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特開2022-41692樹脂ビーズ、樹脂ビーズの製造方法、及び樹脂ビーズを用いた製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041692
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】樹脂ビーズ、樹脂ビーズの製造方法、及び樹脂ビーズを用いた製品
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/16 20060101AFI20220304BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20220304BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20220304BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220304BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220304BHJP
   C08B 16/00 20060101ALI20220304BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20220304BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220304BHJP
   C08J 3/07 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
C08J3/16
A61K8/02
A61K8/73
A61Q17/04
A61K47/38
C08B16/00
A61K9/16
A61P17/00
C08J3/07 CEP
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147044
(22)【出願日】2020-09-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】安部 隆士
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C090
4F070
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076BB31
4C076CC18
4C076EE31
4C076GG12
4C083AB242
4C083AB332
4C083AB362
4C083AB432
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC302
4C083AC352
4C083AC422
4C083AD042
4C083AD152
4C083AD261
4C083AD262
4C083BB01
4C083BB25
4C083BB46
4C083CC01
4C083CC12
4C083CC19
4C083DD16
4C083DD17
4C083DD31
4C083EE06
4C090AA05
4C090BA24
4C090BD01
4C090CA25
4C090CA31
4C090DA23
4C090DA26
4C090DA31
4F070AA02
4F070AC12
4F070AC43
4F070AC80
4F070AE03
4F070AE04
4F070AE14
4F070AE28
4F070BA08
4F070CA02
4F070CB03
4F070DA33
4F070DA39
4F070DA48
4F070DB10
4F070DC07
4F070DC09
(57)【要約】
【課題】優れた触感、肌への伸び、及び透明性を有する化粧料等の各種製品を提供しうる、石油由来の合成系素材からなる樹脂粒子と代替可能な、生分解性の良好な樹脂ビーズ、並びにそれを用いた化粧料等の各種製品を提供する。
【解決手段】セルロースを主成分とする樹脂で形成された樹脂ビーズである。体積基準の累積50%粒子径が、50μm以下であり、真球度が、0.7~1.0であり、表面平滑度が、70~100%であり、中実度が、50~100%であり、JIS K6950:2000(ISO 14851:1999)に準拠して測定される5日間の生分解率が、20%以上である。また、この樹脂ビーズを含有する、化粧料、外皮用薬、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、及び樹脂組成物のいずれかの製品である。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースを主成分とする樹脂で形成された樹脂ビーズであって、
体積基準の累積50%粒子径が、50μm以下であり、
真球度が、0.7~1.0であり、
表面平滑度が、70~100%であり、
中実度が、50~100%であり、
JIS K6950:2000(ISO 14851:1999)に準拠して測定される5日間の生分解率が、20%以上である樹脂ビーズ。
【請求項2】
体積基準の累積90%粒子径が、40μm以下である請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項3】
体積基準の累積10%粒子径が、0.1μm以上である請求項1又は2に記載の樹脂ビーズ。
【請求項4】
粒子径のCV値が、10~90%である請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂ビーズ。
【請求項5】
前記樹脂ビーズを形成する前記樹脂中のセルロースの含有量が、50~100質量%である請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂ビーズ。
【請求項6】
顔料及び染料の少なくともいずれかを含有する請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂ビーズ。
【請求項7】
紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤の少なくともいずれかを含有する請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂ビーズ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂ビーズの製造方法であって、
セルロースエステル及び前記セルロースエステルを溶解する、25℃における水100gに対する溶解度が0.1~50.0gである有機溶剤を含有する油相と、分散安定化剤を含有する水相と、を混合して、前記セルロースエステル及び前記有機溶剤を含有する油滴を含む懸濁液を調製する工程と、
前記懸濁液に水を添加し、前記油滴を収縮させて樹脂粒子を形成する工程と、
前記樹脂粒子を酸性条件下又はpH13以下のアルカリ性条件下で処理し、前記セルロースエステル中のエステル結合の少なくとも一部を加水分解する工程と、
を有する樹脂ビーズの製造方法。
【請求項9】
前記懸濁液に10分以上かけて前記水を添加する請求項8に記載の樹脂ビーズの製造方法。
【請求項10】
前記懸濁液に添加する前記水の液量が、前記懸濁液の液量に対して、質量基準で0.5倍以上である請求項8又は9に記載の樹脂ビーズの製造方法。
【請求項11】
前記セルロースエステルが、セルロース有機酸エステル及びセルロースリン酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種である請求項8~10のいずれか一項に記載の樹脂ビーズの製造方法。
【請求項12】
前記セルロースエステルが、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースブチレート、及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも一種である請求項8~11のいずれか一項に記載の樹脂ビーズの製造方法。
【請求項13】
前記分散安定化剤が、水溶性高分子である請求項8~12のいずれか一項に記載の樹脂ビーズの製造方法。
