(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041669
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】演出用照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20220304BHJP
F21V 11/02 20060101ALI20220304BHJP
F21V 11/12 20060101ALI20220304BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220304BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20220304BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20220304BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20220304BHJP
F21W 131/10 20060101ALN20220304BHJP
【FI】
F21S2/00 612
F21V11/02
F21V11/12
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:20
F21Y101:00 100
F21W131:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147015
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(74)【代理人】
【識別番号】100176751
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】大澤 滋
(72)【発明者】
【氏名】岡 義郎
(57)【要約】
【課題】より演出性の高いライトアップを行うことができる演出用照明装置を提供する。
【解決手段】内部に空間を有するとともに前面に開口部を有する非光透過性の本体部と、前記開口部を塞ぐ光透過性の投光窓と、を有するケースと、前記ケースの前記空間内に設けられ、前記投光窓を介して前記ケースの前方に光を照射する光源部と、を備え、前記光源部は、前後方向に対して直交する第1方向に並ぶ複数の光源からなる複数の光源群を有し、前記複数の光源群は、前記前後方向及び前記第1方向と直交する第2方向に並び、前記ケースは、前記投光窓に設けられ、前記複数の光源群の前方には位置せず、少なくとも一部を前記第2方向に並ぶ前記複数の光源群の間の領域の前方に配置することにより、前記複数の光源から照射された光の前記第2方向への広がりを規制する遮光部を有することを特徴とする演出用照明装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設置して使用され、屋外の対象物に対して光を照射することにより、前記対象物のライトアップを行う演出用照明装置であって、
内部に空間を有するとともに前面に開口部を有する非光透過性の本体部と、前記開口部を塞ぐ光透過性の投光窓と、を有するケースと、
前記ケースの前記空間内に設けられ、前記投光窓を介して前記ケースの前方に光を照射する光源部と、
を備え、
前記光源部は、前後方向に対して直交する第1方向に並ぶ複数の光源からなる複数の光源群を有し、
前記複数の光源群は、前記前後方向及び前記第1方向と直交する第2方向に並び、
前記ケースは、前記投光窓に設けられ、前記複数の光源群の前方には位置せず、少なくとも一部を前記第2方向に並ぶ前記複数の光源群の間の領域の前方に配置することにより、前記複数の光源から照射された光の前記第2方向への広がりを規制する遮光部を有することを特徴とする演出用照明装置。
【請求項2】
前記ケースは、前記投光窓の前方に設けられ、前記前後方向及び前記第1方向に延びるとともに、前記第2方向に並び、前記遮光部とともに前記複数の光源から照射された光の前記第2方向への広がりを規制する複数のルーバをさらに有することを特徴とする請求項1記載の演出用照明装置。
【請求項3】
前記投光窓は、前記開口部を塞ぐ板状であり、前記空間側を向く内側面と、前記内側面と反対側を向く外側面と、を有し、
前記遮光部は、前記内側面に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の演出用照明装置。
【請求項4】
前記遮光部は、黒色印刷であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の演出用照明装置。
【請求項5】
