(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041600
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】料金シミュレーション方法、料金シミュレーション装置及び料金シミュレーションプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20220304BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020146903
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】512008314
【氏名又は名称】株式会社Looop
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【弁理士】
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(74)【代理人】
【識別番号】100139114
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 貞嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139103
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 卓志
(74)【代理人】
【識別番号】100119220
【氏名又は名称】片寄 武彦
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 俊治
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】福本 宙海
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】ライフラインに関する料金のシミュレーションに必要な情報を簡単に設定することが可能な料金シミュレーション方法を提供する。
【解決手段】料金シミュレーション方法は、第1の事業者により使用期間毎に作成され、複数の記載項目にそれぞれ対応する記載内容を含む検針票5が撮像された検針票画像データ6を、第1の事業者の利用者が用いる利用者端末から受け付ける受付工程(S30)と、検針票画像データ6に対して文字認識処理を実行し、検針票5に含まれる記載内容を示す文字情報を記載項目毎に取得する取得工程(S40)と、文字情報の文字認識結果に基づいて、使用期間よりも長期の分析期間における、第1の事業者による第1の使用料金及び第2の事業者による第2の使用料金を算出する算出工程(S50)と、第1の使用料金及び第2の使用料金を利用者端末に表示させるためのウェブデータ11を利用者端末に提供する情報提供工程(S60)と、を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いて、第1の事業者及び第2の事業者が提供するライフラインに関する料金のシミュレーションを行う料金シミュレーション方法であって、
前記第1の事業者により使用期間毎に作成され、複数の記載項目にそれぞれ対応する記載内容を含む検針票が撮像された検針票画像データを、前記第1の事業者の利用者が用いる利用者端末からネットワークを介して受け付ける受付工程と、
前記検針票画像データに対して文字認識処理を実行し、前記検針票に含まれる前記記載内容を示す文字情報を前記記載項目毎に取得する取得工程と、
前記文字情報の文字認識結果に基づいて、前記使用期間よりも長期の分析期間における、前記第1の事業者による第1の使用料金及び前記第2の事業者による第2の使用料金を算出する算出工程と、
前記第1の使用料金及び前記第2の使用料金を前記利用者端末に表示させるための表示情報を、前記ネットワークを介して前記利用者端末に提供する情報提供工程と、を含む、
料金シミュレーション方法。
【請求項2】
前記取得工程は、
前記検針票画像データにおける複数の前記記載項目に対して複数の認識領域をそれぞれ設定し、前記検針票画像データのうち複数の前記認識領域で囲まれた領域画像データに対して前記文字認識処理をそれぞれ実行し、前記文字情報を前記記載項目毎に取得する、
請求項1に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項3】
前記取得工程は、
機械学習用の検針票画像データと、当該検針票画像データにおける複数の前記記載項目に対応する前記文字情報をそれぞれ囲む複数の前記認識領域との間の相関関係を機械学習させた機械学習モデルに、前記受付工程により受け付けられた前記検針票画像データを入力することにより、複数の前記記載項目に対して複数の前記認識領域をそれぞれ設定する、
請求項2に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項4】
前記取得工程は、
複数の前記認識領域のうち、前記文字認識処理に失敗した前記認識領域が存在する場合、前記文字認識処理に成功した前記認識領域に基づいて、その失敗した前記認識領域を再設定し、その再設定した前記認識領域で囲まれた領域画像データに対して前記文字認識処理を再実行する、
請求項2に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項5】
前記取得工程は、
複数の前記認識領域のうち、前記記載内容として許容される文字数及び文字種の少なくとも一方に関する記載条件を有する前記記載項目について、前記文字情報が前記記載条件を満たさない前記認識領域が存在する場合、その記載条件を満たさない前記認識領域を再設定し、その再設定した前記認識領域で囲まれた領域画像データに対して前記文字認識処理を再実行する、
請求項2に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項6】
前記取得工程は、
前記記載内容に関連性を有する複数の前記記載項目の間で前記文字情報を比較することで当該文字情報の整合性を確認する、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項7】
前記取得工程は、
前記記載内容として許容される所定の記載条件を有する前記記載項目について前記文字情報と前記記載条件とを比較することで当該文字情報の整合性を確認し、
前記記載条件は、選択肢、数値範囲、文字数及び文字種の少なくとも1つに関するものである、
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項8】
前記取得工程は、
前記記載項目に対応する前記記載内容を示す前記文字情報として、使用期間及び使用量を取得し、
前記算出工程は、
前記文字情報として取得された前記使用期間及び前記使用量と、前記分析期間に含まれる複数の前記使用期間に対して使用量の比率がそれぞれ定められた使用量換算比率とに基づいて、前記分析期間から当該使用期間を除く他の使用期間について使用期間毎の使用量を推定し、
その取得された前記使用量と、その推定した前記使用期間毎の前記使用量とに基づいて、前記第1の使用料金及び前記第2の使用料金を算出する、
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項9】
前記取得工程は、
前記使用量換算比率が、地域毎に定められたものであるとき、
前記記載項目に対応する前記記載内容を示す前記文字情報として、供給地点特定番号又は住所をさらに取得し、
前記算出工程は、
前記文字情報として取得された前記使用期間及び前記使用量と、前記文字情報として取得された前記供給地点特定番号又は前記住所が属する前記地域における前記使用量換算比率とに基づいて、前記分析期間から当該使用期間を除く他の使用期間について使用期間毎の使用量を推定し、
その取得された前記使用量と、その推定した前記使用期間毎の前記使用量とに基づいて、前記第1の使用料金及び前記第2の使用料金を算出する、
請求項8に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項10】
前記取得工程は、
前記受付工程にて複数の前記検針票が撮像された前記検針票画像データが受け付けられたとき、複数の前記検針票にそれぞれ含まれる前記記載内容を示す前記文字情報を前記記載項目毎に取得し、
前記算出工程は、
前記文字情報の文字認識結果に基づいて、前記第1の使用料金及び前記第2の使用料金を算出する、
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項11】
