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▶ 多田 辰男の特許一覧

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  • 特開-マスク補助具及びマスク 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041809
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】マスク補助具及びマスク
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/11 20060101AFI20220304BHJP
   A62B 18/08 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A62B18/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020207125
(22)【出願日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】P 2020156765
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519370784
【氏名又は名称】多田 辰男
(72)【発明者】
【氏名】多田 辰男
【テーマコード(参考)】
2E185
【Fターム(参考)】
2E185AA07
2E185BA08
2E185CC36
(57)【要約】
【課題】 飲食や呼吸困難時、マスクを外さずにマスクを開閉できる特徴を備えたマスク補助具及びマスク補助具が組み込まれたマスクを提供する。
【解決手段】 マスク下端を固定するマスク固定部と、鋸歯形状の係合爪受けを設けた係合支持部、係合爪と挿通孔を設けた係合部を備え、前記マスク固定部と前記係合支持部は蝶着で結合され補助具本体を形成する。該係合支持部は前記係合部の挿通孔を挿通することで係合爪受けと係合爪が係合した状態になる。
マスク下端を開く際、マスク固定部に設けられた開用つまみを口元から離す方向、すなわち開方向への動きは自在となるが、口元に近づく方向、すなわち閉方向への動きは係合爪受けと係合爪が係止状態のため不能となりマスク下端は開いた状態が保持される。
マスク下端を閉じる場合は支点を挟んで係合爪の反対側にある解除レバーを押動することで支点を軸とし係合爪が開くことで前記係止が解除され閉用つまみでマスク下端を閉じることができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助具本体はマスク下端を固定する固定部と該補助具本体の両端に鋸歯形状の係合爪受けを備えており、係合部は挿通孔が設けられた挿通孔部と支点、支点に設けられた係合爪と係止を解除する解除レバー及びマスク下端開閉動作時の不要な動きを抑えるための耳掛け部位と耳突き当て部位を備えており、前記補助具本体が前記係合部の挿通孔に挿通してあることを特徴とするマスク補助具
【請求項2】
補助具本体はマスク下端を固定する固定部と該補助具本体の両端に鋸歯形状の係合爪受けを備えており、係合部は挿通孔が設けられた挿通孔部と支点、支点に設けられた係合爪と係止を解除する解除レバー及びマスク下端開閉動作時の不要な動きを抑えるための耳掛け部位とゴム紐固定挟持部を備えており、前記補助具本体が前記係合部の挿通孔に挿通してあることを特徴とするマスク補助具
【請求項3】
請求項1と2に記載された両方の特徴を備えたマスク補助具
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のマスク補助具であって、マスクの固定部で相対する突起状の挟持部の間にマスク下端を挟むことでマスクを挟持し固定できる機構を備えることを特徴とするマスク補助具
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載のマスク補助具であって、マスク下端を口元から離す方向、すなわち開く方向に動かす際に使用する開用つまみとマスク下端を口元に寄せる方向、すなわち閉まる方向に動かす際に使用する閉用つまみを備えることを特徴とするマスク補助具
