(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041753
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 15/04 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
B25J15/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147153
(22)【出願日】2020-09-01
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】北篠 正晃
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸祐
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707DS05
3C707ES03
3C707GS15
3C707KS23
3C707KS33
3C707MS16
(57)【要約】
【課題】ヒューマンエラーによるツールの取り付けミスの発生を回避すること。
【解決手段】一実施形態に係るロボット100は、ロボット100の先端部分に交換可能に取り付けられたツール30の重量を検出する重量検出部40と、ツール30の種類とツール30の重量に関する情報とを関連付けて記憶する記憶部50と、重量検出部40により検出されたツール30の重量及び記憶部50に記憶されている情報に基づいてロボット100の先端部分に取り付けられるツール30の種類を特定する制御部60とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットであって、
前記ロボットの先端部分に交換可能に取り付けられたツールの重量を検出する重量検出部と、
前記ツールの種類と前記ツールの重量に関する情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記重量検出部により検出された前記ツールの重量及び前記記憶部に記憶されている前記情報に基づいて、前記ロボットの先端部分に取り付けられる前記ツールの種類を特定する制御部とを備える、ロボット。
【請求項2】
前記ツールは、所定位置に配置されている物品を把持する把持器である、請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記制御部は、前記ツールにより前記物品を把持していないタイミングにおいて、前記ツールの種類を特定する、請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記制御部は、前記ツールの交換後、前記ツールにより前記物品を把持していないタイミングにおいて前記重量検出部により検出された重量に基づいて、前記ツールの種類を特定する、請求項3に記載のロボット。
【請求項5】
前記記憶部は、前記物品の種類と前記ツールの種類と前記情報とを関連付けて記憶し、
前記制御部は、特定した前記ツールの種類に前記記憶部内で関連付けられている前記物品の種類と、前記所定位置に配置されている前記物品の種類とが異なる場合、所定の通知を行う、請求項2に記載のロボット。
【請求項6】
前記制御部は、前記ツールにより前記物品を把持した場合、前記重量検出部により検出された前記物品を把持した状態の前記ツールの重量と前記記憶部に記憶されている前記情報とに基づいて、前記物品が予め設定した目標重量を満たすか否かを判定する、請求項2に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先端部分に着脱可能なツール(ハンド)を備えるロボットが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のロボットでは、上述のツールをロボットの先端部分に取り付ける場合、適切なツールが取り付けられているかについて人の目視によって確認されるため、ヒューマンエラーによるツールの取り付けミスが発生してしまう可能性があるという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ヒューマンエラーによるツールの取り付けミスの発生を回避することができるロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るロボットは、前記ロボットの先端部分に交換可能に取り付けられたツールの重量を検出する重量検出部と、前記ツールの種類と前記ツールの重量に関する情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記重量検出部により検出された前記ツールの重量及び前記記憶部に記憶されている前記情報に基づいて、前記ロボットの先端部分に取り付けられる前記ツールの種類を特定する制御部とを備えルことを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヒューマンエラーによるツールの取り付けミスの発生を回避することができるロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るロボット100の先端部分の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るロボット100の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係るロボット100の記憶部50による記憶内容の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係るロボット100の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1~
