(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041883
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】基板処理装置、および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20220304BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/304 648A
H01L21/68 N
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021106704
(22)【出願日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2020145915
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】出村 健介
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】神谷 将也
【テーマコード(参考)】
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA37
5F131CA09
5F131EB32
5F131EB35
5F131EB82
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB20
5F157AB33
5F157AB90
5F157BH19
5F157CE07
5F157CE10
5F157CF38
5F157CF60
5F157CF62
5F157CF74
5F157CF99
5F157DB02
5F157DB37
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板に結露が発生するのを抑制することができる基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置1は、回転可能に設けられた載置台2aと、基板100を保持する複数の保持部2a1と、凝固点よりも高い温度の液体を供給する液体供給部4と、載置台2aと、基板と、の間の空間に、冷却ガスを供給する冷却部3と、載置台と、複数の保持部に保持された基板と、の間の距離を変化させる移動部9と、冷却部と、移動部と、を制御するコントローラ10と、を備えている。コントローラは、少なくとも基板上の液体を凝固点よりも高い温度から過冷却状態とする過冷却工程及び過冷却状態から凍結が完了するまでの間の凍結工程(固液相)を有する冷却工程と、冷却工程の後に解凍工程を実行する。冷却工程において、移動部を制御して、距離を第1の距離とし、解凍工程において、移動部を制御して、距離を第1の距離よりも長い第2の距離にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられた載置台と、
前記載置台の一方の側に設けられ、基板を保持する複数の保持部と、
前記基板の、前記載置台側とは反対側の面に凝固点よりも高い温度の液体を供給する液体供給部と、
前記載置台と、前記基板と、の間の空間に、冷却ガスを供給する冷却部と、
前記載置台と、前記複数の保持部に保持された基板と、の間の距離を変化させる移動部と、
前記冷却部と、前記移動部と、を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
少なくとも前記基板上の前記液体を凝固点よりも高い温度から過冷却状態とする過冷却工程および過冷却状態から凍結が完了するまでの間の凍結工程(固液相)を有する冷却工程と、前記冷却工程の後に解凍工程を実行し、
前記冷却工程において、前記移動部を制御して、前記距離を第1の距離とし、
前記解凍工程において、前記移動部を制御して、前記距離を前記第1の距離よりも長い第2の距離にする基板処理装置。
【請求項2】
回転可能に設けられた載置台と、
前記載置台の一方の側に設けられ、基板を保持する複数の保持部と、
前記基板の、前記載置台側とは反対側の面に凝固点よりも高い温度の液体を供給する液体供給部と、
前記載置台と、前記基板と、の間の空間に、冷却ガスを供給する冷却部と、
前記載置台と、前記複数の保持部に保持された基板と、の間の距離を変化させる移動部と、
前記冷却部と、前記移動部と、を制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
前記冷却部を制御して、前記冷却ガスの供給を行う第1の工程と、前記冷却ガスの供給を停止させる第2の工程と、を切り替え、
前記コントローラは、
前記第1の工程において、前記移動部を制御して、前記距離を第1の距離とし、
前記第2の工程において、前記移動部を制御して、前記距離を前記第1の距離よりも長い第2の距離にする基板処理装置。
【請求項3】
前記移動部は、
前記複数の保持部が設けられた支持部と、
前記支持部と斥力により連結され、前記支持部を昇降可能な昇降部と、
を有する請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記支持部は、磁性を有する第1のベースを有し、
前記昇降部は、前記第1のベースと対向し、前記第1のベースと同じ極性の磁性を有する第2のベースを有する請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
膜状を呈し、前記載置台の表面、および前記保持部の前記載置台側の少なくともいずれかに設けられ、前記載置台よりも前記液体をはじきやすい第1の撥液部をさらに備えた請求項1~4のいずれか1つに記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記載置台の表面に設けられた前記第1の撥液部と、前記保持部の前記載置台側に設けられた前記第1の撥液部と、の間には、5mm以上の隙間が設けられている請求項5記載の基板処理装置。
【請求項7】
凸状を呈し、前記保持部の前記載置台側に設けられ、前記載置台よりも前記液体をはじきやすい第2の撥液部をさらに備えた請求項1~4のいずれか1つに記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記保持部の前記載置台側に設けられ、前記載置台よりも前記液体をはじきやすい第3の撥液部と、
前記載置台の表面に設けられ、前記載置台よりも前記液体をはじきやすい第4の撥液部と、
をさらに備え、
前記第3の撥液部は、板状を呈し、前記載置台側の面に凸部を有し、
前記第4の撥液部は、凸状を呈し、前記第3の撥液部と対向している請求項1~4のいずれか1つに記載の基板処理装置。
【請求項9】
一方の面に液膜を有し回転している基板の、他方の面に冷却ガスを供給する冷却工程と、
前記冷却工程において凍結した液体を解凍する解凍工程と、
を備え、
前記冷却工程において、前記基板と、前記基板が載置される載置台と、の間の距離を第1の距離とし、
前記解凍工程において、前記距離を前記第1の距離よりも長い第2の距離にする基板処理方法。
【請求項10】
前記解凍工程において、前記冷却ガスの供給を停止させる請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記液体が解凍された基板を乾燥させる乾燥工程をさらに備え、
前記乾燥工程において、前記冷却ガスの供給を停止させ、前記距離を前記第2の距離、または、前記第1の距離よりも長く、前記第2の距離とは異なる第3の距離にする請求項9または10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記乾燥させた基板を搬出する搬出工程をさらに備え、
前記搬出工程において、前記冷却ガスの供給を停止させ、前記距離を前記第2の距離、または、前記第2の距離よりも長い第4の距離にする請求項11記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板処理装置、および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インプリント用テンプレート、フォトリソグラフィ用マスク基板、半導体ウェーハなどの微細構造体においては、基板の表面に微細な凹凸部が形成されている。
