(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022041996
(43)【公開日】2022-03-11
(54)【発明の名称】電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置
(51)【国際特許分類】
E02D 3/12 20060101AFI20220304BHJP
【FI】
E02D3/12 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021141159
(22)【出願日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2020146980
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(71)【出願人】
【識別番号】390025759
【氏名又は名称】株式会社ワイビーエム
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 曜
(72)【発明者】
【氏名】水永 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】財部 繁久
(72)【発明者】
【氏名】大久保 博晃
(72)【発明者】
【氏名】居石 良
【テーマコード(参考)】
2D040
【Fターム(参考)】
2D040AB05
2D040BA01
2D040BA08
2D040FA05
2D040GA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、攪拌翼を有する地盤改良機において、地盤改良を監視するための検出信号を掘削工具に設置された送信手段から送信して地上で受信する電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置を提供することを目的とする。
【解決手段】地盤改良機に搭載される電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置1の送信器2は、回転ロッド17に電気的に接続され供回り防止翼に設置された1送信電極4、供回り防止翼の羽根体の端部に設置された第2送信電極5を備える。受信器3は、回転ロッド17に電気的に接続し、地盤改良機10に設置された第1受信電極6、掘削穴の地表付近に回転ロッド17から離れて設置された第2受信電極7を備える。送信器2は計測手段で計測した計測データを、1kHz~100kHzの周波数の信号を利用し、BPSK、QPSK、FSK等の方式で変調して送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械本体に設けられた回転駆動装置と、
前記回転駆動装置により回転駆動され、地盤改良材を吐出させるための吐出穴を有する回転ロッドと、
前記回転ロッドの地盤底側の端部に設けられ、複数の掘削刃を有し、地盤改良を行うために、地盤に掘削穴を掘削する削穴ビットと、
前記回転ロッドに固定され、前記掘削穴内の掘削された掘削土を攪拌する攪拌翼と、
前記攪拌翼と前記削穴ビットとの間の前記回転ロッドに回転自在に設けられ、外周端部が前記掘削穴の周壁に係合して回転が止められ、前記攪拌翼及び前記削穴ビットの回転と相対回転して掘削された掘削土を前記地盤改良材とともに混合攪拌させる供回り防止翼と、
前記地盤又は前記地盤改良に関するデータを送受信するための地盤改良・掘削データ通信装置と
からなる地盤改良機において、
前記地盤改良・掘削データ通信装置は、
前記地盤又は前記地盤改良に関する地盤改良データを計測するための計測手段と、
前記回転ロッド及び前記供回り防止翼にそれぞれ設置された第1送信電極と第2送信電極と、
前記地盤改良翼又は前記回転ロッドに設置されたもので、前記計測手段で計測した計測データを受信して信号処理を行い送信のために変調して、前記第1送信電極と前記第2送信電極を介して送信する前記送信手段と、
前記地盤改良機又は前記掘削穴の地表付近に、前記回転ロッドから所定距離離れて設置された第1受信電極と、
前記掘削穴の地表付近に、前記第1受信電極及び前記回転ロッドから離れて設置された第2受信電極と、
前記第1受信電極及び前記第2受信電極で受信した信号を信号処理し前記地盤改良データを復調して出力するための受信手段と
からなることを特徴とする電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置において、
前記第1送信電極は前記回転ロッドに電気的に接して前記供回り防止翼に設置され、
前記第2送信電極は前記供回り防止翼の羽根体の端部に設置され、
前記送信手段は、前記供回り防止翼に設置されている
ことを特徴とする電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置において、
前記第1送信電極は前記回転ロッドに電気的に接して前記供回り防止翼に設置され、
前記第2送信電極は前記供回り防止翼の支持体又は羽根体の外面に絶縁体で絶縁して設置され、
前記送信手段は、前記供回り防止翼に設置されている
ことを特徴とする電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置において、
前記回転ロッド内に前記送信手段を格納し、前記回転ロッドに前記第1送信電極及び前記第2送信電極を接触して設置されている
ことを特徴とする電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置において、
前記地盤改良機は、高圧噴射工法又は非開削工法による地盤改良に用いるものであり、前記回転ロッドに前記第1送信電極及び/又は前記第2送信電極並びに前記送信手段を設置されている
ことを特徴とする電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の中から選択される1項に記載の電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置において、
前記計測手段は、回転速度を検知する回転センサー、回転加速度を検知する回転加速度センサー、改良土の比抵抗を検知する比抵抗センサー及び圧力を検知する圧力センサー、被接触物の温度を検知する温度、及び、被設置個所の物理的なひずみを検知するひずみセンサーからなる群の中から選択される1以上のセンサーである
ことを特徴とする電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の中から選択される1項に記載の電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置において、
前記地盤改良データ通信装置は、1kHz~100kHzの周波数を利用する
ことを特徴とする電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良データ等を地中で通信するための電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置に関する。更に詳しくは、土木工事の機械攪拌工法、高圧噴射工法等において使用される地盤改良や非開削工法等にて使用される掘削機において、その地盤改良を監視するための地盤改良データや掘削データを地中から地上へ通信するための電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地盤改良を行うための工法として種々の方式が提案されているが、地盤に掘削穴を形成し、その掘削土にセメント等の凝固剤を注入し、攪拌翼で混合攪拌し固化させて杭等の地盤改良柱を形成する工法が知られ施工されている。攪拌翼で掘削土と凝固剤を混合攪拌するとき、攪拌翼と改良土が一体となって塊状になり供回りすることがある。この供回りを防止するために、回転ロッド上の軸受で自由回転する構造にした供回り防止翼を設け、施工時にこの供回り防止翼を掘削穴の壁面に固定するものも知られている。
