(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041971
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】吊り具、吊り具用シート
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
A47G29/00 B
A47G29/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139875
(22)【出願日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2020145519
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】503170031
【氏名又は名称】株式会社食環境衛生研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 雄平
(72)【発明者】
【氏名】岸田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 伶
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA02
3K100AD07
3K100AE01
3K100AE07
3K100AE14
3K100AF01
3K100AG07
3K100AH30
3K100AJ05
(57)【要約】
【課題】使い捨てが可能で且つ利便性を向上できる吊り具及び吊り具用シートを提供する。
【解決手段】吊り具31は、一方側の面に剥離可能な粘着部3を備えたシート基材5で形成されており、貼り付け対象物に粘着部3により貼り付けられる貼付部13と、貼付部13に連結され、シート基材5に左右対称な形状に形成された2つの突起部17,19を粘着部3により貼り合わせて形成された、吊り下げ対象物を吊り下げるためのフック部29とを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の面に剥離可能な粘着部を備えたシート基材で形成されており、
貼り付け対象物に前記粘着部により貼り付けられる貼付部と、
前記貼付部に連結され、前記シート基材に左右対称な形状に形成された2つの突起部を結合させて形成された、吊り下げ対象物を吊り下げるためのフック部と、
を有することを特徴とする吊り具。
【請求項2】
前記フック部は、
前記2つの突起部が前記粘着部により貼り合わせて形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の吊り具。
【請求項3】
前記貼付部と前記フック部とを連結する連結部をさらに有し、
前記連結部は、
前記貼付部に対する前記フック部の角度を自在に変更可能な柔軟性を有する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の吊り具。
【請求項4】
前記シート基材は、
前記一方側の面の端部に前記粘着部が設けられていない非粘着部を有しており、
前記貼付部は、
前記シート基材の前記非粘着部を含まない部分で形成されており、
前記フック部は、
前記シート基材の前記非粘着部を含む部分で形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の吊り具。
【請求項5】
前記フック部は、
当該フック部を前記貼付部から吊り下げ支持する支持部を有しており、
前記支持部の長さは前記突起部の長さよりも長い
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の吊り具。
【請求項6】
前記貼付部は、
前記支持部の両側に左右対称な形状に形成された2つの張出部を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の吊り具。
【請求項7】
前記支持部は、
略三角形状の立体構造を備えた基部を有する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の吊り具。
【請求項8】
吊り具を形成するための吊り具用シートであって、
一方側の面に剥離可能な粘着部を備えたシート基材と、
前記シート基材に形成された切り込み部と、を有し、
前記切り込み部は、
貼り付け対象物に前記粘着部により貼り付けられる貼付部と、
前記貼付部に連結され、吊り下げ対象物を吊り下げるためのフック部を形成するためのフック形成部と、を前記シート基材に形成し、
前記フック形成部は、
結合される左右対称な形状の2つの突起部を有する
ことを特徴とする吊り具用シート。
【請求項9】
前記フック形成部は、
前記粘着部により貼り合わされる前記2つの突起部を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の吊り具用シート。
【請求項10】
前記切り込み部は、
第1の前記突起部を形成する第1の切り込み部と、
第2の前記突起部を形成する第2の切り込み部と、を有し、
前記第1の切り込み部の先端と前記第2の切り込み部の先端との間に、前記貼付部と前記フック部とを連結する連結部を形成するための隙間を有する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の吊り具用シート。
【請求項11】
前記シート基材は、
前記一方側の面の端部に前記粘着部が設けられていない非粘着部を有しており、
前記切り込み部は、
前記貼付部を前記シート基材の前記非粘着部を含まない部分に形成し、前記フック形成部を前記シート基材の前記非粘着部を含む部分に形成する
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の吊り具用シート。
【請求項12】
前記フック形成部は、
前記2つの突起部の間に、前記フック部を前記貼付部から吊り下げ支持するための支持部を有しており、
前記支持部の長さは前記突起部の長さよりも長い
ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の吊り具用シート。
【請求項13】
前記貼付部は、
前記支持部の両側に左右対称な形状に形成された2つの張出部を有する
ことを特徴とする請求項12に記載の吊り具用シート。
【請求項14】
前記張出部の先端と前記フック形成部とを破断可能に接続する接続部を有し、
前記切り込み部は、
前記接続部に対応する部位を残すように形成されている
ことを特徴とする請求項13に記載の吊り具用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小物を吊り下げるための吊り具及び吊り具用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、掛け吊り具が記載されている。この掛け吊り具は、先部を板幅方向の一側に鉤折弯曲して掛け又は吊り可能な形状に形成する2枚の剛性細帯板を有しており、当該剛性細帯板が重合して基端が連結ピンにて回動展開自在に連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記掛け吊り具は、固い材料で形成される上に寸法も大きいため、持ち運びや使用の際に嵩張り、使い捨てもできないため不便であるという課題があった。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、使い捨てが可能で且つ利便性を向上できる吊り具及び吊り具用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一の観点によれば、一方側の面に剥離可能な粘着部を備えたシート基材で形成されており、貼り付け対象物に前記粘着部により貼り付けられる貼付部と、前記貼付部に連結され、前記シート基材に左右対称な形状に形成された2つの突起部を結合させて形成された、吊り下げ対象物を吊り下げるためのフック部と、を有する吊り具が適用される。
【0007】
