(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042272
(43)【公開日】2022-03-14
(54)【発明の名称】即席味噌汁の素及び即席味噌汁の素の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 23/00 20160101AFI20220307BHJP
A23L 11/50 20210101ALI20220307BHJP
【FI】
A23L23/00
A23L11/20 109
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147620
(22)【出願日】2020-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】520337950
【氏名又は名称】八鹿鉱泉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】沖田 好弘
【テーマコード(参考)】
4B036
【Fターム(参考)】
4B036LC06
4B036LE05
4B036LF01
4B036LH22
4B036LH44
4B036LP19
4B036LP24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手軽に食することができると共に、整腸作用を促進して健康の維持、増進を図ることが可能な即席味噌汁の素及び即席味噌汁の素の製造方法の提供。
【解決手段】第1の容器10に封入された一人一食分の味噌11と、第2の容器20に封入された膨化状態にある一人一食分の膨化穀物21からなる具材とで少なくとも構成されると共に、膨化穀物21として、少なくとも、膨化状態にある膨化もち麦22を含有することを特徴とする即席味噌汁の素である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の容器に封入された味噌と、第2の容器に封入された膨化状態にある膨化穀物からなる具材とで少なくとも構成されると共に、前記膨化穀物として、少なくとも膨化もち麦を含有することを特徴とする即席味噌汁の素。
【請求項2】
即席味噌汁の素100質量%中、味噌を30質量%~45質量%の割合で含有すると共に、膨化穀物を55質量%~70質量%の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の即席味噌汁の素。
【請求項3】
膨化穀物として、膨化もち麦に加えて膨化赤米を含有し、第2の容器に封入された具材100質量%中、膨化もち麦を80質量%~90質量%の割合で含有すると共に、膨化赤米を10質量%~20質量%の割合で含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の即席味噌汁の素。
【請求項4】
第1の容器に封入された味噌と、第2の容器に封入された膨化状態にある膨化穀物からなる具材とで少なくとも構成される即席味噌汁の素の製造方法であって、所定量の味噌を第1の容器に封入する味噌封入工程と、所定量の穀物を膨化させた後に第2の容器に封入する穀物封入工程とを少なくとも備え、前記穀物封入工程は、原料となる穀物を計量する原料計量工程と、加熱と加圧とを行いながら前記原料計量工程で計量された穀物を膨化させて膨化穀物とする膨化工程と、前記膨化工程で生じた膨化穀物を冷却する冷却工程と、前記冷却工程で冷却された膨化穀物を計量して第2の容器に封入する膨化穀物封入工程とを備えると共に、前記膨化工程においては、穀物に0.9Mpa~1.1Mpaの圧力を加えることを特徴とする即席味噌汁の素の製造方法。
【請求項5】
穀物として、もち麦と赤米とを用い、膨化工程においては、前記もち麦に1.0Mpa~1.1Mpaの圧力を加えると共に、前記赤米に0.9Mpa~1.0Mpaの圧力を加えることを特徴とする請求項4に記載の即席味噌汁の素の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、お湯を注ぐことで簡単に味噌汁を作ることができる即席味噌汁の素及び即席味噌汁の素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
古来より味噌汁は日本人の食生活に欠かせないものとして食されてきた。味噌汁を作ろうとする場合、昆布、煮干、鰹節などを水やお湯で溶出させて出汁を取り、得られた出汁に味噌を添加して作るのが一般的である。
