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特開2022-41983モジュール式安全スイッチ装置をコンフィギュレーションするための方法
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  • 特開-モジュール式安全スイッチ装置をコンフィギュレーションするための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041983
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】モジュール式安全スイッチ装置をコンフィギュレーションするための方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/042 20060101AFI20220304BHJP
   G05B 9/02 20060101ALI20220304BHJP
【FI】
G05B19/042
G05B9/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021140381
(22)【出願日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】10 2020 122 874.0
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】518050263
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Pilz GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】バウクネヒト,ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ロッツィンゲル,フロリアン
【テーマコード(参考)】
5H209
5H220
【Fターム(参考)】
5H209DD06
5H209GG06
5H209HH21
5H209JJ01
5H209JJ05
5H220BB07
5H220CC05
5H220CX01
5H220CX05
5H220JJ02
5H220JJ06
5H220JJ12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の電子モジュールを備えたモジュール式安全スイッチ装置をコンフィギュレーションするための方法を提供する。
【解決手段】モジュール式安全スイッチ装置のコンフィギュレーションデータレコードをデータベースから選択し、コンフィギュレーションデータセットを演算装置(101)に送信し、コンフィギュレーションデータレコードが、コンピュータプログラムによって、コンフィギュレーションデータセットからモジュール式安全スイッチ装置1および電子モジュール(10.1~10.5)の目標コンフィギュレーションが生成されるように、処理する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのモジュール列(200)に配置された複数の電子モジュール(10.1~10.5)を有するモジュール式安全スイッチ装置(1)をコンフィギュレーションするための方法であって、
A)コンフィギュレーションデータベース(103)に検索可能に格納されている複数のコンフィギュレーションデータセットから、モジュール式安全スイッチ装置(1)のコンフィギュレーションデータセットを選択し、コンフィギュレーションデータセットを演算装置(101)に送信し、コンフィギュレーションデータセットが、演算装置(101)によって実行されるコンピュータプログラムによって、コンフィギュレーションデータセットからモジュール式安全スイッチ装置(1)および電子モジュール(10.1~10.5)の目標コンフィギュレーションが生成されるように、処理される工程と、
B)モジュール式安全スイッチ装置(1)および電子モジュール(10.1~10.5)の目標コンフィギュレーションを表示装置(102)に表示する工程と、
C)電子モジュール(10.1~10.5)の1つを、モジュール列(200)のモジュールスロットの1つに挿入する工程と、
D)電子モジュール(10.1~10.5)の1つまたは複数のロータリスイッチ(11.1~11.9)のロータリスイッチの位置を設定する工程と、
E)演算装置(101)によって実行されるコンピュータプログラムを用いて、工程C)およびD)に従ってコンフィギュレーションされた電子モジュール(10.1~10.5)の実際のコンフィギュレーションを決定する工程と、
F)演算装置(101)によって実行されるコンピュータプログラムを用いて、電子モジュール(10.1~10.5)の実際のコンフィギュレーションを目標コンフィギュレーションと比較する工程と、
