(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041861
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】ステアリングハンドル
(51)【国際特許分類】
B62D 1/04 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
B62D1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021058995
(22)【出願日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2020146801
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】小島 史泰
(72)【発明者】
【氏名】藤村 健司
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆徳
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DA26
3D030DA35
3D030DA45
3D030DA54
3D030DA70
3D030DB12
3D030DB16
(57)【要約】
【課題】加飾体を配設させている把持部の部位に配置される把持部用芯材の強度低下を抑制することが可能なステアリングハンドルを提供すること。
【解決手段】ボス部と、ボス部から離れて配設される略棒状の把持部2と、ボス部と把持部とを連結するスポーク部と、を有するステアリングハンドル。把持部が、把持部用芯材12と、把持部用芯材の外周側を覆う被覆層17と、把持部の上面側に露出される加飾体25と、を備える。加飾体が、把持部の上面側に露出される加飾本体部50と、把持部に略沿って配設される長尺状とされるとともに加飾本体部を保持して被覆層に取り付けられる取付部27と、を有する。取付部が、下面側に、被覆層に取り付けられる複数の取付嵌合部40を、備える。ボス部及びスポーク部から離隔した側に配設される取付嵌合部が、把持部の断面において、把持部用芯材に対して、ボス部から離隔した側に、形成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加飾体を、回転操舵時に把持する把持部の少なくとも上面側に露出されるように配設させる構成とされ、
回転軸に連結されるボス部と、該ボス部から離れて配設される略棒状の前記把持部と、前記ボス部と前記把持部とを連結するスポーク部と、を有するとともに、前記ボス部、前記スポーク部、及び、前記把持部を連結するように配置される芯材を備える構成のステアリングハンドルであって、
前記把持部が、把持部用芯材と、該把持部用芯材の外周側を覆う被覆層と、前記加飾体と、を備える構成とされ、
前記加飾体が、前記把持部の上面側に露出される加飾本体部と、前記把持部に略沿って配設される長尺状とされるとともに該加飾本体部を保持して前記被覆層に取り付けられる取付部と、を有する構成とされ、
前記取付部が、下面側に、前記被覆層に取り付けられる複数の取付嵌合部を、備える構成とされ、
前記ボス部及び前記スポーク部から離隔した側に配設される前記取付嵌合部が、前記把持部の断面において、前記把持部用芯材に対して、前記ボス部から離隔した側に、形成されていることを特徴とするステアリングハンドル。
【請求項2】
前記取付嵌合部において、前記スポーク部近傍に配設されるスポーク側取付嵌合部が、前記把持部の断面において、前記把持部用芯材に対して、前記ボス部に近接した側に、形成されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングハンドル。
【請求項3】
前記加飾体が、作動時に発光可能なライトバーユニットから、構成され、
該ライトバーユニットが、前記加飾本体部として、前記把持部の外表面側に露出されるカバー部と、内部に配置されて作動時に点灯可能とされる可視光光源と、該可視光光源から発光される可視光を前記カバー部側に放射させる導光体と、を、有する構成とされていることを特徴とする請求項1または2に記載のステアリングハンドル。
【請求項4】
前記把持部が、円環状のリング部から、構成され、
前記ライトバーユニットが、前記リング部に略沿って湾曲して配設される略長尺状として構成され、
前記取付嵌合部において、前記ボス部及び前記スポーク部から離隔した側に配設される離隔側取付嵌合部が、前記ライトバーユニットの長手方向に沿って複数個配設され、
前記導光体が、前記ライトバーユニットに略沿うように湾曲した長尺の略板状体とされるとともに、前記離隔側取付嵌合部の配置領域に、配設されていることを特徴とする請求項3に記載のステアリングハンドル。
【請求項5】
前記カバー部が、下方に突出するように形成されて、前記被覆層に取り付けられるカバー部側取付嵌合部を、備える構成とされていることを特徴とする請求項4に記載のステアリングハンドル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾体を、回転操舵時に把持する把持部の少なくとも上面側に露出されるように配設させる構成のステアリングハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、把持部に加飾体を配設させている構成のステアリングハンドルとしては、把持部の外周面側に露出されている加飾体の裏面(下面)側から下方に延びるように形成される係止部を、把持部用芯材の外周側を覆うように形成されている取付基部に取り付けることにより、加飾体を取り付けている構成のものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来のステアリングハンドルでは、加飾体は、回転軸に連結されるボス部の周囲において略円環状に構成される把持部の直進操舵時における前部側の領域において、ボス部側から上面側にかけて露出するように配設されており、裏面側から下方に向かって延びる係止部を、把持部用芯材よりもボス部側となる位置に配設させている構成であった。すなわち、従来のステアリングハンドルでは、把持部用芯材が、ボス部から離隔した直進操舵時における前部側の領域において、把持部における断面の中心よりもボス部から離隔した側に配設されることとなり、換言すれば、ボス部側に配設されるボス部用芯材から加飾体を設けた把持部用芯材の部位までの距離が長くなることから、曲げモーメントが大きくなり、把持部用芯材の強度を低下させる場合が生じていた。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、加飾体を配設させている把持部の部位に配置される把持部用芯材の強度低下を抑制することが可能なステアリングハンドルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るステアリングハンドルは、加飾体を、回転操舵時に把持する把持部の少なくとも上面側に露出されるように配設させる構成とされ、