図4を参照して、本発明の第1実施形態に係るロボット100について説明する。
図1は、一実施形態に係るロボット100の先端部分の一例を示す斜視図であり、
図2は、一実施形態に係るロボット100の機能ブロックの一例を示す図であり、
図3は、一実施形態に係るロボット100の記憶部50による記憶内容の一例を示す図であり、
図4は、一実施形態に係るロボット100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0011】
なお、本明細書において、「ロボット」という概念は、自動化された環境を通じてタスクを実行するために用いられる任意の機械や装置(或いは、かかる機械や装置の一部)を含むものとする。
【0012】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るロボット100は、ツール30と、重量検出部40と、記憶部50と、制御部60とを備える。
【0013】
ツール30は、ロボット100の先端部分に交換可能に取り付けられるように構成されている。ここで、ツール30は、人によって交換されて取り付けられるように構成されている。
【0014】
例えば、ツール30は、所定位置に配置されている物品を把持する把持器30であってもよい。以下、本実施形態では、かかるツール30として把持器30を例に挙げて説明するが、本発明は、ロボット100の先端部分に交換可能に取り付けられるように構成されているツール30であれば任意のツール30に対して適用することができる。
【0015】
図1に示すように、把持器30は、把持爪30aと、把持爪30aを駆動する駆動機構30bとを有している。駆動機構30bは、例えば、モータや流体圧を駆動源として、把持爪30aを駆動するように構成されている。
【0016】
本実施形態では、把持爪30aは、
図1に示すように、棒状又は指状の部材の先端に物品を引っ掛けることができるように内側へ屈曲させた爪を形成している。各把持器30は、複数(例えば、3本)の把持爪30aを有している。なお、
図1に描画されている把持爪30aの数や形状は、例示に過ぎず、適宜変更可能である。
【0017】
また、把持器30は、互いに離れた状態にある把持爪30aを、駆動機構30bによって径方向内向きに動かして互いに近づいた状態にすることによって、複数の把持爪30aの間に物品を挟み込んで物品を把持する。
【0018】
さらに、把持器30は、互いに近づいた状態にある把持爪30aを、駆動機構30bによって径方向外向きに動かして互いに離れた状態にすることによって、物品の把持を解除する。
【0019】
重量検出部40は、把持器30の重量を検出するように構成されている。
図1に示すように、重量検出部40は、センサ部40aと、図示しない内部制御部とを有している。センサ部40aは、力センサと、加速度センサとを含む。力センサとしては、例えば、歪みゲージ式ロードセルが採用される。加速度センサとしては、例えば、MEMS型の小型加速度センサが採用される。
【0020】
内部制御部は、把持器30が取り付けられた際に、センサ部40aで計測される力及び加速度に基づいて、把持器30の重量を測定するように構成されている。
【0021】
具体的には、内部制御部は、力センサで計測された力を、加速度センサで計測された加速度で除すことで、把持器30の重量を測定するように構成されていてもよい。
【0022】
ただし、重量検出部40は、把持器30の取り付け時に計測される力と加速度とに基づいて把持器30の重量を計量する方式以外の方式によって、把持器30の重量を計量するように構成されていてもよい。例えば、重量検出部40は、ロードセル等を用いて、静止状態の把持器30の重量を計量するように構成されていてもよい。
【0023】
また、
図1に示すように、重量検出部40の天面は、取り付け金具を介して連結部材16に固定されており、重量検出部40の底面には、把持器30が固定されている。なお、連結部材16は、例えば、ネジ止め等によって、ロボット100の先端部分に連結される。
【0024】
記憶部50は、上述の把持器(ツール)30に関する情報を記憶するように構成されている。また、記憶部50は、制御部60によって実行されるプログラムを記憶するように構成されている。
【0025】
例えば、記憶部50は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等の記憶装置や、ハードディスクやフラッシュメモリ等の補助記憶装置等によって構成されている。
【0026】
図5に示すように、記憶部50は、「ツールの種類」と「ツールの重量に関する情報」とを関連付けて記憶するように構成されている。また、
図5に示すように、記憶部50は、「ツールの種類」及び「ツールの重量に関する情報」に加えて、さらに「物品の種類」を関連付けて記憶するように構成されていてもよい。
【0027】
ここで、「ツールの種類」は、各ツール30を特定するための情報である。例えば、把持器30の種類が、把持する物品の種類や重量別にいくつも存在する場合、「ツールの種類」は、かかる把持器30の種類を特定する情報であってもよい。
【0028】
「ツールの重量に関する情報」は、各ツール30の重量を算出するための情報である。例えば、「ツールの重量に関する情報」は、各ツール30の重量(或いは、質量)自身であってもよいし、各ツール30の重量に対応する値であってもよいし、各ツール30の重量を算出するための情報(例えば、上述の力センサで計測された力や加速度センサで計測された加速度等)であってもよい。