ここで、基板の表面に付着したパーティクルなどの汚染物を除去する方法として、超音波洗浄法や二流体スプレー洗浄法などが知られている。しかしながら、基板に超音波を加えたり、基板の表面に流体を噴射したりすれば、基板の表面に形成された微細な凹凸部が破損するおそれがある。また、近年においては凹凸部の微細化が進み、凹凸部がさらに破損しやすくなっている。
【0003】
そこで、基板の表面に付着した汚染物を除去する方法として、凍結洗浄法が提案されている。
凍結洗浄法においては、以下の様にして、基板の表面を洗浄する。まず、回転させた基板の表面に純水を供給し、供給された純水の一部を排出して基板の表面に水膜を形成する。次に、水膜が形成された基板に冷却ガスを供給して水膜を凍結させる。水膜が凍結して氷膜が形成される際に汚染物が氷膜に取り込まれることで、汚染物が基板の表面から分離される。次に、氷膜に純水を供給して氷膜を融解し、純水とともに汚染物を基板の表面から除去する。次に、純水および汚染物が除去された基板を回転させて、基板を乾燥させる。
【0004】
ここで、水膜を凍結させる際に、基板の、水膜が形成された側に冷却ガスを供給すると、水膜の表面側(水膜の、基板側とは反対側)から凍結が始まることになる。水膜の表面側から凍結が始まると、基板の表面に付着している不純物を基板の表面から分離するのが困難となる。そのため、基板の、水膜が形成された側とは反対側の面に冷却ガスを供給する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
ところが、氷膜を形成する工程において、基板の、水膜が形成された側とは反対側の面に冷却ガスを供給すると、冷却ガスにより、基板を載置する載置台も冷却されることになる。氷膜を形成する工程の後に行われる氷膜を融解する工程や基板を乾燥させる工程においては、冷却ガスの供給が停止されるが、ある程度の時間、載置台の温度は低いまま維持される。氷膜を融解する工程や基板を乾燥させる工程において、載置台の温度が低いと、輻射により、基板から載置台に伝わる熱の量が増加して基板が冷却される場合がある。
また、載置台により載置台の周囲の空気が冷却され、冷却された空気によって基板が冷却される場合もある。
基板が冷却されると、基板の表面や裏面に結露が発生して汚染やウォーターマークなどが発生するおそれがある。
そこで、基板に結露が発生するのを抑制することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、基板に結露が発生するのを抑制することができる基板処理装置、および基板処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る基板処理装置は、回転可能に設けられた載置台と、前記載置台の一方の側に設けられ、基板を保持する複数の保持部と、前記基板の、前記載置台側とは反対側の面に凝固点よりも高い温度の液体を供給する液体供給部と、前記載置台と、前記基板と、の間の空間に、冷却ガスを供給する冷却部と、前記載置台と、前記複数の保持部に保持された基板と、の間の距離を変化させる移動部と、前記冷却部と、前記移動部と、を制御するコントローラと、を備えている。前記コントローラは、少なくとも前記基板上の前記液体を凝固点よりも高い温度から過冷却状態とする過冷却工程および過冷却状態から凍結が完了するまでの間の凍結工程(固液相)を有する冷却工程と、前記冷却工程の後に解凍工程を実行し、前記冷却工程において、前記移動部を制御して、前記距離を第1の距離とし、前記解凍工程において、前記移動部を制御して、前記距離を前記第1の距離よりも長い第2の距離にする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、基板に結露が発生するのを抑制することができる基板処理装置、および基板処理方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る基板処理装置を例示するための模式図である。
【
図2】ベースが上昇した状態を例示するための模式図である。
【
図3】ベースが下降した状態を例示するための模式図である。
【
図4】基板処理装置の作用を例示するためのタイミングチャートである。
【
図5】凍結洗浄工程における温度変化を例示するためのグラフである。
【
図6】他の実施形態に係る移動部を例示するための模式図である。
【
図7】他の実施形態に係る移動部を例示するための模式図である。
【
図8】他の実施形態に係る保持部を例示するための模式図である。
【
図9】他の実施形態に係る撥液部を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下に例示をする基板100は、例えば、半導体ウェーハ、インプリント用テンプレート、フォトリソグラフィ用マスク基板、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)に用いられる板状体などとすることができる。
ただし、基板100の用途はこれらに限定されるわけではない。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置1を例示するための模式図である。
図1に示すように、基板処理装置1には、載置部2、冷却部3、第1液体供給部4、第2液体供給部5、筐体6、送風部7、排気部8、移動部9、およびコントローラ10が設けられている。
【0013】
載置部2は、載置台2a、回転軸2b、および駆動部2cを有する。
載置台2aは、筐体6の内部に回転可能に設けられている。載置台2aは、板状を呈している。載置台2aの一方の主面には、基板100を保持する複数の保持部2a1が設けられている。基板100を複数の保持部2a1に保持させる際には、基板100の表面100b(洗浄を行う側の面)が、載置台2a側とは反対の方を向くようにする。
【0014】
載置台2aの表面、および保持部2a1の載置台2a側の少なくともいずれかには、撥液性の膜(第1の撥液部の一例に相当する)を設けることができる。撥液性の膜は、載置台2aよりも液体101をはじきやすい性質(撥液性)を有している。撥液性の膜は、例えば、トリフルオロメチル基などの飽和フルオロアルキル基、フルオロシリル基、アルキルシリル基、長鎖アルキル基などの官能基を有する材料を含むことができる。例えば、撥液性の膜は、載置台2aの表面にフッ素樹脂をコーティングすることで形成することができる(例えば、
図8の撥液部2a3を参照)。
【0015】
回転軸2bの一方の端部は、載置台2aの孔2a2に嵌合されている。回転軸2bの他方の端部は、筐体6の外部に設けられている。回転軸2bは、筐体6の外部において駆動部2cと接続されている。
【0016】
回転軸2bは、筒状を呈している。回転軸2bの載置台2a側の端部には、吹き出し部2b1が設けられている。吹き出し部2b1は、載置台2aの、基板100側の面に開口している。吹き出し部2b1の開口側の端部は、孔2a2の内壁に接続されている。吹き出し部2b1の開口は、載置台2aに載置された基板100の裏面100aに対峙している。
【0017】
なお、回転軸2bの先端に吹き出し部2b1を設ける場合を例示したが、吹き出し部2b1は、後述の冷却ノズル3dの先端に設けることもできる。また、載置台2aの孔2a2を吹き出し部2b1とすることもできる。
【0018】
回転軸2bの、載置台2a側とは反対側の端部は閉塞している。回転軸2bの、載置台2a側とは反対側の端部には、冷却ノズル3dが挿入されている。回転軸2bの、載置台2a側とは反対側の端部と、冷却ノズル3dとの間には、図示しない回転軸シールが設けられている。
【0019】
駆動部2cは、筐体6の外部に設けられている。駆動部2cは、回転軸2bと接続されている。また、駆動部2cは、筐体6に固定されている。駆動部2cは、モータなどの回転機器を有することができる。駆動部2cの回転力は、回転軸2bを介して載置台2aに伝達される。そのため、駆動部2cにより載置台2a、ひいては載置台2aに載置された基板100を回転させることができる。
