IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ボルボトラックコーポレーションの特許一覧

特開2022-41930車輪冗長制御安全網機能を有する車両運動管理
<>
  • 特開-車輪冗長制御安全網機能を有する車両運動管理 図1
  • 特開-車輪冗長制御安全網機能を有する車両運動管理 図2
  • 特開-車輪冗長制御安全網機能を有する車両運動管理 図3
  • 特開-車輪冗長制御安全網機能を有する車両運動管理 図4
  • 特開-車輪冗長制御安全網機能を有する車両運動管理 図5
  • 特開-車輪冗長制御安全網機能を有する車両運動管理 図6
  • 特開-車輪冗長制御安全網機能を有する車両運動管理 図7
  • 特開-車輪冗長制御安全網機能を有する車両運動管理 図8
  • 特開-車輪冗長制御安全網機能を有する車両運動管理 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041930
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】車輪冗長制御安全網機能を有する車両運動管理
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/02 20120101AFI20220304BHJP
   B60W 40/10 20120101ALI20220304BHJP
   B60T 8/1761 20060101ALI20220304BHJP
   B60T 8/1755 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
B60W30/02
B60W40/10
B60T8/1761
B60T8/1755 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021135067
(22)【出願日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】20193854.5
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】レオ・レイン
(72)【発明者】
【氏名】レオン・ヘンダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・リンドバーグ
(72)【発明者】
【氏名】アディシャ・アリカー
(72)【発明者】
【氏名】シドハント・レイ
【テーマコード(参考)】
3D241
3D246
【Fターム(参考)】
3D241BA10
3D241BA16
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB07Z
3D241DB09Z
3D241DB12Z
3D241DB32Z
3D241DB35Z
3D246DA01
3D246GB01
3D246GB04
3D246GC14
3D246GC16
3D246HA64A
3D246HA72B
3D246HA81A
3D246JB03
3D246JB27
3D246JB32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】大型車両に課せられた安全要求事項に合致する、改善された車両制御ユニット、方法および機能を提供する。
【解決手段】大型車両のためのMSD制御ユニット230は、車輪210と結合された1つまたは複数のMSD220、250を制御するように構成され、MSD220、250によって車両運動を制御するための車輪速度要求および/または車輪スリップ要求を含む制御コマンドを車両運動管理VMMユニット260から受け取るために、通信結合される235ように配置され、MSD制御ユニット230は、車輪210の挙動範囲を示す能力範囲を得るようになされ、VMMユニット260は、上記能力範囲に対して車輪の挙動に影響を及ぼすことができ、MSD制御ユニット230は、車輪挙動を監視し、かつ車輪挙動が能力範囲外であるかどうかを検出するようになされ、監視された車輪挙動が能力範囲外である場合、制御介入機能をトリガするようになされる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型車両(100)のためのモーションサポートデバイスMSD制御ユニット(230)であって、前記車両(100)上の少なくとも1つの車輪(210)と結合された1つまたは複数のMSD(220、250)を制御するように構成され、
前記MSD制御ユニット(230)は、前記1つまたは複数のMSD(220、250)によって車両運動を制御するための車輪速度要求および/または車輪スリップ要求を含む制御コマンドを車両運動管理VMMユニット(260)から受け取るために、前記VMMユニット(260)に通信結合される(235)ように配置され、
前記MSD制御ユニット(230)は、前記車輪(210)の車輪挙動の範囲を示す能力範囲を得るようになされ、前記VMMユニット(260)は、前記制御コマンドによって、前記能力範囲に対して前記車輪の前記挙動に影響を及ぼすことができ、
前記MSD制御ユニット(230)は、車輪挙動を監視し、かつ、車輪挙動が前記能力範囲外であるかどうかを検出するようになされ、
前記MSD制御ユニット(230)は、前記監視された車輪挙動が前記能力範囲外である場合、制御介入機能をトリガするようになされる、
モーションサポートデバイスMSD制御ユニット(230)。
【請求項2】
前記1つまたは複数のMSDが、前記車輪(210)によって負のトルクを生成するようになされた少なくとも1つの主ブレーキ(220)を備える、請求項1に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項3】
前記1つまたは複数のMSDが、前記車輪(210)によって正および/または負のトルクを生成するようになされた少なくとも1つの推進ユニット(250)を備える、請求項1または2に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項4】
前記能力範囲が、許容可能な正および/または負の縦方向の車輪スリップおよび/または車輪回転速度に対する上限を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項5】
前記能力範囲が、許容可能な正および/または負の縦方向の車輪加速度に対する上限を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項6】
前記能力範囲が、許容可能な正および/または負の車両ヨー率に対する上限を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項7】
前記能力範囲が、許容可能な正および/または負の縦方向の車輪スリップおよび/または車輪回転速度に対する下限を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項8】
前記能力範囲が、許容可能な正および/または負の縦方向の車輪加速度に対する下限を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項9】
前記能力範囲が、許容可能な正および/または負の車両ヨー率に対する下限を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項10】
車輪速度センサ(240)から前記車輪(210)と関連する車輪速度データを受け取り、かつ、前記車輪速度データに基づいて、車輪挙動が前記能力範囲外であるかどうかを検出するようになされた、請求項1から9のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項11】
