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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042065
(43)【公開日】2022-03-14
(54)【発明の名称】練習具
(51)【国際特許分類】
   G09B 15/06 20060101AFI20220307BHJP
   G10G 7/00 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
G09B15/06
G10G7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147243
(22)【出願日】2020-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】596030634
【氏名又は名称】株式会社ドリーム
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】浅山 智幸
【テーマコード(参考)】
5D182
【Fターム(参考)】
5D182CC10
(57)【要約】
【課題】所定の対象物の適切な掴み方の練習を行うことができる練習具を提案する。
【解決手段】使用者が所定の対象物の掴み方を練習するための練習具は、本体と、少なくとも1つの案内部と、を備える。本体は、使用者の手により把持可能である。少なくとも1つの案内部は、本体に形成される、凹凸形状により手指を所定の位置に案内する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が所定の対象物の掴み方を練習するための練習具であって、
前記使用者の手により把持可能な本体と、
前記本体に形成される、凹凸形状により手指を所定の位置に案内する少なくとも1つの案内部と、を備える、練習具。
【請求項2】
請求項1に記載の練習具であって、
前記少なくとも1つの案内部は、手指及び掌を所定の位置に案内するように構成されている、練習具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の練習具であって、
前記本体は中空状であり、かつ、弾性を有しており、
さらに、前記本体に形成される通気孔であって、前記本体における手指を配置すべき位置に形成され、前記位置に手指を置いた場合に該手指によって封鎖される、少なくとも1つの通気孔を備える、練習具。
【請求項4】
請求項3に記載の練習具であって、
前記少なくとも1つの通気孔は、前記本体の表面に形成された突起の先端を通過するように形成される、練習具。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の練習具であって、
前記本体は、該本体の表面における所定領域を使用者が視覚的に認識できるような外観の形態となっており、
前記本体が前記使用者を基準とした適切な位置及び角度にあるとき、前記所定領域が前記使用者から所定の態様で視認されるように構成されている、練習具。
【請求項6】
請求項5に記載の練習具であって、
前記所定領域は、前記本体が前記使用者を基準とした適切な位置及び角度にあり、かつ、前記使用者の手指が前記本体における手指を配置すべき位置にあるときに、前記使用者から前記所定の態様で視認される、練習具。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の練習具であって、
当該練習具は、弦楽器の運指を練習するためのものである、練習具。
【請求項8】
請求項7に記載の練習具であって、
前記本体には、弦に対応する位置に弦を模した形状の弦形部が形成されている、練習具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用者が所定の対象物の掴み方を練習するための練習具に関する。
【背景技術】
【0002】
楽器演奏をはじめとする様々な分野において、所定の対象物の掴み方を習得するために練習が必要となる場面がある。このような練習は、対象物の実物を用いずに行うことができると、練習場所や練習時間の制限が少なくなる可能があるため好ましい。特許文献1には、弦楽器の運指を練習するための携帯用指練習ボードが開示されている。この携帯用指練習ボードは、弦楽器を模した弦を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭54-83527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の携帯用指練習ボードは、弦楽器の形を模したものにすぎない。そのため、弦楽器の掴み方に慣れることはできたとしても、適切な指の置き方を案内することはできなかった。