回転軸に連結されるボス部と、ボス部から離れて配設される略棒状の把持部と、ボス部と把持部とを連結するスポーク部と、を有するとともに、ボス部、スポーク部、及び、把持部を連結するように配置される芯材を備える構成のステアリングハンドルであって、
把持部が、把持部用芯材と、把持部用芯材の外周側を覆う被覆層と、加飾体と、を備える構成とされ、
加飾体が、把持部の上面側に露出される加飾本体部と、把持部に略沿って配設される長尺状とされるとともに加飾本体部を保持して被覆層に取り付けられる取付部と、を有する構成とされ、
取付部が、下面側に、被覆層に取り付けられる複数の取付嵌合部を、備える構成とされ、
ボス部及びスポーク部から離隔した側に配設される取付嵌合部が、把持部の断面において、把持部用芯材に対して、ボス部から離隔した側に、形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のステアリングハンドルでは、加飾体における取付部を被覆層に取り付ける取付嵌合部が、ボス部及びスポーク部から離隔した領域においては、把持部の断面において、把持部用芯材に対してボス部から離隔した側に、形成される構成であることから、この取付嵌合部の配置される領域においては、把持部の断面において、把持部用芯材を、相対的に、ボス部に近接した側に、配設させることができる。すなわち、把持部においてボス部及びスポーク部から離隔した領域において、把持部用芯材と、ボス部側に配設されるボス部用芯材と、の離隔距離を、相対的に短くすることができ、さらに換言すれば、把持部用芯材において、ボス部及びスポーク部から離隔した領域を、ボス部側に接近させることができることから、ステアリングハンドルの強度や剛性に影響を与える最大曲げモーメントの値を下げることができる。そのため、芯材の強度や剛性を向上させることができる。
【0008】
したがって、本発明のステアリングハンドルでは、加飾体を配設させている把持部の部位に配置される把持部用芯材の強度低下を抑制することができる。
【0009】
また、本発明のステアリングハンドルにおいて、取付嵌合部においてスポーク部近傍に配設されるスポーク側取付嵌合部を、把持部の断面において、把持部用芯材に対して、ボス部に近接した側に、形成する構成とすれば、加飾体の取付部を、把持部用芯材を跨ぐように、把持部用芯材の内側と外側との両側に配置される複数の取付嵌合部によって、把持部用芯材の内側と外側との両側から被覆層に取り付けることができることから、取付部により、加飾体を安定して、被覆層に取り付けることができて、好ましい。また、上記構成のステアリングハンドルでは、把持部用芯材が、スポーク部に近接した側においては、ボス部から離隔した側に配置されることとなるが、スポーク部に近接されていることから、最大曲げモーメントの値に影響を与えず、芯材の強度や剛性を低下させ難い。
【0010】
具体的には、把持部に配設される加飾体としては、作動時に発光可能なライトバーユニットを、例示できる。ライトバーユニットは、加飾本体部として、把持部の外表面側に露出されるカバー部と、内部に配置されて作動時に点灯可能とされる可視光光源と、可視光光源から発光される可視光をカバー部側に放射させる導光体と、を、有する構成である。そして、加飾体としてのライトバーユニットを、円環状のリング部からなる把持部を有するステアリングハンドルにおいて、リング部に略沿うように湾曲した略長尺状として、配設させる場合、取付嵌合部において、ボス部及びスポーク部から離隔した側に配設される離隔側取付嵌合部を、ライトバーユニットの長手方向に沿って複数個配設させ、導光体を、ライトバーユニットに略沿うように湾曲した長尺の略板状体とするとともに、離隔側取付嵌合部の配置領域に、配設させる構成とすることが、好ましい。
【0011】
ステアリングハンドルをこのような構成とすれば、略円弧状に湾曲して形成されるライトバーにおける外縁側を、離隔側取付嵌合部によって、被覆層に取り付ける構成であることから、内縁側のみで被覆層に取り付ける場合と比較して、外縁側を含めた全体の浮き上がりを抑制して、安定して、被覆層に取り付けることができる。また、このような構成のステアリングハンドルでは、導光体が、ライトバーユニットに略沿うように湾曲した長尺の略板状体とされているが、この導光体は、相対的にボス部に近接した側に配設される把持部用芯材の近傍に位置することとなる。そのため、仮に、ステアリングハンドルに、リング部の一部を押圧するような衝撃力が作用した場合においても、ライトバーユニットが浮き上がることを抑制でき、また、導光体に割れが生じることも、抑制できる。
【0012】
さらに、カバー部に、下方に突出するように形成されて、被覆層に取り付けられるカバー部側取付嵌合部を、配設させる構成とすれば、ライトバーユニットが、被覆層に対して、取付部から延びる取付嵌合部だけでなく、加飾本体部としてのカバー部から下方に突出するカバー部側取付嵌合部により、取り付けられることとなって、被覆層に対する取付強度が向上し、ライトバーユニットに衝撃力が作用しても、ライトバーユニットの被覆層からの外れが防止されることとなって、好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態であるステアリングホイールの平面図である。
【