メモリからロードされる、あるいは外部コンフィグレーションエンティティから受け取られるパラメータとして固定能力範囲を得るようになされた、請求項1から10のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項12】
更新された能力範囲を連続的に得るようになされた、請求項1から10のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項13】
前記制御介入機能が、前記MSD(220、250)のうちの1つまたは複数による介入機能の実行を含む、請求項1から12のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項14】
前記制御介入機能が、前記MSD制御ユニット(230)による直接MSD制御のための外部アービトレータ機能への要求をトリガすることを含む、請求項1から13のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項15】
前記MSD制御ユニット(230)が、車輪挙動のサンプルを経時的にフィルタリングすることによって車輪挙動を監視し、かつ、前記フィルタリングの結果に基づいて車輪挙動が前記能力範囲外であるかどうかを検出するようになされる、請求項1から14のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項16】
車両運動管理を実施して、車両(100)上の少なくとも1つの車輪(210)と結合された1つまたは複数のモーションサポートデバイスMSD(220、250)によって大型車両(100)の運動を制御するようになされた車両運動管理VMMユニット(260)であって、
前記VMMユニット(260)は、車輪速度要求および/または車輪スリップ要求を含む制御コマンドをMSD制御ユニット(230)に送信して、前記1つまたは複数のMSD(220、250)によって車両運動を制御するために、前記MSD制御ユニット(230)に通信結合(235)されるように配置され、
前記VMMユニット(260)は、前記車輪(210)の車輪挙動の範囲を示す能力範囲を得るようになされ、前記VMMユニット(260)は、前記制御コマンドによって、前記能力範囲に対して前記車輪の前記挙動に影響を及ぼすことができ、
前記VMMユニット(260)は、前記車輪挙動が前記能力範囲内であるように前記制御コマンドを生成するようになされる、
車両運動管理VMMユニット(260)。
【請求項17】
前記MSD制御ユニット(230)による直接MSD制御のための要求を受け取り、かつ、車輪挙動が所定の車輪挙動安全範囲外である場合、車両制御を前記MSD制御ユニット(230)に譲るように構成されたアービトレータ機能を含む、請求項16に記載のVMMユニット(260)。
【請求項18】
請求項1から15のいずれか1項に記載のモーションサポートデバイスMSD制御ユニット(230)と、請求項16から17のいずれか1項に記載の車両運動管理VMMユニット(260)とを備える車両(100)。
【請求項19】
大型車両(100)による運動を制御するための方法であって、
前記車両(100)上の少なくとも1つの車輪(210)と結合された1つまたは複数のMSD(220、250)を制御するためのモーションサポートデバイスMSD制御ユニット(230)を構成するステップ(S1)と、
前記MSD制御ユニット(230)に送信された制御コマンドを介して、前記1つまたは複数のMSD(220、250)によって車両運動管理を実施するための車両運動管理VMMユニット(260)を構成するステップ(S2)と、
前記車輪(210)の車輪挙動の範囲を示す能力範囲を画定するステップ(S3)であって、前記能力範囲に対して、前記VMMユニット(260)が前記制御コマンドによって前記車輪の前記挙動に影響を及ぼすことができる、ステップ(S3)と、
車輪挙動を監視するステップ(S4)と、
前記監視された車輪挙動が前記画定済み能力範囲外である場合、前記MSD制御ユニット(230)による制御介入機能をトリガするステップ(S5)と
を含む方法。
【請求項20】
コンピュータプログラム(920)であって、制御ユニット(800)のコンピュータまたは処理回路機構(810)上で走ると、請求項19のステップを実施するためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム(920)。
【請求項21】
前記プログラム製品が制御ユニット(800)のコンピュータまたは処理回路機構(810)上で走ると、請求項19のステップを実施するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム(920)を担っているコンピュータ可読媒体(910)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、大型車両のための車両運動管理、すなわち主ブレーキデバイスおよび推進デバイスなどのモーションサポートデバイスの協調制御に関する。
【0002】
本発明は、トラック、バスおよび建設機械などの大型車両に適用することができる。本発明は、主として、セミ-トレーラ車両およびトラックなどの貨物輸送車両に関して説明されることになるが、本発明は、この特定のタイプの車両に限定されず、自動車などの他のタイプの車両に使用することも可能である。
【背景技術】
【0003】
車両は、力学、気圧力学、水力学、電子工学およびソフトウェアに関してますます複雑になっている。セミ-トレーラトラックなどの近代の大型車両は、燃焼機関、電気機械、摩擦ブレーキ、回生ブレーキ、緩衝装置、エアーベローズおよびパワーステアリングポンプなどの広範囲にわたる異なる物理デバイスを備えることができる。これらの物理デバイスは、モーションサポートデバイス(Motion Support Devices:MSD)として広く知られている。MSDは、例えば1つの車輪に摩擦ブレーキ、すなわち負のトルクを加えることができ、その一方で車両上の別の車輪、恐らくは同じ車輪車軸上の別の車輪を同時に使用して、電気機械によって正のトルクが生成されるよう、個別に制御することができる。
【0004】
最近提案された、例えば中央車両ユニットコンピュータ(VUC)上で実行される車両運動管理(Vehic motion management:VMM)機能は、所望の運動効果を得るために、また、その一方で、それと同時に車両安定性、費用有効性および安全性を維持するために、MSDの組合せを利用して車両を動作させている。国際公開第2019072379(A1)号は、1つのこのような例を開示しており、車輪ブレーキを使用して、大型車両による旋回動作を選択的に補助している。VMM制御は、有利には、VMMからMSD制御ユニットへ送信される車輪速度要求または車輪スリップ要求に基づくことができ、MSD制御ユニットは、要求された車輪スリップ値または車輪速度値の可能な限り近くに車輪挙動を維持することに狙いを定めた低遅延-高帯域幅制御ループによって様々なMSDを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019072379(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
