(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041773
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】顕微鏡用対物ミクロメーター
(51)【国際特許分類】
G02B 21/34 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
G02B21/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020154979
(22)【出願日】2020-08-29
(71)【出願人】
【識別番号】500425367
【氏名又は名称】永山 國昭
(72)【発明者】
【氏名】川戸 紀子
(72)【発明者】
【氏名】川戸 聖崇
(72)【発明者】
【氏名】永山 國昭
【テーマコード(参考)】
2H052
【Fターム(参考)】
2H052AA09
2H052AE08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】スマートフォン等を用いた廉価な蛍光顕微鏡において、顕微鏡本体のコストに見合う廉価な蛍光対物ミクロメーターを提供する。
【解決手段】蛍光ミクロメーターは写真フィルム11と蛍光性素材20の2つの構成からなる。写真フィルム11に黒白反転のないポジフィルを利用する場合は、対物ミクロメーター原画自体が縮小投影される。この原画とネガフィルムの黒白コントラスト反転を逆手に取り、対物ミクロメーター原画自体の縮小投影ネガフィルムが使用される。フィルムの透明部位15は対物ミクロメーター原画では黒コントラストを持つパターン部位に対応する。ネガフィルムの片面に蛍光性素材20を一様に担持加工した後、反対面側から励起光50を当て透明部位15の直下の蛍光性素材のみを蛍光発光させる。通常ミクロメーターの黒で表象されるミクロメーターパターンが蛍光顕微鏡下で蛍光顕微鏡像となり蛍光ミクロメーターとして機能する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真フィルムを用いる対物ミクロメーターにおいて、対物ミクロメーターパターンを有する原画像を縮小投影しネガフィルム写真撮影する工程または対物ミクロメーターパターンを有する原画像の反転画像を縮小投影しポジフィルム写真撮影する工程と、
前記いずれかの工程後現像して得られる写真フィルムにつき、
片面に蛍光性素材を担持加工することにより
作製される顕微鏡用対物ミクロメーター。
【請求項2】
写真フィルムを用いる対物ミクロメーターにおいて、対物ミクロメーターパターンを有する原画像及び原画像の反転画像の両者を有する画像を縮小投影しネガフィルム写真撮影する工程と、
前記工程後現像して得られる写真フィルムにつき、
片面の原画像対応部位に蛍光性素材を担持加工することにより
作製される顕微鏡用対物ミクロメーター。
【請求項3】
写真フィルムを用いる対物ミクロメーターにおいて、対物ミクロメーターパターンを有する原画像及び原画像の反転画像の両者を有する画像を縮小投影しポジフィルム写真撮影する工程と、
前記工程後現像して得られる写真フィルムにつき、
片面の反転画像対応部位に蛍光性素材を担持加工することにより
作製される顕微鏡用対物ミクロメーター。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかにおいて、フィルム担持蛍光性素材として、
水性または油性の液性蛍光性色材を白色パルプ紙または白色合成紙に浸透させた蛍光色紙を用い、
写真フィルム片面に粘着貼付することにより
作製される顕微鏡用対物ミクロメーター。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかにおいて、フィルム担持蛍光性素材として、
水性または油性の蛍光性色材をパルプ原料または合成樹脂に混入分散させ作製された蛍光色紙を、
