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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041704
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】衛生マスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220304BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
A41D13/11 H
A62B18/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147066
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】591199741
【氏名又は名称】株式会社プロップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市村 良子
(72)【発明者】
【氏名】陳 航
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA08
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】種々の使用環境に応じて複数の使用形態をとることができる衛生マスクを提供する。
【解決手段】着用者の顔面の対象部位を覆うマスク本体10と、前記着用者の前記対象部位を覆う位置に前記マスク本体10を保持するための左右一対の耳掛け紐20,30とを備えた衛生マスク1において、前記左右一対の耳掛け紐20,30の一方の端部が前記マスク本体10の左右縁部の上部に連結しているとともに、前記左右一対の一方の耳掛け紐20,30の他方の端部を前記マスク本体10の左右縁部の下部及び他方の耳掛け紐30,20の他方の端部の何れか一方に着脱自在に連結するスナップボタン40を備えた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の顔面の対象部位を覆うマスク本体と、前記着用者の前記対象部位を覆う位置に前記マスク本体を保持するための左右一対の紐状部材とを備えた衛生マスクにおいて、
前記左右一対の各紐状部材の一方の端部が前記マスク本体の左右縁部の上部に連結しているとともに、
前記左右一対の一方の紐状部材の他方の端部を前記マスク本体の左右縁部の下部及び他方の紐状部材の他方の端部の何れか一方に着脱自在に連結する連結手段を備えた
ことを特徴とする衛生マスク。
【請求項2】
前記連結手段は係合部及び前記係合部と着脱自在に係合する被係合部を含み、
前記マスク本体の左右一方の縁部の下部には前記係合部が形成され、この左右一方の縁部の下部に連結する前記紐状部材の他方の端部には前記被係合部が形成され、
前記マスク本体の左右他方の縁部の下部には前記被係合部が形成され、この左右他方の縁部の下部に連結する前記紐状部材の他方の端部には前記係合部が形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の衛生マスク。
【請求項3】
前記紐状部材の他方の端部には、前記係合部又は前記被係合部が長手方向に複数形成されている
ことを特徴とする請求項2記載の衛生マスク。
【請求項4】
前記連結手段はスナップボタンからなる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の衛生マスク。
【請求項5】
前記連結手段はボタン及びボタン穴からなる
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の衛生マスク。
【請求項6】
着用者の顔面の対象部位を覆うマスク本体と、前記着用者の前記対象部位を覆う位置に前記マスク本体を保持するための左右一対の紐状部材とを備えた衛生マスクにおいて、
前記左右一対の各紐状部材の両端部が前記マスク本体の左右縁部の上部に連結しているとともに、
前記マスク本体の左右縁部の下部に設けられ且つ前記紐状部材を引っ掛ける引っ掛け部材を備えた
ことを特徴とする衛生マスク。
【請求項7】
着用者の顔面の対象部位を覆うマスク本体と、前記着用者の前記対象部位を覆う位置に前記マスク本体を保持するための左右一対の紐状部材とを備えた衛生マスクにおいて、
前記左右一対の各紐状部材の一方の端部が前記マスク本体の左右縁部の上部に連結しているとともに、