図2】実施形態のステアリングホイールにおいて、ライトバーユニットを配設させるリング部の前側部位を示す部分拡大平面図である。
【
図3】実施形態のステアリングホイールにおいて、リング部芯金における前側部位を示す部分拡大平面図である。
【
図4】
図3のリング部芯金における前側部位を示す部分拡大側面図である。
【
図5】実施形態のステアリングホイールの断面図であり、
図1のV-V部位に対応する図である。
【
図6】実施形態のステアリングホイールの断面図であり、
図2のVI-VI部位に対応する図である。
【
図7】実施形態のステアリングホイールの断面図であり、
図2のVII-VII部位に対応する図である。
【
図8】実施形態のステアリングホイールにおいて使用されるライトバーユニットの底面図である。
【
図9】
図8のライトバーユニットを底面側から見た部分拡大概略斜視図である。
【
図10】実施形態のステアリングホイールにおいて、保持部材に形成される嵌合突起部を被覆層に形成される嵌合凹部に嵌合させる状態を示す概略断面図である。
【
図11】ライトバーユニットにおける保持部材の平面図である。
【
図12】保持部材における係止用凹部の部位を示す部分拡大平面図である。
【
図13】係止用凹部の部位の断面図であり、
図12のXIII-XIII部位に対応する図である。
【
図14】ライトバーユニットにおけるカバー部を下方から見た概略斜視図である。
【
図15】実施形態のステアリングホイールにおいて、カバー部の係止用突出片を保持部材の係止用凹部に係止させている状態を説明する概略断面図である。
【
図16】実施形態のステアリングホイールにおいて、カバー部の係止用突出片を保持部材の係止用凹部に係止させる状態を示す概略断面図である。
【
図17】本発明の他の実施形態であるステアリングホイールにおいて、ライトバーユニットを配設されるリング部の前側部位を示す部分拡大平面図である。
【
図18】
図17のステアリングホイールの断面図であり、
図17のXVIII-XVIII部位に対応する図である。
【
図19】
図17のステアリングホイールの断面図であり、
図17のXIX-XIX部位に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。実施形態では、ステアリングハンドルとして、円環状のリング部2を備えたステアリングホイール1を例に採り、説明をする。ステアリングホイール1は、
図1に示すように、回転操舵時に把持する把持部としての棒状体からなる円環状のリング部2と、リング部2の略中央に配置されて図示しない回転軸に連結されるボス部4と、リング部2とボス部4とを連結するスポーク部3と、を有して構成され、構成部品としては、ボス部4の上部のエアバッグ装置6と、リング部2に配設される加飾体としてのライトバーユニット25と、それ以外のステアリングホイール本体10と、を具備して構成されている。
【0015】
なお、本明細書では、前後,上下,左右の方向を、特に断らない限り、車両に搭載させた状態のステアリングホイール1の直進操舵状態を基準として、リング部2の図示しない回転中心軸に沿った方向を上下方向とし、リング部の回転中心軸と直交して車両の前後方向に略沿う方向を前後方向とし、リング部2の回転中心軸と直交して車両の左右方向に略沿う方向を左右方向としている。
【0016】
ボス部4の上部に配置されるエアバッグ装置6は、折り畳まれて収納される図示しないエアバッグと、エアバッグに膨張用ガスを供給する図示しないインフレーターと、折り畳まれたエアバッグの上面側を覆うパッド7と、を備えている。パッド7は、
図1に示すように、ボス部4の上面側を全面にわたって覆うように、配置されている。
【0017】
ステアリングホイール本体10は、
図1~7に示すように、リング部2,ボス部4,スポーク部3を相互に連結するように配置される芯材としての芯金11と、芯金11におけるリング部2とスポーク部3との部位の周囲を覆う被覆層17と、被覆層17の外周面側を覆う外皮層22と、ボス部4の下面側を覆う図示しないロアカバーと、を備えている。
【0018】
芯材としての芯金11は、アルミニウム合金等からなる金属製とされている。芯金11は、ボス部4の部位に配置されるボス部芯金(ボス部用芯材)11aと、スポーク部3の部位に配置されるスポーク部芯金11bと、リング部2の部位に配置されるリング部芯金(把持部用芯材)12と、を備えている。
【0019】
把持部用芯材としてのリング部芯金12は、加飾体としてのライトバーユニット25の配置領域、すなわち、リング部2におけるスポーク部3L,3R間の前側部位2aに配設されるライトバー配設部14と、それ以外の一般部13と、から構成されている。一般部13は、リング部2において、加飾体としてのライトバーユニット25の配置される前側部位2aを除いた領域であって、実施形態の場合、左右のスポーク部3L,3Rのやや前方まで延びる領域に、配設されている。一般部13は、断面逆U字形状に湾曲して構成されるとともに、リング部2の断面において、中心を、リング部2の中心と略一致させるようにして、配設されている(
図5参照)。ライトバーユニット25の配置領域に配設されるライトバー配設部14は、断面形状を、上下左右の幅寸法を一般部13よりも小さく設定されるとともに、上下方向側を幅広とした略長方形状として構成されている。詳細には、ライトバー配設部14は、リング部2において上部側に配置されるライトバーユニット25との干渉を抑制されるように、リング部2の下半分程度の領域に、配設されている(
図6,7参照)。すなわち、実施形態のリング部芯金12では、リング部2(ステアリングホイール1)を左右の側方から見た状態において、ライトバー配設部14は、一般部13に対して下側に位置するように、段差を設けられて、配設されている(
図4参照)。また、ライトバー配設部14において、一般部13側となる端側部位14bを除いた中央側部位14aは、前後方向の中央(短手方向側の中央)を、リング部2における断面中心よりも内側(後側)に位置させるように構成されている(
図6参照)。ライトバー配設部14において、一般部13に連なる端側部位14bは、前後方向の中央(短手方向側の中央)を、リング部2における断面中心よりも外側(前側)に位置させるように構成されている(
