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特開2022-41840包装装置及び包装装置の包装材の在庫管理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041840
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】包装装置及び包装装置の包装材の在庫管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/00 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
B65B57/00 A
B65B57/00 C
B65B57/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021040794
(22)【出願日】2021-03-12
(31)【優先権主張番号】P 2020147172
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義久
(72)【発明者】
【氏名】高橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】角田 和隆
(57)【要約】
【課題】ユーザーが包装装置を使用できない状態となることの抑制、または、使用できない時間の短縮を図る。
【解決手段】包装材であるフィルムによって包装対象物である新聞を包装する包装手段である搬送包装部と、搬送包装部の包装動作に係る情報を取得する包装動作情報取得手段である制御部と、制御部が取得した包装動作情報を、通信ネットワークであるインターネット70を介して外部の情報処理手段である保守管理PC80に向けて発信可能な通信手段である通信部101と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材によって包装対象物を包装する包装手段と、
前記包装手段の包装動作に係る情報を取得する包装動作情報取得手段と、
前記包装動作情報取得手段が取得した包装動作情報を、通信ネットワークを介して外部の情報処理手段に向けて発信可能な通信手段と、を備えることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
請求項1の包装装置において、
前記包装材によって前記包装対象物を包装した回数を計数する包装回数計数手段を備え、
前記包装動作情報には、前記包装回数計数手段が計数した包装回数を示す情報が含まれることを特徴とする包装装置。
【請求項3】
請求項1または2の包装装置において、
前記包装手段は、前記包装材としての長尺フィルムを前記包装動作毎に切断して前記包装対象物を包装するものであり、
前記包装動作情報には、前記長尺フィルムの使用量を示す情報が含まれることを特徴とする包装装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の包装装置において、
前記包装手段は、前記包装材で前記包装対象物を包み、前記包装材同士を溶着するために加熱する加熱手段を有し、
前記包装動作情報には、前記加熱手段の温度の情報が含まれることを特徴とする包装装置。
【請求項5】
請求項4の包装装置において、
装置の設置環境条件を検出する設置環境検出手段を備え、
前記包装動作情報には、前記設置環境検出手段が検出した設置環境情報が含まれることを特徴とする包装装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の包装装置において、
前記包装手段で発生したエラーを検知するエラー検知手段を備え、
前記包装動作情報には、前記エラー検知手段により取得されたエラー内容に基づく装置情報が含まれることを特徴とする包装装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の包装装置において、
前記包装手段は、包装材支持体から供給される前記包装材を用いて前記包装対象物を包装するものであり、
前記包装動作情報には、前記包装材支持体の使用数を示す情報が含まれることを特徴とする包装装置。
【請求項8】
包装保持体から供給される包装材によって包装対象物を包装する包装手段と、
前記包装手段の包装動作に係る情報を取得する包装動作情報取得手段と、
前記包装動作情報取得手段が取得した包装動作情報を、通信ネットワークを介して外部の情報処理手段に向けて発信可能な通信手段と、を備える包装装置を所有する包装処理施設について予め入力された前記包装保持体の在庫数と、
前記包装処理施設から発信される前記包装保持体の交換に関する情報と、
に基づいて前記包装処理施設の前記包装保持体の現在の在庫数に関する情報を出力することを特徴とする包装装置の包装材の在庫管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置及び包装装置の包装材の在庫管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、新聞や広告束等の包装対象物を樹脂シート等の包装材で包装する包装装置が知られている(特許文献1等)。この種の包装装置では、エラーが発生するとユーザーがサービスマンに連絡をとり、サービスマンがユーザーを訪問して包装装置でのエラーの原因となった部品の修理・交換、消耗品の交換を行なう等の保守作業を行うことでエラーを解消している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-37302号公報
【特許文献2】特開2017-074975号公報
【特許文献3】特開2015-151149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の包装装置では、使用を継続できないようなエラーが発生すると、ユーザーがサービスマンに連絡し、サービスマンが訪問して保守作業を行うまで、ユーザーが包装装置を使用できない、という不具合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、包装材によって包装対象物を包装する包装手段と、前記包装手段の包装動作に係る情報を取得する包装動作情報取得手段と、前記包装動作情報取得手段が取得した包装動作情報を、通信ネットワークを介して外部の情報処理手段に向けて発信可能な通信手段と、を備えることを特徴とする包装装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、通信手段が外部の情報処理手段に向けて発信した包装動作情報をサービスマン等の外部管理者が確認することが可能となる。そして、確認した包装動作情報にエラーの前兆となる情報やエラー情報が含まれていれば、使用を継続できないようなエラーが発生する前の保守作業や、エラーが発生してすぐの保守作業が可能となる。これにより、ユーザーが包装装置を使用できない状態となることの抑制、または、使用できない時間の短縮を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態の包装装置の外観斜視図。
