(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042211
(43)【公開日】2022-03-14
(54)【発明の名称】化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/895 20060101AFI20220307BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20220307BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220307BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20220307BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20220307BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
A61K8/895
A61K8/891
A61K8/81
A61K8/25
A61Q17/04
A61Q1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147525
(22)【出願日】2020-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】501208497
【氏名又は名称】株式会社 ナチュラル
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】吉▲崎▼ 正治
(72)【発明者】
【氏名】町田 茂
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB171
4C083AB172
4C083AB242
4C083AB442
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC342
4C083AC692
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083CC12
4C083CC19
4C083DD31
4C083DD32
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】熱的に安定であり、且つ、使用感及び耐水性に優れる化粧用組成物を提供すること。
【解決手段】(A)(メタ)アクリルシリコーン(B)ポリアクリル酸塩(C)多孔質シリカ、及び(D)ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビス-ビニルジメチコン)クロスポリマー、アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマー、セテアリルジメチコンクロスポリマー、及び、(ジメチコン/ビス-イソブチルPPG-20)クロスポリマーからなる群から選択される架橋シリコーンを含む化粧用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(メタ)アクリルシリコーン
(B)ポリアクリル酸塩
(C)多孔質シリカ
(D)ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビス-ビニルジメチコン)クロスポリマー、アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマー、セテアリルジメチコンクロスポリマー、及び、(ジメチコン/ビス-イソブチルPPG-20)クロスポリマーからなる群から選択される架橋シリコーン
を含む化粧用組成物。
【請求項2】
前記(A)(メタ)アクリルシリコーンが(アクリレーツ/アクリル酸アルキル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーである、請求項1記載の化粧用組成物。
【請求項3】
前記(B)ポリアクリル酸塩がポリアクリル酸ナトリウム及び/又はポリアクリル酸カリウムである、請求項1又は2記載の化粧用組成物。
【請求項4】
前記(A)(メタ)アクリルシリコーンが組成物の全重量を基準として0.05重量%~2.5重量%含まれている、請求項1乃至3のいずれかに記載の化粧用組成物。
【請求項5】
前記(B)ポリアクリル酸塩が組成物の全重量を基準として0.01重量%~1.0重量%含まれている、請求項1乃至4のいずれかに記載の化粧用組成物。
【請求項6】
前記(C)多孔質シリカが組成物の全重量を基準として0.5重量%~6.0重量%含まれている、請求項1乃至5のいずれかに記載の化粧用組成物。
【請求項7】
前記(D)架橋シリコーンが組成物の全重量を基準として0.1重量%~1.3重量%重量%含まれている、請求項1乃至6のいずれかに記載の化粧用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱的に安定で、且つ、使用感及び耐水性に優れる化粧用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線吸収剤を配合したクリーム等は、夏場の高温下でも安定で、汗、海水等で流されず効果が持続する必要があり、かつ、塗面が自然な外見を呈する必要がある。
【0003】
近年、特に、シリコーン成分中に水を乳化したシリコーン中水エマルション(W/Si)系であって、肌に塗布後水が蒸発すると塗布面が撥水性になる化粧料において、高温で安定で、しかも自然な仕上がりになるものが求められている。
【0004】
