(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041912
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】多相スイッチモード電源
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
H02M3/155 P
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021129657
(22)【出願日】2021-08-06
(31)【優先権主張番号】17/007,862
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521227078
【氏名又は名称】アステック インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラン,イスラエル,ゴメス
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジジ
(72)【発明者】
【氏名】ウ,シウ,ルン
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA03
5H730AA18
5H730AS04
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB22
5H730BB82
5H730CC01
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD41
5H730FD51
5H730FF06
5H730FG05
(57)【要約】
【課題】多相スイッチモード電源を提供する。
【解決手段】多相スイッチモード電源は、入力端子と出力端子との間に結合された第1の位相回路および第2のインターリーブされた位相回路を含む。第1の位相回路は、第1のスイッチに結合された第1のインダクタを含み、第2の位相回路は、第2のスイッチに結合された第2のインダクタを含む。制御回路は、第1および第2のPWM信号を第1および第2のスイッチに出力するように構成される。第2のPWM信号のオン時間は、第1のPWM信号のオン時間に固定オフセット時間周期を加えたものに等しい。制御回路は、オフトリガPWM信号を決定するために第1のPWM信号の立ち上がりエッジの間の期間を決定し、第2のPWM信号が論理ハイ値を有する間にオフトリガPWM信号の立ち下がりエッジが発生したとき、第2のPWM信号を論理ロー値に変更するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多相スイッチモード電源であって、
入力電源から交流(AC)または直流(DC)電圧入力を受け取るための一対の入力端子と、
負荷に直流(DC)電圧出力を供給するための一対の出力端子と、
前記一対の入力端子と前記一対の出力端子との間に結合された第1の位相回路であって、第1のスイッチと結合された第1のインダクタを含む第1の位相回路と、
前記一対の入力端子と前記一対の出力端子との間で前記第1の位相回路とインターリーブされた第2の位相回路であって、第2のスイッチと結合された第2のインダクタを含む第2の位相回路と、
前記第1のスイッチに第1のPWM信号を出力し、
前記第2のスイッチに第2のPWM信号を出力し、この場合、前記第2のPWM信号のオン時間は、前記第1のPWM信号のオン時間に固定オフセット時間を加えたものに等しくなり、
前記第1のPWM信号の少なくとも2つの立ち上がりエッジの間の周期を決定し、該決定された周期に従ってオフトリガPWM信号を決定し、および
前記第2のPWM信号が論理ハイ値を有する間に、前記オフトリガPWM信号の立ち下がりエッジが発生したとき、前記2のPWM信号を論理ロー値に変更するように構成された制御回路とを備える、多相スイッチモード電源。
【請求項2】
前記制御回路は、前記第1のPWM信号を生成するための第1のPWM生成器回路を含み、
前記制御回路は、前記第2のPWM信号を生成するための第2のPWM生成器回路を含み、
前記制御回路は、前記第2のPWM信号の前記オン時間に前記固定オフセット時間の周期を追加するために前記第2のPWM生成器回路の入力に結合された固定オフセット回路を含む、請求項1に記載の電源。
【請求項3】
前記制御回路は、前記DC電圧出力を電圧基準と比較するように結合された電圧誤差増幅器を含み、前記固定オフセット回路は、前記電圧誤差増幅器の出力および前記AC電圧入力の等価二乗平均平方根(RMS)電圧からの合成信号を受け取るように結合される、請求項2に記載の電源。
【請求項4】
前記制御回路は、前記第1のPWM信号の前記少なくとも2つの立ち上がりエッジ間の前記周期を決定するために周波数捕捉回路を含み、該周波数捕捉回路は、前記第1のPWM信号の瞬時電圧を測定するためのデジタルタイマまたはアナログ電圧ランプを含む、請求項2に記載の電源。
【請求項5】
前記制御回路は、前記周波数捕捉回路と前記第2のPWM生成器回路との間に結合されたオフトリガ生成器回路を含み、該オフトリガ生成器回路は、前記第1のPWM信号の前記少なくとも2つの立ち上がりエッジ間の前記決定された周期の半分を使用して、前記第1のPWM信号から180度の位相シフトを有する前記オフトリガPWM信号を生成するように構成される、請求項4に記載の電源。
【請求項6】
前記周波数捕捉回路は、前記第1のPWM信号の複数のサイクルの平均値を測定することによって、または前記電圧入力、前記電圧出力、および前記第1のPWM信号の最新のデューティサイクルに従って第1のPWM信号の次のサイクルを予測することによって、前記第1のPWM信号の前記少なくとも2つの立ち上がりエッジ間の前記周期を決定するように構成され、
前記制御回路は、前記周波数捕捉回路と前記第2のPWM生成器回路との間に結合されたオフトリガ生成器回路を含み、
該オフトリガ生成器回路は、前記第1のPWM信号の前記複数のサイクルの前記測定された平均値の半分または前記第1のPWM信号の前記予測された次のサイクルの半分を使用して、前記第1のPWM信号から180度の位相シフトを有する前記オフトリガPWM信号を生成するように構成される、請求項4に記載の電源。