前記取得工程は、
前記検針票画像データが、前記ライフラインの種類が同一であって前記使用期間の対象期間が異なる複数の前記検針票が撮像されたものであるとき、又は、前記検針票画像データが、前記ライフラインの種類が異なる複数の前記検針票が撮像されたものであるとき、
複数の前記検針票の間において前記記載内容が共通となる前記記載項目について前記文字情報を比較することで当該文字情報の整合性を確認する、
請求項10に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項12】
前記取得工程は、
前記検針票画像データが、前記ライフラインの種類が同一であって前記使用期間の対象期間が異なる複数の前記検針票が撮像されたものであるとき、
複数の前記検針票にそれぞれ含まれる前記記載内容を示す前記文字情報として、使用期間及び使用量を複数取得し、
前記算出工程は、
前記文字情報として取得された複数の前記使用期間及び前記使用量と、前記分析期間に含まれる複数の前記使用期間に対して使用量の比率がそれぞれ定められた使用量換算比率とに基づいて、前記分析期間から当該複数の使用期間を除く他の使用期間について使用期間毎の使用量を推定し、
その取得された複数の前記使用量と、その推定した前記使用期間毎の前記使用量とに基づいて、前記第1の使用料金及び前記第2の使用料金を算出する、
請求項10に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項13】
前記取得工程は、
前記整合性を確認した結果、前記文字情報の不整合を検出した場合には、前記文字情報を修正する修正操作を入力可能に構成された検針票確認・修正画面を前記利用者端末に表示させるための表示情報を、前記ネットワークを介して前記利用者端末に提供する、
請求項6、請求項7又は請求項11に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項14】
前記算出工程は、
住居設備、住居種別、屋根、気象環境、世帯構成、生活スタイル、消費抑制や消費促進を実施するよう行動を変容する意思の有無、及び、近隣地帯における他の契約者の消費状況の少なくとも1つに関する付加情報を取得し、その取得した前記付加情報に基づいて前記第1の使用料金及び前記第2の使用料金を補正する、
請求項1乃至項13のいずれか一項に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項15】
前記取得工程は、
前記記載項目に対応する前記記載内容を示す前記文字情報として、供給地点特定番号又は顧客住所を取得し、
前記算出工程は、
前記文字情報として取得された前記供給地点特定番号又は前記顧客住所に基づいて地図データ又は気象データを参照することで、前記住宅設備、前記住宅種別若しくは前記屋根に関する前記付加情報、又は、前記気象環境に関する前記付加情報を取得し、その取得した前記付加情報に基づいて前記第1の使用料金及び前記第2の使用料金を補正する、
請求項14に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項16】
前記取得工程は、
前記受付工程にて太陽光発電の検針票が撮像された前記検針票画像データが受け付けられたとき、前記太陽光発電の検針票に含まれる前記記載内容を示す文字情報を前記記載項目毎に取得し、
前記算出工程は、
前記文字情報の文字認識結果に基づいて、前記分析期間における、前記第1の事業者による第1の売電料金及び前記第2の事業者による第2の売電料金を算出し、
前記情報提供工程は、
前記第1の売電料金及び前記第2の売電料金を前記利用者端末に表示させるための表示情報を、前記ネットワークを介して前記利用者端末に提供する、
請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項17】
前記取得工程は、
前記受付工程にて電気の検針票が撮像された前記検針票画像データが受け付けられたとき、前記電気の検針票に含まれる前記記載内容を示す文字情報を前記記載項目毎に取得し、
前記算出工程は、
前記文字情報の文字認識結果に基づいて、前記分析期間における前記第2の事業者による第2の売電料金を算出し、
前記情報提供工程は、
前記第2の売電料金を前記利用者端末に表示させるための表示情報を、前記ネットワークを介して前記利用者端末に提供する、
請求項1乃至請求項15のいずれか一項に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項18】
前記取得工程は、
前記記載項目に対応する前記記載内容を示す前記文字情報として、供給地点特定番号又は顧客住所を取得し、
前記算出工程は、
前記文字情報として取得された前記供給地点特定番号又は前記顧客住所に基づいて地図データ又は気象データを参照することで、住宅設備、住宅種別若しくは屋根に関する付加情報、又は、気象環境に関する付加情報を取得し、その取得した前記付加情報に基づいて前記第1の売電料金及び前記第2の売電料金を補正する、
請求項16又は請求項17に記載の料金シミュレーション方法。
【請求項19】
コンピュータであって、
請求項1乃至請求項18のいずれか一項に記載の料金シミュレーション方法に含まれる各工程を実行する制御部を備える、
料金シミュレーション装置。
【請求項20】
コンピュータに、
請求項1乃至請求項18のいずれか一項に記載の料金シミュレーション方法に含まれる各工程を実行させる、
料金シミュレーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料金シミュレーション方法、料金シミュレーション装置及び料金シミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気やガス等のライフラインに関するサービスの自由化に伴い、ライフラインの利用者は、ライフラインを提供する事業者を自由に選択することが可能となっている。そのため、各事業者により様々な料金プランが用意され、利用者の選択肢は広がる一方、利用者は、いずれの事業者、また、いずれの料金プランが自身の利用形態に適しているのかを把握するのが困難な状況となっている。このような状況を考慮して、例えば、特許文献1には、複数の電気料金プランに対する電気料金を試算し、その試算結果を表示画面に表示する電気料金試算システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された電気料金試算システムでは、利用者が、電気料金を試算するための条件(契約中の電力会社、契約種別、契約容量等)を設定画面に入力する必要があるため、利用者の手間がかかり、また、利用者が契約内容を覚えていない場合には、その場で設定画面に入力することができなかった。さらに、特許文献1に開示された電気料金試算システムでは、消費電力量を計測する計測ユニットや、消費電力量をデータとして外部に送信する通信ユニットの設置が必須とされていた。
【0005】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであって、ライフラインに関する料金のシミュレーションに必要な情報を簡単に設定することが可能な料金シミュレーション方法、料金シミュレーション装置及び料金シミュレーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであって、本発明の一実施形態に係る料金シミュレーション方法は、
コンピュータを用いて、第1の事業者及び第2の事業者が提供するライフラインに関する料金のシミュレーションを行う料金シミュレーション方法であって、
前記第1の事業者により使用期間毎に作成され、複数の記載項目にそれぞれ対応する記載内容を含む検針票が撮像された検針票画像データを、前記第1の事業者の利用者が用いる利用者端末からネットワークを介して受け付ける受付工程と、
前記検針票画像データに対して文字認識処理を実行し、前記検針票に含まれる前記記載内容を示す文字情報を前記記載項目毎に取得する取得工程と、
前記文字情報の文字認識結果に基づいて、前記使用期間よりも長期の分析期間における、前記第1の事業者による第1の使用料金及び前記第2の事業者による第2の使用料金を算出する算出工程と、
前記第1の使用料金及び前記第2の使用料金を前記利用者端末に表示させるための表示情報を、前記ネットワークを介して前記利用者端末に提供する情報提供工程と、を含む。
【0007】
また、本発明の一実施形態に係る料金シミュレーション装置は、
コンピュータであって、上記料金シミュレーション方法に含まれる各工程を実行する制御部を備える。
【0008】