そこで、(ジメチコン/ポリオキシエチレン)クロスポリマー等のジメチルシリコーンポリオキシアルキレンラバーを含むシリコーン中水エマルション(W/Si)型の化粧料が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のW/Si型化粧料は、高温(特に、30℃~50℃)下及び/又は高温~低温の温度サイクルの負荷後に相分離等が発生したり、また、塗布膜にテカリ、ベタツキが生じ自然なマット感が失われたりするという問題がある。
【0007】
そこで、特に高温での安定性を向上させるために化粧料の粘度を高めることが考えられる。しかし、粘度を高めると、塗布膜が重く感じるようになり、塗布時の伸びの良さが失われる。また、厚膜感が増大し、また、テカリ、ベタツキが更に高まってしまう。
【0008】
また、従来のW/Si型化粧料は、汗等によって流されやすく、化粧効果の持続が不十分であるという問題点もある。
【0009】
本発明は、熱的に安定であり、且つ、使用感及び耐水性に優れる化粧用組成物を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、
(A)(メタ)アクリルシリコーン
(B)ポリアクリル酸塩
(C)多孔質シリカ
(D)ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビス-ビニルジメチコン)クロスポリマー、アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマー、セテアリルジメチコンクロスポリマー、及び、(ジメチコン/ビス-イソブチルPPG-20)クロスポリマーからなる群から選択される架橋シリコーン
を含む化粧用組成物によって達成することができる。
【0011】
前記(A)(メタ)アクリルシリコーンは(アクリレーツ/アクリル酸アルキル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーであることが好ましい。
【0012】
前記(B)ポリアクリル酸塩はポリアクリル酸ナトリウム及び/又はポリアクリル酸カリウムであることが好ましい。
【0013】
前記(A)(メタ)アクリルシリコーンの配合量は、組成物の全重量を基準として、0.05重量%~2.5重量%であることが好ましい。
【0014】
前記(B)ポリアクリル酸塩の配合量は、組成物の全重量を基準として、0.01重量%~1.0重量%であることが好ましい。
【0015】
前記(C)多孔質シリカの配合量は、組成物の全重量を基準として、0.5重量%~6.0重量%であることが好ましい。
【0016】
前記(D)架橋シリコーンの配合量は、組成物の全重量を基準として、0.1重量%~1.3重量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の化粧用組成物は高い熱的安定性を備える。したがって、本発明の化粧用組成物は高温下及び/又は高温~低温の温度サイクルの負荷後の相分離等の発生を抑制することができる。したがって、本発明の化粧用組成物は、夏場の高温並びに日中及び夜間の温度差に対して安定であり、長期間の使用乃至保管を行うことができる。
【0018】
また、本発明の化粧用組成物は優れた使用感を発揮することができる。例えば、本発明の化粧用組成物は、塗布時の伸びが良く、厚膜感が少なく、塗布により形成される化粧膜のテカリが少なく、マットで自然な仕上がりとなり、ベトツキが少ない。
【0019】
更に、本発明の化粧用組成物は優れた耐水性を備える。例えば、本発明の化粧用組成物により得られる化粧膜は汗、海水等によって流れにくい。したがって、本発明の化粧用組成物は、夏場であっても、化粧効果を長時間維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明者らは鋭意検討の結果、(メタ)アクリルシリコーン及びポリアクリル酸塩と共に、多孔質シリカ及び架橋シリコーンを含む組成物が、熱的に安定であり、且つ、使用感及び耐水性に優れることを見出し、本発明を完成した。
【0021】
斯くして、本発明の化粧用組成物は、
(A)(メタ)アクリルシリコーン
(B)ポリアクリル酸塩
(C)多孔質シリカ
(D)ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビス-ビニルジメチコン)クロスポリマー、アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマー、セテアリルジメチコンクロスポリマー、及び、(ジメチコン/ビス-イソブチルPPG-20)クロスポリマーからなる群から選択される架橋シリコーン
を含む。
【0022】
特に、本発明の化粧用組成物では、(A)(メタ)アクリルシリコーン、及び、(B)ポリアクリル酸塩を組み合わせることにより、高温下及び/又は高温~低温の温度サイクルの負荷後の相分離等の発生を抑制することができ、熱的安定性を高めることができる。
【0023】
以下、各成分について詳述する。
【0024】
[(メタ)アクリルシリコーン]
本発明の組成物は、(A)(メタ)アクリルシリコーンを含む。1種類の(メタ)アクリルシリコーンを使用してもよく、2種類以上の(メタ)アクリルシリコーンを併用してもよい。
【0025】
(A)(メタ)アクリルシリコーンは、(メタ)アクリルポリマーを主鎖とする高分子であり、シリコーン側鎖を有する。シリコーン側鎖は直鎖状でもよく、分岐状でもよい。
【0026】
(A)(メタ)アクリルシリコーンは、更に、側鎖として、アルキル基を有するものが好ましい。アルキル基としては、長鎖アルキル基が好ましく、例えば、C8~C26アルキル基が挙げられ、C13~C24アルキル基がより好ましく、C18~C22アルキル基が更により好ましい。