【請求項7】
前記オフトリガPWM信号のオン時間は、前記第1のPWM信号の前記オン時間に等しい、請求項1に記載の電源。
【請求項8】
前記制御回路は、前記第1のインダクタでのゼロ電流交差を検出するために前記第1のインダクタと前記第1のPWM生成器回路との間に結合された第1のゼロ電流検出器(ZCD)回路と、前記第2のインダクタでのゼロ電流交差を検出するために前記第2のインダクタと前記第2のPWM生成器回路との間に結合された第2のZCD回路とを含む、請求項1に記載の電源。
【請求項9】
前記一対の入力端子と前記一対の出力端子との間で、前記第1の位相回路および前記第2の位相回路とインターリーブされた第3の位相回路をさらに備え、該第3の位相回路は、第3のスイッチに結合された第3のインダクタを含む、請求項1に記載の電源。
【請求項10】
前記一対の入力端子と前記第1および第2の位相回路との間に結合された力率改善(PFC)回路をさらに備え、該PFC回路は、少なくとも2つのコンデンサおよび少なくとも2つのインダクタを備える電磁干渉(EMI)フィルタ回路と、少なくとも4つのダイオードを備えるリッジ回路とを含む、請求項1に記載の電源。
【請求項11】
前記一対の出力端子の間に結合された出力コンデンサと、前記第1の位相回路と前記一対の出力端子のうちの第1の出力端子との間に結合された第1のダイオードと、前記第2の位相回路と前記一対の出力端子のうちの前記第1の出力端子との間に結合された第2のダイオードとをさらに備える、請求項1に記載の電源。
【請求項12】
多相電源を制御する方法であって、前記電源は、入力電源から交流(AC)または直流(DC)電圧入力を受け取るための一対の入力端子と、負荷に直流(DC)電圧出力を供給するための一対の出力端子と、前記一対の入力端子と前記一対の出力端子との間に結合され、第1のスイッチと結合された第1のインダクタを含む第1の位相回路と、前記一対の入力端子と前記一対の出力端子との間で前記第1の位相回路とインターリーブされ、第2のスイッチと結合された第2のインダクタを含む第2の位相回路とを含み、
前記第1のスイッチに第1のPWM信号を出力するステップと、
前記第2のスイッチに第2のPWM信号を出力するステップであって、前記第2のPWM信号のオン時間は、前記第1のPWM信号のオン時間に固定オフセット周期を加えたものに等しいステップと、
前記第1のPWM信号の少なくとも2つの立ち上がりエッジの間の周期を決定するステップと、該決定された周期に従ってオフトリガPWM信号を決定するステップと、前記第2のPWM信号が論理ハイ値を有する間に、前記オフトリガPWM信号の立ち下がりエッジが発生するときに、前記第2のPWM信号を論理ロー値に変更するステップとを含む、多相電源を制御する方法。
【請求項13】
前記第1のPWM信号の前記少なくとも2つの立ち上がりエッジの間の前記周期を決定するステップは、前記第1のPWM信号の瞬時電圧を測定するためのデジタルタイマまたはアナログ電圧ランプを使用して前記周期を測定するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記オフトリガPWM信号を生成するステップは、前記第1のPWM信号の前記2つの立ち上がりエッジの間の前記決定された周期の半分を使用することによって、前記第1のPWM信号から180度の位相シフトを有する前記オフトリガPWM信号を生成するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のPWM信号の前記少なくとも2つの立ち上がりエッジの間の前記周期を決定するステップは、
前記第1のPWM信号の複数のサイクルの平均値を測定するステップ、または前記電圧入力、前記電圧出力、および前記第1のPWM信号の最新のデューティサイクルに従って前記第1のPWM信号の次のサイクルを予測するステップを含み、
前記オフトリガPWM信号を生成するステップは、前記第1のPWM信号の前記複数サイクルの前記測定された平均値の半分、または前記第1のPWM信号の前記予測された次のサイクルの半分を使用して、前記第1のPWM信号から180度の位相シフトを有する前記オフトリガPWM信号を生成するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多相スイッチモード電源に関し、とりわけ臨界不連続多相スイッチモード電源(critically discontinuous multi-phase swuitched-mode power supplies)に関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、必ずしも従来技術ではない、本開示に関連する背景情報を提供する。
【0003】
多くの顧客は、電源がチタン定格以上の効率を有することを要求しているため、前段階(front-end)の力率改善回路(PFC回路)のための臨界不連続モードなどのソフトスイッチング電力トポロジの使用がより普及しつつある。最大出力電力を制限する高いピーク電流を低減するために、インターリーブされた(interleave,交互に扱われた)多相動作が使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インターリーブ動作は、出力電圧における良好なリップルキャンセルを提供するが、臨界不連続動作モードのゼロ電流検出機能によって、位相間のスイッチング周波数の差が同期を阻害するため、臨界不連続モード回路をインターリーブすることは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
このセクションは、本開示の一般的な概要を提供し、その全範囲またはその特徴のすべての包括的な開示ではない。
【0006】