また、本発明の別の観点によれば、吊り具を形成するための吊り具用シートであって、一方側の面に剥離可能な粘着部を備えたシート基材と、前記シート基材に形成された切り込み部と、を有し、前記切り込み部は、貼り付け対象物に前記粘着部により貼り付けられる貼付部と、前記貼付部に連結され、吊り下げ対象物を吊り下げるためのフック部を形成するためのフック形成部と、を前記シート基材に形成し、前記フック形成部は、結合される左右対称な形状の2つの突起部を有する吊り具用シートが適用される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使い捨てが可能で且つ利便性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る吊り具用シートが積層された構成の一例を表す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る吊り具用シートを表面側から見た上面図である。
【
図3】第1実施形態に係る吊り具用シートを裏面側から見た下面図である。
【
図4】第1実施形態に係るを鉛直方向に略平行な面に貼り付けて使用する場合の一例を表す斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る吊り具を水平面と鉛直面が交わる角部に貼り付けて使用する場合の一例を表す斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係る吊り具を曲面に貼り付けて使用する場合の一例を表す斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係る吊り具を物の下側の面に貼り付けて使用する場合の一例を表す斜視図である。
【
図8】吊り下げ対象物の一例としてマスクを吊り下げた場合の一例を表す斜視図である。
【
図9】支持部の長さを突起部長さ以下とする変形例における、吊り具用シートを表面側から見た上面図である。
【
図10】支持部の長さを突起部長さ以下とする変形例における、吊り具を鉛直方向に略平行な面に貼り付けて使用する場合の一例を表す斜視図である。
【
図11】張出部の形状を矩形とする変形例における、吊り具用シートを表面側から見た上面図である。
【
図12】張出部の形状を矩形とする変形例における、吊り具を鉛直方向に略平行な面に貼り付けて使用する場合の一例を表す斜視図である。
【
図13】支持部のない形状とする変形例における、吊り具用シートを表面側から見た上面図である。
【
図14】支持部のない形状とする変形例における、吊り具を鉛直方向に略平行な面に貼り付けて使用する場合の一例を表す斜視図である。
【
図15】第2実施形態に係る吊り具用シートを表面側から見た上面図である。
【
図16】第2実施形態に係る吊り具用シートを裏面側から見た下面図である。
【
図17】第2実施形態に係る一枚の吊り具用シートを積層された複数の吊り具用シートから剥離する様子の一例を表す説明図である。
【
図18】第2実施形態に係る吊り具を鉛直方向に略平行な面に貼り付けて使用する場合の一例を表す斜視図である。
【
図19】吊り下げ対象物の一例としてマスクを吊り下げた場合の一例を表す斜視図である。
【
図20】第2実施形態に係る吊り具を水平面と鉛直面が交わる角部に貼り付けて使用する場合の一例を表す斜視図である。
【
図21】吊り下げ対象物の一例としてマスクを吊り下げた場合の一例を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<1.第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0011】
(1-1.吊り具用シートの構成)
まず、
図1~
図3を用いて、第1実施形態に係る吊り具用シートの構成の一例について説明する。
図1は、第1実施形態に係る吊り具用シートが積層された構成の一例を表す斜視図である。また、
図2は、第1実施形態に係る吊り具用シートを表面側から見た上面図、
図3は、第1実施形態に係る吊り具用シートを裏面側から見た下面図である。
【0012】
吊り具用シートは、後述する吊り具を形成するための紙製のシートである。
図1~
図3に示すように、吊り具用シート1は、一方側の面に剥離可能な粘着部3(
図3参照)を備えた紙製の薄いシート基材5で構成されており、所定の形状の2つの切り込み部7,9が形成されている。
図1に示すように、複数の吊り具用シート1が粘着部3により粘着して積層され、ユーザが非粘着部11(
図1及び
図3参照)をつまんで一枚ずつ剥離して使用することができる。吊り具用シート1としては、例えば付箋(メモを残したり所在を特定するために一時的に書類、書籍、机などに着脱可能に貼り付けられる小さな紙)を使用することができる。
【0013】
図2及び
図3に示すように、吊り具用シート1のシート基材5は、略四角形状(正方形又は長方形のどちらでもよい)に形成されている。
図3に示すように、シート基材5の裏側の面(一方側の面の一例)には、その大部分に粘着及び剥離が可能な粘着部3(
図3においてドットハッチングで示す領域)が設けられている。裏側の面の一方側の端部(
図3に示す例では下方側の端部)は粘着部3が設けられていない非粘着部11となっており、上述のようにユーザが指で把持できるようになっている。
【0014】
図2及び
図3に示すように、シート基材5には2つの切り込み部7,9が形成されている。切り込み部7,9は、シート基材5を2等分する中心線CLに対して略線対称な曲線状の形状に形成されている。切り込み部7,9は、シート基材5の粘着部3が設けられた領域を、厚さ方向に貫通するように形成されている。切り込み部7,9は、シート基材5に貼付部13とフック形成部15を形成する。貼付部13は、切り込み部7,9に対して非粘着部11を含まない側の領域(
図2、
図3における切り込み部7,9よりも上側の領域)であり、貼り付け対象物に粘着部3により貼り付けられる部分である。貼り付け対象物は、例えば壁、棚、机、テーブル、柱等、粘着部3の粘着力により吊り具31(後述の
図4~
図8参照)を貼り付けることが可能な様々な物を含む。また、物体の側面(鉛直方向に略平行な面)に限られず、物体の下側の面(例えばテーブル、イス、机の下側の面等)や、物体の角部等も含まれる。また、平坦な物体に限らず、曲面状の物体も含まれる。
【0015】
フック形成部15は、切り込み部7,9に対して非粘着部11を含む側の領域(
図2、
図3における切り込み部7,9よりも下側の領域)であり、貼付部13に連結され、吊り下げ対象物を吊り下げるためのフック部29(後述の
図4~
図8参照)を形成するための部分である。吊り下げ対象物は、例えばマスク、アクセサリ、携帯品、その他小物等、紙製の吊り具31で強度的に吊り下げ可能な様々な物を含む。フック形成部15は、粘着部3により貼り合わされる左右対称な形状の2つの突起部17,19を有する。また、フック形成部15は、2つの突起部17,19の間に、フック部29を貼付部13から吊り下げ支持するための支持部21を有する。
【0016】
切り込み部7(第1の切り込み部の一例)は、突起部17(第1の突起部の一例)を形成する。突起部17は、先端(
図2、
図3における上端)が基端(
図2、
図3における下端)よりも中心線CL側に張り出すように貼付部13側に突出している。切り込み部9(第2の切り込み部の一例)は、突起部19(第2の突起部の一例)を形成する。突起部19は、突起部17と左右対称な形状であり、先端(
図2、
図3における上端)が基端(
図2、
図3における下端)よりも中心線CL側に張り出すように貼付部13側に突出している。切り込み部7の先端と切り込み部9の先端との間には隙間23が形成される。隙間23は、吊り具用シート1により吊り具31が形成された際に、貼付部13とフック部29とを連結する連結部を形成する。以下適宜、隙間23を連結部23ともいう。支持部21は、中心線CLに沿って連結部23に至るまで貼付部13側に突出した部分である。
【0017】
図2に示すように、連結部23の幅W1は、支持部21の基端(
図2、