【0027】
(A)(メタ)アクリルシリコーンとしては、例えば、
(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー、
(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー、並びに、
(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー等の(アクリレーツ/アクリル酸アルキル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー
が挙げられる。
【0028】
(A)(メタ)アクリルシリコーンとしては市販品を用いてもよく、例えば、信越化学工業(株)製のKP-541、KP-543、KP-561P及びKP-562P、並びに、ダウ・東レ(株)製のFA-4001及びFA-4002を例示することができる。
【0029】
(A)(メタ)アクリルシリコーンは常温常圧で液体又は固体のいずれの形態であってもよく、或いは、ワックスの形態であってもよい。
【0030】
(A)(メタ)アクリルシリコーンは疎水性であるために、本発明の組成物が、例えば、シリコーン油を含む場合、(メタ)アクリルシリコーンはシリコーン油中に存在することができ、本発明の組成物の熱的安定性の向上に特に寄与することができる。
【0031】
本発明の組成物中の(A)(メタ)アクリルシリコーンの量は、組成物の全重量を基準として、0.05重量%~2.5重量%が好ましく、0.1重量%~1.5重量%がより好ましい。
【0032】
[ポリアクリル酸塩]
本発明の組成物は、(B)ポリアクリル酸塩を含む。1種類のポリアクリル酸塩を使用してもよく、2種類以上のポリアクリル酸塩を併用してもよい。
【0033】
(B)ポリアクリル酸塩は、アクリル酸塩の重合物であり、アクリル酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等がある。(B)ポリアクリル酸塩はシリコーン鎖を有さないので、(A)(メタ)アクリルシリコーンとは異なる。(B)ポリアクリル酸塩がポリアクリル酸ナトリウム及び/又はポリアクリル酸カリウムであることが好ましい。
【0034】
(B)ポリアクリル酸塩の0.2重量%水溶液の、25℃での粘度は0.2~50Pa・sであることが好ましい。
【0035】
(B)ポリアクリル酸塩としては市販品を用いてもよく、例えば、セシエント・テクノロジーズ・ジャパン(株)製のCovacryl MV60、並びに、Innospec Active Chemicals社製のActivesoft MS50及びActivesoft MS100を例示することができる。更に、ダウ・東レ(株)製のアキュリン2051を例示することができる。
【0036】
(B)ポリアクリル酸塩は親水性であるために、本発明の組成物が水を含む場合、ポリアクリル塩は水中に存在する。そして、水相の粘度を高めて、本発明の組成物の熱的安定性の向上に特に寄与することができる。
【0037】
本発明の組成物中の(B)ポリアクリル酸塩の量は、組成物の全重量を基準として、0.01重量%~1.0重量%であることが好ましく、0.02重量%~0.9重量%がより好ましい。
【0038】
[多孔質シリカ]
本発明の組成物は、(C)多孔質シリカを含む。1種類の多孔質シリカを使用してもよく、2種類以上の多孔質シリカを併用してもよい。
【0039】
(C)多孔質シリカは、多孔性である限り、特に限定されるものではないが、比表面積が150m2/g以上1000m2/g以下であることが好ましい。比表面積は、気体吸着法(JIS Z 8830:2001 気体吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法)に準拠して測定されるBET比表面積である。(C)多孔質シリカの比表面積は200m2/g以上がより好ましく、250m2/g以上が更により好ましく、また、900m2/g以下がより好ましく、800m2/g以下が更により好ましく、700m2/g以下が更により好ましい。
【0040】
(C)多孔質シリカは、吸油量が90mL/100g以上、更に140mL/100g以上、更に150mL/100g以上、更に300mL/100g以上であることが好ましい。なお、吸油量の上限は500mL/100g程度である。吸油量はJIS K 5101-13-1<顔料及び体質顔料の吸油量を測定するための一般試験方法>による吸油量により確認することができる。
【0041】
(C)多孔質シリカは表面が無機微粒子で処理されていてもよい。無機微粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられる。すなわち、(C)多孔質シリカは酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物等の無機微粒子からなる被覆層を備えていてもよい。被覆層は、(C)多孔質シリカの全重量を基準として、10重量%~40重量%を占めてもよく、30重量%~40重量%が好ましい。
【0042】
(C)多孔質シリカの平均粒子径は1~20μmが好ましく、2~15μmがより好ましい。平均粒子径は重量平均粒子径又は体積平均粒子径として測定することができる。(C)多孔質シリカは球状であることが好ましい。(C)多孔質シリカは中空であってもよい。
【0043】
(C)多孔質シリカとしては市販品を用いてもよく、例えば、鈴木油脂工業(株)製のプルセア SIT-40、プルセア SIZ-30、ゴッドボールB-25C、ゴッドボールD-25C等を例示することができる。