また、駆動部2cは、回転の開始と回転の停止のみならず、回転数(回転速度)を変化させることができる。駆動部2cは、例えば、サーボモータなどの制御モータを備えたものとすることができる。
【0020】
冷却部3は、載置台2aと、基板100と、の間の空間に、冷却ガス3a1を供給する。
冷却部3は、冷却液部3a、フィルタ3b、流量制御部3c、および冷却ノズル3dを有する。冷却液部3a、フィルタ3b、および流量制御部3cは、筐体6の外部に設けられている。
【0021】
冷却液部3aは、冷却液の収納、および冷却ガス3a1の生成を行う。冷却液は、冷却ガス3a1を液化したものである。冷却ガス3a1は、基板100の材料と反応し難いガスであれば特に限定はない。冷却ガス3a1は、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの不活性ガスとすることができる。この場合、比熱の高いガスを用いれば基板100の冷却時間を短縮することができる。例えば、ヘリウムガスを用いれば基板100の冷却時間を短縮することができる。また、窒素ガスを用いれば基板100の処理費用を低減させることができる。
【0022】
冷却液部3aは、冷却液を収納するタンクと、タンクに収納された冷却液を気化させる気化部とを有する。タンクには、冷却液の温度を維持するための冷却装置が設けられている。気化部は、冷却液の温度を上昇させて、冷却液から冷却ガス3a1を生成する。タンク内は、冷却液および冷却ガス3a1で満たされているため、冷却ガス3a1は、水分を含まないガスである。冷却ガス3a1の温度は、液体101を凝固点以下の温度にまで冷却して過冷却状態とすることが可能な程度の温度であればよい。そのため、冷却ガス3a1の温度は、液体101の凝固点以下の温度であればよい。冷却ガス3a1の温度は、例えば、-170℃とすることができる。
【0023】
フィルタ3bは、配管を介して、冷却液部3aに接続されている。フィルタ3bは、冷却液に含まれていたパーティクルなどの汚染物が、基板100側に流出するのを抑制する。
【0024】
流量制御部3cは、配管を介して、フィルタ3bに接続されている。流量制御部3cは、冷却ガス3a1の流量を制御する。冷却液部3aにおいて冷却液から生成された冷却ガス3a1の温度は、ほぼ所定の温度となっている。そのため、流量制御部3cは、冷却ガス3a1の流量を制御することで基板100の温度、ひいては基板100上の液体101の温度を制御することができる。
【0025】
流量制御部3cは、例えば、MFC(Mass Flow Controller)などとすることができる。また、流量制御部3cは、冷却ガス3a1の供給圧力を制御することで冷却ガス3a1の流量を間接的に制御するものであってもよい。この場合、流量制御部3cは、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。
【0026】
冷却ノズル3dは、筒状を呈している。冷却ノズル3dの一方の端部は、流量制御部3cに接続されている。冷却ノズル3dの他方の端部は、回転軸2bの内部に設けられている。冷却ノズル3dは、流量制御部3cにより流量が制御された冷却ガス3a1を基板100に供給する。冷却ノズル3dから放出された冷却ガス3a1は、吹き出し部2b1を介して、基板100の、液体101が供給された面とは反対側の面に直接供給される。
【0027】
第1液体供給部4は、基板100の、載置台2a側とは反対側の面(表面100b)に液体101を供給する。液体101は、例えば、水(例えば、純水や超純水など)や、水を主成分とする液体などとすることができる。水を主成分とする液体は、例えば、水とアルコールの混合液、水と酸性溶液の混合液、水とアルカリ溶液の混合液などとすることができる。この場合、水以外の成分が余り多くなると、後述する体積増加に伴う物理力を利用することが難しくなる。そのため、水以外の成分の濃度は、5wt%以上、30wt%以下とすることが好ましい。また、液体101にはガスを溶存させることもできる。ガスは、例えば、炭酸ガス、オゾンガス、水素ガスなどとすることができる。液体101の温度は、例えば、常温(20℃)程度とすることができる。
【0028】
第1液体供給部4は、液体収納部4a、供給部4b、流量制御部4c、および液体ノズル4dを有する。液体収納部4a、供給部4b、および流量制御部4cは、筐体6の外部に設けられている。
【0029】
液体収納部4aは、液体101を収納する。
供給部4bは、配管を介して、液体収納部4aに接続されている。供給部4bは、液体収納部4aに収納されている液体101を液体ノズル4dに向けて供給する。
流量制御部4cは、配管を介して、供給部4bに接続されている。流量制御部4cは、供給部4bにより供給された液体101の流量を制御する。流量制御部4cは、例えば、流量制御弁とすることができる。また、流量制御部4cは、液体101の供給の開始と供給の停止をも行うことができる。
【0030】
液体ノズル4dは、筐体6の内部に設けられている。液体ノズル4dは、筒状を呈している。液体ノズル4dの一方の端部は、配管を介して、流量制御部4cに接続されている。液体ノズル4dの他方の端部は、載置台2aに載置された基板100の表面100bに対峙している。また、液体ノズル4dの他方の端部(液体101の吐出口)は、基板100の表面100bの略中央に位置している。
【0031】
第2液体供給部5は、基板100の表面100bに液体102を供給する。液体102は、後述する解凍工程において用いられる。そのため、液体102は、基板100の材料と反応し難く、且つ、後述する乾燥工程において基板100上に残留し難いものであれば特に限定はない。液体102は、例えば、水(例えば、純水や超純水など)や、水とアルコールの混合液などとすることができる。
【0032】
第2液体供給部5は、液体収納部5a、供給部5b、流量制御部5c、および液体ノズル4dを有する。
液体収納部5aは、前述した液体収納部4aと同様とすることができる。供給部5bは、前述した供給部4bと同様とすることができる。流量制御部5cは、前述した流量制御部4cと同様とすることができる。
【0033】
なお、液体102と液体101が同じである場合には、第2液体供給部5を省くことができる。また、液体ノズル4dを兼用する場合を例示したが、液体101を吐出する液体ノズルと、液体102を吐出する液体ノズルを別々に設けることもできる。また、液体102の温度は、例えば、常温(20℃)程度とすることができる。
【0034】
筐体6は、箱状を呈している。筐体6の内部にはカバー6aが設けられている。カバー6aは、基板100に供給され、基板100が回転することで基板100の外部に排出された液体101(102)を受け止める。また、筐体6の内部には仕切り板6bが設けられている。仕切り板6bは、カバー6aの外面と、筐体6の内面との間に設けられている。
【0035】
筐体6の底面側の側面には排出口6cが設けられている。使用済みの冷却ガス3a1、空気7a、および液体101(102)は、排出口6cから筐体6の外部に排出される。排出口6cには排気管6c1が接続され、排気管6c1には使用済みの冷却ガス3a1、空気7aを排気する排気部(ポンプ)8が接続されている。また、排出口6cには液体101(102)を排出する排出管6c2が接続されている。
【0036】
送風部7は、筐体6の天井面に設けられている。なお、送風部7は、筐体6の天井側の側面に設けることもできる。送風部7は、ファンなどの送風機とフィルタを備えたものとすることができる。送風部7は、仕切り板6bと筐体6の天井との間の空間に空気7a(外気)を供給する。そのため、仕切り板6bと筐体6の天井との間の空間の圧力が外部の圧力より高くなる。その結果、送風部7により供給された空気7aを排出口6cに導くことが容易となる。また、パーティクルなどの汚染物が、排出口6cから筐体6の内部に侵入するのを抑制することができる。
【0037】
移動部9は、載置台2aに対する複数の保持部2a1の位置、ひいては、載置台2aに対する基板100の位置を移動させる。すなわち、移動部9は、載置台2aと、複数の保持部2a1に保持された基板100と、の間の距離を変化させる。