【0003】
しかしながら、この構造の地盤攪拌翼であっても、供回り防止翼と攪拌翼が供回りすることもあり、供回り防止翼と攪拌翼が相対的に回転していないという保証はない。このために、供回り防止翼と攪拌翼との間の相対回転数をセンサーで検知し、これを監視するものも提案されている(特許文献1、2)。
【0004】
特許文献1に記載の装置は、供回り防止翼の回転を検知したセンサーの信号を発信装置から発する無線信号で地上へ送信している。地上の受信装置でその無線信号を受信している。特許文献2に記載の検知装置は、供回り防止翼の回転を地下で検知したセンサーの信号を回転ロッド内の送信電線で地上へ送り、回転ロッドの上端部のスリップリングを介してカウンター装置に接続している。また、地盤改良時にその改良土の比抵抗、圧力等をセンサーで検知し、把握することで、地盤改良の度合い(質)を把握する必要性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-144703号公報
【特許文献2】特開2001-323454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した通信システムは、回転ロッドの下端部に設置された送信装置から無線信号を地上へ送信し、受信装置でこれを受信するとき、無線信号は地盤を通過して、その信号が減衰するという問題がある。掘削深さが深いほど、通過する地盤が厚くなり、場合によって、水分を多く含む地層等では、無線信号が受信しにくいということが起こる。また、回転ロッドの上端部のスリップリングを開始して信号を取り出す通信システムは、回転ロッドが回転し、送信信号カウンターまでの電線接続構造に限られる。
【0007】
本発明は上述のような技術背景のもとになされたものであり、下記目的を達成する。
本発明の目的は、攪拌翼を有する地盤改良機において、供回り防止翼の回転状況、地盤改良土の特性等の地盤改良を監視するための検出信号を掘削工具に設置された送信手段から送信して地上で受信するための、電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記目的を達成するため、次の手段を採る。
本発明は、地盤の攪拌回転翼を有して、掘削穴を掘削し掘削穴内の地盤改良を行う地盤改良機において、地盤改良翼の供回りを検知し監視するための電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置である。
【0009】
本発明の電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置は、
機械本体に設けられた回転駆動装置と、
前記回転駆動装置により回転駆動され、地盤改良材を吐出させるための吐出穴を有する回転ロッドと、
前記回転ロッドの地盤底側の端部に設けられ、複数の掘削刃を有し、地盤改良を行うために、地盤に掘削穴を掘削する削穴ビットと、
前記回転ロッドに固定され、前記掘削穴内の掘削された掘削土を攪拌する攪拌翼と、
前記攪拌翼と前記削穴ビットとの間の前記回転ロッドに回転自在に設けられ、外周端部が前記掘削穴の周壁に係合して回転が止められ、前記攪拌翼及び前記削穴ビットの回転と相対回転して掘削された掘削土を前記地盤改良材とともに混合攪拌させる供回り防止翼と、
前記地盤又は前記地盤改良に関するデータを送受信するための地盤改良・掘削データ通信装置と
からなる地盤改良機のためのものである。
【0010】
本発明の電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置は、
前記地盤又は前記地盤改良に関する地盤改良データを計測するための計測手段と、
前記回転ロッド及び前記供回り防止翼にそれぞれ設置された第1送信電極と第2送信電極と、
前記地盤改良翼又は前記回転ロッドに設置されたもので、前記計測手段で計測した計測データを受信して信号処理を行い送信のために変調して、前記第1送信電極と前記第2送信電極を介して送信する前記送信手段と、
前記地盤改良機又は前記掘削穴の地表付近に、前記回転ロッドから所定距離離れて設置された第1受信電極と、
前記掘削穴の地表付近に、前記第1受信電極及び前記回転ロッドから離れて設置された第2受信電極と、
前記第1受信電極及び前記第2受信電極で受信した信号を信号処理し前記地盤改良データを復調して出力するための受信手段と
からなることを特徴とする。
【0011】
前記第1送信電極は前記回転ロッドに電気的に接して前記供回り防止翼に設置され、前記第2送信電極は前記供回り防止翼の羽根体の端部に設置され、前記送信手段は、前記供回り防止翼に設置されていると良い。
【0012】
前記第1送信電極は前記回転ロッドに電気的に接して前記供回り防止翼に設置され、前記第2送信電極は前記供回り防止翼の支持体又は羽根体の外面に絶縁体で絶縁して設置され、前記送信手段は、前記供回り防止翼に設置されていると良い。
【0013】
また、本発明の電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置は、前記回転ロッド内に前記送信手段を格納し、前記回転ロッドに前記第1送信電極及び前記第2送信電極を接触して設置されていると良い。
【0014】
更に、本発明の電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置において、前記地盤改良機は、高圧噴射工法又は非開削工法による地盤改良に用いるものであり、前記回転ロッドに前記第1送信電極及び/又は前記第2送信電極並びに前記送信手段を設置されていると良い。
【0015】
本発明の電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置の前記計測手段は、回転速度を検知する回転センサー、回転加速度を検知する回転加速度センサー、改良土の比抵抗を検知する比抵抗センサー及び圧力を検知する圧力センサー、被接触物の温度を検知する温度、及び、被設置個所の物理的なひずみを検知するひずみセンサーからなる群の中から選択される1以上のセンサーであると良い。
【0016】
本発明の電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置は、1kHz~100kHzの周波数を利用すると良い。
【0017】
以下、本発明の電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置において利用される、電場通信の原理を点電極と線電線を例に説明する。
〔本発明の原理について〕
改良杭を施工するため、掘削を開始する地表を原点とし、
図13に図示したように、長さD[m]の掘削ロッドが原点から垂直に地中に存在する場合を想定する。この時、掘削ロッドを伝送のための線電極とする。掘削ロッドの先端の深度D[m]に掘削ロッドと絶縁された点電極を想定する。点電極は、伝送のための基準電位(グランド)とする。
【0018】
掘削ロッドを通じた電場による伝送には、100kHz程度の交流を想定し、表皮効果や誘導を無視する。そうすることで、伝送に使用する線電極や点電極に直流を印加した場合(直流比抵抗法)の式がそのまま使用できる。大地の比抵抗をρ[Ωm]とし、線電極に+I[A]、点電極に-I[A]を通電する。地表において原点から距離r[m]離れた地点の線電極により生じる電位V