前記左右一対の各紐状部材の他方の端部を前記マスク本体の左右縁部の上部及び下部の何れか一方に着脱自在に連結する連結手段を備えた
ことを特徴とする衛生マスク。
【請求項8】
着用者の顔面の対象部位を覆うマスク本体と、
前記着用者の前記対象部位を覆う位置に前記マスク本体を保持するための左右一対の第1の紐状部材及び第2の紐状部材とを備え、
前記左右一対の第1の紐状部材はそれぞれ、両端部が前記マスク本体の左右縁部の上部に連結しており、
前記左右一対の第2の紐状部材はそれぞれ、両端部が前記マスク本体の左右縁部の下部に連結している
ことを特徴とする衛生マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者の少なくとも口を覆い、花粉や粉塵の浸入を防止するとともに飛沫の拡散を防止する衛生マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感染症予防や感染症拡大防止の観点から社会全体で衛生マスクの着用機会が急増してきている。一般的な従来の衛生マスクは、着用者の顔面の対象部位を覆うマスク本体と、マスク本体の左右縁部に付設した左右一対の耳掛け紐を備えている。耳掛け紐の一方の端部はマスク本体の左右縁部の上部に連結し、耳掛け紐の他方の端部はマスク本体の左右縁部の下部に連結している。耳掛け紐は伸縮性を有しており、この耳掛け紐を伸張させた状態で着用者の耳に掛けることによりマスク本体を着用者の顔面に保持する。
【0003】
しかし、耳掛け紐は伸縮性を有しているため、耳の付け根に耳掛け紐が食い込み不快感が生じるという問題がある。そこで、特許文献1に記載のものでは、耳掛け紐の下側の端部におけるマスク本体との連結位置を可変とすることにより長さ調整を行い、これにより耳の付け根にかかる力を調整できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3197181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで衛生マスクの使用環境はさまざまである。例えば人が比較的密集している場面のようにマスク本体を着用者にしっかり密着させた状態で使用することが求められる場面もあれば、例えば隣り合う人との距離が十分に確保できている場面のように衛生マスクの重要性がやや低下している場面もある。また、気温、室温、湿度等の周囲環境によっては衛生マスクにより息苦しさを感じることがあるので、一時的に衛生マスクを脱ぐという場合がある。さらに、飲食のときにも、一時的に衛生マスクを脱ぐという場合がある。
【0006】
しかし、従来の衛生マスクは、顔面の対象部位を覆う位置でマスク本体を保持するという通常の使用形態の他は、マスク本体をずり下げて顎に保持させる、耳替え紐の一方を耳からはずして他方の耳から衛生マスク全体をぶら下げるという使用形態しか取ることができない。すなわち飛沫防止等の機能を発揮できるのは通常の使用形態のみである。また、飲食をする場合には、衛生マスクを完全にはずす、或いは、片手でマスク本体の下部を捲りあげるという動作が必要となる。後者の場合、衛生マスクを装着しているものの片手が塞がれてしまうので利便性が悪い。このように従来の衛生マスクは使用環境に応じた複数の使用形態をとることが困難であった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、種々の使用環境に応じて複数の使用形態をとることができる衛生マスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願の第1の発明は、着用者の顔面の対象部位を覆うマスク本体と、前記着用者の前記対象部位を覆う位置に前記マスク本体を保持するための左右一対の紐状部材とを備えた衛生マスクにおいて、前記左右一対の各紐状部材の一方の端部が前記マスク本体の左右縁部の上部に連結しているとともに、前記左右一対の一方の紐状部材の他方の端部を前記マスク本体の左右縁部の下部及び他方の紐状部材の他方の端部の何れか一方に着脱自在に連結する連結手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本願の第2の発明は、着用者の顔面の対象部位を覆うマスク本体と、前記着用者の前記対象部位を覆う位置に前記マスク本体を保持するための左右一対の紐状部材とを備えた衛生マスクにおいて、前記左右一対の各紐状部材の両端部が前記マスク本体の左右縁部の上部に連結しているとともに、前記マスク本体の左右縁部の下部に設けられ且つ前記紐状部材を引っ掛ける引っ掛け部材を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本願の第3の発明は、着用者の顔面の対象部位を覆うマスク本体と、前記着用者の前記対象部位を覆う位置に前記マスク本体を保持するための左右一対の紐状部材とを備えた衛生マスクにおいて、前記左右一対の各紐状部材の一方の端部が前記マスク本体の左右縁部の上部に連結しているとともに、前記左右一対の各紐状部材の他方の端部を前記マスク本体の左右縁部の上部及び下部の何れか一方に着脱自在に連結する連結手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本願の第4の発明に係る衛生マスクは、着用者の顔面の対象部位を覆うマスク本体と、前記着用者の前記対象部位を覆う位置に前記マスク本体を保持するための左右一対の第1の紐状部材及び第2の紐状部材とを備え、前記左右一対の第1の紐状部材はそれぞれ、両端部が前記マスク本体の左右縁部の上部に連結しており、前記左右一対の第2の紐状部材はそれぞれ、両端部が前記マスク本体の左右縁部の下部に連結していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、第1の使用形態として、各紐状部材の他方の端部をマスク本体に連結してマスク本体の左右において紐状部材を環状とし、これを着用者の耳に掛けることにより、マスク本体の上下を着用者の顔面に密着保持した状態で使用できる。さらに、第2の使用形態として、各紐状部材の他方の端部を着用者の後頭部において連結することにより、マスク本体の上部のみを着用者の顔面に密着保持し、マスク本体の下部がぶら下がった状態で使用できる。
【0013】
第2の発明によれば、第1の使用形態として、両端部がマスク本体の左右縁部の上部に連結している環状の各紐状部材の中間部を、マスク本体の左右縁部の下部に設けられた引っ掛け部材に引っ掛け、この状態で紐状部材を着用者の耳に掛けることにより、マスク本体の上下を着用者の顔面に密着保持した状態で使用できる。さらに、第2の使用形態として、紐状部材を引っ掛け部材に引っ掛けることなく当該紐状部材を着用者の耳に掛けることにより、マスク本体の上部のみを着用者の顔面に密着保持し、マスク本体の下部がぶら下がった状態で使用できる。
【0014】
第3の発明によれば、第1の使用形態として、各紐状部材の他方の端部をマスク本体の左右縁部の下部に連結してマスク本体の左右において紐状部材を環状とし、これを着用者の耳に掛けることにより、マスク本体の上下を着用者の顔面に密着保持した状態で使用できる。さらに、第2の使用形態として、各紐状部材の他方の端部をマスク本体の左右縁部の上部に連結してマスク本体の左右において紐状部材を環状とし、これを着用者の耳に掛けることにより、マスク本体の上部のみを着用者の顔面に密着保持し、マスク本体の下部がぶら下がった状態で使用できる。
【0015】
第4の発明によれば、第1の使用形態として、両端部がマスク本体の左右縁部の上部に連結している環状の第1の紐状部材及び両端部がマスク本体の左右縁部の下部に連結している環状の第2の紐状部材の双方を着用者の耳に掛けることにより、マスク本体の上下を着用者の顔面に密着保持した状態で使用できる。さらに、第2の使用形態として、前記第2の紐状部材を耳に掛けることなく、第1の紐状部材のみを着用者の耳に掛けることにより、マスク本体の上部のみを着用者の顔面に密着保持し、マスク本体の下部がぶら下がった状態で使用できる。
【0016】
このように本願の各発明によれば、種々の使用環境に応じて複数の使用形態をとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る衛生マスクの外観斜視図
図2】第1の実施形態に係る衛生マスクの外観斜視図
図3】第1の実施形態に係る衛生マスクの正面図
図4】第1の実施形態に係る衛生マスクの正面図
図5】第1の実施形態に係る衛生マスクの使用形態を説明する図
図6】第1の実施形態に係る衛生マスクの使用形態を説明する図
図7】第1の実施形態の変形例に係る衛生マスクの正面図
図8】第1の実施形態の変形例に係る衛生マスクの正面図
図9】第1の実施形態の変形例に係る衛生マスクの正面図
図10】第1の実施形態の変形例に係る衛生マスクの正面図
図11】第1の実施形態の変形例に係る衛生マスクの正面図
図12】第1の実施形態の変形例に係る衛生マスクの正面図
