(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041707
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】遮蔽装置および車両
(51)【国際特許分類】
B60R 13/10 20060101AFI20220304BHJP
B62J 50/26 20200101ALI20220304BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20220304BHJP
【FI】
B60R13/10
B62J50/26
B62J45/00
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147073
(22)【出願日】2020-09-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-01-06
(71)【出願人】
【識別番号】518310710
【氏名又は名称】glafit株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 禎造
(72)【発明者】
【氏名】古岡 睦章
【テーマコード(参考)】
3D024
【Fターム(参考)】
3D024CA01
3D024CA17
(57)【要約】
【課題】車両の使用方法の切り替えに応じて、ナンバープレートを遮蔽可能な遮蔽装置および車両を提供する。
【解決手段】
遮蔽装置20は、遮蔽部21および制御部を有している。遮蔽部21は、車両のナンバープレート11を遮蔽するように動作可能である。制御部は、原動機15の動力が遮断されていないとき、遮蔽部21によるナンバープレート11の遮蔽を不可とし、原動機15の動力が遮断されているとき、遮蔽部21によるナンバープレート11の遮蔽を可能とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機によって駆動可能な車両のナンバープレートを遮蔽するように動作可能な遮蔽部と、
前記原動機の動力が遮断されていないとき、前記遮蔽部による前記ナンバープレートの遮蔽を不可とし、
前記原動機の動力が遮断されているとき、前記遮蔽部による前記ナンバープレートの遮蔽を可能とする制御部と、
を備える、遮蔽装置。
【請求項2】
原動機によって駆動可能な車両のナンバープレートを遮蔽するように動作可能な遮蔽部と、
前記遮蔽部が前記ナンバープレートを遮蔽している間、前記原動機の動力を遮断する遮断部と、
を備える、遮蔽装置。
【請求項3】
前記遮蔽部が前記ナンバープレートを遮蔽している間、前記原動機の動力を遮断する遮断部をさらに有する、請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記遮断部は、前記遮蔽部が前記ナンバープレートを遮蔽している間、前記原動機への電源の供給を遮断する、請求項2または3に記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記遮蔽部は、前記ナンバープレートを遮蔽する遮蔽状態と、前記ナンバープレートを露出させる露出状態とを有する、請求項1~4のいずれかに記載の遮蔽装置。
【請求項6】
前記遮蔽部を、前記露出状態に固定可能な第1固定部をさらに有する、請求項5に記載の遮蔽装置。
【請求項7】
前記第1固定部は、前記遮蔽部を前記露出状態に固定する固定状態と、前記遮蔽部を前記露出状態に固定しない解除状態とを有する、請求項6に記載の遮蔽装置。
【請求項8】
前記固定状態および前記解除状態は電気的または機械的に切り替え可能である、請求項7に記載の遮蔽装置。
【請求項9】
前記固定状態の前記第1固定部は、前記遮蔽部の一端を支持する、請求項7または8に記載の遮蔽装置。
【請求項10】
前記原動機の動力が遮断されているとき、前記第1固定部を変位させて、前記遮蔽部を前記遮蔽状態にするための操作を受け付ける第1固定解除部をさらに含む、請求項6~9のいずれかに記載の遮蔽装置。
【請求項11】
前記遮蔽部を、前記露出状態に固定可能な第2固定部をさらに有する、請求項6~10のいずれかに記載の遮蔽装置。