l[V]は、無限遠を電位の基準とすると次の式になる。
【数1】
【0019】
同様に、原点から距離r[m]離れた地表の深度D[m]に設置された点電極により生じる電位V
p[V]は、無限遠を基準とすると次の式になる。
【数2】
よって、原点から距離r[m]離れた地表の電位V
r[V]は、線電極による電位と点電極による電位の差として次の式になる。
【数3】
【0020】
原点から距離r
1「m」と距離r
2「m」の地点における電位差ΔVは次の式のようになる。
【数4】
【0021】
〔計算例1〕
この式を利用し、電位分布をグラフ化すると、
図14及び
図15のグラフのようになる。ここで、計算するとき、大地の比抵抗は100[Ωm]、電流は10[mA]、掘削ロッドの長さ(点電極深度)は30[m](深部)とし、横軸は、原点からの距離を示し、縦軸は電位を示している(以下、同様である。)。
【0022】
線電極による電位Vlは、地表の原点からの距離に対し大きく減衰するのに対し、深度D[m]に設置された点電極による電位Vpは地表の原点からの距離に対し減衰はわずかである。これは、点電極により生じる電位分布は点電極を中心に同心円状を示す。点電極を中心に半径方向では距離に比例して減衰するのに対し、点電極を中心とした周方向では電位は一定である。
【0023】
地表の原点から離れる方向に移動すると、深度D[m]に設置された点電極による電位分布の周方向への移動に近いことから、電位の減衰がわずかになる。その傾向は、点電極の深度が深くなるにつれて周方向の移動に近づくことから、電位の減衰はより少なくなる。線電極による電位分布は、地表の原点から離れるに従い、原点からの距離と深度の比の対数により減衰する。
【0024】
原点付近の電位の減衰は大きいが、原点からある程度離れると電位の減衰は緩やかになる。線電流源と点電流源の差として測定される電位に対し、原点から基準電極(r2)の距離を大きく離してもそれほど電位差は大きくならないことが予測できる。隣接する掘削ロッドとの干渉を避けるためには、電位電極(r1)と基準電極(r2)の間隔は必要以上に大きくする必要はない。
【0025】
〔計算例2〕
この式を利用し、別の条件で電位分布をグラフ化すると、
図16及び
図17のグラフのようになる。ここで、計算するとき、大地の比抵抗は100[Ωm]、電流は10[mA]、掘削ロッドの長さ(点電極深度)は5[m](深部)とした。
【0026】
線電極による電位Vlは、地表の原点からの距離に対し大きく減衰するのに対し、点電極による電位Vpは、地表の原点からの距離に対し減衰はわずかである。原点付近の電位差が大きいことから、基準電極(r2)は距離を大きく離してもそれほど電位差は大きくならない。隣接する掘削ロッドとの干渉を避けるためには、電位電極(r1)と基準電極(r2)の間隔は必要以上に大きくする必要はない。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、次の効果が奏される。本発明によると、地盤改良の特性、地盤改良翼の挙動等を検知して、掘削工具から送信し、地上でそれを受信することで、地盤改良機及び地盤改良の挙動を把握することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態の地盤改良・掘削データ通信装置1の概要を示す概念図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態の地盤改良・掘削データ通信装置1を備えた地盤改良機10を示す概念図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態において、地盤改良機10に搭載された掘削工具18の縦断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態において、送信器2の構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施の形態において、受信器3の構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施の形態において、受信器3の同期部45の構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施の形態において、供回り防止翼24に送信器2を設置した例の様子を示す図であり、
図7(a)は供回り防止翼24の平面図、
図7(b)は供回り防止翼24の正面図、
図7(c)は供回り防止翼24の羽体24aの端部の正面図(供回り防止翼24の側面図)である。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施の形態において、供回り防止翼24に送信器2を設置した他の例の様子を示す図であり、
図8(a)は供回り防止翼24の平面図、
図7(b)は供回り防止翼24の正面図である。
【
図9】
図9は、本発明の地盤改良・掘削データ通信装置1を備えた地盤改良機10において、地盤改良機のエンジン回転中にデータ送信試験(1kHz)を行った結果を示すグラフであり、
図9(a)はオシロスコープによって受信した信号を、
図9(b)は
図9(a)の信号を高速フーリエ変換(FFT)して示している図である。
【
図10】
図10は、本発明の地盤改良・掘削データ通信装置1を備えた地盤改良機10において、地盤改良機のエンジン回転中にデータ送信試験(5kHz)を行った結果を示すグラフであり、
図10(a)はオシロスコープによって受信した信号を、
図10(b)は
図10(a)の信号を高速フーリエ変換(FFT)して示している図である。
【
図11】
図11は、本発明の地盤改良・掘削データ通信装置1を備えた地盤改良機10において、供回り防止翼を降下させながらデータ送信試験(10kHz)を行った結果を示すグラフであり、
図11(a)はオシロスコープによって受信した信号を、
図11(b)は
図11(a)の信号を高速フーリエ変換(FFT)して示している図である。
【
図12】
図12は、本発明の地盤改良・掘削データ通信装置1を備えた地盤改良機10において、データ送信試験(20kHz)を行った結果を示すグラフであり、
図12(a)はオシロスコープによって受信した信号を、
図12(b)は
図12(a)の信号を高速フーリエ変換(FFT)して示している図である。
【
図13】
図13は、本発明のデータ通信に利用される通信原理を説明するための説明図である。
【
図14】
図14は、本発明のデータ通信に利用される通信原理の説明において、計算例1(点電極深度30m)を示すグラフである。
【
図15】
図15は、本発明のデータ通信に利用される通信原理の説明において、計算例1(点電極深度30m)を示すグラフである。
【
図16】
図16は、本発明のデータ通信に利用される通信原理の説明において、計算例2(点電極深度5m)を示すグラフである。
【
図17】
図17は、本発明のデータ通信に利用される通信原理の説明において、計算例2(点電極深度5m)を示すグラフである。
【
図18】
図18は、本発明の第3の実施の形態において、第2送信電極5及び絶縁体5aを示す図であり、
図18(a)は上面図、
図18(b)は正面図である。
【
図19】
図19は、本発明の第3の実施の形態において、第2送信電極5及び絶縁体5aを供回り防止翼24に設置した様子を示している図である。
【
図20】
図20(a)は、本発明の第4の実施の形態において、供回り防止翼24の例を示す図であり、
図20(a)は、第2送信電極5と絶縁体5aが設置された供回り防止翼24の支持体24eを図示した図で、
図20(b)は