【請求項14】
前記樹脂粒子を80℃以下の温度条件下で処理し、前記セルロースエステル中のエステル結合の少なくとも一部を加水分解する請求項8~13のいずれか一項に記載の樹脂ビーズの製造方法。
【請求項15】
樹脂ビーズを含有する、化粧料、外皮用薬、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、及び樹脂組成物のいずれかの製品であって、
前記樹脂ビーズが、請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂ビーズである製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロースを主成分とする樹脂で形成された樹脂ビーズ、この樹脂ビーズの製造方法、及びこの樹脂ビーズを用いて得られる化粧料などの製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂ビーズは、その球状特性から、艶消し剤、滑り剤、及びブロッキング防止剤等の様々な分野で用いられている。さらに、メーキャップ用の化粧料の伸展性等の特性を向上させるべく、樹脂ビーズ等の種々の樹脂粉体(樹脂粒子)が用いられている。しかし、近年、マイクロプラスチックによる海洋汚染等の問題などから、化粧料に配合される樹脂ビーズの構成材料が、石油由来の合成系素材から天然系素材へと移行しつつある。
【0003】
天然系素材からなる球状樹脂粒子としては、例えば、スクラブ剤として有用な粉末状セルロースが提案されている(特許文献1)。さらに、診断薬に用いられるセルロース誘導体微粒子(特許文献2)や、化粧料に用いられる球状セルロース粉体(特許文献3)が提案されている。また、クロマトグラフィー用の充填剤として用いられる多孔性セルロース粒子(特許文献4~6)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-052909号公報
【特許文献2】国際公開第2009/123148号
【特許文献3】特開2013-221000号公報
【特許文献4】国際公開第2016/013568号
【特許文献5】国際公開第2015/029790号
【特許文献6】特開昭62-253601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1、2、4、及び5で提案された粉末状セルロース等は、メーキャップ用又はスキンケア用の化粧料に配合する剤としては粒径が適当なものではなかった。また、特許文献2で提案されたセルロース誘導体微粒子は、製造時に銅アンモニアを用いる必要があるため、重金属類を可能な限り低減したい化粧料用の材料としては、必ずしも適当なものであるとはいえなかった。
【0006】
さらに、特許文献3~5で提案された球状セルロース粉体等は、真球度が低いとともに、粒子表面がさほど平滑ではない。このため、化粧料に配合しても肌に対する伸びがさほど良好であるとはいえず、ざらつきを感じやすいものであった。さらに、粒子表面の粗さや非中実構造に起因して光散乱が生じやすく、粉体の濡れや溶液中への使用に伴って質感が大きく変化しやすかった。
【0007】
また、特許文献4~6で提案された多孔性セルロース粒子等は、多孔質であるために強度が低く、水分を吸着しやすい。このため、化粧料に配合すると化粧料自体が不安定化しやすくなるので、化粧料用の材料としては必ずしも適当なものであるとはいえなかった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、優れた触感、肌への伸び、及び透明性を有する化粧料等の各種製品を提供しうる、石油由来の合成系素材からなる樹脂粒子と代替可能な、生分解性の良好な樹脂ビーズ、並びにそれを用いた化粧料等の各種製品を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、優れた触感、肌への伸び、及び透明性を有する化粧料等の各種製品を提供しうる、石油由来の合成系素材からなる樹脂粒子と代替可能な、生分解性の良好な樹脂ビーズの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明によれば、以下に示す樹脂ビーズが提供される。
[1]セルロースを主成分とする樹脂で形成された樹脂ビーズであって、体積基準の累積50%粒子径が、50μm以下であり、真球度が、0.7~1.0であり、表面平滑度が、70~100%であり、中実度が、50~100%であり、JIS K6950:2000(ISO 14851:1999)に準拠して測定される5日間の生分解率が、20%以上である樹脂ビーズ。
[2]体積基準の累積90%粒子径が、40μm以下である前記[1]に記載の樹脂ビーズ。
[3]体積基準の累積10%粒子径が、0.1μm以上である前記[1]又は[2]に記載の樹脂ビーズ。
[4]粒子径のCV値が、10~90%である前記[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂ビーズ。
[5]前記樹脂ビーズを形成する前記樹脂中のセルロースの含有量が、50~100質量%である前記[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂ビーズ。
[6]顔料及び染料の少なくともいずれかを含有する前記[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂ビーズ。
[7]紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤の少なくともいずれかを含有する前記[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂ビーズ。
【0010】
また、本発明によれば、以下に示す樹脂ビーズの製造方法が提供される。
[8]前記[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂ビーズの製造方法であって、セルロースエステル及び前記セルロースエステルを溶解する、25℃における水100gに対する溶解度が0.1~50.0gである有機溶剤を含有する油相と、分散安定化剤を含有する水相と、を混合して、前記セルロースエステル及び前記有機溶剤を含有する油滴を含む懸濁液を調製する工程と、前記懸濁液に水を添加し、前記油滴を収縮させて樹脂粒子を形成する工程と、前記樹脂粒子を酸性条件下又はpH13以下のアルカリ性条件下で処理し、前記セルロースエステル中のエステル結合の少なくとも一部を加水分解する工程と、を有する樹脂ビーズの製造方法。
[9]前記懸濁液に10分以上かけて前記水を添加する前記[8]に記載の樹脂ビーズの製造方法。
[10]前記懸濁液に添加する前記水の液量が、前記懸濁液の液量に対して、質量基準で0.5倍以上である前記[8]又は[9]に記載の樹脂ビーズの製造方法。
[11]前記セルロースエステルが、セルロース有機酸エステル及びセルロースリン酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種である前記[8]~[10]のいずれかに記載の樹脂ビーズの製造方法。
[12]前記セルロースエステルが、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースブチレート、及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも一種である前記[8]~[11]のいずれかに記載の樹脂ビーズの製造方法。
[13]前記分散安定化剤が、水溶性高分子である前記[8]~[12]のいずれかに記載の樹脂ビーズの製造方法。
[14]前記樹脂粒子を80℃以下の温度条件下で処理し、前記セルロースエステル中のエステル結合の少なくとも一部を加水分解する前記[8]~[13]のいずれかに記載の樹脂ビーズの製造方法。
【0011】
さらに、本発明によれば、以下に示す製品が提供される。