しかしながら、そのような一般的な味噌汁の作り方は、多くの時間や手間がかかるため、現代においては、お湯を注ぐことだけで簡単に味噌汁を作ることができる即席味噌汁の素が各種販売されている。
このような従来の即席味噌汁の素を示すものとして、下記特許文献1、2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3067753号公報
【特許文献1】特開2004-147618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、あさり汁に関するもので、フリーズドライ加工したあさり貝の身を主成分とすることで、生きているあさり貝を調理した味噌汁と同様の風味と、歯ざわり、食感を充分に味わうことができると共に、防腐剤の添加を必要としない、保存性の高いあさり汁を提供できるというメリットがある。しかしながら、あくまで味噌汁の風味や食感を改善することを目的としたものであり、整腸作用など、健康の維持、増進効果を目的としたものではなかった。よって、当然に健康の維持、増進効果を特別実感できるものではないという問題があった。
この点、味噌には善玉菌である乳酸菌が含まれており、上記特許文献1のような従来の即席味噌汁を食することでも整腸作用による健康の維持、増進効果が全く期待できないものではないのであるが、近年の日本における食生活の乱れや大腸がんなどの各種がんの羅漢率の増加などを踏まえれば、更なる健康の維持、増進効果を備えた即席味噌汁の開発が望まれるところである。
そのような中、例えば、上記特許文献2は、ヤマブシタケ入り即席汁食品に関するもので、一人が一日必要な量の健康食品のヤマブシタケを面倒な手間を掛けて料理せずとも、無理なく自然に摂取でき、健康維持、健康増進効果、特に老年痴呆度の軽減が実現できるというメリットがある。しかしながら、上記特許文献2には整腸作用に関する記述は全くなく、整腸作用を促進することが可能な即席味噌汁の開発が依然として望まれるところである。
【0005】
そこで、本発明は上記従来技術にはなかった、手軽に食することができると共に、整腸作用を促進して健康の維持、増進を図ることが可能な即席味噌汁の素及び即席味噌汁の素の製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため本発明の即席味噌汁の素は、第1の容器に封入された味噌と、第2の容器に封入された膨化状態にある膨化穀物からなる具材とで少なくとも構成されると共に、前記膨化穀物として、少なくとも膨化もち麦を含有することを第1の特徴としている。
また、本発明の即席味噌汁の素は、上記第1の特徴に加えて、即席味噌汁の素100質量%中、味噌を30質量%~45質量%の割合で含有すると共に、膨化穀物を55質量%~70質量%の割合で含有することを第2の特徴としている。
また、本発明の即席味噌汁の素は、上記第1又は第2の特徴に加えて、膨化穀物として、膨化もち麦に加えて膨化赤米を含有し、第2の容器に封入された具材100質量%中、膨化もち麦を80質量%~90質量%の割合で含有すると共に、膨化赤米を10質量%~20質量%の割合で含有することを第3の特徴としている。
また、本発明の即席味噌汁の素の製造方法は、第1の容器に封入された味噌と、第2の容器に封入された膨化状態にある膨化穀物からなる具材とで少なくとも構成される即席味噌汁の素の製造方法であって、所定量の味噌を第1の容器に封入する味噌封入工程と、所定量の穀物を膨化させた後に第2の容器に封入する穀物封入工程とを少なくとも備え、前記穀物封入工程は、原料となる穀物を計量する原料計量工程と、加熱と加圧とを行いながら前記原料計量工程で計量された穀物を膨化させて膨化穀物とする膨化工程と、前記膨化工程で生じた膨化穀物を冷却する冷却工程と、前記冷却工程で冷却された膨化穀物を計量して第2の容器に封入する膨化穀物封入工程とを備えると共に、前記膨化工程においては、穀物に0.9Mpa~1.1Mpaの圧力を加えることを第4の特徴としている。
また、本発明の即席味噌汁の素の製造方法は、上記第4の特徴に加えて、穀物として、もち麦と赤米とを用い、膨化工程においては、前記もち麦に1.0Mpa~1.1Mpaの圧力を加えると共に、前記赤米に0.9Mpa~1.0Mpaの圧力を加えることを第5の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の即席味噌汁の素によれば、第1の容器に封入された味噌と、第2の容器に封入された膨化穀物とを、所望の器に取り出してお湯を注ぐだけで簡単に具材入り味噌汁を作ることができる。よって、手軽に具材入り味噌汁を食することができる。このような効果は、朝の出勤前や登校前の朝食時などにおいて特に有益なものである。
