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特開2022-41862金型の取外しが容易な構造を含むイヤーチップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041862
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】金型の取外しが容易な構造を含むイヤーチップ
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
H04R1/10 104Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061564
(22)【出願日】2021-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0111308
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520363797
【氏名又は名称】アズラ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AZLA INC.
【住所又は居所原語表記】Jikyung Bldg. 3F, 332, Hyoryeong-ro, Seocho-gu, Seoul 06721, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】イ,サン ウォン
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BA16
(57)【要約】
【課題】製作工程における粘着性の高い材質についても、別途の化学物質等に頼らなくても、金型から物理的な取り外しが容易な構造を含むイヤーチップを提供する。
【解決手段】本発明の実施形態によると、イヤホンの一側に装着され、装着者の外耳道内に挿入され、イヤホンの位置を安定的に固定させるイヤーチップであって、(1)イヤホンの外周面に対応する中空シリンダー構造の本体部と、(2)前記本体部の上部内周面に沿ってリング構造で形成され、イヤホンの外周面に形成された結束湾入構造に対応する突起構造の結束部と、(3)前記本体部の下部内周面に沿ってリング構造で形成され、所定の高さだけ突出形成された突起構造であって、結束部から所定距離だけ離隔して1つまたは複数が配置された突起部と、(4)前記本体部の下端外周面から放射状に突出して上方に所定の高さだけ延長された構造であって、装着者の外耳道内部面と接触する外耳道部と、を含む。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イヤホンの一側に装着され、装着者の外耳道内に挿入され、イヤホンの位置を安定的に固定させるイヤーチップであって、
イヤホンの外周面に対応する中空シリンダー構造の本体部(110)と、
前記本体部(110)の上部の内周面に沿ってリング構造で形成され、イヤホンの外周面に形成された結束湾入構造に対応する突起構造の結束部(120)と、
前記本体部(110)の下部の内周面に沿ってリング構造で形成され、所定の高さだけ突出形成された突起構造であり、結束部(120)から所定距離だけ離隔して一つまたは複数が配置された突起部(130)と、
前記本体部(110)の下端部の外周面から放射状に突出し、上方へと所定の高さだけ延長された構造であり、装着者の外耳道の内部面と接触する外耳道接触部(140)と、
を含み、
前記突起部(130)は、本体部(110)の下部の内周面に、互いに所定距離だけ離隔して複数が形成され、
前記突起部(130)は、互いに所定距離だけ離隔して一つのグループを形成し、
一つのグループを形成する複数の突起部(130)は、下方へと、中間へと、または上方へと向かうほど突出長さが比較的長くなることを特徴とするイヤーチップ。
【請求項2】
前記本体部(110)は、
装着者の外耳道内部面に緩やかに進入できるように下方へと所定の角度だけ傾いた傾斜部(111a、111b)が、内周面及び外周面に連続した閉曲線状に形成された下端部(111)と、
前記下端部(111)から上方へと所定の高さだけ延長された円筒状の構造であり、下端部(111)と上端部(113)を互いに連続して連結する中間連結部(112)と、
前記中間連結部(112)の上端と一体に形成され、上方へと所定の角度だけ傾いた傾斜部(113a)が、上端外周面に連続した閉曲線状に形成された上端部(113)と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のイヤーチップ。
【請求項3】
前記外耳道接触部(140)は、