少なくとも部分的に、これらの最新の車輪速度ベース運動管理機能、または車輪スリップベース運動管理機能に固有の複雑性のため、レガシー(legacy:長く使われている/時代遅れの)安全規格に対する総合システム機能の検証は、課題を提示することがある。これらの最新の運動管理機能による不注意な車輪のロック、および/または車両による望ましくないヨー運動の導入を防止することができる方法および制御アーキテクチャが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の目的は、大型車両に課せられた安全要求事項に合致する、改善された車両制御ユニット、方法および機能を提供することである。この目的は、少なくとも部分的に、大型車両のためのモーションサポートデバイス(MSD)制御ユニットによって達成される。MSD制御ユニットは、車両上の少なくとも1つの車輪と結合された1つまたは複数のMSDを制御するように構成され、すなわち本明細書において開示される制御ユニットは、車両上の単一の車輪、または車両の車軸上の両方の車輪、あるいは車両の何らかの部品上のすべての車輪を制御するように構成することができる。MSD制御ユニットは、1つまたは複数のMSDによって車両運動を制御するための車輪速度要求および/または車輪スリップ要求を含む制御コマンドを車両運動管理(VMM)ユニットから受け取るために、該VMMユニットに通信結合されるように配置される。MSD制御ユニットは、車輪の車輪挙動の範囲を示す能力範囲を得るようになされ(構成されており)、VMMユニットは、制御コマンドによって、上記能力範囲に対して車輪の挙動に影響を及ぼすことができ、また、MSD制御ユニットは、車輪挙動を監視し、かつ、車輪挙動が能力範囲外であるかどうかを検出するようにもなされ(構成されており)、MSD制御ユニットは、監視された車輪挙動が能力範囲外である場合、制御介入機能をトリガするようになされる(構成されている)。
【0008】
これは、結果として得られる車輪挙動が能力範囲内である限り、VMMは少なくとも1つの車輪を自由に制御することができることを意味している。しかしながら車輪挙動が能力範囲から逸脱すると、MSD制御ユニットによって直ちに制御介入機能がトリガされる。したがって、能力範囲および制御介入機能を介して実現されるこの安全網(セーフティーネット)のため、レガシー安全規格に依然として合致する。このように、レガシー安全機構がそのままの状態で残されなかった場合に必要になったであろう広範囲にわたる試験および検証を経ることなく、より進歩した機能を車両に導入することができる。VMMにおける、車輪速度要求の割振りに関連する既存の通信信号および特殊な考察に対するいくつかの些細な修正を使用して、今日のブレーキシステムに存在しているレガシー(長く使われている)アンチ-ロック制動機能ならびにトラクション制御および安定性制御機能を再使用してこの安全網を提供することができる。
【0009】
1つまたは複数のMSDは、例えば、車輪によって負のトルクを生成するようになされた(構成された)少なくとも1つの主ブレーキと、車輪によって正および/または負のトルクを生成するようになされた(構成された)少なくとも1つの推進ユニットとを備えることができる。したがって提案される制御ユニットは、推進デバイスと車輪ブレーキの両方を制御し、かつ、協調させるのに適しており、これは利点である。
【0010】
いくつかの態様によれば、能力範囲は、許容可能な正および/または負の縦方向の車輪スリップおよび/または車輪回転速度に対する上限および/または下限を含む。これは、VMM制御の結果、車輪スリップが許容可能な値を超えるような車輪挙動になる場合、安全網機能が介入することを意味している。この許容可能な値は、例えばタイヤ力と車輪スリップの間にほぼ線形の関係が得られる車輪スリップ値に対応し得る。また、能力範囲は、許容可能な正および/または負の縦方向の車輪加速度に対する上限および/または下限、ならびに許容可能な正および/または負の車両ヨー率(vehicle yaw rate)に対する上限および/または下限をも含むことができる。したがって本明細書において考察される車両制御ユニットは、車輪スリップ、車輪速度、車輪加速度および/またはヨー率のうちのいずれかに基づいて能力範囲を画定する。車輪挙動が能力範囲によって設定された境界内を維持している限り、VMMは車輪挙動を制御することができる。しかしながら現在設定されている能力範囲から車輪挙動が逸脱すると、安全な車両操縦を保証するために対抗処置が取られる。
【0011】
いくつかの態様によれば、MSD制御ユニットは、車輪と関連する車輪速度データを車輪速度センサから受け取り、かつ、その車輪速度データに基づいて車輪挙動が能力範囲外であるかどうかを検出するようになされる(構成されている)。ある意味では、車輪速度、車輪加速度および車輪スリップは、すべて同じ車輪挙動の測度であり、これらは交換可能に使用することができる。
【0012】
いくつかの態様によれば、MSD制御ユニットは、メモリからロードされる、あるいは外部コンフィグレーションエンティティ(external configuration entity)から受け取られるパラメータとして固定能力範囲を得るようになされる(構成されている)。この固定能力範囲は、例えばレガシー車両安全規格または安全検証試験に応じてプログラムすることができる。しかしながらMSD制御ユニットは、更新された能力範囲を連続的に得るようにすることも可能である。この更新された能力範囲は、例えば車両タイプ、車両輸送任務、または運転条件、等々などの他のパラメータに応じて動的に構成することができる。例えば運転条件および/または輸送任務は、増加した安全マージンを保証するためなどであってもよい。
【0013】
いくつかの態様によれば、制御介入機能は、複数のMSDのうちの1つまたは複数による介入機能の実行を含む。このような介入機能は、例えばアンチ-ロック機能、トラクション制御機能、等々を含むことができる。
【0014】
いくつかの態様によれば、制御介入機能は、MSD制御ユニットによる直接MSD制御のための外部アービトレータ機能への要求をトリガすることを含む。これにより、対立する要求同士の間の仲裁が可能になる。例えばいくつかのシナリオでは、VMM制御を許容しないことの結果が、例えば進行中の緊急処置の実行のVMMによる完了を許容する場合より悪い場合がそうであり得る。
【0015】
いくつかの態様によれば、MSD制御ユニットは、車輪挙動のサンプルを経時的にフィルタリングすることによって車輪挙動を監視し、かつ、そのフィルタリングの結果に基づいて車輪挙動が能力範囲外であるかどうかを検出するようになされる(構成されている)。それにより能力範囲からの、介入機能のトリガを保証しない測定誤差および/または過渡的効果に起因し得る疑似逸脱を抑制することができる。
【0016】
また、上記目的は、車両運動管理を実施して、車両上の少なくとも1つの車輪と結合された1つまたは複数のモーションサポートデバイス(MSD)によって大型車両の運動を制御するようになされた(構成された)車両運動管理(VMM)ユニットによって同じく達成される。
【0017】
VMMユニットは、車輪速度要求および/または車輪スリップ要求を含む制御コマンドをMSD制御ユニットに送信して、1つまたは複数のMSDによって車両運動を制御するために、該MSD制御ユニットに通信結合されるように配置され、VMMユニットは、車輪の車輪挙動の範囲を示す能力範囲を得るようになされ(構成されており)、VMMユニットは、制御コマンドによって、上記能力範囲に対して車輪の挙動に影響を及ぼすことができ、VMMユニットは、車輪挙動が能力範囲内であるように制御コマンドを生成するようになされる(構成されている)。
【0018】
したがって上で考察したように、VMMユニットは、結果として得られる挙動が、上記得られた能力範囲内を維持している限り、1つまたは複数の車輪をより自由に制御することができる。VMMユニットは、能力範囲から逸脱する車輪挙動をもたらすことになる制御コマンドを生成することなく車両を制御するように構成される。したがって能力範囲は、力分散および軌道計画立案など、車両制御に間接的に影響を及ぼす。例えば車輪スリップに対するより厳しい制限は、それほどには積極的ではない軌道が選択されるよう、車両運動管理に影響を及ぼし得る。一方、より緩い能力範囲は、より高い車輪スリップ率および/またはより高いヨー率と関連するより積極的な車両運動管理制御を許容し得る。
