(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042088
(43)【公開日】2022-03-14
(54)【発明の名称】除菌又は消臭用シート
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20220307BHJP
B32B 7/02 20190101ALI20220307BHJP
【FI】
A61L9/01 H
A61L9/01 M
A61L9/01 K
B32B7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147287
(22)【出願日】2020-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】318011174
【氏名又は名称】株式会社アンティバックマーケティング
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 真弓
【テーマコード(参考)】
4C180
4F100
【Fターム(参考)】
4C180AA02
4C180AA07
4C180BB03
4C180BB04
4C180BB06
4C180BB08
4C180BB15
4C180CC17
4C180EB05X
4C180EB06Y
4C180EB16X
4C180EB16Y
4C180EC01
4C180MM10
4F100AH08A
4F100AK01D
4F100AR00C
4F100AT00B
4F100AT00D
4F100GB66
4F100JC00A
4F100JD14A
4F100JL13C
(57)【要約】
【課題】効果的に除菌又は消臭が可能なシートの提供。
【解決手段】本発明に係るシート2は、除菌剤又は消臭剤を含有する薬液と、薬液を保持する保持層12と、粘着層18と、保持層12と粘着層18との間に位置する遮蔽層16とを備える。好ましくは、本シート2はマスク6の内面に貼り付けられて使用される。好ましくは、遮蔽層16は、薬液を通過させない樹脂組成物の層を含む。好ましくは、薬液は、消臭剤と、除菌剤と、可溶化剤と、消臭剤のキレート剤とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除菌剤又は消臭剤を含有する薬液と、前記薬液を保持する保持層と、粘着層と、前記保持層と前記粘着層との間に位置する遮蔽層とを備えるシート。
【請求項2】
マスクの内面に貼り付けられて使用される、請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記遮蔽層が、前記薬液を通過させない樹脂組成物の層を含む、請求項1又は2に記載のシート。
【請求項4】
前記薬液が、前記除菌剤と前記消臭剤と前記消臭剤のキレート剤と可溶化剤とを含有する、請求項1から3のいずれかに記載のシート。
【請求項5】
前記消臭剤がリシノール酸亜鉛である、請求項1から4のいずれかに記載のシート。
【請求項6】
前記除菌剤がN-アルキルアミノプロピルグリシンである、請求項1から5のいずれかに記載のシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除菌剤又は消臭用のシートに関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルスや菌の体内への侵入を防ぐために、マスクに対する需要が高まっている。マスクは、口及び鼻を覆う本体と、マスクを耳に架けるための架け部とを備える。本体は、通常不織布やガーゼ等の織布からなる。
【0003】
マスクは、使用しているうちに、雑菌が繁殖したり臭いを発したりすることがある。これを防止するために、マスクに貼って使用する、除菌又は消臭効果を有するシートが使用されることがある。例えば、特開2020-76196公報には、保水層と粘着層とを有する、マスク用の鼻用保湿材が報告されている。この保湿材は、芳香成分又は抗菌成分を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