前記光源部は、前記複数の光源のそれぞれに対応して設けられ、前記複数の光源のそれぞれから照射された光の前記第1方向への広がりを前記第2方向への広がりよりも大きくする複数のレンズをさらに有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の演出用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、演出用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物などの屋外の対象物に対して光を照射することにより、夜間などに対象物のライトアップを行う演出用の照明装置がある。屋外に設置して使用される演出用照明装置では、光源などの電装品を雨水や塵埃などから保護するため、電装品をケース内に収納することが行われている。ケースは、透明なガラス板などからなる光透過性の投光窓を有し、光源は、ケース内から投光窓を介して対象物に光を照射する。
【0003】
こうした演出用照明装置では、簡単な構成で、より演出性の高いライトアップを行うことができるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
簡単な構成で、より演出性の高いライトアップを行うことができる演出用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によれば、屋外に設置して使用され、屋外の対象物に対して光を照射することにより、前記対象物のライトアップを行う演出用照明装置であって、内部に空間を有するとともに前面に開口部を有する非光透過性の本体部と、前記開口部を塞ぐ光透過性の投光窓と、を有するケースと、前記ケースの前記空間内に設けられ、前記投光窓を介して前記ケースの前方に光を照射する光源部と、を備え、前記光源部は、前後方向に対して直交する第1方向に並ぶ複数の光源からなる複数の光源群を有し、前記複数の光源群は、前記前後方向及び前記第1方向と直交する第2方向に並び、前記ケースは、前記投光窓に設けられ、前記複数の光源群の前方には位置せず、少なくとも一部を前記第2方向に並ぶ前記複数の光源群の間の領域の前方に配置することにより、前記複数の光源から照射された光の前記第2方向への広がりを規制する遮光部を有することを特徴とする演出用照明装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、簡単な構成で、より演出性の高いライトアップを行うことができる演出用照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る演出用照明装置を模式的に表す正面図である。
【
図2】実施形態に係る演出用照明装置を模式的に表す分解斜視図である。
【
図3】実施形態に係る演出用照明装置を模式的に表す断面図である。
【
図4】実施形態に係る光源部を模式的に表す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る演出用照明装置を模式的に表す正面図である。
図2は、実施形態に係る演出用照明装置を模式的に表す分解斜視図である。
図3は、実施形態に係る演出用照明装置を模式的に表す断面図である。
図1~
図3に表したように、演出用照明装置10は、ケース12と、光源部14と、を備える。なお、
図3は、
図1のA1-A2線断面を模式的に表す。また、
図3では、演出用照明装置10の一部を拡大して表している。
【0011】
演出用照明装置10は、屋外に設置して使用される。演出用照明装置10は、屋外の対象物に対して光源部14から可視域の光を照射することにより、夜間などに対象物のライトアップを行う。対象物は、例えば、橋、タワー、歴史的建築物、モニュメントなどの建造物、あるいは、樹木や滝などの自然物などである。対象物は、これらに限ることなく、光を当てて演出を行う必要のある屋外の任意の物でよい。なお、光源部14から照射される可視域の光とは、例えば、360nm以上830nm以下の波長の光である。より詳しくは、360nm以上830nm以下の範囲にピーク波長を有する光である。
【0012】
ケース12は、本体部20と、投光窓22と、を有する。本体部20は、内部に空間20aを有するとともに、前面20bに開口部20cを有する。本体部20は、中空の箱状である。本体部20は、例えば、略直方体の箱状である。但し、本体部20の形状は、これに限ることなく、空間20aを有するとともに、前面20bに開口部20cを有する任意の形状でよい。
【0013】
また、本体部20は、非光透過性である。本体部20は、より詳しくは、光源部14から照射される可視域の光に対して非光透過性である。非光透過性とは、例えば、光源部14から照射される可視域の光が、実質的に透過しないことをいう。本体部20の光透過性は、投光窓22の光透過性よりも低い。本体部20には、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属材料が用いられる。本体部20は、換言すれば、金属筐体である。これにより、本体部20において、光源部14などを支持するために必要な十分な強度を確保し、可視域の光を実質的に透過させないようにすることができる。