本開示の一態様によれば、多相スイッチモード電源は、入力電源から交流(AC)または直流(DC)電圧入力を受け取るための一対の入力端子と、負荷に直流(DC)電圧出力を供給するための一対の出力端子と、一対の入力端子と一対の出力端子との間に結合された第1の位相回路とを含む。第1の位相回路は、第1のスイッチに結合された第1のインダクタを含む。電源はまた、一対の入力端子と一対の出力端子との間で第1の位相回路とインターリーブされた第2の位相回路を含む。第2の位相回路は、第2のスイッチに結合された第2のインダクタを含む。電源は、第1のスイッチに第1のPWM信号を出力し、第2のスイッチに第2のPWM信号を出力するように構成された制御回路をさらに含む。第2のPWM信号のオン時間は、第1のPWM信号のオン時間に固定オフセット時間周期を加えたものに等しい。制御回路は、第1のPWM信号の少なくとも2つの立ち上がりエッジの間の周期を決定し、決定された周期に従ってオフトリガPWM信号を決定し、第2のPWM信号が論理ハイ値を有する間にオフトリガPWM信号の立ち下がりエッジが発生したとき、第2のPWM信号を論理ロー値に変更するように構成される。
【0007】
本開示の別の態様によって、多相電源を制御する方法が開示される。電源は、入力電源から交流(AC)または直流(DC)電圧入力を受け取るための一対の入力端子と、負荷に直流(DC)電圧出力を供給するための一対の出力端子と、一対の入力端子と一対の出力端子との間に結合され、第1のスイッチに結合された第1のインダクタを含む第1の位相回路と、一対の入力端子と一対の出力端子との間で第1の位相回路とインターリーブされ、第2のスイッチに結合された第2のインダクタを含む第2の位相回路とを含む。本方法は、第1のスイッチに第1のPWM信号を出力するステップと、第2のスイッチに第2のPWM信号を出力するステップとを含む。第2のPWM信号のオン時間は、第1のPWM信号のオン時間に固定オフセット時間周期を加えたものに等しい。方法はまた、第1のPWM信号の少なくとも2つの立ち上がりエッジの間の周期を決定するステップと、決定された周期に従ってオフトリガPWM信号を決定するステップと、第2のPWM信号が論理ハイ値を有する間にオフトリガPWM信号の立ち下がりエッジが発生したとき、第2のPWM信号を論理ロー値に変更するステップとを含む。
【0008】
さらなる態様および適用可能な領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。本開示の様々な態様は、個別に、または1つもしくは複数の他の態様と組み合わせて実施することができることを理解されたい。本明細書の説明および特定の例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していないことも理解されたい。
【0009】
本明細書で説明される図面は、すべての可能な実施態様ではなく、選択された実施形態の例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一例の実施形態による多相スイッチモード電源の回路図である。
【0011】
【
図2】
図1の電源のための一例の制御回路配線の回路図である。
【0012】
【
図3】
図1の電源のための一例の制御回路構成要素のブロック図である。
【0013】
【
図4】
図1の電源の一例のPWM制御信号およびインダクタ電流を示す波形の図である。
【0014】
【
図5】
図1の電源の一例のオフトリガPWM信号を示す波形の図である。
【0015】
【
図6】
図1の電源の複数のサイクルのPWM制御信号、インダクタ電流、およびオフトリガPWM信号の一例を示す波形の図である。
【0016】
【
図7】
図1の電源に関する一例の入力および出力電圧ならびに電流を示す波形の図である。
【0017】
【
図8】1回のサイクル中の
図1の電源に関する一例の入力および出力電圧ならびに電流を示す例を示す波形の図である。
【0018】
【
図9】本開示の別の一例の実施形態による、三相スイッチモード電源に関する一例のPWM制御信号およびインダクタ電流を示す波形の図である。
【0019】
対応する参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分または特徴を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで、添付の図面を参照して、一例の実施形態をより完全に説明する。
【0021】
一例の実施形態は、本開示が完璧であり、当業者にその範囲を十分に伝えるために提供される。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、装置、および方法の例など、多数の特定の詳細が記載されている。特定の詳細を採用する必要がないこと、一例の実施形態を多くの異なる形態で具体化することができること、およびいずれも本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことは、当業者には明らかであろう。いくつかの一例の実施形態では、周知のプロセス、周知のデバイス構造、および周知の技術は詳細には説明されない。
【0022】
本明細書で使用される用語は、特定の一例の実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図されてよい。用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(inlcuding)」、および「有する(having)」は包括的であり、したがって、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。本明細書に記載された方法ステップ、プロセス、および動作は、実行の順序として具体的に特定されない限り、必ずしも説明または図示された特定の順序でのそれらの実行を必要とするように解釈されるべきではない。追加のまたは代替のステップが使用される場合があることも理解されたい。
【0023】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層および/または区域を説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層および/または区域は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層または区域を別の領域、層または区域と区別するためにのみ使用されてよい。本明細書で使用される場合、「第1の」、「第2の」などの用語および他の数値用語は、文脈によって明確に示されない限り、順序や順番を暗に示すものではない。したがって、以下で説明する第1の要素、構成要素、領域、層または区域は、一例の実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層または区域と呼ぶこともできる。