より効果的に除菌又は消臭が可能なシートが求められている。
【0006】
本発明の目的は、効果的に除菌又は消臭が可能なシートの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシートは、除菌剤又は消臭剤を含有する薬液と、前記薬液を保持する保持層と、粘着層と、前記保持層と前記粘着層との間に位置する遮蔽層とを備える。
【0008】
好ましくは、本シートはマスクの内面に貼り付けられて使用される。
【0009】
好ましくは、前記遮蔽層は、前記薬液を通過させない樹脂組成物の層を含む。
【0010】
好ましくは、前記薬液は、前記除菌剤と前記消臭剤と前記消臭剤のキレート剤と可溶化剤とを含有する。
【0011】
好ましくは、前記消臭剤はリシノール酸亜鉛である。
【0012】
好ましくは、前記除菌剤はN-アルキルアミノプロピルグリシンである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るシートでは、保持層は、除菌剤又は消臭剤を含有する薬液を保持する。この保持層と粘着層との間に、遮蔽層が位置している。遮蔽層は、保持層からの薬液の漏れを効果的に抑制する。このシートでは、除菌又は消臭効果が長く保持されうる。このシートでは、効果的な除菌又は消臭が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るシートが台座フィルムに配置された、斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のシートがマスクに貼られた状態が示された、正面図である。
【
図3】
図3は、
図1のシートのIII-III線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0016】
図1には、本発明の一実施形態に係るシート2が示されている。この図では、複数のシート2が、台座フィルム4に載せられている。それぞれのシート2の平面形状は、円である。シート2の平面形状は円でなくてもよい。シート2の平面形状は楕円でもよく、矩形であってもよい。シート2の平面形状が、他の多角形であってもよい。シート2は、使用時に台座フィルム4から剥がされて、対象物に貼り付けられる。典型的な対象物は、感染症の予防や異物の吸入防止等のために、人が顔に付けて使用するマスクである。
【0017】
図2は、本シート2がマスク6に貼り付けられた状態が示された、正面図である。このマスク6は、本体8と、本体8に固定された一対の架け紐10とを備える。本体8は、通常不織布又はガーゼ等の織布からなる。本シート2は、本体8の内側面(使用者の顔に対向する面)に貼り付けて使用される。本シート2が本体8に貼り付けられる位置に、特に制約はない。使用者は、所望の位置に本シート2を貼り付ける。例えば、使用者は、呼吸の邪魔にならない位置に、本シート2を貼り付けて使用する。
【0018】
なお、この実施形態では、シート2の直径は2.9cmである。シート2の直径は、2.9cmよりも大きくてもよく、小さくてもよい。シート2の大きさ、形状、及び対象物に貼り付けるシート2の数は、対象物により適宜変更されうる。
【0019】
図3は、
図1のシート2の、III-III線に沿った断面図である。この図では、シート2の断面の一部が示されている。この図では、台座フィルム4の断面も示されている。
【0020】
図3で示されるように、シート2は、複数の層が積層された構造を有する。この実施形態では、シート2は、保持層12、接着層14、遮蔽層16、第一粘着層18、支持層20及び第二粘着層22を備える。
図3では明示されていないが、本シート2は、除菌剤又は消臭剤を含有する薬液を備えている。薬液は、保持層12に保持されている。
【0021】
保持層12は、液体を保持する機能を有する。この実施形態では、保持層12に薬液が染み込まされている。この実施形態では、保持層12は、レーヨン繊維からなる不織布である。不織布の材質が、他の合成繊維であってもよい。保持層12は、織布であってもよい。織布の材質は、木綿、ウール等の天然素材でもよく、合成繊維でもよい。保持層12が、脱脂綿を含んでいてもよい。保持層12が、これらの不織布や織布の層が複数重ねられた構造を有していてもよい。保持層12は、保水性に優れたシート2状の層であればよい。