また、膨化状態にある膨化穀物を用いることで、お湯を注ぐことで嵩が増すと共に、適度にふやけ、食べ応えがあって腹持ちが良いと共に、高齢者でも食べ易い味噌汁とすることができる。
更に、膨化穀物として膨化もち麦を用いることで、もち麦は腸内細菌(善玉菌)の餌となるβグルカン(水溶性食物繊維)を豊富に含むことから、味噌に含まれる乳酸菌と合わさって一段と整腸作用を促進させて健康維持、健康増進を図ることができる。加えて、もち麦は不溶性食物繊維も豊富に含むことから、不溶性食物繊維が腸内の水分と一緒になることで、膨らみ、便の量を増加させて腸内を刺激することで腸の蠕動運動を活発化させることができる。これにより、便秘や下痢を改善することができる。更に、免疫力が低下することを防止できると共に、自律神経を整えることができ、健康維持、増進を図ることができる。
【0008】
また、請求項2に記載の即席味噌汁の素によれば、請求項1に記載の構成による作用効果に加えて、即席味噌汁の素100質量%中、味噌を30質量%~45質量%の割合で含有すると共に、膨化穀物を55質量%~70質量%の割合で含有する構成とすることで、塩分摂取量を抑えることができると共に、食べ応えのある味噌汁とすることができる。
【0009】
また、請求項3に記載の即席味噌汁の素によれば、請求項1又は2に記載の構成による作用効果に加えて、膨化穀物として、膨化もち麦に加えて膨化赤米を含有し、第2の容器に封入された具材100質量%中、膨化もち麦を80質量%~90質量%の割合で含有すると共に、膨化赤米を10質量%~20質量%の割合で含有することで、赤米はポリフェノールも豊富に含むことから、抗酸化作用により動脈硬化などの生活習慣病の予防にも役立つ味噌汁とすることができる。
【0010】
また、請求項4に記載の即席味噌汁の素の製造方法によれば、所定量の味噌を第1の容器に封入する味噌封入工程と、所定量の穀物を膨化させた後に第2の容器に封入する穀物封入工程とを少なくとも備え、前記穀物封入工程は、原料となる穀物を計量する原料計量工程と、加熱と加圧とを行いながら前記原料計量工程で計量された穀物を膨化させて膨化穀物とする膨化工程と、前記膨化工程で生じた膨化穀物を冷却する冷却工程と、前記冷却工程で冷却された膨化穀物を計量して第2の容器に封入する膨化穀物封入工程とを備えると共に、前記膨化工程においては、穀物に0.9Mpa~1.1Mpaの圧力を加える構成とすることで、お湯を注いだ際に水分吸収率が良くて適度にふやけることで、食べた際に腹持ちが良いと共に、口解けが良い具材とすることができる。また、穀物の栄養成分を効果的にお湯に溶出させることができ、穀物の栄養成分を手軽に且つ漏れなく摂取可能な味噌汁とすることができる。
【0011】
また、請求項5に記載の即席味噌汁の素の製造方法によれば、請求項4に記載の構成による作用効果に加えて、穀物として、もち麦と赤米とを用い、膨化工程においては、前記もち麦に1.0Mpa~1.1Mpaの圧力を加えると共に、前記赤米に0.9Mpa~1.0Mpaの圧力を加える構成とすることで、もち麦、赤米ともに、未膨化状の穀物が残ることよって具材に固い部分が残ることを効果的に防止できる。また、膨化し過ぎる穀物が存在することによって食べた際に苦みや酸味を感じることを効果的に防止することができる。また、膨化し過ぎることで穀物がくっつくことも効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る即席味噌汁の素を示す図で、(a)は即席味噌汁の素が容器に封入された状態を示す図で、(b)は容器を開封して即席味噌汁の素を食する場合を模式的に示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る即席味噌汁の素の製造方法によって即席味噌汁の素を製造する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る即席味噌汁の素及び即席味噌汁の素の製造方法について説明する。
【0014】
まず、
図1を参照して、本発明の実施形態に係る即席味噌汁の素1について説明する。
本発明の即席味噌汁の素1は、