【0024】
「内側」、「外側」、「真下」、「下」、「下方」、「上」、「上方」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では、図に示すように、1つの要素または特徴と別の要素または特徴との関係を説明するための説明を容易にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、使用中または動作中の装置の異なる向きを包含することが意図される場合がある。例えば、図中の装置がひっくり返された場合、他の要素または特徴の「下」または「真下」として記載された要素は、他の要素または特徴の「上」に向けられる。したがって、一例の用語「下」は、上および下の両方の向きを包含することができる。装置は、他の方向に向けられ(90度または他の向きに回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0025】
多相スイッチモード電源が
図1に示され、全体的に参照番号100で示されている。システム100は、入力電源V1から入力される交流(AC)または直流(DC)電圧を受け取るための一対の入力端子102および104と、負荷(
図1には示されていない)に直流(DC)電圧出力を供給するための一対の出力端子バルク+およびバルク-とを含む。
図1は180VのAC電圧入力を示しているが、他の実施形態は、DC電圧入力、より低いまたはより高い電圧を有するAC電圧入力などを受け取る場合もある。
【0026】
電源100は、一対の入力端子102、104と一対の出力端子バルク+、バルク-との間に結合された第1の位相回路を含む。第1の位相回路は、スイッチQ1に結合されたインダクタL1を含む。
【0027】
電源100はまた、一対の入力端子102、104と一対の出力端子バルク+、バルク-との間で第1の位相回路とインターリーブされた第2の位相回路を含む。第2の位相回路は、スイッチQ2に結合されたインダクタL2を含む。
【0028】
制御回路106は、第1のスイッチQ1にPWM信号DRV1を出力し、スイッチQ2にPWM信号DRV2を出力するように構成されている。PWM信号DRV2のオン時間は、PWM信号DRV1のオン時間に固定オフセット時間周期を加えたものに等しい。
【0029】
以下でさらに説明するように、制御回路106は、PWM信号DRV1の少なくとも2つの立ち上がりエッジの間の周期を決定し、決定された周期に従ってオフトリガPWM信号を決定し、PWM信号DRV2が論理ハイ値を有する間にオフトリガPWM信号の立ち下がりエッジが発生したとき、PWM信号DRV2を論理ロー値に変更するように構成される。
【0030】
図2は、制御回路106の一部の一例の配線図を示す。
図2に示すように、デジタルコントローラ208は、インダクタL1でのゼロ電流交差を検出するためにインダクタL1に結合されたゼロ電流検出入力ZCD1と、インダクタL2でのゼロ電流交差を検出するためにインダクタL2に結合されたゼロ電流検出入力ZCD2とを含む。
図1は、信号ZCD1を生成するためにインダクタL1とデジタルコントローラ208との間に結合された抵抗器R4と、信号ZCD2を生成するためにインダクタL2とデジタルコントローラ208との間に結合された抵抗器R3とを示す。
【0031】
デジタルコントローラ208は、ACライン入力AC_LおよびACニュートラル入力AC_Nを含む。
図1および
図2に示すように、抵抗R12、R10、R9およびR11を含む分圧器は、デジタルコントローラ208のACライン入力AC_LとAC電圧入力V1のライン端子102との間に結合される。抵抗器R16、R15、R13およびR14を含む分圧器は、デジタルコントローラ208のACニュートラル入力AC_NとAC電圧入力V1のニュートラル端子104との間に結合される。デジタルコントローラ208のACニュートラル入力ACNと回路グランドとの間にダイオードD6が結合され、デジタルコントローラ208のACライン入力AC_Lと回路グランドとの間にダイオードD7が結合されている。
【0032】
デジタルコントローラの電流感知入力CSは増幅器X1から信号を受け取るように結合され、増幅器X1は感知された差動電流Csense+およびCsense-を増幅して、
図1に示す電流感知抵抗器Rsenseを通る電流を決定する。
【0033】
コントローラ208は、電源100の電圧出力を受け取るためのフィードバック入力FBを含む。
図2に示すように、抵抗器R5、R6、R7およびR8を含む分圧器は、出力端子バルク+とフィードバック入力FBとの間に結合される。
図1および
図2に示す一例の抵抗器の値は、例示のみを目的としており、他の実施形態は、他の適切な抵抗器の値を使用してもよく、より多くのまたはより少ない抵抗器を有する場合もあり、他の回路配置などに結合された抵抗器を有する場合もある。
【0034】
デジタルコントローラ208はまた、PWM信号DRV1をスイッチQ1に供給するための制御信号出力DRVAと、PWM信号DRV2をスイッチQ2に供給するための制御信号出力DRVBと、回路グランドに結合されたグランド入力とを含む。
図2は、デジタルコントローラ208と電源100の他の要素との間の1つの特定の接続インターフェースを示しているが、他の実施形態は、本明細書に記載の一例の制御方法を実践しながら異なる接続構成を使用する場合もある。
【0035】
図3は、制御回路106の一例の構成要素を示すブロック図を示す。
図3に示すように、制御回路106は、パルス幅変調(PWM)信号PWMAを生成するためのPWM生成器回路310と、PWM信号PWMBを生成するPWM生成器回路312とを含む。信号PWMAは、スイッチQ1に供給される信号DRV1を規定してよく、信号PWMBは、スイッチQ2に供給される信号を規定してよい。
【0036】