【0022】
接着層14は、保持層12と遮蔽層16とを接着する。接着層14は、保持層12及び遮蔽層16より、融点の低い樹脂組成物よりなる。この実施形態では、接着層14は、ポリエチレン(PE)を基材とする樹脂組成物からなる。接着層14は、PEを基材とした樹脂組成物でなくてもよい。接着層14が、通常の接着剤であってもよい。接着層14は、保持層12と遮蔽層16とを接着できればよい。
【0023】
遮蔽層16は、薬液の通過を阻害する。遮蔽層16は、薬液を通過させない樹脂組成物からなる。好ましくは、遮蔽層16は、薬液と反応しない樹脂組成物からなる。この実施形態では、遮蔽層16は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を基材とする樹脂組成物からなる。遮蔽層16の材質は、PETを基材とする樹脂組成物でなくてもよい。遮蔽層16は、薬液の通過を阻害できる材質から形成されていればよい。
【0024】
第一粘着層18、支持層20及び第二粘着層22は、本シート2を対象物に貼り付けるための層である。第一粘着層18及び第二粘着層22は、粘着力を有する。支持層20は、樹脂組成物からなる。この実施形態では、支持層20は、PETを基材とする樹脂組成物からなる。
図3で示されるように、第一粘着層18は、遮蔽層16と支持層20とを貼り合わせる。
図1の状態では、
図3で示されるように、第二粘着層22は、支持層20と台座フィルム4とを貼り合わせる。
図2の状態では、第二粘着層22は、支持層20とマスク6の本体8とを貼り合わせる。これにより、シート2はマスク6に貼り付けられる。
【0025】
支持層20及び第二粘着層22は、なくてもよい。この場合、
図1の状態では、第一粘着層18が遮蔽層16と台座フィルム4とを貼り合わせる。
図2の状態では、第一粘着層18が遮蔽層16とマスク6の本体8とを貼り合わせる。これにより、シート2はマスク6に貼り付けられる。
【0026】
なお、台座フィルム4は、これをシート2の第二粘着層22から剥がしても、第二粘着層22の粘着力を損ね難い材質からなる。この実施形態では、台座フィルム4は、シリコンでコーティングされたPETを基材とする樹脂組成物の層からなる。
【0027】
薬液は、除菌剤又は消臭剤を含有する。薬液では、溶媒中に、除菌剤又は消臭剤が溶解又は分散している。典型的な溶媒は、水である。この実施形態では、薬液は、除菌剤と、消臭剤と、この消臭剤のキレート剤と、可溶化剤と、溶解性促進剤とを含む。
【0028】
この実施形態では、除菌剤は、N-C10-16-アルキルトリメチレンジアミンのクロロ酢酸との反応生成物である。好ましい除菌剤は、N-アルキルアミノプロピルグリシンである。具体的には、N-アルキルアミノプロピルグリシンは、エボニックインダストリーズ AG(Evonik Industries AG)製の商品名「レウォシド(REWOCID)(登録商標)WK30」である。N-アルキルアミノプロピルグリシンは、水溶性である。好ましくは、含有されるN-アルキルアミノプロピルグリシンの、薬液全体に対する割合は、5重量%以上10重量%以下である。
【0029】
この実施形態では、消臭剤は、リシノール酸亜鉛である。具体的には、リシノール酸亜鉛は、エボニックインダストリーズ AG製の商品名「テゴ(TEGO)(登録商標)ソーブ(Sorb)A30」である。リシノール酸亜鉛は、水溶性である。好ましくは、含有されるリシノール酸亜鉛の、薬液全体に対する割合は、1重量%以上3重量%以下である。
【0030】
この実施形態では、キレート剤は、イミノジコハク酸ナトリウムである。具体的には、イミノジコハク酸ナトリウムは、バイエル社(Bayer Corporation)製の商品名「ベイピュア(Baypure)(登録商標)CX」である。好ましくは、含有されるイミノジコハク酸ナトリウムの、薬液全体に対する割合は、1.5重量%以上5重量%以下である。
【0031】