写真フィルム片面に粘着貼付することにより
作製される顕微鏡用対物ミクロメーター。
【請求項6】
請求項4において、白色パルプ紙または白色合成紙として薄葉紙を用いることで、
蛍光色紙と粘着剤の全厚みが0.1mmを越えないことを
特徴とする顕微鏡用対物ミクロメーター。
【請求項7】
請求項5において、蛍光色紙作製要件を薄葉紙とすることで、
蛍光色紙と粘着剤の全厚みが0.1mmを越えないことを
特徴とする顕微鏡用対物ミクロメーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡に用いられる対物ミクロメーターに関する、より詳しくは、蛍光顕微鏡や散乱光顕微鏡を用いた観察において暗視野中でも視認できる発光性の目盛りを有する対物ミクロメーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通常顕微鏡において、被観察物の観察と同時に寸法を直接測定するために、目盛り付きの対物ミクロメーターが用いられてきた。例えば、高倍用のものはガラスの上に蒸着法で目盛りパターンが印刻された高価なものが市販され(非特許文献1)、低倍のものは写真フィルムに印画された廉価なものが市販されている(非特許文献2)。特に写真フィルム版は、ネガフィルムの特性を利用し、対物ミクロメーターパターンを黒白反転した原画を写真撮影する1工程法で製作される。近年、蛍光顕微鏡においても、暗視野観察下で直接寸法測定に使用できる蛍光顕微鏡用の蛍光対物ミクロメーターが提案されている(特許文献1)。該蛍光対物ミクロメーターは、「透明基板」、「遮光層」、「蛍光発光層」、「支持基板」の4要件より構成され、被観察物を担持し対物レンズに対向する透明基板に接する遮光層と蛍光発光層よりなる目盛り本体を下から支持基板が包摂する構造をなしている。遮光層は半導体リソグラフィー技術を援用し立体的に作られ目盛りパターンを形成し、パターンす抜け部位に蛍光部材よりなる蛍光発光層が浸透することで蛍光対物ミクロメーターが完成される。遮光層の厚さは、蛍光発光層より薄くパターンす抜け部位に浸透しない残余を支持基板が被覆している。
【0003】
しかしながら、特許文献1の蛍光対物ミクロメーターは、遮光層の立体的パターン形成のため電子ビーム露光法などの最先端高度技術が適用され、工程が煩雑で製造コストも割高である。こうした蛍光対物ミクロメーターは、高価な高級蛍光顕微鏡装置には購入費用が見合っても、汎用顕微鏡や近年普及し始めたスマートフォン顕微鏡のような廉価な顕微鏡をベースにした蛍光顕微鏡にはコスト圧力が大きいと思われる。こうした顕微鏡は、教育用や趣味用に供され、低倍率で利用されることが多く、購入可能な対物ミクロメーターの中でもこのような廉価な顕微鏡用に写真技術応用のフィルム版が市販されている(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許4887494号
【特許文献2】特許6579525号
【特許文献3】実願2017-000819
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】0.01mmミクロメーター(渋谷光学製、ガラス上蒸着製) https://www.shibuya-opt.co.jp/stage.html
【非特許文献2】0.05mmマイクロルーラー(ケニス製、写真フィルム印画製) https://www.kenis.co.jp/onlineshop/product/13210692
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