【請求項12】
前記第2固定部は、前記遮蔽部を前記露出状態に固定する固定状態と、前記遮蔽部を前記露出状態に固定しない解除状態とを有する、請求項11に記載の遮蔽装置。
【請求項13】
前記第2固定部を変位させて、前記遮蔽部を前記遮蔽状態にするための操作を受け付ける第2固定解除部をさらに含む、請求項11または12に記載の遮蔽装置。
【請求項14】
前記第1固定解除部は前記遮蔽部の一端側に設けられ、前記第2固定解除部は、前記遮蔽部の他端側に設けられる、請求項10に従属する請求項13に記載の遮蔽装置。
【請求項15】
原動機によって駆動可能であるとともに、ナンバープレートを有する車両であって、
請求項1~14のいずれかに記載の遮蔽装置を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、用途に応じて様々な使用方法を提供可能な車両の開発が進められている(たとえば、特許文献1参照)。このような車両においては、目的または状況等に応じて、ユーザーが使用方法を選択することができる。
【0003】
さらに近年では、電動バイクとしての使用および自転車としての使用を切り換えられる車両も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような車両においては、ユーザーがどの方法で車両を使用しているのかを、周囲が認識できることが望ましい。
【0006】
ここで、電動バイク等の車両には、ナンバープレートが設けられる必要がある。一方、自転車等の車両には、ナンバープレートが設けられる必要はない。このため、ナンバープレートを視認できるとき、周囲は、この車両を電動バイク等と認識し、ナンバープレートを視認できないとき、周囲は、この車両を自転車等と認識する。
【0007】
したがって、ユーザーがどの方法で車両を使用しているのかを、周囲に適切に認識させるために、車両の使用方法の切り替えに応じて、ナンバープレートを遮蔽可能な遮蔽装置および車両を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記によって達成される。
【0009】
遮蔽装置は、遮蔽部と、制御部とを備える。遮蔽部は、原動機によって駆動可能な車両のナンバープレートを遮蔽するように動作可能に構成される。制御部は、原動機の動力が遮断されていないとき、遮蔽部によるナンバープレートの遮蔽を不可とし、原動機の動力が遮断されているとき、遮蔽部によるナンバープレートの遮蔽を可能とするように制御する。
【0010】
遮蔽装置は、遮蔽部と、遮断部とを備える。遮蔽部は、原動機によって駆動可能な車両のナンバープレートを遮蔽するように動作可能に構成される。遮断部は、遮蔽部がナンバープレートを遮蔽している間、原動機の動力を遮断する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の遮蔽装置および車両は、遮蔽部を有しており、少なくとも、ナンバープレートが遮蔽されている間は、原動機の動力が遮断されている。換言すれば、ユーザーが、原動機の動力を遮断して車両を使用するとき、ナンバープレートを遮蔽することができる。したがって、車両の使用方法の切り替えに応じて、ナンバープレートを遮蔽することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る遮蔽装置の概略構成を表す斜視図である。
【
図2】
図1に示した遮蔽装置の異なる状態を表す斜視図である。
【
図4】
図3に示した遮蔽装置の異なる状態を表す斜視図である。
【
図5】(A)は、
図1等に示した第1固定部の固定状態、(B)は解除状態を各々表す平面図である。
【
図6】
図1等に示した遮蔽装置の第1状態~第8状態を表す一覧表である。
【
図7】
図6に示した第1状態の遮蔽装置の構成の一例を表す回路図である。
【
図8】
図6に示した第2状態の遮蔽装置の構成の一例を表す回路図である。
【
図9】
図6に示した第3状態の遮蔽装置の構成の一例を表す回路図である。
【
図10】
図6に示した第4状態の遮蔽装置の構成の一例を表す回路図である。
【
図11】