図13】第1の実施形態の変形例に係る衛生マスクの正面図
図14】第2の実施形態に係る衛生マスクの側面図
図15】第3の実施形態に係る衛生マスクの側面図
図16】第4の実施形態に係る衛生マスクの側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の形態に係る衛生マスクについて図面を参照して説明する。図1及び図2は第1の実施形態に係る衛生マスクの外観斜視図、図3及び図4は第1の実施形態に係る衛生マスクの正面図、図5及び図6は第1の実施形態に係る衛生マスクの使用形態を説明する図である。
【0019】
本実施の形態に係る衛生マスク1は、着用者の顔面の対象部位(口、鼻、顎等)を覆うマスク本体10と、着用者の対象部位を覆う位置にマスク本体10を保持するための左右一対の耳掛け紐20,30とを備えている。
【0020】
マスク本体10は、一対の略台形の布体をその底辺同士を接合することにより顔面の形状に沿った立体形状となっている。特にマスク本体10は、中央上部が前方に突出した突出部11が形成されており、この突出部11が着用者の鼻頭に支持される。マスク本体10は、不織布・ガーゼ・タオル地などの通気性を有する素材により構成される。
【0021】
耳掛け紐20,30は、収縮性を有する紐状部材からなる。本実施の形態では、耳掛け紐20,30として、伸縮性を有する不織布製の平紐を用いた。
【0022】
耳掛け紐20,30の一方の端部は、マスク本体10の左右縁部の上部に縫製や圧着等により連結している。一方、耳掛け紐20,30の他方の端部は、マスク本体10の左右縁部の下部に連結手段であるスナップボタン40により着脱自在に連結している。なお、耳掛け紐20,30とマスク本体10の連結面は、マスク本体10の表側であっても裏側であってもよい。
【0023】
スナップボタン40は、係合部である凸部を有する雄部41と、前記凸部と着脱自在に係合する被係合部である凹部を有する雌部42の組からなる。本実施の形態に係る衛生マスク1は、一方(本実施の形態では正面からみて右側)の耳掛け紐20の端部に雄部41を設けるととともに、対応するマスク本体10の左右一方の縁部の下部には雌部42を設ける。そして、他方(本実施の形態では正面からみて左側)の耳掛け紐30の端部に雌部42を設けるととともに、対応するマスク本体10の左右他方の縁部の下部には雄部41を設ける。すなわち、連結手段における係合部と被係合部を付設する対象物が左右で反転して設けられている。これにより、図2に示すように、一方の耳掛け紐20の端部と他方の耳掛け紐30の端部とをスナップボタン40により互いに連結することが可能となる。
【0024】
本実施の形態に係る衛生マスク1では、図5に示す第1の使用形態と、図6に示す第2の使用形態という2通りの使用形態が可能となる。すなわち、第1の使用形態では、各耳掛け紐20,30の端部をマスク本体10に連結してマスク本体10の左右において耳掛け紐20,30を環状とし、これを着用者の耳に掛けることにより、マスク本体10の上下を着用者の顔面に密着保持した状態で使用できる。この使用形態では、マスク本体10と着用者との間で高い密着性を得ることができるので、高い防塵機能や飛沫拡散防止機能を発揮できる。
【0025】
一方、第2の使用形態では、各耳掛け紐20,30の端部を着用者の後頭部において互いに連結することにより、マスク本体10の上部のみを着用者の顔面に密着保持し、マスク本体10の下部がぶら下がった状態で使用できる。ここで、マスク本体10に形成された突出部11によりマスク本体10の上部を着用者の鼻頭に支持させ、衛生マスク1の保持を確実にしている。この使用形態では、防塵機能や飛沫拡散防止機能は劣るものの、衛生マスク1の内側に外気を取り入れやすいので、衛生マスク1の内側の温度や湿度上昇による不快感を軽減することができるとともに、マスク本体10の下方から飲食物を口に容易に運ぶことが可能となる。
【0026】
次に、本実施の形態に係る衛生マスク1の変形例について説明する。図7及び図8に示す衛生マスク1a,1bは、耳掛け紐20,30の長さ調整機構を備えたものである。すなわち、図7に示す衛生マスク1aは、耳掛け紐20の端部に複数の雄部41を間隔をおいて設けるとともに、耳掛け紐30の端部に複数の雌部42を間隔をおいて設けたものである。また、図8に示す衛生マスク1bは、一方の耳掛け紐20の端部に複数の雄部41を間隔をおいて設け、他方の耳掛け紐20には雌部42を1つ設けたものである。
【0027】