図20(a)のA-A断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1の実施の形態]
次に、本発明の第1の実施の形態を図に基づき説明する。
図1は本発明の電場を用いた地盤改良・掘削データ通信装置1(以下、「地盤改良・掘削データ通信装置1」という。)の概要を示す概念図である。
図2は本発明の第1の実施の形態の地盤改良・掘削データ通信装置1を備えた地盤改良機10を示す概念図であり、
図3は地盤改良機10に搭載された掘削工具(削穴ビット、攪拌翼、共回り防止翼等を「掘削工具」という。)18の縦断面図である。
【0030】
地盤改良・掘削データ通信装置1は様々な地盤施工用機械に搭載できるが、ここで、
図2に図示したように地盤改良機10を例に説明する。地盤改良・掘削データ通信装置1は、センサー8で検知した検知データを送信するための送信手段である送信器2と、送信された検知データを受信し、信号処理して出力するための受信手段である受信器3等からなる。送信器2は、地盤改良機10の掘削工具18に設置されている。受信器3は地上に設置されるものであり、本例では地盤改良機10の本体11の付近に設置されている。
【0031】
本実施の形態における地盤改良機10は、
図2に図示したように、掘削工具18によって地盤に掘削穴28を掘削しながら、掘削土を地盤改良材と混合撹拌するためのものである。
図2に図示したように、地盤改良機10の本体11は、車体と一体の運転台12、移動手段としてのクローラー13、アウトリガー14等からなる。地盤改良機10は、ガイド本体15、リーダー16、回転ロッド17、掘削工具18、回転駆動部19(駆動モータ)等を備える。
【0032】
掘削工具18は、地盤を掘削するためのもので、送信器2を搭載している。掘削工具18は、回転ロッド17の先端に搭載され、回転ロッド17の下端部に搭載された回転駆動部19によって、回転ロッド17と共に回転し、地盤を掘削する。地盤改良機10は、クローラー13で任意位置へ自力移動が可能であり、クローラー13で移動し所定位置に到達すると、油圧式のアウトリガー14により地面に安定的に設置される。
【0033】
地盤改良機10、そのリーダー16を起伏用の油圧シリンダー20の駆動で所定の角度で傾倒させて、例えば
図2の例では鉛直に立てて、掘削作業を行う。リーダー16には案内台21が設けられる。案内台21はフィールド用油圧モータ、チェーン等からなる昇降駆動手段でリーダー16上を上下方向に移動可能である。リーダー16の下部には、回転ロッド17を下方で支持し揺れ止めするための支持体27が設けられている。
【0034】
回転ロッド17は昇降手段により直線駆動される案内台21を介して上下に移動され、かつヘッドに内蔵した回転駆動部19により回転駆動される。回転ロッド17が回転駆動されると、その先端の掘削工具18は回転し、地盤に掘削穴28掘削しながら、前進し掘削土を地盤改良材と混合撹拌する。リーダー16、回転ロッド17は金属製であり、地盤改良機10の本体11とは支持体27、ガイド本体15、リーダー16、回転駆動部19等を介して、これらの構成部は全て金属製であるため、電気的に導通し接続されている。
【0035】
本発明の地盤改良・掘削データ通信装置1は、地上を移動可能な地盤改良機10に組み込まれているので、地盤改良機10の移動と共に移動する。掘削工具18はその先端の削穴ビット22で地盤を掘削し、掘削土を上方へ移送・攪拌する。そして、回転ロッド17に固定された攪拌翼23a,23bと、回転ロッド17に回転自在に設けられた供回り防止翼24により、この掘削土を攪拌しながら地盤改良材と混合し混合土にする。ここで、攪拌翼23a,23bと供回り防止翼24は地盤改良翼として機能する。
【0036】
図3の回転ロッドの先端部の縦断面図から理解されるように、本実施の形態の回転ロッド17は、管状の単体軸であり、回転ロッド17の地盤底側に削穴ビット22が配置され、この削穴ビット22は回転ロッド17を駆動する回転駆動部19の駆動により、回転ロッド17と共に一体的に回転駆動される。削穴ビット22は、その回転外径が地盤改良柱の外径(掘削穴28の内径)に一致する。
【0037】
削穴ビット22は、複数の刃部が削穴ビット22の半径方向に直線上に配置されており、これは地盤改良柱の地盤底の低面を削りながら下方に前進し掘削を行う。又、削穴ビット22の近傍の回転ロッド17の先端部には、地盤改良材を掘削穴28内に注入するための吐出穴25が配置されている。地盤改良材は、地上部の供給装置(図示せず。)から、この回転ロッド17の中心に配置されたパイプの中空部17aを介して供給され、掘削された地盤底側の掘削穴25に吐出される。
【0038】
この削穴ビット22の上部は、これと同径に一端が回転ロッド17に溶接により一体に固定された半径方向に配置された翼である攪拌翼23aに固着されている。即ち、二つの攪拌翼23aは、それぞれねじれ板形状の2つの羽根からなり、2つの羽根は半径方向に回転ロッド17を挟んで、180度の角度で対向して配置されている。攪拌翼23aの上部の回転ロッド17には、90度角度位相が異なる同様な構造である攪拌翼23bが配置されている。
【0039】
回転ロッド17の下部に配置された削穴ビット22と攪拌翼23bとの間には、軸受26が回転ロッド17に固定されている。供回り防止翼24は軸受26に回転自在に設けられている。
図7に図示したように、この供回り防止翼24は、回転ロッド17を挟んで2つの板状の羽根体24aがボルト24cによる締結により、180度の半径方向に延在し、かつ供回り防止翼24の羽根面が、掘削穴28の中心線(回転ロッド17の軸線)を含む面に配置された構成となっている。
【0040】
この供回り防止翼24の外周先端部24aの一部は、掘削穴28の内周壁の外側に食い込み接触するようになっている。即ち、この供回り防止翼24の先端部24aの先端は、削穴ビット22の回転円軌跡より直径が大きくなるように設定される。回転ロッド17、供回り防止翼24、軸受26は全て金属製であり、互いに電気的に接続されている。回転ロッド17の上部には、図示しないが、回転している回転ロッド17に地盤改良材を連続的に供給するための継手であるウォータースイベルが搭載されている。
【0041】
[地盤改良方法の施工例]
次に、地盤改良機10により地盤改良を行う方法について説明する。地盤改良のために地盤に貫入する際は、地盤改良機10の回転駆動部により回転ロッド17が正転駆動回転される。この回転は、削穴ビット22と翼体の複数の刃部が地盤に食い込み掘削した掘削土を上方へ移送させながら下降される。
【0042】
この地盤貫入の進行に伴って、供回り防止翼24の中心部は軸受26上に回転自在な状態に支持されているが、供回り防止翼24の外周端の軌跡になる円は掘削穴28より大きく直径が設定されているので、掘削時に供回り防止翼24の外周端部が掘削穴28の内周の壁面に食い込み、供回り防止翼24は回転停止状態になる。削穴ビット22と攪拌翼23a,23bは、回転を継続して掘削するので、供回り防止翼24は相対回転の状態、即ち供回り防止翼24のみ回転停止状態で、掘削穴28の内周壁面の回転軸線を含む面方向に食い込みながら掘削方向に進行する。
【0043】
このとき同時に地盤改良材が注入され、吐出穴25から吐出される。この注入により掘削された掘削土は、掘削と同時に攪拌翼23a,23bと回転しない供回り防止翼24により攪拌され、地盤改良材との混合土となり、その攪拌に伴い相対的に徐々に上方へもたらされる。この攪拌において掘削土は、回転する攪拌翼23a,23bと回転停止している供回り防止翼24の間で、攪拌・裁断され回転方向と上下方向に対流しながら攪拌される。
【0044】