図7参照)。換言すれば、ライトバー配設部14は、中央側部位14aを内側(ボス部4側)に位置させ、端側部位14bを外側(ボス部4から離隔した側)に位置させるように、上下方向側から見て、間に配設される変位部14c(中央側部位14aと端側部位14bとの境界部位)でなだらかに屈曲されるように、構成されている(
図1~3参照)。
【0020】
被覆層17は、クッション性を有した軟質合成樹脂から形成されるもので、実施形態の場合、発泡ポリウレタン等の軟質発泡材から形成されている。この被覆層17は、リング部2の部位においては、
図5~7に示すように、リング部芯金12(一般部13,ライトバー配設部14)の外周側を覆うように構成されている。詳細には、被覆層17において、一般部13の外周側を覆う一般部側部位18は、
図5に示すように、断面形状を、上下方向側を幅広とした略楕円形状とされている。被覆層17において、ライトバー配設部14の外周側を覆うライトバー側部位19は、ライトバーユニット25を配設させる上側の領域を切り欠かれるようにして、断面形状を、略半楕円形状とされている(
図6,7参照)。このライトバー側部位19は、上面19aを、リング部2におけるリング面2b(
図6参照)と略平行とするように、構成されている。
【0021】
また、ライトバー側部位19には、ライトバーユニット25における保持部材27(取付部)に形成される取付嵌合部としての嵌合突起部40を嵌合させるための嵌合凹部20が、上面19aを下方に凹ませるようにして、形成されている。嵌合凹部20は、嵌合突起部40に対応して形成されるもので、実施形態の場合、ライトバー側部位19の長手方向に沿って6箇所に点在されている(
図2参照)。スポーク部3L,3R側となる両端側に配置される嵌合凹部20は、ライトバー配設部14(詳細にはライトバー配設部14における端側部位14b)の内側(後側)となる位置に、形成され、残りの中央側の4つの嵌合凹部20は、ライトバー配設部14(中央側部位14a)の外側(前側)となる位置に、形成されている。各嵌合凹部20は、上方から嵌合突起部40を挿入可能に、上端側を開口させて構成されるもので、
図6,7に示すように、リング部断面に沿った方向側での断面形状を、上下の全域にわたって開口幅寸法を略一定とした溝状とし、リング部断面に直交する方向側(ライトバーユニット25の長手方向に沿った方向側)での断面形状を、上端側を狭幅とし、下端側の部位を広幅として、構成されている(
図10参照)。この嵌合凹部20における上端側の狭幅部20aの開口幅寸法は、嵌合突起部40における後述する首部43を挿通可能な寸法に設定され、下端側の広幅部40bの幅寸法は、嵌合突起部40における後述する頭部44を挿通可能な寸法に、設定されている。そして、狭幅部20aと広幅部20bとの境界部位は、広幅部20bにかけてテーパ状に拡開されるように、構成されている。
【0022】
被覆層17の外周側を覆うように配設される外皮層22は、一般部側部位18の外周側を全面にわたって覆う構成とされ、ライトバー側部位19においては、ライトバーユニット25における後述するカバー部50の配置領域を除いた全面にわたるように、外周側を、後述する保持部材27の外周側も含めて覆う構成とされている(
図5~7参照)。外皮層22は、実施形態の場合、合成樹脂製のシート体や、天然皮革、合成皮革、人工皮革等の皮革から、形成されている。
【0023】
加飾体としてのライトバーユニット25は、リング部2に略沿って湾曲して配設される略長尺状として構成されるもので、実施形態の場合、リング部2において、左右のスポーク部3L,3R間となる前側部位2aの上面側に露出されるように配設されている。ライトバーユニット25は、実施形態の場合、上述したごとく、保持部材27の外周側を外皮層22によって覆われ、カバー部50のみを、露出させるように、構成されている(
図1,2,6,7参照)。具体的には、ライトバーユニット25は、長手方向の中央を、リング部2における前端と略一致させるようにして、リング部2の1/4程度の領域に、形成されており、また、ライトバーユニット25におけるカバー部50は、長手方向の中央を、ライトバーユニット25の長手方向の中央と略一致させるようにして、リング部2の1/6程度の領域に、形成されている(
図1,2参照)。
【0024】
ライトバーユニット25は、
図6~9に示すように、取付部としての保持部材27と、保持部材27に保持される基板60と、基板60に取り付けられて点灯時に可視光を発光する可視光光源(可視光LED61)と、導光体63と、保持部材27における後述する放射用開口27aを覆うように配設されるカバー部50と、を備える構成とされている。ライトバーユニット25において、加飾本体部は、リング部2の外表面側に露出されるカバー部50と、内部に配置されて作動時に点灯可能とされる可視光LED61と、可視光LED61から発光される可視光をカバー部50側に放射させる導光体63と、を有する構成とされている。
【0025】
取付部としての保持部材27は、合成樹脂製(実施形態の場合、ポリカーボネート樹脂製)として、リング部2の前側部位2aにおいて、被覆層17におけるライトバー側部位19の上側に配置される構成であり、リング部2に略沿って配設される長尺状として、上下方向側から見て湾曲して形成されている(
図11参照)。この保持部材27は、基板60と、加飾本体部としてのカバー部50と、を保持させて、被覆層17(ライトバー側部位19)に取り付けられる構成とされている。保持部材27は、外表面27bを、被覆層17におけるライトバー側部位19の外表面に連ならせるように湾曲させて構成されるとともに、カバー部50及び基板60を取り付ける中央側の領域を、カバー部50を取り付けるために凹ませて構成されている(
図6,7参照)。すなわち、保持部材27は、中央側の領域に、基板60を取り付けて保持する取付壁部28と、取付壁部28から上方に延びる周壁部35と、を有し、この取付壁部28と周壁部35とに囲まれた領域の上端側を、開口させる構成とされている。そして、この周壁部35の上端側の開口が、作動時の可視光を放射可能な放射用開口27aを、構成している。取付壁部28は、