【0014】
投光窓22は、本体部20の前面20bに設けられた開口部20cを塞ぐ。本体部20及び投光窓22は、例えば、内部の空間20aを実質的に密閉する。これにより、本体部20及び投光窓22は、屋外に設置された場合にも、風雨などが内部の空間20a内に侵入してしまうことを抑制する。密閉とは、雨水などが内部の空間20a内に侵入する経路が無い状態である。
【0015】
投光窓22は、例えば、開口部20cを塞ぐ板状である。投光窓22は、空間20a側を向く内側面22aと、内側面22aと反対側を向く外側面22bと、を有する。外側面22bは、換言すれば、ケース12の外側に露出する面である。但し、投光窓22の形状は、板状に限ることなく、開口部20cを塞ぐことが可能な任意の形状でよい。
【0016】
投光窓22は、光透過性を有する。投光窓22は、より詳しくは、光源部14から照射される可視域の光に対して光透過性を有する。投光窓22には、例えば、ガラスや光学プラスチックなどが用いられる。投光窓22は、例えば、無色透明である。
【0017】
光源部14は、ケース12の本体部20の空間20a内に設けられる。本体部20の空間20a内には、例えば、光源部14に電力を供給して光源部14を点灯させる点灯回路(図示は省略)などがさらに設けられる。このように、光源部14や点灯回路などの電装品は、実質的に密閉された空間20a内に設けられる。これにより、屋外に設置された際にも、光源部14や点灯回路などの故障を抑制することができる。
【0018】
図4は、実施形態に係る光源部を模式的に表す正面図である。
図4に表したように、光源部14は、複数の光源群30を有する。複数の光源群30は、前後方向に対して直交する第1方向に並ぶ複数の光源32からなる。換言すれば、複数の光源群30は、第1方向に並ぶ複数の光源32を有する。複数の光源群30は、前後方向及び第1方向と直交する第2方向に並ぶ。換言すれば、光源部14は、第1方向及び第2方向に並ぶ複数の光源32を有する。複数の光源32は、前後方向と直交する面に二次元状に並べて配置される。
【0019】
複数の光源群30は、所定の間隔あけて第2方向に並ぶ。複数の光源群30の間隔は、例えば、一定である。但し、複数の光源群30の間隔は、必ずしも一定でなくてもよい。複数の光源32は、例えば、所定の間隔をあけて第1方向に並ぶ。複数の光源32の間隔は、例えば、一定である。但し、複数の光源32の間隔は、必ずしも一定でなくてもよい。
【0020】
本願明細書において、前方とは、投光窓22(外側面22b)の向く方向である。第1方向は、例えば、水平方向(左右方向)である。第2方向は、例えば、垂直方向(上下方向)である。この例では、光源部14は、水平方向に並んだ10個の光源32からなり、垂直方向に並んだ3つの光源群30を有している。換言すれば、光源部14は、水平方向に10個並び、垂直方向に3個並んだ合計30個の光源32を有している。但し、光源群30及び光源32の数は、上記に限ることなく、任意の数でよい。また、第1方向及び第2方向は、上記に限ることなく、前後方向と直交する任意の方向でよい。上記と反対に、垂直方向を第1方向とし、水平方向を第2方向としてもよい。以下では、上記のように、水平方向を第1方向とし、垂直方向を第2方向として説明を行う。
【0021】
複数の光源32には、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)が用いられる。複数の光源32は、例えば、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)、無機エレクトロルミネッセンス(Inorganic ElectroLuminescence)発光素子、有機エレクトロルミネッセンス(Organic ElectroLuminescence)発光素子、または、その他の電界発光型の発光素子などでもよい。複数の光源32は、例えば、電球などでもよい。複数の光源32は、対象物の照明に必要な光を照射可能な任意の光源でよい。
【0022】
複数の光源32は、例えば、基板などに実装された状態で、空間20a内に設けられる。複数の光源32は、例えば、前後方向と直交する平面に並べて設けられる。換言すれば、複数の光源32の空間20a内における前後方向の位置は、複数の光源32のそれぞれで実質的に同じである。但し、複数の光源32の設けられる面は、必ずしも平面に限ることなく、曲面状や傾斜面状などでもよいし、段差などを有してもよい。複数の光源32の空間20a内における前後方向の位置は、異なっていてもよい。
【0023】