また、本発明の一実施形態に係る料金シミュレーションプログラムは、
コンピュータに、上記料金シミュレーション方法に含まれる各工程を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態に係る料金シミュレーション方法、料金シミュレーション装置及び料金シミュレーションプログラムによれば、取得工程にて、利用者端末により検針票が撮像された検針票画像データに対して文字認識処理を実行し、検針票に含まれる記載内容を示す文字情報を記載項目毎に取得し、算出工程にて、文字情報の文字認識結果に基づいて、第1の事業者による第1の使用料金及び第2の事業者による第2の使用料金を算出し、情報提供工程にて、第1の使用料金及び第2の使用料金を利用者端末に表示させるための表示情報を利用者端末に提供する。したがって、利用者は、利用者端末を用いて検針票を撮像することでライフラインに関する料金のシミュレーションに必要な情報を簡単に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る料金シミュレーションシステム1の一例を示す全体図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る料金シミュレーション方法を実行する料金シミュレーション装置2の一例を示すブロック図である。
【
図3】ライフラインの種類が「電気」である場合の検針票5の一例を示す図である。
【
図4】ライフラインの種類が「電気」である場合の検針票画像データ6の一例を示す図である。
【
図5】使用量換算比率テーブル201の一例を示すデータ構成図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る料金シミュレーション方法の一例をフローチャートである。
【
図7】検針票アップロード画面14の一例を示す図である。
【
図8】検針票確認・修正画面15の一例を示す図である。
【
図9】シミュレーション結果画面16の第1の実施例を示す図である。
【
図10】シミュレーション結果画面16の第2の実施例を示す図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る取得工程(ステップS40)の詳細を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る算出工程(ステップS50)の詳細を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係る料金シミュレーションシステム1の一例を示す全体図である。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係る取得工程(ステップS40)の詳細を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る算出工程(ステップS50)の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る料金シミュレーションシステム1の一例を示す全体図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る料金シミュレーション方法を実行する料金シミュレーション装置2の一例を示すブロック図である。
図3は、ライフラインの種類が「電気」である場合の検針票5の一例を示す図である。
図4は、ライフラインの種類が「電気」である場合の検針票画像データ6の一例を示す図である。
【0013】
料金シミュレーションシステム1は、
図1に示すように、利用者Uが用いる利用者端末10との間でネットワーク11を介して各種のデータ(ウェブデータ12や検針票画像データ6等)を送受信し、第1の事業者及び第2の事業者が提供するライフラインに関する料金のシミュレーションを行う料金シミュレーション装置2と、料金シミュレーション装置2と連携し、検針票画像データ6を解析する画像解析モジュール3及び文字認識モジュール4とを備えて構成されている。
【0014】
ライフラインは、例えば、電気、ガス、水道等の日常生活に不可欠なサービスである。利用者Uは、ライフラインを提供する事業者との間で契約を締結し、所定の使用期間毎(例えば、1か月毎)に、その使用期間における使用量に応じた料金を支払う。
【0015】
第1の事業者は、利用者Uが現在ライフラインの契約を締結している事業者である。第1の事業者は、利用者Uの使用量を使用期間毎に計測し、その計測した使用量等の各種の情報を記載した検針票5を使用期間毎に作成し、利用者Uに発行する。一方、第2の事業者は、利用者Uがライフラインの契約を新たに検討している事業者である。第2の事業者は、料金シミュレーションシステム1を管理・運営する事業者に該当する。
【0016】
検針票5は、
図3に示すように、事業者毎に定められた所定のフォーマットに従って、複数の記載項目50にそれぞれ対応する記載内容51が、漢字、平仮名、片仮名、アルファベット、数字、記号等の文字種で記載(印刷、記入等)されたものである。
図3では、ライフラインの種類としては「電気」である場合の検針票5を例示している。
【0017】
記載項目50としては、例えば、(1)契約事業者、(2)供給地点特定番号、(3)契約種別、(4)契約容量、(5)使用期間、(6)使用量、(7)請求金額、(8)顧客番号、(9)顧客氏名、(10)顧客住所等である。記載内容51は、記載項目50を特定する文字であり、例えば、記載項目50の「(2)供給地点特定番号」に対応する記載内容51は、22桁の数字である。なお、
図3では、「電気」の検針票5を例示しているが、他の記載項目50がさらに含まれていてもよい。また、他のライフラインの場合には、記載項目50として、例えば、(5)使用期間、(9)顧客氏名、(10)顧客住所等のように、
図5の検針票5と共通の記載項目も含まれるが、異なる記載項目が含まれていてもよい。
【0018】
利用者端末10は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ノートPC、デスクトップPC等で構成される。利用者端末10は、
図1、
図2に示すように、イメージセンサ等により構成されるカメラ100と、タッチパネル等により構成される表示操作部101とを備える。なお、本実施形態では、利用者端末10は、スマートフォンである場合を例にして説明するが、利用者端末は、カメラ100を内蔵しなくても、カメラ100、スキャナ、複合機等の画像読取装置が接続可能であれば、上記の例に限られず、任意の端末装置で構成されていてもよい。
【0019】
利用者端末10は、料金シミュレーション装置2からウェブデータ12を受信し、その受信したウェブデータ12に基づく各種の画面を、ウェブブラウザにより表示操作部101に表示するとともに、ウェブブラウザ上にて利用者Uによる入力操作を受け付けて、ユーザ入力データを生成する。また、利用者端末10は、表示操作部101により利用者Uによるカメラ操作を受け付けて、カメラ100で検針票5(
図3参照)を撮像し、その撮像した画像データに基づく検針票画像データ6(
図4参照)を生成する。そして、利用者端末10は、ユーザ入力データや検針票画像データ6を料金シミュレーション装置2に送信する。
【0020】
ネットワーク11は、無線通信又は有線通信により各種のデータや信号を通信するものであり、任意の通信規格が用いられる。
【0021】
料金シミュレーション装置2は、例えば、汎用又は専用のコンピュータで構成される。料金シミュレーション装置2は、ネットワーク11を介して利用者端末10と通信可能であり、利用者端末10からユーザ入力データや検針票画像データ6を受け付けるとともに、各種の画面を利用者端末10に表示させるための表示情報として、ウェブデータ12を利用者端末10に送信(提供)する。
【0022】
また、料金シミュレーション装置2は、画像解析モジュール3及び文字認識モジュール4と連携して、検針票画像データ6に対して文字認識処理を実行し、
図4に示すように、記載内容51を示す文字情報61を記載項目50毎に取得する。そして、料金シミュレーション装置2は、その取得した文字情報61の文字認識結果に基づいてシミュレーション条件を設定し、利用者Uが第1の事業者との現契約を継続したときの第1の使用料金と、利用者Uが第2の事業者との新契約を締結したときの第2の使用料金とを算出する。
【0023】
料金シミュレーション装置2は、
図2に示すように、その構成として、HDD、SDD、メモリ等により構成される記憶部20と、CPU、GPU等のプロセッサにより構成される制御部21と、ネットワーク11との通信インターフェースである通信部22と、キーボード、マウス等により構成される入力部23と、ディスプレイ、タッチパネル等により構成される表示部24とを備える。なお、入力部23や表示部24は省略されてもよい。