【0005】
本開示の目的は、所定の対象物の適切な掴み方の練習を行うことができる練習具を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、使用者が所定の対象物の掴み方を練習するための練習具であって、本体と、少なくとも1つの案内部と、を備える。本体は、使用者の手により把持可能である。案内部は、本体に形成される、凹凸形状により手指を所定の位置に案内する。
【0007】
このような構成であれば、案内部の凹凸形状に手指が当接することによって手指が適切な位置に案内される。手指が実際に案内部に当接するため、例えば、正しい手指の位置を映像や他人の動作を見て確認しながら、自らの手指を正しい位置に配置しようとする場合と比較して、簡便かつ高精度に手指を適切な位置に案内できる。よって、当該練習具を用いることで、所定の対象物の適切な掴み方の練習を行うことができる。
【0008】
なお、ここでいう掴み方とは、所定の対象物に対して手指を適切な位置に配置することを広く意味する。よって、必ずしも対象物を強い圧力で握ったり、対象物を掴みつつ持ち上げたりするような掴み方に限られない。
【0009】
上述した練習具において、少なくとも1つの案内部は、手指及び掌を所定の位置に案内するように構成されていてもよい。このような構成であれば、手指のみでなく、掌の位置までも案内することができるため、対象物の掴み方をより正しく案内することができる。
【0010】
また上述した練習具において、本体は中空状であり、かつ、弾性を有していてもよい。さらに、本体に形成される通気孔であって、本体における手指を配置すべき位置に形成され、位置に手指を置いた場合に手指によって封鎖される、少なくとも1つの通気孔を備えてもよい。
【0011】
このような構成であれば、手指で通気孔を封鎖することで、本体に力を加えて握ったときの変形具合が変化する。したがって、その変形具合によって、通気孔が封鎖されているか否か、すなわち正しく手指を配置しているかどうかを使用者が認識することができる。
【0012】
また上述した練習具において、少なくとも1つの通気孔は、本体の表面に形成された突起の先端を通過するように形成されてもよい。このような構成であれば、触感により通気孔の位置を認識することができるため、手指を通気孔に合わせることで対象物をより正しい態様で握ることができるようになる。
【0013】
また上述した練習具において、本体は、本体の表面における所定領域を使用者が視覚的に認識できるような外観の形態となっていてもよい。本体が使用者を基準とした適切な位置及び角度にあるとき、所定領域が使用者から所定の態様で視認されるように構成されていてもよい。
【0014】
このような構成であれば、使用者は、握った練習具の当該使用者を基準とした適切な位置を認識することができる。これにより、たとえば腕全体や掌を適切な位置として練習具を掴むことができ、より対象物の実際の操作に近い練習を行うことができる。
【0015】
また上述した練習具において、所定領域は、本体が使用者を基準とした適切な位置及び角度にあり、かつ、使用者の手指が本体における手指を配置すべき位置にあるときに、使用者から所定の態様で視認されてもよい。このような構成であれば、腕や掌の位置及び角度のみでなく、手指の配置までも含めて適切であるか否かを視覚的に認識することができる。
【0016】
また上述した練習具において、当該練習具は、弦楽器の運指を練習するためのものであってもよい。このような構成であれば、弦楽器の運指の練習を実行することができる。さらに、本体には、弦に対応する位置に弦を模した形状の弦形部が形成されていてもよい。このような構成であれば、使用者は手指で弦の位置を覚えることができ、実際の弦楽器において弦を操作する感覚に近い状態で練習を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1Aが実施形態の練習具の正面図であり、図1Bが平面図であり、図1Cが底面図であり、図1Dが右側面図であり、図1Eが左側面図であり、図1Fが背面図である。
図2図2A及び図2Bが、実施形態の練習具の斜視図である。
図3図3A及び図3Bが、実施形態の練習具の斜視図であって、陰影をつけることにより凹凸を明確にした図である。
図4図4A及び図4Bが、実施形態の練習具の正面図である。