上述のように、地盤改良機10とその構成部分の概略を説明したが、これらの構造、機能は、公知であり、その説明は省略する。地盤改良機10によって、掘削穴を掘削しながら地盤改良を行うとき、供回り防止翼24が回転しているか否か測定して把握することで、地盤改良の特性を知ることができる。供回り防止翼24が回転していると、掘削土と地盤改良材が撹拌翼と共に回転していることになり、地盤改良が行われていないか、その地盤改良柱の品質が下がっていることを意味する。
【0045】
そのため、供回り防止翼24の回転、その回転速度、回転加速度を測定して把握することで、地盤改良柱の品質を把握することができる。本発明の地盤改良・掘削データ通信装置1は、センサー8で供回り防止翼24の回転、その回転速度、回転加速度等を測定し、地上へ送信するものである。また、地盤改良中に、センサー8で、改良土の比抵抗、圧力等を測定し、地上へ送信することもできる。
【0046】
[地盤改良データ通信装置]
地盤改良・掘削データ通信装置1について説明する。地盤改良・掘削データ通信装置1の概要を
図1にブロック図で図示している。地盤改良・掘削データ通信装置1は、地中のセンサー8、センサー8で検知した検知信号を信号処理し送信するための送信器2、送信された信号を受信し信号処理して出力するための地上の受信器3等からなる。受信器3から出力された信号は電子計算機9等で受信し、信号処理等を行い、その結果を電子計算機9の表示手段に表示、又は他の機器等へ送信する。
【0047】
ユーザは、電子計算機9で表示され信号処理された受信信号を閲覧し、地盤改良の状況を確認することができる。送信器2は第1送信電極4と第2送信電極5を有する。第1送信電極4は、回転ロッド17に電気的に接続される。正確には、本例では、第1送信電極4は、供回り防止翼24に接続され、軸受26を介して回転ロッド17に接続されている。受信器3は第1受信電極6と第2受信電極7を有する。第1受信電極6は回転ロッド17に電気的に接続される。
【0048】
第1受信電極6は地盤改良機10の本体11等のように回転ロッド17に電気的に接続されている地盤改良機10の構成部分に設置され、これらの構成部分が回転ロッド17を介して第1送信電極4に電気的に接続される。本例では、第1受信電極6はクローラー13に接続され、最終的に、回転ロッド17に接続される。
【0049】
以下、送信器2と受信器3について詳細に説明する。センサー8は、掘削工具18の各種データ、改良中の改良土の各種特性を検知するためのもので、供回り防止翼24等に設置されるものである。
図1には、例として1個のセンサー8を表示しているが、同じ種類のデータ又は異なる種類のデータを検知するための複数のセンサーを備えることもできる。また、センサー8と送信器2は、供回り防止翼24の羽部、回転ロッド17等の部材の内部に又は接して設置されるが、
図1には、説明をわかりやすくするために図式的にブロック図で表示している。
【0050】
送信器2は、信号送信のために第1送信電極4と第2送信電極5を有する(
図8参照)。第1送信電極4は、回転ロッド17に接して、特に電気的に回転ロッド17に接して設置され、導線で送信器2に接続される。第2送信電極5は、供回り防止翼24に設置されるもので、第1送信電極4から所定の距離を有して、供回り防止翼24の掘削穴28の壁面側の端部に設置される(
図7を参照。)。
【0051】
本実施の形態では、第2送信電極5は供回り防止翼24の羽体の端部に電極用穴29を形成してその内部に設置されている。第2送信電極5は、供回り防止翼24と電気的に接しないように、第2送信電極5と供回り防止翼24の羽体との間は絶縁体を介在して固定設置されている。第2送信電極5は送信器2に導線で接続される。この導線は、電極用穴29から送信器2の本体までに羽体の表面又は中に形成した溝部に設置、又は、羽体の表面に固定することでも良い。
【0052】
受信器3は、信号受信のために第1受信電極6と第2受信電極7を有する。第1受信電極6は、電気的に回転ロッド17に接して設置される。本実施の形態において、第1受信電極6の設置位置は、例として、地盤改良機10の本体11又はクローラー13に接して設置されている。本体11とクローラー13は、回転ロッド17とは、電気的に接続されているので、第1受信電極6は回転ロッド17と電気的に接続する。
【0053】
第1受信電極6は導線で受信器3に接続されている。第2受信電極7は、
図1に図示したように、第1受信電極6と、それと電気的に接続している回転ロッド17から所定の距離Lを有して設置される。本実施の形態において、第2受信電極7は、地盤改良機10の本体11の付近で作業現場の地盤に設置されている。第2受信電極7は受信器3に導線で接続される。送信器2と受信器3について詳しく説明する。
【0054】
図4に送信器2の構成例を、
図5に受信器3の構成例をブロック図で図示している。センサー8は導線で送信器2に接続されており、地盤、特に改良中の地盤の特性を検知して、検知信号を送信器2へ出力する。センサー8と送信器8が供回り防止翼24に形成された穴、又は供回り防止翼24の羽体の表面等に固定されているので、掘削工具18が正常動作している間は、時に地盤改良中に回転ロッド17の周りを移動しないで検知信号を取得する。
【0055】
センサー8は、例えば、供回り防止翼23の回転速度、回転加速度、改良地盤の比抵抗、非接触箇所(地盤改良土又は地盤改良翼)の圧力、被接触物の温度、被接触物の湿度、被設置個所の物理的なひずみ等を測定するセンサー配置することができ、公知の原理、構造のあらゆるセンサーを使用できる。
【0056】
センサー8と送信器2と接続する導線、送信器2と第1送信電極4、第2送信電極5を接続する導線は、供回り防止翼24の羽体の表面に作った溝等に設置、又は、羽体の表面に強力な接着剤等で貼り付けることもできる。供回り防止翼24の羽根体と羽根面は、掘削土と地盤改良材に常に接触するので、できるかぎり羽根面から突出しないように設置されることが好ましく、又掘削土が侵入しないように、導線が設置された溝が充填材等でシールすることが好ましい。
【0057】
〔送信器〕
図4には、送信機2の構成例をブロック図で図示している。送信器2は、A/D(Analogue/Digital)変換部30、信号発振部31、信号処理部32、増幅部33、送信部34等からなる。A/D変換部30はセンサー8と接続し、センサー8で検知したアナログ信号をディジタル信号に変換するものである。信号発振部31は、水晶発振器等からなり信号処理に必要なクロックを発生させるためのものである。
【0058】
信号処理部32は、A/D変換部30から出力されたディジタル検知信号、信号発振器31から主力クロックを取得して、ディジタル検知信号を信号処理して、送信信号を出力するものである。増幅部33は、信号処理部32から出力される送信信号を増幅するためのものである。送信部34は、第1送信電極4及び第2送信電極5からなり、送信信号をこれらの電極を利用し、信号送信するためのものである。
【0059】
信号発振部31は、例えば、水晶発振器と(1/p)分周器からなり、後段の信号処理部32に動作クロックを提供する。信号処理部32は、計測したデータを処理するMPU(Micro-processing unit)等からなり、受信信号をディジタル信号に変換し、伝送に必要な周波数で変調して出力する。
【0060】
ここで利用する水晶発振器は変調周波数を安定化させるために、変調周波数(キャリア周波数)の数百倍の周波数のものを分周して使用する。センサー8は、地盤の特性を検知できる任意の種類のセンサーを利用できるが、例えば、供回り防止翼24の動作する加速度を検知する加速度センサー、供回り防止翼24の動作の角速度を検知する角速度センサー、地盤の温度を検知する温度センサー、地盤の圧力を検知する圧力センサー等を利用することができる。