【0019】
態様によれば、VMMユニットは、MSD制御ユニットによる直接MSD制御のための要求を受け取り、かつ、車輪挙動が所定の車輪挙動安全範囲外である場合、車両制御をMSD制御ユニットに譲るように構成されたアービトレータ機能を含む。このアービトレータ機能は、所望のVMM制御目標の間で仲裁し、MSD制御ユニットに介入を許容するように構成することができる。このように、制御をMSD制御ユニットに譲ることの方がより悪いと思われるいくつかの事例では、車輪挙動におけるときおりの逸脱を許容することができる。これは、例えば障害を回避するために緊急回避処置が実行されている場合がそうであり、その場合、わずかにより高い車輪スリップを一時的に許容することができる。
【0020】
本明細書においては、コンピュータプログラム、コンピュータ可読媒体、コンピュータプログラム製品、および上で考察した利点と関連する車両が同じく開示される。
【0021】
一般に、特許請求の範囲で使用されているすべての用語は、本明細書において明確に定義されていない限り、当技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されたい。「単数形の要素、装置、構成要素、手段、ステップ、等々」に対するすべての参照は、明確に言及されていない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップ、等々の少なくとも1つの実例を意味するものとして公然と解釈されたい。本明細書において開示されている任意の方法のステップは、明確に言及されていない限り、開示されている通りの順序で実施する必要はない。本発明の他の特徴および本発明が有する他の利点は、添付の特許請求の範囲および以下の説明を研究することによって明らかになるであろう。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の異なる特徴を組み合わせて、以下で説明されている実施形態以外の実施形態を作り出すことができることを認識する。
【0022】
以下、例として記載されている本発明の実施形態について、添付の図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】例示的大型車両を示す図である。
図2】モーションサポートデバイス配置を示す略図である。
図3】車輪スリップの関数としてのタイヤ力を示すグラフである。
図4】能力範囲を示す略図である。
図5】例示的モーションサポートデバイス制御システムを示す図である。
図6】例示的モーションサポートデバイス制御システムを示す図である。
図7】方法を示すフローチャートである。
図8】制御ユニットを示す略図である。
図9】例示的コンピュータプログラム製品を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明について、本発明の特定の態様が示されている添付の図面を参照してより完全に説明する。しかしながら本発明は多くの異なる形態で具体化することができ、したがって本明細書において示されている実施形態および態様に限定されるものとして解釈するのではなく、これらの実施形態は、本開示が徹底的で、かつ、完全なものになるよう、また、本発明の範囲を当業者に完全に伝えることになるよう、一例として提供されているものとして解釈されたい。同様の番号は、説明全体を通して同様の要素を表している。
【0025】
本発明は、本明細書において説明されている、また、図面に示されている実施形態に限定されず、むしろ当業者は、添付の特許請求の範囲の範疇において、多くの変更および修正を加えることができることを認識するであろうことを理解されたい。
【0026】
図1は、貨物輸送のための例示的車両100を示したものであり、本明細書において開示されている技法を有利に適用することができる。車両100は、前輪150および後輪160上に支持されたトラクタすなわち牽引車両110を備えており、前輪150および後輪160のうちの少なくともいくつかは被駆動車輪である。トラクタ110は、知られている方法における第5の車輪接続によってトレーラ車輪170上に支持された第1のトレーラユニット120を牽引するように構成されている。トレーラ車輪は、通常は被制動車輪であるが、1つまたは複数の車軸上に駆動車輪を備えることも可能である。
【0027】
トラクタ110は、様々な種類の機能を制御するための、すなわち推進、制動および操舵を達成するための車両ユニットコンピュータ(VUC)130を備えている。いくつかのトレーラユニット120は、トレーラ車輪の制動、および時によっては同じくトレーラ車輪推進などのトレーラの様々な機能を制御するためのVUC140をも備えている。VUC130、140は、集中化することも、あるいはいくつかの処理回路にわたって分散させることも可能である。また、車両制御機能の部分は、遠隔で実行することも可能であり、例えば無線リンク180および無線アクセスネットワーク185を介して車両100に接続された遠隔サーバ190上で実行することができる。
【0028】
トラクタ110上のVUC130(および可能性として同じくトレーラ120上のVUC140)は、階層化された機能アーキテクチャに従って編成される車両制御方法を実行するように構成することができ、いくつかの機能は、より高い階層のトラフィック状況管理(TSM)領域に含めることができ、また、いくつかの他の機能は、より低い機能階層に存在している車両運動管理(VMM)領域に含めることができる。TSMは、例えば10秒のタイムホライゾンを使用して運転操作を計画する。この時間フレームは、例えば車両100がカーブを通り抜けるのに要する時間に対応する。TSMによって計画され、かつ、実行される車両処置は、加速度プロファイルおよび曲率プロファイルと結合することができる。TSMは、VMM機能に所望の加速度プロファイルおよび曲率プロファイルを連続的に要求し、VMM機能は、安全で、かつ、頑丈な方法でTSMからの要求に合致するために力割当てを実施する。
【0029】
VMMは、車両の異なるMSDによって起動される車両運動機能を制御するために、約1秒程度のタイムホライゾンを使用して動作し、かつ、加速度プロファイルおよび曲率プロファイルを制御コマンドに連続的に変換する。車両が運動中である場合、VMMは運動予測を実施し、すなわちしばしばMSDに関連して車両上に配置された様々なセンサを使用した監視操作による車両組合せにおける異なるユニットの位置、速度、加速度、アーティキュレーション角度を決定する。例えば全地球測位システム、レーダーセンサおよび/またはライダーセンサを使用して、例えば車両ユニット運動を決定し、かつ、この車両ユニット運動を所与の車輪の局所座標系に変換することにより、車輪基準座標系における車両ユニット運動を、車輪に関連して配置された車輪速度センサから得られたデータに対して比較することによって車輪スリップを正確に予測することが可能になる。図3に関連してより詳細に考察されるタイヤモデルを使用して、所望のタイヤ力と車輪スリップの間で変換することができる。
【0030】
VMMは力生成および協調をさらに管理し、すなわちVMMは、TSMからの要求を遂行し、例えばTSMによって要求された要求加速度プロファイルに従って車両を加速するために、および/または同じくTSMによって要求された、車両による特定の曲率運動を生成するために必要な力を決定する。力は、例えば縦方向の力および横方向の力、ならびに異なるタイプのトルクを含むことができる。
【0031】