図5図5A図4AのVA-VA断面図であり、図5B図4AのVB-VB断面図であり、図5C図4AのVC-VC断面図であり、図5D図4AのVD-VD断面図であり、図5E図4AのVE-VE断面図であり、図5F図4AのVF-VF断面図である。
図6図6A図4BのVIA-VIA断面図であり、図6B図4BのVIB-VIB断面図であり、図6C図4BのVIC-VIC断面図であり、図6D図4BのVID-VID断面図である。
図7】実施形態の練習具を手で掴んだ状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本開示の実施形態を図面と共に説明する。
[1.実施形態]
[1-1.練習具の構成]
図1A図3Bに、本実施形態の練習具1の外観形状を示す。この練習具1は、弦楽器の運指を練習するためのものである。より詳細には、ギターのFコードを練習するためのものである。
【0019】
練習具1は、使用者の手により把持可能な本体10を有する。本体10は、概略直方体であって、前面10a、上面10b、下面10c、右側面10d、左側面10e、後面10fを有する。これらの面は本体10の表面における概略的な位置を示すものであり、必ずしも明確な境界を有するものではない。また、各面の名称、及び、前後、左右、並びに上下の方向は、練習具1の構造を説明するために便宜的に用いるものであり、具体的な使用方法や用途を限定するものではない。本体10は、前面10a、後面10fが他の面よりも広く形成されており、前面10a及び後面10f面に、複数の案内部が形成されている。
【0020】
本体10には、凹凸形状により手指を所定の位置に案内する複数の案内部(第1案内部20、第2案内部30、第3案内部40、第4案内部50、及び第5案内部60)が形成される。以下の説明において、これら複数の案内部を総じて説明する場合には、単に案内部と記載する。ここでいう案内とは、手指を適切な位置へ導くことを意味する。本実施形態では、本体10における手指を配置すべき位置に、案内部として、周囲よりも窪んだ部分が形成されている。本体10を手で掴むと、手指は窪みの側面に触れた状態では安定せず、窪みの底面に当接するように移動する。手指を配置すべき位置が窪みの底面となるように底面の位置を設定することで、案内部による手指の適切な位置への案内が実現可能となる。
【0021】
<案内部の詳細形状>
練習具1は、左手でフィンガーボードを掴むことを想定した形状である。後面10fには、親指(母指)を案内する第1案内部20が形成されている。前面10aには、第2案内部30、第3案内部40、第4案内部50、及び第5案内部60が形成されている。第2案内部30は人差し指(示指)案内する。第3案内部40は中指を案内する。第4案内部50は薬指(環指)を案内する。第5案内部60は小指を案内する。
【0022】
図4A、4Bに示す断面による練習具1の断面図を、図5A図6Dに示す。本体10は中空状である。また本体10は、弾性を有している。本体10は、例えば、合成樹脂、ゴム、エラストマーなどにより構成することができる。
【0023】
第1案内部20は、図2B図3B及び図6Aなどに示されるように、後面10fにおいて右上から左下に向かって長さを有する窪みである。第1案内部20には、親指の腹が広く収まる。
【0024】
第2案内部30は、図2A図3A図5A-5F、及び図6Aなどに示されるように、前面10aの右側部分において上下方向に長さを有する窪みである。図5A-5Fに示されるように、第2案内部30は左右が突出して中央が窪んだ形状である。第2案内部30には、人差し指が広く収まる。
【0025】
第3案内部40は、図2A図3A図5D、及び図6Bなどに示されるように、前面10aの中央部分に形成される窪みである。図5D及び図6Bに示されるように、第3案内部40は深い窪みであり、中指を寝かして収めることができない。そのため、第3案内部40には、中指の先端が中指を立てるようにして収容される。
【0026】
第4案内部50は、図2A図3A図5B、及び図6Cなどに示されるように、前面10aの左上部分に形成される窪みである。図6Cに示されるように、第4案内部50は特に下側の側面大きく突出している。その結果、第4案内部50には薬指を寝かして収めることができない。そのため、第4案内部50には、薬指の先端が薬指を立てるようにして収容される。
【0027】
第5案内部60は、図2A図3A図5C、及び図6Dなどに示されるように、前面10aの左上部分に形成される窪みである。図6Dに示されるように、第5案内部60は特に下側の側面大きく突出している。その結果、第5案内部60には小指を寝かして収めることができず、小指は先端を立てるようにして第5案内部60に収容される。