前記本体部(110)の下端部の外周面から一体に形成され、本体部(110)の下端外周面から所定距離だけ離隔した状態にて上方へと延長され、本体部(110)の外周面と共に内側溝(144)を形成する外耳道進入下端部(141)と、
前記外耳道進入下端部(141)から一体に上方へと延長され、横断面上にて、上方へと外径が増加する構造の中間連結部(142)と、
前記中間連結部(142)から一体に上方へと所定の高さだけ延長され、中間連結部(142)の上端と同じ外径を有する中空形シリンダー構造の上端部(143)と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のイヤーチップ。
【請求項4】
前記中間連結部(142)は、人体の体温によって元の状態に復元される形状記憶ポリマー(SMP、shape-memory polymer)素材で構成され、
前記イヤーチップが装着者の外耳道内に挿入された後、中間連結部(142)が、元の状態に復元され、外耳道接触部(140)の上端部(143)は、装着者の外耳道の内部表面と密着されることを特徴とする請求項3に記載のイヤーチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イヤーチップに関するものであって、より詳しくは、金型から取外しが容易な構造を含むイヤーチップに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にイヤーチップは、大きな騒音が発生する工場や事業所などで騒音の大きさを減らす目的で、作業者の耳に挿入して用いられるか、または、スマートフォンやMP3などの機器を介して個人的に音声や音楽を聴くリスナーの利便性を図るために、イヤホンに結合されて、耳に接触する部分に用いられている。
【0003】
かかるイヤーチップは、耳に接触して用いられるため、装着感を高めるために柔らかい素材で形成されるが、従来の技術である大韓民国登録特許第1323805号において、シリコーン材を用いてイヤーチップ(図1参照)を製造する方法が開示されている。しかし、従来技術のように、シリコーン材でイヤーチップを製造する場合、使用者の装着感を高めるために厚さを薄く形成するか、または、強度を下げて形成しなければならないので、シリコーン材のイヤーチップは、装着感はいいかもしれないが、弾力性が高くて形状がすぐに復元してしまうという欠点があり、耳に挿入する際、圧力を加えなければならず、変形の程度が定型化しており、耳の穴の大きさによっては耳への密着度が劣るという問題が発生する。
【0004】
また、弾力性に優れているのに対し、徐々に復元される性質が特徴であるポリウレタンなどの材料を用いてイヤーチップを製造する場合、使用者の耳に挿入できるほどに非常に小型であるイヤーチップを成形するにあたって、ガス排出などが難しいという問題が発生する。さらに詳しく見ると、一般にポリウレタンなどの材料で製品を製造する場合、ポリウレタンなどの成形時に発生するガスを除去するために、金型には必ずガス排出口が形成されなければならない。しかし、イヤーチップは、人の耳に入るほど小型に形成されるのであるところ、小型のイヤーチップの金型に一つ一つガス排出口を形成することが非常に難しいばかりでなく、イヤーチップの形状ごとにガス排出口を形成するとしても、ガス排出口を通じて排出される成形排出物をいちいち取り除かなければならないので、不要なコストが発生し、製品の完成度が劣るという問題が発生する。
【0005】
また、シリコーンなどの材質やポリウレタンなどの材質を用いてイヤーチップを製造する場合、成形排出物を取り除くためにイヤーチップの末端処理を行われなければならないが、小型のイヤーチップの末端処理をいちいち手作業でやるには時間と労力が多く発生し、特に、上部が不均一であるイヤーチップを製造する場合、手作業で処理することも難しいという問題が発生する。
【0006】
また、弾力性に優れているのに対し、徐々に復元される性質が特徴である熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリウレタンなどの材質を用いてイヤーチップを製造する場合、使用者の耳に挿入されるほどに、非常に小型なイヤーチップを成形するにあたって、ガス排出などが難しいという問題が発生する。
【0007】
具体的には、一般に熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリウレタンなどの材質で製品を製造する場合、熱可塑性エラストマー(TPE)、ポリウレタンなどで成形する際に発生するガスを除去するために、金型に必ずガス排出口が形成されなければならない。
【0008】
しかし、イヤーチップは、人の耳に入るほどに小型に形成されるのであるところ、小型なイヤーチップの金型に、一つ一つガス排出口を形成することが非常に難しいばかりでなく、イヤーチップの形状ごとにガス排出口を形成するとしてもガス排出口を通じて排出される成形排出物をいちいち取り除かなければならないため、不要なコストが発生し、製品の完成度が劣るという問題が発生する。