制御回路106は、信号PWMBのオン時間に固定オフセット時間周期を追加するためにPWM生成器回路310の入力に結合された固定オフセット回路314を含む。例えば、制御回路106は、DC電圧出力(バルク電圧)を電圧基準(バルク電圧基準)と比較するように結合された電圧誤差増幅器316を含む。固定オフセット回路314は、(乗算器回路318を介して)電圧誤差増幅器316の出力およびAC電圧入力の等価二乗平均平方根(RMS)電圧からの合成信号を受け取るように結合される。固定オフセット時間周期は、位相調整の速度によっては、1回のトリミングで済む一定値であってもよい。いくつかの実施形態では、固定オフセット回路314は、ソフトウェアを介して追加のオン時間を追加する機能を複製するハードウェア遅延を含む場合もある。
【0037】
図3に示すように、周波数捕捉回路320が、信号PWMAの少なくとも2つの立ち上がりエッジの間の周期を決定するために結合される。周波数捕捉回路320は、信号PWMAの瞬時電圧を測定するためのデジタルタイマまたはアナログ電圧ランプを含んでよい。いくつかの実施形態では、周波数捕捉回路320は、信号PWMAの複数のサイクルの平均値を測定することによって、電圧入力、電圧出力、および信号PWMAの最新のデューティサイクルなどに従って信号PWMAの次のサイクルを予測することによって、信号PWMAの少なくとも2つの立ち上がりエッジの間の周期を決定することができる。
【0038】
制御回路106はまた、周波数捕捉回路320とPWM生成器回路312との間に結合されたオフトリガ生成器回路322を含む。オフトリガ生成器回路322は、信号PWMAの少なくとも2つの立ち上がりエッジの間の決定された周期の半分、信号PWMAの複数のサイクルの測定された平均値の半分、信号PWMAの予測される次のサイクルの半分などを使用することによって、信号PWMAから180度の位相シフトを有するオフトリガPWM信号を生成するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、オフトリガPWM信号のオン時間は、信号PWMAのオン時間に等しい場合もある。
【0039】
図3に示すように、制御回路106は、インダクタL1におけるゼロ電流交差を検出するために、PWM生成器回路310に結合されたゼロ電流検出器(ZCD)回路324を含む。インダクタL2におけるゼロ電流交差を検出するために、ZCD回路326が、PWM生成器回路312に結合される。
図3は、本明細書に記載の一例の制御方法を実行するための制御回路106の強調表示された部分(例えば、固定オフセット回路314、周波数捕捉回路320、およびオフトリガ生成器回路322)の外側の構成要素の特定の配置を示しているが、他の実施形態では、制御回路106の強調表示された部分が本明細書に記載の一例の制御方法を実行する限りは、構成要素は異なって配置されてもよい。
【0040】
本明細書に記載の一例の制御方法(例えば、制御回路106などによって実行されるような)は、インダクタL1およびL2(例えば、各PFCチョーク)ごとにゼロ電流検出を使用して、インダクタがそれ自体でリセットすることを可能にしてもよい。各インダクタL1およびL2は、インダクタンス、ゲート駆動遅延、瞬時入力電圧、および瞬時出力電圧に応じて異なる時間にリセットされる。リセットのタイミングが異なるため、各位相にスイッチング周波数は異なる場合がある。
【0041】
1つの位相のみを検出し、位相の数に応じて第2の位相を強制的に特定の位相角で異位相(out-of-phase)にするいくつかの従来技術の制御方法(例えば、2相動作の場合、第2の位相は強制的に180度位相がずらされる)は、特にインダクタンスが大きい(例えば、電源が主に低周波数で動作する)場合、第2の位相が谷スイッチング(valley switching)またはフルリセットを達成することを許可しない場合がある。各インダクタに対してZCD検出を使用するいくつかの従来技術の制御方法は、両方の位相の周波数を測定して、一方の位相または両方の位相のオン時間を調整することによってそれらを等しく保ち、そして制御方法は、他方の位相の位相シフトを設定する。対照的に、本明細書に記載の一例の制御方法は、主位相のスイッチング周期のみを測定し、(例えば、オン時間および主位相の周期に応じて)第2の位相の固定ターンオフ点を提供することができる。
【0042】
また、本明細書に記載の一例の制御方法は、他の位相のための固定された追加のオン時間を追加して、より低い周波数で動作することによって現在のリセット点が右にシフトすることを可能にしてもよい。第2の位相は、第2の位相を定位置に固定するためにターンオフトリガ点に達するまで、それ自体で正しい位相角までゆっくりとシフトすることが許容される。第2の位相を定位置に固定するために、(例えば、オフトリガ生成器回路322などからの)ターンオフトリガによってオン時間が中断され、両方の周波数が同じに(例えば、各スイッチQ1およびQ2のスイッチング周波数が等しく)なるまでスイッチング周期が短縮される。上記を考慮して、位相制御は、誤差計算などを実施するなどの複雑な計算を必要としなくてよい。電源100の各位相は、それ自体でその位相を調整し得る。
【0043】
いくつかの従来技術の制御方法は、PWM信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジを使用し、複数のサイクルにわたって平均し、この平均を固定基準と比較して位相角シフトを制御する。これは、特に、個々の位相ごとに位相制御を提供するために複雑な計算が実行される多相動作に対して、コントローラのより高い処理要件を生み出す。対照的に、本明細書に記載の一例の制御方法は、多相動作のための複雑な計算を必要としなくてよい。上述したように、(例えば、主位相の周期に基づいて)固定のターンオフトリガが生成され、各個別の位相に適用される。したがって、電源の各位相は、それ自体でそのタイミングを調整することができ、これにより、コントローラのハードウェア要件が低減される。
【0044】
再び
図1を参照すると、電源100は、任意選択的に、一対の入力端子102、104と第1および第2の位相回路との間に結合された力率改善(PFC)回路()を含む。PFCは、電磁干渉(EMI)フィルタ回路105を含む。EMIフィルタ回路105は、2つのインダクタL3,L4と、2つのコンデンサC3,C4と、より多いまたはより少ないインダクタと、より多いまたはより少ないコンデンサなどを含んでもよい。PFC回路はまた、4つのダイオードを含むブリッジ回路D1を含んでもよい。