図1(a)に示すように、第1の容器10に封入されたペースト状の味噌11と、第2の容器20に封入された具材となる膨化状態にある膨化穀物21とで少なくとも構成される。そして、第1の容器10と第2の容器20とは、例えば1枚の包装用袋2に収納される。使用時においては、
図1(b)に示すように、即席味噌汁の素1を食する者が、包装用袋2を開けて第1の容器10、第2の容器20を取り出し、更に第1の容器10、第2の容器20を開けて味噌11、膨化もち麦22、膨化赤米23を器30に出した状態でやかん40に入っている熱湯41を器30に注いだ後、適宜かき混ぜることで食することが可能となる。
図1に示すように、第1の容器10と第2の容器20とは、例えば、透明なプラスチック製の包装用袋2に収納された状態で商品として販売される。勿論、包装用袋2の材質、形状、大きさなどは本実施形態のものに限るものではなく適宜変更可能である。
【0015】
前記味噌11は、本実施形態においては、ペースト状の生の状態の味噌を用いる構成としてある。勿論、このような構成に限るものではなく、味噌11として、粉末状の味噌やフリーズドライされた味噌を用いる構成としてもよい。粉末状の味噌やフリーズドライされた味噌を用いる構成とすれば、即席味噌汁の素の賞味期限を効果的に延ばすことができると共に、軽量化を図ることができる。但し、好適には、ペースト状の生の状態の味噌を用いることが望ましい。また、赤味噌、白味噌など、各種味噌を適宜用いることができる。
そして、所定量(一人一回一食分)に計量された味噌11が第1の容器10に封入されている。具体的には、本実施形態においては、18gの味噌11が第1の容器10に封入されている。なお、第1の容器10として、本実施形態においては、プラスチック製の包装用袋を用いている。勿論、第1の容器10はこのような構成に限るものではなく、所定量の味噌11を封入できるものであれば、その材質、形状、大きさなどは適宜変更可能である。
【0016】
前記膨化穀物21は、いわゆる穀類膨張機と呼ばれる製造機械を用いて加熱加圧されて膨化状態となった穀物である。膨化穀物21として、本実施形態においては、膨化もち麦22と膨化赤米23との二種類の膨化穀物21を用いる構成としている。勿論、膨化穀物21は、この二種類に限るものではなく、例えば、大麦など他の穀物を用いる構成としてもよい。但し、膨化もち麦22は必ず用いる構成とすることが必要である。
そして、所定量(一人一回一食分)に計量された膨化もち麦22と膨化赤米23とが第2の容器20に一緒に封入されている。具体的には、本実施形態においては、30gの膨化もち麦22と、5gの膨化赤米23とが第2の容器20に封入されている。なお、第2の容器20として、本実施形態においては、プラスチック製の包装用袋を用いている。勿論、第2の容器20はこのような構成に限るものではなく、所定量の膨化もち麦22と膨化赤米23とを封入できるものであれば、その材質、形状、大きさなどは適宜変更可能である。
【0017】
なお、即席味噌汁の素1において、ペースト状の味噌11と膨化穀物21との割合は、即席味噌汁の素1の100質量%中、ペースト状の味噌11を30質量%~45質量%の割合で含有すると共に、膨化穀物を55質量%~70質量%の割合で含有する構成とすることが望ましい。ペースト状の味噌11が30質量%未満になると味噌の味が薄過ぎ、45質量%を超えると味が辛くなると共に、一食当たりの摂取塩分量が多くなるためである。また、膨化穀物が55質量%未満になると食べ応えに乏しいと共に、所望の食物繊維摂取量を満たさなくなり、70質量%を超えると適度にふやけさせるために注ぐお湯の量が増えて一食分の分量に適さなくなるからである。
更に、即席味噌汁の素1を構成する膨化穀物21においては、膨化もち麦22と膨化赤米23との割合は、第2の容器20に封入された具材100質量%中、膨化もち麦を80質量%~90質量%の割合で含有すると共に、膨化赤米を10質量%~20質量%の割合で含有する構成とすることが望ましい。膨化もち麦22が80質量%未満であると一食当たりに摂取できるβグルカン(水溶性食物繊維)の量、不溶性食物繊維の量が所望の量から不足し、90質量%を超えると膨化赤米が備えるポリフェノールとの相乗効果が薄まるからである。また、膨化赤米23が10質量%未満であると膨化もち麦が備えるβグルカン(水溶性食物繊維)、不溶性食物繊維との相乗効果が薄まり、20質量%を超えると一食当たりに膨化もち麦22から摂取できるβグルカン(水溶性食物繊維)の量、不溶性食物繊維の量が所望の量から不足するからである。