図6に示すように、前後方向(リング部2におけるリング面2b、すなわち、ライトバー側部位19の上面19a)に略沿うように形成されるもので、実施形態の場合、裏面(下面)側に、基板60を取り付けるように構成されている。取付壁部28の幅方向の中央付近には、導光体63を挿通可能な挿通孔29が、連続した溝状に、開口して形成されている(
図6,11参照)。
【0026】
また、取付壁部28の外周縁側には、カバー部50に形成される後述する係止用突出片53を挿入させて係止する係止用凹部30が、形成されている。係止用凹部30は、カバー部50の係止用突出片53に対応して、
図11に示すように、長手方向の両縁側と、前縁側において長手方向側で離隔した2箇所と、後縁側における長手方向の両縁近傍の2箇所と、の6箇所に、形成されている。各係止用凹部30は、
図12,13,15,16に示すように、係止用突出片53を挿入可能に、取付壁部28を、扁平な略長方形状に貫通して形成される挿入孔31と、挿入孔31の内周面から部分的に突出するように形成される突起部32と、を備えている。この突起部32は、係止用突出片53に形成される係止孔55に挿入されて係止孔55の周縁に係止されるもので、挿入孔31における長辺側であって、かつ、取付壁部28の中心側(挿通孔29側)の内周面の中心付近において、下端付近を除いた上下の略全域にわたって配設される略四角柱状として、外方に向かって突出するように形成されている。実施形態の場合、突起部32は、詳細には、内外(前後)方向側から見た外形形状を、略長方形状とされるもので(
図13参照)、突出量を、挿入孔31の幅寸法の半分程度として、構成されている(
図12参照)。また、突起部32は、下側にかけて突出量を大きくするように、先端面32aを、傾斜させて構成されている。この先端面32aは、
図15,16に示すように、係止用突出片53の後述する先端側部位54に形成されるガイド面54aに略沿うように、形成されるもので、係止用突出片53の係止用凹部30内への挿入作業を容易とするために、形成されている。
【0027】
また、保持部材27は、下面側に、被覆層17(ライトバー側部位19)に取り付けられる複数の取付嵌合部としての嵌合突起部40を、備えている。嵌合突起部40は、
図6,7に示すように、取付壁部28の下面から下方に突出するように形成されるもので、保持部材27の長手方向に沿って6箇所に点在されている。具体的には、嵌合突起部40は、
図2,3,6~8に示すように、カバー部50の配置領域(導光体63の配置領域)となる中央側の領域においては、取付壁部28の前縁(外縁)側(ライトバーユニット25の外縁25a側)に、前縁に沿って(ライトバーユニット25の長手方向に略沿って)複数個(実施形態の場合、4個)配設され、カバー部50から離れた両端側においては、取付壁部28の後縁(内縁)近傍の2箇所に、形成されている。すなわち、カバー部50の配置領域(ボス部4及びスポーク部3L,3Rから離隔した側)に配設される中央側嵌合突起部(離隔側取付嵌合部)40Cは、リング部2の断面において、ライトバー配設部14の中央側部位14aに対して、前側(外側、すなわち、ボス部4から離隔した側)に形成され(
図6参照)、カバー部50の配置されていない両端側(スポーク部3L,3R近傍)に配設されるスポーク側嵌合突起部40Sは、リング部2の断面において、ライトバー配設部14の端側部位14bに対して、後側(内側、すなわち、ボス部4に近接した側)に形成されている(
図7参照)。
【0028】
各嵌合突起部40(中央側嵌合突起部40C,スポーク側嵌合突起部40S)は、
図6,7,10に示すように、被覆層17におけるライトバー側部位19において上面19aを下方に凹ませるようにして形成される嵌合凹部20に、嵌合されるもので、元部側から順に、台座部42と首部43と頭部44とを配設させて構成されている(
図9,10参照)。この嵌合突起部40は、幅方向を保持部材27の長手方向側に略沿わせるようにして配設されるもので、厚さ寸法を略一定として構成されている(
図6,7参照)。首部43は、嵌合凹部20における上端側の狭幅部20aに挿通されるもので、幅寸法を、狭幅部20aに挿入可能な寸法に、設定されている。頭部44は、幅寸法を、首部43よりも大きく、すなわち、狭幅部20aよりも大きな寸法に設定されるとともに、嵌合凹部20における広幅部20b内に収納可能な寸法に設定されている。台座部42は、幅寸法を、首部43よりも大きくして、実施形態の場合、頭部44の幅寸法と略同一とするように、構成されている。この台座部42は、嵌合突起部40の嵌合凹部20内への挿入時(ライトバーユニット25のライトバー側部位19への取付時)に、嵌合凹部20の上端側の開口周縁と当接されて、嵌合突起部40のさらなる下降移動を抑制可能なストッパの機能を果たすこととなる。また、実施形態の場合、嵌合突起部40は、中空状に形成されるとともに、厚さ方向側(前後方向側,内外方向側)の側面において、カバー部50から離れた側の端面側(中央側嵌合突起部40Cでは前面側、スポーク側嵌合突起部40Sでは後面側)に、全面にわたって塞ぐような側壁部40aを、備える構成とされている(
図6,7,9,10参照)。
【0029】
各嵌合突起部40を挿入させる嵌合凹部20は、上述したごとく、軟質発泡材からなる被覆層17におけるライトバー側部位19の上面19a側を凹ませるようにして形成されていることから、嵌合突起部40を挿入させる際に、頭部44が、狭幅部20aよりも幅寸法を大きく設定されていても、嵌合凹部20の開口周縁を圧縮させるようにして、頭部44を狭幅部20aに挿通させることができる。そして、頭部44が広幅部20bまで到達すれば、嵌合凹部20の開口周縁の圧縮されている領域が、頭部44の上方を覆うように復元されることとなる(
図10のB参照)。
【0030】
加飾本体部を構成しているカバー部50は、保持部材27に形成される放射用開口27aを略全面にわたって覆うように構成されて、保持部材27に取り付けられるもので、実施形態の場合、
図6,14に示すように、放射用開口27aを覆う上壁部51と、上壁部51の周縁から下方に延びる略筒状の周壁部52と、を有した略箱形状として、構成されている。実施形態では、上述したごとく、ライトバーユニット25において、このカバー部50における上壁部51のみが、外皮層22から露出されて配設される構成である(