トルクを車両の車輪に引き渡すことができるVMMとMSDの間のインタフェースは、従来、VMMから個々のMSDへのトルクに基づく要求に的が絞られてきた。しかしながらその代わりに車輪速度または車輪スリップに基づく要求を使用し、それにより困難なアクチュエータ速度制御ループを、通常はVMMよりはるかに短いサンプル時間で動作するMSDコントローラに移すことによって著しい利点を達成することができる。このようなアーキテクチャは、トルクをベースとする制御インタフェースと比較すると、はるかに良好な外乱除去を提供することができ、また、タイヤと道路の接触面(contact patch)で生成される力の予測可能性を改善することができる。
【0032】
車輪速度(またはスリップ)に基づくインタフェースは多くの利点を有しているが、公衆道路上の車両が満足しなければならない、過度の車輪スリップの防止および車両安定性の損失に関連する厳しい安全要求事項が存在している。VMMに基づく車輪速度またはスリップインタフェースを公衆道路に引き渡すことができる前に、著しい量の試験、検証および文書提示が必要である。
【0033】
したがってこれらの機能が車輪をロックし、および/または望ましくないヨー運動を導入するのを防止することができる「安全網」機能を追加することによって、VMMおよびMSD速度制御ループに対する安全要求事項を少なくすることが望ましい。VMMにおける、速度要求の割振りに関連する既存の通信信号および特殊な考察に対するいくつかの些細な修正を使用して、今日のブレーキシステムに存在している既存のアンチ-ロック制動機能、トラクション制御機能および安定性制御機能を使用してこの安全網を提供することができる。
【0034】
VMMは、当然、車両運動が車両の動作設計領域内を維持するように、すなわち車輪スリップが許容可能な境界内を維持するように、また、任意選択で同じく車両ヨー率が設定された安全レベルを超えないように設計される。しかしながら様々な理由により、VMM機能は、望ましくない車輪挙動を不注意にもたらす制御コマンドを潜在的に生成し得る。これが生じると、安全対策を施して、この予期しない車輪挙動の結果を軽減しなければならない。
【0035】
本開示は、例えば車輪スリップおよび/または車輪回転加速度に関して、許容可能な車輪挙動の範囲を含む能力範囲が画定される技法に関している。車輪挙動が能力範囲によって設定された境界内を維持している限り、VMMは異なるMSDを制御することができる。しかしながら車輪挙動が能力範囲外になると、MSD制御ユニットは、1つまたは複数の制御介入機能をトリガする。
【0036】
過剰な正の車輪スリップに対して、所与の閾値を超える車輪スリップおよび/または大きい正の車輪回転加速度を測定すると、MSD制御ユニットは、タイヤカーブの安定した部分の回復を車輪に許容する試行において、推進デバイスにトルク制限を課すことができる(タイヤカーブについては、以下で図3に関連してより詳細に考察される)。
【0037】
スリップが被駆動車軸の片側でのみ生じる場合、これは、通常、利用可能な摩擦力が道路の一方の側と比較して片側でより大きい分離-ミュー状況を示す。この状況では、ブレーキシステムは、トルク制限を課すことに加えて、スリップしていない車輪にオープンディファレンシャルを介して駆動トルクを伝達するために、回転している車輪にブレーキトルクを提供することも可能である。
【0038】
過剰な負のスリップ(例えばエンジン制動の間、またはドライブライン慣性による)に対して、所与の閾値を超える車輪スリップおよび/または大きい負の車輪回転加速度を測定すると、MSD制御ユニットは、推進ユニットに「ゼロエンジン制動」トルク制限を課すことができる。この制限は、トルク制限信号としてMSD制御ユニットによってブレーキシステムから推進ユニットに通信することができ、あるいは単純に「アンチ-ロック制動アクティブ」信号を送ることによって通信することができ、その場合、推進ユニットには、すべての制動トルクを解放することが要求される。
【0039】
車輪が、例えばギヤをダウンシフトさせることによって車輪ロック状況に近づいた場合、MSD制御ユニットは、いくつかの状況では、車輪スリップをタイヤカーブの安定した領域に戻すために、正のトルクを推進ユニットに要求することができる。
【0040】
電子ブレーキシステム(EBS)などのMSDコントローラによって臨界車輪挙動を取り扱うための上記手法は「使用中に証明され」、また、推進デバイスの応答が極めて遅い場合、すなわち低制御帯域幅を有している場合の合理的な選択を表している。また、上記手法は、推進デバイスに比較的単純な安全要求事項を課し(例えばアンチ-ロック制動信号がアクティブになると、推進デバイスは、必ず制動トルクを解放しなければならない)、これは有利である。
【0041】
関連する能力範囲は、例えばコンピュータシミュレーションによって、あるいは実際的な実験によって決定することができる。また、能力範囲は、いくつかの事例では、アンチ-ロックシステムおよびトラクション制御のためのシステムなどのレガシー安全システムから継承することも可能である。これは、例えばレガシー安全システムが介入したであろう時点を決定し、次に、この操作点に基づいて、恐らくは何らかの追加安全マージンを使用して能力範囲を画定することによって実施することができる。車輪スリップを含む能力範囲については、以下で同じく図3に関連してより詳細に考察される。
【0042】
図2は、提案されている技法を実現することができる車両100の車輪エンドセクションを示したものである。車輪210は、現在の車輪スリップおよび/または車輪加速度などの車輪挙動と関連付けられる。主ブレーキ220は、車輪210を制動するための負のトルクを生成するようになされている。主ブレーキは、例えば図2に概略的に示されているような摩擦ブレーキ、ドラムブレーキ、または負のトルクを生成するように構成された、多くの電気機械に含まれている回生ブレーキを含む任意の他のタイプのブレーキであってもよい。
【0043】
MSD制御ユニット230は、インタフェース235を介してVMM260に通信結合されており、また、主ブレーキインタフェース225を介して主ブレーキ220を制御するように構成されている。この制御は、車輪速度センサ(WS)240から受け取られる、現在の車輪速度などの車輪挙動データによって容易にされる。車輪速度データは、インタフェース245を介して車輪速度センサ240から直接受け取ることができ、あるいはVMM260を介してインタフェース235上で間接的に受け取ることができる。1つまたは複数の車両状態センサ270からの車両状態情報は、車両状態インタフェース275を介して利用することができる。この車両状態情報は、例えば車両速度の正確な予測値を含むことができ、この予測値は、車輪210の座標系に変換されると、以下でより詳細に考察されるように、車輪スリップを正確に決定するために使用することができる。
【0044】
また、VMM260は、図2の例によれば、推進デバイス250を制御するようにもなされている。この推進デバイスは、例えば車輪210を駆動するようになされた、すなわち正のトルクを生成するようになされた電気機械または燃焼機関であってもよい。
【0045】
縦方向の車輪スリップλは、SAE J670 (SAE Vehicle Dynamics Standards Committee January 24, 2008)によれば、
【数1】

として定義することができ、上式でRはメートル単位の有効車輪半径であり、ωは車輪の角速度であり、また、νは車輪の縦方向の速度(車輪の座標系における)である。したがってλは-1と1の間にくくられ、また、道路表面に対して車輪がスリップしている量を定量化している。車輪スリップは、本質的には、車輪と車両の間で測定された速度差である。したがって本明細書において開示される技法は、任意のタイプの車輪スリップ定義で使用するべく適合させることができる。
【0046】
VMM260および任意選択で同じくMSD制御ユニット230は、νに関する情報を維持し(車輪の基準フレームにおける)、一方、車輪速度センサ240、等々を使用してωを決定することができる。