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のマスク補助具であって、補助具本体を蝶着により折り畳むことができる機構を備えることを特徴とするマスク補助具
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のマスク補助具が組み込まれたマスク
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスクをした状態で飲食、呼吸困難解消を可能にするマスク補助具及びマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のマスクでは飲食、呼吸困難時マスクを外さなくてはならなかった。また衛生上の問題もあり外したマスクの置き場に悩む場面が発生した。これらを解決するため開閉扉を設けたマスク(特許文献1参照)やマスクのゴム紐を二組設けたマスク(特許文献2参照)などが考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-192154号公報
【特許文献2】実用新案登録第3089472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に提案される開閉扉を設けたマスクの課題として、開閉扉を開いた際、扉の収納にホック等を用いているため開閉に手間がかかり利便性が悪い。また扉閉状態ではマスク本体と開閉扉に隙間が発生する懸念が有る。さらに開いた状態では開口部が正面を向いているため扉開状態の使用では唾などの飛沫拡散が免れない。
【0005】
特許文献2に提案されるマスクのゴム紐を二組設けたマスクの課題として、マスク下端を開状態で保持ができないため飲食の際には片手でマスクを持ち上げなければならず利便性に問題がある。また通常の使用では耳にマスクのゴム紐を二重に掛けるため耳に対する負担が大きい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は上記課題を解決するため、飲食及び呼吸困難時、補助具を用いマスク下端側を簡単に開閉できるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は補助具を用いて簡単にマスク下端側の開閉、開閉保持を行う事ができ、飲食及び呼吸困難時に早急な対応が可能で煩わしさを感じさせることなく、しかも開閉時にマスク本体を直接触る必要が無いので花粉や菌などの有害物質の付着を避ける事ができる。
【0008】
マスク下端が開くため開閉扉を設けたマスクのように開口部が前面を向いておらず会話の際に唾の飛沫、特に微細で軽く遠くまで拡散しやすい飛沫が口前面のマスクで遮られるため飛沫の広範囲な拡散を防ぐ効果もある。
【0009】
さらに開閉扉を設けたマスクに比較して大きめの開口部が得られるため飲食及び呼吸をスムーズに行う事ができる。
【0010】
またマスク下端が開いた状態を保持できるため両手が使え、利便性の向上がはかられている。しかもマスク下端が開くため一部吹奏楽器にも対応できる。
【図面の簡単な説明】
図1】本発明の第1実施形態に係るマスク補助具の分解図
図2】本発明の第1実施形態に係るマスク補助具全体の斜視図(図2(1))と、同図のX-X’切断線における断面図(図2(2))、Y-Y’切断線における断面図(図2(3))、同じくZ-Z’切断線における断面図(図2(4))である。
図3】本発明の第2実施形態に係るマスク補助具全体の斜視図
図4】ゴム紐固定挟持部拡大図(図4(1))と、図4(1)A方向からのゴム紐未取り付け状態の矢視図(図4(2-A))、図4(1)B方向からのゴム紐未取り付け状態の矢視図(図4(2-B))、図4(1)A方向からのゴム紐取り付け状態の矢視図(図4(3-A))、図4(1)B方向からのゴム紐取り付け状態の矢視図(図4(3-B))
図5】着用形態における、図2に示すマスク補助具閉状態の概略側面図である。
図6】着用形態における、図2に示すマスク補助具開状態の概略側面図である。
図7】閉用つまみ拡大図(図7(1))と、(図7(1))のA方向からの矢視図(図7(2))、(図7(2))のAA-AA’切断線における断面図(図7(3))
図8】(図7(1))のB方向からの矢視図(図8(1))、(図8(1))のBB-BB’切断線における断面図(図8(2))、(図8(2))においてマスク補助具を折り畳んだ状態の断面図(図8(3))