【0009】
従って、前記のような従来技術による問題点を解決することができる技術が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、製作工程において、粘着性の高い材質に対して、別途の化学物質などに頼らなくても、金型から物理的な取り外しが容易な構造を含むイヤーチップを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
こうした目的を達成するための本発明の一側面に沿ったイヤーチップは、イヤホンの一方の側に装着され、装着者の外耳道内に挿入され、イヤホンの位置を安定的に固定させるイヤーチップであって、(1)イヤホンの外周面に対応する中空シリンダー構造の本体部と、(2)該本体部の上部の内周面に沿って延びるリング構造からなり、イヤホンの外周面に形成された結束湾入構造に対応する突起構造の結束部と、(3)前記本体部の下部の内周面に沿って延びるリング構造からなり、所定の高さだけ突出形成された突起構造であり、結束部から所定距離だけ離隔して一つ、複数または多数(例えば3~6個)が配置された突起部と、(4)前記本体部の下端部の外周面から放射状に突出して上方へと所定の高さだけ延長された構造であり、装着者の外耳道内部面と接触する外耳道部と、を含む構成でありうる。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記本体部は、(i)装着者の外耳道の内部面に緩やかに進み入れられるように下方へと所定の角度だけ傾いた傾斜部が、内周面及び外周面に連続した閉曲線状に形成された下端部と、(ii)前記下端部から上方へと所定の高さだけ延長された円筒状の構造であり、下端部と上端部を互いに連続して連結する中間連結部と、(iii)前記中間連結部の上端部と一体に形成され、上方へと所定の角度だけ傾いた傾斜部が、上端外周面に連続した閉曲線状に形成された上端部とを含む構成であることができる。
【0013】
この場合、前記上端部の上端内周面には、所定の角度だけ傾いた傾斜部が上端内周面に沿って連続した閉曲線状に形成されうる。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記結束部の上端には、所定の角度だけ傾いた傾斜部が、結束部の上端内周面に沿って連続した閉曲線状に形成されうる。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記結束部と突起部との間の離隔距離は、イヤホンの外周面の構造に対応する長さでありうる。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記突起部の上端及び下端は、断面状本体部の内周面と垂直をなすことができる。
【0017】
本発明の一実施形態において、前記外耳道接触部は、前記本体部の下端部の外周面から一体に形成され、本体部の下端部の外周面から所定の距離だけ離隔された状態で上方へと延長され、本体部の外周面と共にリング状の内側溝を形成する外耳道進入下端部と、前記外耳道進入下端部から一体に上方へと延長され、横断面上にて、上方へと外径が増加する構造の中間連結部と、
前記中間連結部から一体に上方へと所定の高さだけ延長され、中間連結部の上端と同じ外径を有する中空形シリンダー構造の上端部と、を含む構成でありうる。
【0018】
この場合、前記外耳道接触部の上端部の高さは、本体部の上端より本体部の厚さだけ、より高く形成することができる。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記中間連結部は、人体の体温によって元の状態に復元される形状記憶ポリマー(SMP、shape-memory polymer)素材で構成され、前記イヤーチップが装着者の外耳道に挿入された後、中間連結部が元の状態に復元され、外耳道接触部の上端部は、装着者の外耳道内部表面に密着されうる。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記突起部は、本体部の下端部の内周面に、互いに所定の距離だけ離隔して複数または多数が形成されうる。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記突起部は、互いに所定距離だけ離隔して一つのグループをなし、一つのグループをなす多数の突起部は、下方へと、中間へと、または上方へと向かうほどに突出長さが比較的長くなる構成でありうる。
【発明の効果】
【0022】
以上で述べたように、本発明のイヤーチップによれば、特定構造の本体部、結束部、突起部、および外耳道部を備えることにより、製作工程において粘着性の高い材質についても、別途の化学物質等に頼らなくても、金型から物理的な取り外しが容易な構造を含むイヤーチップを提供することができる。