図6に示した第5状態~第8状態の遮蔽装置の構成の一例を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照して本発明の遮蔽装置および車両の実施形態を説明する。なお、図中、同一の部材には同一の符号を用いた。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0014】
<遮蔽装置20の構成>
図1~
図4は、本発明の一実施形態に係る車両の要部の構成を表す斜視図である。
図1~
図4には、車両の遮蔽装置20の概略構成を、車両本体(後述の
図7等の車両本体10)のナンバープレート11とともに表している。
図1および
図3は、周囲からナンバープレート11が視認できるときの遮蔽装置20の構成を表す斜視図である。
図1および
図3は、互いに異なる方向の斜視図である。
図2および
図4は、周囲からナンバープレート11が視認できないときの遮蔽装置20の構成を表す斜視図である。
図2および
図4は、互いに異なる方向の斜視図である。
【0015】
本実施形態に係る車両は、たとえば、原動機付き自転車である。この車両は、たとえば、ペダルを有しており、原動機(後述の
図7~
図11の原動機15)の動力が車輪に伝達されない状態で使用することが可能である。以下の説明では、原動機の動力が車輪に伝達されない状態を、原動機の動力が遮断された状態という。原動機の動力が遮断された状態は、たとえば、原動機に電源が接続されていない状態や、原動機に電源が接続されているものの電子的制御または機械的制御等の各種方法によって原動機の駆動が停止されている状態、あるいは、クラッチ等の機構によって原動機の動力が車輪に伝達されないようになっている状態等、車両が原動機の動力によって駆動され得ないあらゆる状態を含む。原動機の動力が遮断されないとき、この車両は電動バイクとして使用され、原動機の動力が遮断されるとき、この車両は自転車として使用される。遮蔽装置20は、たとえば、このような車両のナンバープレート11に取り付けられている。
【0016】
遮蔽装置20は、たとえば、ナンバープレート11の表面(数字等が記載されている面)側に設けられた遮蔽部21と、遮蔽部21の両端に設けられた側板22A,22Bと、側板22Aおよび側板22Bをつなぐ連結板23とを有している。たとえば、側板22Aに、第1固定部25、第1固定解除部24および遮断部28が設けられており、遮蔽部21に、第2固定部27および第2固定解除部26が設けられている。以下の説明では、ナンバープレート11の長辺方向をX方向、ナンバープレート11の短辺方向をZ方向、ナンバープレート11に対して垂直方向をY方向とも言う。
【0017】
以下、遮蔽装置20の各部の構成を説明する。
【0018】
(遮蔽部21)
遮蔽部21は、たとえば、略矩形の板状部材である。遮蔽部21は、たとえば、不透明である。遮蔽部21の大きさは、たとえば、ナンバープレート11の大きさと同程度である。ナンバープレート11の大きさは、ナンバープレート11より大きくてもよく、あるいは、ナンバープレート11の主要部(たとえば、数字部分)を覆うことができれば、ナンバープレート11より小さくてもよい。たとえば、略矩形状の遮蔽部21の長辺の一方(
図1~
図4の紙面上方向)の両端が側板22A,22Bに取り付けられている。
【0019】
この遮蔽部21は、ナンバープレート11を遮蔽するように動作する。具体的には、遮蔽部21は、ナンバープレート11を遮蔽する遮蔽状態と、ナンバープレート11を露出させる露出状態とを有している。
図1および
図3に示した遮蔽部21は露出状態であり、
図2および
図4に示した遮蔽部21は遮蔽状態である。
【0020】
露出状態の遮蔽部21は、たとえば、ナンバープレート11に略垂直に設けられている。遮蔽部21が露出状態のとき、周囲から車両のナンバープレート11が視認される。遮蔽状態の遮蔽部21は、たとえば、ナンバープレート11に略平行に設けられ、ナンバープレート11を覆っている。遮蔽部21が遮蔽状態のとき、周囲から車両のナンバープレート11が視認できなくなる。遮蔽状態では、ナンバープレート11の主要部が覆われていれば、ナンバープレート11の一部が遮蔽部21から露出されていてもよい(
図4)。たとえば、遮蔽部21では、長辺の一方を軸として回動することにより、露出状態および遮蔽状態が切り替わる。