【0047】
特に、以下においては、車輪スリップに対する制限が考察される場合、それは、制限される車輪スリップの大きさまたは絶対値である。すなわち増加した車輪スリップ制限は、より大きい正の許容車輪スリップ、またはより小さい負の許容車輪スリップのいずれかを意味することができる。
【0048】
図3は、車輪スリップの関数としての達成可能タイヤ力を示すグラフである。縦方向の獲得可能タイヤ力Fxは、小さい車輪スリップに対して、ほぼ直線的に増加している部分310を示しており、それに引き続く部分320は、より大きい車輪スリップに対する、より非線形の挙動を示している。獲得可能な横方向のタイヤ力Fyは、比較的小さい縦方向の車輪スリップにおいても急激に小さくなっている。車両動作は線形領域310に維持することが望ましく、この領域では、加えられたブレーキコマンドに応答して獲得可能な縦方向の力は、その予測がより容易であり、また、この領域では、必要に応じて十分な横方向のタイヤ力を生成することができる。この領域における動作を保証するために、例えば0.1程度の車輪スリップ制限λLIMを所与の車輪に課すことができる。
【0049】
このタイプのタイヤモデルは、VMMが使用して、何らかの車輪に所望のタイヤ力を生成することができる。所望のタイヤ力に対応するトルクを要求する代わりに、VMMは、所望のタイヤ力を等価車輪スリップに変換し、所望のタイヤ力の代わりにこのスリップを要求することができる。主な利点は、MSD制御デバイスは、車両速度vおよび車輪回転速度ωを使用して、所望の車輪スリップにおける動作を維持することにより、要求されたトルクをはるかに高い帯域幅で引き渡すことができるようになることである。
【0050】
有効能力範囲は、例えばタイヤ力カーブに対する関係で決定することができる。車輪スリップが0.1未満、すなわち0~0.1の間の範囲内を維持している限り、力協調および総合車両運動管理は比較的容易である。しかしながら車輪スリップがこの範囲を超えると、制御はたちまちはるかに困難になる。
【0051】
図4は、例示的能力範囲400を概略的に示したものである。この特定の能力範囲例は、3つの次元401、402、403を有している。1つの次元は車輪スリップに対応し、別の次元は車輪加速度に対応し、一方、第3の次元は車両ヨー率に対応し得る。本教示によれば、車輪挙動が画定された能力範囲410内を維持している限り、VMMは、インタフェース235、255を介してMSD制御ユニット230および推進デバイス250に送信される制御コマンドによってMSDを制御することができる。しかしながら現在の車輪挙動を画定された能力範囲410外にもたらす何かが予期せずに生じると、MSD制御ユニット230は制御介入機能をトリガする。この制御介入機能は、VMMから受け取った制御コマンドを無効にするMSD機能を含むことができ、あるいはこの制御介入機能は、何らかの外部アービトレータ機能に要求を送信することによって車両制御を要求するMSD制御ユニットを含むことができ、この外部アービトレータ機能は、次に、制御を無効にするための要求を認めるべきか否かを決定する。
【0052】
図2を参照すると、MSD制御ユニット230は、車輪210と結合された1つまたは複数のMSD220、250を制御するように構成されている。1つまたは複数のMSDは、車輪210によって負のトルクを生成するようになされた少なくとも1つの主ブレーキ220、ならびに電気機械および/または燃焼機関などの車輪210によって正および/または負のトルクを生成するようになされた推進ユニット250を備えることができる。MSD制御ユニット230は、1つまたは複数のMSD220、250によって車両運動を制御するための車輪速度要求および/または車輪スリップ要求を含む制御コマンドをVMMユニット260から受け取るために、該VMMユニット260に通信結合235されている。
【0053】
また、本明細書において考察されているMSD制御ユニットは、車輪210以外の他の車輪と結合された、所与の車軸の車輪、またはトレーラユニットの一方の側の車輪、あるいはトレーラユニットのすべての車輪を制御するためのMSDなどの1つまたは複数のMSDを制御するように構成することも可能であることを認識されたい。
【0054】
MSD制御ユニット230は、車輪210の車輪挙動の範囲を示す能力範囲を得るようになされ、VMMユニット260は、制御コマンドによって、上記能力範囲に対して車輪の挙動に影響を及ぼすことができる。この能力範囲は、安全と見なされる車両および車輪の動作レジームを示す。様々な態様によれば、能力範囲は、許容可能な正および/または負の縦方向の車輪スリップに対する上限、許容可能な正および/または負の縦方向の車輪加速度に対する上限、および/または許容可能な正および/または負の車両ヨー率に対する上限のうちのいずれかを含むことができる。能力範囲は、メモリからロードされる、あるいは外部コンフィグレーションエンティティから受け取られるパラメータとして獲得される固定能力範囲、または例えば運転シナリオ、および車両負荷、予測される道路摩擦および他のシナリオパラメータなどの車両状態に応じて連続的に更新される動的能力範囲のいずれかであってもよい。
【0055】
また、当然、許容されるスリップ範囲、加速度範囲およびヨー率範囲は下限をも有することができる。通常、上限は正の値であり、また、下限は負の値である。しかしながら上限および下限の両方が負であり、あるいは上限および下限の両方が正であるシナリオおよび使用事例が同じく存在し得る。
【0056】
MSD制御ユニット230は、例えば車両センサ240によって車輪挙動を監視し、かつ、車輪挙動が能力範囲外であるかどうかを検出するようにさらになされている。この監視は、車輪挙動のサンプルを経時的にフィルタリングすることを含むことができ、その場合、上記検出はフィルタリングの結果に基づくことができる。
【0057】
監視された車輪挙動が能力範囲外になると、MSD制御ユニット230は制御介入機能をトリガする。制御介入機能は、例えば、上で考察したようにMSD220、250のうちの1つまたは複数による介入機能の実行を含むことができる。また、制御介入機能は、外部アービトレータ機能への要求をトリガすることをも含むことができ、外部アービトレータ機能は、MSD制御ユニット230による直接MSD制御のために、VMMまたは何らかの他のVUCモジュールに含めることができる。
【0058】
VMMユニット260は、MSD制御ユニット230に通信結合235され、1つまたは複数のMSD220、250によって車両運動を制御するために、車輪速度要求および/または車輪スリップ要求を含む制御コマンドをMSD制御ユニット230に送信する。
【0059】
VMMユニット260は、上で考察した、車輪210の車輪挙動の範囲を示す能力範囲を得るようになされ、VMMユニット260は、制御コマンドによって、上記能力範囲に対して車輪の挙動に影響を及ぼすことができる。また、VMMユニット260は、車輪挙動が能力範囲内であるように制御コマンドを生成するようにもなされている。
【0060】
いくつかの態様によれば、VMMユニット260は、MSD制御ユニット230による直接MSD制御のための要求を受け取り、かつ、車輪挙動が所定の車輪挙動安全範囲外である場合、車両制御をMSD制御ユニット230に譲るように構成されたアービトレータ機能を含む。このアービトレータ機能は、VMMに車輪挙動の制御を許容すべきかどうか、あるいは例えばアンチ-ロック機能またはトラクション制御機能を実行することによってMSD制御ユニットに割込みおよび引継ぎを許容すべきかどうかを決定する際に、他の要因を考慮するように構成することも可能である。また、VMMユニットは、現在の能力範囲を超えるよう、何らかの車輪またはいくつかの車輪を一時的に制御するために、このアービトレータ機能への要求を生成するようにも構成することも可能である。これは、例えば緊急処置を実行すべき場合がそうであり得る。このような場合、アービトレータ機能は、VMMによる1つまたは複数の車輪の制御を許容して、限られた時間期間の間、車輪挙動を能力範囲外にすることができる。