移動部9は、支持部9aと昇降部9bを有することができる。
【0038】
支持部9aは、筐体6の内部に設けることができる。支持部9aには、複数の保持部2a1が設けられている。
支持部9aは、ベース9a1(第1のベースの一例に相当する)と支柱9a2を有することができる。
ベース9a1は、例えば、環状を呈し、載置台2aの、複数の保持部2a1が設けられる側とは反対側に設けることができる。ベース9a1は、載置台2aに略平行に設けることができる。例えば、ベース9a1の中央領域において、ベース9a1を厚み方向に貫通する孔には、所定の隙間を介して回転軸2bが設けられている。なお、環状のベース9a1を例示したが、ベース9a1の形状はこれに限定されるわけではない。例えば、ベース9a1を厚み方向に貫通する孔が、ベース9a1の側面に開口していてもよい。例えば、ベース9a1の平面形状は、C字状やU字状などであってもよい。ベース9a1は、所定の隙間を介して回転軸2bの外側に設けられていればよい。
【0039】
ベース9a1は、磁性を有することができる。ベース9a1の、少なくとも載置台2a側とは反対側の部分は、磁性を有している。この場合、ベース9a1の、載置台2a側とは反対側の部分に永久磁石を設けることもできるし、ベース9a1を磁化することもできる。
【0040】
支柱9a2は、複数の保持部2a1のそれぞれに設けることができる。支柱9a2は、柱状を呈し、一方の端部が保持部2a1に接続され、他方の端部がベース9a1に接続されている。支柱9a2は、載置台2aの厚み方向に移動可能に設けられている。例えば、支柱9a2は、載置台2aを厚み方向に貫通する孔、溝、切り欠きなどの内部に設けることができる。支柱9a2の長さ寸法は、載置台2aの厚み寸法よりも大きくすることができる。例えば、
図1に示すように、保持部2a1が載置台2aと接触した際に、載置台2aとベース9a1との間に所定の隙間が形成されるようにすることができる。この様にすれば、昇降方向における複数の保持部2a1の位置、ひいては、複数の保持部2a1に保持された基板100の位置を移動させることができる。
【0041】
昇降部9bは、昇降方向における支持部9aの位置、ひいては、複数の保持部2a1に保持された基板100の位置を移動させる。
昇降部9bは、例えば、ベース9b1(第2のベースの一例に相当する)と駆動部9b2を有することができる。
【0042】
ベース9b1は、筐体6の内部に設けることができる。ベース9b1は、例えば、環状を呈し、所定の隙間を介して、ベース9a1と対向している。ベース9b1は、ベース9a1に略平行に設けることができる。例えば、ベース9b1の中央領域において、ベース9b1を厚み方向に貫通する孔には、所定の隙間を介して回転軸2bが設けられている。なお、環状のベース9b1を例示したが、ベース9b1の形状はこれに限定されるわけではない。例えば、ベース9b1を厚み方向に貫通する孔が、ベース9b1の側面に開口していてもよい。例えば、ベース9b1の平面形状は、C字状やU字状などであってもよい。ベース9b1は、所定の隙間を介して回転軸2bの外側に設けられていればよい。この場合、ベース9b1の平面形状および平面寸法は、ベース9a1の平面形状および平面寸法と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0043】
昇降部9bは、支持部9aと斥力により連結され、支持部9aを昇降させる。そのため、ベース9b1は、ベース9a1と対向し、ベース9a1と同じ極性の磁性を有する。例えば、ベース9b1の、少なくともベース9a1側の部分は、磁性を有している。この場合、ベース9b1の、ベース9a1側の面に永久磁石を設けることもできるし、ベース9b1を磁化することもできる。また、ベース9b1の磁性を有する部分の極性は、ベース9a1の磁性を有する部分の極性と同じとすることができる。そのため、ベース9b1とベース9a1との間には斥力が発生する。
【0044】
駆動部9b2は、筐体6の外部に設けることができる。駆動部9b2は、昇降方向におけるベース9b1の位置を移動させる。駆動部9b2は、ベース9b1を昇降させることができるものであれば特に限定はない。駆動部9b2は、例えば、エアシリンダやサーボモータなどの機器とガイド機構などを備えたものとすることができる。
【0045】
図2は、ベース9a1が上昇した状態を例示するための模式図である。
図3は、ベース9a1が下降した状態を例示するための模式図である。
前述したように、ベース9b1とベース9a1との間には斥力が発生しているので、
図2に示すように、ベース9b1が上昇すると、ベース9a1がベース9b1に押されて上昇する。ベース9a1が上昇すると、複数の保持部2a1に保持された基板100が上昇して、基板100と載置台2aとの間の距離L1が大きくなる。この場合、
図2に示すように、ベース9a1と載置台2aとを接触させれば、基板100と載置台2aとの間の距離L1を一定に保つことができる。なお、載置台2aは、回転軸2bを介して駆動部2cと接続されている。そして、駆動部2cは、前述の通り、筐体6に固定されている。したがって、載置台2aは、筐体6に回転可能に固定されている。つまり、ベース9a1が接触しても、載置台2aの位置に変化は無い。また、複数の保持部2a1から基板100が落下しないよう、載置台2aとベース9a1を接触させる。
【0046】
一方、
図3に示すように、ベース9b1が下降すると、ベース9a1が自重により下降する。ベース9a1が下降すると、複数の保持部2a1に保持された基板100が下降して、基板100と載置台2aとの間の距離L2が小さくなる。この場合、
図3に示すように、複数の保持部2a1と載置台2aとを接触させれば、基板100と載置台2aとの間の距離L2を一定に保つことができる。なお、前述の通り、載置台2aは、筐体6に回転可能に固定されている。したがって、複数の保持部2a1が接触しても、載置台2aの位置に変化は無い。また、複数の保持部2a1から基板100が落下しないよう、載置台2aと複数の保持部2a1を接触させる。
【0047】
なお、斥力により、ベース9b1とベース9a1との間の距離を略一定に保つことができるので、ベース9b1の位置により、基板100と載置台2aとの間の距離を調整することもできる。
【0048】
コントローラ10は、基板処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する。コントローラ10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算素子と、半導体メモリなどの記憶素子を有することができる。コントローラ10は、例えば、コンピュータとすることができる。記憶素子には、基板処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する制御プログラムを格納することができる。演算素子は、記憶素子に格納されている制御プログラム、操作者により入力されたデータなどを用いて、基板処理装置1に設けられた各要素の動作を制御する。
【0049】
例えば、液体101の冷却速度は、液膜の厚みと相関関係がある。例えば、液膜の厚みが薄くなる程、液体101の冷却速度が速くなる。逆に、液膜の厚みが厚くなる程、液体101の冷却速度が遅くなる。そのため、コントローラ10は、液体101の厚み(液膜の厚み)に基づいて、冷却部3を制御し、冷却ガス3a1の流量、ひいては液体101の冷却速度を制御することができる。この場合、コントローラ10は、載置部2、冷却部3、および第1液体供給部4を制御して、基板100の回転、冷却ガス3a1の流量、および、液体101の供給量を制御することもできる。
【0050】
また、コントローラ10は、載置部2および冷却部3を制御して、基板100の表面100bの上にある液体101が過冷却状態となるようにし、過冷却状態となった液体101を凍結することで凍結膜を生成し、凍結膜の温度を低下させて凍結膜にひび割れを生じさせることができる。凍結膜の生成や、ひび割れに関する詳細は後述する。
【0051】