G)電子モジュール(10.1~10.5)の実際のコンフィギュレーションと目標コンフィギュレーションとの間に不一致があるかどうかを示し、不一致がある場合、電子モジュール(10.1~10.5)がモジュール列(200)の誤ったモジュールスロットに差し込まれている場合は工程C)、E)~G)を繰り返し、ロータリスイッチの位置が誤って設定されている場合は工程D)~G)を繰り返す工程と、
H)モジュール式安全スイッチ装置(1)のさらに他の電子モジュール(10.1~10.5)について、工程C)~G)を繰り返す工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
電子モジュール(10.1~10.5)の実際のコンフィギュレーションと目標のコンフィギュレーションとの間に偏差があるかどうかを示すだけでなく、工程E)~F)がリアルタイムで実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
表示装置(102)にモジュール式安全スイッチ装置(1)および電子モジュール(10.1~10.5)の目標コンフィギュレーションを表示する工程が、電子モジュール(10.1~10.5)の配線のための配線図を表示することを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
配線図は、演算装置(101)によって実行されるコンピュータプログラムによって設定されたコンフィギュレーションデータに基づいて生成されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
配線図は、コンフィギュレーションデータベース(103)に格納され、関連するコンフィギュレーションデータセットにリンクされ、演算装置(101)によって読み出されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
モジュール式安全スイッチ装置(1)の中央制御モジュールが、第1電子モジュール(10.1)としてモジュール列(200)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第1電子モジュール(10.1)によって、組み立て中に残りの電子モジュール(10.2~10.5)がモジュール列(200)のどのモジュールスロットに差し込まれているか、また関連する電子モジュール(10.2~10.5)のロータリスイッチ(11.2~11.9)がどの位置にあるかが確認され、この情報は第1電子モジュール(10.1)から演算装置(101)に送信されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
電子モジュール(10.1~10.5)の1つまたは複数のライトユニット、好ましくは1つまたは複数の発光ダイオード(12.1,12.2,12.3)の自動起動が、電子モジュール(10.1~10.5)が正しいモジュールスロットに挿入されたかどうかを示すことを特徴とする、請求項1~7の1つに記載の方法。
【請求項9】
ライトユニットの自動起動により、電子モジュール(10.1~10.5)のロータリスイッチ(11.1~11.9)の位置が正しく設定されているかどうかが示されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
電子モジュール(10.1~10.5)のシリアル番号が読み出され、演算装置(101)の不揮発性メモリ手段またはコンフィギュレーションデータベース(103)に格納されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール式安全スイッチ装置をコンフィギュレーションするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モジュール式安全スイッチは、従来から様々な実施形態で知られている。それらは、特に、危険な状況が発生したときに、技術設備または機械を、人にとって危険でない状態に安全に移行させる目的のために役立つ。この目的のために、たとえば、緊急停止スイッチ、非常停止スイッチ、ライトグリッド、ライトカーテン、安全マット、安全柵位置スイッチ、3Dレーザースキャナなどであり得る信号送信機からの対応する信号が入力側で受信され、安全評価される。出力側では、出力回路の1以上の安全出力接点が制御される。これらの出力接点を介して、危険な状況が発生した場合、接触器またはバルブなどのアクチュエータは、接続されている機械や技術設備が人にとって危険でない状態になるように制御される。
【0003】
