(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041688
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】認識ベルト
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20220304BHJP
A44C 5/00 20060101ALI20220304BHJP
A44B 11/28 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
A61G12/00 Z
A44C5/00 Z
A44B11/28
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147039
(22)【出願日】2020-09-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】500488915
【氏名又は名称】ホクユーメディックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【弁理士】
【氏名又は名称】中道 佳博
(74)【代理人】
【識別番号】100207136
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 有希
(72)【発明者】
【氏名】北尾 祐樹
【テーマコード(参考)】
3B090
4C341
【Fターム(参考)】
3B090AD02
4C341LL30
(57)【要約】
【課題】 適切な柔軟性と強度とを両立しつつ、例えばRF-IDなどの電子タグを内部に配置することができ、かつ患者が装着中の内部への水の侵入を防止し得る、認識ベルトを提供すること。
【解決手段】 本発明の認識ベルトは、2枚の樹脂シートの縁部をシールして構成されており、識別情報を含む本体部と、本体部の端部に連結しかつ長手方向に沿って配列された複数の長さ調節穴を備える長さ調節部とを備える。さらに2枚の樹脂シートは本体部と長さ調節部との間でシールされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の樹脂シートの縁部をシールして構成される認識ベルトであって、
識別情報を含む本体部と、該本体部の端部に連結しかつ長手方向に沿って配列された複数の長さ調節穴を備える長さ調節部とを備え、
該2枚の樹脂シートが該本体部と該長さ調節部との間でシールされている、認識ベルト。
【請求項2】
前記2枚の樹脂シートが、前記長さ調節部における前記長さ調節穴の1つとこれに近接する他の該長さ調節穴との間でシールされている、請求項1に記載の認識ベルト。
【請求項3】
前記2枚の樹脂シートが前記長さ調節穴の周囲でシールされている、請求項1または2に記載の認識ベルト。
【請求項4】
前記本体部の内部に電子タグを備える、請求項1から3のいずれかに記載の認識ベルト。
【請求項5】
前記樹脂シートがポリウレタンおよびポリ塩化ビニルからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含有する、請求項1から4のいずれかに記載の認識ベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は認識ベルトに関し、より詳細には柔らかく装着感に優れた認識ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関における、手術、投薬、採血、輸血などの際における患者の取り違えを避けるため、従来より認識ベルト(以下、IDベルトともいう)を患者に装着させて当該取り違えの防止が行われている。
【0003】
IDベルトには、患者に関する情報(例えば、氏名、血液型など)が記載される。特に耐水性、強度、およびコストの点からIDベルトの素材として軟質の樹脂素材が使用されている。しかし、当該樹脂素材の中に、入浴等の温度変化によってベルト自体を硬化させ、ベルトの端部で装着した患者の皮膚を傷つけて所望でない感染症を引き起こすものがある。
【0004】
これに対し、近年ではポリウレタン樹脂などのより柔軟性のある樹脂を用いたIDベルトが提案され、患者に対する装着感を向上が高められている(特許文献1)。
【0005】
一方、こうしたIDベルトには、さらなる柔軟性と強度との両立を図るため、同一または異なる素材の2枚の樹脂シートを型抜きし、それらの縁部をシールした袋状の形態を有するものが提案されている。そして、こうした袋状の形態を有するIDベルトでは、例えば、その内部にRF-IDなどの電子タグが配置されることにより、患者の個人情報のような識別情報をベルトの外部に直接表示する機会を低減して、当該個人情報の保護を高める取り組みが行われている。