図2】本実施形態の包装装置の内部構造の概略を示す側面図。
図3】搬送包装部の拡大説明図。
図4】包装装置で得ることができる三種類の包装物の説明図
図5】包装装置の制御ブロック図。
図6】包装装置の保守管理システムの模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0009】
以下、本発明に係る包装装置の一実施形態について説明する。
【0010】
図1は本発明に係る包装装置1を示す外観斜視図である。
包装装置1は、上面に設けられた挿入口2から四つ折りにされた新聞Sが、その最終折り辺S1を先頭にして挿入されると、装置内で樹脂フィルムシート(F1,F2)により包装され、その包装物FPが下方の排出口3から排出され、スタッカ4に積載される。包装装置1の上面にはユーザーが操作可能な操作パネル7が設けられている。操作パネル7は押しボタンスイッチ類あるいはタッチパネル等により構成され、装置の動作モード等をユーザーが設定できるようになっている。
【0011】
図2は、図1中の矢印「A」方向から見た包装装置1の内部構成を示す概略図である。図2に示すように、包装装置1は、新聞S等の包装対象物を搬送しながら包装する搬送包装部50を備える。
挿入口2から挿入された新聞Sを下方へ導くように、第一ガイド板5a及び第二ガイド板5bによって通路5が形成されている。この通路5を挟んだ両側に各一個ずつ、フィルムロール6(第一フィルムロール6a,第二フィルムロール6b)が支持されている。フィルムロール6は、所定の幅を有する長尺のポリエチレン等の熱可塑性樹脂フィルムシートを、芯体に対して巻いて形成されたものである。二つのフィルムロール6は、第一フィルムロール6aから導出された第一フィルムF1と第二フィルムロール6bから導出された第二フィルムF2との先端同士が、先端溶着ラインF3において溶着された状態で装置に収容されている。先端溶着ラインF3は、前回の溶着動作で第一フィルムF1と第二フィルムF2との先端同士が互い溶着されることで形成される。前回の溶着動作が行われていないフィルムロール6の装着時は、第一フィルムF1と第二フィルムF2との先端同士をセロハンテープ等で固定し、テスト通紙を行うことで先端溶着ラインF3を形成できる。
【0012】
図3は、搬送包装部50の拡大説明図である。
搬送包装部50の上流端付近に、包装物FPの後端となる位置でフィルムFを溶着して切断する溶着切断機構8が配置されている。溶着切断機構8としては、公知のものを用いることができ、例えば、特許文献1に記載のものと同様のものを用いることができるがこれに限るものではない。
通路5を下降してきた新聞Sは、その先端で先端溶着ラインF3を押し下げることによって、第一フィルムF1と第二フィルムF2とに表裏から挟まれた状態でさらに下降する。図3に示すように、溶着切断機構8は、二つのフィルムFに挟まれた状態の新聞Sが通過する搬送経路を挟んで、溶着切断ヒータ9と、受け台10とを備える。溶着切断ヒータ9は移動ブロック11に取り付けられている。移動ブロック11は不図示のクランク機構により、矢印「B」方向に往復移動できるようになっている。この移動により、溶着切断ヒータ9は、その先端が受け台10から離れる待機位置と、先端が受け台10に接触する溶着位置との間を往復移動する。
【0013】
溶着切断ヒータ9は新聞Sを移動させる搬送方向と直交する方向(図2及び図3の紙面に直交するする方向、以下、「幅方向」という)に、フィルムFの幅以上の長さに延在する形状である。このような溶着切断ヒータ9の先端と受け台10との間で第一フィルムF1と第二フィルムF2とを挟むことにより、第一フィルムF1と第二フィルムF2とが全幅にわたって溶着された溶着ライン(F3,F4)が形成される。
【0014】
溶着切断ヒータ9の上流側にはシャッター12が設けられている。シャッター12は回動軸13を中心に回動可能であり、幅方向に延在する板状部材である。シャッター12の背面側に押さえ部材14が設けられている。押さえ部材14は軸形状の支持部材15にと一体的に形成されている。支持部材15は、移動ブロック11に取り付けられたブラケット16に対し、軸方向に移動自在に挿通されている。ブラケット16と押さえ部材14との間には、バネ17が介装されている。
【0015】
溶着切断ヒータ9が待機位置にあるときには、支持部材15に設けられたストッパがブラケット16に引っかかっており、シャッター12は自由端側が自重で下方に回動した状態になっている。溶着切断ヒータ9が溶着位置に移動すると、溶着切断ヒータ9とともにブラケット16、支持部材15、押さえ部材14が同方向に移動し、押さえ部材14がシャッター12の背面を押してシャッター12が回動する。そしてシャッター12の自由端が受け台10接触すると、その後はバネ17が圧縮される。さらに溶着切断ヒータ9が溶着位置に達すると、不図示のロック部材がシャッター12の背面を押さえる。この構成により、溶着中はシャッター12が新聞Sの搬送経路を閉鎖するとともに、通路5側から押しても開かないようにロックされるので、溶着中に次の新聞Sがシャッター12よりも下流側に進入することが阻止される。
【0016】
図2及び図3に示すように、搬送包装部50における溶着切断機構8の下流側には、新聞Sをさらに下流側に搬送する搬送ベルト19(19a,19b)が設けられている。搬送ベルト19として、第一フィルムF1を挟んで新聞Sの一方の面に接触する第一搬送ベルト19aと、第二フィルムF2を挟んで新聞Sの他方の面に接触する第二搬送ベルト19bとを備える。
【0017】
搬送包装部50は、第一搬送ベルト19aの幅方向(図2及び図3中の手前‐奥方向)の両サイドに各一個ずつ、計二個のサイド溶着ヒータ20を備える。サイド溶着ヒータ20は新聞Sの搬送方向に沿って長く延在する形状である。このサイド溶着ヒータ20に対して、新聞Sの搬送経路を挟んで対向する位置であって、第二搬送ベルト19bの幅方向の両サイドには、それぞれ一個ずつ、計二個のサイド溶着受け台21を備える。