[15]樹脂ビーズを含有する、化粧料、外皮用薬、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、及び樹脂組成物のいずれかの製品であって、前記樹脂ビーズが、前記[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂ビーズである製品。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、優れた触感、肌への伸び、及び透明性を有する化粧料等の各種製品を提供しうる、石油由来の合成系素材からなる樹脂粒子と代替可能な、生分解性の良好な樹脂ビーズ、並びにそれを用いた化粧料等の各種製品を提供することができる。また、本発明によれば、優れた触感、肌への伸び、及び透明性を有する化粧料等の各種製品を提供しうる、石油由来の合成系素材からなる樹脂粒子と代替可能な、生分解性の良好な樹脂ビーズの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1で製造した樹脂ビーズの表面の状態を示す電子顕微鏡写真である。
図2】実施例1で製造した樹脂ビーズの断面の状態を示す電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。なお、本明細書中の各種物性値は、特に断りのない限り、常温(25℃)における値である。
【0015】
本発明者は、優れた触感、肌への伸び、及び透明性が付与された化粧料等の各種製品を提供しうる、生分解性の良好な天然系素材からなる樹脂ビーズ、及びその製造方法について種々検討した。その結果、以下に示す構成とすることで、天然系素材により実質的に形成された、上記各種の特性が付与された化粧料等の各種製品を提供可能な樹脂ビーズが得られることを見出した。すなわち、本発明の樹脂ビーズは、セルロースを主成分とする樹脂で形成された樹脂ビーズである。そして、本発明の樹脂ビーズの体積基準の累積50%粒子径は50μm以下であり、真球度は0.7~1.0であり、表面平滑度は70~100%であり、中実度は50~100%である。さらに、本発明の樹脂ビーズのJIS K6950:2000(ISO 14851:1999)に準拠して測定される5日間の生分解率は、20%以上である。
【0016】
樹脂ビーズの体積基準の累積50%粒子径(メジアン径;D50)は50μm以下であり、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは0.5~28μm、特に好ましくは1~25μmである。D50を上記の範囲とすることで、化粧料等に配合される樹脂ビーズに要求される滑り性やソフトフォーカス性を有効に発現させることができる。
【0017】
樹脂ビーズの体積体積基準の累積90%粒子径(D90)は、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがさらに好ましく、5~25μmであることが特に好ましい。また、樹脂ビーズの体積基準の累積10%粒子径(D10)は、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがさらに好ましく、1.5~10μmであることがさらに好ましい。そして、樹脂ビーズの粒子径のCV値(変動係数)は、10~90%であることが好ましく、25~75%であることがさらに好ましく、40~60%であることが特に好ましい。D90、D10、及びCV値をそれぞれ上記の範囲とすることで、化粧料等に配合される樹脂ビーズに要求される異物感のない滑らかさを発現させることができるとともに、シワへの入り込みが抑制された化粧料とすることができる。
【0018】
樹脂ビーズの真球度は0.7以上1.0以下であり、好ましくは0.75~1.0以下、さらに好ましくは0.8~1.0以下、特に好ましくは0.85~1.0以下である。真球度を上記の範囲としたことで、化粧料等に配合される樹脂ビーズに要求される良好な触感及び肌への伸びを有効に発現させることができる。
【0019】
樹脂ビーズが真球状であるか否の指標となる真球度は、以下に示す手順にしたがって測定及び算出することができる。まず、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した樹脂ビーズのSEM画像を画像解析し、下記式(1)より、個々の樹脂ビーズの円形度Cを算出する。そして、任意に選択した10個以上の樹脂ビーズの円形度Cの相加平均値を真球度とする。
C=(4πS)/(L) ・・・(1)
【0020】
上記式(1)中、Sは、画像中に占める樹脂ビーズの面積(投影面積)を示し、Lは、画像中における樹脂ビーズの外周部の長さを示す。円形度Cの値が1に近いほど、粒子の形状は真球に近い。
【0021】
樹脂ビーズの表面平滑度は70~100%であり、好ましくは80~100%、さらに好ましくは90~100%である。表面平滑度を上記の範囲としたことで、化粧料等に配合される樹脂ビーズに要求される良好な触感及び肌への伸びを有効に発現させることができる。
【0022】
樹脂ビーズの表面平滑度は、以下に示す手順にしたがって測定することができる。すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した樹脂ビーズのSEM画像(×5,000)を観察し、下記式(2)より、個々の樹脂ビーズの平滑度Mを算出する。そして、任意に選択した10個以上の樹脂ビーズの平滑度Mの相加平均値を表面平滑度とする。平滑度Mの値が1に近いほど、粒子の表面は平滑に近い。
M=(1-(S)/(S))×100 ・・・(2)
【0023】
上記式(2)中、Sは、画像中に占める樹脂ビーズの面積(投影面積)を示し、Sは、樹脂ビーズとそれに近似した円を重ねた際に、樹脂粒子の輪郭で形成されたエリアと、重ねた円の輪郭より内側にある面積と外部にある面積の総和を示す。
【0024】
樹脂ビーズの中実度は50~100体積%であり、好ましくは60~100体積%、さらに好ましくは70~99体積%である。中実度を上記の範囲内とすることで、化粧料等に配合される樹脂ビーズに要求される透明性を有効に発現させることができる。樹脂ビーズの中実度が50体積%未満であると、空域によって光散乱が生じ、透明性が低下しやすくなる。また、中実度が低下すると吸油量や強度が変化する。このため、中実度が低い樹脂ビーズを化粧料等の製品に配合すると、製品の安定性が低下することがある。
【0025】
樹脂ビーズの中実度は、以下に示す手順にしたがって測定及び算出することができる。まず、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した樹脂ビーズの断面のSEM画像を画像解析し、個々の樹脂ビーズの、樹脂で満たされた部分の体積を算出する。そして、任意に選択した10個以上の樹脂ビーズの、樹脂で満たされた部分の体積の平均値を中実度(体積%)とする。
【0026】
樹脂ビーズの5日間の生分解率は20%以上であり、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上である。本発明の樹脂ビーズは、生分解率が上記の通り高く、生分解性に優れている。このため、本発明の樹脂ビーズは、良好な生分解性を示すことが要求される化粧料等に配合される樹脂ビーズとして有用である。なお、理由については必ずしも明らかではないが、後述の製造方法によって製造することで、従来の他の製造方法によって製造した場合に比して、セルロースを主成分とする同様の樹脂で形成されながらも、より生分解性に優れた樹脂ビーズを得ることができる。
【0027】
樹脂ビーズの5日間の生分解率は、JIS K6950:2000(ISO 14851:1999)に準拠して測定される。より具体的には、以下に示す条件(閉鎖系酸素消費量測定装置を用いたBOD測定)により試験することで、樹脂ビーズの5日間の生分解率を測定及び算出する。
植種源:主に家庭排水を処理する下水処理場の好気的反応槽汚泥
対照物質:微結晶セルロース
試験物質濃度:100mg/L
対照物質濃度:100mg/L
植種源濃度:150mg/L
試験液量:300mL
試験温度:25±1℃
培養期間:30日間
【0028】
試験物質と参照物質の生分解率は、下記式から算出することができる。
生分解率(%)=(BODO-BODB)/ThOD×100
BODO(mg):試験物質の生化学的酸素要求量
BODB(mg):対照物質の平均生化学的酸素要求量
ThOD(mg):試験物質を酸化するために必要な理論上の最大酸素量
【0029】