図3における下端)の幅W2よりも細くなっており、吊り具用シート1により吊り具31が形成された際に、貼付部13に対するフック部29の角度を自在に変更可能な柔軟性を有する。また、支持部21の突出方向(
図2、
図3における上下方向)の長さH1は、突起部17,19の突出方向の長さH2よりも長い。
【0018】
図2及び
図3に示すように、貼付部13は、支持部21の両側に左右対称な形状に形成された2つの張出部25,27を有する。張出部25は、切り込み部7により形成される。張出部25は、先端(
図2、
図3における下端)が基端(
図2、
図3における上端)よりも中心線CLから離れるようにフック形成部15側に突出している。張出部27は、切り込み部9により形成される。張出部27は、張出部25と左右対称な形状であり、先端(
図2、
図3における下端)が基端(
図2、
図3における上端)よりも中心線CLから離れるようにフック形成部15側に突出している。シート基材5に張出部25,27が形成されることで、フック形成部15側には、突起部17,19と支持部21との間に張出部25,27と同じ形状の凹部がそれぞれ形成されている。
【0019】
(1-2.吊り具の形成方法)
次に、第1実施形態に係る吊り具の形成方法(製造方法)の一例について説明する。まずユーザは、
図1に示すように積層された複数の吊り具用シート1から、非粘着部11をつまんで一枚の吊り具用シート1を剥離する。なお、例えば店舗等で使用する場合には、店員が一枚の吊り具用シート1を剥離してユーザである入店者に配布してもよい。次にユーザは、支持部21を中心線CLに略沿うように折り曲げ、フック形成部15の2つの突起部17,19を粘着部3により貼り合わせる。このとき、突起部17,19の先端位置や輪郭が略一致するように貼り合わせるのが好ましい。また、突起部17,19の裏側の全体を貼り合わせてもよいし、一部を貼り合わせてもよい。一部を貼り合わせる場合には、突起部17,19の少なくとも先端部を貼り合わせるのが好ましい。突起部17,19を粘着部3により貼り合わせることで、フック部29が形成される。このようにして、吊り具31が形成される。その後ユーザは、貼付部13を貼り付け対象物に貼り付け、連結部23の柔軟性を利用してフック部29を適宜可動させ、フック部29に吊り下げ対象物を吊り下げる。このようにして、吊り具31を使用する。
【0020】
(1-3.吊り具の使用形態)
次に、
図4~
図8を用いて、上述のようにして組み立てられた第1実施形態に係る吊り具31の使用形態の具体例について説明する。
【0021】
図4に、吊り具31を鉛直方向に略平行な面33(貼り付け対象物の一例)に貼り付けて使用する場合の一例を示す。面33は、例えば壁や棚の側面等である。なお、面33は鉛直方向に対して傾斜した面でもよい。
図4に示すように、貼付部13が面33に貼り付けられ、フック部29が貼付部13により吊り下げるように支持されている。このとき、貼り合わされた突起部17,19の先端は面33に当接する。ユーザは、連結部23の柔軟性を利用してフック部29の角度を変更することにより、突起部17,19の先端と面33との間に隙間を形成し、フック部29に吊り下げ対象物を吊り下げることができる。前述のように、フック部29は、支持部21の長さH1が突起部17,19の長さH2よりも長くなるように形成されている。これにより、フック部29の開口の向きが水平方向よりも上向きとなり、フック部29に吊り下げた吊り下げ対象物を落下し難くすることができる。さらに、貼り合わされた突起部17,19の先端が面33に当接することにより、フック部29の開口に蓋がされることとなるので、吊り下げ対象物の落下防止効果をさらに高めることができる。したがって、例えば人が傍を通る等により風が吹いた場合でも落下を防止できる。
【0022】
また、貼付部13は、シート基材5の粘着部3を含む部分のみで形成されるので、貼付部13の粘着性を確保できる。特に、貼付部13が張出部25,27を有することにより、粘着部3の面積を増大できるので粘着力を高めることができる。また、2つの張出部25,27がフック部29の支持部21の左右両側で下方に張り出して突っ張ることにより、フック部29に揺れや振動が生じた場合でも貼付部13を剥がれ難くすることができ、吊り具31の貼り付けの安定性を高めることができる。一方で、フック部29は2つの突起部17,19の先端さえ貼り合わされていれば、その他の部分は貼り合わされていなくても、吊り下げ対象物を引っ掛けることができ、フック部29としての機能を果たすことができる。したがって、フック部29をシート基材5の非粘着部11を含む部分で形成しても支障はない。
【0023】
図5に、吊り具31を水平面と鉛直面が交わる角部35(貼り付け対象物の一例)に貼り付けて使用する場合の一例を示す。角部35は、例えばテーブル、イス、机の角等である。
図5に示すように、貼付部13が角部35を含む水平面37と鉛直面39に跨るように貼り付けられ、フック部29が貼付部13により吊り下げるように支持されている。このとき、貼り合わされた突起部17,19の先端は鉛直面39に当接する。ユーザは、連結部23の柔軟性を利用してフック部29の角度を変更することにより、突起部17,19の先端と鉛直面39との間に隙間を形成し、フック部29に吊り下げ対象物を吊り下げることができる。またユーザは、連結部23を角部35に合わせて貼り付けるようにすることで、位置合わせが容易となり、貼り付け作業が容易となる。前述のように、フック部29は、支持部21の長さH1が突起部17,19の長さH2よりも長くなるように形成されている。これにより、フック部29の開口の向きが水平方向よりも上向きとなり、フック部29に吊り下げた吊り下げ対象物を落下し難くすることができる。さらに、貼り合わされた突起部17,19の先端が鉛直面39に当接することにより、フック部29の開口に蓋がされることとなるので、吊り下げ対象物の落下防止効果をさらに高めることができる。したがって、例えば人が傍を通る等により風が吹いた場合でも落下を防止できる。
【0024】
また、貼付部13は、シート基材5の粘着部3を含む部分のみで形成されるので、貼付部13の粘着性を確保できる。特に、貼付部13が張出部25,27を有することにより、粘着部3の面積を増大できるので粘着力を高めることができる。また、2つの張出部25,27がフック部29の支持部21の左右両側で下方に張り出して突っ張ることにより、フック部29に揺れや振動が生じた場合でも貼付部13を剥がれ難くすることができ、吊り具31の貼り付けの安定性を高めることができる。一方で、フック部29は2つの突起部17,19の先端さえ貼り合わされていれば、その他の部分は貼り合わされていなくても、吊り下げ対象物を引っ掛けることができ、フック部29としての機能を果たすことができる。したがって、フック部29をシート基材5の非粘着部11を含む部分で形成しても支障はない。
【0025】
なお、吊り具31は紙製のシートで構成されるため、その柔軟性を利用して、平坦な面だけでなく湾曲した曲面にも貼り付けることができる。
図6にその場合の一例を示す。
図6に示す例では、吊り具31の貼付部13が、例えば円形状のテーブルの角部43(貼り付け対象物の一例)を含む水平面45と曲面47に跨るように貼り付けられている。
【0026】
図7に、吊り具31を物の下側の面49(貼り付け対象物の一例)に貼り付けて使用する場合の一例を示す。面49は、例えばテーブル、机、イスの下面等である。
図7に示すように、貼付部13が面49に貼り付けられ、フック部29が貼付部13により吊り下げるように支持されている。フック部29は自重により、開口の向きが鉛直方向略上向きとなる姿勢で吊り下げられる。これにより、フック部29に吊り下げた吊り下げ対象物を落下し難くすることができる。ユーザは、連結部23の柔軟性を利用してフック部29の角度を自在に変更しながら、フック部29に吊り下げ対象物を吊り下げることができる。
【0027】