【0024】
記憶部20には、料金シミュレーション処理(料金シミュレーション方法)をコンピュータに実行させるための料金シミュレーションプログラム200と、料金シミュレーション処理に用いられる使用量換算比率テーブル201及び料金表データベース202と、検針票画像データ6とともに顧客情報が登録される顧客データベース203とが記憶されている。
【0025】
図5は、使用量換算比率テーブル201の一例を示すデータ構成図である。使用量換算比率テーブル201は、利用者Uの供給地点特定番号又は住所が属する地域が特定されたときに、使用期間毎の使用量を推定するためのテーブルである。具体的には、使用量換算比率テーブル201には、地域毎に、複数の使用期間に対して使用量の比率がそれぞれ定められて記録されている。なお、地域は、例えば、八地方区分別、都道府県別、市町村別等で区分けされたものである。
【0026】
料金表データベース202は、事業者と、当該事業者との契約条件(例えば、契約種別及び契約容量等)とが特定されたときに、使用量に対する使用料金を算出するためのデータベースである。具体的には、料金表データベース202には、事業者及び契約条件の組み合わせ毎に、使用料金の算出方法や単位電力量当たりの使用料金等が定められて記録されている。
【0027】
顧客データベース203は、顧客情報を管理するためのデータベースであり、顧客毎に、検針票画像データ6、検針票画像データ6から取得された文字情報61、ユーザ個人情報、契約条件、使用履歴等が記録されている。
【0028】
制御部21は、料金シミュレーションプログラム200を実行することにより、検針票画像データ6を利用者端末10からネットワーク11を介して受け付ける受付部210と、検針票画像データ6に対して文字認識処理を実行し、検針票5に含まれる記載内容51を示す文字情報61を記載項目50毎に取得する取得部211と、文字情報61の文字認識結果に基づいて、使用期間よりも長期の分析期間(例えば、6か月や1年間等)における、第1の事業者による第1の使用料金及び第2の事業者による第2の使用料金を算出する算出部212と、第1の使用料金及び第2の使用料金を利用者端末10に表示させるためのウェブデータ12を、ネットワーク11を介して利用者端末10に提供する情報提供部213と、利用者端末10からの契約手続きの要求を受けて、契約手続きに必要な処理を実行する契約処理部214として機能する。
【0029】
本実施形態では、ライフラインの種類が「電気」であり、検針票5が第1の事業者により1か月毎に作成されるものとして説明する。また、第1の使用料金及び第2の使用料金のシミュレーション条件は、分析期間が1年間であるものとして、第1の事業者との契約条件(現契約条件)に基づく1年間における各月の使用料金(第1の使用料金)と、第2の事業者との契約条件(推奨契約条件)に基づく1年間における各月の使用料金(第2の使用料金)とを算出するものとして説明する。
【0030】
画像解析モジュール3及び文字認識モジュール4は、例えば、汎用又は専用のコンピュータにおいてプログラムが実行されることで機能する。なお、画像解析モジュール3及び文字認識モジュール4は、料金シミュレーション装置2に組み込まれたものでもよいし、サーバやクラウドコンピュータにて実現されるものでもよい。
【0031】
画像解析モジュール3は、検針票画像データ6として撮像された検針票5のフォーマットを解析するための検針票解析モデル30を参照することで、検針票画像データ6において文字情報61が含まれていると推定される複数の認識領域60をそれぞれ設定する。認識領域60は、例えば、矩形状に形成され、検針票画像データ6の座標系において矩形状の左下座標及び右上座標にて特定される。
【0032】
検針票解析モデル30は、機械学習用の検針票画像データ6と、当該検針票画像データ6における複数の記載項目50に対応する文字情報61をそれぞれ囲む複数の認識領域60との間の相関関係を機械学習させた機械学習モデルである。機械学習は、ニューラルネットワーク、ニューラルネットワークを応用した畳み込みニューラルネットワーク等の任意の機械学習アルゴリズムを採用し、例えば、各事業者の検針票5を撮像することで得られる複数の検針票画像データ6に対して、正解ラベル(複数の記載項目50に対応する文字情報をそれぞれ囲む複数の認識領域60)をそれぞれ付加した学習用データセットを用いて実施される。
【0033】
文字認識モジュール4は、検針票画像データ6のうち複数の認識領域60で囲まれた領域画像データ62に対して文字認識処理をそれぞれ実行し、検針票5に含まれる記載内容51を示す文字情報61を記載項目50毎に取得する。なお、文字認識モジュール4は、文字認識用の機械学習モデルを参照するものでもよい。
【0034】
(料金シミュレーションシステム1の動作について)
次に、上記構成を有する料金シミュレーションシステム1において、料金シミュレーション方法を実行する際の動作について説明する。
【0035】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る料金シミュレーション方法の一例をフローチャートである。
図7は、検針票アップロード画面14の一例を示す図である。
図8は、検針票確認・修正画面15の一例を示す図である。
図9は、シミュレーション結果画面16の第1の実施例を示す図である。
図10は、シミュレーション結果画面16の第2の実施例を示す図である。
【0036】
まず、第1の事業者の利用者Uが、例えば、自身が所有する利用者端末10を用いて、ウェブブラウザ上で第2の事業者が提供する料金シミュレーション用のウェブサイトにアクセスし、料金シミュレーションを実行するように、料金シミュレーション装置2に要求する(ステップS10)。その要求を受けて、料金シミュレーション装置2の受付部210は、検針票アップロード画面14(
図7参照)を利用者端末10に表示させるためのウェブデータ12を利用者端末10に送信する(ステップS20)。
【0037】
次に、利用者端末10は、料金シミュレーション装置2から受信したウェブデータ12に基づく検針票アップロード画面14(
図7参照)を表示操作部101に表示する(ステップS21)。利用者Uが、カメラ操作を行うと、利用者端末10は、カメラ100で検針票5を撮像して検針票画像データ6を生成し、その検針票画像データ6を料金シミュレーション装置2に送信する(ステップS22)。その結果、受付部210は、利用者端末10から検針票画像データ6を受け付ける(受付工程:ステップS30)。
【0038】
次に、取得部211が、受付部210にて受け付けられた検針票画像データ6に対して文字認識処理を実行し、検針票5に含まれる記載内容51を示す文字情報61を記載項目50毎に取得する(取得工程:ステップS40)。なお、取得工程(ステップS40)の詳細は後述する。
【0039】
そして、取得部211が、検針票画像データ6に対する文字情報61の文字認識結果を利用者端末10に表示させるためのウェブデータ12を利用者端末10に送信する(ステップS41)。
【0040】
次に、利用者端末10は、料金シミュレーション装置2から受信したウェブデータ12に基づく検針票確認・修正画面15(
図8参照)を表示操作部101に表示する(ステップS42)。利用者Uが、検針票確認・修正画面15において、文字認識結果に間違いがないことを確認する確認操作や、間違いがある場合に文字認識結果を修正する修正操作を行うと、利用者端末10は、その確認操作や修正操作に基づくユーザ入力データを料金シミュレーション装置2に送信する(ステップS43)。そのユーザ入力データを受けて、取得部211は、文字情報61の文字認識結果を確定する(ステップS44)。
【0041】
次に、算出部212が、文字情報61の文字認識結果に基づいて、使用期間(1か月)よりも長期の分析期間(1年)における、第1の事業者による第1の使用料金及び第2の事業者による第2の使用料金を算出する(算出工程:ステップS50)。なお、算出工程(ステップS50)の詳細は後述する。
【0042】
そして、情報提供部213が、第1の使用料金及び第2の使用料金を含むシミュレーション結果を利用者端末10に表示させるためのウェブデータ12を利用者端末10に送信する(情報提供工程:ステップS60)。
【0043】
次に、利用者端末10は、料金シミュレーション装置2から受信したウェブデータ12に基づくシミュレーション結果画面16(
図9、