樹脂ビーズは、セルロースを主成分とする樹脂で形成されている。樹脂ビーズを形成する樹脂は、セルロース以外にも、セルロースエステル等のセルロース誘導体を含んでいてもよい。樹脂ビーズを形成する樹脂中のセルロースの含有量は50~100質量%であることが、樹脂ビーズの生分解性がより向上するために好ましく、60~100質量%であることがさらに好ましく、70~100質量%であることが特に好ましい。セルロースは、樹脂ビーズ形成する樹脂に予め配合されていてもよく、セルロースエステル等のセルロース誘導体を化学的に変性(例えば、加水分解)して形成されたものであってもよい。
【0030】
樹脂ビーズは、用途に応じて、顔料及び染料の少なくともいずれかを含有していてもよい。顔料や染料を含有する樹脂ビーズを得るには、例えば、顔料及び染料の少なくともいずれかをさらに含有する油相を用いて懸濁液を調製すればよい。顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、弁柄(ベンガラ)、黄酸化鉄、黒酸化鉄等の金属酸化物の他、法定色素和名の黄色4号、赤色202号、青色1号、カーボンブラック等を挙げることができる。また、マイカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の体質顔料を用いることもできる。染料としては、赤色104号、黄色5号、青色1号等を挙げることができる。
【0031】
樹脂ビーズは、顔料と、界面活性剤及び分散剤及び高分子分散剤の少なくともいずれかと、を含有することが好ましい。また、顔料は、シリコーン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、アミノ酸、アミノ酸金属塩、油脂、及び脂質からなる群より選択される少なくとも一種で処理された処理顔料であることが好ましい。
【0032】
樹脂ビーズは、用途に応じて、紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤の少なくともいずれかを含有していてもよい。紫外線吸収剤や紫外線散乱剤を含有する樹脂ビーズを得るには、例えば、紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤の少なくともいずれかをさらに含有する油相を用いて懸濁液を調製すればよい。紫外線吸収剤等としては、例えば、微粒子二酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤などを挙げることができる。
【0033】
樹脂ビーズは、用途に応じて、シリコーン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、アミノ酸、アミノ酸金属塩、油脂、及び脂質などで表面処理されていてもよい。
【0034】
次に、上述の樹脂ビーズを製造する方法について説明する。本発明の樹脂ビーズの製造方法は、上述の樹脂ビーズの製造方法であり、セルロースエステル及び前記セルロースエステルを溶解する有機溶剤を含有する油相(第1の液体)と、分散安定化剤を含有する水相(第2の液体)と、を混合して、セルロースエステル及び有機溶剤を含有する油滴を含む懸濁液を調製する工程(懸濁液調製工程)を有する。
【0035】
懸濁液調製工程では、セルロースエステル及びセルロースエステルを溶解する有機溶剤を含有する油相と、分散安定化剤を含有する水相とを混合する。油相と水相を混合し、必要に応じて撹拌することで、セルロースエステル及び有機溶剤を含有する油滴が水中に分散した懸濁液を得ることができる。この油滴は水中に分散した状態で存在するため、油滴中の有機溶剤は水中へと徐々に移動する。そして、有機溶剤の移動に伴って油滴が収縮し、有機溶剤に溶解していたセルロースエステルが徐々に析出する。析出したセルロースエステルは、平滑な表面を維持しながら成長する。最終的には、析出したセルロースエステルが固定化され、実質的に中実な樹脂ビーズの前駆体となる樹脂粒子が形成される。油滴の収縮が生じているか否かは、光学顕微鏡や電子顕微鏡等を用いて観察した画像を解析することで判断することができる。このような油滴の収縮が生ずることで、真球性(真球度)が高く、実質的に中実であり、平滑な表面を有する、所望とする粒子径の樹脂ビーズを得ることができる。
【0036】
セルロースエステルは、天然系のセルロース誘導体として化粧料等の製品に用いられている。セルロースエステルとしては、セルロース有機酸エステル及びセルロースリン酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。より具体的には、セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースブチレート、及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0037】
樹脂粒子を構成する樹脂に含まれるセルロースエステル中のエステル結合の少なくとも一部を適切な条件で加水分解することで、化粧品用途に好適な真球度、表面平滑度、及び中実度を有する樹脂ビーズを得ることができる。すなわち、加水分解の条件を適切に制御することで、セルロースを主成分とする樹脂からなる樹脂ビーズを調製する際に生じやすい不具合を抑え、化粧料等に好適に配合しうる樹脂ビーズを製造することができる。
【0038】
セルロースエステルとしては、アセチル基、プロピオニル基、及びブチロイル基等のアシル基の含有量が60質量%以下のセルロースエステルを用いることが好ましい。
なかでも、アシル基の含有量が60質量%以下のセルロースアセテートやセルロースアセテートプロピオネートを用いることが好ましい。また、6質量%アセトン溶液の粘度が、200mPa・s以下であるセルロースエステルを用いることが好ましい。これらのセルロースエステルを用いると、得られる樹脂ビーズの粒度分布や触感に不具合等が生じにくく、化粧料等に好適に配合しうる樹脂ビーズをさらに容易に得ることができる。
【0039】
油相に含まれる有機溶剤(第1の有機溶剤)としては、セルロースエステルを溶解可能な公知の有機溶剤を用いることができる。有機溶剤の具体例としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;エタノール、n-ブタノール等のアルコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶剤;塩化メチレン、クロロホルム、テトラクロロエタン等の塩素系溶剤;ニトロメタン;炭酸プロピレン等を用いることができる。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
有機溶剤としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール類、グリコール類、エーテル系溶剤、ハロゲン化アルキル、ニトロ化アルキルが好ましい。なかでも、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ブタノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがさらに好ましい。
【0041】
懸濁液に含まれる油滴中の有機溶剤は、水相へと徐々に移動する。但し、有機溶剤の水溶解度が高すぎると、油滴から水相へと急激に有機溶剤が移動しやすくなるため、油滴が収縮して形成される樹脂ビーズの前駆体である樹脂粒子が真球形状になりにくくなる場合や、平滑な表面が形成されにくくなる場合がある。また、有機溶剤の水溶解度が高すぎると、油滴に水相が部分的に入り込みやすくなり、中実な樹脂粒子が形成されにくくなる場合もある。一方、有機溶剤の水溶解度が低すぎると、油滴から水相への有機溶剤の移動速度が低下するとともに、多量の水相を用いることが必要となる傾向にあるので、製造コストの面で不利になる場合がある。また、有機溶剤の水溶解度が低すぎると、樹脂ビーズ内に有機溶剤が残りやすくなる場合がある。このため、25℃における有機溶剤の水100gに対する溶解度(水溶解度)は、0.1~50.0gであり、0.5~40.0gであることが好ましく、1.0~30.0gであることがさらに好ましい。
【0042】