また、貼付部13は、シート基材5の粘着部3を含む部分のみで形成されるので、貼付部13の粘着性を確保できる。特に、貼付部13が張出部25,27を有することにより、粘着部3の面積を増大できるので粘着力を高めることができる。また、2つの張出部25,27がフック部29の支持部21の左右両側で水平方向に張り出して突っ張ることにより、フック部29に揺れや振動が生じた場合でも貼付部13を剥がれ難くすることができ、吊り具31の貼り付けの安定性を高めることができる。一方で、フック部29は2つの突起部17,19の先端さえ貼り合わされていれば、その他の部分は貼り合わされていなくても、吊り下げ対象物を引っ掛けることができ、フック部29としての機能を果たすことができる。したがって、フック部29をシート基材5の非粘着部11を含む部分で形成しても支障はない。
【0028】
図8に、吊り下げ対象物の一例として、例えばマスク51を吊り下げた場合の一例を示す。
図8は
図7に対応しており、吊り具31を例えばテーブルの下面49に貼り付けた場合を示している。このような使用形態として、例えば次のような場面が考えられる。例えば、飲食店が吊り具用シート1を用意しておき、マスク51を装着した来店者が入店する際に1枚ずつ渡す。来店者(ユーザ)は、渡された吊り具用シート1から吊り具31を形成し、着席したテーブルの下面49に吊り具31を貼り付ける。そして、飲食等する間は、マスク51を吊り具31に吊り下げておく。来店者は、飲食が済み店から出る際に、マスク51を吊り具31から取り外して装着し、吊り具31をテーブルの下面49から剥がす。そして、使用済みの吊り具31として、例えば飲食店の出口に設置されたごみ箱に廃棄する。
【0029】
以上により、ユーザがマスクケース等を所持していなくても、マスク51の置き場所を確保できる。また、マスク51を紐部以外はどこにも接触させることなく保管できるので、マスク51の衛生状態を良好に維持できる。さらに、テーブルの下側にマスク51を保管できるので、飲食物等が載置されるテーブルの上側と隔離でき、飲食物の衛生状態を良好に維持できる。また、マスク51を人目に触れないように保管できるので、例えば化粧が付着したマスク51を他人に見られなくないといったニーズを満たすことができる。さらに、吊り具31を紙製のシート基材で形成するのでコストを抑えることができ、プラスティック等を使用しないので環境に易しい製品とすることができる。
【0030】
なお、吊り具31の貼り付け場所はテーブルの下面に限るものではなく、例えばイスの下面でもよいし、その他にもテーブルやイスの角部、壁、柱、テーブルや棚の側面等でもよい。また、吊り具31により吊り下げる対象物はマスク51に限るものではなく、例えばアクセサリ、携帯品、その他の小物等でもよい。
【0031】
なお、広く一般に使用されている四角形状の全面粘着タイプの付箋を、例えば適宜の位置で単純に折り曲げて壁等に粘着させ、吊り具として使用することも可能である。しかしながら、この場合には折る位置や折る角度をユーザ自身が調整する必要があるため、ユーザにとってストレスとなる。また、ユーザによっては適切な形状の吊り具が形成されない場合も考えられ、その場合にはマスクが落下する可能性がある。さらに、例えば飲食店等での使用場面では、飲食店の店員が吊り具の折り方を説明する必要が生じる等、店員の労力負担が増えてしまう。また、粘着部の露出部分が多いので、意図せぬ粘着やゴミや埃等の余分物の粘着が生じるというデメリットもある。
【0032】
これに対し、本発明によれば、吊り具31を組み立てる際に切り込み部7,9がガイドの役割を果たすので、吊り具用シート1を折る位置や折る角度を調整する等の特段のテクニックを必要とせず、どのようなユーザでも綺麗な形状の吊り具31を組み立てることができる。したがって、マスクの落下を防止できると共に、ユーザのストレスを軽減できる。また、組み立て方の説明も不要であるため、店員の労力負担が増えることもない。さらに、2つの突起部17,19を貼り合わせるので、粘着部3の露出部分が少なくなり、意図せぬ粘着やゴミや埃等の余分物の粘着を抑制できる。
【0033】
また、従来の飲食店等におけるマスクの保管形態として、例えば飲食店側が来店者にビニール袋を渡し、来店者は飲食等する間ビニール袋にマスクを入れておく、という場合がある。この場合、ビニール袋内でマスクは裏表関係なく動くことになるので、例えばマスクの表側が接触したビニールの内面にマスクの内側が接触する等、衛生上の問題がある。また、来店者はそのように保管されたマスクを装着することになるので、気分的にも良くない。これに対し、本発明によれば、マスクを紐部以外はどこにも接触させることなく保管できるので、衛生上の問題を解決でき、来店者の気分も向上できる。
【0034】
(1-4.第1実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態の吊り具31は、一方側の面に剥離可能な粘着部3を備えた紙製のシート基材5で形成されており、貼り付け対象物に粘着部3により貼り付けられる貼付部13と、貼付部13に連結され、シート基材5に左右対称な形状に形成された2つの突起部17,19を粘着部3により貼り合わせて形成された、吊り下げ対象物を吊り下げるためのフック部29と、を有する。
【0035】
本実施形態の吊り具31は、貼付部13を貼り付け対象物に貼り付け、フック部29に吊り下げ対象物を吊り下げて使用する。吊り具31は、紙製の薄いシート基材5で形成されているため柔軟性を有し、且つ、貼り付け対象物に対して着脱することが可能である。これにより、使用する場所が限定されることがなく、例えば、鉛直方向の面、水平面と鉛直面が交わる角部、物の下側の面、平坦な面だけでなく湾曲した曲面など、様々な場所で使用することができる。また、使用中に場所を変えたり、使用後は剥がして使い捨てとすることができる。さらに、柔軟で小型化が可能であるため、持ち運びや使用が極めて容易である。したがって、利便性を向上できる。また、紙製のシート基材5で形成するのでコストを抑えることができ、プラスティック等を使用しないので環境に易しい製品とすることができる。さらに、2つの突起部17,19を貼り合わせるので、粘着部3の露出部分が少なくなる。これにより、意図せぬ粘着やゴミや埃等の余分物の粘着を抑制できる。
【0036】
また、本実施形態では特に、吊り具31は、貼付部13とフック部29とを連結する連結部23をさらに有し、連結部23は、貼付部13に対するフック部29の角度を自在に変更可能な柔軟性を有する。
【0037】
これにより、貼付部13をどのような場所に貼り付けた場合でも(言い換えると吊り具31がどのような姿勢で使用される場合でも)、ユーザはフック部29の角度を自在に変更することができ、吊り下げ対象物のフック部29への引っ掛けや取り外しを容易に行うことができる。
【0038】
また、本実施形態では特に、シート基材5は、一方側の面の端部に粘着部3が設けられていない非粘着部11を有しており、貼付部13は、シート基材5の非粘着部11を含まない部分で形成されており、フック部29は、シート基材5の非粘着部11を含む部分で形成されている。
【0039】
これにより、複数のシート基材5を粘着して積層させ、ユーザが非粘着部11をつまんで一枚ずつ剥離して使用可能な構成とすることができる。また、この場合において、貼付部13をシート基材5の非粘着部11を含まない部分で形成することにより、貼付部13をシート基材5の粘着部3を含む部分のみで形成することができるので、貼付部13の粘着性を確保できる。一方で、フック部29は2つの突起部17,19の先端さえ貼り合わされていれば、吊り下げ対象物を引っ掛けることができ、フック部29としての機能を果たすことができるので、フック部29をシート基材5の非粘着部11を含む部分で形成しても支障はない。
【0040】
また、本実施形態では特に、フック部29は、当該フック部29を貼付部13から吊り下げ支持する支持部21を有しており、支持部の長さH1は突起部17,19の長さH2よりも長い。
【0041】
これにより、貼付部13をどのような場所に貼り付けた場合でも(言い換えると吊り具31がどのような姿勢で使用される場合でも)、フック部29の開口の向きを水平方向よりも上向きとすることができる。したがって、フック部29に吊り下げた吊り下げ対象物を落下し難くすることができる。
【0042】
また、本実施形態では特に、貼付部13は、支持部21の両側に左右対称な形状に形成された2つの張出部25,27を有する。