例えば、コントローラ10は、冷却部3を制御して、冷却ガス3a1の供給を行う第1の工程と、冷却ガス3a1の供給を停止させる第2の工程と、を切り替えることができる。
そして、コントローラ10は、第1の工程において、移動部9を制御して、載置台2aと、複数の保持部2a1に保持された基板100と、の間の距離を第1の距離とし、第2の工程において、移動部9を制御して、前記距離を第1の距離よりも長い第2の距離にすることができる。なお、第1の距離は、例えば、
図3に示す距離L2である。第2の距離は、例えば、
図2に示す距離L1である。
【0052】
例えば、後述する予備工程、液膜形成工程、および冷却工程においては、複数の保持部2a1に保持された基板100を下降させて、基板100と載置台2aとの間の距離を小さくする。
【0053】
例えば、後述する解凍工程と乾燥工程においては、複数の保持部2a1に保持された基板100を上昇させて、基板100と載置台2aとの間の距離を大きくすることで、輻射により、基板100から載置台2aに伝わる熱の量を少なくする。また、載置台により冷却された空気によって基板が冷却されることを抑制する。
なお、各工程における基板100の昇降位置と、その効果に関する詳細は後述する。
【0054】
次に、基板処理装置1の作用とともに、本実施の形態に係る基板処理方法について例示をする。
図4は、基板処理装置1の作用を例示するためのタイミングチャートである。
図5は、凍結洗浄工程における温度変化を例示するためのグラフである。
なお、
図4および
図5は、基板100が6025クオーツ(Qz)基板(152mm×152mm×6.35mm)、液体101が純水の場合である。
【0055】
まず、筐体6の図示しない搬入搬出口を介して、図示しない搬送装置によって基板100が筐体6の内部に搬入される。搬入された基板100は、載置台2aの複数の支持部2a1の上に載置、保持される。
【0056】
この場合においては、コントローラ10が、駆動部9b2を制御して、ベース9b1を上昇させている。そのため、複数の保持部2a1も上昇している。したがって、基板と載置台2aとの間の距離は、例えば、
図2に示した距離L1(第2の距離)である。
【0057】
図示しない搬送装置は、後述の予備工程が実行される前に筐体6の内部から筐体6の外部に移動する。図示しない搬送装置の筐体6の外部への移動が完了するまでの間、基板と載置台2aとの間の距離を距離L1に維持する。距離L1に維持することで、輻射により基板100から載置台2aに伝わる熱の量を少なくすることができる。また、載置台により冷却された空気によって基板が冷却されることを抑制する。
【0058】
基板100が載置台2aに載置、保持された後に、
図4に示すように予備工程、液膜の形成工程、冷却工程、解凍工程、および乾燥工程を含む凍結洗浄工程が行われる。
【0059】
まず、
図4および
図5に示すように予備工程が実行される。予備工程においては、コントローラ10が、駆動部9b2を制御して、ベース9b1を下降させる。ベース9b1が下降すると、ベース9a1が下降して、複数の保持部2a1に保持された基板100が下降する。そのため、基板100と載置台2aとの間の距離が小さくなる。この距離は、
図3に示した距離L2(第1の距離)である。この様にすれば、基板100と載置台2aとの間の、冷却ガス3a1が供給される空間の体積を小さくすることができるので、冷却効率を向上させたり、冷却ガス3a1の消費量を低減させたりすることができる。例えば、基板100と載置台2aとの間の距離は、1mm~5mm程度とすることができる。
【0060】
また、コントローラ10が供給部4bおよび流量制御部4cを制御して、基板100の表面100bに、所定の流量の液体101を供給する。また、コントローラ10が、流量制御部3cを制御して、基板100の裏面100aに、所定の流量の冷却ガス3a1を供給する。また、コントローラ10が、駆動部2cを制御して、基板100を第2の回転数で回転させる。
【0061】
ここで、冷却部3による冷却ガス3a1の供給により筐体6内の雰囲気が冷やされると、雰囲気中のダストを含んだ霜が基板100に付着し、汚染の原因となる可能性がある。予備工程においては、基板100の表面100bに液体101を供給し続けているので、基板100を均一に冷却しつつ、基板100の表面100bへの霜の付着を防止することができる。また、基板100が冷却される前に、基板100と載置台2aとの間の空間は、冷却ガス3a1で満たされた状態となる。冷却ガス3a1は、乾燥したガスである。したがって、基板の裏面100aへの霜の付着も防止される。
【0062】
なお、基板100の表面100bへの霜の付着を防止できれば、液体101の供給および冷却ガス3a1の供給の開始は、ベース9b1の下降と同時でもよいし、ベース9b1の下降の前後でもよい。また、液体101の供給と冷却ガス3a1の供給の開始が異なるタイミングでもよい。
【0063】
例えば、
図4に例示したものの場合には、第2の回転数を20rpm~500rpm程度、液体101の流量を0.1L/min~1.0L/min程度、冷却ガス3a1の流量を40NL/min~200NL/min程度、予備工程の工程時間を1800秒程度とすることができる。なお、予備工程の工程時間は、基板100の面内温度が略均一となる時間であればよく、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定する。
【0064】
予備工程における液膜の温度は、液体101がかけ流し状態であるため、供給される液体101の温度とほぼ同じとなる。例えば、供給される液体101の温度が常温(20℃)程度である場合、液膜の温度は常温(20℃)程度となる。
【0065】
次に、
図4および
図5に示すように液膜の形成工程が実行される。液膜の形成工程においては、基板100の回転数を、高い除去率が得られる液膜の厚み(所定の厚み)が形成される回転数(第1の回転数)となるようにする。例えば、第1の回転数は、0rpm~100rpmである。つまり、コントローラ10は、予備工程時の回転数よりも少ない回転数で基板100を回転させる。そして、
図4に例示するように、予備工程において供給されていた液体101の供給を停止する。第1の回転数は、遠心力により液膜の厚みがばらつくのを抑制することができる回転数であればよい。なお、液膜の形成工程の間、冷却ガス3a1の流量は、予備工程と同じ供給量に維持されている。これにより、予備工程において基板100の面内温度を略均一とした状態を維持することができる。
【0066】
なお、予備工程から第1の回転数としてもよい。この場合、液膜形成工程において、予備工程と同じ回転数を維持するようにすればよい。また、第2の回転数が第1の回転数以下の回転数としてもよい。
【0067】
また、予備工程から液膜の形成工程に移行する際に、液体101の供給を停止させた後、予備工程において供給された液体101を、基板100を高速で回転させることで排出してもよい。この場合、液体101を排出後、基板100の回転数を均一な厚みの液膜が維持される程度の回転数(50rpm)以下、あるいは基板100の回転を停止させた後に、所定の量の液体101を基板100に供給すればよい。この様にすれば、所定の厚みを有する液膜を容易に形成することができる。
【0068】
後述するように、冷却工程を行う際の液膜の厚みは、30μm~1300μm程度とすることができる。例えば、コントローラ10は、液体101の供給量および基板100の回転数を制御して、基板100の表面100bの上にある液膜の厚みを30μm~1300μm程度にする。
【0069】
次に、
図4および
図5に示すように冷却工程が実行される。なお、本実施の形態では、冷却工程のうち、過冷却状態となった液体101の凍結が始まる前までの間を「過冷却工程」、過冷却状態の液体101の凍結が開始し、凍結が完全に完了する前までの間を「凍結工程(固液相)」、凍結した液体101をさらに冷却してひび割れを生じさせるまでの間を「凍結工程(固相)」と呼称する。過冷却工程では、基板100の表面100bに液体101のみが存在する。凍結工程(固液相)では、基板100の表面100bに、液体101と液体101が凍結したものが存在する。凍結工程(固相)では、基板100の表面100bに、液体101が凍結したもののみが存在する。