このような安全スイッチ装置は、少なくとも1つのモジュール列に配設された、特定の機能を持つ複数の電子モジュールを含む。安全スイッチ装置のモジュールデザインは、複数の電子モジュールが個別に組立てられ、それらが電気的に相互接続され、それらが、所望の安全機能をモジュール式安全スイッチ装置に共に付与するようにコンフィギュレーションされるという、アプリケーション固有のコンフィギュレーションを可能にする。安全機能が大きく異なるモジュール式安全スイッチ装置を組立てることが可能である電子モジュールの例としては、入力モジュールであって、1つ以上の信号送信機からの入力信号、たとえば、センサまたは緊急指令装置からの入力信号などを受信し、必要に応じて処理することが可能である入力モジュール、出力モジュールであって、出力信号をそれらに接続された1つ以上のアクチュエータに出力することが可能である出力モジュール、複合入出力モジュール(いわゆるI/Oモジュール)、制御モジュールであって、出力モジュールへの入力の割り当てを制御することが可能な制御モジュール、およびインタフェースモジュール、通信モジュール、フィールドバスコントローラ、フィールドバスカプラなどがある。
【0004】
モジュール式安全スイッチ装置のコンフィギュレーションをする際には、電子モジュールは、少なくとも1列のモジュール列に並べられ、特に、たとえば、ラッチ式ポテンショメータなどのロータリスイッチに設置して、安全性の観点から特定の用途に必要な機能を提供できるようにコンフィギュレーションを行う。
【0005】
このようなモジュール式安全スイッチ装置のモジュール構造は、特定のアプリケーションの目的に応じて、しばしば比較的複雑になる。なぜなら、所望の安全機能を実現するためには、たとえば論理積リンクを考慮して実装する必要があるからである。そのため、自動化された方法で行われないモジュール式安全スイッチ装置のコンフィギュレーションは、しばしば、難しく、時間がかかり、エラーが発生する可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、コンフィギュレーションプロセスを簡略化することが可能であるモジュール式安全スイッチ装置をコンフィギュレーションするための方法を提供することである。
【0007】
この課題の解決手段は、請求項1の特徴を備えたモジュール式安全スイッチ装置をコンフィギュレーションするための方法を提供する。従属請求項は、本発明の有利なさらなる実施形態に関する。
【0008】
本発明に従えば、少なくとも1つのモジュール列に配置された複数の電子モジュールを備えたモジュール式安全スイッチ装置をコンフィギュレーションするための方法は、
A)コンフィギュレーションデータベースに検索可能に格納されている複数のコンフィギュレーションデータセットから、モジュール式安全スイッチ装置のコンフィギュレーションデータセットを選択し、コンフィギュレーションデータレセットを演算装置に送信し、コンフィギュレーションデータセットが、演算装置によって実行されるコンピュータプログラムによって、コンフィギュレーションデータセットからモジュール式安全スイッチ装置および電子モジュールの目標コンフィギュレーションが生成されるように、処理される工程と、
B)モジュール式安全スイッチ装置および電子モジュールの目標コンフィギュレーションを表示装置に表示する工程と、
C)電子モジュールの1つを、モジュール列のモジュールスロットの1つに差し込む工程と、
D)電子モジュールの1つまたは複数のロータリスイッチの位置を設定する工程と、
E)演算装置によって実行されるコンピュータプログラムを用いて、工程C)およびD)に従ってコンフィギュレーションされた電子モジュールの実際のコンフィギュレーションを決定する工程と、
F)演算装置が実行するコンピュータプログラムを用いて、電子モジュールの実際のコンフィギュレーションを目標コンフィギュレーションと比較する工程と、
G)電子モジュールの実際のコンフィギュレーションと目標コンフィギュレーションとの間に不一致があるかどうかを示し、不一致がある場合、電子モジュールがモジュール列の誤ったモジュールスロットに差し込まれているときは工程C)、およびE)~G)を繰り返し、ロータリスイッチの位置が誤って設定されているときは工程D)~G)を繰り返す工程と、
H)モジュール式安全スイッチ装置のさらなる他の電子モジュールそれぞれについて、工程C)~G)を繰り返す工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明に従った方法では、目標コンフィギュレーションに関する情報が作業者に表示され、実際のコンフィギュレーションと目標コンフィギュレーションとの間に偏差があるかどうかがチェックされ、偏差があればそれに応じて表示されるので、モジュール式安全スイッチ装置のコンフィギュレーションをかなり簡略化することが可能である。好ましくは、トラブルシューティングの指示も表示装置で表示される。モジュール式安全スイッチ装置の電子モジュールの実際のコンフィギュレーションに関する情報は、特に、モジュール式安全スイッチ装置から通信インタフェースを介して演算装置に送信され、コンピュータプログラムの助けを借りて評価することが可能である。
【0010】