【0018】
サイド溶着ヒータ20はサイド溶着受け台21から離間する待機位置と、サイド溶着受け台21に接触する溶着位置との間を、不図示の駆動機構により移動可能になっている。サイド溶着ヒータ20とサイド溶着受け台21とで第一フィルムF1及び第二フィルムF2を挟むことで、新聞Sの幅方向の両側で第一フィルムF1と第二フィルムF2とが溶着され、新聞S搬送方向に沿った溶着ラインを形成する。
【0019】
包装装置1は、搬送経路を通過する新聞Sの有無を検知可能な三つのセンサ(P1,P2,P3)が配置されている。第一センサP1は溶着切断機構8の上流側、第二センサP2は溶着切断機構8の下流側、第三センサP3はサイド溶着ヒータ20の下流側端付近に設けられている。三つのセンサ(P1,P2,P3)は各々発光センサと受光センサとで構成された光学センサである。第一フィルムF1及び第二フィルムF2は透明であるので、これらの光学センサで第一フィルムF1と第二フィルムF2とに挟まれた新聞Sの有無を検出することで、新聞Sの先端または後端の通過が検知可能になっている。
【0020】
ユーザーが新聞Sを最終折り辺S1が先頭になるように包装装置1に挿入すると、包装装置1は、挿入された新聞Sの先端(最終折り辺S1)の通過を第一センサP1で検知し、搬送ベルト19の駆動を開始する。このとき、新聞Sは、最終折り辺S1が第一フィルムF1及び第二フィルムF2の先端溶着ラインF3と略一致した状態で、第一フィルムF1及び第二フィルムF2を押し下げる。これにより、新聞Sを第一フィルムF1及び第二フィルムF2で挟んだ状態のものを第一搬送ベルト19aと第二搬送ベルト19bとの間に挟んで、下流側に搬送する。
【0021】
新聞Sの後端の通過を第二センサP2で検知すると、搬送ベルト19を停止する。次に、溶着切断ヒータ9とサイド溶着ヒータ20とを待機位置から溶着位置に移動し、溶着切断ヒータ9と受け台10との間、及び、サイド溶着ヒータ20とサイド溶着受け台21との間で、それぞれ第一フィルムF1及び第二フィルムF2を所定時間挟んで溶着する。
その後、サイド溶着ヒータ20だけを待機位置に戻し、搬送ベルト19の駆動を再開する。このとき、新聞Sの上流側で第一フィルムF1と第二フィルムF2とを、溶着切断ヒータ9と受け台10との間で挟んだままの状態である。この状態で、搬送ベルト19を駆動することで、第一フィルムF1及び第二フィルムF2を搬送方向下流側に引っ張り、溶着切断ヒータ9と受け台10とで挟んだ部分で第一フィルムF1及び第二フィルムF2を切断できる。搬送ベルト19で搬送した新聞SをフィルムFで包装した包装物FPを、排出口3から排出し、スタッカ4に蓄積する。
【0022】
図3は、溶着切断ヒータ9と受け台10との間、及び、サイド溶着ヒータ20とサイド溶着受け台21との間で、第一フィルムF1及び第二フィルムF2を挟み、溶着している状態を示している。図4は、包装装置1で包装動作の制御条件を異ならせることで得ることができる三種類の包装物FPの説明図である。図3に示すように、溶着切断ヒータ9とサイド溶着ヒータ20とを同時に溶着位置に移動する第一包装制御では、図4(a)に示す包装物FPを得ることができる。
【0023】
図3に示すように、溶着切断ヒータ9とサイド溶着ヒータ20とを溶着位置に移動した状態では、先端溶着ラインF3の搬送方向における位置は、サイド溶着ヒータ20とサイド溶着受け台21とで挟まれる範囲内にある。一方、サイド溶着ヒータ20の上流側端と溶着切断ヒータ9とは離間している。この状態で溶着切断ヒータ9によって新聞Sの後端側(上流側)で第一フィルムF1と第二フィルムF2とを溶着し、後端溶着ラインF4を形成し、これと同時にサイド溶着ヒータ20によって新聞Sの両サイドにサイド溶着ラインF5(図4(a)参照)を形成する。次に、搬送ベルト19による搬送を再開することにより、後端溶着ラインF4で第一フィルムF1及び第二フィルムF2を切断する(切断によって形成した後端溶着ラインF4は、次に挿入される新聞Sに対する先端溶着ラインF3になる)。
【0024】
このような第一包装制御によってえることができる包装物FPは、図4(a)に示すように、新聞Sの両サイドに形成されるサイド溶着ラインF5が、先端溶着ラインF3とは交差するが、後端溶着ラインF4とは交差してない形状となる。すなわち、新聞Sの先端(最終折り辺S1)と対向する辺側において、サイド溶着ラインF5の上流側端と、後端溶着ラインF4との間に溶着されていない非溶着部F6が形成された包装物FPを得ることができる。
【0025】
次に、図4(b)に示す包装物FPを得る第二包装制御について説明する。
第二包装制御では、新聞Sの後端の通過を第二センサP2で検知して、搬送ベルト19を停止すると、溶着切断ヒータ9のみを待機位置から溶着位置に移動する。これにより、第一フィルムF1と第二フィルムF2とを、溶着切断ヒータ9と受け台10との間に所定時間挟んで溶着する第一の溶着を行う。この段階ではサイド溶着ヒータ20は待機位置のままである。次に、搬送ベルト19の駆動を再開し、溶着切断ヒータ9と受け台10との間で第一フィルムF1と第二フィルムF2とを挟んだ部分で第一フィルムF1と第二フィルムF2とを切断する。その後、新聞Sを所定量搬送したタイミングで搬送ベルト19を停止し、サイド溶着ヒータ20を待機位置から溶着位置に移動する。そして、サイド溶着ヒータ20とサイド溶着受け台21との間に、第一フィルムF1と第二フィルムF2とを所定時間挟んで溶着する第二の溶着を行う。その後、サイド溶着ヒータ20を待機位置に戻し、搬送ベルト19の駆動を再開して、新聞SをフィルムFで包装した包装物FPを、排出口3から排出し、スタッカ4に蓄積する。
【0026】
第二包装制御では、第一の溶着で溶着切断ヒータ9と受け台10との間で、第一フィルムF1と第二フィルムF2とを挟み、溶着する。この第一の溶着によって、新聞Sの後端の上流側で溶着切断ヒータ9によって第一フィルムF1と第二フィルムF2とを溶着し、図4(b)に示す後端溶着ラインF4を形成する。
第一の溶着の後、搬送ベルト19を駆動し、先端溶着ラインF3と後端溶着ラインF4との両方の搬送方向の位置が、ともにサイド溶着ヒータ20とサイド溶着受け台21とで挟む範囲内となる位置まで新聞Sを搬送して、搬送ベルト19を停止し、第二の溶着を行う。このため、第二の溶着のときには、先端溶着ラインF3と後端溶着ラインF4とがともにサイド溶着ヒータ20で挟まれる範囲内となる状態である。この状態で第二の溶着を行うことで、サイド溶着ヒータ20によって新聞Sの両サイドにサイド溶着ラインF5を形成する。第二の溶着後、サイド溶着ヒータ20を待機位置に移動し、搬送ベルト19による搬送を再開して、包装物FPを排出口3に送る。