なお、固液相とは、液体101と液体101が凍結したものとが、同時に存在している状態を意味する。
【0070】
まず、過冷却工程では、基板100の裏面100aに供給され続けている冷却ガス3a1により、基板100上の液膜の温度が、液膜の形成工程における液膜の温度よりもさらに下がり、過冷却状態となる。
【0071】
ここで、液体101の冷却速度が余り速くなると液体101が過冷却状態とならず、すぐに凍結してしまう。そのため、コントローラ10は、基板100の回転数、冷却ガス3a1の流量、および、液体101の供給量の少なくともいずれかを制御することで、基板100の表面100bの液体101が過冷却状態となるようにする。
【0072】
液体101が過冷却状態となる制御条件は、基板100の大きさ、液体101の粘度、冷却ガス3a1の比熱などの影響を受ける。そのため、液体101が過冷却状態となる制御条件は、実験やシミュレーションを行うことで適宜決定することが好ましい。
【0073】
過冷却状態においては、例えば、液膜の温度、パーティクルなどの汚染物の存在、振動などにより、液体101の凍結が開始する。例えば、パーティクルなどの汚染物が存在する場合、液体101の温度Tが、-35℃以上、-20℃以下になると液体101の凍結が開始する。
【0074】
過冷却状態の液体101の凍結が開始すると、過冷却工程から凍結工程(固液相)に移行する。凍結工程(固液相)においては、基板100の表面100bに、液体101と液体101が凍結したものが存在する。前述したように、過冷却状態の液体101においては、汚染物が凍結開始の起点となる場合があり、汚染物が固体に取り込まれると考えられる。また、液体101が固体に変化した際の体積変化に伴う圧力波や、体積増加に伴う物理力などにより、基板100の表面101bに付着している汚染物が分離されると考えられる。そのため、汚染物が固体に取り込まれたり、液体101の一部が凍結した際に生じた圧力波や物理力などにより、基板100の表面101bに付着している汚染物が分離されたりして、洗浄が行われると考えられる。
【0075】
基板100の表面100bの液膜が完全に凍結すると、凍結工程(固液相)から凍結工程(固相)に移行する。凍結工程(固相)においては、基板100の表面100bの凍結膜の温度がさらに低下する。ここで、液体101には、主に、水が含まれている。そのため、基板100の表面100bの液膜が完全に凍結して凍結膜が形成され、凍結膜の温度がさらに低下すると、凍結膜の体積が縮小して凍結膜に応力が発生する。
【0076】
この場合、例えば、凍結膜の温度が-50℃以下になると、凍結膜にひび割れが発生する。凍結膜にひび割れが発生すると、基板100の表面100bに付着していた汚染物が、基板100の表面100bからさらに分離されやすくなる。
【0077】
次に、凍結膜にひび割れが発生した後に、
図4および
図5に示すように解凍工程が実行される。ひび割れの発生は、例えば、図示しないセンサーなどにより検出することができる。なお、
図4および
図5に例示をしたものは、液体101と液体102が同じ液体の場合である。そのため、
図4および
図5においては液体101と記載している。
【0078】
解凍工程においては、コントローラ10が、供給部4bおよび流量制御部4cを制御して、基板100の表面100bに、所定の流量の液体101を供給する。なお、液体101と液体102が異なる場合には、コントローラ10が、供給部5bおよび流量制御部5cを制御して、基板100の表面100bに、所定の流量の液体102を供給する。
【0079】
また、コントローラ10が、流量制御部3cを制御して、冷却ガス3a1の供給を停止させる。また、コントローラ10が、駆動部2cを制御して、基板100の回転数を第3の回転数とする。第3の回転数は、例えば、200rpm~700rpmである。基板100の回転が速くなれば、液体101を遠心力で振り切ることができる。そのため、液体101を基板100の表面100bから排出することができる。この際、基板100の表面100bから分離された汚染物も液体101とともに排出される。
【0080】
なお、液体101または液体102の供給量は、解凍ができるのであれば特に限定はない。また、基板100の回転数は、液体101および汚染物が排出できるのであれば特に限定はない。
【0081】
ここで、前述したように、解凍工程においては、冷却ガス3a1の供給が停止される。そのため、冷却ガス3a1により、基板100が直接冷却されることはない。しかしながら、予備工程、液膜の形成工程、および冷却工程においては、冷却ガス3a1が供給され続けているので、載置台2aが冷却されている。この場合、解凍工程において冷却ガス3a1の供給を停止したとしても、ある程度の時間、載置台2aの温度は低いまま維持される。載置台2aの温度が低いと、輻射により、基板100から載置台2aに伝わる熱の量が増加して、基板100が冷却される場合がある。また、載置台により載置台の周囲の空気が冷却され、冷却された空気によって基板が冷却される場合もある。基板100が冷却されると、基板100の表面100bや裏面100aに、雰囲気中のパーティクルなどを取り込んだ結露が発生するおそれがある。結露が発生すると、汚染やウォータマークなどが発生するおそれがある。
【0082】
そこで、本実施の形態に係る基板処理装置1においては、コントローラ10が、駆動部9b2を制御して、ベース9b1を上昇させる。前述したように、ベース9b1とベース9a1との間には斥力が発生しているので、ベース9b1が上昇すると、ベース9a1がベース9b1に押されて上昇する。ベース9a1が上昇すると、複数の保持部2a1に保持された基板100が上昇し、基板100と載置台2aとの間の距離が大きくなる。この場合の距離は、第2の距離に相当する距離L1である。基板100と載置台2aとの間の距離が大きくなれば、載置台2aの温度が低い場合であっても、輻射により、基板100から載置台2aに伝わる熱の量が減少する。また、載置台により冷却された空気によって基板が冷却されることを抑制する。そのため、基板100が冷却されて、基板100の表面100bや裏面100aに結露が発生するのを抑制することができる。また、基板100から載置台2aに伝わる熱の量が減少するので、解凍時間の短縮となる。基板100と載置台2aとの間の距離は、例えば、10mm以上とする。
【0083】
また、ベース9b1とベース9a1との間は、斥力により連結されている。そのため、ベース9a1が載置台2aとともに回転し、載置台2aの回転方向におけるベース9b1の位置が固定されている場合であっても、ベース9a1の位置、ひいては基板100の位置を維持することができる。
【0084】
なお、コントローラ10が、駆動部9b2を制御して、ベース9b1を上昇させるタイミングは、基板100の表面100bに液体101を供給する前でもよいし、後でもよい。冷却工程において、載置台2aにより冷却された保持部2a1が載置台2aに凍り付くおそれがある。載置台2aの表面および保持部2a1の、載置台2aと接触する面に、前述した撥液性の膜を設けることで、保持部2a1と載置台2aが凍り付いたとしても、ベース9b1を上昇させた際に、保持部2a1と載置台2aが剥がれやすくすることができる。
【0085】
また、基板100の表面100bに液体101を供給した後にベース9b1を上昇させることで、保持部2a1が載置台2aに凍り付いたとしても液体101によって解凍され、より滑らかに保持部2a1を上昇させることができる。
なお、コントローラ10が、駆動部9b2を制御して、ベース9b1を上昇させるタイミングは、第3の回転数にする前でもよいし、後でもよい。
【0086】
次に、
図4および
図5に示すように乾燥工程が実行される。
乾燥工程においては、コントローラ10が、供給部4bおよび流量制御部4cを制御して、液体101の供給を停止させる。なお、液体101と液体102が異なる液体の場合には、コントローラ10が、供給部5bおよび流量制御部5cを制御して、液体102の供給を停止させる。
【0087】