【0021】
遮蔽部21は、たとえば、側板22A側に、突部21Pを有している。この突部21Pは、側板22A側の遮蔽部21の短辺が延在した部分であり、遮蔽状態のとき、ナンバープレート11からZ方向に突出して配置される(
図2、
図4)。露出状態のとき、突部21Pは、側板22Aに重なる位置に配置される(
図1、
図3)。たとえば、この突部21Pには、突部21PをX方向に貫通する穴21Hが設けられている。
【0022】
(側板22A,22B)
側板22A,22Bは、略四角形の板状部材であり、たとえば、ナンバープレート11を間にして、互いにX方向に対向している。たとえば、側板22A,22Bは、YZ平面に平行であり、ナンバープレート11に略垂直に設けられている。側板22Aには、たとえば、側板22AをX方向に貫通する穴22Hが設けられている。この穴22Hは、たとえば、第1固定部25(より具体的には、後述の可動部25M)に重なる位置に設けられている。側板22Bには、たとえば、2つの切欠部(切欠部C1,C2)が設けられている。切欠部C1,C2は、互いに交差する方向に設けられている。たとえば、切欠部C1はY方向に設けられ、切欠部C2はZ方向に設けられている。
【0023】
(連結板23)
連結板23は、ナンバープレート11の裏面側に配置されている。連結板23は、たとえば、略矩形の板状部材である。たとえば、この連結板23は、XY平面に平行であり、側板22A,22Bに略垂直に設けられている。
【0024】
(第1固定部25)
第1固定部25は、たとえば、側板22Aのうち、側板22Bとの非対向面に設けられている。この第1固定部25は、たとえば、側板22A側で、遮蔽部21を露出状態に固定する役割を担っている。換言すれば、第1固定部25は、遮蔽部21を露出状態に固定可能である。この第1固定部25は、たとえば、露出状態の遮蔽部21のX方向の一端を支持することにより、遮蔽部21を露出状態に固定する。
【0025】
第1固定部25は、遮蔽部21を露出状態に固定する固定状態と、遮蔽部21を露出状態に固定しない解除状態とを有している。第1固定部25は、たとえば、可動部25Mと、可動部25Mを収容するフレーム25Fとを含んでいる。第1固定部25は、たとえば、ソレノイド等により構成されている。
【0026】
図5(A)(B)は、固定状態および解除状態の第1固定部25の一例を表す平面図である。
図5(A)は、固定状態の第1固定部25を表し、
図5(B)は、解除状態の第1固定部25を表している。可動部25Mは、たとえば、X方向に延在する棒状部材であり、X方向に沿って移動する。
【0027】
固定状態の第1固定部25では、解除状態に比べて、可動部25Mが側板22B側に近づき、側板22Aの穴22Hを介して遮蔽部21(より具体的には突部21P)の穴21Hに挿入される。これにより、遮蔽部21の露出状態が固定される。一方、解除状態の第1固定部25では、固定状態に比べて、可動部25Mが側板22B側から離れ、遮蔽部21の穴21Hから外れる。これにより、側板22A側では、遮蔽部21の露出状態が維持されなくなる。第1固定部25の固定状態および解除状態は、たとえば、ソレノイドにより、電気的に切り替えられる。第1固定部25の固定状態および解除状態は、機械的に切り替えられてもよく、あるいは、電気的および機械的の両方により切り替えられてもよい。
【0028】
(第1固定解除部24)
第1固定解除部24は、たとえば、側板22Aのうち、側板22Bとの非対向面に設けられており、第1固定部25と異なる位置に配置されている。第1固定解除部24は、ユーザーの操作を受け付けることにより、第1固定部25を固定状態から解除状態に切り替えることが可能となる。
【0029】
第1固定解除部24は、たとえば、押しボタン式の2連スイッチを含んでいる。ユーザーが第1固定解除部24を押下することにより、第1固定部25を固定状態から解除状態に切り替えるための操作が受け付けられる。
【0030】