また、図9に示す衛生マスク1cは、耳掛け紐20,30とマスク本体10との着脱自在な連結手段として、係合部であるボタン51と被係合部であるボタン穴52を用いたものである。なお、ボタン51及びボタン穴52を用いた場合であっても、図7及び図8に示すものと同様に、長さ調整機構を採用することができる。
【0028】
また、図10に示す衛生マスク1dは、耳掛け紐20,30とマスク本体10との着脱自在な連結手段として、係合部であるフック状に起毛された雄面61と、被係合部であるループ状に起毛された雌面62とからなる面ファスナーを用いたものである。この場合、耳掛け紐20,30の端部に設ける雄面61又は雌面62を耳掛け紐の長手方向に延在させることにより、長さ調整機構を実現することができる。なお、本変形例においても、図7及び図8に示すものと同様の長さ調整機構を採用することもできる。
【0029】
また、図11及び図12に示す衛生マスク1eは、マスク本体10としてプリーツ型のマスク本体10を用いたものである。すなわち、マスク本体10は、正面視にて略矩形状に形成され、上下方向に広がることが可能なプリーツが上下方向に複数形成されている。そして、衛生マスク1eの着用時にはプリーツが上下方向に広がることによりマスク本体10が山型の立体的形状となる。さらに、マスク本体10は、鼻頭に支持する突出部11の形状を形成・維持するために、塑性変形可能な長板状の金属板12を備えている。なお、本変形例に対して、更に上述の各変形例を任意に適用することができる。
【0030】
また、図13に示す衛生マスク1fは、耳掛け紐20,30とマスク本体10の左右縁部の上部の連結を着脱自在に構成したものである。ここで、耳掛け紐20,30の端部に設ける連結手段は、一方の端部と他方の端部が連結手段の係合部と被係合部とを構成するようにすると好適である。具体的には、図13に示すように、耳掛け紐20の上側の端部には雌部42を設けるとともに下側の端部には雄部41を設ける。一方、耳掛け紐30の上側の端部には雄部41を設けるとともに下側の端部には雌部42を設ける。マスク本体10の左右縁部の上部には、それぞれ耳掛け紐20,30の上側の端部と対応するよう、雄部41及び雌部42を設ける。このような組み合わせにより、左右の耳掛け紐20,30を共通化することができるのでコスト削減を図れる。また、マスク本体10を左右中央を中心として左右方向に折りたたみ、左右縁部の雄部41と雌部42を連結することにより、衛生マスク1fを折りたたんだ状態を維持することができる。なお、本変形例に対して、更に上述の各変形例を任意に適用することができる。
【0031】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る衛生マスクについて図面を参照して説明する。図14は第2の実施形態に係る衛生マスクの側面図である。
【0032】
本実施の形態に係る衛生マスク2は、図14に示すように、着用者の顔面の対象部位(口、鼻、顎等)を覆うマスク本体10と、着用者の対象部位を覆う位置にマスク本体10を保持するための左右一対の耳掛け紐20とを備えている。
【0033】
マスク本体10は、一対の略台形の布体をその底辺同士を接合することにより顔面の形状に沿った立体形状となっている。特にマスク本体10は、中央上部が前方に突出した突出部11が形成されており、この突出部11が着用者の鼻頭に支持される。マスク本体10は、不織布・ガーゼ・タオル地などの通気性を有する素材により構成される。
【0034】
耳掛け紐20は、収縮性を有する紐状部材からなる。本実施の形態では、耳掛け紐20として、伸縮性を有する不織布製の平紐を用いた。
【0035】
各耳掛け紐20の両端部は、それぞれマスク本体10の左右縁部の上部に縫製や圧着等により連結している。なお、各耳掛け紐20は、スナップボタン等によりマスク本体10と着脱自在に連結するようにしてもよい。また、耳掛け紐20とマスク本体10の連結面は、マスク本体10の表側であっても裏側であってもよい。
【0036】
マスク本体10の左右縁部の下部には、耳掛け紐20の中間部を引っ掛けて、耳掛け紐20の伸縮力によりマスク本体10の上下を顔面方向に付勢させるための引っ掛け部材13が設けられている。引っ掛け部材13は、例えばL字又はコ字状の樹脂部材や金属部材からなる。
【0037】
このような衛生マスク2では、図14(b)に示すように、第1の使用形態として、両端部がマスク本体10の左右縁部の上部に連結している環状の各耳掛け紐20の中間部を、マスク本体10の左右縁部の下部に設けられた引っ掛け部材13に引っ掛け、この状態で耳掛け紐20を着用者の耳に掛けることにより、マスク本体10の上下を着用者の顔面に密着保持した状態で使用できる。この使用形態では、マスク本体10と着用者との間で高い密着性を得ることができるので、高い防塵機能や飛沫拡散防止機能を発揮できる。