【0044】
本発明の組成物中の(C)多孔質シリカの量は、組成物の全重量を基準として、0.5重量%~6.0重量%であることが好ましく、1.0重量%~4.5重量%がより好ましい。
【0045】
[架橋シリコーン]
本発明の組成物は、所定の範囲から選択される(D)架橋シリコーンを含む。1種類の架橋シリコーンを使用してもよく、2種類以上の架橋シリコーンを併用してもよい。
【0046】
(D)架橋シリコーンは少なくとも1つの架橋部位を有するシリコーンであり、非乳化性である(界面活性剤ではない)。
【0047】
(D)架橋シリコーンは、ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビス-ビニルジメチコン)クロスポリマー、アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマー、セテアリルジメチコンクロスポリマー、及び、(ジメチコン/ビス-イソブチルPPG-20)クロスポリマーからなる群から選択される。ジメチコンクロスポリマーが好ましい。
【0048】
ジメチコンクロスポリマーはジメチコンが炭素数3~20のアルキレン基等の炭素鎖で架橋された構造を有するものであって、シリコーンエラストマーであり、例えば、シクロペンタシロキサン、揮発性ジメチコン、ジメチコンとの混合物として、それぞれ、商品名DC9040、DC9240、DC9041として、ダウ・東レ(株)から市販されているものを例示することができる。
【0049】
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーはメチルハイドロジェンポリシロキサンとジビニルジメチルポリシロキサンから得られた架橋ポリシロキサンであり、ジメチルポリシロキサンがジメチルポリシロキサンで架橋された構造を有する。(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーとしては、例えば、KSG-15((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、シクロペンタシロキサンの混合物で架橋物は4~10重量%)、KSG-19((ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、ジメチコンの混合物で架橋物は10~20重量%)(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
【0050】
(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマーはメチルハイドロジェンポリシロキサンとジビニルメチルフェニルポリシロキサンから得られた架橋ポリシロキサンである。(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマーとしては、例えば、KSG-18A((ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンの混合物で架橋物は10~20重量%)(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
【0051】
(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマーとしては、例えば、KSG-41A((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、ミネラルオイルの混合物で架橋物は20~30重量%)、KSG-42A((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、イソドデカンの混合物で架橋物は15~25重量%)、KSG-43((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、トリエチルヘキサノインの混合物で架橋物は25~30重量%)、KSG-44((ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、スクワランの混合物で架橋物は25~35重量%)(以上、信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0052】
(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビス-ビニルジメチコン)クロスポリマーとしては、例えば、KSG-042Z((ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビス-ビニルジメチコン)クロスポリマー、イソドデカンの混合物で架橋物は15~25重量%)、KSG-045Z((ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビス-ビニルジメチコン)クロスポリマー、シクロペンタシロキサンの混合物で架橋物は15~25重量%)(以上、信越化学工業(株)製)が挙げられる。
【0053】
アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマーとしては、例えば、Velvesil 125 (アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマー、シクロペンタシロキサンの混合物で架橋物は約12.5重量%)、Velvesil 034(アルキル(C30-45)セテアリルジメチコンクロスポリマー、カプリリルメチコンの混合物で架橋物は約16重量%)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)が挙げられる。