【0006】
しかし、上記袋状の形態を有するIDベルトは、その構造上、患者が使用する生活用水や外気の湿気に起因して、不要な水分を内部に侵入させる恐れがあることが懸念されている。このような水の侵入は患者に新たな感染症を引き起こす可能性を与えるため、当該IDベルトの採用自体が躊躇される場合も生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、適切な柔軟性と強度とを両立しつつ、例えばRF-IDなどの電子タグを内部に配置することができ、かつ患者が装着中の内部への水の侵入を防止し得る、認識ベルトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、2枚の樹脂シートの縁部をシールして構成される認識ベルトであって、
識別情報を含む本体部と、該本体部の端部に連結しかつ長手方向に沿って配列された複数の長さ調節穴を備える長さ調節部とを備え、
該2枚の樹脂シートが該本体部と該長さ調節部との間でシールされている、認識ベルトである。
【0010】
1つの実施形態では、上記2枚の樹脂シートは、上記長さ調節部における上記長さ調節穴の1つとこれに近接する他の該長さ調節穴との間でシールされている。
【0011】
1つの実施形態では、上記2枚の樹脂シートは上記長さ調節穴の周囲でシールされている。
【0012】
1つの実施形態では、上記本体部の内部に電子タグを備える。
【0013】
1つの実施形態では、上記樹脂シートはポリウレタンおよびポリ塩化ビニルからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、耐水性、撥水性、強度および柔軟性があり、装着する個体の皮膚に優しくかつ優れた装着感が提供される。さらに、内部に水分が侵入かつ残留する可能性を低減するため、当該水分に基づいて当該個体が感染症を発症する可能性を排除または低減することができる。これにより、乳幼児から高齢者までのあらゆる層の個体に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の認識ベルトの一例を説明するための図であって、(a)は当該認識ベルトの平面図であり、(b)は当該認識ベルトの長手方向断面図である。
【
図2】
図1に示す認識ベルトを個体の手首に巻き付けた状態の一例を説明するための模式図である。
【
図3】
図1に示す認識ベルトを個体の手首に巻き付けるために長さ調節部の一部を切断した状態の一例を説明するための図であって、(a)は当該長さ調節部の一部を切断した認識ベルトの平面図であり、(b)は当該長さ調節部の一部を切断した認識ベルトの長手方向断面図である。
【
図4】本発明の認識ベルトの他の例を説明するための図であって、(a)は当該認識ベルトの平面図であり、(b)は当該認識ベルトの長手方向断面図であり、(c)は樹脂シートの間の本体部にRF-IDが配置された状態を説明するための当該認識ベルトの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について詳述する。
【0017】
図1は、本発明の認識ベルトの一例を説明するための図である。
【0018】
本発明の認識ベルト(IDベルト)100は、個体の腕、足など、個体の身体に直接的に装着するためのベルトである。例えば、病院において個体(患者)の取り違え防止のために使用され得る。IDベルトは、一般に、個体の身体の一部に巻きつけて装着される。装着される部位は、IDベルトが簡単に抜け落ちない部位であれば特に限定されないが、腕および足が好ましく、手首および足首が特に好ましい。
【0019】
図1の(a)および(b)に示すように、本発明の認識ベルト100は、2枚の樹脂シート102,104の縁部106をシールして構成されている。
【0020】
樹脂シート102,104の各シート厚さは、好ましくは0.1mm~0.4mm、より好ましくは0.2mm~0.3mmである。樹脂シート102,104の各厚みが0.1mmを下回ると、得られる認識ベルトの強度が低下し、病院に入院した患者のような比較的長時間または長期間の使用が予定されている個体が連続的に装着することが困難となる場合がある。樹脂シート102,104の各厚みが0.4mmを上回ると、得られる認識ベルトが重くなり、装着した個人が違和感を増して装着期間中の違和感から解放されにくい場合がある。さらに本発明においては、樹脂シート102,104の各厚みが同一または異なっていてもよい。
【0021】
本発明の認識ベルト100は、手首、足首などを動かした際に違和感を生じないように、適度の伸縮性を有する。例えば、