【0027】
このような第二包装制御で得ることができる包装物FPは、図4(b)に示すように、新聞Sの両サイドに形成されるサイド溶着ラインF5が、先端溶着ラインF3と後端溶着ラインF4との両方に交差した状態となる。これにより、新聞Sの四辺に沿って隙間なく溶着ラインが形成された包装物FPを得ることができる。
【0028】
次に、図4(c)に示す包装物FPを得る第三包装制御について説明する。
第三包装制御では、新聞Sの後端の通過を第二センサP2で検知して、搬送ベルト19を停止すると、溶着切断ヒータ9のみを待機位置から溶着位置に移動する。これにより、第一フィルムF1と第二フィルムF2とを、溶着切断ヒータ9と受け台10との間に所定時間挟んで溶着する第一の溶着を行う。この段階ではサイド溶着ヒータ20は待機位置のままである。次に、搬送ベルト19の駆動を再開し、溶着切断ヒータ9と受け台10との間で第一フィルムF1と第二フィルムF2とを挟んだ部分で第一フィルムF1と第二フィルムF2とを切断する。その後、新聞Sの先端の通過を第三センサP3で検知してから、所定量搬送したタイミングで搬送ベルト19を停止し、サイド溶着ヒータ20を待機位置から溶着位置に移動する。そして、サイド溶着ヒータ20とサイド溶着受け台21との間に、第一フィルムF1と第二フィルムF2とを所定時間挟んで溶着する第二の溶着を行う。その後、サイド溶着ヒータ20を待機位置に戻し、搬送ベルト19の駆動を再開して、新聞SをフィルムFで包装した包装物FPを、排出口3から排出し、スタッカ4に蓄積する。
【0029】
第三包装制御では、第一の溶着で溶着切断ヒータ9と受け台10との間で、第一フィルムF1と第二フィルムF2とを挟み、溶着する。この第一の溶着によって、新聞Sの後端の上流側で溶着切断ヒータ9によって第一フィルムF1と第二フィルムF2とを溶着し、図4(c)に示す後端溶着ラインF4を形成する。
第一の溶着の後、搬送ベルト19を駆動し、先端溶着ラインF3がサイド溶着ヒータ20とサイド溶着受け台21とで挟まれる範囲よりも下流側となる位置まで新聞Sを搬送して、搬送ベルト19を停止し、第二の溶着を行う。具体的には、第一の溶着の後、搬送ベルト19の駆動を開始し、新聞Sの先端の通過を第三センサP3で検知した後、所定量搬送して搬送ベルト19を停止する。このため、第二の溶着のときには、後端溶着ラインF4の搬送方向の位置はサイド溶着ヒータ20とサイド溶着受け台21とで挟む範囲内にあるが、先端溶着ラインF3の搬送方向の位置はサイド溶着ヒータ20とサイド溶着受け台21とで挟む範囲よりも下流側にある状態となる。この状態で第二の溶着を行うことで、サイド溶着ヒータ20によって新聞Sの両サイドにサイド溶着ラインF5を形成する。第二の溶着後、サイド溶着ヒータ20を待機位置に移動し、搬送ベルト19による搬送を再開して、包装物FPを排出口3に送る。
【0030】
このような第三包装制御で得ることができる包装物FPは、図4(c)に示すように、新聞Sの両サイドに形成されるサイド溶着ラインF5が、後端溶着ラインF4とは交差するが、先端溶着ラインF3とは交差していない状態となる。これにより、新聞Sの先端(最終折り辺S1)側において、サイド溶着ラインF5の下流側端と、先端溶着ラインF3との間に溶着されていない先端側非溶着部F7が形成された包装物FPが得ることができる。
【0031】
図5は、本実施形態の包装装置1の制御ブロック図である。制御部100は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有する。制御部100には、各種センサの検知結果や操作パネル7での操作内容が入力される。また、制御部100は、各種モータの駆動制御や操作パネル7での表示内容の制御を行う。
【0032】
図5に示す第一フィルム残量検出機構91及び第二フィルム残量検出機構92は、第一フィルムロール6a及び第二フィルムロール6bにおける第一フィルムF1及び第二フィルムF2の残量をそれぞれ検出する機構である。フィルムロール6のフィルムFの残量を検出する機構としては、公知のものを用いることができるため詳細な説明は省略する。例えば、特許文献2に記載のものと同様のものを用いることができるが、これに限るものではない。
【0033】
図5に示す溶着切断ヒータ駆動モータM1及びサイド溶着ヒータ駆動モータM2は、溶着切断ヒータ9及びサイド溶着ヒータ20の駆動機構をそれぞれ駆動し、各ヒータを待機位置と溶着位置との間で往復移動するものである。搬送ベルト駆動モータM3は、搬送ベルト19(19a,19b)の駆動機構を駆動する。
【0034】
図5に示すインデックスセンサP4は、搬送ベルト19の搬送量の検出に用いる。詳しくは、搬送ベルト19の駆動系には、搬送ベルト19の搬送量を測定する不図示のインデックス手段が設けられている。このインデックス手段は、搬送ベルト19が掛けられたプーリを支持し、かつ搬送ベルト駆動モータM3が駆動力を出力するベルト駆動軸に設けられている。インデックス手段は、ベルト駆動軸に支持された所定ピッチで複数の開口が周方向に配置された円板と、その開口を検知可能な光学センサからなるインデックスセンサP4を備える。インデックスセンサP4で開口の一つの通過を検知する毎に1パルスとして計数することで、搬送ベルト19の搬送量を検出する。
例えば、上述した第三包装制御における第二の溶着の際、新聞Sの先端(最終折り辺S1)の通過を第三センサP3が検知してから、インデックスセンサP4の検出結果に基づいて所定パルス計数後に停止させることにより、第二の溶着を行う位置に新聞Sを停止させることができる。
【0035】
図5に示す溶着切断ヒータ温度センサT1は、溶着切断ヒータ9の温度を検出する。手前側サイド溶着ヒータ温度センサT2は、第一搬送ベルト19aを挟んで幅方向の両サイドに配置されたサイド溶着ヒータ20のうち、図2及び図3中の手前側に位置するサイド溶着ヒータ20の温度を検出する。同様に、奥側サイド溶着ヒータ温度センサT3は、第一搬送ベルト19aを挟んで幅方向の両サイドに配置されたサイド溶着ヒータ20のうち、図2及び図3中の奥側に位置するサイド溶着ヒータ20の温度を検出する。また、設置環境温度センサT4は、包装装置1の筐体の外部または内部に配置されており、包装装置1を設置した環境の温度を検出する。
【0036】
図2及び図5に示すように、本実施形態の包装装置1は、各種センサ等の情報取得手段から取得した情報に基づいて制御部100が作成したエラー情報等の包装動作情報を、外部に向けて発信可能な通信部101を備える。