この実施形態では、可溶化剤は、パーム核油脂肪酸である。好ましくは、含有されるパーム核油脂肪酸の、薬液全体に対する割合は、10重量%以上30重量%以下である。
【0032】
この実施形態では、溶解性促進剤は、アルコール及び/又はグリコールである。好ましい溶解性促進剤として、エタノール及びジプロピレングリコールが挙げられる。好ましくは、含有されるエタノールの、薬液全体に対する割合は、3重量%以上12重量%以下であり、含有されるジプロピレングリコールの、薬液全体に対する割合は、0.5重量%以上1.0重量%以下である。
【0033】
薬液が、芳香剤をさらに含んでいてもよい。この場合、芳香剤は油性が好ましい。好ましくは、含有される芳香剤の、薬液全体に対する割合は、25重量%以下である。
【0034】
この薬液の製造では、まず溶媒に、リシノール酸亜鉛及びリシノール酸亜鉛のキレート剤が混合される。このキレートされたリシノール酸亜鉛を含む溶液に、N-アルキルアミノプロピルグリシン、可溶化剤、溶解性促進剤及び芳香剤が混合される。これにより、薬液が得られる。
【0035】
以下、本発明の作用効果が説明される。
【0036】
本発明に係るシート2では、保持層12は、除菌剤又は消臭剤を含有する薬液を保持する。この保持層12と第一粘着層18との間に、遮蔽層16が位置している。遮蔽層16は、保持層12からの薬液の漏れを効果的に抑制する。このシート2では、除菌又は消臭効果が長く保持されうる。このシート2では、効果的な除菌又は消臭が可能である。
【0037】
このシート2では、遮蔽層16が薬液の漏れを抑制するため、薬液が第一粘着層18及び第二粘着層22まで到達しない。薬液により、第一粘着層18及び第二粘着層22の粘着力が低下することが防止されている。これは、シート2の耐久性に寄与する。
【0038】
この実施形態では、前述のとおり、除菌剤は、N-アルキルアミノプロピルグリシンである。N-アルキルアミノプロピルグリシンは、高い除菌力を有する。N-アルキルアミノプロピルグリシンは、グラム陽性及びグラム陰性の細菌、酵母並びに真菌を除去に、効果を有する。さらに、N-アルキルアミノプロピルグリシンは、HBV/HIV、ワクシニア、単純ヘルペス、BVDV(ウシウイルス性下痢症ウイルス)/HC/SARS コロナウイルスなどのウイルスの除去に、効果を有する。このシート2では、効果的な除菌が可能である。
【0039】
この実施形態では、前述のとおり、消臭剤はリシノール酸亜鉛である。リシノール酸亜鉛は、高い臭気吸収力を有する。リシノール酸亜鉛は、硫化水素、メチルメルカプタン、チオエーテル、イソ吉草酸及びアンモニア等の臭気物質を化学反応によって効果的に除去する。このシート2では、効果的な消臭が可能である。
【0040】
N-アルキルアミノプロピルグリシンとリシノール酸亜鉛とを混合すると、これらが化学反応を起こし、沈殿物が形成される。この結果、N-アルキルアミノプロピルグリシンの除菌効果及びリシノール酸亜鉛の消臭効果が、いずれも大きく低下することが起こりうる。
【0041】
この実施形態では、前述のとおり、まずリシノール酸亜鉛とキレート剤とが混合され、この溶液に、N-アルキルアミノプロピルグリシン及び可溶化剤が混合される。キレートされたリシノール酸亜鉛を、可溶化剤が存在する中でN-アルキルアミノプロピルグリシンと混合することで、リシノール酸亜鉛とN-アルキルアミノプロピルグリシンとの化学反応が、効果的に抑えられる。この薬液では、沈殿物の生成が抑えられている。この薬液では、N-アルキルアミノプロピルグリシンの優れた除菌効果、及びリシノール酸亜鉛の優れた消臭効果が、維持されている。このシート2では、効果的な除菌及び消臭が可能である。
【0042】
この実施形態では、薬液は、溶解性促進剤を含有する。溶解性促進剤により、N-アルキルアミノプロピルグリシン及びリシノール酸亜鉛の溶解が、効果的に促進される。このシート2では、効果的な除菌及び消臭が可能である。
【0043】