【0045】
図1は、AC電圧入力と、AC-DC電力変換のためのEMIフィルタ回路105およびブリッジ回路D1を有するPFC回路とを含むものとして電源100を示しているが、他の実施形態は他の適切なPFC回路を含んでもよく、他の実施形態はDC電圧入力を受け取るDC-DCコンバータなどであってもよい。例えば、電源100は、バックコンバータトポロジ、ブーストコンバータトポロジ、またはフォワードコンバータトポロジなどの任意の適切なAC-DCまたはDC-DCコンバータトポロジを使用してもよい。電源100は、可変周波数動作、インターリーブ動作などを使用してもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、電源100は、3つ以上(例えば、3つの位相、4つの位相など)のインターリーブされた位相回路を含んでもよい。各位相回路は、それ自体のインダクタおよびスイッチを含んでよく、制御回路106は、第1の位相回路のスイッチ以外の各スイッチに別個のオフトリガPWM信号を用いて各スイッチにPWM信号を生成してよい。
【0047】
図1に示すように、電源100は、一対の出力端子バルク+とバルク-との間に結合された出力コンデンサC2と、インダクタL1と出力端子バルク+との間に結合されたダイオードD3と、インダクタL2と出力端子バルク+との間に結合されたダイオードD2と、インダクタL1およびL2に結合されたコンデンサC1とを含んでよい。他の実施形態では、電源100は、より多くのまたはより少ないコンデンサおよびダイオード、他の配置で結合されたコンデンサおよびダイオードなどを含む場合がある。端子102,104、バルク+およびバルク-は、電圧源から電圧入力を受け取るため、または負荷に電圧出力を供給するための任意の適切な電気端子、ワイヤ、回路トレースなどを含んでよい。
【0048】
制御回路106は、スイッチQ1およびQ2のスイッチング動作を制御して、準共振動作モード、臨界不連続動作モードなどの任意の適切な動作モードで電源100を動作させるように構成されてよい。
【0049】
制御回路106およびデジタルコントローラ208は、任意の適切なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、集積回路、デジタル信号プロセッサなどを含んでもよく、これらはメモリを含んでもよい。制御回路106およびデジタルコントローラ208は、任意の適切なハードウェアおよび/またはソフトウェア実装を使用して、本明細書に記載の一例のプロセスのいずれかを実行するように(例えば、実行するように動作可能に)構成されてよい。例えば、制御回路106およびデジタルコントローラ208は、メモリに記憶されたコンピュータ実行可能命令を実行してもよく、上述のように、1つまたは複数の論理ゲート、制御回路などを含んでもよい。
【0050】
図4は、電源100の複数のスイッチングサイクル中の制御信号PWMAおよびPWMB、ならびにインダクタ電流Aおよびインダクタ電流Bを示す一例の波形400を示す。例えば、制御信号PWMAは
図1のスイッチQ1に供給され、制御信号PWMBは
図1のスイッチQ2に供給されてよい。インダクタ電流Aは、インダクタL1を通る電流を表してよく、インダクタ電流Bは、インダクタL2を通る電流を表してよい。
【0051】
図4に示すように、制御信号PWMAはオン時間Tonを有し、制御信号PWMBは、Tonに追加のオン時間の固定オフセットを加えたものに等しいオン時間を有する。時間TOにおいて、制御信号PWMAおよびPWMBの両方とも論理ハイ値になり、インダクタ電流AおよびBが上昇する。制御信号PWMBは、固定オフセットに起因して制御信号PWMAよりもオン時間が長いため、インダクタ電流Bは、制御信号PWMBが論理ロー値に遷移する前にインダクタ電流Aよりも高い値まで上昇する。
図4は、制御信号PWMBに追加のオン時間を追加することを示しているが、他の実施形態では、制御方法は、制御信号PWMAのオン時間を短縮することによって実施されてもよい。
【0052】
時間T1において、インダクタ電流Aは0値となり、制御信号PWMAは(例えば、
図3のPWM生成器310をトリガするZCD1信号などに起因して)再び論理ハイ値となる。時間T1ではインダクタ電流Bはまだ0ではないため、制御信号PWMBは、(例えば、インダクタ電流Bが時間T2で0に達するときにPWM生成器312をトリガするZCD2信号に基づくなど)時間T2まで論理ハイにならない。
【0053】
このプロセスは、時間T3において再び継続し、ここでは、インダクタ電流Aのゼロ電流状態に起因して制御信号PWMAが論理ハイ値になり、その一方で、制御信号PWMBは、インダクタ電流Bがゼロ電流状態に達する時間T4まで論理ハイ値にならない。
図4に示すように、制御信号PWMBのオン時間に追加されるオフセット値に起因して、時間T3とT4との間の遅延は、時間T2とT1との間の遅延よりも大きい。
【0054】
時間T5、T 6において、制御信号PWMA、PWMBの立ち上がりエッジの間の遅延がさらに増大される。ここでもまた、制御信号PWMBに追加されるオフセット値によって継続的に、インダクタ電流Bをインダクタ電流Aよりも大きくなるように上昇させ、したがって、インダクタ電流Aに対してインダクタ電流Bが到達する時間を各サイクルによりいっそう引き延ばす。
【0055】
図5は、インダクタ電流Aと共に、制御信号PWMAに基づいてオフトリガPWM信号を決定する方法を示す一例の波形500を示す。
図5に示すように、制御信号PWMAの立ち上がりエッジの間の周期が最初に決定される。例えば、PERIOD3は、時間TOにおけるパルスTon3の立ち上がりと時間T2におけるパルスTon2との間の時間周期を特定し、PERIOD2は、時間T2におけるパルスTon2の立ち上がりと時間T4におけるパルスTon1との間の周期を特定し、PERIOD1は、時間T4におけるパルスTon1の立ち上がりと時間T6におけるパルスTonOとの間の周期を特定する。
【0056】
図5に示すように、オフトリガPWM信号の各パルスは、制御信号PWMAのパルスの180度反対の位相で開始する。例えば、オフトリガPWM信号の各パルスは、制御信号PWMAのパルス間の決定された周期の途中で開始してもよい。
【0057】