【0054】
セテアリルジメチコンクロスポリマーとしては、例えば、Velvesil DM(セテアリルジメチコンクロスポリマー、ジメチコンの混合物で架橋物は約17重量%)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)が挙げられる。
【0055】
(ジメチコン/ビス-イソブチルPPG-20)クロスポリマーとしては、例えば、EL-8050ID Silicone Organic Elastomer Blend((ジメチコン/ビス-イソブチルPPG-20)クロスポリマー、イソドデカンの混合物で架橋物は15重量%)、EL-8050ID Silicone Organic Elastomer Blend((ジメチコン/ビス-イソブチルPPG-20)クロスポリマー、ネオペンタン酸イソデシルの混合物で架橋物は12重量%)(ダウ・東レ(株)製)等が挙げられる。
【0056】
本発明の組成物中の(D)架橋シリコーンの量は、組成物の全重量を基準として、0.1重量%~1.3重量%であることが好ましく、0.2重量%~1.0重量%がより好ましい。
【0057】
本発明の組成物は、上記(A)~(D)の成分に加えて、無機UV遮蔽剤、有機UV遮蔽剤及び有機変性粘土鉱物からなる群から選択される少なくとも1種の成分を含むことができる。以下、これらについて説明する。
【0058】
[無機UV遮蔽剤]
無機UV遮蔽剤は、特に限定されるものではなく、紫外線遮蔽性を有する無機化合物であれば任意のものを使用することができる。また、1種類の無機UV遮蔽剤を使用してもよく、2種類以上の無機UV遮蔽剤を併用してもよい。
【0059】
無機UV遮蔽剤は粒子の形態であることが好ましい。(B)無機UV遮蔽剤粒子の(一次)平均粒子径は1~500nmが好ましく、5~100nmがより好ましく、10~50nmが更により好ましい。平均粒子径は重量平均粒子径又は体積平均粒子径として測定することができる。
【0060】
無機UV遮蔽剤としては金属酸化物が好ましく、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等が挙げられるが、酸化チタンがより好ましい。
【0061】
無機UV遮蔽剤としては、特に、微粒子酸化チタンが好ましく、例えば、平均粒子径10nmで、パルミチン酸エチルヘキシル等の油剤に分散したものを使用することができる。
【0062】
微粒子酸化チタンとしては市販品を用いてもよく、例えば、「FLT-10」、「FLT-11」、「FLT-12」、「FLT-13」等のテイカ株式会社から市販されているものを例示することができる。
【0063】
無機UV遮蔽剤の配合量は、組成物の全重量を基準として、30重量%未満が好ましく、20重量%未満がより好ましく、15重量%未満が更により好ましい。例えば、3.5重量%~10.0重量%が更により好ましく、4.5重量%~9.0重量%が特に好ましい。
【0064】
[有機UV遮蔽剤]
有機UV遮蔽剤は、特に限定されるものではなく、紫外線遮蔽性を有する有機化合物であれば任意のものを使用することができる。また、1種類の有機UV遮蔽剤を使用してもよく、2種類以上の有機UV遮蔽剤を併用してもよい。有機UV遮蔽剤は有機UVA遮蔽剤及び有機UVB遮蔽剤のいずれであってもよい。
【0065】
有機UV遮蔽剤としては、例えば、パラ-アミノ安息香酸(以下、「PABA」と略記)、エチルPABA、エチル-ジヒドロキシプロピルPABA、エチルヘキシル-ジメチルPABA、ホモサラート、エチルヘキシルサリチラート、3-ベンジリデンショウノウ、4-メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス〔4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ〕-1,3,5-トリアジン、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン、オクトクリレン等が挙げられる。
【0066】
有機UV遮蔽剤として市販品を用いてもよく、市販品としては「パルソール340」(DSM社製)、「ユビナールN539T」及び「ユビナールMC80N」(BASF社製)、「ESCALOL597」(アイエスピー社製)、「Neo Heliopan 3030」(シムライズ社製)等が挙げられる。更に、DSMニュートリションジャパン(株)製の「パルソールMCX」及び「パルソールMCX XR」、アイエスピー(株)製の「エスカロール557」、メルクパフォーマンスマテリアルズ(株)製の「Eusolex 2292」等も挙げられる。
【0067】
有機UV遮蔽剤の配合量は、組成物の全重量を基準として、0.1重量%~10重量%が好ましく、0.5重量%~5重量%がより好ましい。
【0068】
[有機変性粘土鉱物]
有機変性粘土鉱物は、特に限定されるものではなく、有機物で変性された粘土鉱物であれば任意のものを使用することができる。1種類の有機変性粘土鉱物を使用してもよく、2種類以上の有機変性粘土鉱物を併用してもよい。
【0069】
有機変性粘土鉱物に使用される粘土(クレイ)には、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、バイデライト及びサポナイト等のスメクタイト族、スチーブンサイト族及びクロライト族を含めることができる。これらの粘土は天然由来でも又は合成由来でもよい。粘土は、好ましくは、ベントナイト及びヘクトライトから選択することができる。
【0070】