工程のフローをさらに最適化するためには、電子モジュールの実際のコンフィギュレーションと目標コンフィギュレーションとの間に偏差があるかどうかを示すだけでなく、工程E)~F)がリアルタイムで実行されることが有利である。これにより、作業者は、モジュール列に装着したばかりの電子モジュールが正しいモジュールスロットに差し込まれているかどうか、また、ロータリスイッチの設定が正しいかどうかを、すぐに確認することが可能である。
【0011】
モジュール式安全スイッチ装置の組立てとコンフィギュレーションとをさらに簡単にするために、好ましい実施形態では、表示装置にモジュール式安全スイッチ装置および電子モジュールの目標コンフィギュレーションを表示する工程が、電子モジュールの配線のための配線図の表示を含むことが可能である。このように、作業者は、モジュール式安全スイッチ装置および電子モジュールの目標コンフィギュレーションの表示に加えて、関連する配線図を表示装置で検出することが可能である。
【0012】
特に好ましい実施形態では、演算装置によって実行されるコンピュータプログラムによって、コンフィギュレーションデータセットに基づいて、配線図を生成することが可能である。また、たとえば、配線図がコンフィギュレーションデータベースに格納され、関連するコンフィギュレーションデータセットにリンクされ、演算装置によって読み出されることも可能である。
【0013】
有利な実施形態では、モジュール式安全スイッチ装置の中央制御モジュールが、第1電子モジュールとしてモジュール列に取り付けられている。残りの電子モジュールは、様々な種類の電子モジュールの中から用途に応じて選択される。残りの電子モジュールは、たとえば、センサまたは緊急指令装置からの入力信号など、1つ以上の信号送信機からの入力信号を安全に受信し、必要に応じて処理することが可能である入力モジュール、それに接続された1つ以上のアクチュエータに出力信号を安全に出力することが可能である出力モジュール、入力と出力を持ち、それらの機能を1つのモジュールにまとめた入出力複合モジュール(いわゆるI/Oモジュール)、およびインタフェースモジュール、フィールドバスコントローラ、フィールドバスカプラなどがある。
【0014】
特に有利な実施形態では、第1電子モジュールが、組立て時に他の電子モジュールのモジュールスロットがどの位置に差し込まれているか、また、関連する電子モジュールのロータリスイッチがどの位置にあるかを確認し、この情報が第1電子モジュールから演算装置に送信されるようにすることが可能である。この情報は、好ましくは第1電子モジュールの一部である通信インタフェースを介して照会および送信することができ、コンピュータプログラムによって適宜評価することが可能である。
【0015】
有利なさらなる形態として、電子モジュールの1つまたは複数のライトユニット、好ましくは1つまたは複数の発光ダイオード(LED)を自動的に作動させることで、電子モジュールが正しいモジュールスロットに差し込まれているかどうかを示すことが可能である。また、たとえば、ライトユニットの自動起動により、電子モジュールのロータリスイッチの位置が正しく設定されているかどうかがわかるようにすることも可能である。ライトユニットの起動または制御は、好ましくは、モジュール式安全スイッチ装置の制御モジュールを構成する第1電子モジュールを用いて行うことが可能である。
【0016】
好ましくは、電子モジュールのシリアル番号を読み出して、演算装置の不揮発性メモリ手段またはコンフィギュレーションデータベースに格納することが可能である。シリアル番号は、たとえば、第1電子モジュールを使って読み取ることが可能であり、または携帯型スキャナを使って読み取ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】モジュール式安全スイッチ装置をコンフィギュレーションするための方法を実施するのに適したコンフィギュレーションシステムを、概略的に高度に簡略化して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のさらなる特徴および利点は、モジュール式安全スイッチ装置1をコンフィギュレーションするための方法を実施するのに適したコンフィギュレーションシステム100を、概略的に高度に簡略化して示している添付の図1を参照して、好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【0019】
モジュール式安全スイッチ装置1は、少なくとも1つのモジュール列200に配置された複数n個の電子モジュール10.1~10.5を有している。ここに示す実施形態の例では、n=5個の電子モジュール10.1~10.5が設けられている。第1電子モジュール10.1は、モジュール式安全スイッチ装置1の中央制御モジュールを形成し、しばしばヘッドモジュールとも呼ばれる。残りの電子モジュール10.2~10.5は、用途に応じて様々な種類の電子モジュールから選択される。他の電子モジュール10.2~10.5は、たとえば、センサまたは緊急指令装置からの入力信号など、1つ以上の信号送信機からの入力信号を安全に受信し、必要に応じて処理することが可能である入力モジュール、それに接続された1つ以上のアクチュエータに出力信号を安全に出力することが可能である出力モジュール、入力部と出力部とを有し、それらの機能を1つのモジュールにまとめた入出力複合モジュール(いわゆるI/Oモジュール)のほか、インタフェースモジュール、フィールドバスコントローラ、フィールドバスカプラなどとすることが可能である。