図9】補助具を組み込んだマスク全体の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。説明上、位置関係や動かす方向を示す場合は図にある矢印に従うものとする。
【0012】
補助具本体5の構造はマスク固定部1と係合支持部2の蝶着によって結合された構造であるが、もちろん該補助具本体は蝶着による結合を無くした一体構造でも良い。
係合支持部2と係合部3はマスク固定部1を挟んで左右に配置され対称的な構造となっている。これらは構造が対照的である以外、同等で機能に関しても違いは無いため、今後説明する場合左側の係合支持部2と係合部3の図で説明を行う事とし、この説明内容は右側の係合支持部と係合部に関しても当てはまるものとする。(図1参照)
なお本発明の材質は可撓性を示す合成樹脂が適している。
【0013】
本発明はゴム紐を使用しているマスクにセットして使用する補助具で。前記マスク固定部に挟持部F11Aと挟持部B11Bが相対して配置され(図2(4)参照)、挟持部F11Aと挟持部B11Bの間にマスク下端を挟むと材質の可撓性によりマスクを挟持する。該挟持部Fと該挟持部Bは先端の断面が山形の形状をした突出部であり、この突出部で挟むことによりマスクを外れ難くする。なお図では挟持する箇所はマスク下端中央のみ示しているが、挟持する箇所は複数あっても良い。
【0014】
前記係合部でゴム紐カバー31に覆われた中空部32にマスクのゴム紐を左右通す事でマスクのマスク補助具へのセットが完了する。
該ゴム紐カバーは耳当て板30に設けられた耳掛け部位30aの形状に沿って断面が半円状の形状をしており、ゴム紐を通すため片側が開いている。(図2(3)参照)
使用する場合はマスクにマスク補助具をセットした状態で耳にマスクのゴム紐を掛け装着し使用する。その際、耳の裏側下方に耳掛け部位30Bが位置する。
【0015】
係合部3に設けられた挿通孔部33は箱状になっていて右側面が耳当て板30で形成され、左側面は係合爪36が通るための孔が開いている側板となっている。該側板には支点33、解除レバー35、係合爪36が設けられている。左側面の該側板と前記耳当て板を接続するため上下、前後の四方向を囲む板が設けられていて前後方向の板には係合支持部2が挿通するための挿通孔37が設けられている。
【0016】
係合支持部2は係合支持バンド20に係合溝21が形成され、さらに該係合溝には鋸歯状の係合爪受け22が設けられている(図2(2)参照)。該係合爪受けは前記係合爪と係合し係止状態でマスクの開状態を保持するものである。図に示している係合爪受け22の数は三ヶ所であるが、これは数を限定するものでは無くコストと使い勝手に応じて該係合爪受けの数を増減しても良い。
【0017】
前記係合支持部は前記係合部の挿通孔部33の挿通孔37を挿通しており係合爪36は係合溝21内を前後方向移動する事が出来る。閉用つまみ4が有る側の該係合溝の端から一つ目の係合爪受け22の間の溝に係合爪36が位置する場合がマスク閉状態で、係合支持部2がフリーの状態のためマスクのゴム紐の収縮によりマスクが口元に密着する。
【0018】
マスク下端を開状態にする場合は開用つまみ12を顔面前方に動かすことにより係合支持部2も同時に前方へ動く、係合支持部2は係合部3に挿通した状態であるが摩擦により係合部も同時に前方へ動く恐れがある。該係合部が前方へ動くのを防止するため耳掛け部位30Bが耳に引っ掛かることで係合部が前方へ動くのを防止するストッパーとしての役割を果たす。
【0019】
係合支持部2が前方へ動くことにより、係合爪36と係合爪受け22はやがて接触するが前方に動く場合は互いのテーパー形状と支点の可撓性により該係合爪は該係合爪受けを乗り越える。この状態で開用つまみの動きを止めるとマスクのゴム紐の収縮により係合支持部2は後方へ戻ろうとするが該係合爪と該係合爪受けは互いの垂直面で接触するため、しっかりと係止されマスク下端が開状態で保持される。ただし、この場合ゴム紐が発生する後方へ戻ろうとする力によりマスク下端が閉じる恐れがあるので、マスクの戻り防止機能として耳突き当て部位30Bを耳に当ててマスク下端が閉じるのを防止する。
【0020】