教育用や趣味用の低倍の顕微鏡をベースとした蛍光顕微鏡観察や暗視野顕微鏡観察に利用される蛍光対物ミクロメーターとして、機器の購入コストに見合う製作コストの低い廉価品の供給。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、写真フィルムを用いる対物ミクロメーターにおいて、対物ミクロメーターパターンを有する原画像を縮小投影しネガフィルム写真撮影する工程または対物ミクロメーターパターンを有する原画像の反転画像を縮小投影しポジフィルム写真撮影する工程と、前記いずれかの工程後現像して得られる写真フィルムにつき片面に蛍光性素材を担持加工することにより作製される顕微鏡用対物ミクロメーターである。
【0008】
第2の発明は、写真フィルムを用いる対物ミクロメーターにおいて、対物ミクロメーターパターンを有する原画像及び原画像の反転画像の両者を有する画像を縮小投影しネガフィルム写真撮影する工程と、前記工程後現像して得られる写真フィルムにつき片面の原画像対応部位に蛍光性素材を担持加工することにより作製される顕微鏡用対物ミクロメーターである。
【0009】
第3の発明は、写真フィルムを用いる対物ミクロメーターにおいて、対物ミクロメーターパターンを有する原画像及び原画像の反転画像の両者を有する画像を縮小投影しポジフィルム写真撮影する工と、前記工程後現像して得られる写真フィルムにつき片面の反転画像対応部位に蛍光性素材を担持加工することにより作製される顕微鏡用対物ミクロメーターである。
【0010】
第4の発明は、第1の発明から第3の発明のいずれかにおいて、フィルム担持蛍光性素材として水性または油性の液性蛍光性色材を白色パルプ紙または白色合成紙に浸透させた蛍光色紙を用い、写真フィルム片面に粘着貼付することことにより作製される顕微鏡用対物ミクロメーターである。
【0011】
第5の発明は、第1の発明から第3の発明のいずれかにおいて、フィルム担持蛍光性素材として、水性または油性の蛍光性色材をパルプ原料または合成樹脂に混入分散させ作製された蛍光色紙を写真フィルムに粘着貼付すること特徴とする顕微鏡用対物ミクロメーターである。
【0012】
第6の発明は、第4の発明において、白色パルプ紙または白色合成紙として薄葉紙を用いることで蛍光色紙と粘着剤の全厚みが0.1mmを越えないことを特徴とする顕微鏡用対物ミクロメーターである。
【0013】
第7の発明は、第5の発明において、蛍光色紙作製要件を薄葉紙とすることで蛍光色紙と粘着剤の全厚みが0.1mmを越えないことを特徴とする顕微鏡用対物ミクロメーターである。
【発明の効果】
【0014】
本願発明により、蛍光顕微鏡や散乱光顕微鏡を用いた観察において暗視野中でも優れた視認性を有する蛍光対物ミクロメーターを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の形態に係る蛍光対物ミクロメーターを説明する模式的断面図。
【
図2】本発明の実施の形態に係る蛍光対物ミクロメーターの発光パターンの具体例と使用例を示す概略図。A,数字入り目盛り、B,目盛り、C,方眼、D,ドット方眼、E,同心円、F,動径目盛り、G,ドット方眼つきスライドガラス、H,目盛り付きペトリ皿
【
図3】蛍光対物ミクロメーターと通常ミクロメーターの実施例。A,
図2Dと
図2Bパターン併存の蛍光用(左)と通常用(右)併合ミクロメーター B,
図2Dパターン蛍光ミクロメーターの蛍光顕微鏡像(紫外光照明) C,
図2Dパターン蛍光ミクロメーターの散乱光顕微鏡像(白色光照明) D,
図2Bパターン蛍光ミクロメーターの蛍光顕微鏡像(紫外光照明) E,
図2Dパターン通常ミクロメーターの通常顕微鏡像(白色光照明) F,
図2Bパターン蛍光ミクロメーターの散乱光顕微鏡像(白色光照明) G,
図2Bパターン通常ミクロメーターの通常顕微鏡像(白色光照明)
【
図4】異なる3種の蛍光色材混入蛍光色紙を用いた蛍光ミクロメーター実施例。A-1,0.05mm厚合成紙仕様蛍光色紙貼付蛍光ミクロメーター(表) A-2,
図2Dと
図2Bパターン対応の蛍光顕微鏡像(375nm紫外光照明) A-3 0.05mm厚合成紙仕様蛍光色紙貼付蛍光ミクロメーター(裏:蛍光色紙貼付面) B-1,0.08mm厚合成紙仕様蛍光色紙貼付蛍光ミクロメーター(表) B-2,
図2Dと