本実施形態では、原動機の動力が遮断されているときに、第1固定解除部24がユーザーの操作を受け付けると、第1固定部25は固定状態から解除状態となる。一方、原動機の動力が遮断されていないときに、第1固定解除部24がユーザーの操作を受け付けても、第1固定部25の固定状態が維持される。即ち、遮蔽装置20は、原動機の動力が遮断されていないとき、遮蔽部21によるナンバープレート11の遮蔽を不可とし、原動機の動力が遮断されているとき、遮蔽部21によるナンバープレート11の遮蔽を可能とする。したがって、ユーザーは、原動機15の動力を遮断して車両を使用するときのみ、ナンバープレート11を遮蔽することが可能となる。この第1固定部25と第1固定解除部24との電気的な関係は、後述する。
【0031】
(第2固定解除部26、第2固定部27)
第2固定解除部26および第2固定部27は、たとえば、一体化して配置されている。この一体化した第2固定解除部26および第2固定部27は、遮蔽部21の側板22B側の端面(YZ平面)に設けられている。換言すれば、第2固定解除部26および第2固定部27は、遮蔽部21のX方向の他端側に設けられている。
【0032】
第2固定部27は、たとえば、板バネ等の付勢部材を含む板状部材であり、遮蔽部21から離れる方向に付勢されている。この第2固定部27は、側板22B側で、遮蔽部21を露出状態に固定する役割を担っている。換言すれば、第2固定部27は、遮蔽部21を露出状態に固定可能である。
【0033】
第2固定部27は、遮蔽部21を露出状態に固定する固定状態と、遮蔽部21を露出状態に固定しない解除状態とを有している。たとえば、第2固定部27の一部が側板22Bの切欠部C1に嵌合されることにより、第2固定部27は固定状態となり、側板22B側で遮蔽部21の露出状態が固定される。たとえば、切欠部C1から第2固定部27を外すことにより、第2固定部27は解除状態に切り替わる。
【0034】
第2固定部27は、たとえば、遮蔽部21を遮蔽状態に維持する役割も担っている。たとえば、第2固定部27の一部が側板22Bの切欠部C2に嵌合されることにより、遮蔽部21の遮蔽状態が固定される。
【0035】
第2固定解除部26は、ユーザーの操作を受け付けることにより、第2固定部27を固定状態から解除状態に切り替えることが可能となる。第2固定解除部26は、たとえば、ボタン形状を有しており、ユーザーが第2固定解除部26を押下することにより、第2固定部27を固定状態から解除状態に切り替えるための操作が受け付けられる。
【0036】
第2固定解除部26がユーザーに押下されると、固定状態の第2固定部27は、付勢力に反して遮蔽部21に近づく。これにより、第2固定部27が切欠部C1から外れ、第2固定部27は解除状態となる。切欠部C2に嵌合された第2固定部27は、ユーザーが第2固定解除部26を押下することにより、切欠部C2から外れる。
【0037】
(遮断部28)
遮断部28は、たとえば、側板22Aのうち、側板22Bとの対向面に設けられている。この遮断部28は、遮蔽部21が遮蔽状態にあるときに、原動機の動力を遮断する役割を担っている。遮断部28は、たとえば、遮蔽部21が遮蔽状態にあるとき、原動機への電源の供給を遮断する。
【0038】
遮断部28は、たとえば、切り替えスイッチを含んでいる。遮断部28では、この切り替えスイッチが、遮蔽部21の遮蔽状態および露出状態の切り替えと連動して切り替わる。たとえば、遮蔽部21が露出状態にあるとき、遮断部28に遮蔽部21の突部21Pが接している(
図3)。このとき、遮断部28は、原動機への電源の供給を遮断しない。一方、遮蔽部21が露出状態から遮蔽状態に切り替えられると、遮断部28から突部21Pが離れ、遮断部28のスイッチが切り替わる。これにより、遮断部28は、原動機への電源の供給を遮断する。
【0039】
本実施形態では、遮蔽装置20が、このような遮断部28を有しているので、少なくとも、遮蔽部21が遮蔽状態の間、原動機の動力が遮断される。これにより、ナンバープレート11を遮蔽した状態での、電動バイクとしての車両の使用を防ぐことができる。
【0040】
<遮蔽装置20の回路構成>
次に、
図6とともに、
図7~
図11を用いて、遮蔽装置20の回路構成を説明する。
図6は、遮蔽部21、車両本体(後述の車両本体10)のキースイッチ(後述のキースイッチ12)および原動機(後述の原動機15)、第1固定解除部24および第1固定部25各々の状態を表す一覧表である。