【0028】
<弦形部>
本体10には、弦を模した形状の6つの弦形部(第1弦形部71、第2弦形部72、第3弦形部73、第4弦形部74、第5弦形部75、第6弦形部76)が形成されている。以下の説明において、これらの弦形部を総じて説明する場合には、単に弦形部と記載する。本実施形態において、弦形部は、左右に延び、上下方向の幅が薄い突条である。
【0029】
6つの弦形部は、それぞれ、ギターの弦に対応する位置において、弦の長さ方向が突条の長さ方向となるように設けられている。第1弦形部71は6弦に対応し、第2弦形部72は5弦に対応し、第3弦形部73は4弦に対応し、第4弦形部74は3弦に対応し、第5弦形部75は2弦に対応し、第6弦形部76は1弦に対応する。第1弦形部71、第5弦形部75、及び第6弦形部76は第2案内部30に位置している。第2弦形部72は第4案内部50に位置している。第3弦形部73は第5案内部60に位置している。第4弦形部74は第3案内部40に位置している。
【0030】
<通気孔>
本体10には、3つの通気孔(第1通気孔81,第2通気孔82,第3通気孔83)が形成されている。以下の説明において、これらの通気孔を総じて説明する場合には、単に通気孔と記載する。3つの通気孔は、いずれも、中空状の本体10の内部と外部とを繋ぐ孔である。また3つの通気孔は、それぞれ、本体10における手指を配置すべき位置に形成される。上記位置に手指を置いた場合に、通気孔は、該手指によって封鎖される。
【0031】
第1通気孔81は、図1f、図2Bなどに示されるように、後面10fにおける第1案内部20の底に形成される。第1通気孔81は右上から左下に向かう方向が僅かに長い長孔である。上記方向は、親指が第1案内部20に収められたときの親指の長さ方向である。この第1通気孔81は、後面10fの表面に形成された突起91の先端を通過するように形成されている。別の言い方をすると、後面10fにおける第1通気孔81の周囲は、外部に向かって突出している。
【0032】
第2通気孔82は、図2Bなどに示されるように、前面10aにおける第2案内部30に形成される。この第2通気孔82は、第1弦形部71に重畳して形成される。この第2通気孔82は、前面10aの表面に形成された突起92の先端を通過するように形成されている。別の言い方をすると、第2通気孔82の周囲は、外部に向かって突出している。突起92は、第1弦形部71の左右方向中央よりもやや右に形成されており、第1弦形部71の突出量よりも大きい。
【0033】
第3通気孔83は、第2通気孔82と同様に、前面10aにおける第2案内部30に形成される。この第3通気孔83は、第5弦形部75に重畳して形成される。この第3通気孔83は、前面10aの表面に形成された突起93の先端を通過するように形成されている。別の言い方をすると、第3通気孔83の周囲は、外部に向かって突出している。突起93は、第5弦形部75の左右方向中央よりもやや右に形成されており、第5弦形部75の突出量よりも大きい。
【0034】
<本体の配色>
図1A図3Bに示されるように、本体10の表面における所定領域11には、それ以外の領域である他領域とは異なる着色がなされている。その結果、使用者は所定領域11を視覚的に認識できる。所定領域11と他領域は、視覚的に区別できる配色であれば具体的な構成は特に限定されない。例えば、黒と白、赤と青、といったような、領域ごとに異なる単一色を有していてもよい。また、領域ごとに異なる模様が形成されていたり、鏡面加工やシボ加工のような表面処理が異なることによって視覚的に区別できるようになっていたりしてもよい。
所定領域11は、前面10aにおいては配置される手指に沿うように設けられており、また、下面10cと右側面10dの広い範囲において設けられている。
【0035】
[1-2.練習具の使用態様]
練習具1の使用態様を図7に示す。左手101で本体10を握ると、後面10fの第1案内部20(図7では示されない)に親指102をあてがい、同時に、人差し指103、中指104、薬指105、及び小指106を、前面10aのそれぞれ対応する案内部にあてがうことができる。案内部の形状に沿って手指を収めると、親指102及び人差し指103は指が伸びた状態となり、中指104、薬指105、及び小指106は指先を立てた状態となる。
【0036】