【0020】
使用される電子モジュール10.1~10.5の数およびタイプは、モジュール式安全スイッチ装置1の計画された用途および使用に直接依存し、特に、モジュール式安全スイッチ装置1によって達成されるべき安全レベルにも依存する。一般的に、モジュール式安全スイッチ装置1のタスクは、センサまたは検出装置によって検出される危険な状況が発生したときに、モジュール式安全スイッチ装置1に接続されたアクチュエータを安全指向の方法でオフに切り換え、危険な状況が終了した後に再び作動させることである。
【0021】
モジュール式安全スイッチ装置1の使用目的または関連する複雑さによっては、モジュール構造体のコンフィギュレーションもモジュール式安全スイッチ装置1のコンフィギュレーションも、どちらも、非常に時間がかかり困難であり、したがってエラーも発生しやすい。以下では、モジュール式安全スイッチ装置1をコンフィギュレーションするためのプロセスを大幅に簡略化することが可能である方法について説明する。
【0022】
コンフィギュレーションシステム100は、表示装置102が接続された演算装置101を含む。演算装置101は、コンフィギュレーションデータベース103と通信しており、このデータベースには、複数のモジュール式安全スイッチ装置1のコンフィギュレーションに関するコンフィギュレーションデータセットと、該当する場合にはそれらにリンクされた更なる情報とが、検索可能な方法で格納されている。コンフィギュレーションデータベース103は、たとえば、好ましくはウェブベースで動作するオンライン注文システムの一部とすることが可能である。このようにして、コンフィギュレーションデータベース103に検索可能に格納されるコンフィギュレーションデータセットは、安全スイッチ装置1および関連する電子モジュール10.1~10.5の目標コンフィギュレーションに対応している。
【0023】
モジュール式安全スイッチ装置1を製造するジョブが起動された後、この安全スイッチ装置1に割り当てられ、検索可能であるようにコンフィギュレーションデータベース103に格納されたコンフィギュレーションデータセットは、演算装置101によって読み出され、演算装置101によって実行されるコンピュータプログラムによって、さらに処理される。さらなる情報が提供されている場合、特にモジュール式安全スイッチ装置1の構造およびコンフィギュレーションに関連する可能性があるさらなる情報であって、検索可能な方法でコンフィギュレーションデータベース103に格納され、コンフィギュレーションデータセットにリンクされているさらなる情報が提供されている場合、このようなさらなる情報も、演算装置101によって読み出され、さらに処理することが可能である。たとえば、関連するコンフィギュレーションデータセットにリンクされている、またはコンフィギュレーションデータセットの一部を形成することも可能である、モジュール式安全スイッチ装置1の配線図および/または安全特性は、演算装置101によってコンフィギュレーションデータベース103から読み出され、コンピュータプログラムによってさらに処理されることが可能である。
【0024】
コンフィギュレーションデータセットに基づいて、演算装置101によって実行されるコンピュータプログラムは、モジュール式安全スイッチ装置1および関連する電子モジュール10.1~10.5の目標コンフィギュレーションを生成する。目標コンフィギュレーションの視覚的表示104が、ディスプレイ装置102上に生成され、これは、個々の電子モジュール10.1~10.5からなるモジュール式安全スイッチ装置1の構造を作業者に示し、特にモジュール列200内のそれら電子モジュールの位置およびそれらのロータリスイッチの設定を作業者に示す。電子モジュール10.1~10.5は、それぞれ1つ以上のロータリスイッチ11.1~11.9を備えており、特にラッチ式ポテンショメータとして構成することが可能である。モジュール式安全スイッチ装置1が正常に機能するためには、ロータリスイッチ11.1~11.9の回転位置を正しく設定することが重要である。好ましくは、コンフィギュレーションをさらに単純化するために、モジュール式安全スイッチ装置1の配線図を表示装置102によって視覚化することも可能である。ロータリスイッチ11.1~11.9の回転位置の設定と、好ましくは配線図も含む、モジュール式安全スイッチ装置1の視覚的表示104を使用することで、電子モジュール10.1~10.5のコンフィギュレーションを非常に簡単に行うことが可能である。
【0025】