図5は、時間T1で開始するオフトリガPWM信号のパルスTon3の立ち上がりエッジを示しており、この時間は、制御信号PWMAのパルス間の決定された時間周期PERIOD3の中間点である。同様に、オフトリガPWM信号のパルスTon2の立ち上がりエッジは、時間T2に前の時間周期PERIOD3を2で割った遅延を加えたものであるT3で発生する。オフトリガPWM信号のパルスTon1の立ち上がりエッジは、時間T4に前の時間周期PERIOD2を2で割った遅延を加えたT5で発生する。オフトリガPWM信号のパルスTonOの立ち上がりエッジは、T7で発生し、これは、時間T6に前の時間周期PERIOD1を2で割った遅延を加えたものである。
【0058】
オフトリガPWM信号の各パルスのオン時間は、制御信号PWMAの各パルスのオン時間と等しくてもよい。
図5はまた、オフトリガPWM信号のパルスの立ち下がりエッジも示しており、これは、以下でさらに説明するように、制御信号PWMBを早期にオフにするために使用されてよい。
【0059】
図6は、オフトリガPWM信号と制御信号PWMAおよびPWMBとの相互作用、ならびにインダクタ電流AおよびBを示す一例の波形600を示す。
図6に示すように、時間TOにおいて両方の制御信号PWMAおよびPWMBのパルスが同時に開始する。
【0060】
時間T1において、オフトリガPWM信号の立ち下がりエッジが発生する。時間T1において、制御信号PWMBは論理ロー値であるので、制御信号PWMBは影響を受けない。時間T2において、制御信号PWMAはインダクタ電流Aの電流ゼロ条件に応答して論理ハイ値になるが、制御信号PWMBは(例えば、インダクタ電流Bは、制御信号PWMBのオン時間に追加されたオフセットに起因して、時間T3までゼロ電流状態に達しないためなどが理由で)時間T3まで論理ハイ値にならない。
【0061】
時間T4において、オフトリガPWM信号の立下りエッジが再び発生する。時間T4において、制御信号PWMBは論理ロー値であるので、制御信号PWMBは影響を受けない。時間T5において、制御信号PWMAは、インダクタ電流Aの電流ゼロ条件に応答して論理ハイ値になるが、制御信号PWMBは、(例えば、インダクタ電流Bは、制御信号PWMBのオン時間に追加されたオフセットに起因して、時間T6までゼロ電流状態に達しないためなどが理由で)時間T6まで論理ハイ値にならない。
【0062】
時間T7において、オフトリガPWM信号の立ち下がりエッジが発生し、その一方で制御信号PWMBは論理ハイレベルにある。これにより、制御信号PWMBは、TonBのその通常の周期(例えば、TonA+オフセット)が終了するまで論理ハイの値のままである代わりに、オフトリガPWM信号の立ち下がりエッジと同時のT7において、早期に論理ローレベルに遷移する。
【0063】
時間T7における制御信号PWMBの短縮されたオン時間はインダクタ電流Bの上昇を抑制し、これは、インダクタ電流AおよびBが互いに等しく、かつ逆位相である定常状態条件につながる。例えば、時間T8において、制御信号PWMAが論理ハイ値になり、時間T9において、オフトリガPWM信号および制御信号PWMBの両方が論理ハイ値になる。時間T10におけるオフトリガPWM信号の立ち下がりエッジは、インダクタ電流AおよびBの定常状態動作を維持するために、制御信号PWMBを再び切り詰める。
【0064】
上記を考慮して、オフセット値およびオフトリガPWM信号は、互いの平衡位相および逆位相としてインダクタ電流AおよびBの定常状態動作に到達し、維持するために、オフトリガPWM信号に従って後続のサイクルにわたって制御信号PWMBを連続的に調整しながら、同時に開始する制御信号PWMAおよびPWMBで電源100が動き始めることを可能にする。同様に、タイミングまたはインダクタ電流AおよびBが電源100の動作中に妨害される場合、制御信号PWMBは、互いに対して平衡かつ逆位相としてインダクタ電流AおよびBの定常状態動作に再び到達して維持するために、オフトリガPWM信号に従って後続のサイクルにわたって再び調整されてもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、インダクタL1のインダクタンスは、インダクタL2のインダクタンスよりも低くてもよい(または高くてもよい)。DC入力では、スイッチQ1およびQ2のスイッチング周波数は同じであってもよい。しかしながら、インダクタL1がより低いインダクタンスを有する高速PFC平均モード制御を使用する場合、第2の位相がより低い周波数で動作する場合にはスイッチング周波数が異なる場合がある。これにより、
図6に示すのと同様の機能が得られ、オフトリガ信号を追加することにより、異なる位相の位相制御が提供される。
【0066】
別の選択肢として、インダクタL1がインダクタL2よりも低いインダクタンスを有するピーク電流モード制御を使用する場合、第2の位相がより低い周波数で動作する場合にはスイッチング周波数が同様に異なる場合がある。ピーク電流制御は、感知されたインダクタ電流をPFC動作のための補償器の出力と比較してよい。これにより、
図6に示すのと同様の機能が得られ、オフトリガ信号を追加することにより、異なる位相の位相制御が提供される。
【0067】
図7は、4つの異なる負荷条件の間の電源100の異なる構成要素の電流および電圧を示す一例の波形700を示す。具体的には、
図7は、AC電圧入力VinAC、入力電流lac、インダクタL1を通る電流Ichoke1、インダクタL2を通る電流Ichoke2、電圧出力Vbulk、および出力電流loutを示す。
【0068】
第1の負荷条件は、約2アンペアの出力電流で0ミリ秒から200ミリ秒まで示されている。第2の負荷条件は、約4アンペアの出力電流で200ミリ秒から400ミリ秒まで示され、3の負荷条件は、約5.5アンペアの出力電流で400ミリ秒から600ミリ秒まで示され、第4の負荷条件は、約7.5アンペアの出力電流で600ミリ秒から800ミリ秒まで示されている。
【0069】
図8は、AC電圧入力の半分の周期の100%負荷状態に基づく電源100の異なる構成要素の電流および電圧を示す一例の波形800を示す。
図8に示すように、リップルキャンセルは、インダクタL1の電流がインダクタL2を通る電流に対して180度位相がずれている場合に最も効果的である。