【0061】
図5は、複数のMSD制御ユニット、230a、230b、230c、230d、230e、230fを制御するようになされたVMM260を有するトラックすなわち牽引車両110を概略的に示したものである。個々のMSD制御ユニットは、それぞれの車輪210a、210b、210c、210d、210e、210fを制御するようになされている。
【0062】
図6は、トレーラ車両120に接続されたトラックすなわち牽引車両110を概略的に示したものである。第1のVMMユニット260aは、制御コマンドをトラック110上のMSD制御ユニットに送信し、一方、第1のVMMユニット260aに対してスレーブモードで動作している第2のVMMユニット260bは、制御コマンドをトレーラユニット120上の車輪と結合されたMSD制御ユニットに送信する。異なるVMMユニット260a、260b間の通信リンク610は、有線接続であることが好ましいが、無線接続を考慮することも可能である。
【0063】
図7は、上記考察のうちの少なくともいくつかを要約した方法を示すフローチャートである。大型車両100による運動を制御するための方法が示されている。方法は、図2に関連して上で例示された車両100上の車輪210と結合された1つまたは複数のMSD220、250を制御するためのMSD制御ユニット230を構成するステップS1を含む。また、方法は、MSD制御ユニット230に送信された制御コマンドを介して、1つまたは複数のMSD220、250によって車両運動管理を実施するためのVMMユニット260を構成するステップS2、および車輪210の車輪挙動の範囲を示す能力範囲を画定するステップS3であって、その能力範囲に対して、VMMユニット260が制御コマンドによって車輪の挙動に影響を及ぼすことができる、ステップS3をも含む。方法は、車輪挙動を監視するステップS4、および監視された車輪挙動が上で考察した画定済み能力範囲外である場合、MSD制御ユニット230による制御介入機能をトリガするステップS5をさらに含む。
【0064】
図8は、本明細書において考察されている実施形態による、VUC130、140、MSD制御ユニット230またはVMMユニット260などの制御ユニット800の構成要素を、多くの機能ユニットの形で概略的に示したものである。この制御ユニット800は、大型車両100を制御するために上で考察した機能のうちの少なくともいくつかを実行するように構成されている。処理回路機構810は、例えば記憶媒体820の形態のコンピュータプログラム製品に記憶されたソフトウェア命令を実行することができる、適切な中央処理装置CPU、多重プロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサDSP、等々のうちの1つまたは複数の任意の組合せを使用して提供される。処理回路機構810は、少なくとも1つの特定用途向け集積回路ASICまたはフィールドプログラマブルゲートアレイFPGAとしてさらに提供することができる。
【0065】
詳細には、処理回路機構810は、図7に関連して考察した方法などの一組の操作すなわちステップを制御ユニット101に実施させるように構成される。例えば記憶媒体820は、上記一組の操作を記憶することができ、また、処理回路機構810は、上記一組の操作を記憶媒体820から検索して、制御ユニット800に上記一組の操作を実施させるように構成することができる。上記一組の操作は、一組の実行可能命令として提供することができる。したがって処理回路機構810は、それにより本明細書において開示されている方法を実行するように構成される。
【0066】
また、記憶媒体820は、持続的な記憶装置をも備えることができ、この持続的な記憶装置は、例えば磁気メモリ、光メモリ、ソリッドステートメモリ、さらには遠隔で取り付けられたメモリのうちの任意の単一の1つまたは組合せであってもよい。
【0067】
制御ユニット800は、少なくとも1つの外部デバイスと通信するためのインタフェース830をさらに備えることができる。したがってインタフェース830は、アナログおよびデジタル構成要素、およびワイヤーラインまたは無線通信のための適切な数のポートを備えた1つまたは複数の送信機および受信機を備えることができる。
【0068】
処理回路機構810は、例えばデータおよび制御信号をインタフェース830および記憶媒体820に送ることによって、データおよびレポートをインタフェース830から受け取ることによって、また、データおよび命令を記憶媒体820から検索することによって制御ユニット800の全体的な動作を制御する。本明細書において提示されている概念を曖昧にしないために、制御ノードの他の構成要素ならびに関連する機能については省略する。
【0069】
図9は、前記プログラム製品がコンピュータ上で走ると、図7に示されている方法を実施するためのプログラムコード手段920を含むコンピュータプログラムを担っているコンピュータ可読媒体910を示したものである。コンピュータ可読媒体およびコード手段は、相俟ってコンピュータプログラム製品900を形成することができる。
【符号の説明】
【0070】
100 例示的車両(大型車両)
101 制御ユニット
110 牽引車両(トラック)、トラクタ
120 トレーラユニット(トレーラ車両)
130 車両ユニットコンピュータ(VUC)
140 VUC
150 前輪
160 後輪
170 トレーラ車輪
180 無線リンク
185 無線アクセスネットワーク
190 遠隔サーバ
210 車輪
210a、210b、210c、210d、210e、210f 車輪
220 主ブレーキ(MSD)
225 主ブレーキインタフェース
230 MSD制御ユニット
230a、230b、230c、230d、230e、230f MSD制御ユニット
235 インタフェース
240 車輪速度センサ(WS)
245 インタフェース
250 推進デバイス(MSD)
255 インタフェース
260 VMM(VMMユニット)
270 車両状態センサ
275 車両状態インタフェース
310 部分、領域
320 部分
400 例示的能力範囲
401、402、403 次元
410 画定された能力範囲
610 通信リンク
S1、S2、S3、S4、S5 ステップ
800 制御ユニット
810 処理回路機構
820 記憶媒体
830 インタフェース
900 コンピュータプログラム製品
910 コンピュータ可読媒体
920 プログラムコード手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-10-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型車両(100)のためのモーションサポートデバイスMSD制御ユニット(230)であって、前記車両(100)上の少なくとも1つの車輪(210)と結合された1つまたは複数のMSD(220、250)を制御するように構成され、
前記MSD制御ユニット(230)は、前記1つまたは複数のMSD(220、250)によって車両運動を制御するための車輪速度要求および/または車輪スリップ要求を含む制御コマンドを車両運動管理VMMユニット(260)から受け取るために、前記VMMユニット(260)に通信結合される(235)ように配置され、
前記MSD制御ユニット(230)は、前記車輪(210)の車輪挙動の範囲を示す能力範囲を得るようになされ、前記VMMユニット(260)は、前記制御コマンドによって、前記能力範囲に対して前記車輪の前記挙動に影響を及ぼすことができ、