次に本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。第2実施形態はマスクの戻り防止機能の違いのみで、その他は第1実施形態と変わりが無い。戻り防止機能として前記耳突き当て部位は様々な形状のマスクのゴム紐に対応できるが、耳に突き当ててマスクの戻りを防止するため耳へ負担がかかりやすい。そこで、様々な形状のゴム紐に広く対応するのは難い面はあるが、耳への負担を無くすマスクの戻り防止機能としてゴム紐固定挟持部38を設けたマスク補助具を図3に示す。
【0021】
前記ゴム紐固定挟持部はマスクのゴム紐を挟持により固定する箇所で、ゴム紐が発生するマスクを開いた時、マスクを後方へ戻そうとする力(縮む力)はマスクとゴム紐の固定箇所、すなわちマスクと該ゴム紐固定挟持部の間で発生する。このため戻す力は該ゴム紐固定挟持部を通して補助具本体が支えるので力が耳に掛かることは無く、耳への負担を無くすことが可能となる。
【0022】
ゴム紐固定挟持部38は板にスリット状の切り欠きを設けた形状をしており、図4で説明するとスリット384を挟む形で挟持用板A、挟持用板B、挟持用板Cこれら3ヶ所の挟持用板有し、ゴム紐385を3ヶ所の挟持用板が互い違いになるようスリットの切り欠き側から押し込むと挟持用板の可撓性により該ゴム紐が固定される。(図4(3-A))
【0023】
挟持用板は3ヶ所示しているが、これは数が限定されるものでは無く、材質の可撓性や板の厚さ、コスト等を考慮し2か所でも良い。更にゴム紐にダメージを与える恐れは有るが、使い捨てマスクなどを対象にしてゴム紐の取り付けを簡単にするため、スリットの根元側に向けてスリットの幅を狭くし、そこにゴム紐を押し込む様に挟んで固定しても良い。
【0024】
次にマスク下端を閉状態に戻す手順を説明する。マスク下端を再び閉状態に戻すには係合部にある解除レバー35を押すことで支点34を軸として係合爪36が開き係止を解除するため、係合支持部2はフリーの状態になる。該解除レバーを押動しながら閉用つまみ4を該解除レバー側(後方)に動かすと補助具本体5も後方へ移動するためマスク下端を閉状態にすることができる。
【0025】
閉用つまみ4の折り畳み機能について説明する。該閉用つまみはマスク固定部1と係合支持部2の蝶着によって結合されており携帯しやすいように折り畳みの機能を備えている。
【0026】
該係合支持部は軸U41とそれを支える軸ステーU42、軸D43とそれを支える軸ステーD44を備えていて該軸ステーUと該軸ステーDがたわむことでマスク固定部1にある穴状の軸受けU45に軸U41が、同じく穴状の軸受けD46に軸U43をそれぞれはめ込むことにより蝶着される。
【0027】
マスク固定部1と係合支持部2は不用意に折り畳まれることの無いよう該係合支持部のロック爪48を該マスク固定部のロック爪押さえ47で動かないように固定する。折り畳む場合は解除つまみ40を前側(固定部側)に倒すことにより該ロック爪押さえが開きロック爪48の固定が解除され折り畳みが可能となる。もちろんコストとの兼ね合いでこの機能を省いても良い。
【0028】
図9は補助具を組み込んだマスクを表す。マスク下端を補助具に直接、接着や溶着、あるいはマスク下端をトンネル状に形成し、その中に補助具を通す等の方法で、あらかじめ補助具をマスクに組み込んでおくことで取り付けの手間を省き補助具の機能と併せマスクに高い付加価値が与えることができる。
【符号の説明】
【0029】
1・・・マスク固定部、2・・・係合支持部、3・・・係合部、4・・・閉用つまみ
5・・・補助具本体
10・・・固定部支持バンド、11A・・・挟持部F、11B・・・挟持部B
12・・・開用ツマミ、
20・・・係合支持バンド、21・・・係合溝、22・・・係合爪受け、
30・・・耳当て板、30A・・・耳突き当て部位、30B・・・耳掛け部位
31・・・ゴム紐カバー、32・・・中空部、33・・・挿通孔部
34・・・支点、35・・・解除レバー、36・・・係合爪、37・・・挿通孔
38・・・ゴム紐固定挟持部、381・・・挟持用板A、382・・・挟持用板B
383・・・挟持用板C、384・・・スリット、385・・・ゴム紐
40・・・解除つまみ、41・・・軸U、42・・・軸ステーU、43・・・軸D
44・・・軸ステーD、45・・・軸受けU、46・・・軸受けD、
47・・・ロック爪押さえ、48・・・ロック爪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9