さらに、使用者が通気孔を塞ぐように意識して手指を置くことで、より正確なFコードの運指となる。全ての通気孔を適切に閉塞すると、本体10における開口した通気孔が無くなる。そのため、本体10を握ったときに空気が漏れず、容易に潰れなくなることで、強く握る練習が可能となる。また、弦形部を触ることで手指の位置が適切であるか否かを確かめることができ、同時に、正しい掴み方の場合に弦が手指のどの位置に当たるかを知ることができる。なお第1通気孔81は長孔であるため、閉塞するためには親指の腹を使って強く押さえる必要があり、それにより親指を効率的に強い力で押す練習ができる。
【0037】
実際にギターを演奏する姿勢では、左手は使用者の左前方にあり、Fコードを押さえるときは掌が使用者側を向き手首を内側に折り返した状態となる。所定領域11は、使用者が練習具1を上記のように適正に持ったときには、使用者から見えなくなる。つまり、本体10が使用者を基準とした適切な位置及び角度にあり、かつ、使用者の手指が本体10における手指を配置すべき位置にあるとき、使用者は所定領域11を視認できない。図7は、練習具1を適切に持った状態で使用者が練習具1を見た図である。下面10cが使用者の反対側を向き、前面10aの所定領域11は手指に隠されるため、所定領域11は使用者からほぼ見えない。もし、使用者から所定領域11が視認されている場合は、使用者を基準とした本体10の位置や角度が適切でないか、或いは、手指の配置が適切でない。よって、使用者は、所定領域11が見えないように、正しい位置に合わせる練習が可能となる。
【0038】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)練習具1は、Fコードの押さえ方を実現できる位置に手指を案内する複数の案内部を有する。この案内部は、凹凸形状に手指が当接することによって手指を適切な位置に案内するため、使用者が自らの手の位置が正しいかどうか視覚的に確認する場合と比較して、簡便かつ確実に適切な位置に案内できる。よって、練習具1を掴むことにより、Fコードの掴み方の練習を簡便に行うことができる。
【0039】
(1b)練習具1は、本体10が中空状で弾性を有している。また本体10には、手指を配置すべき位置に複数の通気孔が形成されている。そのため、手指で全ての通気孔を封鎖した状態で本体10に力を加えて握っても本体10が圧縮しにくい。したがって、使用者は、本体10の状態に基づいて、通気孔を適切に封鎖できるように正しく手指を配置しているかどうかを認識することができる。また、通気孔を封鎖した状態で本体10を強く握るトレーニングを行うことが可能となる。
【0040】
通気孔は突起の先端を通過するように設けられているので、手指にて通気孔を塞ぐことが容易になるとともに、触感により通気孔の位置を認識することができるため、手指を通気孔に合わせることで正しい態様でFコードの掴み方の練習を行うことができる。
【0041】
(1c)練習具1の本体10には、弦に対応する位置に弦を模した形状の弦形部が形成されている。そのため、使用者は手指で弦の位置を覚えることができ、実際のギターにおいてFコードを押さえる感覚で練習を行うことができる。また、弦形部を指先等で押さえることで、指先を鍛えることができる。
【0042】
(1d)練習具1は、使用者の手指が適切な位置に配置され、かつ、練習具1が使用者を基準とした適切な位置及び角度にあるときに、所定の配色が為された所定領域11が視認できなくなる。そのため、使用者は、腕や掌の位置及び角度が正しく、かつ、掴み方が正しいか否かを視覚的に認識することができ、実際にギターを用いてFコードを押さえる操作に近い練習を行うことができる。
【0043】
[2.その他の実施形態]
以上本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0044】
(2a)上記実施形態では、ギターのFコードの運指を練習するための練習具1を例示した。しかしながら、使用者が所定の対象物の掴み方を練習するための練習具であれば、その具体的な対象物は特に限定されない。ここでいう掴み方とは、所定の対象物に対して手指を適切な位置に配置することを広く意味する。よって、必ずしも対象物を強い圧力で握ったり、対象物を掴みつつ持ち上げたりするような掴み方に限られない。
【0045】
所定の対象物とは、例えば、撥弦楽器や擦弦楽器などの弦楽器であってもよい。つまり練習具は、ギターのFコードに限られず、広く弦楽器の練習に用いられる練習具として構成されていてもよい。また、バレーコードの練習に用いられる練習具として構成されていてもよい。
【0046】
また、楽器以外の練習用に用いられてもよい。例えば、所定の対象物とは、スポーツ用具であってもよい。スポーツにおいて用具に対して適切な掴み方が求められるものの例として、ゴルフクラブ、ラケット、野球のボール、バットなどが挙げられる。これらは、握り方によりパフォーマンスが変化するものである。また、按摩マッサージや指圧などの人体の一部を掴む行為、食品材料を所定の形状や固さに握る調理行為などを対象としてもよい。