【0038】
一方、図14(a)に示すように、第2の使用形態として、各耳掛け紐20を引っ掛け部材13に引っ掛けることなく当該耳掛け紐20を着用者の耳に掛けることにより、マスク本体10の上部のみを着用者の顔面に密着保持し、マスク本体10の下部がぶら下がった状態で使用できる。ここで、マスク本体10に形成された突出部11によりマスク本体10の上部を着用者の鼻頭に支持させ、衛生マスク2の保持を確実にしている。この使用形態では、防塵機能や飛沫拡散防止機能は劣るものの、衛生マスク2の内側に外気を取り入れやすいので、衛生マスク2の内側の温度や湿度上昇による不快感を軽減することができるとともに、マスク本体10の下方から飲食物を口に容易に運ぶことが可能となる。
【0039】
本実施の形態にかかる衛生マスク2については、第1の実施の形態における変形例と同様に、マスク本体10をプリーツ型としてもよい。また、耳掛け紐20は、マスク本体10に対してスナップボタン等の周知の連結手段により着脱自在としてもよい。
【0040】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る衛生マスクについて図面を参照して説明する。図15は第3の実施形態に係る衛生マスクの側面図である。
【0041】
本実施の形態に係る衛生マスク3は、図15に示すように、着用者の顔面の対象部位(口、鼻、顎等)を覆うマスク本体10と、着用者の対象部位を覆う位置にマスク本体10を保持するための左右一対の耳掛け紐20とを備えている。
【0042】
マスク本体10は、一対の略台形の布体をその底辺同士を接合することにより顔面の形状に沿った立体形状となっている。特にマスク本体10は、中央上部が前方に突出した突出部11が形成されており、この突出部11が着用者の鼻頭に支持される。マスク本体10は、不織布・ガーゼ・タオル地などの通気性を有する素材により構成される。
【0043】
耳掛け紐20は、収縮性を有する紐状部材からなる。本実施の形態では、耳掛け紐20として、伸縮性を有する不織布製の平紐を用いた。
【0044】
各耳掛け紐20の一方の端部は、マスク本体10の左右縁部の上部に縫製や圧着等により連結している。一方、各耳掛け紐20の他方の端部は、スナップボタン等の着脱自在な連結手段によりマスク本体10の左右縁部の上部及び下部の何れか一方に連結している。本実施の形態では、連結手段として雄部41及び雌部42からなるスナップボタン40を用いた。すなわち、耳掛け紐20の他方の端部には雌部42を設けるとともに、マスク本体10の左右縁部の上部及び下部にそれぞれ雄部41を設けた。なお、耳掛け紐20とマスク本体10の連結面は、マスク本体10の表側であっても裏側であってもよい。
【0045】
このような衛生マスク3では、図15(c)に示すように、第1の使用形態として、各耳掛け紐20の他方の端部をマスク本体10の左右縁部の下部に連結してマスク本体10の左右において耳掛け紐20を環状とし、これを着用者の耳に掛けることにより、マスク本体10の上下を着用者の顔面に密着保持した状態で使用できる。この使用形態では、マスク本体10と着用者との間で高い密着性を得ることができるので、高い防塵機能や飛沫拡散防止機能を発揮できる。
【0046】
一方、第2の使用形態として、図15(b)に示すように、各耳掛け紐20の他方の端部とマスク本体10の左右縁部の下部との連結を解除し、図15(a)に示すように、各耳掛け紐20の他方の端部をマスク本体10の左右縁部の上部に連結してマスク本体10の左右において耳掛け紐20を環状とし、これを着用者の耳に掛けることにより、マスク本体10の上部のみを着用者の顔面に密着保持し、マスク本体10の下部がぶら下がった状態で使用できる。ここで、マスク本体10に形成された突出部11によりマスク本体10の上部を着用者の鼻頭に支持させ、衛生マスク3の保持を確実にしている。この使用形態では、防塵機能や飛沫拡散防止機能は劣るものの、衛生マスク3の内側に外気を取り入れやすいので、衛生マスク3の内側の温度や湿度上昇による不快感を軽減することができるとともに、マスク本体10の下方から飲食物を口に容易に運ぶことが可能となる。
【0047】