図10参照)を表示操作部101に表示する(ステップS61)。シミュレーション結果画面16には、第1の事業者との現契約条件における各月の使用料金(第1の使用料金)と、第2の事業者との推奨契約条件における各月の使用料金(第2の使用料金)とが、例えば、
図9に示す表形式や、
図10に示す折線状のグラフ形式のような比較可能な態様で表示される。また、シミュレーション結果画面16には、
図9、
図10に示すように、1年間で合計したときの第1の使用料金と第2の使用料金との差額が表示される。さらに、シミュレーション結果画面16には、
図9に示すように、各種の割引条件(例えば、既設の太陽光発電による売電を併せて契約したときの「ソーラー割」、太陽光発電設備を購入し新設の太陽光発電による売電を併せて契約したときの「ソーラー割L」、蓄電設備を併せて購入したときの「でんち割」、利用者Uが電気自動車を所有し戸建て住宅に充電器が設置されている場合の「EV割」)が表示される。なお、
図9、
図10に例示した使用料金は、異なるシミュレーション条件に基づいて算出されたものであり、
図9、
図10に示すシミュレーション結果画面16の一方が表示されるものであるが、両方が、例えば、切替可能に表示されてもよい。
【0044】
そして、利用者Uが、シミュレーション結果画面16の表示内容や第2の事業者との契約内容を確認し、電話番号、メールアドレス等のユーザ個人情報を入力するとともに、第2の事業者と契約するための入力操作を行うと、利用者端末10は、契約手続きを料金シミュレーション装置2に要求する(ステップS62)。その要求を受けて、契約処理部214は、利用者Uとの契約手続きに必要な契約処理を実行する(ステップS70)。例えば、契約処理部214は、検針票画像データ6、検針票画像データ6から取得された文字情報61、及び、ユーザ個人情報等を顧客データベース203に登録するとともに、利用者Uから契約手続きの要求を受けた旨を電子メール等により第2の事業者の契約担当者に通知する。
【0045】
(文字情報の取得工程(ステップS40)について)
図11は、本発明の第1の実施形態に係る取得工程(ステップS40)の詳細を示すフローチャートである。
【0046】
まず、取得部211は、画像解析モジュール3と連携し、受付部210にて受け付けられた検針票画像データ6における複数の記載項目50に対して複数の認識領域60をそれぞれ設定する(ステップS410)。具体的には、取得部211は、検針票解析モデル30に検針票画像データ6を入力することにより、その検針票解析モデル30の出力として、複数の記載項目50に対して複数の認識領域60をそれぞれ設定する。
【0047】
次に、取得部211は、文字認識モジュール4と連携し、検針票画像データ6のうち複数の認識領域60で囲まれた領域画像データ62に対して文字認識処理をそれぞれ実行し、文字情報61を記載項目50毎に取得する(ステップS420)。
【0048】
次に、取得部211は、複数の認識領域60のうち、文字認識処理に失敗した認識領域60が存在するか否かを判定する(ステップS430)。
【0049】
そして、取得部211は、そのような認識領域60が存在すると判定した場合(ステップS430:Yes)、文字認識処理に成功した認識領域60に基づいて、その失敗した認識領域60を再設定し、その再設定した認識領域60で囲まれた領域画像データ62に対して文字認識処理を再実行する(ステップS440)。例えば、取得部211は、文字認識処理に成功した認識領域60において、文字情報61から得られる認識領域60のずれ量(例えば、本来文字が記載されると想定される位置とのずれ量)を取得し、そのずれ量分だけ認識領域60の位置をずらすようにして、文字認識処理に失敗した認識領域60の位置を再設定する。
【0050】
次に、取得部211は、複数の認識領域60のうち、記載内容51として許容される文字数及び文字種の少なくとも一方に関する記載条件を有する記載項目50について、文字情報61がその記載条件を満たさない認識領域60が存在するか否かを判定する(ステップS450)。
【0051】
そして、取得部211は、そのような認識領域60が存在すると判定した場合(ステップS450:Yes)、その記載条件を満たさない認識領域60を再設定し、その再設定した認識領域60で囲まれた領域画像データ62に対して文字認識処理を再実行する(ステップS460)。例えば、取得部211は、記載項目「(2)供給地点特定番号」(本来22文字の数字で記載されると想定される)に対する文字情報61における文字数が、21文字の場合には1文字分だけ認識領域60を拡大するようにして、また、23文字の場合には1文字分だけ認識領域60を縮小するようにして、その記載条件を満たさない認識領域60のサイズを再設定する。また、取得部211は、記載項目「(2)供給地点特定番号」に対する文字情報61における文字種が、数字以外を含む場合には認識領域60を拡大又は縮小したりフィルタ処理や二値化処理等の認識パラメータを変更したりするようにして、その記載条件を満たさない認識領域60のサイズや認識パラメータを再設定する。
【0052】
次に、取得部211は、文字情報61の文字認識結果に基づいて、文字情報61の整合性を確認する(ステップS470)。以下に、整合性の確認手法を例示するが、1つの確認手法を用いてもよいし、複数の確認手法を任意に組み合わせて併用してもよいし、他の確認手法をさらに組み合わせてもよい。
【0053】
第1の確認手法として、取得部211は、記載内容51に関連性を有する複数の記載項目50の間で文字情報61を比較することで当該文字情報61の整合性を確認する。例えば、取得部211は、記載項目「(2)供給地点特定番号」に対する文字情報61として取得された供給地点特定番号から特定される住所と、記載項目「(10)顧客住所」に対する文字情報61として取得された住所とが一致するか否かに応じて、「(2)供給地点特定番号」と「(10)顧客住所」とに対する文字情報61の整合性を確認する。また、取得部211は、記載項目「(3)契約種別」、「(4)契約容量」及び「(6)使用量」に対する文字情報61として取得された契約種別、契約容量及び使用量から特定される請求金額と、記載項目「(7)請求金額」に対する文字情報61として取得された請求金額とが一致(所定の範囲内の金額でもよい)するか否かに応じて、「(3)契約種別」、「(4)契約容量」及び「(6)使用量」と「(7)請求金額」とに対する文字情報61の整合性を確認する。
【0054】
第2の確認手法として、取得部211は、記載内容51として許容される所定の記載条件を有する記載項目50について、文字情報61と記載条件とを比較することで当該文字情報61の整合性を確認する。例えば、取得部211は、記載項目「(3)契約種別」が、記載内容51として、従量電灯、時間帯別電灯等のような記載が許容される選択肢で事前に限定される記載条件を有する場合に、記載項目「(3)契約種別」に対する文字情報61として取得された契約種別が、記載条件の選択肢から選択されているか否かに応じて、「(3)契約種別」に対する文字情報61の整合性を確認する。なお、記載条件は、選択肢の他に、例えば、記載内容51が数字である場合には、記載内容51として記載が許容される数値範囲で定められていてもよいし、記載内容51として記載が許容される文字数又は文字種で定められていてもよい。そのため、記載条件は、選択肢、数値範囲、文字数及び文字種の少なくとも1つに関するものでよく、複数の場合には任意に組み合わせてもよい。
【0055】
第3の確認手法として、取得部211は、利用者端末10から利用者情報(例えば、ユーザ氏名やGPSによるユーザ位置情報)を取得可能な場合には、文字情報61と、利用者情報とを比較することで当該文字情報61の整合性を確認する。
【0056】
そして、取得部211は、ステップS470にて文字情報61の整合性を確認した結果、不整合を検出した場合(ステップS480:Yes)、その不整合を解消するように、文字情報61を修正する(ステップS490)。具体的には、取得部211は、記載内容51に関連性を有する複数の記載項目50の間において文字情報61が異なる場合には、文字認識精度が高いと推定される記載項目50に対応する文字情報61を優先することで当該文字情報61を修正する。例えば、取得部211は、第1の確認手法により、記載項目「(2)供給地点特定番号」に対する文字認識結果から特定される住所と、記載項目「(10)顧客住所」に対する文字認識結果である住所との間で不整合を確認した場合には、文字認識精度が高いと推定される記載項目50として、記載項目「(2)供給地点特定番号」に対する文字情報61を優先することで記載項目「(10)顧客住所」に対する文字情報61を修正する。
【0057】