図6は、包装装置1がインターネットを介して外部コンピュータ(保守管理PC80)との通信を行う保守管理システムの模式図である。
【0037】
包装装置1におけるエラー情報等は、制御部100から通信部101に発信され、通信部101からWi-Fi回線等の無線回線を用いてWi-Fiルーター60等の無線通信機に送信され、ユーザー側LANケーブル61を介してユーザー側モデム62に送信される。ユーザー側モデム62はインターネット回線70を介して、保守管理者側モデム82にエラー情報等を送信し、この情報は、保守管理者側LANケーブル81を介して保守管理PC80に送信され、その内容をサービスマンが確認できる。
【0038】
包装装置1では、通信部101がインターネット回線70を介して、外部の情報処理手段である保守管理PC80に向けて発信したエラー情報等の包装動作情報を、サービスマンがユーザーを訪問することなく確認できる。そして、確認した包装動作情報にエラーの前兆となる情報やエラー情報が含まれていれば、使用を継続できないようなエラーが発生する前の保守作業や、エラーが発生してすぐの保守作業が可能となる。これにより、ユーザーが包装装置1を使用できない状態となることの抑制、または、使用できない時間の短縮を図ることが可能となる。
【0039】
以下、包装装置1の通信部101から外部の情報処理手段である保守管理PC80に向けて送信する包装動作情報について説明する。
第一フィルム残量検出機構91及び第二フィルム残量検出機構92の検出結果に基づいた第一フィルムロール6a及び第二フィルムロール6bにおける第一フィルムF1及び第二フィルムF2の残量に関する情報を送信してもよい。これにより、保守管理者は、ユーザーを訪問することなく包装装置1のフィルムFの残量及び使用量を把握することができる。
【0040】
保守管理者が、フィルムFの残量を把握することで、フィルムFが無くなる前にサービスマンが交換用のフィルムロール6をユーザーに届けることができ、フィルムFが無くなることに起因して包装装置1が使用不能となることを防止できる。
また、保守管理者が、フィルムFの使用量を把握することで、フィルムFの使用量に基づいてユーザーに料金の請求を行う場合、サービスマンが使用量の確認だけのためにユーザーを訪問する必要がなくなり、保守コストの削減を図ることができる。
フィルムFの残量に関する情報を送信するタイミングとしては、一日一回や週に一回等の定期的なタイミングでもよいし、電源ON毎や電源OFF毎など所定の操作が実行されたタイミングでもよい。
【0041】
第一フィルム残量検出機構91または第二フィルム残量検出機構92の少なくとも一方でフィルムFの残量を検出できない場合は、エラー情報として保守管理PC80に送付してもよい。これにより、包装装置1が、フィルムFの残量や使用量を把握することができない状態であることを、保守管理者が把握でき、ユーザーからの保守依頼が無くても、訪問修理等の保守作業を行うことができる。
【0042】
包装動作情報として、フィルムFによって新聞Sを包装した回数であるカウンター値を制御部100で計数し、保守管理PC80に送信してもよい。本実施形態の包装装置1では、溶着切断ヒータ9によってフィルムFを溶着切断した回数がカウンター値となる。カウンター値に基づいて、溶着切断ヒータ9及びサイド溶着ヒータ20の使用回数を算出し、所定回数に到達したらサービスマンがユーザーを訪問し、ヒータの交換作業を行ってもよい。これにより、ヒータの寿命によって不具合が生じる前にヒータを交換でき、ヒータの不調に起因するユーザーのダウンタイムの発生を防止できる。
【0043】
また、保守管理者が、カウンター値を把握することで、カウンター値に基づいてユーザーに料金の請求を行う場合、サービスマンがカウンター値の確認だけのためにユーザーを訪問する必要がなくなり、保守コストの削減を図ることができる。カウンター値を送信するタイミングとしては、一日一回や週に一回等の定期的なタイミングでもよいし、電源ON毎や電源OFF毎など所定の操作が実行されたタイミングでもよい。
【0044】
フィルムFの使用量やカウンター値に基づいて、ユーザーに料金の請求を行う場合、現在のフィルムFの使用量やカウンター値と、その使用量やカウンター値に対応した料金をユーザーが包装装置1の表示部(操作パネル7)や携帯端末(タブレットやスマートフォン)、PCで確認できる構成を備えることが望ましい。これにより、ユーザーは現在の使用状況と次回の請求額とを把握することが可能となる。
【0045】
包装動作情報として、フィルムロール6の使用本数に関する情報を保守管理PC80等の外部の情報処理手段に送信してもよい。
フィルムロール6の使用本数に関する情報としては、フィルム残量検出機構(91,92)の検出値に基づいた、フィルムロール6の交換の発生の有無の情報が考えられる。具体的には、フィルムFの残量が少ない状態等のフィルムFが消費された状態から、フィルムFの残量が新品のフィルムロール6の状態となったことを検出することでフィルムロール6の交換が発生したことを検出することができる。
また、フィルム残量検出機構を備えない包装装置であっても、フィルムFの残量に関わらずフィルムロール6の装着の有無を検知できるセンサを設け、フィルムロール6がいったん取り外されたことが検出されたことをもって、フィルムロール6の交換が発生したことを検出してもよい。このようなセンサとしては、例えば、フィルムFが巻かれていない状態となったフィルムロール6の芯が検知領域を遮ることが可能な位置に設けた光学センサにより実現することができる。
そして、この交換の回数に基づいて、フィルムロール6の使用本数を算出することができる。
【0046】
また、サービスマンがユーザーを訪問した際に、在庫数を確認して入力し、交換の発生の度に記憶している在庫数を減らす制御を行い、算出した在庫数を保守管理PC80等の外部の情報処理手段に送信する構成としてもよい。これにより、サービスマン等の保守管理者が、ユーザーが持っている交換用のフィルムロール6の本数を把握することができ、交換用のフィルムロール6が少なくなってきたときや、交換用のフィルムロール6が無くなったタイミングで、サービスマンが交換用のフィルムロール6をユーザーに届けることができる。これにより、フィルムFが無くなることに起因して包装装置1が使用不能となることを防止できる。
【0047】
