IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社 システムスクエアの特許一覧

<>
  • 特開-X線検査装置 図1
  • 特開-X線検査装置 図2
  • 特開-X線検査装置 図3
  • 特開-X線検査装置 図4
  • 特開-X線検査装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042277
(43)【公開日】2022-03-14
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/18 20180101AFI20220307BHJP
   G01N 23/04 20180101ALI20220307BHJP
   B42C 1/12 20060101ALI20220307BHJP
   B42C 19/00 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
G01N23/18
G01N23/04
B42C1/12
B42C19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147631
(22)【出願日】2020-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】598105802
【氏名又は名称】株式会社 システムスクエア
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山城 直也
【テーマコード(参考)】
2G001
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001DA06
2G001DA08
2G001DA09
2G001HA13
2G001JA09
2G001KA03
2G001LA20
2G001PA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】中綴じ本の綴じ状態の検査に好適なX線検査装置を提供する。
【解決手段】X線検査装置17は、少なくとも、丁合工程と、綴工程と、前記綴工程を経た折丁集積体Oを搬送面に載置して水平方向に搬送する搬送部とを備える製本ライン1に設けられ、前記搬送部による搬送経路上にて前記工程を経た折丁集積体Oを検査する。X線検査装置17は、前記搬送部の前記搬送面を挟んで一方側に配置され、前記搬送面に向けてX線を照射するX線照射部と、前記搬送部の前記搬送面を挟んで他方側の前記X線照射部に対向する位置に配置され、X線量の分布を検出するX線検出部と、を有し、前記X線検出部が検出したデータに基づき、折丁集積体Oの異常を検査する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、丁合工程と、綴工程と、前記綴工程を経た折丁集積体を搬送面に載置して水平方向に搬送する搬送部とを備える製本ラインに設けられ、前記搬送部による搬送経路上にて前記工程を経た折丁集積体を検査するX線検査装置であって、
前記搬送部の前記搬送面を挟んで一方側に配置され、前記搬送面に向けてX線を照射するX線照射部と、
前記搬送部の前記搬送面を挟んで他方側の前記X線照射部に対向する位置に配置され、X線量の分布を検出するX線検出部と、を有し、
前記X線検出部が検出したデータに基づき、前記折丁集積体の異常を検査することを特徴とする製本ラインに設けられるX線検査装置。
【請求項2】
前記搬送部は、前記折丁集積体同志が重ならないよう間隔を空けて前記折丁集積体を搬送することを特徴とする請求項1に記載の製本ラインに設けられるX線検査装置。
【請求項3】
製本ラインは、前記搬送部による搬送中の断裁工程を含み、
前記X線検査装置が断裁工程より前段に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の製本ラインに設けられるX線検査装置。
【請求項4】
製本ラインは、前記搬送部による搬送中の断裁工程を含み、
前記X線検査装置が断裁工程より後段に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の製本ラインに設けられるX線検査装置。
【請求項5】
製本ラインは、前記搬送部による搬送中の断裁工程を含み、
前記X線検査装置が断裁工程より前段および後段の両方に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の製本ラインに設けられるX線検査装置。
【請求項6】
前記X線照射部を収納する第1収納部、前記X線検出部を収納する第2収納部、および前記第1収納部と前記第2収納部とを接続する支持部を有する筐体を備え、
前記支持部は前記搬送部による搬送方向から見たときに前記搬送部の一方の側のみで前記第1収納部と前記第2収納部とを接続した状態で前記第1収納部および/または前記第2収納部を支持することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の製本ラインに設けられるX線検査装置。
【請求項7】
前記搬送部による搬送方向から見たときに少なくとも前記搬送部の他方の側において前記搬送部の一部を覆うX線遮蔽部材を備えることを特徴とする請求項6に記載の製本ラインに設けられるX線検査装置。