図7~
図11は、
図6に示した各状態での遮蔽装置20の回路構成を表す。
【0041】
遮蔽装置20は、たとえば、車両の電源30と第1固定解除部24との間に設けられた降圧モジュール31およびダイオード32と、第1固定解除部24に接続された非常用電源33と、非常用電源33と第1固定解除部24との間に設けられたダイオード34と、第1固定解除部24と第1固定部25との間に設けられたリレー35とを有している(
図7~
図11)。ここでは、たとえば、第1固定解除部24、第1固定部25およびリレー35が、本発明の制御部の一具体例に対応する。
【0042】
車両本体10には、たとえば、遮断部28を介して電源30に接続されたキースイッチ12と、キースイッチ12と第1固定解除部24との間に設けられたコントローラー13と、コントローラー13に接続されたスロットル14および原動機15とが設けられている(
図7~
図11)。
【0043】
電源30は、たとえば、車両に搭載されているバッテリーであり、この電源30により、遮蔽装置20および車両本体10に電源が供給される。電源30の電圧は、たとえば、24V~36Vである。電源30は、遮断部28により車両本体10への電源の供給が遮断されている間、車両の電装品、具体的には、ヘッドライトおよびテールライト等に電源を供給してもよい。
【0044】
降圧モジュール31は、電源30と第1固定部25との間に設けられており、電源30の電圧を、第1固定部25の定格電圧に適合する電圧まで降圧させる。ダイオード32は降圧モジュール31に、ダイオード34は非常用電源33に、各々逆電圧がかからないようにするための保護用のダイオードである。
【0045】
非常用電源33は、たとえば、USB電源であり、ダイオード34を介して、第1固定解除部24、リレー35および第1固定部25に接続されている。遮蔽装置20には、この非常用電源33が設けられているので、電源30から遮蔽装置20に電源が供給されない場合であっても、第1固定部25に電源を供給することが可能となる。
【0046】
第1固定解除部24と第1固定部25との間に設けられたリレー35は、第1固定解除部24の状態と、車両本体10のコントローラー13からのオン信号の有無とに応じて、第1固定部25を制御する。
【0047】
キースイッチ12は、オン状態で、コントローラー13を介してスロットル14および原動機15に電源を供給する。即ち、ユーザーが、キースイッチ12をオン状態とすることにより、車両を電動バイクとして使用することが可能となる。
【0048】
コントローラー13は、キースイッチ12と第1固定解除部24との間に設けられている。このコントローラー13により、スロットル14および原動機15が制御される。キースイッチ12がオン状態となると、コントローラー13から第1固定解除部24にオン信号が送信される。
【0049】
スロットル14は、電動バイクとして使用される車両の走行スピードを調整する。原動機15は、電源30から供給される電力により動力を発生する。ユーザーが、車両を電動バイクとして使用するとき、この動力により、車両の車輪が駆動される。
【0050】
たとえば、このような車両の回路構成により、
図6に示した第1状態~第8状態の各状態が実現される。
【0051】
第1状態~第4状態では、遮蔽部21が露出状態であり、遮断部28の切り替えスイッチを介して、電源30が車両本体10に接続されている(
図7~
図10)。
【0052】
(第1状態、第2状態)
このとき、ユーザーが、キースイッチ12をオン状態とすると、原動機15に電源30から電源が供給され、コントローラー13から第1固定解除部24にオン信号が送信される(
図7、
図8)。この後、ユーザーが、第1固定解除部24のボタンを押下してオン状態としても、リレー35により、第1固定部25への電流供給が阻まれ、第1固定部25の固定状態が維持される(第1状態)。第1固定解除部24がオフ状態である場合には、リレー35に電流が供給されず、第1固定部25の固定状態が維持される(第2状態)。
【0053】
(第3状態、第4状態)
遮蔽部21が露出状態のとき、ユーザーが、キースイッチ12をオフ状態とすると、原動機15に電源が供給されず、コントローラー13はオン信号を生成しない(