【0061】
本実施の形態において、センサー8は、供回り防止翼25に設置された例を説明しているので、供回り防止翼25に限定して加速度センサー、角速度センサーを限定したが、この限りではない。センサー8は、掘削工具18の各構成部分、例えば、回転ロッド17、撹拌翼23等に設置されることができ、この発明の範囲に入る。供回り防止翼24は、掘削工具18の構成部分の中で、回転運動をしない部品である。そのため、送信された信号を受信する上、信号が比較的に安定するので、センサー8と送信器2は供回り防止翼24に設置されることが好ましい。
【0062】
また、センサー8は、検知した信号をディジタル信号で出力するディジタルセンサー、又は、A/D変換機能を内蔵したセンサーを使用でき、これらのセンサーも本発明でいうセンサーの範囲に含まれる。この場合、上述のA/D変換部30は必要なく、又は、センサー8が直接信号処理部32に接続される。送信器2は、図示しないが、その構成部に必要な電源を供給できる電源部を有する。
【0063】
電源部は、バッテリ又は掘削工具18の動作又は地盤改良の圧力で電力発生する圧電素子からなるものも使用できる。また、信号の変調方式として、強度変調、周波数変調等を利用することができる。特に、雑音に対して良好な感度を示すBPSK (Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、FSK(Frequency Shift Keying)等が好ましい。
【0064】
本発明で使用する周波数は商業電力の周波数より高く、特に限定しないが、1kHz以上100kHz以下、好ましく5kHz~30kHzの領域が好ましい。また、通信方式としては、特に限定しないが、電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)が利用でき、特にPLCに利用する直交周波数分割多重方式(OFDM方式)、スペクトラム拡散変調方式(SS方式)等が利用できる。
【0065】
〔受信器〕
図5には、受信器3の構成例をブロック図で図示している。受信器3は、受信部40、増幅部41、HPF(High-pass filter)42、LPF(Low-pass filter)43、増幅部44、同期部45信号処理部46、LPF47等からなる。受信部40は、送信器2から送信された送信信号を受信するためのものであり、第1受信電極6と第2受信電極7からなる。
【0066】
受信部40で受信された受信信号は増幅部41へ出力される。増幅部41は、受信部40で受信された信号を増幅するためのものある。受信部40で受信された信号は、送信された無線信号を受信するので微弱である。そのため、この受信信号を増幅部41で増幅する。増幅41は、基本的に、受信した信号の振幅を信号処理に必要な大きさになるように増幅する。
【0067】
HPF42は遮断周波数(第1遮断周波数)以上の周波数の信号を通過させ(ほぼ減衰せず)、所定周波数以下の周波数の信号をカットする(低減する)ものである。LPF43は遮断周波数(第2遮断周波数)以下の信号を通過させ、遮断周波数以上の信号を低減するものである。よって、増幅部41から出された増幅された受信信号は、HPF42とLPF43を通過し、第1遮断周波数と第2遮断周波数の間の周波数の信号になり、信号処理に不必要な信号が遮断される。
【0068】
以下、この通過信号は受信信号として説明する。LPF43から出力された受信信号は、同期部45と増幅部44へ入力され、両部を通過して信号処理部46にて信号処理される。増幅部44は、LPF43から入力された受信信号を増幅するものである。同期部45は、受信信号を信号処理し、信号の位相同期し出力するものである。
【0069】
信号処理部46は同期部45から受信した信号を用いて、増幅部44から受信した信号を信号処理し、2値化して出力する。信号処理部46から出力された出力信号は後段の信号処理に必要ない高周波数分、雑音等をLPF47で遮断し、最終的に出力信号を出力する。同期部45はこの機能を実現できるものであれば、任意の回路を利用することができるが、
図6にその一構成例を図示している。
【0070】
図6に図示した同期部45は、信号を増幅するための増幅部50、受信信号を直流電圧に整流するための整流部51、遮断周波数以下の信号を増幅するためのLPF・増幅部52、信号パルスを平滑化するためのコンバータ53、信号のクロックパルスを整える1/2分周部54、信号の位相を同期するためのPLL(Phase Locked Loop)55、CNT(Counter)56等からなる。増幅部50は、入力された信号(LPF43から入力された受信信号)を信号処理に必要な振幅までに増幅するためのものでる。
【0071】
増幅部50で増幅された受信信号は、整流部51で直流信号に変換される。整流部51から出力された信号は、LPF・増幅部52で遮断周波数以下の信号が取り出され、増幅される。ここでは受信信号を整流するときに入ったノイズ、残った交流信号等が低減される。コンバータ53ではLPF・増幅部52から出力される信号のパルスを平滑化して出力する。1/2分周部54は、コンバータ53から出力された信号のクロックパルスを整え後段の回路へ出力する。
【0072】
PLL55では、1/2分周部44と増幅部44から出力された信号を受信して位相同期してCNT56から出力される。信号処理部46は、受信したデータを処理するMPU(Micro-processing unit)等からなり、受信信号をディジタル信号に変換し、伝送に必要な周波数で変調して出力する。受信器3は、図示しないが、その構成部に必要な電源を供給できる電源部を有し、電源部はバッテリ、ソーラー電池、地盤改良機の電源、モータ等に接続等の任意の電源を利用することができる。
【0073】
図7は、本発明の第1の実施の形態において、供回り防止翼24に送信器2を設置した例を示す図であり、
図7(a)は供回り防止翼24の平面図、
図7(b)は供回り防止翼24の正面図、
図7(c)は供回り防止翼24の羽体24aの端部の正面図(供回り防止翼24の側面図)である。この供回り防止翼24は、回転ロッド17を挟んで2つの板状の羽根体24aがボルト24cによる締結により、180度の半径方向に延在し、かつ供回り防止翼24の羽根面が、掘削穴28の中心線方向と平行に配置された構成となっている。
【0074】
これにより、羽根体24aは、一端部は半円孔を形成する半円筒体24bを有し他端は板状を構成する2部材からなる。二つの半円筒体24bにより、供回り防止翼24の中心には、軸受を較正する円筒孔24eが形成される。この供回り防止翼24の外周の先端部は、掘削穴28に縦方向に食い込み接触する。即ち、この供回り防止翼24の先端部24の先端は、削穴ビット22の回転円軌跡より直径が大きくなるように設定されている。送信器2は、
図7に図示したように、供回り防止翼24の羽根体に設置されている。
【0075】
送信器2は、供回り防止翼24の羽根体24aに形成された穴内に設置されている。この供回り防止翼24の羽根体と羽根面は、掘削土と地盤改良材に常に接触しているので、送信器2は、羽根面又は羽根内に埋め込むように配置し、ビス等の機械的な固着手段で固定される(図示せず。)。送信器2は、供回り防止翼24の羽根面に固定されているので、供回り防止翼24が回転すると、送信器2はそれと共に回転する。
【0076】
第1送信電極4は、供回り防止翼24の羽根体24aの回転ロッド17側の端部、例えば、半円筒体24b内に設置され、送信器2の本体と導線で接続される。この導線は、羽根体24aの中に形成した溝に設置されるか、羽根体24aの表面に固定される。例えば、この導線は、供回り防止翼24の表面に接着材等で固定される。このように、第1送信電極4は供回り防止翼24と軸受け26を介して、回転ロッド17と電気的に接続するように設置される。