図1の(b)に示すような樹脂シート102,104の2枚を重ね合わせた形態とすることにより、打抜きによって同一形状の型を抜き取ると同時に、切断部(すなわち樹脂シート102,104の各縁部106)でこれら2枚がシールされる。シールの様式としては、例えば熱シールおよび接着剤を介したシールが挙げられる。例えば、樹脂シート102,104が熱可塑性樹脂で構成される場合、作業性が簡便であるとの理由から縁部106は熱シールによってシールされることが好ましい。
【0022】
本発明において、樹脂シート102,104の縁部106は、このようなシールによってシールされ部分がシート1枚のみで構成される場合と比較して伸びが小さくなる。その結果、得られる認識ベルト100についてはベルト全体としての伸びも小さくなる。したがって、本発明の認識ベルト100を構成する樹脂シート102,104には、当該認識ベルト100が適切な伸びを有することを考慮して、それに応じた適切な材料が選択される。
【0023】
樹脂シート102,104を構成する材料は、JIS K 7311の試験方法における硬さ、100%引力応力、および伸びのそれぞれが所定範囲内にあるものを使用することが好ましい。
【0024】
上記硬さについては、JIS K 7311の試験方法において、好ましくは60~120JIS A、より好ましくは80~100JIS A、さらにより好ましくは85~95JIS Aである。当該硬さがこのような範囲内になく、例えば硬すぎると、装着後に手足を動かすのに邪魔になり、また柔らかすぎると、認識ベルトとしての形態を保持しにくくなることがある。
【0025】
上記100%引力応力については、JIS K 7311の試験方法において、好ましくは6MPa~12MPa、より好ましくは8MPa~10MPa、さらにより好ましくは8.5MPa~9.5MPaである。当該100%引力応力がこのような範囲から逸脱すると、得られた認識ベルトを装着した際に十分なフィット感が得られず、締めつけ感がある、外れ易くなるなどの問題を生じることがある。
【0026】
上記伸びについては、好ましくは500%~700%、より好ましくは550%~680%、さらにより好ましくは600%~650%である。当該伸びがこのような範囲内になく、例えば大きすぎると、そのような認識ベルトは装着部位から伸ばして外すことが容易となり、例えば、患者に適用される認識ベルトとしては信頼性を欠くおそれがある。逆に伸びが小さすぎると、身体を動かした際に装着部位に違和感を生じることがある。
【0027】
樹脂シート102,104を構成する材料はまた、好ましくは100kN/m~150kN/mの引裂強さ、および/または25MPa~30MPaの引張強さを有するものが好ましい。引裂き強さおよび/または引張強さがこのような範囲内を満たすことにより、得られる認識ベルトの耐久性は向上し得る。
【0028】
本発明の認識ベルト100において、樹脂シート102,104の材料の具体例としては熱可塑性樹脂が挙げられる。樹脂シート102,104は互いに、同一または異なる材料から構成されていてもよい。本発明においては、適切な柔軟性と強度とを兼ね備えているとの理由から、樹脂シート102,104を構成する材料はともにポリウレタン、ポリ塩化ビニル、またはそれらの組み合わせを含有することが好ましい。1つの実施形態では、樹脂シート102,104を構成する材料はともにポリウレタンである。
【0029】
ここで、
図1の(a)に示すように、本発明の認識ベルト100は、本体部110と長さ調節部120とを備える。
【0030】
本体部110は、例えば横長かつ矩形の形態を有し、患者の個人情報(例えば、氏名、フリガナ、性別、血液型、診療科名、担当医師、患者番号);病院等の施設名;発行年月日;通算番号;等の識別番号を含む。ここで、本明細書中において、本体部が識別情報を「含む」とは、例えば、本体部110上に識別情報が直接的に視認可能な形態で印刷されていること;バーコードや二次元バーコード、ホログラフィーなどの手段を用いて間接的に認識可能な形態で印刷されていること;および後述するRF-ID(電子タグ)などの記録媒体が格納されていること;ならびにそれらの組み合わせ;のいずれをも包含する。
【0031】
本発明の認識ベルト100を病院等の患者に対して装着する場合、当該患者の個人情報の保護を強化する観点から、本体部110の表面に表示される患者の個人情報は必要最小限のものが直接的に視認可能となるように印刷されており、その他の個人情報は、例えば上記のようなバーコードや二次元バーコード、ホログラフィー、RF-IDなどを用いて印刷または格納されていることが好ましい。
【0032】