また、保守管理者が、フィルムロール6の使用本数を確認することができる構成であれば、フィルムロール6の使用本数に基づいてユーザーに料金の請求を行う場合、サービスマンが使用本数の確認だけのためにユーザーを訪問する必要がなくなり、保守コストの削減を図ることができる。
【0048】
フィルムロール6の使用本数に関する情報を取得する構成としては、包装装置1の筐体内に交換用のフィルムロール6を収容するロール収容部を設け、このロール収容部内に、フィルムロール6の本数またはフィルムロール6の有無を検出できるセンサを設ける構成としてもよい。そして、フィルムロール6の使用本数に関する情報として、ロール収容部に設けたセンサの検出結果を送信することで保守管理者は、フィルムロール6の使用本数に関する情報を取得することができる。
またロール収容部としては、包装装置1の筐体内に配置するものに限らない。例えば、包装装置1を使用する屋内のいずれかの場所に設置し、包装装置1と無線等で通信可能なセンサによりフィルムロール6の有無や本数を検出し、その結果を送信可能としてもよい。
【0049】
第一センサP1の検知結果に基づいて検出できる挿入部紙詰まり、第二センサP2の検知結果に基づいて検出できる内部紙詰まり、及び、第三センサP3の検知結果に基づいて検出できる排出部紙詰まり等の紙詰まりのエラー情報を保守管理PC80に送付してもよい。一般的に、単発の紙詰まりは保守作業をすることなく復旧することができる。しかし、頻繁に紙詰まりが発生する場合は、使用不能となるような故障が生じる前兆である可能性がある。そこで、紙詰まりのエラー情報を継続して保守管理PC80に送信することで、保守管理者が、不具合を察知し、使用不能となる前に保守作業を行える可能性がある。
【0050】
エラー情報として、溶着切断ヒータ駆動モータM1、サイド溶着ヒータ駆動モータM2、溶着切断ヒータ9及びサイド溶着ヒータ20の各部材それぞれについての動作エラーを保守管理PC80に送信してもよい。
溶着切断ヒータ駆動モータM1やサイド溶着ヒータ駆動モータM2の動作エラーとしては、電源投入時や新聞Sの通紙後に、ホーム状態(溶着切断ヒータ9やサイド溶着ヒータ20を待機位置とする状態)にならないことを挙げることができる。
溶着切断ヒータ9やサイド溶着ヒータ20の動作エラーとしては、各ヒータの加熱開始から規定時間以内に各ヒータが規定温度に達しないことを挙げることができる。
【0051】
これらの動作エラーの情報は、保守管理者が、包装装置1の各部材の保守作業の要否の判断材料となる。例えば、動作エラーが所定回数を超えると保守作業が必要であることを示すアラートを保守管理PC80に出力する。また、このアラートを出力する所定回数は各部材毎に異ならせてもよい。
【0052】
エラー情報として、制御部100と各部材との通信ができなくなる通信エラーを保守管理PC80に送信してもよい。
エラー情報として、搬送ベルト駆動モータM3の回転を検知できないベルト駆動エラーを保守管理PC80に送信してもよい。ベルト駆動エラーは、制御部100が搬送ベルト駆動モータM3を駆動させる制御を行っているにも関わらず、インデックスセンサP4が、ベルト駆動軸の回転を検出できないことにより検知することができる。
【0053】
包装動作情報として、上述した第一包装制御、第二包装制御及び第三包装制御のように制御動作の内容が異なる包装制御を選択できる場合、各包装制御についてのカウンター値を保守管理PC80に送信してもよい。これにより、保守管理者は、ユーザーの使用頻度が高い包装制御を把握することができ、それに合わせた保守管理を検討することが可能となる。
【0054】
<変形例>
次に、変形例として、外部の情報処理手段に向けて発信可能な通信手段を備える包装装置1を用いた、包装処理施設毎のフィルムロール6の在庫管理システムについて説明する。
【0055】
上述した実施形態では、包装装置1が算出した在庫数を保守管理PC80に送信する構成について説明した。この構成では、新聞販売店の店舗等の包装処理を行う包装処理施設が複数の包装装置1を所有する場合に、それぞれの包装装置1毎に個別に在庫数を紐付けることになり、包装処理施設の在庫を一元的に管理することができない。この場合、一つの包装装置1から保守管理PC80に送信された在庫数の情報に基づいて、包装処理施設に交換用のフィルムロール6を届けた後に、あまり日数が経過していないタイミングで、同じ包装処理施設が所有する他の包装装置1から送信された在庫情報に基づいて交換用のフィルムロール6を届ける必要性が生じるおそれがある。
【0056】
これに対して、本変形例の在庫管理システムは、包装処理施設毎に在庫数を管理する構成である。
具体的には、保守管理PC80が包装処理施設毎に所有する包装装置1と在庫情報とを保存する構成を備え、サービスマンが包装処理施設を訪問した際に、交換用のフィルムロール6の在庫数を確認してその情報を保守管理PC80に保存する。この保存は、サービスマンが保守管理PCを直接操作して入力してもよいし、サービスマンが携帯する情報端末から通信回線を介して入力してもよい。また、包装装置1の一つをサービスマンのみが操作できるメンテナンスモードとして、包装装置1から在庫情報を保守管理PC80に送信してもよい。さらに、サービスマンの訪問に限らず、包装処理施設への交換用のフィルムロール6を発送した際に、その本数に応じて在庫数を入力してもよい。また、包装処理施設が管理するフィルムロール6保管庫に保管されているフィルムロール6を各々個別に検知可能とし、保管庫内に在庫するロール数を把握するようにしてもよい。
【0057】
保守管理PC80に包装処理施設毎の在庫情報が保存された状態で、ある包装処理施設が所有する包装装置1の一つがフィルムロール6の交換がなされた情報を保守管理PC80に送信すると、保守管理PC80で保存している当該包装処理施設の在庫情報の在庫数を一つ減らす制御を行う。これにより、包装処理施設が持っている交換用のフィルムロール6の本数を保守管理者が把握することができる。
このように、保守管理者側が包装処理施設に提供した交換用のフィルムロール6の本数の情報と、包装処理施設が所有する包装装置1でのフィルムロール6の交換の回数の情報とに基づいて包装処理施設が持っている交換用のフィルムロール6の本数を把握することがでる。そして、把握した本数に基づいて、適切な時期に交換用のフィルムロール6を包装処理施設に届けることで、サービスマンの訪問回数または包装処理施設への発送回数を抑制しつつ、交換用のフィルムロール6が無くなることに起因して包装処理施設のユーザーが包装装置1を使用できなくなることを防止できる。
【0058】