光源部14は、本体部20の空間20a内において、投光窓22と対向して配置される。より詳しくは、光源部14は、投光窓22の内側面22aと対向する。複数の光源32は、本体部20の空間20a内において、投光窓22と対向して配置される。これにより、光源部14は、投光窓22を介してケース12の前方に光を照射する。換言すれば、光源部14は、投光窓22を介してケース12の外側に光を照射する。
【0024】
対象物は、ケース12の前方側に配置される。換言すれば、演出用照明装置10は、対象物の後方側に配置される。これにより、演出用照明装置10では、対象物に対して光源部14から照射された光を照射し、対象物のライトアップを行うことができる。
【0025】
演出用照明装置10は、例えば、自動車などの通行を可能にする大型な橋の橋桁の側面部分を対象物とし、橋桁の側面のライトアップを行う際に用いられる。例えば、川幅の広い河川に架け渡された大型の橋の橋桁の側面を演出用照明装置10でライトアップする。これにより、例えば、河川敷を歩く歩行者などに対する橋の景観を高めることができる。
【0026】
ケース12は、取付部23をさらに有する。取付部23は、ケース12を所定の取付位置に取り付けるために用いられる。換言すれば、取付部23は、演出用照明装置10の設置に用いられる。取付部23は、例えば、橋桁よりも側方に突き出た床版の底面に取り付けられる。演出用照明装置10は、例えば、投光窓22を橋桁の側面に向けた状態で、床版の底面に取付部23を介して吊り下げられるように取り付けられる。これにより、橋桁の側面に光を照射し、橋桁の側面をライトアップすることができる。
【0027】
また、取付部23は、例えば、水平方向を軸とする軸回りに回動可能に本体部20を支持する。これにより、取付部23は、光源部14から照射される光の傾きを調整可能とする。演出用照明装置10は、例えば、橋桁の側面の上部付近に位置するように、床版の底面に吊り下げられるように取り付けられ、本体部20の傾き角度を調整することにより、前方斜め下方に光を照射する。これにより、橋桁の側面の上部付近から、橋桁の側面の上下方向の略全体に効率良く光を照射することができる。
【0028】
但し、対象物は、前述のように、橋桁の側面に限ることなく、任意の物でよい。演出用照明装置10の設置方法は、上記に限ることなく、対象物などに応じた任意の設置方法でよい。以下では、橋桁の側面を対象物とする場合を例に説明を行う。
【0029】
光源部14は、複数のレンズ34をさらに有する。複数のレンズ34は、複数の光源32のそれぞれに対応して設けられる。複数のレンズ34は、複数の光源32のそれぞれの前方に設けられる。これにより、複数の光源32のそれぞれから照射された光が、複数のレンズ34のそれぞれに入射する。
【0030】
各レンズ34は、2つの半球を水平方向に並べて接続したような形状を有している。これにより、各レンズ34は、複数の光源32のそれぞれから照射された光の水平方向(第1方向)への広がりを垂直方向(第2方向)への広がりよりも大きくする。
【0031】
対象物が橋桁の側面である場合、対象物の水平方向の長さは、垂直方向の長さよりも長くなる。橋桁の側面の垂直方向の長さ(高さ)は、例えば、数m程度である。これに対して、橋桁の側面の水平方向の長さは、例えば、数十mから数百mに及ぶ。
【0032】
従って、上記のように、複数のレンズ34を設け、複数の光源32のそれぞれから照射された光が、垂直方向よりも水平方向に大きく広がるようにする。換言すれば、複数のレンズ34は、複数の光源32のそれぞれから照射された光の水平方向の配光角度を垂直方向の配光角度よりも大きくする。これにより、橋桁の側面のより広い範囲に光を照射することができる。例えば、橋桁の側面に沿って複数の演出用照明装置10を設置する場合に、より少ない数の演出用照明装置10の台数で橋桁の側面のライトアップを行うことができる。
【0033】
なお、各レンズ34の形状は、上記に限定されるものではない。各レンズ34の形状は、複数の光源32のそれぞれから照射された光の水平方向(第1方向)への広がりを垂直方向(第2方向)への広がりよりも大きくすることができる任意の形状でよい。
【0034】
ケース12は、遮光部24をさらに有する。遮光部24は、投光窓22に設けられている。遮光部24は、複数の光源群30の前方には位置しない。換言すれば、遮光部24は、複数の光源群30と前後方向において重ならない。さらに換言すれば、遮光部24は、前方から見たときに、複数の光源群30と重ならない。
【0035】
遮光部24の少なくとも一部は、垂直方向(第2方向)に並ぶ複数の光源群30の間の領域MRの前方に配置されている。換言すれば、遮光部24の少なくとも一部は、領域MRと前後方向において重なる。さらに換言すれば、遮光部24の少なくとも一部は、前方から見たときに、領域MRと重なる。
【0036】