【0023】
また、本発明のイヤーチップによれば、特定構造の下端部、中間連結部、及び上端部からなる本体部を備えることにより、イヤホンの一側に安定的に装着されうるのであり、装着者の外耳道の内部面に緩やかに進入することができ、進み入れられた後、安定的に装着位置を固定させることができるイヤーチップを提供することができる。
【0024】
また、本発明のイヤーチップによれば、特定構造の外耳道進入下端部、中間連結部、及び上端部からなる外耳道接触部を備えることにより、装着者の外耳道の内部面に面接触するとともに、イヤーチップの位置を安定的に固定させることができるイヤーチップを提供することができる。
【0025】
また、本発明のイヤーチップによれば、外耳道接触部の中間連結部を人体の体温によって元の状態に復元される形状記憶ポリマー(SMP、shape-memory polymer)素材で構成することにより、イヤーチップが装着者の外耳道内に挿入された後、中間連結部が元の状態に復元され、外耳道接触部の上端部は、装着者の外耳道の内部表面と密着し得るイヤーチップを提供することができる。
【0026】
また、本発明のイヤーチップによれば、本体部の下端部の内周面に、互いに所定距離だけ離隔して突起部を多数形成し、様々な突出長さに突起部を構成することにより、製造工程において粘着性の高い材質についても、別途の化学物質に頼らなくても、金型から物理的な取り外しが容易な構造を含むイヤーチップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】従来技術に係るイヤーチップを示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るイヤーチップを示す写真である。
図3図2に図示されたイヤーチップを示す断面写真である。
図4】本発明の一実施形態に係るイヤーチップを示す断面図である。
図5】本発明のもう一つの実施形態に係るイヤーチップを示す断面図である。
図6】本発明のもう一つの実施形態に係るイヤーチップを示す断面図である。
図7】本発明のもう一つの実施形態に係るイヤーチップを示す断面図である。
図8】本発明のもう一つの実施形態に係るイヤーチップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下において図面を参照にして、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び請求の範囲で用いられる用語や単語は、通常的であるか、辞典的である意味に限定して解釈されてはならず、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されるべきである。
【0029】
本明細書の全体において、ある部材が他の部材「上に」位置とするとしたとき、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材間に別の部材が存在する場合をも含む。本明細書の全体において、ある部分が何らかの構成要素を「含む」としたとき、これは特に相反する記載がない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0030】
図2には、本発明の一実施形態に係るイヤーチップを示す写真が示されており、図3には、図2に示されたイヤーチップを示す断面写真が図示されており、図4には、本発明の一実施形態に係るイヤーチップを示す断面図が図示されている。
【0031】
これらの図を参照すれば、本実施形態に係るイヤーチップ100は、イヤホンの一側に装着され、装着者の外耳道内に挿入され、イヤホンの位置を安定的に固定させるものであって、特定構造の本体部110、結束部120、突起部130、及び外耳道接触部140を備えることにより、製作工程における粘着性が高い材質についても、別途の化学物質等に頼らなくても、金型から物理的な取り外しが容易な構造を含むイヤーチップを提供することができる。
【0032】
以下では、本実施形態に係るイヤーチップ100を構成する各構成について詳細に説明する。
【0033】
本実施形態に係るイヤーチップ100の本体部110は、イヤホンの外周面に対応する中空シリンダー構造である。
【0034】
具体的には、本体部110は、特定構造の下端部111、中間連結部112、及び上端部113を含む構成でありうる。
【0035】
さらに具体的には、本体部110の下端部111は、装着者の外耳道の内部面に緩やかに進入できるように、下方に所定の角度だけ傾いた傾斜部(面取り部)111a、111bが内周面及び外周面に連続した閉曲線状に形成された構造であることが好ましい。
【0036】