【0018】
次に、
図2を参照して、本発明の実施形態に係る即席味噌汁の素1の製造方法を説明する。
【0019】
まずは
図2(a)を参照して、膨化穀物21の製造工程たる穀物封入工程Aを説明する。なお、膨化もち麦22と膨化赤米23との製造工程は、原料の種類、分量、加圧時の圧力の違いがあるものの製造工程自体は同じものであるため、
図2(a)に一図で示すものとする。
前記穀物封入工程Aは、原料計量工程Bと、膨化工程Cと、冷却工程Dと、計量・封入工程Eとで構成される。
【0020】
まず、原料計量工程Bにより、膨化させる原料となる所定量(例えば1週間分など)のもち麦と、赤米とをそれぞれ計量する。なお、本実施形態においては、もち麦としてもち麦玄麦を用い、赤米として赤米玄米を用いる構成としてある。勿論、このような構成に限るものではなく、精米したもち麦、精米した赤米を用いる構成としてもよいが、好適にはもち麦玄麦、赤米玄米を用いることが望ましい。
【0021】
そして、膨化工程Cにより、原料計量工程Bによって所定量に計量されたもち麦と赤米とを、穀類膨張機を用いて加熱加圧してそれぞれ膨化させる。なお、この際、穀物に0.9Mpa~1.1Mpaの圧力を加える構成とすることが望ましい。0.9Mpa未満であると未膨化状の穀物が残ることよって具材に固い部分が残り、1.1Mpaを超えると膨化し過ぎる穀物が存在して食べた際に苦みや酸味を感じると共に、穀物がひっついてしまうためである。より好適には、膨化工程においては、もち麦に1.0Mpa~1.1Mpaの圧力を加えると共に、赤米に0.9Mpa~1.0Mpaの圧力を加える構成とすることが望ましい。もち麦に0.9Mpa以上1.0Mpa未満の圧力を加えた場合、未膨化状の穀物が残ることよって具材に固い部分が残る可能性が若干あり、この可能性を一段と防止することができるからであり、赤米に1.0Mpa以上1.1Mpa未満の圧力を加えた場合、膨化し過ぎる穀物が存在して食べた際に苦みや酸味を感じると共に、穀物がひっついてしまう可能性が若干あり、この可能性を一段と防止することができるからである。
なお、穀類膨張機を用いてもち麦、赤米に圧力を加える時間は、外気温度や穀類膨張機の機種により変わるが、概ね10分~15分程度で、所望の圧力値になった時点で圧力弁を開放して膨化工程を終了させる。
【0022】
そして、冷却工程Dにより、膨化工程Cによって膨化させた膨化もち麦22と膨化赤米23とをそれぞれ冷却させる。冷却方法は自然風による冷却を原則とするが、冷風機、冷房機を用いての冷却など如何なる手段を用いてもよい。
【0023】
そして、計量・封入工程Eにより、冷却工程Dによって冷却された膨化もち麦22と膨化赤米23とのそれぞれに対して第2の容器20に封入する量の計量を行い、膨化もち麦22と膨化赤米23との小分けを行う。そして、所定量に計量された膨化もち麦22と膨化赤米23とを第2の容器に封入する。
以上により、穀物封入工程Aが完了する。
【0024】
次に、
図2(b)を参照して、ペースト状の味噌11の製造工程たる味噌封入工程Fを説明する。
前記味噌封入工程Fは、計量・封入工程Gで構成される。
具体的には、所定量を仕入れて保管状態にあるペースト状の味噌11に対して第1の容器10に封入する量の計量を行って味噌11を小分けし、第1の容器10に封入する。
以上により、味噌封入工程Fが完了する。
【0025】
以上の構成からなる本発明の実施形態に係る即席味噌汁の素及び即席味噌汁の素の製造方法は、以下の効果を奏する。
【0026】
第1の容器10に封入されたペースト状の味噌11と、第2の容器20に封入された膨化穀物21とを、所望の器30に取り出してお湯41を注ぐだけで簡単に具材入り味噌汁を作ることができる。よって、手軽に具材入り味噌汁を食することができる。従って、朝の出勤前や登校前の比較的慌ただしい朝食時においてもしっかりと味噌汁を食することができ、健康維持、健康増進を図ることができる。
また、膨化状態にある膨化穀物21を用いることで、お湯41を注ぐことで嵩が増すと共に、適度にふやけ、食べ応えがあって腹持ちが良いと共に、高齢者でも食べ易い味噌汁とすることができる。