【0047】
(2b)上記実施形態では、練習具1は、凹凸形状により手指の位置を案内する案内部と、手指のより適切な位置を認識させる通気孔と、手指の配置及び手の角度を案内する外観形態としての配色と、弦の位置を明瞭に示す弦を模した形状の弦形部と、を本体が有する構成を例示した。しかしながら、練習具は、上述した全ての特徴を有しているものに限定されない。例えば、通気孔、外観形態、及び弦形部は設けられていなくてもよい。また、通気孔及び弦形部を設ける場合、その数は特に限定されず、1つ以上の様々な数を配置できる。ところで、上述した通気孔、外観形態、及び弦形部は、それぞれ単独でも機能を発揮できるが、本開示のように凹凸形状を有する案内部と組み合わせると、相乗効果を得ることができる。
【0048】
(2c)上記実施形態では、5つの案内部(20,30,40,50,60)が、それぞれ異なる手指を案内する構成を例示した。しかしながら、案内部の構成はこれに限定されない。練習具は少なくとも1つの案内部を有していればよく、案内部の数は特に限定されない。また案内部は、手指のみでなく、掌を所定の位置に案内するように構成されていてもよい。このような構成であれば、手指のみでなく、掌の位置までも案内することができるため、対象物の握り方をより正しく案内することができる。また、1つの案内部が、例えば2本以上の手指の位置を案内するように構成されていてもよい。
【0049】
(2d)上記実施形態では、複数の案内部はいずれも周囲よりも凹んだ位置に手指を案内する構成を例示した。しかしながら、使用者が触感により適切な位置を認識することができれば、案内部は周囲よりも突出した凸状の部分によって手指を案内してもよい。例えば、練習具1の案内部が仮に全て凸状であったとしても、使用者は触感により適切な位置を認識することができる。なお、実施形態のような凹状であれば、握る力を加えたときに適切な位置に手指が収まり易く都合がよい。
【0050】
(2e)上記実施形態では、本体の表面に形成された突起の先端を通過するように通気孔(81、82、83)が設けられる構成を例示した。しかしながら、通気孔は、突起が形成されていない位置に設けられていてもよい。また、通気孔の位置を案内するために、本体に段差や突条などの触感により位置を認識するための構成が形成されていてもよい。
【0051】
(2f)上記実施形態では、本体10における所定領域11の配色によって、手指の配置及び本体10の位置や角度が適切であるかを使用者が認識可能とする構成を例示した。しかしながら、本体10が使用者を基準とした適切な位置及び角度にあるとき、所定領域が使用者から所定の態様で視認されるような外観の形態となっていれば、その具体的な所定領域の位置や形態は特に限定されない。また、さらに使用者の手指が本体10における手指を配置すべき位置にあることも所定の態様で視認される条件に加えられていてもよい。
【0052】
例えば、本体の上面10bにラインが引かれており、本体10が使用者から見て正しい角度となったときにそのラインが直線状に視認できるように構成されていてもよい。また、視覚的に認識できるものであれば、凹凸、文字、マークなど、様々な形態を利用できる。
【0053】
(2g)上記実施形態では、本体は、中空状である弾性体である構成を例示した。しかしながら、本体の具体的な態様はこれに限定されない。例えば、本体は弾性の小さいプラスチック、金属、木材などにより生成され、本体が大きな弾性を有していなくてもよい。また例えば、本体は弾性を有する発泡樹脂などで構成され、大きな内部空間を有さなくてもよい。
【0054】
(2h)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…練習具、10…本体、10a…前面、10b…上面、10c…下面、10d…右側面、10e…左側面、10f…後面、11…所定領域、20…第1案内部、30…第2案内部、40…第3案内部、50…第4案内部、60…第5案内部、71…第1弦形部、72…第2弦形部、73…第3弦形部、74…第4弦形部、75…第5弦形部、76…第6弦形部、81…第1通気孔、82…第2通気孔、83…第3通気孔、91,92,93…突起、101…左手、102…親指、103…人差し指、104…中指、105…薬指、106…小指。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7