遮光部24は、非光透過性である。遮光部24は、光源部14から照射される可視域の光に対して非光透過性である。遮光部24の光透過性は、投光窓22の光透過性よりも低い。これにより、遮光部24は、複数の光源32から照射された光の垂直方向への広がりを規制する。
【0037】
遮光部24は、開口部24aを有する。開口部24aは、光源群30の前方に位置する。この例では、垂直方向に3つの光源群30が並んでいる。遮光部24は、複数の光源群30のそれぞれに対応する複数の開口部24aを有する。複数の開口部24aは、複数の光源群30の前方に位置する。そして、遮光部24のうちに、複数の開口部24aの間の部分が、領域MRの前方に配置される。
【0038】
これにより、複数の光源32から照射された光は、複数の開口部24aの部分を通って前方に照射される。そして、複数の開口部24aの間の部分により、複数の光源32から照射された光の垂直方向への広がりが規制される。
【0039】
この例では、光源部14は、3つの光源群30のそれぞれの間の2つの領域MRを有する。このように、3つ以上の光源群30が垂直方向に並び、光源部14が、複数の領域MRを有する場合には、遮光部24は、複数の領域MRの前方に配置された複数の部分を有する。これにより、複数の光源32から照射された光の垂直方向への広がりをより適切に規制することができる。
【0040】
なお、遮光部24の形状は、開口部24aを有する形状に限るものではない。遮光部24は、例えば、領域MRの形状に応じた帯状の形状としてもよい。例えば、光源部14が複数の領域MRを有する場合には、複数の領域MRのそれぞれに対応した複数の遮光部24を設けてもよい。但し、遮光部24は、必ずしも複数の領域MRのそれぞれの前方に位置していなくてもよい。遮光部24は、複数の光源32から照射された光の垂直方向への広がりの規制を必要とする部分に少なくとも設けられていればよい。
【0041】
遮光部24は、例えば、投光窓22に施された黒色印刷である。遮光部24は、換言すれば、マスクである。遮光部24は、例えば、投光窓22に貼り付けられた金属板などでもよい。遮光部24の構成は、複数の光源32から照射された光の垂直方向への広がりを適切に規制することができる任意の構成でよい。但し、遮光部24を黒色印刷とすることにより、例えば、金属板を用いる場合などと比べて、比較的簡単に遮光部24を投光窓22に設けることができる。
【0042】
遮光部24は、板状の投光窓22の内側面22aに設けられている。遮光部24は、例えば、投光窓22の内側面22aに施された黒色印刷である。このように、遮光部24は、複数の光源32になるべく近い位置に配置する。これにより、複数の光源32から照射された光の垂直方向への広がりを規制し易くすることができる。また、内側面22aに遮光部24を設けることにより、例えば、屋外に設置される演出用照明装置10においても、風雨などによる遮光部24の劣化を抑制することができる。例えば、遮光部24を金属板で構成するなど、風雨などによる劣化の可能性が低い場合などには、遮光部24を投光窓22の外側面22bに設けてもよい。
【0043】
また、ケース12は、複数のルーバ25をさらに有する。複数のルーバ25は、投光窓22の前方に設けられている。複数のルーバ25は、前後方向及び水平方向(第1方向)に延びるとともに、垂直方向(第2方向)に並び、遮光部24とともに複数の光源32から照射された光の垂直方向への広がりを規制する。
【0044】
複数のルーバ25は、前後方向及び水平方向に延びる板状の部材である。複数のルーバ25は、非光透過性である。複数のルーバ25は、例えば、金属板である。これにより、遮光部24とともに複数の光源32から照射された光の垂直方向への広がりを規制することができる。
【0045】
複数のルーバ25は、垂直方向に並ぶ複数の光源群30の間の領域MRの前方に配置される。換言すれば、複数のルーバ25は、遮光部24の各開口部24aの間の部分の前方に配置される。複数のルーバ25は、例えば、光源群30の前方側において、光源群30の垂直方向の両側に配置してもよい。換言すれば、光源群30の複数の光源32から照射された光が、一対のルーバ25の間を通るように、複数のルーバ25を配置してもよい。
【0046】
ケース12は、前面板26をさらに有する。前面板26は、ベース部27と、フード28と、を有する。ベース部27及びフード28は、非光透過性である。ベース部27は、本体部20の前方に設けられる。ベース部27は、開口部27aを有する。開口部27aは、光源部14の前方に設けられる。開口部27aは、例えば、遮光部24の各開口部24aの前方に位置する。これにより、各開口部24aを通った光が、開口部27aを通って前方に照射される。
【0047】