更に、膨化穀物21として膨化もち麦22を用いることで、もち麦は腸内細菌(善玉菌)の餌となるβグルカン(水溶性食物繊維)を豊富に含むことから、ペースト状の味噌11に含まれる乳酸菌と合わさって一段と整腸作用を促進させて健康維持、健康増進を図ることができる。加えて、もち麦は不溶性食物繊維も豊富に含むことから、不溶性食物繊維が腸内の水分と一緒になることで、膨らみ、便の量を増加させて腸内を刺激することで腸の蠕動運動を活発化させることができる。これにより、便秘や下痢を改善することができる。更に、免疫力が低下することを防止できると共に、自律神経を整えることができ、健やかな毎日を送ることができると共に、健康維持、健康増進を図ることができる。
【0027】
また、即席味噌汁の素1の100質量%中、ペースト状の味噌11を30質量%~45質量%の割合で含有すると共に、膨化穀物21を55質量%~70質量%の割合で含有する構成とすることで、塩分摂取量を効果的に抑えることができると共に、食べ応えのある味噌汁とすることができる。
【0028】
また、膨化穀物21として、膨化もち麦22に加えて膨化赤米23を含有し、第2の容器20に封入された具材100質量%中、膨化もち麦22を80質量%~90質量%の割合で含有すると共に、膨化赤米23を10質量%~20質量%の割合で含有することで、赤米はポリフェノールも豊富に含むことから、抗酸化作用により動脈硬化などの生活習慣病の予防にも役立つ味噌汁とすることができる。
更に、もち麦としてもち麦玄麦を用い、赤米として赤米玄米を用いる構成とすることで、精麦、精米したものに比べて食物繊維や栄養価をより豊富に含むことから、一段と健康維持、健康増進を図ることができる即席味噌汁の素とすることができる。また、精麦、精米したものに比べて食感や腹持ちの良い即席味噌汁の素とすることができる。
【0029】
また、所定量のペースト状の味噌を第1の容器10に封入する味噌封入工程Fと、所定量の穀物を膨化させた後に第2の容器20に封入する穀物封入工程Aとを少なくとも備え、穀物封入工程Aは、原料となる穀物を計量する原料計量工程Bと、加熱と加圧とを行いながら原料計量工程Bで計量された穀物を膨化させて膨化穀物とする膨化工程Cと、膨化工程Cで生じた膨化穀物を冷却する冷却工程Dと、冷却工程Dで冷却された膨化穀物を計量して第2の容器20に封入する計量・封入工程Eとを備えると共に、膨化工程Cにおいては、穀物に0.9Mpa~1.1Mpaの圧力を加える構成とすることで、お湯を注いだ際に水分吸収率が良くて適度にふやけることで、食べた際に腹持ちが良いと共に、口解けが良い具材とすることができる。また、穀物の栄養成分を効果的にお湯41に溶出させることができ、穀物の栄養成分を手軽に且つ漏れなく摂取可能な味噌汁とすることができる。
【0030】
また、穀物として、もち麦と赤米とを用い、膨化工程Cにおいては、もち麦に1.0Mpa~1.1Mpaの圧力を加えると共に、赤米に0.9Mpa~1.0Mpaの圧力を加える構成とすることで、もち麦、赤米ともに、未膨化状の穀物が残ることよって具材に固い部分が残ることを効果的に防止できる。また、膨化し過ぎる穀物が存在することによって食べた際に苦みや酸味を感じることを効果的に防止することができる。また、膨化し過ぎることで穀物がくっつくことも効果的に防止することができる。
【実施例0031】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
本発明の実施例として、もち麦玄麦1kgを準備し、穀類膨張機を用いて圧力1.0Mpaの圧力をかけ、その後10分冷却し、更に小分けにするための計量を行い30gの膨化もち麦を得た。また、赤米玄米1kgを準備し、穀類膨張機を用いて圧力0.9Mpaの圧力をかけ、その後10分冷却し、更に小分けにするための計量を行い5gの膨化赤米を得た。そして、得られた膨化もち麦30gと膨化赤米5gとを第2の容器に封入した。また、ペースト状の味噌18gを第1の容器に封入した。そして、第1の容器と第2の容器とを1枚の包装袋に収納し、一人一回一食分の即席味噌汁の素を得た。
このようにして得た即席味噌汁の素を10人の被験者に対して、180g~200gの熱湯で注いで30日間一日一回朝食時か昼食時に食してもらい、その後大腸の調子について聞き取り調査を行った。その結果を表1に示す。表1の結果より、本発明の即席味噌汁の素を食することで、大腸の調子に何らかの良い効果(具体的には便秘改善、便の質改善、肌つや改善、お腹周りがすっきりしたなど)を実感できたことがわかる。また、過半数以上の被験者において、便の量が増えたことがわかる。
【0033】
本発明の即席味噌汁の素及び即席味噌汁の素の製造方法は、手軽に食することができると共に、整腸作用を促進することが可能であることから、即席味噌汁の素の産業分野において有用であり、産業上の利用可能性が大きい。