在庫管理システムとしては、包装処理施設毎の最低在庫数を予め設定しておき、包装処理施設の在庫数が最低在庫数よりも少なくなった場合に、保守管理PCの表示部にアラートを表示するなど、保守管理者に報知する構成を備えてもよい。例えば、三台の包装装置1を所有する包装処理施設に対しては最低在庫数を六本(「一回の交換で必要な本数」×「所有台数」)に設定し、当該包装処理施設の在庫数が六本よりも少なくなったら保守管理者に報知する。これにより、在庫数が最低在庫数よりも少なくなるときに、フィルムロール6を交換した包装装置1以外の二台の包装装置1でフィルムFが無くなっても、残りの在庫の四本を使ってフィルムロール6の交換ができ、三台の包装装置1の何れかが交換用のフィルムロール6が無くなることに起因して使用不能となることを防止できる。
【0059】
包装処理施設毎に所有する包装装置1に関する情報を管理する構成としては、管理する情報はフィルムロール6の在庫情報に限らない。複数の包装装置1に関するエラー情報やフィルム使用量等の包装手段の包装動作に係る情報を包装処理施設毎に管理することで、エラーに対する保守サービスの一元化や費用請求の一元化を図ることができる。
本変形例では、複数の包装装置1を所有する包装処理施設毎の在庫管理システムについて説明したが、包装処理施設が所有する包装装置1は一台でもよい。
【0060】
上述した実施形態では、包装装置1が外部の情報処理手段である保守管理PC80に向けて包装動作を発信する際の通信ネットワークが、Wi-fi回線、LANケーブル(61,81)及びインターネット回線70から成る構成について説明した。通信ネットワークとしてはこれに限るものではない。包装装置1の使用状況をユーザー自身が操作パネル7よりも確認し易い端末(タブレットやPC等)で確認できる構成としてもよく、この場合、社内LANやWi-fi回線等の有線または無線の通信回線が通信ネットワークとなる。
外部の情報処理手段としては、保守管理PC80に限らず、ユーザー所有のPC、保守管理者のサーバー、保守管理者が運用するクラウド等、包装装置1の筐体の外側にある情報処理手段であればよい。外部の情報処理手段としては、サービスマン等の保守管理者が持ち歩くことができるスマートフォンやタブレット等の携帯端末であってもよい。
【0061】
フィルムFとして、厚みや素材等、特性が異なる複数種のフィルムを使用可能とし、フィルムの種類に関する情報を制御部100に入力し、ヒータの温度や溶着時間等の制御をフィルムの種類の応じた制御で行う構成としてもよい。
【0062】
フィルムの種類に関する情報を制御部100に入力する構成としては、操作パネル7から入力設定可能としてもよいし、外部の入力端末(タブレット、スマートフォン、PC等)との通信によって入力可能としてもよい。
また、フィルムロール6の芯に、バーコードや非接触ICカード等のフィルムの種類を識別できる識別手段を設け、包装装置1にこの識別手段の読み取り手段を配置して、読み取り手段が識別手段を読み取ることで、フィルムの種類に関する情報を制御部100に入力する構成としてもよい。
このようにフィルムの種類に関する情報を制御部100に入力できる構成の場合、使用するフィルムに関する情報を包装動作情報として保守管理PC80に送信してもよい。これにより、保守管理者は、ユーザーが使用しているフィルムの種類を把握することができ、それに合わせた保守管理を検討することが可能となる。
【0063】
包装動作情報としてエラー情報を送信する場合、エラーを検出する度にエラー情報を送信する構成としてもよい。また、一日一回等の定期的な通信や電源ON時や電源OFF時等の特定の操作時にエラー情報を送信する構成としてもよい。この場合、前回のエラー情報送信時からエラー履歴を保存し、次回のエラー情報送信の際に、前回の送信時からのエラー履歴を発生する。エラーを検出する度に送信する構成に比べて、送信回数を減らし、通信負荷の削減を図ることができる。
【0064】
上述した実施形態では、包装装置1は挿入した矩形のシートである新聞Sを樹脂フィルムシートで覆い、新聞Sの四辺の周囲を閉塞して包装する構成である。本発明に係る包装装置の包装対象物は新聞Sのような矩形のシート状のものに限るものではない。また、シートの四辺の周囲を閉塞するものに限らず、四辺の何れかが解放された状態で包装されるものでもよい。さらに、包装材も樹脂フィルムシートに限らず、紙や布その他、包装対象物を包装できるものであればよい。
【0065】
上述した包装装置1は、包装対象物である新聞Sを上方から下方に向けて搬送する間に、包装材である樹脂フィルムで包装する縦型搬送の構成であるが、本発明を適用可能な包装装置は、これに限るものではない。例えば、特許文献2に記載の包装装置のように、包装対象物を横方向に搬送する間に包装する横型搬送の構成であっても包装動作情報を外部の情報処理手段に向けて発信可能な通信手段を備える構成は適用可能である。
さらに、上述した包装装置1は、二枚の樹脂フィルムを重ねて溶着することで、包装対象物を包装する構成であるが、本発明の適用可能な包装装置は、これに限るものではない。例えば、特許文献3に記載の包装装置のように、一枚の樹脂フィルムを折って、重なる部分を溶着することで包装する包装装置であっても、上述した通信手段を備える構成は適用可能である。また、三枚以上の樹脂フィルムを用いて包装する包装装置にも適用可能である。
【0066】
本発明の実施の形態は、上述した実施形態に限るものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれ得る。
【0067】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0068】
〔態様1〕
フィルムF等の包装材によって新聞S等の包装対象物を包装する搬送包装部50等の包装手段と、エラー情報やフィルム使用量等の包装手段の包装動作に係る情報を取得する制御部100等の包装動作情報取得手段と、包装動作情報取得手段が取得した包装動作情報を、インターネット回線70等の通信ネットワークを介して保守管理PC80等の外部の情報処理手段に向けて発信可能な通信部101等の通信手段と、を備えることを特徴とする包装装置1等の包装装置に関するものである。
本態様の包装装置では、サービスマンが外部の情報処理手段に発信された包装動作情報に基づいて保守作業の効率が向上し、ユーザーが包装装置を使用できない状態となることの抑制、または、使用できない時間の短縮を図ることが可能となる。
【0069】
〔態様2〕
態様1の包装装置において、包装材によって包装対象物を包装した回数を計数する制御部100等の包装回数計数手段を備え、包装動作情報には、包装回数計数手段が計数したカウンター値等の包装回数を示す情報が含まれることを特徴とするものである。