油相(第1の液体)に含有される有機溶剤の液量は、セルロースエステルの量に対して、質量基準で2.0倍以上であることが好ましく、2.5~15.0倍であることがさらに好ましい。油相中の有機溶剤の液量が少なすぎると、油滴中の有機溶剤が水相へと移動した際に、セルロースエステルが急速に析出しやすくなる。このため、得られる樹脂ビーズが真球形状になりにくくなる場合や、平滑な表面が形成されにくくなる場合がある。
【0043】
懸濁液調製工程で用いる水相は、分散安定化剤が脱イオン水等の水に溶解した液体(第2の液体)である。分散安定化剤としては、水溶性セルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダなどの水溶性高分子;ハイドロキシアパタイト、第3リン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの無機塩類を用いることができる。これらの分散安定化剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの分散安定化剤のなかでも、水溶性セルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダなどの水溶性高分子を用いることが好ましい。
【0044】
懸濁液中の油滴が移送中に破壊されたり、合一したりするのを抑制すべく、水相に用いる分散安定化剤の種類や濃度を適宜設定することが好ましい。水相中の分散安定化剤の含有量は、30質量%以下であることが好ましく、1~20質量%であることがさらに好ましい。
【0045】
水相は、第2の有機溶剤をさらに含有することが好ましい。油相中の有機溶剤(第1の有機溶剤)は、その種類により、水相へと急速に移動することがある。そこで、第2の有機溶剤を含有する水相を油相と混合することで、油相中の第1の有機溶剤の水相への急速な移動を抑制することが可能となり、より真球度が高く、表面がさらに平滑な樹脂ビーズを製造することができる。第2の有機溶剤としては、好適なものを含め、油相に用いる前述の有機溶剤(第1の有機溶剤)と同様のものを用いることができる。なお、第1の有機溶剤と第2の有機溶剤は、同種であってもよく、異種であってもよい。
【0046】
懸濁液調製工程では、油相と水相を混合して懸濁液を調製する。油相と水相を混合するには、撹拌下の水相に油相を添加してもよく、撹拌下の油相に水相を添加してもよい。必要に応じて、ディスパーやホモジナイザーなどの乳化装置を使用し、形成される油滴の粒径を調整することが好ましい。例えば、ホモジナイザーの回転数を変えてせん断力を調整することで、形成される油滴の粒子径を容易に調整することができる。その結果、得られる樹脂ビーズの粒子径を所望の範囲となるように適宜に調整することができる。
【0047】
水相の液量は、油相の液量に対して、質量基準で3.0倍以下とすることが好ましく、0.2~2.8倍とすることがさらに好ましい。水相の液量を上記の範囲とすることで、油滴中の有機溶剤の水相への急速な移動を抑制することができ、より真球度が高く、表面がさらに平滑な樹脂ビーズを製造することができる。
【0048】
本発明の樹脂ビーズの製造方法は、懸濁液に水を添加して油滴を収縮させて樹脂粒子を形成する工程(収縮工程)をさらに有する。懸濁液に水を添加することで、懸濁液中の油滴をより速やかに収縮させ、樹脂ビーズの前駆体となる樹脂粒子を形成することができる。懸濁液に追加する水の液量は、懸濁液の液量に対して、質量基準で0.5倍以上であることが好ましく、1~100倍であることがさらに好ましい。
【0049】
収縮工程では、10分以上の程度の時間をかけて懸濁液に水を添加することが好ましい。10分以上の時間をかけて水を添加することで、油滴中の有機溶剤の水相への急速な移動を抑制することができ、より真球度が高く、表面がさらに平滑な樹脂粒子及び樹脂ビーズを製造することができる。具体的には、30分以上かけて懸濁液に水を添加することが好ましく、45分以上かけて水を添加することがさらに好ましく、60~300分かけて水を添加することが特に好ましい。
【0050】
本発明の樹脂ビーズの製造方法は、上記の収縮工程で形成した樹脂粒子を酸性条件下又はpH13以下のアルカリ性条件下で処理し、セルロースエステル中のエステル結合の少なくとも一部を加水分解する工程(加水分解工程)をさらに有する。これにより、セルロースを主成分とする樹脂で形成された、所望とする真球度、表面平滑度、及び中実度であるとともに、良好な生分解性を示す樹脂ビーズを得ることができる。
【0051】
樹脂粒子をアルカリ性条件下で処理する場合のpHは13以下であり、好ましくはpH8~13である。pHが13超であると、エステル結合の加水分解によって精製したセルロースが凝集しやすく、所望とする特性の樹脂ビーズを得ることができない。また、樹脂粒子を酸性条件下で処理する場合のpHは1.5~6であることが好ましく、pH1.8~5.5であることがさらに好ましい。
【0052】
加水分解時の温度は80℃以下とすることが好ましい。すなわち、樹脂粒子を80℃以下の温度条件下で処理し、セルロースエステル中のエステル結合の少なくとも一部を加水分解することが好ましく、0~70℃の温度条件下で処理することがさらに好ましく、10~60℃で処理することが特に好ましい。エステル結合の加水分解の程度(進行度)は、赤外分光法(IR)によって随時モニタリングすることができる。加水分解の程度(進行度)を確認した後、酸又はアルカリを添加して中和すればよい。
【0053】
加水分解後は、例えば、生成した樹脂ビーズをろ過及び洗浄し、不要な成分を除去する。次いで、必要に応じて洗浄を複数回繰り返した後、乾燥及び解砕処理すれば、目的とする樹脂ビーズを得ることができる。さらに、必要に応じて、シリコーン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、アミノ酸、アミノ酸金属塩、油脂、及び脂質などを使用し、常法により樹脂粒子を表面処理してもよい。
【0054】
上述の樹脂ビーズは、真球性(真球度)が高く、中実であり、平滑な表面を有し、かつ、優れた生分解性を示す、天然系素材を構成材料とする樹脂粒子である。このため、上記の樹脂ビーズを含有させることで、石油由来の合成系素材からなる樹脂粒子を用いなくても、優れた触感、肌への伸び、及び製品安定性が付与された化粧料、外皮用薬、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、及び樹脂組成物等の各種製品を提供することができる。
【実施例0055】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0056】
<樹脂ビーズの製造>
(実施例1)
セルロースアセテート(商品名「CA-398-3」、イーストマンケミカル社製、アセチル基の含有率:39.8%)250部を酢酸エチル(水溶解度:8g/100g)2250部に溶解して油相を調製した。また、ポリビニルアルコール200部をイオン交換水2,300部に溶解して水相を調製した。調製した水相に油相を加えて混合し、ディゾルバーを用いて1,000rpmで3分間撹拌した。さらに、ディゾルバーを用いて1,800rpmで10分間撹拌して、油滴が均一に分散した懸濁液を得た。光学顕微鏡で観察及び画像解析して測定した油滴の体積平均粒子径は、20μmであった。
【0057】
ディゾルバーを用いて得られた懸濁液を500rpmで撹拌しながら、イオン交換水112,500部を75分間かけて注入し、樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠して撹拌した。ろ過及び洗浄して得た樹脂粒子を、イオン交換水2,500部に分散させた。水酸化ナトリウムを添加してpH13.0以下に調整するとともに、60℃に加熱して加水分解反応を行った。加水分解反応終了後、塩酸で中和した。生成物をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠した。さらに、ろ過及び洗浄した後、乾燥及び解砕処理して、樹脂ビーズを得た。得られた樹脂ビーズの表面の状態を示す電子顕微鏡写真を図1に示す。また、得られた樹脂ビーズの断面の状態を示す電子顕微鏡写真を図2に示す。
【0058】
(実施例2)