【0029】
「物品の種類」は、各ツール30によって取り扱われる物品の種類を特定するための情報である。例えば、各ツール30が把持器30である場合、「物品の種類」は、各把持器30によって把持される対象の物品の種類や、各把持器30によって把持可能な対象の物品の重量範囲等であってもよい。
【0030】
制御部60は、少なくとも1つのプロセッサによって構成されている。プロセッサは、サーバ100における各種の処理及び制御を行う。プロセッサは、ベースバンドプロセッサとCPU(Central Processing Unit)とを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、記憶部50に記憶されているプログラムを実行して各種の処理を行う。
【0031】
ここで、制御部60は、重量検出部40により検出された把持器30の重量及び記憶部50に記憶されている「ツールの重量に関する情報」に基づいて、ロボット100の先端部分に取り付けられる把持器30の種類を特定するように構成されている。
【0032】
すなわち、制御部60は、重量検出部40により検出された把持器30の重量に対応する「ツールの重量に関する情報」を抽出し、「ツールの重量に関する情報」に関連付けられている「ツールの種類」によって特定される把持器30の種類を取得するように構成されている。
【0033】
かかる構成によれば、ロボット100の先端部分に取り付けられる把持器30の重量に基づいて把持器30の種類を特定することができるため、ヒューマンエラーによる把持器30の取り付けミスの発生を容易に回避することができる。
【0034】
また、かかる構成によれば、ロボット100の先端部分に取り付けられる把持器30の種類を特定するための新たなデバイスを設けることなく、既存の重量検出部40によってロボット100の先端部分に取り付けられる把持器30の種類を特定することができるため、コストの増加を回避することができる。
【0035】
制御部60は、把持器30により物品を把持していないタイミングにおいて、上述のように、把持器30の種類を特定するように構成されていてもよい。
【0036】
また、制御部60は、把持器30の交換後、交換後の把持器30により物品を把持していないタイミングにおいて、上述のように、重量検出部40により検出された交換後の把持器30の重量に基づいて、かかる把持器30の種類を特定するように構成されていてもよい。
【0037】
これらの構成によれば、把持器30によって把持されている物品の重量の影響によって把持器30の種類の特定に誤りが発生するという事態を回避することができる。
【0038】
また、制御部60は、特定した把持器30の種類に記憶部50内で関連付けられている物品の種類と、所定位置に配置されている物品の種類とが異なる場合、所定の通知を行うように構成されていてもよい。
【0039】
かかる所定の通知は、アラーム音を発生させることによって行われてもよいし、所定のライトを点灯させることによって行われてもよいし、所定アドレスに対してメールを送信することによって行われてもよい。
【0040】
かかる構成によれば、オペレータが、適切でない種類の把持器30をロボット100の先端部分に取り付けた場合に、その事実を早急に把握することができる。
【0041】
さらに、制御部60は、把持器30により物品を把持した場合、重量検出部40により検出された物品を把持した状態の把持器30の重量と記憶部50に記憶されている把持器30の重量に関する情報とに基づいて、物品が予め設定した目標重量を満たすか否かを判定するように構成されていてもよい。
【0042】
かかる構成によれば、重量検出部40により検出された物品を把持した状態の把持器30の重量と記憶部50に記憶されている把持器30の重量に関する情報との差分値を確認することによって、把持器30が、予め設定した目標重量を満たす物品を把持するように調整することができる。
【0043】
以下、
図4を参照して、一実施形態に係るロボット100の動作の一例について説明する。具体的には、
図4を参照して、一実施形態に係るロボット100の先端部分に取り付けられるツール30を交換した場合の動作の一例について説明する。
【0044】
図4に示すように、ステップS101において、オペレータが、ロボット100の先端部分に取り付けられている把持器(ツール)30を取り外し、別の把持器30を取り付ける。
【0045】
ステップS102において、ロボット100の重量検出部40が、新たに取り付けられた把持器30の重量を検出する。
【0046】
ステップS103において、ロボット100の制御部60は、記憶部50を参照して、新たに取り付けられた把持器30の種類を特定する。
【0047】
ステップS104において、ロボット100の制御部60は、特定した把持器30の種類に記憶部50内で関連付けられている物品の種類と、所定位置に配置されている物品の種類とが一致するか否かについて判定する。
【0048】
両者が一致すると判定された場合、本動作は、終了し、両者が一致しないと判定された場合、本動作は、ステップS105に進む。
【0049】
ステップS105において、ロボット100の制御部60は、上述の所定の通知を行う。
【0050】
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0051】
100…ロボット
16…連結部材
30…ツール、把持器
30a…把持爪
30b…駆動機構
40…重量検出部
40a…センサ部
50…記憶部
60…制御部