図1,2,6参照)。カバー部50は、実施形態の場合、黒色の外皮層22に合わせて、透光性を有する黒色透明の合成樹脂製とされるもので、後述する可視光LED61から発光される可視光を透過可能に構成されている。上壁部51は、上面を、外皮層22の外表面からなだらかに連ならせるように、湾曲して形成されている。カバー部50は、周壁部52と保持部材27の周壁部35との間に隙間を設けるように構成されており、この周壁部52,35間の隙間に、外皮層22の端末22aが、配置される構成である(
図6参照)。カバー部50における周壁部52の下端52a側には、カバー部50を保持部材27の取付壁部28に取り付けるための係止用突出片53が、形成されている。係止用突出片53は、上述したごとく、取付壁部28の外周縁側に形成される係止用凹部30に挿入して係止されるもので、周壁部52に点在して形成されている。詳細には、係止用突出片53は、
図14に示すように、長手方向の両端側に配置される左壁部52d,右壁部52eと、外側(前側)に配置される前壁部52bに2箇所と、内側(後側)に配置される後壁部52cにおいて左壁部52d,右壁部52e近傍の2箇所と、の計6箇所に、形成されている。前壁部52bに配設される係止用突出片53は、後壁部52cに配設される係止用突出片53よりも、左右の中央側となる位置に、形成されている。
【0031】
各係止用突出片53は、
図14~16に示すように、周壁部52に沿うとともに、厚さ寸法を、周壁部52の板厚と略同等として、周壁部52から直下に延びるように形成されるもので、中央に、略四角形状に開口した係止孔55を貫通させて、略四角環状に構成されている(
図13の二点鎖線及び
図14参照)。係止孔55は、係止用凹部30に形成される突起部32を挿入させて、周縁で、突起部32を係止可能に構成されている。係止用突出片53において、係止孔55の下部側(先端側)に配置される先端側部位54において、カバー部50の内周側となる内側面側(突起部32の先端面32aと対向して配置される側面側)には、係止用凹部30への挿入時のガイドとなるガイド面54aが、上下方向に対して傾斜するようにして、形成されている。具体的には、ガイド面54aは、
図15,16に示すように、先端側部位54を、端末にかけて薄肉とするように、内側面側を切り欠いて形成されている。このガイド面54aは、上述したごとく、係止用凹部30の挿入孔31の内周面から部分的に突出している突起部32の先端面32aに略沿うように、形成されている。そして、係止用突出片53の係止用凹部30への挿入時に、係止用突出片53は、先端側部位54に形成されるガイド面54aを、挿入孔31の内周面から部分的に突出している突起部32の先端面32aに沿ってスライドさせつつ撓むようにして、突起部32を乗り越えることとなり、係止孔55が突起部32の位置に到達すれば、係止用突出片53が、撓んだ状態を復元されて、係止孔55に突起部32を挿通されることとなって、係止用凹部30に係止されることとなる。
【0032】
実施形態のステアリングホイール1では、カバー部50を保持部材27に取り付ける係止用突出片53が、周壁部52から直下に突出して、保持部材27における取付壁部28に形成される係止用凹部30に係止される構成であり、周壁部52から外方に突出する構成ではないことから、カバー部50を保持部材27に取り付けた後で、外皮層22をライトバーユニット25と被覆層17(ライトバー側部位19)との周囲に巻き付けて、端末22aを周壁部35,52間に押し込む際の作業性が良好であり、また、このような作業時にカバー部50と保持部材27とを連結させている部位への損傷も抑制することができる。
【0033】
基板60は、取付壁部28の下面(裏面)側において、取付壁部28に略沿うように、前後方向に略沿って配設されている。実施形態の場合、基板60は、
図6に示すように、取付壁部28の下面側における後半分(内側半分)程度の領域(挿通孔29までの領域)に、配設されるもので、長手方向側においては、カバー部50の配置領域の略全域にわたるように、上下方向側から見て湾曲して配設されている(
図8参照)。実施形態の場合、基板60は、取付壁部28の下面側において部分的に突出する図示しないリブを間に介在させることにより、取付壁部28との間に隙間を設けられて配置されるもので(
図6参照)、長手方向の両端側と中央付近とにおいて、ねじ(図符号省略)を用いて、裏面側から、保持部材27の取付壁部28に取り付けられている(
図8,9参照)。
【0034】
加飾本体部を構成している可視光光源としては、実施形態の場合、所定の色の光を発光可能な可視光LED61が、使用されている。可視光LED61は、基板60の裏面側において、長手方向に略沿って複数個並設されている。実施形態の場合、可視光LED61は、基板60の長手方向に略全域にわたって、6箇所に、点在されている(
図8参照)。各可視光LED61は、導光体63側となる外方(前方)に向かって可視光を発光可能に、取り付けられており、図示しない作動回路によって、作動を制御される構成である。
【0035】
加飾本体部を構成している導光体63は、
図6に示すように、基板60の前方(外方)に配置されるもので、基板60の配置領域の略全域にわたるように、上下方向側から見て湾曲して配設されている(
図8参照)。すなわち、導光体63は、ライトバーユニット25に略沿うように湾曲した長尺の略板状とされるもので、具体的には、導光体63は、可視光LED61の前側から前方に延びつつ上方に延びるように屈曲されて、断面略L字形状の板状とされている。この導光体63は、保持部材27の取付壁部28に形成される挿通孔29を挿通されて、上端を、カバー部50の上壁部51近傍に位置させるように、構成されている(