上記粘土は、第四級アンモニウム塩、第四級アミン、第三級アミン、酢酸アミン、イミダゾリン、アミン石けん、脂肪スルフェート、アルキルアリールスルホネート及びアミンオキシド、並びに、それらの混合物から選ばれる化合物で変性されていることが好ましい。上記粘土は、クオタニウム-18、C10~C22脂肪酸のアンモニウムクロリド、及び/又はアリールジメチルベンゾイルアンモニウムクロリドで変性されていることがより好ましい。
【0071】
有機変性粘土鉱物としては、例えば、
C10~C22脂肪酸のアンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、別称はジステアルジモニウムヘクトライト、例えば、Elementis社によりBentone 38及びBentone 38Vの名称で販売されているもの;
ステアリルジメチルベンゾイルアンモニウムクロリドで変性されたヘクトライト、別称はステアラルコニウムヘクトライト、例えば、Elementis社によりBentone 27Vの名称で販売されているもの、United Catalyst社によりTixogel LGの名称で販売されているもの、並びにSouthern Clay社によりClaytone AF及びClaytone APAの名称で販売されているもの;
クオタニウム-18/ベンザルコニウムベントナイト、例えばSouthern Clay社によりClaytone HT及びClaytone PSの名称で販売されているもの;
クオタニウム-18ヘクトライト、例えば、Elementis社によりBentoneGel DOA、Bentone Gel ECO5、Bentone Gel EUG、Bentone Gel IPP、Bentone Gel ISD、Bentone Gel SS71、Bentone Gel VS8及びBentone Gel VS38の名称で販売されているもの、並びにBiophil社によりSimagel M及びSimagel SI 345の名称で販売されているもの
が含まれる。
【0072】
有機変性粘土鉱物としては、ジステアルジモニウムヘクトライト、ステアラルコニウムヘクトライト、クオタニウム-18ヘクトライト、及び、それらの組合せから選択することが好ましく、ジステアルジモニウムヘクトライトがより好ましい。
【0073】
ジステアルジモニウムヘクトライトとしては、上記したものの他に、例えば、ヘクトライトを塩化ジステアリルジメチルアンモニウムで処理して、シクロペンタシロキサン、イソデカン、オリーブ油、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチルに膨潤分散したもので、それぞれ、Elementis社より商品名「Bentone Gel VS-5PCV」、「Bentone Gel ISD V」、「Bentone Gel OLV V」、「Bentone Gel PTIS V」で市販されているものを例示することができる。
【0074】
有機変性粘土鉱物の配合量は、組成物の全重量を基準として、0.3重量%~1.45重量%が好ましく、0.5重量%~1.24重量%がより好ましい。
【0075】
本発明の組成物は、その他の任意成分を含むこともできる。
【0076】
その他の任意成分としては、例えば、シリコーン油、乳化剤、非シリコーン油、多価アルコール、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、保湿剤、被膜剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、アルカリ剤(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物等の無機アルカリ剤)等のpH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、香料、顔料、染料等を挙げることができる。
【0077】
シリコーン油としては、通常化粧品に用いられる油性成分で、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状シリコーン、シクロテトララシロキサン、シクロペンタシロキサン等の環状シリコーン等が挙げられる。これらを一種又は二種以上を用いることが出来る。シリコーン油は揮発性でも不揮発性でもよい。特に、分子量が20000以下の鎖状シリコーンであるジメチコンや揮発性のシリコーンであるシクロペンタシロキサンを選択すると、塗布時のなめらかさ、ベタツキのないサッパリとした、優れた使用感の組成物を得ることができる。
【0078】
本発明の組成物がシリコーン油を含む場合のシリコーン油の配合量は特には限定されるものではないが、組成物の全重量を基準として、例えば、1重量%~25重量%とすることができ、3重量%~20重量%がより好ましく、5重量%~15重量%が更により好ましい。
【0079】
乳化剤としては、特に限定されるものではないが、油中水型乳化物向けのものが好ましく、具体的に例示すると、ビス(PEG/PPG-14/14)ジメチコン(商品名:ABIL-EM97S エボニックジャパン(株)製)、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン(商品名:ABIL-EM180 エボニックジャパン(株)製)、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(商品名:EMALEX TISG-2 日本エマルジョン(株)製、商品名:リソレックスPGIS23 高級アルコール工業(株)製)、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体(商品名KF-6015、KF6016,KF6017 信越化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0080】