図7および
図8はまた、異なる段階的負荷条件に対して本明細書に記載される位相制御技術を使用することの有効性を示している。
図9は、3相電源についてのPWM制御信号およびインダクタ電流を示す一例の波形900を示す。例えば、制御信号PWMAは電源の第1の位相回路のスイッチに供給され、電流Aは第1の位相回路のインダクタを通る電流に対応する。
【0070】
制御信号PWMBは、電源の第2の位相回路のスイッチに供給され、電流Bは、第2の位相回路のインダクタを通る電流に対応する。制御信号PWMCが電源の第3の位相回路のスイッチに供給され、電流Cは第3の位相回路のインダクタを通る電流に対応する。
【0071】
図9に示すように、制御信号ダミーPWMは、制御信号PWMAの前の周期の周波数の2倍に等しい周波数を有する。制御信号ダミーPWMは、10%のデューティサイクルを有する。制御信号PWMB、PWMCの各々は、制御信号PWMAのオン時間に固定オフセットを加えたものに等しいオン時間を有する。
【0072】
各位相PWMBおよびPWMCのオフトリガは、異なるシフトを有する。例えば、
図9に示す擬似コードは、信号PWMBのオフトリガを制御信号PWMAのパルスの開始に制御信号PWMAの前の周期の33%を追加することとして記述し、信号PWMCのオフトリガを制御信号PWMAのパルスの開始に制御信号PWMAの前の周期の66%を追加することとして記述している。
【0073】
図9に示すように、3つの位相のインダクタ電流A、B、およびCは、複数のサイクルの後に定常状態平衡に達する。制御信号PWMBおよびPWMCは、時間TOにおいて制御信号PWMAに対して90度の位相差で開始するが、他の実施形態では、制御信号はすべて同時に開始してもよく、異なる位相オフセットなどで開始してもよい。
【0074】
別の一例の実施形態では、多相電源を制御する方法が開示される。電源は、入力電源から交流(AC)または直流(DC)電圧入力を受け取るための一対の入力端子と、負荷に直流(DC)電圧出力を供給するための一対の出力端子と、一対の入力端子と一対の出力端子との間に結合され、第1のスイッチに結合された第1のインダクタを含む第1の位相回路と、一対の入力端子と一対の出力端子との間で第1の位相回路とインターリーブされ、第2のスイッチに結合された第2のインダクタを含む第2の位相回路とを含む。
【0075】
本方法は、第1のスイッチに第1のPWM信号を出力するステップと、第2のスイッチに第2のPWM信号を出力するステップとを含む。第2のPWM信号のオン時間は、第1のPWM信号のオン時間に固定オフセット時間周期を加えたものに等しい。方法はまた、第1のPWM信号の少なくとも2つの立ち上がりエッジの間の周期を決定するステップと、決定された周期に従ってオフトリガPWM信号を決定するステップと、第2のPWM信号が論理ハイ値を有する間にオフトリガPWM信号の立ち下がりエッジが発生したとき、第2のPWM信号を論理ロー値に変更するステップとを含む。
【0076】
第1のPWM信号の少なくとも2つの立ち上がりエッジの間の周期を決定するステップは、第1のPWM信号の瞬時電圧を測定するためのデジタルタイマまたはアナログ電圧ランプを使用して周期を測定するステップを含んでよい。オフトリガPWM信号を生成するステップは、第1のPWM信号の2つの立ち上がりエッジの間の決定された周期の半分を使用することによって、第1のPWM信号から180度の位相シフトを有するオフトリガPWM信号を生成するステップを含んでよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、第1のPWM信号の少なくとも2つの立ち上がりエッジの間の周期を決定するステップは、第1のPWM信号の複数のサイクルの平均値を測定するステップ、または電圧入力、電圧出力、および第1のPWM信号の最新のデューティサイクルに従って第1のPWM信号の次のサイクルを予測するステップを含んでよい。オフトリガPWM信号を生成するステップは、第1のPWM信号の複数のサイクルの測定された平均値の半分または第1のPWM信号の予測された次のサイクルの半分を使用することによって、第1のPWM信号から180度の位相シフトを有するオフトリガPWM信号を生成するステップを含んでよい。オフトリガPWM信号のオン時間は、第1のPWM信号のオン時間と等しい。
【0078】
方法は、電源の始動中に第1のPWM信号および第2のPWM信号を同時に開始するステップと、第1のPWM信号のスイッチング周期が第2のPWM信号のスイッチング周期に等しくなるまで第2のPWM信号を継続して変更するステップとを含んでよい。方法は、第1のPWM信号および第2のPWM信号のスイッチング周期が乱されて等しくなくなったことに応答して、第1のPWM信号のスイッチング周期が再び第2のPWM信号のスイッチング周期に等しくなるまで、第2のPWM信号を継続して変更するステップを含んでよい。
【0079】
本明細書に記載の一例の実施形態は、以下の利点、すなわち、制御回路設計および位相制御方法の簡素化、3相以上で実装された場合(例えば4相コンバータなど)の低下した処理要件、より低価格のコントローラの使用、位相制御を補償する必要性がないことによる実現のしやすさ(特に3相以上の用途の場合)のうちの1つまたは複数を提供し得る(あるいはそのうちの1つも提供しない場合がある)。例えば、4相コンバータでは、各位相は、コンバータ全体の安定性に影響を及ぼす可能性のある独立した補償を必要とする場合がある。
【0080】
実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提供されている。それは、網羅的であること、または本開示を限定することを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般に、その特定の実施形態に限定されるのではなく、適用可能な場合には交換可能であり、具体的に図示または説明されていなくても、選択された実施形態で使用することができる。これはまた、多くの方法で変更されてもよい。そのような変形は、本開示からの逸脱と見なされるべきではなく、すべてのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【外国語明細書】