端部及び他端部には第1、第2の外管ヘルール16a、16bが設けられている。
第1、第2の流出入口14a、14bのうち、一方を流入口とし、他方を流出口として、外管11と内管12との間にプロセス液又は冷媒を流すことができ、向流式及び並流式のいずれにも対応することができる。
【0016】
本実施の形態では、外管本体13の軸心と、第1、第2の流出入口14a、14bの軸心との交差角度を直角としたが、この交差角度は、適宜、選択することができ、外管本体に対して第1、第2の流出入口を傾斜配置してもよく、それぞれの交差角度(傾斜方向)は、同一でも異なっていてもよい。なお、第1、第2の接続用ヘルール15a、15b及び第1、第2の外管ヘルール16a、16bは、第1、第2の流出入口14a、14b及び外管本体13の両端部にそれぞれ溶接される。また、第1、第2の流出入口14a、14bに第1、第2の接続用ヘルール15a、15bが設けられていることにより、ヘルール継手を用いて簡単に流入管又は流出管等の他の管と接続することができるが、第1、第2の接続用ヘルールの代わりにフランジ又は雄螺子若しくは雌螺子を形成し、フランジ継手又はねじ込み継手を用いて他の管と接続することもできる。
【0017】
内管12は、図1に示すように、外管本体13に内挿され長手方向の両端部がそれぞれ外管本体13の長手方向の両端部から突出する直管状の内管本体18を有している。そして、図1図3に示すように、内管本体18の長手方向の一端部及び他端部には第1、第2の内管ヘルール19a、19bが設けられている。また、図1図4(A)に示すように、内管本体18の長手方向の一側外周には、エンドへルール20が溶接固定されている。そして、内管12が外管11に挿通された状態で、第1の外管ヘルール16aとエンドへルール20が対向配置されており、その間には、シールのための第1のガスケット21が挟まれている。なお、内管本体18に第1の内管ヘルール19aを溶接する前に、内管本体18に第1のガスケット21を挿通し、さらにエンドへルール20を挿通して溶接固定することにより、組立てを容易に行うことができる。
【0018】
図1図3図4(B)に示すように、内管本体18の長手方向の他側外周には凸条部23が溶接固定されている。内管本体18に第2の内管ヘルール19bを溶接する前に、内管本体18に凸条部23を挿通して溶接固定することにより、組立てを容易に行うことができる。そして、外管本体13の内径は、第2の内管ヘルール19b及び凸条部23の外径(最大径)よりも大きいので、外管11の一側から内管12の他側を内挿し、図1に示すように、外管11の他側から内管12の他側(第2の内管ヘルール19b及び凸条部23)を突出させることができる。
また、内管12が外管11に挿通された状態で、外管11の他側には、図1図4(B)に示すように、第2の外管ヘルール16bと対向するように外管シールヘルール24が取り付けられる。この外管シールヘルール24は、凸条部23の外周に嵌着される円筒部25を有しており、第2の外管ヘルール16bと外管シールヘルール24の間には、シールのための第2のガスケット26が挟まれている。このとき、外管シールヘルール24の内径は第2の内管ヘルール19bの外径(最大径)よりも大きく、第2のガスケット26の内径も第2の内管ヘルール19b及び凸条部23の外径(最大径)よりも大きいので、内管12が外管11に挿通された状態で、内管12の他側から第2のガスケット26を挿通し、さらに外管シールヘルール24を挿通して凸条部23に嵌着することができる。なお、凸条部23の外周には、図3図4(B)に示すように、溝28が形成されてOリング29が取り付けられており、このOリング29によって凸条部23と円筒部25との間がシールされる。
【0019】
図1図4(A)、(B)に示すように、第1の外管ヘルール16aとエンドへルール20は第1のクランプバンド30aで連結固定され、第2の外管ヘルール16bと外管シールヘルール24は第2のクランプバンド30bで連結固定される。第1、第2のクランプバンド30a、30bは、手締めで簡単に固定することができ、工具を用いることなく、二重管式熱交換器10(外管11と内管12)の分解及び組立てを簡単に行うことができるので、必要に応じて各部の洗浄や部品の交換等を行うことが可能である。また、分解洗浄が可能であるため、従来のように、内管12側にプロセス液(加熱又は冷却の対象となる流動物)を流し、外管11側に冷媒を流す使用方法に限られず、外管11側にプロセス液を流し、内管12側に冷媒を流して使用することもでき、用途の拡大を図ることができる。
【0020】
二重管式熱交換器10では、凸条部23と円筒部25との間がOリング29でシールされることにより、凸条部23と円筒部25が軸方向に相対移動(スライド)可能となるので、外管11の熱膨張と内管12の熱膨張に差が生じても、密閉性を確保することができる。なお、本実施の形態では、凸条部23の外周に溝28を形成してOリング29を取り付けたが、円筒部の内周に溝を形成してOリングを取り付けることもできる。
また、内管本体18の長手方向の両端部に第1、第2の内管ヘルール19a、19bが設けられていることにより、ヘルール継手を用いて簡単に内管12と他の管を接続することができるが、第1、第2の内管ヘルールの代わりに雄螺子若しくは雌螺子を形成し、ねじ込み継手を用いて他の管と接続することもできる。
外管11及び内管12の材質としては、チタン及びステンレスが好適に用いられるが、プロセス液及び冷媒の種類に応じて、適宜の金属又は合金を組み合わせて用いることができ、両者の材質は同一でも異なっていてもよい。また、外管11及び内管12の直径(口径)は、用途(プロセス液の種類等)に応じて、適宜、選択し、組み合わせることができる。
【0021】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものであり、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
【符号の説明】
【0022】
10:二重管式熱交換器、11:外管、12:内管、13:外管本体、14a:第1の流出入口、14b:第2の流出入口、15a:第1の接続用ヘルール、15b:第2の接続用ヘルール、16a:第1の外管ヘルール、16b:第2の外管ヘルール、18:内管本体、19a:第1の内管ヘルール、19b:第2の内管ヘルール、20:エンドへルール、21:第1のガスケット、23:凸条部、24:外管シールヘルール、25:円筒部、26:第2のガスケット、28:溝、29:Oリング、30a:第1のクランプバンド、30b:第2のクランプバンド