セルロースアセテートプロピオネート(商品名「CAP-482-0.5」、イーストマンケミカル社製、アセチル基及びプロピオニル基の合計含有率:46.5%)250部を酢酸エチル(水溶解度:8g/100g)1,000部に溶解して油相を調製した。また、ポリビニルアルコール100部をイオン交換水1,088部に溶解するとともに、酢酸エチル62.5部を添加して撹拌し、水相を調製した。調製した水相に油相を加えて混合し、ディゾルバーを用いて1,000rpmで3分間撹拌した。さらに、ディゾルバーを用いて1,500rpmで5分間撹拌して、油滴が均一に分散した懸濁液を得た。光学顕微鏡で観察及び画像解析して測定した油滴の体積平均粒子径は、22μmであった。
【0059】
ディゾルバーを用いて得られた懸濁液を500rpmで撹拌しながら、イオン交換水21,250部を60分間かけて注入し、樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠して撹拌した。ろ過及び洗浄した後、乾燥及び解砕処理して樹脂粒子を得た。得られた樹脂粒子をイオン交換水5,000部に分散させた。水酸化ナトリウムを添加してpH13.0以下に調整するとともに、40℃に加熱して加水分解反応を行った。加水分解反応終了後、酢酸で中和した。生成物をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠した。さらに、ろ過及び洗浄した後、乾燥及び解砕処理して、樹脂ビーズを得た。
【0060】
(実施例3)
セルロースアセテートプロピオネート(商品名「CAP-504-0.2」、イーストマンケミカル社製、アセチル基及びプロピオニル基の合計含有率:43.0%)50部、及びセルロースアセテート(商品名「CA-398-6」、イーストマンケミカル社製、アセチル基の含有率:39.8%)50部をイソプロピルアセテート(水溶解度:4g/100g)1,000部に溶解して油相を調製した。また、ポリビニルアルコール150部をイオン交換水1,350部に溶解させて水相を調製した。調製した水相に油相を加えて混合し、ディゾルバーを用いて1,000rpmで3分間撹拌した。さらに、ディゾルバーを用いて1,600rpmで7分間撹拌して、油滴が均一に分散した懸濁液を得た。光学顕微鏡で観察及び画像解析して測定した油滴の体積平均粒子径は、12μmであった。
【0061】
ディゾルバーを用いて得られた懸濁液を500rpmで撹拌しながら、イオン交換水52,400部を120分間かけて注入し、樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠して撹拌した。ろ過及び洗浄して得た樹脂粒子を、イオン交換水5,000部に分散させた。希塩酸を添加してpH2.0に調整するとともに、40℃に加熱して加水分解反応を行った。加水分解反応終了後、水酸化ナトリウムで中和した。生成物をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠した。さらに、ろ過及び洗浄した後、乾燥及び解砕処理して、樹脂ビーズを得た。
【0062】
(実施例4)
セルロースアセテート(商品名「CA-398-10」、イーストマンケミカル社製、アセチル基の含有率:39.8%)250部を酢酸エチル(水溶解度:8g/100g)2,750部に溶解して油相を調製した。また、ポリビニルアルコール180部をイオン交換水2,820部に溶解して水相を調製した。調製した水相に油相を加えて混合し、ディゾルバーを用いて1,000rpmで3分間撹拌した。さらに、ディゾルバーを用いて2,000rpmで5分間撹拌して、油滴が均一に分散した懸濁液を得た。光学顕微鏡で観察及び画像解析して測定した油滴の体積平均粒子径は、18μmであった。
【0063】
ディゾルバーを用いて得られた懸濁液を500rpmで撹拌しながら、イオン交換水40,000部を90分間かけて注入し、樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠して撹拌した。ろ過及び洗浄して得た樹脂粒子を、イオン交換水2,500部に分散させた。水酸化ナトリウムを添加してpH13.0以下に調整するとともに、55℃に加熱して、セルロースアセテートの90%に相当するエステル結合が分解されるまで加水分解反応を行った後、塩酸で中和した。生成物をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠した。さらに、ろ過及び洗浄した後、乾燥及び解砕処理して、樹脂ビーズを得た。
【0064】
(実施例5)
セルロースアセテートプロピオネート(商品名「CAP-504-0.2」、イーストマンケミカル社製、アセチル基及びプロピオニル基の合計含有率:43.0%)78部を1-ブタノール(水溶解度:8g/100g)900部に溶解して油相を調製した。調製した油相に、脂肪酸で処理した微粒子酸化チタン(商品名「MT-100TV」、テイカ社製)20部、及びアクリルシリコーン分散剤(商品名「KP-578」、信越化学社製)2部を加えて混合し、油相中に微粒子酸化チタンを分散させた。また、ポリアクリル酸80部をイオン交換水920部に溶解させて水相を調製した。調製した水相に油相を加えて混合し、ディゾルバーを用いて1,000rpmで3分間撹拌した。さらに、ディゾルバーを用いて2,200rpmで20分間撹拌して、油滴が均一に分散した懸濁液を得た。光学顕微鏡で観察及び画像解析して測定した油滴の体積平均粒子径は、8μmであった。
【0065】
ディゾルバーを用いて得られた懸濁液を500rpmで撹拌しながら、イオン交換水43,000部を180分間かけて注入し、樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠して撹拌した。ろ過及び洗浄した後、乾燥及び解砕処理して樹脂粒子を得た。得られた樹脂粒子をイオン交換水5,000部に分散させた。水酸化ナトリウムを添加してpH13.0以下に調整するとともに、55℃に加熱して加水分解反応を行った。加水分解反応終了後、酢酸で中和した。生成物をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠した。さらに、ろ過及び洗浄した後、乾燥及び解砕処理して、樹脂ビーズを得た。
【0066】
(比較例1)
セルロース微粒子(商品名「CELLULOBEADS D-5」、大東化成品社製)を比較例1の樹脂ビーズとした。
【0067】
(比較例2)
セルロースアセテート(商品名「CA-398-3」、イーストマンケミカル社製、アセチル基の含有率:39.8%)70部をアセトン(水溶解度:∞g/100g)630部に溶解して油相を調製した。また、ポリビニルアルコール70部をイオン交換水630部に溶解して水相を調製した。調製した水相に油相を加えて混合し、ディゾルバーを用いて1,000rpmで3分間撹拌した。さらに、ディゾルバーを用いて1,700rpmで50分間撹拌して、油滴が均一に分散した懸濁液を得た。光学顕微鏡で観察及び画像解析して測定した油滴の体積平均粒子径は、120μmであった。
【0068】
ディゾルバーを用いて得られた懸濁液を500rpmで撹拌しながら、イオン交換水12,600部を60分間かけて注入し、樹脂粒子懸濁液を得た。樹脂粒子をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠して撹拌した。ろ過及び洗浄して得た樹脂粒子をイオン交換水2,300部に分散させた。水酸化ナトリウムを添加してpH13.0以下に調整するとともに、30℃に加熱して加水分解反応を行った。加水分解反応終了後、酢酸で中和した。生成物をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠した。さらに、ろ過及び洗浄した後、乾燥及び解砕処理して、樹脂ビーズを得た。
【0069】
(比較例3)
アセチルセルロース(商品名「CA-398-6」、イーストマンケミカル社製、アセチル基の含有率:39.8%)70部を酢酸エチル(水溶解度:8g/100g)770部に溶解して油相を調製した。また、ポリビニルアルコール24部をイオン交換水776部に溶解して水相を調製した。調製した水相に油相を加えて混合し、ディゾルバーを用いて1,000rpmで3分間撹拌した。さらに、ディゾルバーを用いて1,500rpmで10分間撹拌して、油滴が均一に分散した懸濁液を得た。光学顕微鏡で観察及び画像解析して測定した油滴の体積平均粒子径は、38μmであった。