非シリコーン油としては、炭化水素油等の無極性油、及び、エステル油等の極性油のいずれでもよいが、極性油が好ましい。エステル油としては、例えば、パルミチン酸エチルヘキシル(商品名:NIKKOL IOP、日光ケミカルズ(株)製)、イソノナン酸イソトリデシル(商品名:CRODAMOL TN クローダジャパン(株)製)、ビバリン酸イソデシル(商品名:ネオライト100P 高級アルコール工業(株)製)等が挙げられる。
【0081】
本発明の組成物が非シリコーン油を含む場合の非シリコーン油の配合量は特には限定されるものではないが、組成物の全重量を基準として、例えば、1重量%~15重量%とすることができ、2重量%~10重量%がより好ましく、3重量%~5重量%が更により好ましい。
【0082】
したがって、本発明の組成物が油を含む場合の油の配合量は特には限定されるものではないが、組成物の全重量を基準として、例えば、2重量%~40重量%とすることができ、5重量%~30重量%がより好ましく、8重量%~20重量%が更により好ましい。
【0083】
多価アルコールとしては、プロパンジオール、グリセリン(商品名:化粧用濃グリセリン 阪本薬品工業(株)製)、1,3ブチレングリコール(商品名:1,3-ブチレングリコール ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0084】
本発明の組成物は、水を含むことが好ましい。本発明の組成物が水を含む場合の水の配合量は特には限定されるものではないが、組成物の全重量を基準として、例えば、20重量%~70重量%とすることができ、30重量%~60重量%がより好ましく、40重量%~50重量%が更により好ましい。
【0085】
本発明の組成物は、連続油相及び分散水相を備える油中水型が好ましく、油中水型のエマルションの形態であることがより好ましく、シリコーン油中水型のエマルションの形態が更により好ましい。本発明の組成物は、具体的には、乳液、クリーム等の形態とすることができる。
【0086】
本発明の組成物は、化粧用組成物であり、皮膚上に撥水性の化粧膜を形成することができるために、ファンデーション、化粧下地等の皮膚化粧料に好適に使用することができる。また、本発明の組成物により形成される化粧膜は耐水性が高いために、本発明の組成物はサンスクリーン(日焼け止め)用途に特に好適に使用することができる。
【実施例0087】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明するが、本発明の範囲は実施例に限定されるものではない。
【0088】
[実施例1~5及び比較例1~3]
表1に示される実施例1~5及び比較例1~3の化粧用組成物を、表1に示される成分を混合して調製した。表1に示される成分の量に関する数値は、括弧のあるものについては括弧内が純分であり、その他は全て純分としての重量(質量)%に基づくものである。なお、「精製水」の「残部100」とは、100重量%のうち各成分の合計量の残部が精製水であるという意味である。
【0089】
表1中の「(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー」は本発明の(A)(メタ)アクリルシリコーンの代表例であり、「ポリアクリル酸ナトリウム」は本発明の(B)ポリアクリル酸塩の代表例であり、「ジメチコンクロスポリマー分散液(濃度13重量%)」は本発明の(D)架橋シリコーンの代表例である。なお、多孔質シリカとしては、プルセア SIT-40(鈴木油脂工業(株))を使用した。
【0090】
【0091】
[評価]
(安定性)
実施例1~5及び比較例1~3の各組成物の安定性を評価した。評価法は以下のとおりである。
【0092】
各組成物30gを秤量して、50ccスクリュー管瓶に入れて、各組成物につき4個の検体を作成した。その内の2個ずつを、それぞれ、40℃恒温槽(ETTAS EI-450B)、及び、サイクルテスト用装置(アズワン クールインキュベーター KMH-050)内に設置し、それぞれ、40℃で2ヶ月間維持、及び、1日当たり5℃12時間及び50℃12時間のサイクルを2ヶ月間繰り返して、2か月後の外観を以下の基準にて評価した。
【0093】
◎:外観に変化がみられず、非常に安定している
○:外観に極わずかの変化は見られるが全体的には問題なく安定している
△:外観に少し変化がみられるが、分離等は起きていない
×:外観に変化が見られ、分離等があり、安定性に劣る
【0094】
結果を表2の「安定性」の欄に示す。
【0095】
(使用感及び耐水性)
実施例1~5及び比較例1~3の各組成物の使用感及び耐水性を評価した。評価法は以下のとおりである。
【0096】
専門パネル10名により、実施例1~5及び比較例1~3の各組成物の使用感(化粧膜のテカリの無さ、化粧膜のマット感(化粧膜の自然さ)、化粧膜のベタツキの無さ、厚膜感(厚膜感の無さ)、塗布時の伸びの良さ)、及び、耐水性(汗に対する耐性(流れにくさ))について、下記に示す5段階の絶対評価(*1)で評価し、平均値を算出した。
【0097】
*1:絶対評価の評点
5:非常によい
4:良い
3:良いとも悪いとも言えない
2:やや悪い
1:悪い
【0098】
次に、上記平均値につき、下記に示す4段階の判定基準(*2)に基づき、使用感及び耐水性を判定した。
【0099】
*2:判定基準
◎(非常に良い):4.0~5.0
○(良い):3.0~4.0未満
△(良いとも悪いとも言えない):2.0~3.0未満
×(悪い):0~2.0未満:悪い