なお、取得部211が、文字情報61の不整合を検出した場合であって(ステップS480:Yes)、文字情報61を適切に修正することができない場合には、その旨を検針票確認・修正画面15に表示させて、検針票確認・修正画面15において、例えば、文字情報61を修正する修正操作を入力可能に構成してもよい。また、取得部211が、文字情報61の不整合を検出した場合(ステップS480:Yes)、ステップS490を省略し、上記と同様の検針票確認・修正画面15に表示させてもよい。
【0058】
また、検針票確認・修正画面15において、文字情報61の修正操作だけでなく、認識領域60の位置やサイズを修正する修正操作を入力可能に構成してもよく、取得部211が、認識領域60の修正操作を示すユーザ入力データを受け付けた場合には、その認識領域60の修正操作に基づいて認識領域60を再設定し、その再設定した認識領域60で囲まれた領域画像データ62に対して文字認識処理を再実行するようにしてもよい。さらに、その場合には、取得部211又は画像解析モジュール3が、修正操作に基づく認識領域60の位置やサイズを記憶部20等に記憶し、次回の文字認識処理に反映させてもよいし、検針票解析モデル30の再学習やオンライン学習を行うための学習用データセットとして利用してもよい。
【0059】
上記のようにして取得工程(ステップS40)が行われることで、取得部211は、検針票5に含まれる記載内容51を示す文字情報61を記載項目50毎に取得する。その際、取得部211は、文字認識処理に失敗した認識領域60が存在する場合(ステップS430:Yes)や、文字数の過不足が発生した認識領域が存在する場合(ステップS450:Yes)には、認識領域60を再設定し、文字認識処理を再実行する(ステップS440、S460)ので、文字認識処理の成功率を向上させることができる。また、取得部211は、文字情報61の整合性を確認し(ステップS470)、不整合を検出した場合(ステップS480:Yes)には、文字情報61を修正する(ステップS490)ので、文字認識処理の誤認識を低減することができる。
【0060】
(料金の算出工程(ステップS50)について)
図12は、本発明の第1の実施形態に係る算出工程(ステップS50)の詳細を示すフローチャートである。
【0061】
まず、算出部212は、検針票画像データ6から文字認識結果としてそれぞれ取得された文字情報61として、例えば、記載項目「(2)供給地点特定番号」、「(3)契約種別」、「(4)契約容量」、「(5)使用期間」、「(6)使用量」、「(10)顧客住所」等に対する文字情報61を参照する(ステップS510)。
【0062】
次に、算出部212は、記載項目「(2)供給地点特定番号」に対する文字情報61として取得された供給地点特定番号(「12-3456-7890-1234-5678-9012」)が属する地域を所属地域(例えば、「関東」)として選択し、その所属地域に対応する使用量換算比率テーブル201を参照する(ステップS520)。なお、算出部212は、記載項目「(10)顧客住所」に対する文字情報61として取得された住所が属する地域を所属地域として選択してもよい。
【0063】
次に、算出部212は、「(5)使用期間」及び「(6)使用量」に対する文字情報61として取得された使用期間(「3月」)及び使用量(「777kWh」)と、所属地域に対応する使用量換算比率テーブル201とに基づいて、分析期間(1年間)から当該使用期間(「3月」)を除く他の使用期間(3月を除く残り11か月)について使用期間毎の使用量を推定する(ステップS530)。例えば、算出部212が、4月の使用量を推定する場合には、3月の使用量(「777kWh」)に対して「4月の比率(0.07)/3月の比率(0.09)」を乗算することで推定し、他の使用期間の使用量も同様にして推定する。
図5に、3月を除く残り11か月の月毎の使用量を推定したときの推定結果を例示している。
【0064】
次に、算出部212は、ステップS510で参照した使用量(3月の使用量「777kWh」)と、ステップS530で推定した使用期間毎の使用量(3月を除く残り11か月における月毎の使用量)とに基づいて、第1の事業者による第1の使用料金を算出する(ステップS540)。その際、算出部212は、記載項目「(3)契約種別」及び「(4)契約容量」に対する文字情報61として取得された契約種別及び契約容量からなる現契約条件に基づいて、第1の事業者における現契約条件に対応する料金表データベース202を参照し、第1の使用料金として、使用期間毎の使用量から使用期間毎の使用料金(各月の使用料金)を算出するとともに、1年間での合計の使用料金を算出する。
【0065】
そして、算出部212は、ステップS510で参照した使用量(3月の使用量「777kWh」)と、ステップS530で推定した使用期間毎の使用量(3月を除いた残り11か月における月毎の使用量)とに基づいて、第2の事業者による第2の使用料金を算出する(ステップS550)。その際、算出部212は、現契約条件に相当する推奨契約条件に基づいて、第2の事業者における推奨契約条件に対応する料金表データベース202を参照し、第2の使用料金として、使用期間毎の使用量から使用期間毎の使用料金(各月の使用料金)をそれぞれ算出するとともに、1年間での合計の使用料金を算出する。
【0066】
上記のようにして算出工程(ステップS50)が行われることで、算出部212は、第1の使用料金及び第2の使用料金を算出する。その際、算出部212は、検針票画像データ6から文字情報61として取得した使用量及び使用期間と、使用量換算比率テーブル201とに基づいて、分析期間から当該使用期間を除く他の使用期間について使用期間毎の使用量を推定し(ステップS530)、第1の使用料金及び第2の使用料金を算出する(ステップS540、S550)ので、使用期間という短期的な観点ではなく、分析期間による長期的な観点に基づく第1の使用料金及び第2の使用料金を算出することができる。また、算出部212は、所属地域に対応する使用量換算比率テーブル201を参照する(ステップS520)ので、地域(気候や住宅設備)の違いによる電力消費特性を第1の使用料金及び第2の使用料金に反映させることができる。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る料金シミュレーション方法、料金シミュレーション装置2及び料金シミュレーションプログラムによれば、取得工程(ステップS40、取得部211)にて、利用者端末10により検針票5が撮像された検針票画像データ6に対して文字認識処理を実行し、検針票5に含まれる記載内容51を示す文字情報61を記載項目50毎に取得し、算出工程(ステップS50、算出部212)にて、文字情報61の文字認識結果に基づいて、第1の事業者による第1の使用料金及び第2の事業者による第2の使用料金を算出し、情報提供工程(ステップS60、情報提供部213)にて、第1の使用料金及び第2の使用料金を利用者端末10に表示させるための表示情報を利用者端末10に提供する。したがって、利用者Uは、利用者端末10を用いて検針票5を撮像することでライフラインに関する料金のシミュレーションに必要な情報を簡単に設定することができる。
【0068】
(第2の実施形態)
図13は、本発明の第2の実施形態に係る料金シミュレーションシステム1の一例を示す全体図である。
【0069】
第1の実施形態に係る料金シミュレーションシステム1は、利用者Uにより撮像された1枚の検針票5に基づく検針票画像データ6を受け付け、料金シミュレーション処理を行うものとして説明した。これに対し、第2の実施形態に係る料金シミュレーションシステム1は、利用者Uにより撮像された複数枚の検針票5に基づく検針票画像データ6を受け付け、料金シミュレーション処理を行うものである。基本的な構成及び動作は、第1の実施形態と同様のため、以下では相違点を中心に説明する。その際、検針票5は、2枚の検針票5A、5Bであるものとして説明するが、3枚以上でもよい。
【0070】
(ライフラインの種類が同一の複数の検針票が撮像された場合)
検針票画像データ6が、ライフラインの種類が同一であって使用期間の対象期間が異なる複数の検針票5が撮像されたものである場合について説明する。ここでは、料金シミュレーション装置2の受付部210が、検針票画像データ6として、2枚(3月分と5月分)の「電気」の検針票5A、5Bが別々に撮像された第1及び第2の検針票画像データ6A、6Bを受け付けた場合を例にして、取得工程(ステップS40)及び算出工程(ステップS50)について説明する。なお、検針票画像データ6は、2枚の検針票5A、5Bが同時に撮像されたものでもよく、その場合には、1つの検針票画像データ6から第1及び第2の検針票画像データ6A、6Bを切り出すことで別々に撮像されたものとして取り扱うようにしてもよいし、そのまま1つの検針票画像データ6として取り扱ってもよい。