図9、
図10)。このとき、ユーザーが、第1固定解除部24をオン状態とすると、リレー35を介して第1固定部25に電流が供給される(
図9)。これにより、第1固定部25が、固定状態から解除状態に切り替わる(第3状態)。第1固定解除部24がオフ状態である場合には、リレー35に電流が供給されず、第1固定部25の固定状態が維持される(第4状態)。
【0054】
(第5状態~第8状態)
第5状態~第8状態では、遮蔽部21が遮蔽状態であり、遮断部28の切り替えスイッチにより、車両本体10が電源30から遮断されている(
図11)。この第5状態~第8状態では、キースイッチ12および第1固定解除部24のオンオフ状態に関わらず、第1固定部25は解除状態となっている。
【0055】
<遮蔽装置20の動作>
このような遮蔽装置20は、たとえば、以下のようにして動作する。
【0056】
ユーザーが、車両を電動バイクとして使用するとき、キースイッチ12はオン状態、遮蔽部21は露出状態である。このとき、第1固定部25は固定状態に維持され、遮蔽部21は露出状態に固定される。したがって、ユーザーが、車両を電動バイクとして使用している間、車両のナンバープレート11は周囲から視認される。
【0057】
この後、ユーザーにより、キースイッチ12がオン状態からオフ状態に切り替えられ、かつ、第1固定解除部24のボタンおよび第2固定解除部26が同時に押下されると、第1固定部25および第2固定部27が解除状態となる。これにより、ユーザーは遮蔽部21を固定状態から遮蔽状態に切り替えることができる。したがって、ユーザーが、車両を自転車として使用するとき、遮蔽状態の遮蔽部21により、車両のナンバープレート11が周囲から視認されなくなる。遮蔽部21が遮蔽状態の間、遮断部28により、電源30から原動機15への電源の供給が遮断される。
【0058】
なお、ユーザーが第2固定解除部26を押下した後、遮蔽部21を回転させることにより、遮蔽部21は遮蔽状態から露出状態、第1固定部25は、解除状態から固定状態に切り替わる。
【0059】
<遮蔽装置20および車両の作用効果>
本実施形態の遮蔽装置20および車両は、遮蔽部21を有しており、少なくとも、ナンバープレート11が遮蔽されている間は、原動機15の動力が遮断されている。具体的には、遮蔽部21が遮蔽状態のとき、遮断部28により、電源30から原動機15への電源の供給が遮断される。
【0060】
また、この遮蔽装置20および車両では、ユーザーが、原動機15の動力を遮断して車両を使用するとき、ナンバープレート11を遮蔽することができる。具体的には、ユーザーが、キースイッチ12をオフ状態とすることにより、遮蔽部21を露出状態から遮蔽状態に切り替えることが可能となる。
【0061】
このように、この遮蔽装置20および車両では、原動機15の動力が遮断されているとき、即ち、ユーザーが自転車として車両を使用するとき、ナンバープレート11を遮蔽することができる。したがって、車両の使用方法の切り替えに応じて、ナンバープレート11を遮蔽することが可能となる。
【0062】
また、この遮蔽装置20および車両は、第1固定部25および第2固定部27を有しているので、遮蔽部21を露出状態に固定することができる。これにより、ユーザーが電動バイクとして車両を使用している間、安定して遮蔽部21の露出状態が維持される。
【0063】
また、第1固定部25は、ユーザーにより、キースイッチ12がオフ状態とされたときに、解除状態となり得る。したがって、キースイッチ12がオン状態での、露出状態から遮蔽状態への遮蔽部21の切り替えの誤操作等を防ぐことができる。
【0064】
また、第1固定部25および第2固定部27をともに解除状態としたとき、遮蔽部21を露出状態から遮蔽状態に切り替えることが可能となる。これにより、露出状態から遮蔽状態への遮蔽部21の切り替えの誤操作等を防ぐことができる。
【0065】
また、第1固定解除部24は側板22A、第2固定解除部26は側板22Bに設けられている。即ち、遮蔽部21の一端側に第1固定解除部24、他端側に第2固定解除部が設けられている。したがって、第1固定解除部24および第2固定解除部26は、たとえば、車両を降りたユーザーにより、両手で操作される。よって、露出状態から遮蔽状態への遮蔽部21の切り替えの誤操作等を防ぐことができる。