【0070】
ディゾルバーを用いてイオン交換水36,860部を500rpmで撹拌しながら、得られた懸濁液を60分間かけて注入し、樹脂粒子懸濁液を得た。樹脂粒子をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠して撹拌した。ろ過及び洗浄して得た樹脂粒子をイオン交換水1,400部に分散させた。水酸化ナトリウムを添加してpH13.0以下に調整するとともに、40℃に加熱して加水分解反応を行った。加水分解反応終了後、酢酸で中和した。生成物をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠した。さらに、ろ過及び洗浄した後、乾燥及び解砕処理して、樹脂ビーズを得た。
【0071】
(比較例4)
セルロースアセテートプロピオネート(商品名「CAP-482-0.5」、イーストマンケミカル社製、アセチル基及びプロピオニル基の合計含有率:46.5%)100部を酢酸エチル(水溶解度:8g/100g)900部に溶解して油相を調製した。また、ポリビニルアルコール50部をイオン交換水950部に溶解して水相を調製した。調製した水相に油相を加えて混合し、ディゾルバーを用いて1,000rpmで3分間撹拌した。さらに、ディゾルバーを用いて1,750rpmで10分間撹拌して、油滴が均一に分散した懸濁液を得た。光学顕微鏡で観察及び画像解析して測定した油滴の体積平均粒子径は、16μmであった。
【0072】
ディゾルバーを用いて得られた懸濁液を500rpmで撹拌しながら、イオン交換水28,000部を500rpmで撹拌しながら、ディゾルバーを120分間かけて注入し、樹脂粒子懸濁液を得た。樹脂粒子をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠して撹拌した。ろ過及び洗浄して得た樹脂粒子をイオン交換水3,000部に分散させた。水酸化ナトリウムを添加してpH13.5に調整するとともに、45℃に加熱して加水分解反応を行った。加水分解反応終了後、酢酸で中和した。生成物をろ過及び洗浄した後、イオン交換水に解膠した。さらに、ろ過及び洗浄した後、乾燥及び解砕処理して、樹脂ビーズを得た。
【0073】
<樹脂ビーズの評価>
(粒子径及び変動係数(CV値))
コールターカウンター(ベックマン・コールター社製)を使用して、樹脂ビーズの体積基準の累積50%粒子径(D50)、体積基準の累積10%粒子径(D10)、及び体積基準の累積90%粒子径(D90)を測定するとともに、粒子径の変動係数(CV値)を算出した。結果を表1に示す。
【0074】
(真球度)
走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した樹脂ビーズのSEM画像を画像解析し、下記式(1)より、個々の樹脂ビーズの円形度Cを算出する。そして、任意に選択した10個以上の樹脂ビーズの円形度Cの相加平均値を真球度とした。結果を表1に示す。
C=(4πS)/(L) ・・・(1)
【0075】
上記式(1)中、Sは、画像中に占める樹脂ビーズの面積(投影面積)を示し、Lは、画像中における樹脂ビーズの外周部の長さを示す。円形度Cの値が1に近いほど、粒子の形状は真球に近い。
【0076】
(表面平滑度)
走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した樹脂ビーズのSEM画像(×5,000)を観察し、下記式(2)より、個々の樹脂ビーズの平滑度Mを算出する。そして、任意に選択した10個以上の樹脂ビーズの平滑度Mの相加平均値を表面平滑度とした。結果を表1に示す。平滑度Mの値が1に近いほど、粒子の表面は平滑に近い。
M=(1-(S)/(S))×100 ・・・(2)
【0077】
上記式(2)中、Sは、画像中に占める樹脂ビーズの面積(投影面積)を示し、Sは樹脂ビーズとそれに近似した円を重ねた際に、樹脂粒子の輪郭で形成されたエリアと、重ねた円の輪郭より内部にある面積と外部にある面積の総和を示す。
【0078】
(中実度)
走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した樹脂ビーズの断面のSEM画像を画像解析し、個々の樹脂ビーズの、樹脂で満たされた部分の体積を算出する。そして、任意に選択した10個以上の樹脂ビーズの、樹脂で満たされた部分の体積の平均値を中実度(体積%)とした。結果を表1に示す。
【0079】
(セルロースの含有量)
樹脂ビーズを形成する樹脂中のセルロースの含有量を赤外吸収分光法により測定した。具体的には、セルロースとセルロースエステルを任意の比率で含有する数種類の混合物を調製し、約1,750cm-1付近にあるセルロースエステルのカルボニル基のピーク強度を基に検量線を作成した。そして、この検量線を使用して樹脂ビーズを形成する樹脂中のセルロースの含有量を算出した。算出したセルロースの含有量を表1に示す。
【0080】
【0081】
(触感)
樹脂ビーズの触感について、10人のパネルテストによる官能評価を行った。樹脂ビーズに触れ、「滑らかさ」及び「肌への伸びの良さ」を総合的に判断し、以下に示す評価基準にしたがって5点満点で採点し、10人の平均点を算出した。結果を表2に示す。
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
【0082】
(生分解率)
JIS K6950:2000(ISO 14851:1999)に準拠し、樹脂ビーズの生分解率(5日後)を測定及び算出した。結果を表2に示す。
【0083】
【0084】
<化粧料の製造>
(化粧料-1)
化粧料の原料として従来用いられている各種成分を混合して化粧料-1を製造した。具体的には、まず、シリコーン処理された各粉体(マイカ、タルク、微粒子酸化チタン、及び硫酸バリウム)と、各樹脂ビーズとを、表3に示す配合量で配合し、均一になるまで混合して粉体混合物を得た。次いで、ワセリン、スクワラン、及びトリオクタン酸グリセリルを混合して得た混合物(その他の成分)を粉体混合物に加え、均一なるまで混合した後、容器に充填し、必要に応じてプレス成型して化粧料-1を得た。
【0085】
【0086】
(化粧料-2)
化粧料の原料として従来用いられている各種成分を混合して、サンカット乳液である化粧料-2を製造した。具体的には、まず、シリコーンオイル、紫外線防御剤、乳化剤、分散剤、イソノナン酸イソトリデシル、及び各樹脂ビーズを表4に示す配合量で配合し、混合して油相成分を調製した。また、精製水、ジプロピレングリコール、塩化ナトリウム、及びクエン酸ナトリウムを表4に示す配合量で配合し、混合して水相成分を調製した。次いで、調製した油相成分に水相成分を撹拌しながら添加して乳化させ、化粧料-2を得た。
【0087】
【0088】
<化粧料-1の評価>
(触感、肌への伸び)
化粧料-1の触感及び肌への伸びについて、10人のパネルテストによる官能評価を行った。「触感の良さ」及び「肌への伸び」を判断し、以下に示す評価基準にしたがってそれぞれ5点満点で採点し、10人の平均点を算出した。結果を表5に示す。
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
【0089】
【0090】
<化粧料-2の評価>
(触感、肌への伸び、透明性)
化粧料-2の触感、肌への伸び、及び透明性について、10人のパネルテストによる官能評価を行った。「触感の良さ」、「肌への伸び」、及び「透明性」を判断し、以下に示す評価基準にしたがってそれぞれ5点満点で採点し、10人の平均点を算出した。結果を表6に示す。
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
【0091】
【0092】