図6参照)。この導光体63は、可視光LED61から発光される可視光を、内部で偏向させつつ、上端側から、放射用開口27a側(カバー部50側)となる上方に向かって出射させるためのもので、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の合成樹脂から形成されている。この導光体63は、実施形態の場合、基板60から突出される図示しない突起を用いて、長手方向の両端側の位置を規制されるとともに、下端面を、ライトバー側部位19の上面19aから部分的に上方に突出するように形成される図示しない突起部によって支持されている。導光体63の配置領域には、上述したごとく、取付壁部28の前縁(外縁)側(ライトバーユニット25の外縁25a側)に、中央側嵌合突起部(離隔側取付嵌合部)40Cが配設される構成であり、換言すれば、導光体63は、中央側嵌合突起部40Cの配置領域に、配設されている。
【0036】
実施形態のステアリングホイール1では、ライトバーユニット25(加飾体)における保持部材27(取付部)を被覆層17のライトバー側部位19に取り付ける嵌合突起部40(取付嵌合部)が、ボス部4及びスポーク部3L,3Rから離隔した中央側の領域においては、把持部としてのリング部2の断面において、把持部用芯材(リング部芯金12におけるライトバー配設部14の中央側部位14a)に対してボス部4から離隔した側となる前側(外側)に、形成される構成である(
図6参照)。そのため、中央側嵌合突起部40Cの配置される領域においては、リング部2の断面において、ライトバー配設部14の中央側部位14aを、相対的に、ボス部4に近接した側となる後側(内側)に、配設させることができる。すなわち、実施形態のステアリングホイール1では、リング部2においてボス部4及びスポーク部3L,3Rから離隔した領域において、中央側部位14a(把持部用芯材)と、ボス部4側に配設されるボス部芯金11a(ボス部用芯材)と、の離隔距離を、相対的に短くすることができる(具体的に説明すれば、
図3に示すごとく、中央側部位14aの前後の中心とボス部芯金11aとの離隔距離L1は、一般部13のごとく中心をリング部の中心と一致させた場合の芯金の前後の中心(カバー部50の前後の中心と略一致)とボス部芯金11aとの離隔距離L0よりも、小さく設定されている)。さらに換言すれば、実施形態のステアリングホイール1では、リング部芯金12のライトバー配設部14において、ボス部4及びスポーク部3L,3Rから離隔した領域(中央側部位14a)を、ボス部4側に接近させることができることから、ステアリングホイール1の強度や剛性に影響を与える最大曲げモーメントの値を下げることができる。そのため、芯金11(芯材)の強度や剛性を向上させることができる。また、実施形態のステアリングホイール1では、嵌合突起部40の配置スペース分、中央側部位14a(ライトバー配設部14)が、リング部芯金12における一般部13と比較して断面積を小さく設定されることとなっても(
図5~7参照)、ライトバー配設部14の強度低下を招かない。
【0037】
したがって、実施形態のステアリングホイール1では、ライトバーユニット25(加飾体)を配設させているリング部2(把持部)の部位に配置されるリング部芯金12(把持部用芯材、詳細には、ライトバー配設部14)の強度低下を抑制することができる。
【0038】
また、実施形態のステアリングホイール1では、嵌合突起部40において、スポーク部3L,3R近傍(ライトバーユニット25の左右の両端側)に配設されるスポーク側嵌合突起部40Sが、リング部2の断面において、ライトバー配設部14の端側部位14bに対して、ボス部4に近接した側となる後側(内側)に、形成される構成である(
図7参照)。すなわち、実施形態のステアリングホイール1では、ライトバーユニット25の保持部材27を、
図2,3に示すように、リング部芯金12におけるライトバー配設部14を跨ぐように、ライトバー配設部14の内側と外側との両側に配置される複数の嵌合突起部40(中央側嵌合突起部40Cとスポーク側嵌合突起部40S)によって、ライトバー配設部14の内側と外側との両側から被覆層17のライトバー側部位19に取り付けることができることから、保持部材27により、ライトバーユニット25を安定して、被覆層17のライトバー側部位19に取り付けることができる。また、実施形態のステアリングホイール1では、ライトバー配設部14は、スポーク部3L,3Rに近接した側においては、端側部位14bを、ボス部4から離隔した側(前側)に配置させる構成であるが、この端側部位14bは、スポーク部3L,3Rに近接されていることから、最大曲げモーメントの値に影響を与えず、芯金11の強度や剛性を低下させ難い。
【0039】
なお、このような点を考慮しなければ、嵌合突起部を、全て、保持部材における前縁側(ボス部から離隔した側)に、配設させる構成としてもよい。また、実施形態では、取付嵌合部として、取付部としての保持部材27には、取付壁部28から下方に突出する嵌合突起部40が、形成され、この嵌合突起部40を、被覆層17におけるライトバー側部位19に形成される嵌合凹部20に嵌合させる構成であるが、保持部材(取付部)には、取付嵌合部として、被覆層側に設けられた突状の嵌合体を嵌合させる嵌合凹部を、配設させる構成としてもよい。
【0040】
具体的には、実施形態のステアリングホイール1では、把持部としてのリング部2に配設される加飾体として、作動時に発光可能なライトバーユニット25を、配置させており、このライトバーユニット25は、円環状のリング部2に略沿うように湾曲した略長尺状として、配設されている。実施形態のステアリングホイール1では、嵌合突起部40(取付嵌合部)において、ボス部4及びスポーク部3L,3Rから離隔した側に配設される離隔側取付嵌合部としての中央側嵌合突起部40Cが、ライトバーユニット25の長手方向に沿って複数個(実施形態の場合、4個)配設される構成であり、導光体63は、ライトバーユニット25に略沿うように湾曲した長尺の略板状体とするとともに、中央側嵌合突起部40Cの配置領域に、配設される構成である。
【0041】