フード28は、開口部27aの周囲を囲むように設けられる。フード28は、遮光部24及び複数のルーバ25とともに、光源部14から照射された光の不要な広がりを抑制する。フード28は、例えば、光源部14から照射された光の垂直方向への不要な広がりを抑制するとともに、光源部14から照射された光の水平方向への不要な広がりを抑制する。なお、フード28は、例えば、投光窓22の周囲を囲むように設けてもよい。フード28は、ベース部27を介することなく、本体部20に直接的に取り付けてもよい。
【0048】
複数の光源32は、例えば、複数の第1光源32aと、複数の第2光源32bと、に分けられている。複数の第1光源32aは、第1色の光を照射する。複数の第2光源32bは、第1色と異なる第2色の光を照射する。光源部14は、複数の光源32から第1色の光と第2色の光とを照射し、第1色の光と第2色の光とを混ぜることにより、第3色の光を照射する。
【0049】
第1色は、例えば、緑色である。より詳しくは、第1色は、主波長を520nm(510nm以上530nm以下)とする緑色である。第2色は、例えば、白色である。より詳しくは、第2色は、5000K(4600K以上5500K以下)の色温度の昼白色である。第3色は、例えば、薄緑色である。より詳しくは、第3色は、CIE1931のXYZ表色系におけるxy色度座標が、(0.296±0.02、0.445±0.02)の薄緑色である。第1色、第2色、及び第3色は、例えば、分光測定器などによって測定することができる。
【0050】
複数の第2光源32bから照射される第2色の光の所定の面における光束は、複数の第1光源32aから照射される第1色の光の所定の面における光束に対して125%である。換言すれば、第1色の光と第2色の光との光束比は、100:125である。複数の第2光源32bから照射される第2色の光の光束は、例えば、複数の第1光源32aから照射される第1色の光の光束の110%以上140%以下である。
【0051】
例えば、主波長を520nmとする緑色の第1色の光と、5000Kの色温度の昼白色の第2色の光と、の光束比を100:125とする。これにより、xy色度座標を(0.296、0.445)とした薄緑色の第3色の光を照射することができる。
【0052】
複数の第2光源32bの数は、例えば、複数の第1光源32aの数と同じである。これにより、第1色の光の光束と第2色の光の光束とを、100:125にすることができる。但し、複数の第2光源32bの数は、必ずしも複数の第1光源32aの数と同じでなくてもよい。
【0053】
複数の第1光源32a及び複数の第2光源32bは、例えば、水平方向に交互に並ぶとともに、垂直方向に交互に並ぶ。複数の第1光源32a及び複数の第2光源32bは、例えば、水平方向及び垂直方向のそれぞれにおいて1つずつ交互に並ぶ。換言すれば、複数の第1光源32a及び複数の第2光源32bは、市松状に配置される。これにより、例えば、第1色の光と第2色の光とを混ぜ易くすることができる。例えば、第3色の光の色ムラなどを抑制することができる。
【0054】
但し、複数の第1光源32a及び複数の第2光源32bの配置は、上記に限定されるものではない。複数の第1光源32a及び複数の第2光源32bは、例えば、水平方向のみに交互に並べてもよいし、垂直方向のみに交互に並べてもよい。換言すれば、複数の第1光源32a及び複数の第2光源32bは、例えば、水平方向又は垂直方向に縞状に配置してもよい。複数の第1光源32a及び複数の第2光源32bの配置は、第1色の光と第2色の光とを適切に混ぜ、第3色の光を照射することができる任意の配置でよい。
【0055】
演出用照明装置10では、対象物の所望の部分のみに光を照射して演出性を高めたり、光源32から照射された光が対象物の周囲の人の目に直接的に入射してしまうことを抑制したりするため、不要な光の広がりを抑制することが求められている。
【0056】
例えば、橋桁の側面部分を対象物とした場合に、橋脚や川の水面部分にまで光が当たってしまうと、演出性が低下してしまう可能性がある。例えば、橋桁の側面部分のみに適切に光を当てることで、橋桁の側面部分をより強調することができる。また、例えば、光源32から照射された光が、河川敷を通行する人の目に直接的に入射してしまうと、通行する人に不快感を与えてしまう可能性がある。
【0057】
このため、演出用照明装置10では、複数の光源32から照射された光の垂直方向への不要な広がりを抑制し、橋桁の側面部分のみに適切に光を当てられるようにすることが望まれる。
【0058】
この場合に、例えば、複数のルーバ25のみによって複数の光源32から照射された光の垂直方向への不要な広がりを抑制することも考えられる。しかしながら、複数のルーバ25を設けるだけでは、不要な光の広がりを適切に抑制することができない場合がある。
【0059】
屋外に設置して使用される演出用照明装置10では、光源部14がケース12の空間20aに設けられ、光源部14は、投光窓22を介して前方に光を照射する。このため、複数のルーバ25を投光窓22の前方に設けた場合には、複数のルーバ25と光源部14との間に投光窓22が配置されることとなり、複数のルーバ25と光源部14との間の距離が長くなってしまう。