ここで紹介した方法により、モジュール式安全スイッチ装置1の電子モジュール10.1.~10.5が、コンフィギュレーション仕様に従ってモジュール列200に正しい順序で配置されているかどうか、また、ロータリスイッチ11.1~11.9の回転位置が正しく設定されているかどうかが、リアルタイムで確認される。このように、モジュール式安全スイッチ装置1の自己診断は、コンフィギュレーション中にもうリアルタイムで行われる。
【0026】
各モジュール式安全スイッチ装置1は、中央制御モジュールを形成するモジュールであって、好ましくは、組立て中にモジュール列200にこの目的のために設けられたモジュールスロットに常に最初に差し込まれる第1電子モジュール10.1を有している。演算装置101は、好ましくは第1電子モジュール10.1の構成要素である通信インタフェース13によって、第1電子モジュール10.1と通信している。この通信インタフェース13を介して、情報が、コンフィギュレーションのプロセス中に要求されて、演算装置101に送信され、演算装置101によって実行されるコンピュータプログラムによって適宜処理および評価されることが可能である。
【0027】
続いて、モジュール式安全スイッチ装置1の残りの電子モジュール10.2~10.5を、この目的のために設けられたモジュール列200のモジュールスロットに次々と差し込んでいく。さらに、各電子モジュール10.1~10.5が接続された後、作業者によって、コンフィギュレーション仕様に基づいて、該当する電子モジュール10.1~10.5のロータリスイッチ11.1~11.9が設定される。
【0028】
第1電子モジュール10.1のモジュール列200の関連するモジュールスロットへのコンフィギュレーション後、好ましくはセルフテストを実行して、正しいモジュールスロットに差し込まれたかどうか、またこの第1電子モジュール10.1のロータリスイッチまたはスイッチ11.1が作業者によって正しいロータリ位置に設定されたかどうかを確認することが可能である。答えが肯定的であれば、作業者は対応するフィードバックを受け取り、そのフィードバックは、好ましくは、表示装置102によって視覚化される。その代わりに、追加的に、対応する視覚化が、第1電子モジュール10.1で行われることもある。後者については、以下で詳しく説明する。あるいは、第1電子モジュール10.1が正しいモジュールスロットに差し込まれているかどうか、およびこの第1電子モジュール10.1のロータリスイッチまたはスイッチ11.1が作業者によって正しい回転位置に設定されているかどうかのチェックは、演算装置101によって実行されるコンピュータプログラムによっても行うことができる。通信インタフェース13によって第1電子モジュール10.1と通信している演算装置101は、対応する情報を受け取り、コンピュータプログラムによって評価することが可能である。
【0029】
その後、残りの電子モジュール10.2~10.5を作業者がモジュール列200の対応するモジュールスロットにモジュールごとに差し込み、これらの電子モジュール10.2~10.5のロータリスイッチ11.2~11.9を適宜設定する。
【0030】
第1電子モジュール10.1は、モジュール列200のどのモジュールスロットに、それぞれの電子モジュール10.2~10.5が組み立て中に作業者によって差し込まれたか、またそれぞれの電子モジュール10.2~10.5のロータリスイッチ11.2~11.9がどの位置にあるかを、対応するクエリによってリアルタイムにテストする。この情報は、さらなる処理を目的として、第1電子モジュール10.1から通信インタフェース13を介して演算装置101に送信され、演算装置101によって実行されるコンピュータプログラムによって処理されて評価される。さらに、好ましくは、電子モジュール10.1~10.5のシリアル番号も、演算装置101によって読み出されて、記憶される。また、記憶場所は、たとえば、コンフィギュレーションデータベース103とすることが可能である。シリアル番号の読み取りは、たとえば、第1電子モジュール10.1が、残りの電子モジュール10.2~10.5からそれらのシリアル番号を読み取ることで、自動化することが可能である。また、電子モジュール10.1~10.5をモジュール列200のモジュールスロットに挿入する前に、電子モジュール10.1~10.5のシリアル番号を、特に、携帯型スキャナで手動スキャンすることも可能である。このようにして読み取られたシリアル番号は、携帯型スキャナから演算装置101に送信される。
【0031】
すでに述べたように、演算装置101のコンピュータプログラムによって、第1電子モジュール10.1によってリアルタイムで取得された情報は、残りの電子モジュール10.2?10.5を介してさらに処理される。実際のコンフィギュレーションは、目標コンフィギュレーションと常に比較される。関連する電子モジュール10.2~10.5の不適切なモジュールスロットの選択、またはロータリスイッチ11.2~11.9、または関連する電子モジュール10.2~10.5のロータリスイッチ11.2~11.9の不適切な調整など、可能性のある食い違いや設定エラーは、作業者に視覚的に表示される。これは、好ましくは、演算装置101の表示装置102によって行うことができ、それによって、エラーの存在に加えて、好ましくは、対応する変更指示も、作業者に視覚的に表示することができる。