そのため、実施形態のステアリングホイール1では、略円弧状に湾曲して形成されるライトバーユニット25における外縁25a側を、中央側嵌合突起部40Cによって、被覆層17(ライトバー側部位19)に取り付ける構成であることから、内縁側のみで被覆層に取り付ける場合と比較して、外縁25a側を含めた全体の浮き上がりを抑制して、安定して、被覆層17(ライトバー側部位19)に取り付けることができる。また、このような構成のステアリングホイール1では、導光体63が、ライトバーユニット25に略沿うように湾曲した長尺の略板状体とされているが、この導光体63は、相対的にボス部4に近接した側に配設されるリング部芯金12におけるライトバー配設部14の中央側部位14a(把持部用芯材)の近傍に位置することとなる。そのため、仮に、ステアリングホイール1に、リング部2の一部を押圧するような衝撃力が作用した場合においても、ライトバーユニット25が浮き上がることを抑制でき、また、導光体63に割れが生じることも、抑制できる。
【0042】
また、ステアリングホイール1Aとして、
図17~19に示すような構成のものを使用してもよい。ステアリングホイール1Aでは、リング部2に配設されるライトバーユニット25A以外の部材は、前述のステアリングホイール1と同一の構成であり、同一の部材には、同一の図符号を付して詳細な説明を省略する。
【0043】
リング部2に配設されるライトバーユニット25Aは、前述のステアリングホイール1におけるライトバーユニット25と同様に、リング部2における前側部位2aの上面側に露出されるように、配設されている。ライトバーユニット25Aにおいて、保持部材27Aとカバー部50A以外の部材は、前述のステアリングホイール1のライトバーユニット25と同一の構成であり、同一の部材には、同一の図符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0044】
保持部材27Aは、嵌合突起部40(取付嵌合部)として、中央側嵌合突起部40Cのみを備える構成であり、前述のステアリングホイール1における保持部材27において、スポーク側嵌合突起部を配置させていた取付壁部28Aの端側部位28aには、カバー部50Aに形成される後述する嵌合突起部73を貫通させて下方に突出可能な貫通孔70が、上下方向に貫通して、形成されている(
図19参照)。
【0045】
カバー部50Aは、保持部材27Aの放射用開口27aを覆う上壁部51Aを、周壁部52Aよりも前後の外方に延ばすようにして、前述のカバー部50における上壁部51と比較して、リング部2の上面側を前後に広く覆うように幅広として構成されるとともに(
図18参照)、リング部の周方向に沿った方向側の長さ寸法も、前述の上壁部51と比較して大きく設定されるもので(
図17参照)、保持部材27Aの上面側を、リング部の周方向に沿った方向側において、略全面にわたって覆うように、構成されている。そして、上壁部51Aの長手方向の端部51a,51b側において、後縁(内縁)近傍となる位置には、
図19に示すように、嵌合突起部73(カバー側嵌合突起部)が、下方に突出するように、形成されている。この嵌合突起部73は、前述のステアリングホイール1の保持部材27において、スポーク側嵌合突起部の配置位置と略同一となる位置に、配設されるもので、実施形態の場合、保持部材27Aの取付壁部28Aに形成される貫通孔70を経て、取付壁部28A(保持部材27A)を貫通して下方に突出するように形成されて、前述のステアリングホイール1におけるスポーク側嵌合突起部40Sと同様に、被覆層17のライトバー側部位19に形成される嵌合凹部20に嵌合される構成である。嵌合突起部73は、詳細な図示を省略するが、取付壁部28Aから下方に突出している領域の外形形状を、前述のステアリングホイール1におけるスポーク側嵌合突起部40Sと略同一として、構成されている。
【0046】
このような構成のステアリングホイール1Aでは、ライトバーユニット25Aが、被覆層17に対して、保持部材27A(取付部)から延びる嵌合突起部40(取付嵌合部)だけでなく、加飾本体部としてのカバー部50Aから下方に突出する嵌合突起部73(カバー部側取付嵌合部)により、取り付けられることとなって、被覆層17に対する取付強度が向上し、ライトバーユニット25Aに衝撃力が作用しても、ライトバーユニット25Aの被覆層17からの外れが防止されることとなる。なお、実施形態では、カバー部側取付嵌合部としての嵌合突起部73は、カバー部におけるスポーク部に近傍した端側の領域に、配設されているが、ボス部及びスポーク部から離隔した側に配設される離隔側取付嵌合部の少なくとも一部を、カバー部側取付嵌合部として、カバー部から突出させるように、構成してもよい。また、実施形態では、嵌合突起部73は、取付部としての保持部材27Aの配置領域に形成されて、保持部材27Aを貫通するように構成されているが、嵌合突起部は、取付部の配置されない領域に、配設させる構成としてもよい。ただし、実施形態のごとく、嵌合突起部73を保持部材27Aに貫通させている構成では、嵌合突起部73が、保持部材27Aを位置規制することとなって、保持部材27Aのリング部2断面周方向での被覆層17に対するずれも、抑制できる。
【0047】
実施形態では、ステアリングハンドルとして、円環状のリング部2を把持部として構成されるステアリングホイール1,1Aを例に採り、説明しているが、本発明を適用可能なステアリングハンドルは、実施形態に限定されるものではない。例えば、ボス部の左方と右方とに、スポーク部から前後に延びるように前後方向に略沿った棒状の把持部を配設させる構成のステアリングハンドル等にも、本発明は適用可能である。また、実施形態のステアリングホイール1,1Aでは、加飾体として、ライトバーユニット25,25Aを設けているが、加飾体としては、リング部(把持部)の表面に露出して配置される加飾ガーニッシュ等も例示できる。
【符号の説明】
【0048】
1,1A…ステアリングホイール(ステアリングハンドル)、2…リング部(把持部)、3(3L,3R)…スポーク部、4…ボス部、11…芯金(芯材)、11a…ボス部芯金(ボス部用芯材)、12…リング部芯金(把持部用芯材)、14…ライトバー配設部位、14a…中央側部位、14b…端側部位、17…被覆層、19…ライトバー側部位、20…嵌合凹部、22…外皮層、25,25A…ライトバーユニット(加飾体)、25a…外縁、27,27A…保持部材(取付部)、40…嵌合突起部(取付嵌合部)、40C…中央側嵌合突起部(離隔側取付嵌合部)、50,50A…カバー部(加飾本体部)、61…可視光LED(可視光光源、加飾本体部)、63…導光体(加飾本体部)、70…貫通孔、73…嵌合突起部(カバー側取付嵌合部)。