【0100】
結果を表2の「使用感」及び「耐水性」の欄に示す。
【0101】
【0102】
[結果]
(安定性)
本発明に対応する実施例1~5の組成物は比較例1~3の組成物に比して良好な安定性を発揮した。
【0103】
一方、実施例1の組成物に含まれる「アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー」及び「ポリアクリル酸ナトリウム」を共に含まない比較例1、「ポリアクリル酸ナトリウム」を含まない比較例2、並びに、アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー」を含まない比較例3の各組成物は、高温安定性及び温度サイクル安定性の両方について、実施例1~5の組成物よりも劣っていた。
【0104】
実施例3及び5の組成物は「アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー」及び「ポリアクリル酸ナトリウム」を実施例1の組成物に比べてそれぞれ多めに配合した組成物であり、実施例1の組成物に比べて、実施例3の組成物は温度サイクル安定性が若干劣っており(それでも優れている)、また、実施例5の組成物は高温安定性が若干劣っていた(それでも優れている)。
【0105】
実施例2及び4の組成物は「アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー」及び「ポリアクリル酸ナトリウム」を実施例1の組成物に比べてそれぞれ少なめに配合した組成物であり、実施例1の組成物に比べて、実施例2の組成物は温度サイクル安定性が若干劣っており(それでも優れている)、また、実施例4の組成物は高温安定性及び温度サイクル安定性が若干劣っていた(それでも優れている)。
【0106】
(使用感及び耐水性)
本発明に対応する実施例1~5の組成物は比較例1~3の組成物に比して良好な使用感及び耐水性を発揮した。
【0107】
[実施例6~9及び比較例4~5]
表3に示される実施例6~9及び比較例4~5の化粧用組成物を、 表3に示される成分を混合して調製した。表3に示される成分の量に関する数値は、括弧のあるものについては括弧内が純分であり、その他は全て純分としての重量(質量)%に基づくものである。なお、「精製水」の「残部100」とは、100重量%のうち各成分の合計量の残部が精製水であるという意味である。
【0108】
表3中の「(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー」は本発明の(A)(メタ)アクリルシリコーンの代表例であり、「ポリアクリル酸ナトリウム」は本発明の(B)ポリアクリル酸塩の代表例であり、「ジメチコンクロスポリマー分散液(濃度13重量%)」は本発明の(D)架橋シリコーンの代表例である。なお、多孔質シリカとしては、プルセア SIT-40(鈴木油脂工業(株))を使用した。
【0109】
【0110】
[評価]
実施例6~9及び比較例4~5の各組成物の使用感及び耐水性を既述のとおり評価した。結果を表4に示す。
【0111】
【0112】
実施例6~9の組成物は、実施例1の組成物において「多孔質シリカ」の配合量及び「架橋シリコーン」の配合量を変化させたものである。
【0113】
例えば、実施例6及び7の組成物は「多孔質シリカ」の配合量の点で実施例1の組成物とは異なる。多孔質シリカの配合量が4.5重量%である実施例6は、テカリの無さ及びマット感では実施例1と同程度優れているが、ベタツキの無さ、塗布時の伸びの良さ、汗に対する耐性の点で実施例1より若干劣るものの優れている。しかし、化粧膜の厚膜感の点は実施例1に比べて(許容範囲内であるが)劣る。一方、多孔質シリカの配合量が1.0重量%である実施例7は厚膜感の無い点で特に優れている。また、テカリの無さ、マット感、ベタツキの無さ、塗布時の伸びの良さ、汗に対する耐性の点で実施例1より若干劣るものの優れている。
【0114】
また、実施例8び9の組成物は「架橋シリコーン」の配合量の点で実施例1の組成物とは異なる。架橋シリコーンの配合量が0.2重量%である実施例8は、テカリの無さ、マット感、ベタツキの無さ、厚膜感、塗布時の伸びの良さ、汗に対する耐性の点において実施例1より若干劣るものの優れている。一方、架橋シリコーンの配合量が1.0重量%である実施例9の組成物は塗布時の伸びの良さの点で実施例1と同程度であり、特に優れている。また、ベタツキの無さ、汗に対する耐性の点において実施例1よりも若干劣るものの優れている。そして、テカリの無さ、マット感、厚膜感の点において実施例1に比べて(許容範囲内であるが)劣る。
【0115】
比較例4及び比較例5の組成物は、それそれ、「多孔質シリカ」及び「架橋シリコーン」が配合されていない点で実施例1の組成物とは異なる。比較例4は、テカリの無さ、厚膜感の点において実施例1に比べて劣る。また、ベタツキの無さ、塗布時の伸びの良さ、汗に対する耐性の点で実施例1よりも若干劣るが優れている。しかし、マット感は非常に劣る。比較例5は、テカリの無さ、マット感、厚膜感の点で実施例1に比べて若干劣るが優れているものの、ベタツキの無さ、汗に対する耐性の点で実施例1に比べて劣る。そして、塗布時の伸びの良さの点では非常に劣る。そこで、総合的にみると、比較例4及び5は実施例1よりも、非常に劣る。したがって、「多孔質シリカ」及び「架橋シリコーン」の両方が配合されていないとよい結果は得られないことが分かる。
【0116】
本発明に対応する実施例6~9の組成物は使用感及び耐水性について比較的良好な性能を発揮することができるが、やはり、実施例1の組成物が、使用感及び耐水性について実施例6~9の組成物よりも好ましい。