図2Bパターンの蛍光顕微鏡像(375nm紫外光照明) B-3,0.08mm厚合成紙仕様蛍光色紙貼付蛍光ミクロメーター(裏:蛍光色紙貼付面) C-1,0.1mm厚パルプ紙仕様蛍光色紙貼付蛍光ミクロメーター(表) C-2,
図2Dと
図2Bパターンの蛍光顕微鏡像(375nm紫外光照明) C-3,0.1mm厚パルプ紙仕様蛍光色紙貼付蛍光ミクロメーター(裏:蛍光色紙貼付面)
【
図5】本発明の実施の形態に係る400nm紫外光照射時の各種蛍光マスキングテープの発色。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら詳しく説明する。しかしながら、本発明は多様な形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。明細書全体において類似部分には同一の図面番号を付する。
【0017】
本願発明は、構成的には2つの要件より成立している。
図1に示すように、写真フィルム11と蛍光性素材20である。一般に低倍率用の対物ミクロメーターは、印刷物などを縮小投影し大量保管するマイクロフィルム技術の転用によって作成される。すなわちマイクロフィルムの高い空間解像度(約0.001mm)を利用し、ミクロメーターに必要な印刷技術の現行解像度(約0.03mm)をはるかに超える解像度を、印刷により作成されたミクロメーター原画像を写真フィルムに縮小投影して実現される。ところで、黒白コントラストで表象されるミクロメーターパターンの原画を縮小投影した写真フィルムは、通常、原画の黒白コントラストを反転したネガフィルムなので、対物ミクロメーターパターン原画は黒白反転した反転原画が用いられる。黒白反転のないポジフィルを利用する場合は、対物ミクロメーター原画自体が縮小投影される。本願はこの写真フィルムの性質を逆用し、対物ミクロメーター原画自体を撮影したネガフィルムを蛍光対物ミクロメーターの構成部分とする。
図1を用いて説明すると、15と指示されたところは、写真フィルム11の透明部位で、ミクロメーター原画では黒いコントラストを持つパターン部位に対応する。他方15以外の下地は原画の白コントラストに対応した黒色の遮光部位で光を通さない。この様なネガフィルムの片面に蛍光性素材20を一様に担持加工した後、反対面側から励起光50を当てると光は透明部位15のみ通過するのでその部位の直下にある蛍光性素材20のみが蛍光発光する。すなわち通常ミクロメーターの黒で表象されるミクロメーターパターンが蛍光顕微鏡下で蛍光顕微鏡像となり蛍光ミクロメーター10として機能する。
ポジフィルムを蛍光対物ミクロメーターの構成部分とする時は、ネガフィルムの場合とは逆に対物ミクロメーターパターン原画は黒白反転した反転原画が用いられる。
【0018】
ポジフィルムを蛍光対物ミクロメーターの構成部分とする時は、ネガフィルムの場合とは逆に対物ミクロメーターパターン原画は黒白反転した反転原画が用いられる。黒白の通常パターンと反転パターンを1枚に収めた原画を用いミクロメーターを作成するときは、原画も黒白反転画像も本質的に同じパターン図なのでネガ、ポジどちらのフィルムを使用しても通常ミクロメーターと蛍光ミクロメーター併存の共用ミクロメーターが得られる。
図3に示す対物ミクロメーターは共用ミクロメーターの1例で、ポジフィルムを用いて作製された。
【0019】
図1にも見られるように本願の構成は極めて単純である。しかし先行特許(特許文献1)のような高度の技術を用いて作られる蛍光ミクロメーターに劣らない性能の製品を作るためには超えるべきいくつかの壁があった。一番の問題は、フィルム面への蛍光性素材のムラのない一様担持加工にあった。PETフィルムを主原料として作られる写真フィルムは、水性であれ油性であれ液性蛍光色材の接着性及び厚さ一様面塗布を困難にしている。刷毛目を避けるためにスピンコート法の適用も試みたが、塗料のフィルム面接着性が低く簡単にはがれ爪などで傷がつく欠点を解消できなかった。試行錯誤の末得られた最適加工法は、蛍光色紙のフィルム面粘着であった。接着法を採用しなかったのは液性蛍光色材と同じ塗りムラ問題が接着剤塗布で生じるからである。