【0043】
これにより、貼付部13の粘着部3の面積を増大できるので粘着力を高めることができる。また、2つの張出部25,27がフック部29の支持部21の両側で張り出すことにより、フック部29に揺れや振動が生じた場合でも貼付部13を剥がれ難くすることができ、貼り付けの安定性を高めることができる。また、吊り具31を角部に使用する場合には、連結部23を角部に合わせて貼り付けるようにすることで、位置合わせが容易となり、貼り付け作業が容易となる。
【0044】
また、本実施形態の吊り具用シート1は、一方側の面に剥離可能な粘着部3を備えた紙製のシート基材5と、シート基材5に形成された切り込み部7,9と、を有し、切り込み部7,9は、貼り付け対象物に粘着部3により貼り付けられる貼付部13と、貼付部13に連結され、吊り下げ対象物を吊り下げるためのフック部29を形成するためのフック形成部15と、をシート基材5に形成し、フック形成部15は、粘着部3により貼り合わされる左右対称な形状の2つの突起部17,19を有する。
【0045】
本実施形態の吊り具用シート1は、一方側の面に剥離可能な粘着部3を備えた紙製のシート基材5で構成されている。シート基材5には、切り込み部7,9により、貼付部13とフック形成部15が形成されている。フック形成部15は左右対称な形状の2つの突起部17,19を有しており、これらを粘着部3により貼り合わせることで、フック部29が形成される。これにより、貼付部13を貼り付け対象物に貼り付け、フック部29に吊り下げ対象物を吊り下げて、吊り具31として使用することができる。
【0046】
以上により、広く一般に使用されている付箋を吊り具として使用することが可能となる。その結果、今まではメモや物の所在を特定するための道具であった付箋を、物を吊り下げるための道具(物の保管場所)として使用することが可能となり、付箋に新たな用途を付与することができる。また、吊り具31を組み立てる際に切り込み部7,9がガイドの役割を果たすので、吊り具用シート1を折る位置や折る角度を調整する等の特段のテクニックを必要とせず、どのようなユーザでも綺麗な形状の吊り具31を組み立てることができる。したがって、ユーザのストレスを軽減できる。さらに、2つの突起部17,19を貼り合わせるので、吊り具31が形成された状態では粘着部3の露出部分が少なくなる。これにより、意図せぬ粘着やゴミや埃等の余分物の粘着を抑制できる。
【0047】
また、本実施形態では特に、切り込み部7,9は、突起部17を形成する切り込み部7と、突起部19を形成する切り込み部9と、を有し、切り込み部7の先端と切り込み部9の先端との間に、貼付部13とフック部29とを連結する連結部を形成するための隙間23を有する。
【0048】
これにより、隙間23を細くすることで、貼付部13に対してフック部29の角度を自在に変更可能な柔軟性を連結部23に持たせることができる。その結果、吊り具31を形成して使用する際に、貼付部13をどのような場所に貼り付けた場合でも、ユーザはフック部29の角度を自在に変更することができ、吊り下げ対象物のフック部29への引っ掛けや取り外しを容易に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態では特に、シート基材5は、一方側の面の端部に粘着部3が設けられていない非粘着部11を有しており、切り込み部7,9は、貼付部13をシート基材5の非粘着部11を含まない部分に形成し、フック形成部15をシート基材5の非粘着部11を含む部分に形成する。
【0050】
これにより、複数の吊り具用シート1を粘着して積層させ、ユーザが非粘着部11をつまんで一枚ずつ剥離して使用可能な構成とすることができる。また、貼付部13をシート基材5の非粘着部11を含まない部分で形成することにより、貼付部13をシート基材5の粘着部3を含む部分のみで形成することができるので、貼付部13の粘着性を確保できる。一方で、吊り具31を形成して使用する際に、フック部29は2つの突起部17,19の先端さえ貼り合わされていれば、吊り下げ対象物を引っ掛けることができ、フック部29としての機能を果たすことができるので、フック部29をシート基材5の非粘着部11を含む部分で形成しても支障はない。
【0051】
また、本実施形態では特に、フック形成部15は、2つの突起部17,19の間に、フック部29を貼付部13から吊り下げ支持するための支持部21を有しており、支持部21の長さH1は突起部17,19の長さH2よりも長い。
【0052】
これにより、吊り具31を形成して使用する際に、貼付部13をどのような場所に貼り付けた場合でも(言い換えると吊り具31がどのような姿勢で使用される場合でも)、フック部29の開口の向きを水平方向よりも上向きとすることができる。したがって、フック部29に吊り下げた吊り下げ対象物を落下し難くすることができる。
【0053】
(1-5.第1実施形態の変形例)
なお、開示の第1実施形態は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例について説明する。
【0054】
(1-5-1.支持部の長さを突起部長さ以下とする場合)
上記第1実施形態では、支持部21の突出方向の長さH1が突起部17,19の突出方向の長さH2よりも長い場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、支持部21の長さH1と突起部17,19の長さH2とを略等しくしてもよいし、上記とは反対に、支持部21の長さH1が突起部17,19の長さH2よりも短い構成としてもよい。
【0055】
図9に、支持部21の突出方向(
図9における上下方向)の長さH1を突起部17,19の突出方向の長さH2よりも短くした吊り具用シート1の一例を示す。また
図10に、当該吊り具用シート1を用いて形成した吊り具31を鉛直方向に略平行な面33に貼り付けて使用する場合の一例を示す。本変形例の構造の場合、貼り合わされた突起部17,19の長さが長くなるので、その先端が面33に当接し易くなり、フック部29の開口に蓋がされ易くなる。また、例えば突起部17,19の先端を面33に接着させて固定する等の使用形態の場合に好適である。
【0056】
(1-5-2.張出部の形状を矩形とする場合)
上記第1実施形態では、切り込み部7,9を曲線状に形成し、張出部25,27の形状を、先端が基端よりも中心線CLから離れるように湾曲した形状としたが、これに限定されるものではない。例えば、切り込み部7,9はその全部又は一部が直線状に形成されてもよいし、張出部25,27の形状を矩形状としてもよい。
【0057】
図11に、本変形例の吊り具用シート1の一例を示す。
図11に示す例では、切り込み部7,9における張出部25,27の輪郭を形成する部分が直線状に形成されており、張出部25,27が中心線CLと略平行な矩形状に形成されている。また
図12に、当該吊り具用シート1を用いて形成した吊り具31を鉛直方向に略平行な面33に貼り付けて使用する場合の一例を示す。本変形例の構造においても、上記第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0058】
なお、図示は省略するが、切り込み部7,9の全部を直線状(直線が途中で折れ曲がった形状)に形成してもよい。また、矩形状の張出部25,27を先端が基端よりも中心線CLから離れるように形成してもよい。
【0059】
(1-5-3.支持部のない形状とする場合)
上記第1実施形態では、フック形成部15が、2つの突起部17,19の間に支持部21を有する構成としたが、これに限定されるものではなく、フック形成部15が支持部21を有しない形状としてもよい。
【0060】
図13に、本変形例の吊り具用シート1の一例を示す。
図13に示す例では、貼付部13は、フック形成部15側に突出した1つの幅広の張出部41を有する。張出部41の下端は左右方向に所定の長さだけ突出しており、これにより突起部17,19には矩形状の凹部53が形成されている。なお、凹部53を円弧状に形成してもよい。
【0061】