【0077】
第2送信電極5は第1送信電極4(
図3、
図7)から所定距離離れた箇所に設置されるが、供回り防止翼24及び回転ロッド17と電気的に接続しないように設置するため、第2送信電極5は供回り防止翼24に絶縁体を介して設置される。送信器2と第2送信電極5を接続する導線は、供回り防止翼24の表面に接着材等で固定されている。
【0078】
図7には、送信器2の他の設置例として、羽根体24aを固定しているボルト24cに近い位置に送信器2を配置しているが、2枚の羽根体24aの接合部に空所を設け、この内部に送信器2を収納する例である。また、2枚の羽根体24aの片方のみに、又は半円筒体24bに空所を設け、この内部に送信器2を収納する。送信器24は、可能な限り地盤改良材等の流動を妨げないよう、羽根面から突出しないように設置したものが好ましい。又掘削土が侵入しないように、充填材、シール材等でシールする構造が好ましい。
【0079】
図8は、送信器2の他の設置例として、羽根体24aの表面に送信器2を配置したものである。送信器2は、羽根面に穴を形成しその中に埋め込むように固定して配置し、ビス等の機械的な固着手段で固定される(図示せず。)。また、送信器2は、羽根面に接着材で固定しても良く、この場合、追加部品が必要なく安価になる。
【0080】
〔試験測定〕
以下、本発明の地盤改良・掘削データ通信装置1を備えた地盤改良機10において、データ送信試験を行った結果を説明する。上述の説明した
図4に図示した構成の送信器2を用い、送信機2を共回り防止翼24の中に穴を形成して設置し試験を行った。試験には、動作周波数であるキャリア周波数を1kHz,3kHz,5kHz,10kHz,20kHzに設定してデータ送信試験を行った。
【0081】
受信側は、オシロスコープと受信器3で信号を受信し分析した。結果として、送信信号を良好な感度で受信することができた。この試験において、第1送信電極4は、
図8に図示したように、共回り防止翼24に接触するように配置された。第2送信電極5は、共回り防止翼24とナイロン樹脂のキャップにより絶縁されて設置されている。第1受信電極6は、地盤改良機10のクローラー13(
図2を参照。)と接触して設置した。
【0082】
第2受信電極7は、地盤改良機10の近くの地面と接触し、例えば、地面に打ち込んだ金属製のアングルに接続させた(
図2を参照。)。これにより、第1送信電極4、回転ロッド17、地盤改良機10、第1受信電極6は、ほぼ等電位になる。地盤改良機10によって、6m地下まで攪拌翼と共回り防止翼24を利用し掘削し、通信試験を行った。この試験を行った地盤の地下の地質は、砂や粘土であり含水率が低い状態であったため、高比抵抗の地面であり、電位差が付き易く信号受信が受信し易い条件であった。
【0083】
また、加速度と地磁気等のセンサーで検知した検知データを、送信器で受信し、この受信したデータを強度による2値変調(on、off変調)を行い、送信した実験を行った。この実験では1.5kHz、10kHz、20kHzの搬送波を利用し、第1送信電極、第2送信電極でデータを送った。地上では、第1受信電極と第2受信電極で受信したデータを増幅器(アンプ)で増幅し、オシロスコープで計測した。
【0084】
この実験結果は、
図9~
図12に図示したデータであり、詳しくはオシロスコープによるデータの受信結果である。オシロスコープの入力電極を第1受信電極6と第2受信電極7によって検知した信号を増幅してオシロスコープで受信した信号をディスプレイに表示して確認した。オシロスコープでは、受信信号をFFT分析し結果を見ると、キャリア周波数の箇所が他の周波数より受信レベル(電圧)が高い結果が得られており、データが受信できていることが確認できた。
【0085】
図9~
図12は、キャリア周波数をそれぞれ1kHz、5kHz、10kHz、20kHzに設定して行った試験のデータ結果である。但し、
図9と
図10は地盤改良機のエンジン回転中に、
図11は掘削工具18を降下しながら(供回り防止翼24を降下しながら)、
図12は掘削工具18を止めた時に行った試験のデータ結果である。
図9~
図12において、この各図(a)は受信信号を示したもので、横軸は時間を示し、縦軸は信号振幅(V)を示す。
図9~
図12において、この各図(b)は夫々の図(a)の信号を高速フーリエ変換(FFT)したものであり、横軸は周波数を、縦軸は信号振幅を示している。
【0086】
図9(b)~
図12(b)に示したように、キャリア周波数で良好な受信感度が得られている。また、
図10(b)に矢印で図示したように地盤改良機10のモータによるノイズ、
図11(b)に矢印で図示したように現場(工場)のノイズ等の特定の設備等から発生した信号を受信している。
【0087】
上述の試験結果からみると、本発明の地盤改良・掘削データ通信装置1を用いて、地盤改良中に検知データを送信し、地上で受信することができた。
【0088】
〔第2の実施の形態〕
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。本発明の第2の実施の形態は上述の本発明の第1の実施形態と基本的に同じであり、異なる部分についてのみ説明する。本発明の第2の実施の形態において、第1受信電極6’は、
図1及び
図2に図示したように、掘削穴28の地表付近に設置される。従って、第1受信電極6’は、回転ロッド17から離れて設置される。
【0089】
また、第1受信電極6’の設置位置は回転ロッド17との距離が第2受信電極7より短いので、第2受信電極7とも所定距離離れて設置されることになる。よって、第1受信電極6’と第2受信電極7が離れて設置されるので、電位差が生じ、送信器2からの送信信号を受信できる。
【0090】
〔第3の実施の形態〕
以下、本発明の第3の実施の形態について説明する。本発明の第3の実施の形態は、上述の本発明の第1及び第2の実施形態と基本的には同じ配置、機能であり、異なる部分についてのみ説明する。本発明の第3の実施の形態の地盤改良・掘削データ通信装置1は、
図18及び
図19に図示したように、供回り防止翼24の支持体24eには、この円筒孔24dの近傍に設置した送信器2、支持体24eの外面に設置した第2送信電極5と絶縁体5aからなる。
【0091】
送信器2の第1送信電極4(
図8参照)は、供回り防止翼24に、詳しくは供回り防止翼24の羽体24a、支持体24e等に接続される。第2送信電極5は、供回り防止翼24に絶縁体5aを介して設置されている。この第2送信電極5は、箱型の形状を成している。第2送信電極5は、材質が金属であり、好ましくは鉄鋼製が良い。絶縁体5aは、同じく箱型の形状をしている。
【0092】
絶縁体5aは、電気的に絶縁性のものであれば任意の材料を利用することができる。例えば、絶縁体5aは、絶縁性のあるナイロン等のエンジニアリングプラスチックを利用することができる。第2送信電極5は、供回り防止翼24の外面(外部)に絶縁して設置される。詳しくは、第2送信電極5は、供回り防止翼24の支持体24eの上下に、又は、羽体24aの任意の外面に絶縁して設置される。
【0093】
図19に図示したように、供回り防止翼24は、軸受26(
図3)に固定される支持体24eと、これに固着された羽体24aからなる。
図19に図示したように、支持体24eは中心が中空でその外側は矩形であり、その中間部が 軸受26に合致する円筒孔24fを有する。支持体24eの角部に羽体24aの端部が固定されている。回転ロッド17の軸線に沿った24eの高さは、羽体24aの高さ以上である。
【0094】
支持体24eの中空部に、送信器2が設置されている。