【0071】
図14は、本発明の第2の実施形態に係る取得工程(ステップS40)の詳細を示すフローチャートである。
【0072】
まず、取得部211は、2枚の検針票5A、5Bがそれぞれ撮像された第1及び第2の検針票画像データ6A、6Bの各々に対して、第1の実施形態(
図11のステップS410~S470)と同様に、ステップS411~S471までを実行し、2枚の検針票5A、5Bにそれぞれ含まれる記載内容51を示す文字情報を記載項目50毎に取得する。
【0073】
次に、取得部211は、2枚の検針票5A、5Bの間において記載内容51が共通となる記載項目50について文字情報61を比較することで当該文字情報61の整合性を確認する(ステップS472)。例えば、取得部211は、記載項目「(2)供給地点特定番号」、「(8)顧客番号」、「(9)顧客氏名」及び「(10)顧客住所」について、第1の検針票画像データ6Aから取得された供給地点特定番号、顧客番号、顧客氏名及び顧客住所と、第2の検針票画像データ6Bから取得された供給地点特定番号、顧客番号、顧客氏名及び顧客住所とが一致するか否かに応じて、上記記載項目50に対応する文字情報61の整合性を確認する。
【0074】
そして、取得部211は、ステップS471、S472にて文字情報61の整合性を確認した結果、不整合を検出した場合(ステップS481:Yes)、その不整合を解消するように、例えば、文字認識精度が高いと推定される検針票画像データ6A、6Bから取得された文字情報61を優先したり、検針票5が作成された日付が新しい検針票画像データ6A、6Bから取得された文字情報61を優先したりすることで、文字情報61を修正し(ステップS491)、取得工程を終了する。
【0075】
したがって、取得部211は、ライフラインの種類が同一であって使用期間の対象期間が異なる複数の検針票5(5A,5B)が撮像された検針票画像データ6(6A、6B)から取得した文字情報61の整合性を確認し(ステップS471、S472)、不整合を検出した場合(ステップS481:Yes)には、文字情報61を修正する(ステップS491)ので、文字認識処理の誤認識を低減することができる。
【0076】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る算出工程(ステップS50)の詳細を示すフローチャートである。
【0077】
まず、算出部212は、2枚の検針票5A、5Bが撮像された第1及び第2の検針票画像データ6A、6Bから文字認識結果としてそれぞれ取得された複数の記載項目50に対応する文字情報61を参照する(ステップS511)。そして、算出部212は、第1の実施形態と同様に、所属地域に対応する使用量換算比率テーブル201を参照する(ステップS521)。
【0078】
次に、算出部212は、第1の検針票画像データ6Aから「(5)使用期間」及び「(6)使用量」に対する文字情報61として取得された使用期間(「3月」)及び使用量(「777kWh」)と、所属地域に対応する使用量換算比率テーブル201とに基づいて、分析期間から当該使用期間を除く他の使用期間(3月を除く残り11か月)について使用期間毎の使用量を推定する(ステップS531)。さらに、算出部212は、第2の検針票画像データ6Bから「(5)使用期間」及び「(6)使用量」に対する文字情報61として取得された使用期間(「5月」)及び使用量(「555kWh」)と、所属地域に対応する使用量換算比率テーブル201とに基づいて、分析期間から当該使用期間を除く他の使用期間(5月を除く残り11か月)について使用期間毎の使用量を推定する(ステップS531)。
【0079】
そして、算出部212は、第1の検針票画像データ6Aに基づいて推定された使用期間毎の使用量と、第2の検針票画像データ6Bに基づいて推定された使用期間毎の使用量とから、例えば、両者の平均値を使用期間毎に算出する(ステップS532)。なお、平均値は、算術平均及び加重平均のいずれでもよく、加重平均の場合には、例えば、検針票5が作成された日付が新しいほど加重平均の重み付けを大きくするようにしてもよい。
【0080】
次に、算出部212は、ステップS511で参照した使用量(3月の使用量「777kWh」、5月の使用量(「555kWh」)と、ステップS532で算出した使用期間毎の使用量の平均値(3月、5月を除く残り10か月における月毎の使用量)とに基づいて、第1の事業者による第1の使用料金を算出する(ステップS541)。
【0081】
そして、算出部212は、ステップS511で参照した使用量(3月の使用量「777kWh」、5月の使用量(「555kWh」)と、ステップS532で算出した使用期間毎の使用量の平均値(3月、5月を除いた残り10か月における月毎の使用量)とに基づいて、第2の事業者による第2の使用料金を算出し(ステップS551)、算出工程(ステップS50)を終了する。
【0082】
したがって、算出部212は、ライフラインの種類が同一であって使用期間の対象期間が異なる複数の検針票5(5A,5B)が撮像された検針票画像データ6(6A、6B)から取得した文字情報61の文字認識結果に基づいて、使用期間毎の使用量を推定し(ステップS531)、第1の使用料金及び第2の使用料金を算出する(ステップS541、S551)ので、料金の算出精度を向上させることができる。
【0083】
(ライフラインの種類が異なる複数の検針票が撮像された場合)
検針票画像データ6が、ライフラインの種類が異なる複数の検針票5が撮像された場合について説明する。ここでは、料金シミュレーション装置2の受付部210が、検針票画像データ6として、「電気」の検針票5Cと、「ガス」の検針票5Dとが別々に撮像された第1及び第2の検針票画像データ6C、6Dを受け付けた場合を例にして説明する。
【0084】
取得工程(ステップS40)については、取得部211は、
図14のフローチャートに従って、第1及び第2の検針票画像データ6C、6Dの各々から文字情報61を取得し、ステップS471、S472により文字情報61の整合性を確認すればよい。
【0085】
算出工程(ステップS50)については、第2の事業者が「電気」に関するサービスを提供する場合には、算出部212は、第1の実施形態と同様に、
図12のフローチャートに従って、「電気」の検針票5Cが撮像された第1の検針票画像データ6Cから取得された文字情報61に基づいて、「電気」に関する第1の使用料金及び第2の使用料金を算出すればよい。また、第2の事業者が「ガス」に関するサービスを提供する場合には、算出部212は、第1の実施形態と同様に、
図12のフローチャートに従って、「ガス」の検針票5Dが撮像された第2の検針票画像データ6Dから取得された文字情報61に基づいて、「ガス」に関する第1の使用料金及び第2の使用料金を算出すればよい。さらに、第2の事業者が「電気」及び「ガス」の両方のサービスを提供する場合には、算出部212は、上記の処理をそれぞれ実行することにより、「電気」に関する第1の使用料金及び第2の使用料金と、「ガス」に関する第1の使用料金及び第2の使用料金とをそれぞれ算出すればよい。
【0086】
したがって、取得部211は、ライフラインの種類が異なる複数の検針票5(5C,5D)が撮像された場合であっても、検針票画像データ6(6C、6D)から取得した文字情報61の整合性を確認し(ステップS471、S472)、不整合を検出した場合(ステップS481:Yes)には、文字情報61を修正する(ステップS491)ので、文字認識処理の誤認識を低減することができる。
【0087】
以上のように、本実施形態に係る料金シミュレーション方法、料金シミュレーション装置2及び料金シミュレーションプログラムによれば、取得工程(ステップS40、取得部211)にて、利用者端末10により複数の検針票5が撮像された検針票画像データ6(6A、6B)に対して文字認識処理を実行し、複数の検針票5にそれぞれ含まれる記載内容51を示す文字情報61を記載項目50毎に取得し、算出工程(ステップS50、算出部212)にて、文字情報61の文字認識結果に基づいて、第1の事業者による第1の使用料金及び第2の事業者による第2の使用料金を算出し、情報提供工程(ステップS60、情報提供部213)にて、第1の使用料金及び第2の使用料金を利用者端末10に表示させるための表示情報を利用者端末10に提供する。したがって、利用者Uは、利用者端末10を用いて複数の検針票5を撮像することでライフラインに関する料金のシミュレーションに必要な情報を簡単に設定することができる。