【0032】
さらに、電子モジュール10.1~10.5の正しい組み立ておよびコンフィギュレーション、およびあり得る組立ておよびコンフィギュレーションのエラーを視覚的に表示することは、電子モジュール10.1~10.5自体を使って行うことも可能である。この目的のために、電子モジュール10.1~10.5のそれぞれは、好ましくは異なる発光色で点灯することが可能である多数のカラー発光ダイオード12.1,12.2,12.3を有している。たとえば、電子モジュール10.1~10.5のそれぞれは、3色の発光ダイオード12.1,12.2,12.3を有することが可能である。第1発光ダイオード12.1は起動後に赤色に点灯し、第2発光ダイオード12.2は黄色に点灯し、第3発光ダイオード12.3は緑色に点灯する。また、発光ダイオード12.1,12.2,12.3の点灯機能を1つのRGB発光ダイオードにまとめることも可能である。好ましくは、機能的な観点から電子モジュール10.1~10.5のライトユニットを形成する発光ダイオード12.1,12.2,12.3は、モジュール式安全スイッチ装置1の制御動作中のライトインジケータとしても使用される。
【0033】
この3つのLED12.1,12.2,12.3は、たとえば次のような情報を可視化することが可能である。
・電子モジュール10.1~10.5の第1LED12.1が赤色に点灯または点滅する:電子モジュール10.1~10.5がモジュール列200の誤ったモジュールスロットに差し込まれたことになる。
・電子モジュール10.1~10.5の第2LED12.2が黄色に点灯または点滅する:当該電子モジュール10.1~10.5の1つまたは複数のロータリスイッチ11.1~11.9の設定に問題がある。
・電子モジュール10.1~10.5の3番目のLED12.3が緑色に点灯または点滅する:電子モジュール10.1~10.5は、組み立て時にモジュール列200の正しいモジュールスロットに差し込まれ、ロータリスイッチのすべての設定が正しい。
【0034】
発光ダイオード12.1,12.2,12.3は、障害が発生した場合に、関連する障害を直接修正することはできない。むしろ、発光ダイオード12.1,12.2,12.3は、目的を誤って取り付けられたまたは設定された電子モジュール10.1~10.5をできるだけ早く見つけ、少なくとも基本的なエラー、すなわち誤ってプラグインされた電子モジュール10.1~10.5または誤ったロータリスイッチの設定を検出することを主な目的としている。したがって、故障箇所を迅速に特定するための発光ダイオード12.1,12.2,12.3と、故障を解消するための詳細な方法が作業者に示されることが可能である表示装置102との組み合わせは、非常に有利である。
【0035】
エラーが発生した場合には、今度は作業者が提供された指示に基づいて、影響を受けた電子モジュール10.1~10.5のコンフィギュレーションを適宜変更し、電子モジュール10.1~10.5の目標コンフィギュレーションと実際のコンフィギュレーションとの比較が再びリアルタイムで行われる。電子機器モジュール10.1~10.5の実際のコンフィギュレーションと目標コンフィギュレーションとの間のこの比較工程と、可能性のあるエラーの表示は、モジュール式安全スイッチ装置1のすべての電子機器モジュール10.1~10.5が正しく取り付けられ、コンフィギュレーションされるまで、反復して行われる。その後、作業者は、表示装置102、特にこの目的のために設けられた表示領域105において、また、好ましくは、緑色に照明された発光ダイオード12.3によって、電子モジュール10.1?10.5についてのフィードバックを受ける。
【0036】
コンフィギュレーションプロセスの完了後、好ましくは、そのコンフィギュレーションをモジュール式安全スイッチ装置1の不揮発性メモリ手段に検索可能な方法で保存することが可能である。好ましくは、モジュール式安全スイッチ装置1の製造工程の完了後に、データセットを生成することができ、このデータセットは、設置された電子モジュール10.1~10.5のシリアル番号を含むこともでき、コンフィギュレーションデータベース103または別の記憶手段、特に発注システムの記憶手段に検索可能な方法で保存される。
【0037】
ここで提示した方法により、電子モジュール10.1~10.5がモジュール列200に設けられたモジュールスロットに正しく差し込まれ、すべてのロータリスイッチの設定が正しく行われたかどうかが作業者にリアルタイムで視覚的に示されるので、モジュール式安全スイッチ装置1のコンフィギュレーションを大幅に簡略化することが可能である。ここで提示する方法は、モジュール式安全スイッチ装置1の製造において、コスト削減に貢献する、工程の最適化を可能にする。
図1
【外国語明細書】