これによれば、ヒータ等の包装手段を構成する部材の寿命によって不具合が生じる前に包装手段を構成する部材を交換でき、包装手段を構成する部材の不調に起因するユーザーのダウンタイムの発生を防止できる。また、包装回数に基づいて料金の請求を行う場合、サービスマンが包装回数の確認だけのためにユーザーを訪問する必要がなくなり、保守コストの削減を図ることができる。
【0070】
〔態様3〕
態様1または2の包装装置において、包装手段は、包装材としてのフィルムF等の長尺フィルムを包装動作毎に切断して包装対象物を包装するものであり、包装動作情報には、長尺フィルムの使用量(使用回数のカウンター、フィルム残量検出機構(91,92)の検出値、繰り出し量の算出手段等)を示す情報が含まれることを特徴とするものである。
これによれば、保守管理者は、ユーザーを訪問することなく包装装置の長尺フィルムの残量及び使用量を把握することができ、フィルムが無くなる前に交換用のフィルムをユーザーに届けることが可能となり、フィルムが無くなることに起因して包装装置が使用不能となることを防止できる。
【0071】
〔態様4〕
態様1乃至3の何れかの包装装置において、包装手段は、包装材で包装対象物を包み、包装材同士を溶着するために加熱する溶着切断ヒータ9及びサイド溶着ヒータ20等の加熱手段を有し、包装動作情報には、加熱手段の温度の情報が含まれることを特徴とする。
これによれば、保守管理者は、ユーザーを訪問することなく加熱手段の状態を把握することができ、必要に応じてユーザーを訪問して保守作業を行うことが可能であるため、加熱手段の異常に起因して包装装置が使用不能となることを防止できる。
上述した実施形態では、溶着切断ヒータ9及びサイド溶着ヒータ20等の加熱手段のエラー情報を送信する構成について記載したが、エラーとして検出される状態でなくても、各温度センサ(11,12,13)で検出した温度情報を送信してもよい。
【0072】
〔態様5〕
態様4の包装装置において、装置の設置環境条件(温度や湿度等)を検出する設置環境温度センサT4等の設置環境検出手段を備え、包装動作情報には、設置環境検出手段が検出した包装装置1を設置した環境の温度等の設置環境情報が含まれることを特徴とする。
これによれば、保守管理者は、ユーザーを訪問することなく装置の設置環境の情報を取得することができ、設置環境に応じた保守管理を検討することが可能となる。
【0073】
〔態様6〕
態様1乃至5の何れかの包装装置において、包装手段で発生したエラーを検知するエラー検知手段(各種センサと制御部100等)を備え、包装動作情報には、エラー検知手段により取得されたエラー内容に基づく装置情報が含まれることを特徴とするものである。
これによれば、保守管理者は、ユーザーを訪問することなく、また、ユーザーからの連絡を受けることなく、装置のエラー情報を取得することができ、発生したエラーに応じた保守管理を行うことが可能となる。
【0074】
〔態様7〕
態様1乃至6の何れかの包装装置において、包装手段は、フィルムロール6等の包装材支持体から供給される包装材を用いて包装対象物を包装するものであり、包装動作情報には、包装材支持体の使用数(使用本数等)を示す情報が含まれることを特徴とする。
これによれば、保守管理者が、ユーザーを訪問することなく、ユーザーが持っている交換用の包装材支持体の数を把握することができ、包装材が無くなる前に交換用の包装材支持体をユーザーに届けることが可能となる。これにより、包装材が無くなることに起因して包装装置が使用不能となることを防止できる。
【0075】
〔態様8〕
態様8は、フィルムロール6等の包装保持体から供給されるフィルムF等の包装材によって新聞S等の包装対象物を包装する搬送包装部50等の包装手段と、包装手段の包装動作に係る情報を取得する制御部100等の包装動作情報取得手段と、包装動作情報取得手段が取得した包装動作情報を、インターネット回線70等の通信ネットワークを介して守管理PC80等の外部の情報処理手段に向けて発信可能な通信部101等の通信手段と、を備える包装装置1等の包装装置を所有する新聞販売店等の包装処理施設について予め入力された包装保持体の在庫数と、包装処理施設から発信される包装保持体の交換に関する情報と、に基づいて包装処理施設の包装保持体の現在の在庫数に関する情報(包装処理施設が持っている交換用のフィルムロール6の本数等)を出力することを特徴とする包装装置の包装材の在庫管理システムに関するものである。
この態様8では、サービスマン等の保守管理者の包装処理施設への訪問回数、または、交換用の包装保持体の包装処理施設への発送回数、を抑制しつつ、交換用の包装保持体が無くなることに起因して包装処理施設のユーザーが包装装置を使用できなくなることを防止できる。
【符号の説明】
【0076】
1 :包装装置
2 :挿入口
3 :排出口
4 :スタッカ
5 :通路
5a :第一ガイド板
5b :第二ガイド板
6 :フィルムロール
6a :第一フィルムロール
6b :第二フィルムロール
7 :操作パネル
8 :溶着切断機構
9 :溶着切断ヒータ
10 :受け台
11 :移動ブロック
12 :シャッター
13 :回動軸
14 :押さえ部材
15 :支持部材
16 :ブラケット
17 :バネ
19 :搬送ベルト
19a :第一搬送ベルト
19b :第二搬送ベルト
20 :サイド溶着ヒータ
21 :サイド溶着受け台
50 :搬送包装部
60 :Wi-Fiルーター
61 :ユーザー側LANケーブル
62 :ユーザー側モデム
70 :インターネット回線
80 :保守管理PC
81 :保守管理者側LANケーブル
82 :保守管理者側モデム
91 :第一フィルム残量検出機構
92 :第二フィルム残量検出機構
100 :制御部
101 :通信部
F :フィルム
F1 :第一フィルム
F2 :第二フィルム
F3 :先端溶着ライン
F4 :後端溶着ライン
F5 :サイド溶着ライン
F6 :非溶着部
F7 :先端側非溶着部
FP :包装物
M1 :溶着切断ヒータ駆動モータ
M2 :サイド溶着ヒータ駆動モータ
M3 :搬送ベルト駆動モータ
P1 :第一センサ
P2 :第二センサ
P3 :第三センサ
P4 :インデックスセンサ
S :新聞
S1 :最終折り辺
T1 :溶接切断ヒータ温度センサ
T2 :手前側サイド溶着ヒータ温度センサ
T3 :奥側サイド溶着ヒータ温度センサ
T4 :設置環境温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6