図14に、当該吊り具用シート1を用いて形成した吊り具31を鉛直方向に略平行な面33に貼り付けて使用する場合の一例を示す。
図14に示すように、吊り具31はフック部29に形成された凹部53を用いて吊り下げ対象物を吊り下げることができる。
【0062】
(1-5-4.その他)
以上では、吊り具用シート1の形状が略四角形である場合について説明したが、これに限定されるものではない。吊り具用シート1の形状は、例えば円形、楕円形、四角形以外の多角形(三角形や六角形等)等でもよく、さらには、文字、記号、デザイン、キャラクタ等の形状としてもよい。
【0063】
また以上では、貼付部13がシート基材5の非粘着部11を含まない部分で形成されており、フック部29がシート基材5の非粘着部11を含む部分で形成されている場合について説明したが、反対に、フック部29がシート基材5の非粘着部11を含まない部分で形成されており、貼付部13がシート基材5の非粘着部11を含む部分で形成されてもよい。
【0064】
また以上では、シート基材5に非粘着部11が設けられた場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、裏側の面の全部に粘着部3が設けられたシート基材を使用してもよい。
【0065】
また以上では、2つの突起部17,19を粘着部3により貼り合わせる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、突起部17,19を当該突起部17,19に形成した切り込みを用いて結合させたり、ホッチキス等の結合具を用いて結合させることで、フック部29を形成してもよい。この場合には、全面粘着タイプのシート基材5の他、部分粘着タイプのシート基材5、すなわち貼付部13の一部(例えば
図2、
図3における上端部)のみに粘着部3が設けられ、貼付部13の残りの部分とフック形成部15が非粘着部11であるシート基材5を使用してもよい。
【0066】
また以上では、切り込み部7,9が曲線状である場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、切り込み部7,9を直線状又は折れ線状に形成し、突起部17,19や張出部25,27を多角形状(例えば長方形や三角形等)に形成してもよい。
【0067】
また以上では、吊り下げ対象物の一例としてマスク51やアクセサリ、携帯品、その他小物等を吊り下げる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、シート基材5の厚みを厚くしたり紙質や材料を調整する等により、吊り具31の剛性や強度、粘着部3の粘着力を高めることにより、より重量のある吊り下げ対象物を吊り下げることも可能となる。
【0068】
また以上では、シート基材5の素材が紙である場合について説明したが、紙以外にも、例えばフィルム等の素材からなるシート基材を用いてもよい。
【0069】
<2.第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0070】
(2-1.吊り具用シートの構成)
まず、
図15~
図17を用いて、第2実施形態に係る吊り具用シートの構成の一例について説明する。
図15は、第2実施形態に係る吊り具用シートを表面側から見た上面図、
図16は、第2実施形態に係る吊り具用シートを裏面側から見た下面図である。
図17は、第2実施形態に係る一枚の吊り具用シートを積層された複数の吊り具用シートから剥離する様子の一例を表す説明図である。
【0071】
吊り具用シートは、後述する吊り具を形成するための紙製のシートである。
図15~
図17に示すように、吊り具用シート100は、一方側の面に剥離可能な粘着部103(
図16参照)を備えた紙製の薄いシート基材105で構成されており、所定の形状の2つの切り込み部107,109が形成されている。複数の吊り具用シート100が粘着部103により粘着して積層され、ユーザが非粘着部111(
図16及び
図17参照)をつまんで一枚ずつ剥離して使用することができる。
【0072】
図15及び
図16に示すように、吊り具用シート100のシート基材105は、略四角形状(正方形又は長方形のどちらでもよい)に形成されている。
図16に示すように、シート基材105の裏側の面(一方側の面の一例)には、その一部に粘着及び剥離が可能な粘着部103(
図16においてドットハッチングで示す領域)が設けられている。裏側の面の一方側の端部(
図16に示す例では下方側の端部)は粘着部103が設けられていない非粘着部111となっており、上述のようにユーザが指で把持できるようになっている。
【0073】
図15及び
図16に示すように、シート基材105には2つの切り込み部107,109が形成されている。切り込み部107,109は、シート基材105を2等分する中心線CLに対して略線対称な曲線状の形状に形成されている。切り込み部107,109の曲線形状は、吊り下げ対象物(例えばマスク)をかけた際の掛けやすさや負荷から割り出された形状となっている。なお、切り込み部107,109は必ずしも曲線である必要はなく、直線状に形成されてもよい。また、切り込み部107,109は、後述する張出部125,127の先端部(フック部129の凹部)がR形状となるように形成されている。
【0074】
切り込み部107,109は、シート基材105の粘着部103が設けられた領域を、厚さ方向に貫通するように形成されている。切り込み部107,109は、シート基材105に貼付部113とフック形成部115を形成する。貼付部113は、切り込み部107,109に対して非粘着部111を含まない側の領域(
図15、
図16における切り込み部107,109よりも上側の領域)であり、貼り付け対象物に粘着部103により貼り付けられる部分である。貼り付け対象物は、例えば壁、棚、机、テーブル、柱等、粘着部103の粘着力により吊り具131(後述の
図18~
図21参照)を貼り付けることが可能な様々な物を含む。また、物体の側面(鉛直方向に略平行な面)に限られず、物体の下側の面(例えばテーブル、イス、机の下側の面等)や、物体の角部等も含まれる。また、平坦な物体に限らず、曲面状の物体も含まれる。
【0075】
フック形成部115は、切り込み部107,109に対して非粘着部111を含む側の領域(
図15、
図16における切り込み部107,109よりも下側の領域)であり、貼付部113に連結され、吊り下げ対象物を吊り下げるためのフック部129(後述の
図18~
図21参照)を形成するための部分である。吊り下げ対象物は、例えばマスク、アクセサリ、携帯品、その他小物等、紙製の吊り具131で強度的に吊り下げ可能な様々な物を含む。フック形成部115は、粘着部103により貼り合わされる左右対称な形状の2つの突起部117,119を有する。また、フック形成部115は、2つの突起部117,119の間に、フック部129を貼付部113から吊り下げ支持するための支持部121を有する。
【0076】
切り込み部107(第1の切り込み部の一例)は、突起部117(第1の突起部の一例)を形成する。突起部117は、先端(
図15、
図16における上端)が基端(
図15、
図16における下端)よりも細くなり、中心線CLとは反対側に拡がるように貼付部113側に突出している。切り込み部109(第2の切り込み部の一例)は、突起部119(第2の突起部の一例)を形成する。突起部119は、突起部117と左右対称な形状であり、先端(
図15、
図16における上端)が基端(
図15、
図16における下端)よりも細くなり、中心線CLとは反対側に拡がるように貼付部113側に突出している。切り込み部107の先端と切り込み部109の先端との間には隙間123が形成される。隙間123は、吊り具用シート100により吊り具131が形成された際に、貼付部113とフック部129とを連結する連結部を形成する。以下適宜、隙間123を連結部123ともいう。支持部121は、中心線CLに沿って連結部123に至るまで貼付部113側に突出した部分である。
【0077】
図15に示すように、連結部123の幅W1は、支持部121の基端(
図15、