【0088】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0089】
なお、上記実施形態では、使用量換算比率テーブル201は、地域毎に、複数の使用期間に対して使用量の比率がそれぞれ定められ、算出工程(ステップS50)にて、算出部212が、供給地点特定番号又は顧客住所が属する地域を所属地域として選択し、その所属地域に対応する使用量換算比率テーブル201を参照し(ステップS520、S521)、その後の処理(ステップS530、S531等)を行うものとして説明した。これに対し、使用量換算比率テーブル201は、地域毎のテーブルではなく、共通のテーブルとして定められたものでもよく、その場合には、算出工程(ステップS50)にて、算出部212が、ステップS520、S521の処理を省略し、その後の処理(ステップS530、S531等)では共通のテーブルを用いるようにすればよい。
【0090】
また、上記実施形態に係る算出工程(ステップS50)にて、算出部212が、第1の使用料金及び第2の使用料金を算出する際、各種の付加情報に基づいて、第1の使用料金及び第2の使用料金を補正するようにしてもよい。以下に、付加情報を例示するが、1つの付加情報を用いてもよいし、複数の付加情報を任意に組み合わせて併用してもよい。付加情報は、例えば、住居設備(オール電化、暖房設備の種類や設置台数、太陽光発電設備の有無、燃料電池発電設備の有無、蓄電設備の有無)、住居種別(木造/RC造/SRC造、戸建て/マンション)、屋根(屋根の種類、形状、サイズ、向き)、気象環境(気温、日照率、日照時間、日射量、降雨量、降雪量)、世帯構成(世帯の合計人数、昼間の在宅人数、時間帯毎の在宅人数、各人の年齢)、生活スタイル、消費抑制や消費促進を実施するよう行動を変容する意思の有無、近隣地帯における他の契約者の消費状況等に関するものである。
【0091】
その際、検針票アップロード画面14や検針票確認・修正画面15において付加情報を入力可能に構成し、算出部212が、これらの画面に対する入力操作を介して付加情報を取得するようにしてもよい。また、算出部212が、例えば、太陽光発電の検針票5が撮像された検針票画像データ6から太陽光発電設備に関する付加情報を取得するようにしてもよい。さらに、算出部212が、記載項目「(2)供給地点特定番号」に対する文字情報61として取得された供給地点特定番号から特定される住所や、記載項目「(10)顧客住所」に対する文字情報61として取得された住所に基づいて、例えば、記憶部20や外部の情報提供サーバ等に記憶された地図データ又は気象データを参照することで、住宅設備、住宅種別若しくは屋根に関する付加情報又は気象環境に関する付加情報を取得するようにしてもよい。
【0092】
また、上記実施形態に係る受付工程(ステップS30)にて、受付部210が、「太陽光発電」の検針票5が撮像された検針票画像データ6を受け付けたとき、取得部211は、「太陽光発電」の検針票5が撮像された検針票画像データ6に対して文字認識処理を実行し、記載項目50として、例えば、契約事業者、供給地点特定番号、売電期間、売電量、支払金額、売電単価、発電出力、顧客氏名、顧客住所等に対応する記載内容51を示す文字情報61を記載項目50毎に取得し、算出部212は、それらの文字情報61の文字認識結果に基づいて、分析期間における、第1の事業者による第1の売電料金及び第2の事業者による第2の売電金額を算出し、情報提供部213は、第1の売電料金及び第2の売電金額を利用者端末10に表示させるためのウェブデータ12を利用者端末10に送信するようにしてもよい。
【0093】
その際、算出部212は、文字情報61として取得された売電期間及び売電量と、分析期間に含まれる複数の売電期間に対して売電量の比率がそれぞれ定められた売電量換算比率とに基づいて、分析期間から当該売電期間を除く他の売電期間について売電期間毎の売電量を推定し、その取得された売電量と、その推定した売電期間毎の売電量と、第1の事業者の売電単価及び第2の事業者の売電単価とに基づいて、売電期間毎の売電料金と分析期間での合計の売電料金とをそれぞれ含む第1の売電料金及び第2の売電料金を算出するようにしてもよい。さらに、算出部212が、太陽光発電による売電期間毎の売電量を推定する際、上述したように、住所から地図データ又は気象データを参照し、住宅設備、住宅種別若しくは屋根に関する付加情報又は気象環境に関する付加情報を取得し、その取得した付加情報に基づいて売電期間毎の売電量を補正するようにしてもよい。なお、受付部210は、複数枚の「太陽光発電」の検針票5が撮像された検針票画像データ6を受け付けてもよく、その場合には、算出部212は、上記第2の実施形態と同様に、複数枚の「太陽光発電」の検針票5にそれぞれ含まれる記載内容を示す文字情報の文字認識結果に基づいて、第1の売電料金及び第2の売電料金を算出するようにしてもよい。また、受付部210は、「太陽光発電」の検針票5が撮像された検針票画像データ6とともに、「電気」の検針票5が撮像された検針票画像データ6をさらに受け付けてもよく、その場合には、算出部212は、第1の売電料金及び第2の売電料金を算出するとともに、上記第1の実施形態と同様に、第1の使用料金及び第2の使用料金をさらに算出するようにしてもよい。
【0094】
また、上記実施形態に係る受付工程(ステップS30)にて、受付部210が、「電気」の検針票5が撮像された検針票画像データ6を受け付けたとき、算出部212は、「電気」の検針票5に含まれる記載内容を示す文字情報の文字認識結果に基づいて、太陽光発電設備を設置したと仮定したときの分析期間における第2の事象者による第2の売電料金を算出し、情報提供部213は、第2の売電料金を利用者端末10に表示させるためのウェブデータ12を利用者端末10に送信するようにしてもよい。
【0095】
その際、算出部212は、上述したように、住所から地図データ又は気象データを参照し、住宅設備、住宅種別若しくは屋根に関する付加情報又は気象環境に関する付加情報を取得し、その取得した付加情報に基づいて太陽光発電による売電期間毎の売電量を推定することにより、第2の売電料金を算出するようにしてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、算出工程(ステップS50)にて、算出部212が、第1の事業者との現契約条件に相当する第2の事業者との推奨契約条件に基づいて、第2の事業者による第2の使用料金を算出する(ステップS550、S551)ものとして説明した。これに対し、算出部212は、推奨契約条件として、複数の推奨契約条件を抽出し、その推奨契約条件毎に第2の使用料金をそれぞれ算出するようにしてもよい。その場合には、情報提供部213が、シミュレーション結果として、シミュレーション結果画面16に推奨契約条件毎の第2の使用料金を表示させるためのウェブデータ12を利用者端末10に送信するようにすればよい。また、算出部212は、利用者Uがライフラインの使用量を抑制したり促進したりするような行動変容を行うことを利用者Uに提案し、その承諾が得られた場合には、行動変容が行われることを前提に第2の使用料金を算出するようにしてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、料金シミュレーションプログラム200は、記憶部20に記憶されたものとして説明したが、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、料金シミュレーションプログラム200は、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供されてもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…料金シミュレーションシステム、2…料金シミュレーション装置
3…画像解析モジュール、4…文字認識モジュール
5、5A~5D…検針票
6、6A~6D…検針票画像データ
10…利用者端末、11…ネットワーク、12…ウェブデータ(画面情報)、
14…検針票アップロード画面、15…検針票確認・修正画面
16…シミュレーション結果画面
20…記憶部、21…制御部、22…通信部、23…入力部、24…表示部
30…検針票解析モデル(機械学習モデル)
50…記載項目、51…記載内容
60…認識領域、61…文字情報、62…領域画像データ
100…カメラ、101…表示操作部
200…料金シミュレーションプログラム、201…使用量換算比率テーブル
202…料金表データベース、203…顧客データベース
210…受付部、211…取得部、212…算出部
213…情報提供部、214…契約処理部