表5及び6に示すように、実施例の樹脂ビーズを用いることで、触感、肌への伸び、及び透明性に優れた化粧料を製造できたことがわかる。また、実施例の樹脂ビーズを用いることで、化粧料だけでなく、外皮用薬、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、及び樹脂組成物などの各種製品に対しても、優れた触感、透明性、及び伸びなどの特性を付与できることを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の樹脂ビーズは、石油由来の合成系素材で形成された樹脂ビーズと同等以上の特性を有する。このため、本発明の樹脂ビーズを用いれば、石油由来の合成系素材で形成された樹脂ビーズを用いなくても、良好な触感で、肌への伸びが良く、透明感があり、生分解性が良好な化粧品などの製品を提供することができる。したがって、本発明の樹脂ビーズは、例えば、化粧料、外皮用剤、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、及び樹脂組成物などの各種製品の構成材料として有用である。

図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースを主成分とする樹脂で形成された樹脂ビーズであって、
体積基準の累積50%粒子径が、50μm以下であり、
真球度が、0.7~1.0であり、
表面平滑度が、70~100%であり、
中実度が、50~100%であり、
JIS K6950:2000(ISO 14851:1999)に準拠して測定される5日間の生分解率が、20%以上であり、
前記樹脂中のセルロースの含有量が、90~100質量%である樹脂ビーズ。
【請求項2】
体積基準の累積90%粒子径が、40μm以下である請求項1に記載の樹脂ビーズ。
【請求項3】
体積基準の累積10%粒子径が、0.1μm以上である請求項1又は2に記載の樹脂ビーズ。
【請求項4】
粒子径のCV値が、10~90%である請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂ビーズ。
【請求項5】
顔料及び染料の少なくともいずれかを含有する請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂ビーズ。
【請求項6】
紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤の少なくともいずれかを含有する請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂ビーズ。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂ビーズの製造方法であって、
セルロースエステル及び前記セルロースエステルを溶解する、25℃における水100gに対する溶解度が0.1~50.0gである有機溶剤を含有する油相と、分散安定化剤を含有する水相と、を混合して、前記セルロースエステル及び前記有機溶剤を含有する油滴を含む懸濁液を調製する工程と、
前記懸濁液に水を添加し、前記油滴を収縮させて樹脂粒子を形成する工程と、
前記樹脂粒子を酸性条件下又はpH13以下のアルカリ性条件下で処理し、前記セルロースエステル中のエステル結合の少なくとも一部を加水分解する工程と、
を有する樹脂ビーズの製造方法。
【請求項8】
前記懸濁液に10分以上かけて前記水を添加する請求項に記載の樹脂ビーズの製造方法。
【請求項9】
前記懸濁液に添加する前記水の液量が、前記懸濁液の液量に対して、質量基準で0.5倍以上である請求項又はに記載の樹脂ビーズの製造方法。
【請求項10】
前記セルロースエステルが、セルロース有機酸エステル及びセルロースリン酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種である請求項のいずれか一項に記載の樹脂ビーズの製造方法。
【請求項11】
前記セルロースエステルが、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースブチレート、及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも一種である請求項10のいずれか一項に記載の樹脂ビーズの製造方法。
【請求項12】
前記分散安定化剤が、水溶性高分子である請求項11のいずれか一項に記載の樹脂ビーズの製造方法。
【請求項13】
前記樹脂粒子を80℃以下の温度条件下で処理し、前記セルロースエステル中のエステル結合の少なくとも一部を加水分解する請求項12のいずれか一項に記載の樹脂ビーズの製造方法。
【請求項14】
樹脂ビーズを含有する、化粧料、外皮用薬、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、及び樹脂組成物のいずれかの製品であって、
前記樹脂ビーズが、請求項のいずれか一項に記載の樹脂ビーズである製品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
すなわち、本発明によれば、以下に示す樹脂ビーズが提供される。
[1]セルロースを主成分とする樹脂で形成された樹脂ビーズであって、体積基準の累積50%粒子径が、50μm以下であり、真球度が、0.7~1.0であり、表面平滑度が、70~100%であり、中実度が、50~100%であり、JIS K6950:2000(ISO 14851:1999)に準拠して測定される5日間の生分解率が、20%以上であり、前記樹脂中のセルロースの含有量が、90~100質量%である樹脂ビーズ。
[2]体積基準の累積90%粒子径が、40μm以下である前記[1]に記載の樹脂ビーズ。
[3]体積基準の累積10%粒子径が、0.1μm以上である前記[1]又は[2]に記載の樹脂ビーズ。
[4]粒子径のCV値が、10~90%である前記[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂ビーズ
[5]顔料及び染料の少なくともいずれかを含有する前記[1]~[]のいずれかに記載の樹脂ビーズ。
]紫外線吸収剤及び紫外線散乱剤の少なくともいずれかを含有する前記[1]~[]のいずれかに記載の樹脂ビーズ。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、本発明によれば、以下に示す樹脂ビーズの製造方法が提供される。
]前記[1]~[]のいずれかに記載の樹脂ビーズの製造方法であって、セルロースエステル及び前記セルロースエステルを溶解する、25℃における水100gに対する溶解度が0.1~50.0gである有機溶剤を含有する油相と、分散安定化剤を含有する水相と、を混合して、前記セルロースエステル及び前記有機溶剤を含有する油滴を含む懸濁液を調製する工程と、前記懸濁液に水を添加し、前記油滴を収縮させて樹脂粒子を形成する工程と、前記樹脂粒子を酸性条件下又はpH13以下のアルカリ性条件下で処理し、前記セルロースエステル中のエステル結合の少なくとも一部を加水分解する工程と、を有する樹脂ビーズの製造方法。
]前記懸濁液に10分以上かけて前記水を添加する前記[]に記載の樹脂ビーズの製造方法。
]前記懸濁液に添加する前記水の液量が、前記懸濁液の液量に対して、質量基準で0.5倍以上である前記[]又は[]に記載の樹脂ビーズの製造方法。
10]前記セルロースエステルが、セルロース有機酸エステル及びセルロースリン酸エステルからなる群より選択される少なくとも一種である前記[]~[]のいずれかに記載の樹脂ビーズの製造方法。
11]前記セルロースエステルが、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースブチレート、及びセルロースアセテートブチレートからなる群より選択される少なくとも一種である前記[]~[10]のいずれかに記載の樹脂ビーズの製造方法。
12]前記分散安定化剤が、水溶性高分子である前記[]~[11]のいずれかに記載の樹脂ビーズの製造方法。
13]前記樹脂粒子を80℃以下の温度条件下で処理し、前記セルロースエステル中のエステル結合の少なくとも一部を加水分解する前記[]~[12]のいずれかに記載の樹脂ビーズの製造方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
さらに、本発明によれば、以下に示す製品が提供される。
14]樹脂ビーズを含有する、化粧料、外皮用薬、塗料、成形体、フィルム、コーティング剤、及び樹脂組成物のいずれかの製品であって、前記樹脂ビーズが、前記[1]~[]のいずれかに記載の樹脂ビーズである製品。