また、乾燥工程においては、コントローラ10が、駆動部2cを制御して、基板100の回転数を第3の回転数より速い第4の回転数に増加させる。基板100の回転が速くなれば、基板100の乾燥を迅速に行うことができる。なお、基板100の回転数は、乾燥ができるのであれば特に限定はない。
【0088】
また、乾燥工程においては、コントローラ10が、駆動部9b2を制御して、例えば、ベース9b1の位置を維持することができる。すなわち、解凍工程における基板100と載置台2aとの間の距離を維持することができる。また、コントローラ10は、駆動部9b2を制御して、基板100と載置台2aとの間の距離を、解凍工程における距離よりも大きくしたり、小さくしたりすることもできる。例えば、第1の距離よりも長く、第2の距離とは異なる第3の距離とする。第3の距離は、例えば、6mm~9mmである。あるいは、第2の距離よりも長い距離としてもよい。
【0089】
第1の距離、第2の距離、第3の距離を制御する場合、駆動部9b2は、シリンダを二つ有するエアシリンダとするか、2つのエアシリンダを組み合わせたもの、エアシリンダとサーボモータを組み合わせたものとすればよい。
【0090】
例えば、乾燥工程における載置台2aの温度が、解凍工程における載置台2aの温度と余り変わらなければ、基板100と載置台2aとの間の距離を維持することができる。乾燥工程における載置台2aの温度が、解凍工程における載置台2aの温度よりも高くなっていれば、基板100と載置台2aとの間の距離を小さくしてもよい。乾燥された基板100は、図示しない搬送装置により搬出される。そのため、搬送装置への受け渡しが容易となるように、基板100と載置台2aとの間の距離を第2の距離よりも長い第4の距離としてもよい。
【0091】
第1の距離、第2の距離、第4の距離を制御する場合、駆動部9b2は、シリンダを二つ有するエアシリンダとするか、2つのエアシリンダを組み合わせたもの、エアシリンダとサーボモータを組み合わせたものとすればよい。
第1の距離、第2の距離、第3の距離、第4の距離を制御する場合、駆動部9b2は、多段のエアシリンダとするか、エアシリンダを複数組み合わせたもの、エアシリンダとサーボモータを複数組み合わせたものとすればよい。
【0092】
凍結洗浄が終了した基板100は、図示しない搬送装置により、筐体6の図示しない搬入搬出口を介して、筐体6の外部に搬出される。
以上の様にすることで、1回の凍結洗浄工程を行うことができる。なお、凍結洗浄工程は、複数回行うこともできる。
【0093】
以上に説明した様に、本実施の形態に係る基板処理方法は、一方の面(表面100b)に液膜を有し回転している基板100の、他方の面(裏面100a)に冷却ガス3a1を供給する冷却工程と、冷却工程において凍結した液体を解凍する解凍工程と、を備えている。そして、冷却工程において、基板100と、基板100が載置される載置台2aと、の間の距離を第1の距離とする。解凍工程において、冷却ガス3a1の供給を停止させ、距離を第1の距離よりも長い第2の距離にする。
【0094】
また、本実施の形態に係る基板処理方法は、液体が解凍された基板100を乾燥させる乾燥工程をさらに備えることができる。乾燥工程において、冷却ガス3a1の供給を停止させ、前記距離を第2の距離、または、第1の距離よりも長く、第2の距離とは異なる第3の距離にすることができる。
【0095】
また、本実施の形態に係る基板処理方法は、乾燥させた基板100を搬出する搬出工程をさらに備えることができる。搬出工程において、冷却ガス3a1の供給を停止させ、前記距離を第2の距離、または、第2の距離よりも長い第4の距離にすることができる。
【0096】
図6は、他の実施形態に係る移動部19を例示するための模式図である。
移動部19は、載置台2aに対する複数の保持部2a1の位置、ひいては、載置台2aに対する基板100の位置を移動させる。
図6に示すように、移動部19は、支持部9aと昇降部19bを有することができる。
【0097】
昇降部19bは、例えば、電磁石とすることができる。例えば、筐体6の底面に電磁石を設け、電磁石に電流を流すことで前述した斥力を発生させ、ベース9a1を上昇させることができる。電磁石に電流を流すのを停止することで、自重によりベース9a1を下降させることができる。
なお、ベース9a1は、昇降部19bと接触しない。ベース9a1が昇降部19bと接触しないようにするには、「t3>t1+t2」を満たすようにすればよい。
この場合、t3は、昇降部19bの上面から載置台2aの上面までの距離、t1は、支柱9a2の長さ、t2は、ベース9a1の厚みである。
【0098】
電磁石の極性は、流れる電流の向きと、コイルの巻き方向によって決まるので、流れる電流の向きを切り替えて引力を発生させ、引力と自重によりベース9a1を下降させることもできる。また、前述した駆動部9b2をさらに設け、電磁石を昇降させるようにしてもよい。
【0099】
図7は、他の実施形態に係る移動部29を例示するための模式図である。
移動部29は、載置台2aに対する複数の保持部2a1の位置、ひいては、載置台2aに対する基板100の位置を移動させる。
図7に示すように、移動部29は、支持部9aと昇降部29bを有することができる。
【0100】
昇降部29bは、例えば、ベース29b1と駆動部9b2を有することができる。
ベース29b1は、例えば、基部29b1aと支持部材29b1bを有することができる。
【0101】
基部29b1aは、板状を呈し、筐体6の内部に設けることができる。基部29b1aの平面形状や平面寸法は、例えば、前述したベース9b1の平面形状や平面寸法と同様とすることができる。
【0102】
支持部材29b1bは、基部29b1aのベース9a1側の面に複数設けることができる。複数の支持部材29b1bは、ベース9a1に接触させることができる。支持部材29b1bは、回転可能に設けられたボールを有し、ボールがベース9a1に接触するものとすることができる。支持部材29b1bは、例えば、フリーボールベアリング、ボールキャスタ、ボールローラなどとすることができる。
【0103】
本実施の形態に係る移動部29においては、基部29b1aが上昇すると、ベース9a1が、複数の支持部材29b1bを介して基部29b1aに押される。そのため、複数の保持部2a1に保持された基板100が上昇して、基板100と載置台2aとの間の距離が大きくなる。基部29b1aが下降すると、ベース9a1が自重により下降する。ベース9a1が下降すると、複数の保持部2a1に保持された基板100が下降して、基板100と載置台2aとの間の距離が小さくなる。
【0104】
支持部材29b1bの、ベース9a1に接触する部分は、回転可能なボールであるため、ベース9a1が載置台2aとともに回転し、載置台2aの回転方向における基部29b1aの位置が固定されている場合であっても、ベース9a1の位置、ひいては基板100の位置を維持することができる。
【0105】
複数の支持部材29b1bとベース9a1を接触させれば、ベース9a1の上昇動作を安定させることができる。ただし、パーティクルや震動の発生を考慮すると、ベース9b1とベース9a1との間を、斥力により連結することが好ましい。
【0106】
図8は、他の実施形態に係る保持部2a1aを例示するための模式図である。
図8に示すように、前述した保持部2a1に代えて、保持部2a1aを設けることができる。例えば、保持部2a1aは、保持部2a1の載置台2a側の面に、少なくとも1つの凸部2a1b(第2の撥液部の一例に相当する)を加えたものとすることができる。凸部2a1bは、載置台2aよりも液体101をはじきやすい性質(撥液性)を有している。凸部2a1bは、例えば、前述した撥液性を有する材料を含んでいる。
凸部2a1bが設けられていれば、保持部2a1aと載置台2aとの接触面積を小さくすることができるので、保持部2a1aと載置台2aが凍り付いたとしても、ベース9b1を上昇させた際に、保持部2a1aと載置台2aが剥がれやすくなる。
【0107】
また、
図8に示すように、載置台2aの表面に、撥液部2a3(第1の撥液部の一例に相当する)をさらに設けることができる。撥液部2a3は、膜状を呈し、前述した撥液性を有する材料を含んでいる。載置台2aの表面に、撥液部2a3が設けられていれば、ベース9b1を上昇させた際に、保持部2a1aと載置台2aがさらに剥がれやすくなる。