図16における下端)の幅W2よりも細くなっており、吊り具用シート100により吊り具131が形成された際に、貼付部113に対するフック部129の角度を自在に変更可能な柔軟性を有する。また、支持部121の突出方向(
図15、
図16における上下方向)の長さH1は、突起部117,119の突出方向の長さH2よりも長い。
【0078】
図15及び
図16に示すように、貼付部113は、支持部121の両側に左右対称な形状に形成された2つの張出部125,127を有する。張出部125は、切り込み部107により形成される。張出部125は、先端(
図15、
図16における下端)が基端(
図15、
図16における上端)よりも細くなり、先端がR形状となるようにフック形成部115側に突出している。張出部127は、切り込み部109により形成される。張出部127は、張出部125と左右対称な形状であり、先端(
図15、
図16における下端)が基端(
図15、
図16における上端)よりも細くなり、先端がR形状となるようにフック形成部115側に突出している。シート基材105に張出部125,127が形成されることで、フック形成部115側には、突起部117,119と支持部121との間に張出部125,127と同じ形状(底部がR形状)の凹部がそれぞれ形成されている。
【0079】
図15及び
図16に示すように、シート基材105は、張出部125,127の各々の先端とフック形成部115とを破断可能に接続する2つの接続部128,130を有する。接続部128,130は、切り込み部107,109が当該接続部128,130に対応する部位を残すように切り込まれることで、形成されている。言い換えると、切り込み部107,109が接続部128,130に対応する部位に形成されないことで、接続部128,130において張出部125,127の各々の先端とフック形成部115とが接続されている。接続部128,130は、ユーザが指で容易に破断できるように、微小な面積を有するように形成されている。
【0080】
図17に示すように、一枚の吊り具用シート100を積層された複数の吊り具用シート(図示省略)から剥離する際には、ユーザが指(図示省略)で非粘着部111を把持して持ち上げる。仮に、接続部128,130が設けられていない場合、張出部125,127は粘着部103により下部の吊り具用シート100に貼り付いた状態となり、非粘着部111を含むフック形成部115だけが持ち上がることになる。この場合、吊り具用シート100の剥離を進めると連結部123への負荷が大きくなり、切り込み部107,109の先端に破れが生じ、連結部123の破損等を招く可能性がある。本実施形態の吊り具用シート100では、ユーザが指(図示省略)で非粘着部111を把持してフック形成部115を持ち上げると、接続部128,130により張出部125,127も一緒に持ち上げられてバランス良く剥離される。これにより、連結部123の破損等を生じることなく吊り具用シート100を容易且つ円滑に剥離することができる。また、接続部128,130を2つの張出部125,127の頂点の2箇所のみに設けることにより、接続部の数を最小限に抑えることができる。これにより、吊り具131を形成する際に接続部128,130を破断するユーザの手間を最低限に抑えることができる。
【0081】
(2-2.吊り具の形成方法)
次に、第2実施形態に係る吊り具の形成方法(製造方法)の一例について説明する。まずユーザは、積層された複数の吊り具用シート100から、
図17に示すように非粘着部111をつまんで一枚の吊り具用シート100を剥離する。次にユーザは、張出部125又は張出部127の先端とフック形成部115とを指で把持し、2箇所の接続部128,130をそれぞれ破断させる。次にユーザは、支持部121を中心線CLに略沿うように折り曲げ、フック形成部115の2つの突起部117,119を粘着部103により貼り合わせる。このとき、突起部117,119の先端位置や輪郭が略一致するように貼り合わせるのが好ましい。支持部121を中心線CLに略沿うように折り曲げて粘着部103により貼り合わせることで、支持部121の連結部123側の端部に略三角形状の立体構造を備えた基部132(後述の
図18~
図21参照)が形成される。また、突起部117,119を粘着部103により貼り合わせることで、フック部129が形成される。このようにして、吊り具131が形成される。その後ユーザは、貼付部113を貼り付け対象物に貼り付け、連結部123の柔軟性を利用してフック部129を適宜可動させ、フック部129に吊り下げ対象物を吊り下げる。このようにして、吊り具131を使用する。
【0082】
(2-3.吊り具の使用形態)
次に、
図18~
図21を用いて、上述のようにして組み立てられた第2実施形態に係る吊り具131の使用形態の具体例について説明する。
【0083】
図18及び
図19に、吊り具131を鉛直方向に略平行な面133(貼り付け対象物の一例)に貼り付けて使用する場合の一例を示す。面133は、例えば壁や棚の側面等である。なお、面133は鉛直方向に対して傾斜した面でもよい。
図18に示すように、貼付部113が面133に貼り付けられ、貼付部113によりフック部129が開口を上側に向けて吊り下げるように支持されている。このとき、フック部129は連結部123の柔軟性により自在に角度を変更可能である。また前述のように、支持部121の連結部123側の端部に略三角形状の立体構造(上側が開口した中空の略三角柱構造)を備えた基部132が形成されており、当該基部132の立体構造によりフック部129は貼付部113(面133)に対して所定の傾斜角度で安定的に支持される。これにより、フック部129は開口が真上よりも面133側を向くように傾斜して支持されるので、吊り下げ対象物が落下し難くなる。また、フック部129の揺れや振動を低減できる。したがって、吊り下げ対象物の落下防止効果をさらに高めることができる。また前述のように、フック部129は、支持部121の長さH1が突起部117,119の長さH2よりも長くなるように形成されている。これにより、フック部129の突起部分の突出量が相対的に小さくなり、フック部129に吊り下げ対象物を吊り下げ易くなる。また前述のように、切り込み部107,109は張出部125,127の先端部がR形状となるように形成されており、フック部129の凹部の底部もR形状に形成されている。これにより、吊り下げ対象物(例えばマスク)をフック部129に吊り下げた後取り外す際に、吊り下げ対象物の引っ掛け部(例えばマスクの紐)がフック部129の凹部に引っかかることを防止できる。
【0084】
また、貼付部113は、シート基材105の粘着部103を含む部分のみで形成されるので、貼付部113の粘着性を確保できる。特に、貼付部113が張出部125,127を有することにより、粘着部103の面積を増大できるので粘着力を高めることができる。また、2つの張出部125,127がフック部129の支持部121の左右両側で上方に張り出して引っ張ることにより、フック部129に揺れや振動が生じた場合でも貼付部113を剥がれ難くすることができ、吊り具131の貼り付けの安定性を高めることができる。一方で、フック部129は2つの突起部117,119の先端さえ貼り合わされていれば、その他の部分は貼り合わされていなくても、吊り下げ対象物を引っ掛けることができ、フック部129としての機能を果たすことができる。したがって、フック部129をシート基材105の非粘着部111を含む部分で形成しても支障はない。
【0085】
図19に、吊り下げ対象物の一例として、例えばマスク51を吊り下げた場合の一例を示す。
図19は
図18に対応しており、吊り具131を鉛直方向に略平行な面133に貼り付けた場合を示している。このような使用形態として、例えば次のような場面が考えられる。例えば、ユーザが化粧室で化粧直し等をする場合に、所持又は化粧室に用意された吊り具用シート100から吊り具131を形成し、鏡に吊り具131を貼り付ける。そして、化粧直しをする間は、マスク51を吊り具131に吊り下げておく。ユーザは、化粧直しが済むと、マスク51を吊り具131から取り外して装着し、吊り具131を鏡から剥がす。そして、使用済みの吊り具131を、例えば化粧室に設置されたごみ箱に廃棄する。これにより、ユーザがマスクケース等を所持していなくても、マスク51の置き場所を化粧室に確保できる。また、マスク51を紐部以外はどこにも接触させることなく保管できるので、マスク51の衛生状態を良好に維持できる。さらに、吊り具131を紙製のシート基材で形成するのでコストを抑えることができ、プラスティック等を使用しないので環境に易しい製品とすることができる。