本実施の形態にかかる衛生マスク3については、第1の実施の形態における変形例と同様に、マスク本体10をプリーツ型としてもよい。また、第1の実施の形態における変形例と同様に、耳掛け紐20とマスク本体10の連結手段としてボタン及びボタン穴など他の手段を用いてもよい。また、第1の実施の形態における変形例と同様に、耳掛け紐20に長さ調整機構を設けてもよい。
【0048】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る衛生マスクについて図面を参照して説明する。図16は第4の実施形態に係る衛生マスクの側面図である。
【0049】
本実施の形態に係る衛生マスク4は、図16に示すように、着用者の顔面の対象部位(口、鼻、顎等)を覆うマスク本体10と、着用者の対象部位を覆う位置にマスク本体10を保持するための左右一対の上側耳掛け紐21及び左右一対の下側耳掛け紐22とを備えている。
【0050】
マスク本体10は、一対の略台形の布体をその底辺同士を接合することにより顔面の形状に沿った立体形状となっている。特にマスク本体10は、中央上部が前方に突出した突出部11が形成されており、この突出部11が着用者の鼻頭に支持される。マスク本体10は、不織布・ガーゼ・タオル地などの通気性を有する素材により構成される。
【0051】
上側耳掛け紐21及び下側耳掛け紐22は、収縮性を有する紐状部材からなる。本実施の形態では、上側耳掛け紐21及び下側耳掛け紐22として、伸縮性を有する不織布製の平紐を用いた。
【0052】
上側耳掛け紐21の両端部は、マスク本体10の左右縁部の上部に縫製や圧着等により連結している。なお、上側耳掛け紐21は、スナップボタン等によりマスク本体10と着脱自在に連結するようにしてもよい。また、上側耳掛け紐21とマスク本体10の連結面は、マスク本体10の表側であっても裏側であってもよい。
【0053】
同様に、下側耳掛け紐22の両端部は、マスク本体10の左右縁部の下部に縫製や圧着等により連結している。なお、下側耳掛け紐22は、スナップボタン等によりマスク本体10と着脱自在に連結するようにしてもよい。また、下側耳掛け紐22とマスク本体10の連結面は、マスク本体10の表側であっても裏側であってもよい。
【0054】
このような衛生マスク4では、図16(a)に示すように、第1の使用形態として、両端部がマスク本体10の左右縁部の上部に連結している環状の上側耳掛け紐21及び両端部がマスク本体10の左右縁部の下部に連結している環状の下側耳掛け紐22の双方を着用者の耳に掛けることにより、マスク本体10の上下を着用者の顔面に密着保持した状態で使用できる。この使用形態では、マスク本体10と着用者との間で高い密着性を得ることができるので、高い防塵機能や飛沫拡散防止機能を発揮できる。
【0055】
一方、図16(b)に示すように、第2の使用形態として、下側耳掛け紐22を耳に掛けることなく、上側耳掛け紐21のみを着用者の耳に掛けることにより、マスク本体10の上部のみを着用者の顔面に密着保持し、マスク本体10の下部がぶら下がった状態で使用できる。ここで、マスク本体10に形成された突出部11によりマスク本体10の上部を着用者の鼻頭に支持させ、衛生マスク4の保持を確実にしている。この使用形態では、防塵機能や飛沫拡散防止機能は劣るものの、衛生マスク4の内側に外気を取り入れやすいので、衛生マスク4の内側の温度や湿度上昇による不快感を軽減することができるとともに、マスク本体10の下方から飲食物を口に容易に運ぶことが可能となる。
【0056】
本実施の形態にかかる衛生マスク4については、第1の実施の形態における変形例と同様に、マスク本体10をプリーツ型としてもよい。また、上側耳掛け紐21及び下側耳掛け紐22は、マスク本体10に対してスナップボタン等の周知の連結手段により着脱自在としてもよい。
【0057】
以上、本発明の一実施の形態について詳述したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよい。例えば、マスク本体は、周知の他の素材や構造等を採用してもよい。また、耳掛け紐も、周知の他の素材を採用してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1,1a~1f,2,3,4…衛生マスク
10…マスク本体
20,30…耳掛け紐
21…上側耳掛け紐
22…下側耳掛け紐
40…スナップボタン
41…雄部
42…雌部
51…ボタン
52…ボタン穴
61…雄面
62…雌面
図1
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