図19に図示したように、支持体24eの角部の上部に、絶縁体5aが設置され、その上に中央部に第2送信電極5が設置されている。絶縁体5aと第2送信電極5が一体になっており、支持体24eにはボルト用穴5bにボルト等によって、固定される。図示しないが、支持体24eの角部の下部又は、羽体24aの上下若しくは側面に、絶縁体5aと第2送信電極5が同様に設置されることができる。
【0095】
このような 本発明の第3の実施の形態の地盤改良・掘削データ通信装置1を用いて行ったデータ送受信の試験結果を以下に示す。ここで、送信器2は、通信用ボードを用いた。第2送信電極5は、幅40mm、長さ50mm、高さ(厚さ)25mmの寸法を有する鋼鉄製の電極を利用した。絶縁体5aは、幅80mm、長さ50mm、高さ(厚さ)25mmの寸法を有するMCナイロン(登録商標)を利用した。
【0096】
共回り防止翼24の支持体24eの中に送信器2を入れ、その電極の一方は第2送信電極5、他方は共回り防止翼24に接続した。受信側の受信器3の電極は、片方は地盤改良機10、もう片方は地盤改良機10の周りに配置したアースと接続し、送信器2からのデータを受信した。
【0097】
また、比較試験として、送信器2は、比抵抗計測用に複数の箇所に比抵抗計測用電極を設置した。比抵抗計測用電極は、羽根体24aの最先端に4個、羽根体24aの支持体24e側の上部に4個を設置した。
【0098】
受信器3は、メイン受信用に、ゲインで約20?90倍の増幅器を使用した。受信器3は、比較試験の受信用に、フィルター、通信用ボードを用いた。通信用ボードの中にはフィルターが内蔵されている。本試験では、受信データは2回フィルターを通る場合と(表1のフィルターありの場合)、通信用ボードの内蔵フィルターだけ(表1のフィルターなしの場合)の場合の2パターンで試験した。
【0099】
また、送信器2は5秒ごとに時刻データと数字データを送信した。受信器3では、フィルターは、10倍の増幅器で入力した後に、7kHz中心波長で5-12kHzの信号を通すもので、5倍の増幅器を通して出力する。よって、フィルターは、受信信号強度は、5kHz波長で2/3、15kHz波長で1/3になっていた。
【0100】
詳しくは、送信信号は、送信器2から出力され、第2送信電極5、地面、アースを通り、受信器3で受信される(第1ルート)。送信信号は、送信器2から出力され、供回り防止翼24、回転ロッド17、地盤改良機10を通って受信器3で受信される(第2ルート)。受信器3において、受信信号は、増幅器(マイクロアンプ)、フィルターを通り受信器3で受信され、電子計算機(コンピュータ)へ出力され、 電子計算機で受信信号を解析する。
【0101】
受信側において、掘削作業を行っている地盤改良機10に設置した第1受信器6、地盤改良機10から離れた位置2箇所に設置した第2受信電極7を利用した(
図2を参照)。2箇所の第2受信電極7は、受信器3にアースとして接続される。よって、地盤改良機10を稼働させ、地下3mまで下降と上昇して掘削し通信テストを行った。
【0102】
次の表1にこの通信テストの条件と、データ再現率を示している。表1の第1欄は、試験の名称を示し、第2欄は、試験で利用した電極の種類を、第3欄は受信時のフィルターの有無を、第4欄は掘削の向きを、第5欄はデータの再現率を示す。試験の名称が試験1-4は、電極の種類が蓋電極、言い換えると絶縁体5aを有する第2送信電極(
図18)を利用するもので、試験5-8(比較試験)は、電極の種類が比抵抗計測用電極を利用するものである。
【0103】
データの再現率とは、送信器2で送信したデータを、受信機3で受信して出力するデータを比較し、再現された度合いを示すものである。また、下の表1は、それぞれの電極で、フィルター有り無し、掘削の向きによるデータ再現率(受信率)を表したものである。データ再現率とは、5秒ごとに送信されるデータが受信側で再現されたかを表したもので、数分間計測して推定している。
【0104】
結果として、試験1と試験2、つまり本実施の形態の第2送信電極5を利用して送信し、受信側でフィルター無しが最もデータ再現率が高かった。また、フィルター有りの方がデータ再現率が低い結果となり、フィルターで測定データの位相がずれたため、再現率が低くなったと考えられる。
【表1】
【0105】
〔第4の実施の形態〕
以下、本発明の第4の実施の形態について説明する。本発明の第4の実施の形態は、上述の本発明の第1乃至第3の実施形態と基本的には同じ配置、機能であり、異なる部分についてのみ説明する。本発明の第4の実施の形態の地盤改良・掘削データ通信装置1は、
図20に図示したように、供回り防止翼24の支持体24eに設置した環状の第2送信電極5と絶縁体5aからなる。
【0106】
図20(a)は、第2送信電極5と絶縁体5aが設置された供回り防止翼24の支持体24eを図示しており、
図20(b)は
図20(a)に図示したA-A断面の断面図である。
図20(a)には、供回り防止翼24の羽体24a(
図19を参照。)を図示せず省略している。本例では、第2送信電極5と絶縁体5aは、環状(リング状)の形状をしており、第2送信電極5は、
図20(a)に図示したように、支持体24eの円筒部24e’の外周に、絶縁体5aを介して、設置される。
【0107】
円筒部24e’の内面は上述の円筒孔24fである。
図20(b)は、
図20(a)に図示した支持体24e、それに設置された第2送信電極5と絶縁体5aのA-A断面を示す図である。
図20(b)に図示したように、支持体24eと絶縁体5aの断面はL字形であり、第2送信電極5の断面は四角形である。第2送信電極5は、絶縁体5aにボルト5cで固定され、一体になっている。
【0108】
第2送信電極5と絶縁体5aの一体は、特に、絶縁体5aはボルト5d等で支持体24eに固定される。第2送信電極5の支持体24e側の2面は、絶縁体5aによって支持体24eと絶縁されているので、直接的に電気的に接続されない。第2送信電極5は材質が金属であり、好ましくは鉄鋼製が良い。
【0109】
絶縁体5aは、電気的に絶縁性のものであれ任意の材料を利用することができる。例えば、絶縁体5aは、絶縁性のあるナイロン等のエンジニアリングプラスチックを利用することができる。第2送信電極5は送信器2に接続されるので、上述の第3の実施の形態の第2送信電極5と同様の働きをするので、詳細な説明は省略する。
【0110】
〔その他の実施の形態〕
本発明は、土木工事の機械攪拌工法、高圧噴射工法、非開削工法に用いられる、地盤改良機、掘削機等の機械に利用され、特に地盤の状況、地盤中の掘削土の特性、撹拌翼の動作状況等を監視するために利用される。上述の例では、地盤改良機を例に説明したが、非開削掘削機等の土木用機械に搭載して利用することができる。
【符号の説明】
【0111】
1…地盤改良データ通信装置
2…送信器
3…受信器
4…第1送信電極
5…第2送信電極
5a…絶縁体
6…第1受信電極
7…第2受信電極
8…センサー
9…電子計算機
10…地盤改良機
11…(地盤改良機の)本体
12…運転台
13…クローラー
14…アウトリガー
15…ガイド本体
16…リーダー
17…回転ロッド
18…掘削工具
19…回転駆動部(駆動モータ)
20…油圧シリンダー
21…案内台
22…削穴ビット
23a,23b…攪拌翼
24…供回り防止翼
25…吐出穴
26…軸受
27…支持体
28…掘削穴
29…電極用穴
30…A/D変換部
31…信号発振部
32…信号処理部
33…増幅部
34…送信部
40…受信部
41…増幅部
42…HPF
43…LPF
44…増幅部
45…同期部
46…信号処理部
47…LPF
50…増幅部
51…整流部
52…LPF・増幅部
53…コンバータ
54…1/2分周部
55…PLL
56…CNT