【0086】
図20に、吊り具131を水平面と鉛直面が交わる角部135(貼り付け対象物の一例)に貼り付けて使用する場合の一例を示す。角部135は、例えばテーブル、イス、机の角等である。
図20に示すように、貼付部113が角部135を含む水平面137と鉛直面139に跨るように貼り付けられ、貼付部113によりフック部129が開口を上側に向けて吊り下げるように支持されている。このとき、フック部129は連結部123の柔軟性により自在に角度を変更可能である。また前述のように、支持部121の連結部123側の端部に略三角形状の立体構造(上側が開口した中空の略三角柱構造)を備えた基部132が形成されており、当該基部132の立体構造によりフック部129は貼付部113(鉛直面139)に対して所定の傾斜角度で安定的に支持される。これにより、フック部129は開口が真上よりも鉛直面139側を向くように傾斜して支持されるので、吊り下げ対象物が落下し難くなる。また、フック部129の揺れや振動を低減できる。したがって、吊り下げ対象物の落下防止効果をさらに高めることができる。またユーザは、連結部123を角部135に合わせて貼り付けるようにすることで、位置合わせが容易となり、貼り付け作業が容易となる。また前述のように、フック部129は、支持部121の長さH1が突起部117,119の長さH2よりも長くなるように形成されている。これにより、フック部129の突起部分の突出量が相対的に小さくなり、フック部129に吊り下げ対象物を吊り下げ易くなる。また前述のように、切り込み部107,109は張出部125,127の先端部がR形状となるように形成されており、フック部129の凹部の底部もR形状に形成されている。これにより、吊り下げ対象物(例えばマスク)をフック部129に吊り下げた後取り外す際に、吊り下げ対象物の引っ掛け部(例えばマスクの紐)がフック部129の凹部に引っかかることを防止できる。
【0087】
また、貼付部113は、シート基材105の粘着部103を含む部分のみで形成されるので、貼付部113の粘着性を確保できる。特に、貼付部113が張出部125,127を有することにより、粘着部103の面積を増大できるので粘着力を高めることができる。また、2つの張出部125,127がフック部129の支持部121の左右両側で水平面137に沿って水平方向に張り出して引っ張ることにより、フック部129に揺れや振動が生じた場合でも貼付部113を剥がれ難くすることができ、吊り具131の貼り付けの安定性を高めることができる。一方で、フック部129は2つの突起部117,119の先端さえ貼り合わされていれば、その他の部分は貼り合わされていなくても、吊り下げ対象物を引っ掛けることができ、フック部129としての機能を果たすことができる。したがって、フック部129をシート基材105の非粘着部111を含む部分で形成しても支障はない。
【0088】
図21に、吊り下げ対象物の一例として、例えばマスク51を吊り下げた場合の一例を示す。
図21は
図20に対応しており、吊り具131を角部135を含む水平面137と鉛直面139に跨るように貼り付けた場合を示している。このような使用形態として、例えば次のような場面が考えられる。例えば、ユーザがオフィスに出勤し、ランチタイムや休憩時等にデスクで飲食をする場合等に、所持又はオフィスに用意された吊り具用シート100から吊り具131を形成し、デスクの角に吊り具131を貼り付ける。そして、飲食をする間は、マスク51を吊り具131に吊り下げておく。ユーザは、飲食が済むと、マスク51を吊り具131から取り外して装着する。そして、例えばオフィスから退勤する際に、吊り具131をデスクから剥がし、使用済みの吊り具131を例えばオフィスに設置されたごみ箱に廃棄する。これにより、ユーザがマスクケース等を所持していなくても、マスク51の置き場所をデスクに確保できる。また、マスク51を紐部以外はどこにも接触させることなく保管できるので、マスク51の衛生状態を良好に維持できる。さらに、吊り具131を紙製のシート基材で形成するのでコストを抑えることができ、プラスティック等を使用しないので環境に易しい製品とすることができる。
【0089】
(2-4.第2実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態の吊り具131は、支持部121に、略三角形状の立体構造を備えた基部132を有する。基部132の立体構造により、フック部129は貼り付け対象物に対して所定の傾斜角度で安定的に支持される。これにより、フック部129は開口が真上よりも貼り付け対象物側を向くように傾斜して支持されるので、吊り下げ対象物が落下し難くなる。また、フック部129の揺れや振動を低減できる。したがって、吊り下げ対象物の落下防止効果をさらに高めることができる。
【0090】
また、本実施形態では特に、シート基材105は、張出部125,127の先端とフック形成部115とを破断可能に接続する接続部128,130を有し、切り込み部107,109は、接続部128,130に対応する部位を残すように形成されている。これにより、積層された複数の吊り具用シート100から一枚の吊り具用シート100を剥離する際に、ユーザが指で非粘着部111を把持してフック形成部115を持ち上げると、接続部128,130により張出部125,127も一緒に持ち上げられ、バランス良く剥離することができる。その結果、連結部123の破損等を生じることなく吊り具用シート100を容易且つ円滑に剥離することができる。また、接続部128,130を2つの張出部125,127の頂点の2箇所のみに設けることにより、接続部の数を最小限に抑えることができる。これにより、吊り具131を形成する際に接続部128,130を破断するユーザの労力を最低限に抑えることができる。
【0091】
(2-5.第2実施形態の変形例)
なお、開示の第2実施形態は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。例えば、説明は省略するが、前述した第1実施形態の変形例を第2実施形態に適用してもよい。
【0092】
なお、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」という意味である。
【0093】
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさ、形状、位置等が「同一」「同じ」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「同じ」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に同じ」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0094】
また、以上既に述べた以外にも、上述した各実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。その他、一々例示はしないが、各実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0095】
1 吊り具用シート
3 粘着部
5 シート基材
7 切り込み部
9 切り込み部
11 非粘着部
13 貼付部
15 フック形成部
17 突起部
19 突起部
23 隙間、連結部
29 フック部
31 吊り具
100 吊り具用シート
103 粘着部
105 シート基材
107 切り込み部
109 切り込み部
111 非粘着部
113 貼付部
115 フック形成部
117 突起部
119 突起部
123 隙間、連結部
128 接続部
129 フック部
130 接続部
131 吊り具
132 基部