【0108】
図9は、他の実施形態に係る撥液部2a4(第3の撥液部の一例に相当する)、および撥液部2a5(第4の撥液部の一例に相当する)を例示するための模式図である。
図9に示すように、載置台2aの表面に、撥液部2a3(第1の撥液部の一例に相当する)を設けることができる。また、保持部2a1の載置台2a側の面に撥液部2a4を設けることができる。撥液部2a4は、板状を呈し、載置台2a側の面に凸部2a4aを有する。凸部2a4aは、撥液部2a4の周縁の近傍に設けることができる。凸部2a4aは、環状を呈するものとすることができる。撥液部2a4は、載置台2aよりも液体101をはじきやすい性質(撥液性)を有している。撥液部2a4は、例えば、前述した撥液性を有する材料を含んでいる。
【0109】
また、
図9に示すように、載置台2aの表面に、凸状を呈する撥液部2a5を設けることができる。撥液部2a5は、例えば、撥液部2a4と対向する位置に設けることができる。撥液部2a4および撥液部2a5は、少なくともいずれかが設けられるようにすることができる。撥液部2a5は、環状を呈するものとすることができる。撥液部2a5は、載置台2aよりも液体101をはじきやすい性質(撥液性)を有している。撥液部2a5は、例えば、前述した撥液性を有する材料を含んでいる。
【0110】
撥液部2a4および撥液部2a5を設ける場合には、予備工程、液膜形成工程、冷却工程において、撥液部2a4の凸部2a4aが設けられていない部分と、撥液部2a5との間に、液体101と載置台2aの表面との接触角以上の高さ(例えば、5mm以上)の隙間が設けられるようにする。例えば、昇降部9bにより、撥液部2a4を持ち上げて、撥液部2a4の凸部2a4aが設けられていない部分と、撥液部2a5との間に、5mm以上の隙間が設けられるようにする。なお、撥液部2a4や凸部2a4aは撥液表面であるから、接触角は、90°以上となる。そのため、付着した液体は少なければほぼ球状に、多ければ重力と比重との関係で決まるある厚みの長円状(膜状)になる。この液体の厚みが接触角の高さである。
【0111】
解凍工程および乾燥工程においては、撥液部2a4の凸部2a4aが設けられていない部分と、撥液部2a5との間に、さらに大きな隙間が設けられるようにする。例えば、撥液部2a4の凸部2a4aが設けられていない部分と、撥液部2a5との間に、10mm以上の隙間が設けられるようにする。
【0112】
以上の様にすれば、予備工程、液膜形成工程、冷却工程において、保持部2a1が載置台2aの表面に直接接触しないので、保持部2a1が載置台2aに凍り付くのを抑制することができる。
予備工程や液膜の形成工程において、液体101が、基板100から保持部2a1を伝って載置台2a側に流れたとしても、撥液部2a4が設けられているので、載置台2aの表面に液体101が到達するのを抑制することができる。
【0113】
この場合、保持部2a1と載置台2aの表面との間の隙間に液体101が流れ込んだとしても、撥液部2a4の凸部2a4aが設けられていない部分と、撥液部2a5との間の隙間は5mm以上あるので、この隙間に液体101が留まるのを抑制することができる。そのため、液体101が、この隙間において凍り付くのを抑制することができる。また、載置台2aの表面に5mm以下の氷が形成されたとしても、その氷によって保持部2a1と載置台2aが接合されることが無い。
【0114】
なお、載置台2aの表面、および保持部2a1の載置台2a側に膜状の撥液部2a3(第1の撥液部の一例に相当する)を設け、凍結洗浄工程において、載置台2aの表面に設けられた撥液部2a3と、保持部2a1の面に設けられた撥液部2a3と、の間に5mm以上の隙間が設けられるようにしてもよい。
【0115】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、基板処理装置1が備える各要素の形状、寸法、数、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0116】
例えば、前述した実施形態においては、冷却液を気化させることで冷却ガス3a1を生成する冷却液部3aとしたが、例えば、冷却液部は、常温のガスをチラー循環により冷却するものであってもよい。
【0117】
例えば、凍結工程(固相)は、凍結膜にひびが入る前に解凍工程を行うようにしてもよい。
例えば、凍結工程(固液相)の後、凍結工程(固相)を実行すること無く、解凍工程を行うようにしてもよい。
【0118】
例えば、解凍工程および乾燥工程において、基板100に結露が発生しない範囲で、冷却ガスの供給を維持してもよい。このようにすることで、凍結洗浄処理の時間を短縮することができる。
【0119】
例えば、
図9に示した実施形態において、凸部2a4aを設けずに、凸部2a5だけを設けるようにしてもよい。
また、高さ方向において、凸部2a4aおよび凸部2a5の、互いの先端部の一部がオーバーラップするようにしてもよい。この場合、凸部2a5の高さを、液体101と載置台2aの表面との接触角以上の高さ(例えば、5mm以上)とし、オーバーラップする長さも接触角以上の長さとすることで、ラビリンス構造となるようにすることができる。ラビリンス構造とすれば、保持部2a1と載置台2aとの間に液体101がより入りこまないようにすることができる。そのため、保持部2a1が載置台2aに凍り付くのをより抑制することができる。
【0120】
例えば、凸部2a4aおよび凸部2a5の形状は、環状に限定されない。例えば、凸部2a4aは、ドット状又は波状を呈することができる。この場合、凸部2a5のドット状又は波状を呈する部分の下に環状の部分を設ける。そして、環状の部分の厚みが5mm以上あればよい。また、凸部2a4aのドットは、撥液部2a4の周縁を囲うように設けられる。そして、凸部2a4aのドットとドットとの間に形成された隙間に凸部2a5のドットが位置するように配置すればよい。
【符号の説明】
【0121】
1 基板処理装置、2 載置部、2a 載置台、2a1 保持部、3 冷却部、3a1 冷却ガス、4 第1液体供給部、5 第2液体供給部、6 筐体、7 送風部、8 排気部、9 移動部、9a 支持部、9a1 ベース、9a2 支柱、9b 昇降部、9b1 ベース、9b2 駆動部、10 コントローラ、19 移動部、19b 昇降部、29 移動部、29b 昇降部、29b1 ベース、29b1a 基部、29b1b 支持部材、100 基板、101 液体、102 液体
【手続補正書】
【提出日】2021-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
まず、筐体6の図示しない搬入搬出口を介して、図示しない搬送装置によって基板100が筐体6の内部に搬入される。搬入された基板100は、載置台2aの複数の保持部2a1の上に載置、保持される。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
この場合においては、コントローラ10が、駆動部9b2を制御して、ベース9b1を上昇させている。そのため、複数の保持部2a1も上昇している。したがって、基板
100と載置台2aとの間の距離は、例えば、
図2に示した距離L1(第2の距離)である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
過冷却状態の液体101の凍結が開始すると、過冷却工程から凍結工程(固液相)に移
行する。凍結工程(固液相)においては、基板100の表面100bに、液体101と液
体101が凍結したものが存在する。前述したように、過冷却状態の液体101において
は、汚染物が凍結開始の起点となる場合があり、汚染物が固体に取り込まれると考えられ
る。また、液体101が固体に変化した際の体積変化に伴う圧力波や、体積増加に伴う物
理力などにより、基板100の表面100bに付着している汚染物が分離されると考えら
れる。そのため、汚染物が固体に取り込まれたり、液体101の一部が凍結した際に生じ
た圧力波や物理力などにより、基板100の表面100bに付着している汚染物が分離さ
れたりして、洗浄が行われると考えられる。