【0060】
例えば、
図3に表したように、複数の光源32から照射された光の垂直方向への広がりの角度を矢線L1の角度としようとした際にも、矢線L2で表したように、複数のルーバ25と光源部14との間の部分から光が漏れてしまう可能性がある。
【0061】
こうした漏れ光の対策として、例えば、複数のルーバ25をケース12内に設けたり、投光窓22を貫通するように複数のルーバ25を設けたりすることも考えられる。しかしながら、このように複数のルーバ25をケース12内にまで設けると、ケース12の大型化やケース12の構造の複雑化などを招いてしまう。
【0062】
これに対して、本実施形態に係る演出用照明装置10では、ケース12が、遮光部24を有している。遮光部24は、投光窓22に設けられ、複数の光源群30の前方には位置せず、少なくとも一部を垂直方向に並ぶ複数の光源群30の間の領域MRの前方に配置することにより、複数の光源32から照射された光の垂直方向への広がりを規制する。
【0063】
これにより、本実施形態に係る演出用照明装置10では、
図3に表したように、矢線L2のような漏れ光の発生を遮光部24によって抑制することができる。従って、対象物の所望の範囲のみに適切に光を照射することができる。例えば、橋桁の側面部分のみに適切に光を当てることができ、より演出性の高いライトアップを行うことができる。そして、複数のルーバ25をケース12内に設ける場合などと比べて、ケース12の大型化やケース12の構造の複雑化などを抑制することができる。本実施形態に係る演出用照明装置10では、簡単な構成で、より演出性の高いライトアップを行うことができる。
【0064】
また、本実施形態に係る演出用照明装置10では、ケース12が、投光窓22の前方に設けられた複数のルーバ25をさらに有し、複数のルーバ25が、遮光部24とともに複数の光源32から照射された光の垂直方向への広がりを規制する。これにより、漏れ光の発生などをより適切に抑制することができる。
【0065】
演出用照明装置10では、対象物に対して所望の色の光を照射することが求められている。例えば、対象物に対応した色の光を照射する光源32を用意することが考えられるが、この場合には、所望の色が既存の製品に存在しない場合に、光源32自体を新たに製造する必要が生じてしまう。
【0066】
これに対して、本実施形態に係る演出用照明装置10では、複数の光源32が、第1色の光を照射する複数の第1光源32aと、第1色と異なる第2色の光を照射する複数の第2光源32bと、に分けられ、光源部14は、複数の光源32から第1色の光と第2色の光とを照射し、第1色の光と第2色の光とを混ぜることにより、第3色の光を照射する。
【0067】
これにより、本実施形態に係る演出用照明装置10では、所望の色が既存の製品に存在しない場合などにおいても、第1色の光と第2色の光との組み合わせにより、所望とする第3色の光を簡単な構成で照射し、所望の色による演出性の高いライトアップを行うことができる。このように、本実施形態に係る演出用照明装置10では、簡単な構成で、より演出性の高いライトアップを行うことができる。
【0068】
例えば、自動車などの通行を可能にする大型な橋では、橋桁が、薄緑色に塗装されていることがある。この際に、塗装色に応じた薄緑色の光で橋桁のライトアップを行うことが望まれる場合がある。
【0069】
本実施形態に係る演出用照明装置10では、主波長を520nm(510nm以上530nm以下)とする緑色の第1色の光と、5000K(4600K以上5500K以下)の色温度の昼白色の第2色の光と、を照射することにより、xy色度座標が(0.296±0.02、0.445±0.02)の薄緑色の第3色の光を照射する。これにより、簡単な構成で、橋の塗装色に応じた薄緑色の光で橋桁を照明し、演出性の高いライトアップを行うことができる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態および実施例を説明したが、これらの実施形態または実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態または実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態または実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
10…演出用照明装置、12…ケース、14…光源部、20…本体部、20a…空間、20b…前面、20c…開口部、22…投光窓、22a…内側面、22b…外側面、23…取付部、24…遮光部、24a…開口部、25…ルーバ、26…前面板、27…ベース部、27a…開口部、28…フード、30…光源群、32…光源、34…レンズ