【0066】
以上のように、本実施形態の遮蔽装置20および車両は、遮蔽部21を有しており、少なくとも、ナンバープレート11が遮蔽されている間は、原動機15の動力が遮断されている。換言すれば、ユーザーが、原動機15の動力を遮断して車両を使用するとき、即ち、ユーザーが自転車として車両を使用するとき、ナンバープレート11を遮蔽することができる。したがって、車両の使用方法の切り替えに応じて、ナンバープレート11を遮蔽することが可能となる。
【0067】
以上、実施形態において本発明の遮蔽装置および車両について説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができる。たとえば、上記実施形態で説明した遮蔽装置および車両の各部の構成、形状および大きさ等は一例であり、他の構成、形状および大きさ等であってもよい。
【0068】
たとえば、
図7~
図11に示した遮蔽装置の回路構成は、一例であり、本発明の遮蔽装置は他の回路構成を有していてもよい。また、上記実施形態では、遮断部28が、原動機15への電源の供給を遮断可能である例を説明したが、遮断部28は、クラッチ等の構成によって原動機15から車輪への動力の伝達を遮断してもよい。さらに、遮蔽部21、第1固定部解除部24、第1固定部25、第2固定解除部26、第2固定部27等の他の構成も、上記実施形態の構成に限定されず、上記実施形態において説明された機能と同様の機能を電気的方法または機械的方法等の各種方法によって達成可能な構成であれば、いかなる構成によって実現されてもよい。たとえば、上記実施形態では、遮蔽部21は、ナンバープレート11を遮蔽または露出するように軸周りに回転する略矩形の板状部材である例について説明したが、これに限定されない。たとえば、遮蔽部21は、ナンバープレート11を遮蔽または露出するようにスライド動作するシャッターによって構成されてもよい。あるいは、遮蔽部21は、ナンバープレート11自体を移動させることによってナンバープレート11を遮蔽または露出させる駆動構造によって構成されてもよい。あるいは、遮蔽部21は、電気的、磁気的、光学的方法等によってナンバープレート11を遮蔽または露出させるように動作する構成であってもよい。
【0069】
なお、ナンバープレート11を遮蔽または露出することは、ナンバープレート11と他の構成とを重ねてナンバープレート11を隠したり、ナンバープレート11および他の構成のいずれかを移動させてナンバープレート11を表出させたりするような形態に限定されない。ナンバープレート11を遮蔽または露出させることには、歩行者や他の通行車両等のナンバープレート11を視認すべき対象からナンバープレート11を視認不可能または視認可能に切り替えるためのあらゆる形態が含まれ得る。たとえば、ナンバープレート11を単に下方に向けて歩行者や他の通行車両等から視認不可能にすることは、ナンバープレート11を遮蔽させることに含まれ得る。また、たとえば、ナンバープレート11を電子的ディスプレイ等によって実現することが可能である場合には、当該電子的ディスプレイに表示されたナンバープレート11に相当する情報を非表示にすることが、ナンバープレート11を遮蔽させることに含まれ得る。あるいは、ナンバープレート11を取り外し可能に構成するとともにナンバープレート11の取り外しを検知するセンサーを設けた場合には、当該センサーを介してナンバープレート11の取り外しを検知することが、ナンバープレート11を遮蔽させることに含まれ得る。この場合、センサーがナンバープレート11の取り付けを検知することが、ナンバープレート11を露出させることに含まれ得る。
【符号の説明】
【0070】
10 車両本体、
11 ナンバープレート、
12 キースイッチ、
13 コントローラー、
14 スロットル、
15 原動機、
20 遮蔽装置、
21 遮蔽部、
22A,22B 側板、
23 連結板、
24 第1固定解除部、
25 第1固定部、
26 第2固定解除部、
27 第2固定部、
28 遮断部、
30 電源、
31 降圧モジュール、
32,34 ダイオード、
33 非常用電源、
35 リレー。