本体部110の中間連結部112は、下端部111から上方に所定の高さだけ延長された円筒状の構造であり、下端部111と上端部113を相互に連続して連結することができる。
【0037】
本体部110の上端部113は、中間連結部112の上端に一体型に形成される構成であって、上方に所定の角度だけ傾いた傾斜部(面取り部)113aが上端外周面に連続した閉曲線状に形成されることが好ましい。
【0038】
場合によって、本体部110の上端の内周面にも所定の角度だけ傾いた傾斜部が上端内周面に沿って連続した閉曲線状に形成することができる。
【0039】
この場合、本発明のイヤーチップ100によれば、特定構造の下端部111、中間連結部112、及び上端部113からなる本体部110を備えることにより、イヤホンの一方の側に安定的に装着されうるのであり、装着者の外耳道の内部面に緩やかに進入することができ、進み入れられた後、安定的に装着位置を固定させることができるイヤーチップを提供することができる。
【0040】
結束部120は、本体部110の上部の内周面に沿ってリング構造で形成される構成であって、イヤホンの外周面に形成された結束湾入構造に対応する突起構造でありうる。
【0041】
具体的に、結束部120の上端には、所定の角度だけ傾いた傾斜部120aが、結束部120の上端内周面に沿って連続した閉曲線状に形成されることが好ましい。
【0042】
突起部130は、本体部110の下端の内周面に沿ってリング構造で形成される構成であって、所定の高さだけ突出形成された突起構造であり、結束部120から所定の距離だけ離隔して1つまたは複数が配置されうる。
【0043】
具体的には、本実施形態に係る突起部130は、結束部120から所定距離(L)だけ離間して形成されうる。ここで、結束部120と突起部130との間の離隔距離(L)は、イヤホンの外周面の構造に対応する長さであることが好ましい。
【0044】
また、突起部130の上端と下端は、断面上にて、本体部110の内周面と垂直をなす構造でありうる。
【0045】
突起部130は、金型からイヤーチップ100を物理的に取り外すための一つのハンドルの役割をする構成である。本実施形態に係る突起部130は、作業者の手や作業工具によって把持され、成形直後のイヤーチップ100を容易に持ち上げることで、製作が完成されたイヤーチップ100を、金型から取り外すことができる。
【0046】
外耳道接触部140は、本体部110の下端部の外周面から放射状に突出して上方に所定の高さだけ延長された構造であり、装着者の外耳道の内部面と接触する構成である。
【0047】
具体的には、外耳道接触部140は、特定構造の外耳道進入下端部141、中間連結部142、及び上端部143を含む構成でありうる。
【0048】
外耳道進入下端部141は、本体部110の下端外周面から一体型に形成される構成であって、本体部110の下端部の外周面から所定距離だけ離隔された状態で上方へと延長され、本体部110の外周面と共にリング状の内側溝144を形成することができる。
【0049】
中間連結部142は、外耳道進入下端部141から一体型に上方に延長される構成であって、横断面上にて、上方へと外径が増加する構造であることができる。
【0050】
上端部143は、中間連結部142から一体型に上方へと所定の高さだけ延長される構成であって、中間連結部142の上端と同じ外径を有する中空シリンダー構造でありうる。
【0051】
場合によって、上端部143の上端の高さ(H)は、本体部110の上端よりも、本体部110の厚さ(T)だけ、より高く形成されることが好ましい。本体部110にイヤホンが結束されると、使用者の耳の表面とイヤホンの外部面が接触できるようになる。この際、硬質のイヤホンの外部面により、使用者の耳に異物感が感じられうる。このような問題の発生を防ぐために、外耳道接触部140は、イヤホンと、使用者の耳の表面が互いに接触しないように、本体部110の上端よりも所定の長さだけ延長された構造で形成されることが好ましい。
【0052】
また、本発明のイヤーチップ100によれば、特定構造の外耳道進入下端部141、中間連結部142、及び上端部143からなる外耳道接触部140を備えることにより、装着者の外耳道の内部面に面接触するとともに、イヤーチップの位置を安定的に固定させることができるイヤーチップ100を提供することができる。
【0053】
図5には、本発明のもう一つの実施形態に係るイヤーチップを示す断面図が示されている。
【0054】
図5を参照すれば、本実施形態に係る中間連結部142は、人体の体温によって元の状態に復元される形状記憶ポリマー(SMP、shape-memory polymer)素材で構成されうる。形状記憶ポリマー(SMP:shape-memory polymer)は、一時的な変形状態から、外部の刺激や環境の変化によって、元の状態に戻ることができるスマートポリマーの一種である。形状記憶ポリマー(SMP)は、もう一つの形状記憶素材である形状記憶合金に比べて、製造原価が安く、加工が容易であるという長所を有する。