前述のとおり、この薬液では、消臭剤とともに芳香剤を含むことができる。通常、消臭剤と芳香剤とは、共存できない。この薬液では、消臭剤としてリシノール酸亜鉛を使用している。リシノール酸亜鉛は、上記のとおり、硫化水素、メチルメルカプタン、チオエーテル、イソ吉草酸及びアンモニアを化学反応によって効果的に除去する一方で、芳香剤の香料とは反応し難い。このシート2では、悪臭を除去をしつつ、芳香剤の香りを残すことが実現されている。
【0044】
以上説明された実施形態では、本シート2は、マスク6の内側面に貼り付けられた。本シート2が、マスク以外の対象物に貼り付けられてもよい。例えば、本シート2が、衣類の内側に貼り付けられてもよい。汗をかきやすい部分において、本シート2を衣類に貼り付ける使用方法が、挙げられる。本シート2が、マスクケースに貼り付けられてもよい。本シート2が、その他の対象物に貼り付けられてもよい。
【実施例0045】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0046】
[実施例1]
溶媒である水に、リシノール酸亜鉛及びイミノジコハク酸ナトリウムを混合し、この溶液に、N-アルキルアミノプロピルグリシン、パーム核油脂肪酸、エタノール及び芳香剤を混合して、薬液を作成した。この薬液のN-アルキルアミノプロピルグリシンの含有量は10重量%、リシノール酸亜鉛の含有量は3重量%、イミノジコハク酸ナトリウムの含有量は3重量%、パーム核油脂肪酸の含有量は30重量%、エタノールの含有量は3重量%、芳香剤の含有量は20重量%とされた。この薬液0.04mlを保持層に染みこませて、実施例1のシートを作成した。このシートの直径は、2.9cmである。
【0047】
[消臭効果]
実施例1のシート10枚を容量が2Lのバッグに入れ、空気を充填して密閉した。このバッグにガスタイトシリンジで臭気成分ガスを注入した。この中身を攪拌後に2時間放置して、検査品を用意した。また、別のバッグに空気のみを入れ、同様の方法で臭気成分ガスを注入し、比較品を用意した。検査品及び比較品のそれぞれで、臭気成分の濃度をガス検知管で計測した。この結果が、表1に示されている。比較品の臭気成分の濃度は、検査品の臭気成分の濃度の初期値(2時間放置前の濃度)に相当する。なお、表1の消臭率は、以下の式で計算されている。
消臭率=(比較品の臭気成分濃度-検査品の臭気成分濃度)/比較品の臭気成分濃度
【0048】
【0049】
表1に示されるように、本シートにより、いずれの臭気成分も濃度が大幅に減少している。マスク内の臭いの原因は、口臭及び汗である。硫化水素及びメチルメルカプタンは、口臭の原因の90%以上を占めるとされる。表1のとおり、本シートによる硫化水素の消臭率は83%、メチルメルカプタンの消臭率は75%である。本シートが、マスク用に優れた消臭効果を有していることが示されている。
【0050】
[殺菌効果]
大腸菌及びサルモネラ菌の菌数が、それぞれ107cfu/mLである菌液を用意した。この菌液0.1mLを、上記実施例1の薬液を100倍に希釈した試料10mLに添加し、試験液を作成した。この試験液を5分間放置した後1mLを採取し、SCDLP寒天培地と混和し、冷却個化させて検査試料を作成した。この検査試料を温度35±1℃の培養温度で24時間保管し、検査試料での生菌数を確認した。さらに、上記実施例1の薬液の代わりに精製水を使用した他は検査試料と同様にして比較試料を作成し、同様の方法で生菌数を確認した。この結果が、表2に示されている。表2において「<10」は、生菌が検出できなかったことを示している。
【0051】
【0052】
表2に示されるように、本シート用の薬液を使用した場合、大腸菌及びサルモネラ菌ともに検出できなかった。本シートが、優れた殺菌効果を有していることが示されている。
【0053】
[皮膚への刺激性]
実施例1のシートを6枚用意し、それぞれを6名の異なる被験者(25~46歳の男女)の肘内側に貼り付けた。24時間経過後、シートを剥がして、皮膚の状態を判定した。判定は、日本接触皮膚炎学会「皮膚刺激判定用新基準」に準拠して行った。この結果、いずれの被験者にも、紅斑反応は認められなかった。
【0054】
以上説明されたとおり、このシートでは、効果的な除菌又は消臭が可能である。このことから、本発明の優位性は明らかである。