本体部110の幅および長さは特に限定されない。例えば、装着対象となる個人を、乳幼児、小人、成人、高齢者のいずれとするか、装着する身体の部位を例えば手首または足首のいずれとするか等によって、当業者は本体部110の幅および長さを適切に選択することができる。
【0033】
長さ調節部120は、本体部110の一方の端部に連結して配置されている。
【0034】
長さ調節部120は、認識ベルト100のうち、個体(例えば患者)に装着される身体の部位に合わせて切断して使用される部分である。長さ調節部120は、長手方向に沿って配列された複数の長さ調節穴122を備え、長さ調節穴122のそれぞれは、本体部110の他方の端部に設けられたベルト固定片128内のベルト固定孔130,132との間で図示しない留め具によって本体部110と長さ調節部120とを固定することができる。長さ調節穴122は、
図1の(a)に示すような円形でだけでなく、楕円形、矩形、その他の任意の形状を有していてもよい。長さ調節穴122の平均直径もまた特に限定されず、当業者によって適切に選択され得る。
【0035】
なお、
図1に示す認識ベルト100では、樹脂シート102,104内に不要な水分が侵入することを回避する目的から、2枚の樹脂シート102,104は、長さ調節穴122の周囲で例えば上記と同様にしてシールされていることが好ましい。
【0036】
長さ調節部120の幅および長さは特に限定されない。例えば、装着対象となる個人を、乳幼児、小人、成人、高齢者のいずれとするか、装着する身体の部位を例えば手首または足首のいずれとするか等によって、当業者は長さ調節部120の幅および長さを適切に選択することができる。
【0037】
さらに、本発明の認識ベルト100は、2枚の樹脂シート102,104が本体部110と長さ調節部120との間でシールされている第1シール部分112を備える。
【0038】
第1シール部分112では、樹脂シート102,104が強固にシールされている。これにより本体部110の中空状態は長さ調節部120から完全に分離されている。その結果、装着する個人の身体の部位に合わせて長さ調節部120を途中で切断したとしても、その切断部分から所望でない水分が本体部110内に侵入することを防止できる。
図1の(a)において第1シール部分112は、本体部110の幅方向に沿って略平行となるように1本の直線状のものが設けられているが、本発明は必ずしもこのような形態に限定されるものではない。例えば、本体部110と長さ調節部120との間に、幅方向に延びる略平行な2本またはそれ以上のシール部分が設けられていてもよく、あるいは第1シール部分112が円弧状、ジグザグ状のような任意の形態を有していてもよい。
【0039】
本発明の認識ベルト100はまた、樹脂シート102,104が、長さ調節部120における長さ調節穴122の1つとこれに近接する他の該長さ調節穴122との間でシールされている第2シール部分124を備える。
【0040】
第2シール部分124では、樹脂シート102,104が強固にシールされている。これにより隣接し合う2つの長さ調節穴122の間の中空状態は、さらにその隣の他の2つの長さ調節穴122の間の中空状態から完全に分離されている。その結果、装着する個人の身体の部位に合わせて長さ調節部120を途中で切断したとしても、その切断部分から所望でない水分が残存する長さ調節部120内に侵入することを防止できる。
図1の(a)において第2シール部分124は、長さ調節部120の幅方向に沿って略平行となるように1本の直線状のものが設けられているが、本発明は必ずしもこのような形態に限定されるものではない。例えば、ある長さ調節穴122とそれに隣接する他の長さ調節穴122との間に、幅方向に延びる略平行の2本またはそれ以上のシール部分が設けられていてもよく、あるいは第2シール部分124が円弧状、ジグザグ状のような任意の形態を有していてもよい。
【0041】
図2は、
図1に示す認識ベルト100を個体の手首に巻き付けた状態の一例を説明するための模式図である。
【0042】
図2において、本発明の認識ベルト100は、個体(例えば患者)の手首150に沿って巻き付けられ、本体部110のベルト固定片128の一部を折り返して、その間に長さ調節部120を挟み、ベルト固定孔130,132と長さ調節部120の長さ調節穴122とには留め具138が通され、これらは固定される。また、長さ調節部120の不要な部分は、留め具138からはみ出した部分140(好ましくは第2シール部分124に相当する)でハサミ等によって切断される。
【0043】
図3は、
図1に示す認識ベルトを個体の手首に巻き付けるために長さ調節部の一部を切断した状態の一例を説明するための図である。
【0044】
図3の(a)に示すように、個体の身体の部位に巻き付けられるために、長さ調節部120の一部が上記