【0055】
この場合、本発明のイヤーチップ100によれば、外耳道接触部140の中間連結部142を、人体の体温によって元の状態に復元される形状記憶ポリマー(SMP、shape -memory polymer)素材で構成することにより、イヤーチップが装着者の外耳道内に挿入された後、中間連結部142が、元の状態に復元され、外耳道接触部140の上端部143は、装着者の外耳道内部表面と密着することができるイヤーチップを提供することができる。
【0056】
図6には、本発明のさらにもう一つの実施形態に係るイヤーチップを示す断面図が示されており、図7には、本発明のさらにもう一つの実施形態に係るイヤーチップを示す断面図が示されている。
【0057】
これらの図を参照すれば、本実施形態に係るリング状の突起部130は、本体部110の下端部の内周面に、互いに所定距離だけ離隔して1つまたは複数(特には2つ~4つ)が形成されうる。
【0058】
本実施形態に係る突起部130は、成形が完成したイヤーチップ100を金型から分離させるためにハンドルとして活用される構成である。したがって、突起部130の構造及び数量は、金型からイヤーチップ100をより容易に取り外すことができるようにする方向で設定されることが好ましい。
【0059】
図8には、本発明のもう一つの実施形態に係るイヤーチップを示す断面図が示されている。
【0060】
本実施形態に係る突起部130は、前記に述べたように、最適のハンドリングツールとして活用されることができるように、様々な構造及び数量で形成されうる。
【0061】
具体的には、図8の(a)ないし(d)に示すように、互いに所定距離だけ離隔して一つの群を形成することができる。ここで、一つのグループを形成する複数または多数(例えば3~5個)のリング状の突起部130は、下方へと、中間へと、または上方へと向かうほどに突出長さが比較的長くなりうる。
【0062】
この場合、本発明のイヤーチップ100によれば、本体部110の下部の内周面に、互いに所定距離だけ離隔して突起部130が多数形成され、様々な突出長さで突起部130を構成することにより、製作工程における粘着性が高い材質について、別途の化学物質等に頼らなくても、金型から物理的な取り外しが容易な構造を含むイヤーチップ100を提供することができる。
【0063】
以上のような本発明の詳細な説明では、これに係る特別な実施形態についてのみ記述した。しかし、本発明は、詳細な説明にて述べられる特別な形態に限定されるものではないと理解されるべきであり、むしろ添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の精神と範囲内にあるすべての変形物、均等物、及び代替物を含むものと理解されなければならない。
【0064】
すなわち、本発明は、上述した特定の実施形態及び説明に限定されず、請求の範囲にて請求する本発明の要旨を逸脱することなく、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、何人も様々な変形実施が可能であり、そのような変形は、本発明の保護範囲内にある。
【符号の説明】
【0065】
100:イヤーチップ
110:本体部
111:下端部
112:中間連結部
113:上端部
120:結束部
130:突起部
140:外耳道接触部
141:外耳道進入下端部
142:中間連結部
143:上端部
144:内側溝
H:外耳道接触部の上端部の高さ
T:本体部の厚さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
イヤホンの一側に装着され、装着者の外耳道内に挿入され、イヤホンの位置を安定的に固定させるイヤーチップであって、
イヤホンの外周面に対応する中空シリンダー構造の本体部(110)と、
前記本体部(110)の上部の内周面に沿ってリング構造で形成され、イヤホンの外周面に形成された結束湾入構造に対応する突起構造の結束部(120)と、
前記本体部(110)の下部の内周面に沿ってリング構造で形成され、所定の高さだけ突出形成された突起構造であり、結束部(120)から所定距離だけ離隔して一つまたは複数が配置された突起部(130)と、
前記本体部(110)の下端部の外周面から放射状に突出し、上方へと所定の高さだけ延長された構造であり、装着者の外耳道の内部面と接触する外耳道接触部(140)と、
を含み、
前記突起部(130)は、本体部(110)の下部の内周面に、互いに所定距離だけ離隔して複数が形成され、
前記突起部(130)は、互いに所定距離だけ離隔して一つのグループを形成し、
一つのグループを形成する複数の突起部(130)は、下方へと、中間へと、または上方へと向かうほど突出長さが長くなることを特徴とするイヤーチップ。