【0020】
一般に紙は水性または油性の液性色材に対する浸透性が良く、そのために古来水彩画や墨書に利用されてきた。またさまざまな色材を混入させた一様発色の美しい色紙が市販されている。ただ蛍光発光する蛍光色紙については、ほとんど製品が見当たらない。そこで白色粘着テープに蛍光マーカーペンや蛍光塗料などで彩色し蛍光色紙化を試みた。蛍光塗料のフィルム面直接塗布に比べ、ムラのない一様な蛍光発光が視認できたので、蛍光色紙のフィルム面への粘着を蛍光素材一様担持加工法として採用することとした。この試験ののち蛍光色紙の観点から粘着テープマーケットを丹念に調査すると、蛍光性のものが紙テープ、マスキングテープ、メンディングテープとして数種市販されていることがわかった。これらは蛍光顕微鏡のような暗所での使用を目的としたものでなく、明所での彩度(鮮やかさ)向上を目的としたものなので、蛍光顕微鏡での使用に耐えるものかどうかは未知数であったが、蛍光顕微鏡観察によるテストから蛍光ミクロメーター使用に充分耐えるものであると分かった。結果は実施例で示すとおりである。
【0021】
以上説明したように、種々の技術的工夫と組み合わせで単純な構造ゆえに低廉な蛍光ミクロメーターの製作が可能となった。もちろん写真フィルムの解像度限界のため、先行特許4887494号が目指すような高倍率の高精細ミクロメーターについて、本願手法ではカバーできない。ただし100倍以下の低倍率用のミクロメーターとして十分な性能を持つ。また写真撮影技術なのでミクロメーターのパターン内容は、パターン原画で決まる。原画自体は各種出回っている画像処理コンピューターソフト利用で簡単に作製できるのでパターンの多様性を容易に確保できる。実際例を
図2に6種のミクロメーターパターンA~Fとして示した。これ以外のパターンのミクロメーターも原画さえ用意出来れば全く同様な工程で作製できる。
図2にはまた、ドット方眼パターンをスライドガラスに乗せた実施例G、目盛りパターンをペトリ皿に乗せた実施例Hも示した。写真フィルム自体をGやHの実施例形態に作製することもできる。その場合、通常のスライドガラスやペトリ皿と同じように使い捨てになるが、廉価なのでそのような使用法が可能となる。高価な高精細ミクロメーターにはない特徴といえる。
【実施例0022】
合成紙を原料とした市販蛍光粘着テープを発光用の蛍光性素材とした実施例を
図3に示した。
図3Aが蛍光ミクロメーターの実物写真で、ドット方眼とスケール目盛り各0.1mmピッチの2種のパターンが刻まれている。黒い左側が蛍光用パターン、白い右側が明視野(通常)用パターンである。蛍光用パターンのフィルム裏面に粘着性蛍光テープ(以後蛍光テープと称する)が貼付されている。B~Gがそれらの顕微鏡像で、B、Dは、蛍光ミクロメーターパターンで、Bでは緑色蛍光の0.035mm径ドット方眼像、Dでは緑色蛍光の0.035mm幅目盛り像が一様強度で見えている。C、Fは暗視野ミクロメーターパターンで、Cでは黄緑の0.035mm径ドット方眼像、Fでは黄緑の0.035mm幅目盛り像が一様強度で見えている。E、Gは明視野(通常)ミクロメーターパターンで、Eでは黒色の0.035mm径ドット方眼像、Gでは黒色の0.035mm幅目盛り像が一様強度で見えている。蛍光像を撮るときは、モバイル端末を使うモバイル蛍光顕微鏡(特許文献2)を使い、照明は375nmのLED紫外照明を用いた。モバイル蛍光顕微鏡の照明を紫外光から白色光に代えると同じ蛍光ミクロメーターを暗視野用に転用できその結果がC、Fである。暗視野法は横方向からの光による散乱光を用い、背景が暗視野となる特徴を持つその意味で蛍光像に酷似するが、フィルム表面のゴミも散乱光像として見えるので、B(蛍光ドット方眼像)、D(蛍光目盛り像)と比較し明らかに背景雑音像が多い。明視野像を撮るときは、モバイル端末を使うモバイル顕微鏡(実願2017-000819)を使い、照明は室内光を用いた。