図2に示すような部分140で切断された認識ベルト100では、
図3の(b)に示すように、本体部110の中空状態は外部から完全に遮断され、装着中に不要な水分が本体部110の内部に侵入することが回避され得る。また、第2のシール部分124によって、巻き付けられた認識ベルト100に残存する長さ調節部120の中空状態もまた外部から完全に遮断され、装着中に不要な水分が長さ調節部120の内部に侵入することが回避され得る。
【0045】
このことから、本発明の認識ベルト100は、樹脂シート102,104が有する耐水性、撥水性、強度および柔軟性などの優れた性質を維持したまま、本体部110および必要に応じて長さ調節部120の内部に水分が侵入かつ残留する可能性を低減することができる。その結果、本発明の認識ベルト100を装着する個人(例えば患者)が、当該水分に基づいて感染症を発症する可能性を排除または低減することができる。
【0046】
図4は、本発明の認識ベルトの他の例を説明するための図である。なお、
図4における本発明の認識ベルト200を構成する各要素には、上記
図1に示す認識ベルト100を構成するものと同一のものには同一符号が付されている。
【0047】
図4の(a)に示すように、本発明の認識ベルト200は、その外観は
図1に示す認識ベルト100と同様である。
【0048】
一方、本発明の認識ベルト200は、本体部110を構成する樹脂シート102,104の間に電子タグ160が配置されている(
図4の(b)および(c))。電子タグ150には、当業者に公知の方法および手段を用いて、患者の個人情報(例えば、氏名、フリガナ、性別、血液型、診療科名、担当医師、患者番号);病院等の施設名;発行年月日;通算番号;等の識別番号の全部または一部が電子的に記録されている。こうした電子タグ160の使用により、
図4の(a)に示すような本体部110の外表面には、装着する個体(例えば患者)の識別情報の記載内容は必要におじて減じられ、権限のない第三者が当該個体の識別情報を自由に視認するリスクから解放される。その一方で、例えば医師や看護師などの医療従事者やその他特別に権限が付された者のみが、所定の読出し装置を用いて当該識別情報にアクセスしかつ読み出すことができる。これにより、認識ベルト200を装着する個人(例えば患者)の個人情報等がさらに安全に保護され得る。電子タグ160の例としては非接触式のICタグが挙げられ、必ずしも限定されないが、具体的な例としては、RFIDタグ、BLE(Bluetooh Low Energy)タグ、マイフェア(Mifare)チップなどが挙げられる。
【0049】
なお、本発明の認識ベルトは、必要に応じて樹脂シートに任意の色彩が施されてもよい。例えば、血液型別に色分けすると、輸血時などに血液型の誤認を予防することができる。
【0050】
本発明の認識ベルトは、例えば、病院や介護施設における患者、要介護者の他、テーマパークやスポーツ観戦施設、ライブ会場等の多人数が集まる施設において個人(例えばチケット購入者)を特定するための識別にも有用である。
【符号の説明】
【0051】
100,200 認識ベルト
102,104 樹脂シート
106 縁部
110 本体部
112 第1シール部分
120 長さ調節部
122 長さ調節穴
124 第2シール部分
128 ベルト固定片
130,132 ベルト固定孔
138 留め具
160 電子タグ
【手続補正書】
【提出日】2021-03-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一形状の2枚の柔軟な樹脂シートの四方の縁部をシールして構成される認識ベルトであって、
本体部と長さ調節部とを備え、
該本体部が、該樹脂シートと、該シールされた該縁部と、該本体部および該長さ調節部を遮断するように形成された第1シール部分とによって取り囲まれておりかつ識別情報を含む中空の構造体であり、
該長さ調節部が、該第1シール部分を介して該本体部の端部に連結しかつ長手方向に沿って配列された複数の長さ調節穴を備え、
該本体部の中空状態が外部から遮断されている、認識ベルト。
【請求項2】
前記長さ調節部における前記長さ調節穴の1つとこれに隣接する他の該長さ調節穴との間に前記第1シール部分と平行な方向に第2シール部分が設けられている、請求項1に記載の認識ベルト。
【請求項3】
前記本体部の内部に電子タグを備える、請求項1または2に記載の認識ベルト。
【請求項4】
前記樹脂シートがポリウレタンおよびポリ塩化ビニルからなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含有する、請求項1から3のいずれかに記載の認識ベルト。