前記MSD制御ユニット(230)は、車輪挙動を監視し、かつ、車輪挙動が前記能力範囲外であるかどうかを検出するようになされ、
前記MSD制御ユニット(230)は、前記監視された車輪挙動が前記能力範囲外である場合、制御介入機能をトリガするようになされ、
前記制御介入機能は、前記車輪挙動が前記能力範囲外である場合、前記制御コマンドによって前記VMMユニット(260)が前記車輪の前記挙動に影響を及ぼすのを防止するようになされる、
モーションサポートデバイスMSD制御ユニット(230)。
【請求項2】
前記1つまたは複数のMSDが、前記車輪(210)によって負のトルクを生成するようになされた少なくとも1つの主ブレーキ(220)を備える、請求項1に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項3】
前記1つまたは複数のMSDが、前記車輪(210)によって正および/または負のトルクを生成するようになされた少なくとも1つの推進ユニット(250)を備える、請求項1または2に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項4】
前記能力範囲が、許容可能な正および/または負の縦方向の車輪スリップおよび/または車輪回転速度に対する上限を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項5】
前記能力範囲が、許容可能な正および/または負の縦方向の車輪加速度に対する上限を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項6】
前記能力範囲が、許容可能な正および/または負の車両ヨー率に対する上限を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項7】
前記能力範囲が、許容可能な正および/または負の縦方向の車輪スリップおよび/または車輪回転速度に対する下限を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項8】
前記能力範囲が、許容可能な正および/または負の縦方向の車輪加速度に対する下限を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項9】
前記能力範囲が、許容可能な正および/または負の車両ヨー率に対する下限を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項10】
車輪速度センサ(240)から前記車輪(210)と関連する車輪速度データを受け取り、かつ、前記車輪速度データに基づいて、車輪挙動が前記能力範囲外であるかどうかを検出するようになされた、請求項1から9のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項11】
メモリからロードされる、あるいは外部コンフィグレーションエンティティから受け取られるパラメータとして固定能力範囲を得るようになされた、請求項1から10のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項12】
更新された能力範囲を連続的に得るようになされた、請求項1から10のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項13】
前記制御介入機能が、前記MSD(220、250)のうちの1つまたは複数による介入機能の実行を含む、請求項1から12のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項14】
前記制御介入機能が、前記MSD制御ユニット(230)による直接MSD制御のための外部アービトレータ機能への要求をトリガすることを含む、請求項1から13のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項15】
前記MSD制御ユニット(230)が、車輪挙動のサンプルを経時的にフィルタリングすることによって車輪挙動を監視し、かつ、前記フィルタリングの結果に基づいて車輪挙動が前記能力範囲外であるかどうかを検出するようになされる、請求項1から14のいずれか1項に記載のMSD制御ユニット(230)。
【請求項16】
車両運動管理を実施して、車両(100)上の少なくとも1つの車輪(210)と結合された1つまたは複数のモーションサポートデバイスMSD(220、250)によって大型車両(100)の運動を制御するようになされた車両運動管理VMMユニット(260)であって、
前記VMMユニット(260)は、車輪速度要求および/または車輪スリップ要求を含む制御コマンドをMSD制御ユニット(230)に送信して、前記1つまたは複数のMSD(220、250)によって車両運動を制御するために、前記MSD制御ユニット(230)に通信結合(235)されるように配置され、
前記VMMユニット(260)は、前記車輪(210)の車輪挙動の範囲を示す能力範囲を得るようになされ、前記VMMユニット(260)は、前記制御コマンドによって、前記能力範囲に対して前記車輪の前記挙動に影響を及ぼすことができ、
前記VMMユニット(260)は、前記車輪挙動が前記能力範囲内であるように前記制御コマンドを生成するようになされる、
車両運動管理VMMユニット(260)。
【請求項17】
前記MSD制御ユニット(230)による直接MSD制御のための要求を受け取り、かつ、車輪挙動が所定の車輪挙動安全範囲外である場合、車両制御を前記MSD制御ユニット(230)に譲るように構成されたアービトレータ機能を含む、請求項16に記載のVMMユニット(260)。
【請求項18】
請求項1から15のいずれか1項に記載のモーションサポートデバイスMSD制御ユニット(230)と、請求項16から17のいずれか1項に記載の車両運動管理VMMユニット(260)とを備える車両(100)。
【請求項19】
大型車両(100)による運動を制御するための方法であって、
前記車両(100)上の少なくとも1つの車輪(210)と結合された1つまたは複数のMSD(220、250)を制御するためのモーションサポートデバイスMSD制御ユニット(230)を構成するステップ(S1)と、
前記MSD制御ユニット(230)に送信された制御コマンドを介して、前記1つまたは複数のMSD(220、250)によって車両運動管理を実施するための車両運動管理VMMユニット(260)を構成するステップ(S2)と、
前記車輪(210)の車輪挙動の範囲を示す能力範囲を画定するステップ(S3)であって、前記能力範囲に対して、前記VMMユニット(260)が前記制御コマンドによって前記車輪の前記挙動に影響を及ぼすことができる、ステップ(S3)と、
車輪挙動を監視するステップ(S4)と、
前記監視された車輪挙動が前記画定済み能力範囲外である場合、前記MSD制御ユニット(230)による制御介入機能をトリガするステップ(S5)と
を含み、
前記制御介入機能は、前記車輪挙動が前記能力範囲外である場合、前記制御コマンドによって前記VMMユニット(260)が前記車輪の前記挙動に影響を及ぼすのを防止するようになされる、方法。
【請求項20】
コンピュータプログラム(920)であって、制御ユニット(800)のコンピュータまたは処理回路機構(810)上で走ると、請求項19のステップを実施するためのプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム(920)。
【請求項21】
前記プログラム製品が制御ユニット(800)のコンピュータまたは処理回路機構(810)上で走ると、請求項19のステップを実施するためのプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム(920)を担っているコンピュータ可読媒体(910)。
【外国語明細書】