【請求項8】
前記X線検出部が、前記搬送部の搬送方向と直交する方向に並べられた複数の検出素子を備える検出素子アレイを複数列備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の製本ラインに設けられるX線検査装置。
【請求項9】
前記X線検出部が検出したX線量の分布のデータに基づき、前記折丁集積体のX線透過画像を生成し、当該X線透過画像に基づき異常を判定することを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の製本ラインに設けられるX線検査装置。
【請求項10】
前記搬送部は前記折丁集積体を背部に直交する方向に搬送し、
前記折丁集積体のX線透過画像に対し、前記搬送部による搬送方向に対応する方向についての微分フィルタを適用し、フィルタの出力結果を元の画像から減算した画像に基づき異常を判定することを特徴とする請求項9に記載のX線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中綴じは見開き状態の複数枚の紙が背の中央で針金により綴じられた構造を有する中綴じ本を生産する製本ライン、および当該製本ラインに設置されるX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冊子を綴じて製本する手法として、無線綴じ、中綴じ、平綴じ等がある。これらのうち中綴じは、見開きの状態の紙を重ね、二つ折りにした折り目をホッチキスで留める、シンプルな製本方法である。例えば特許文献1等に示されるように、従来から、中綴じ本を連続的に生産するための製本ラインが実用化されている。
【0003】
一般に、中綴じ本の製本を行う製本機は、製本するために刷本を折った折丁を複数のフィーダからギャザリングチェーン(丁合チェーン)上の所定位置に供給する丁合工程と、丁合された折丁を綴機で表紙と共に針金で綴じる綴工程と、搬送コンベアによって運ばれてきた綴じた折丁の天地と小口を断裁機により断裁して所定の寸法に仕上げる断裁工程と、仕上げられた本をスタッカに集積するスタック工程とを含んでいる。
【0004】
そして、このような製本機を用いて製本された中綴じ本の綴じ状態を、光学検査、近接センサを用いる検査装置等を用いて検査する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10-193832号公報
【特許文献2】特開2018-80962号公報
【特許文献3】特開2012-161996号公報
【特許文献4】特開2008-93838号公報
【特許文献5】特開2010-99988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、特許文献2~4に開示されているような光学検査による場合には、ギャザリングチェーン上で、背部の針金が打ち込まれた箇所を下側や外側から撮像し、この撮像により得られた画像に綴じ不良を検出している。この方法では、針金が露出している部分しか画像に写らないため、針金が紙片を貫通している内部状態を検査することができない。また、折丁がギャザリングチェーンを跨いで開いた状態での検査となるため、中綴じ本が閉じた状態での不良を検査できない。
【0007】
また、特許文献5に開示されている近接センサを用いた検査装置では、ギャザリングチェーンから断裁機に向けて水平搬送した後に、電磁気的な原理を利用して金属である針金の有無等を検査している。しかし、この方法では、針金による綴じ状態が可視化されるわけではなく、検出される信号から綴じ状態の正常/異常を判定するものであるため、正確な検査が困難である。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、中綴じ本の綴じ状態の検査に好適なX線検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決すべく、本発明に係るX線検査装置は、少なくとも、丁合工程と、綴工程と、綴工程を経た折丁集積体を搬送面に載置して水平方向に搬送する搬送部とを備える製本ラインに設けられ、搬送部による搬送経路上にて工程を経た折丁集積体を検査する。X線検査装置は、搬送部の搬送面を挟んで一方側に配置され、搬送面に向けてX線を照射するX線照射部と、搬送部の搬送面を挟んで他方側のX線照射部に対向する位置に配置され、X線量の分布を検出するX線検出部と、を有し、X線検出部が検出したデータに基づき、折丁集積体の異常を検査する。
【0010】
本発明では、搬送部は、折丁集積体同志が重ならないよう間隔を空けて折丁集積体を搬送するとよい。
【0011】
本発明では、製本ラインは、搬送部による搬送中の断裁工程を含むとよい。そしてX線検査装置が断裁工程より前段に設けられるとよい。あるいは、X線検査装置が断裁工程より後段に設けられてもよい。あるいは、X線検査装置が断裁工程より前段および後段の両方に設けられてもよい。
【0012】
本発明では、X線検査装置は、X線照射部を収納する第1収納部、X線検出部を収納する第2収納部、および第1収納部と第2収納部とを接続する支持部を有する筐体を備え、支持部は搬送部による搬送方向から見たときに搬送部の一方の側のみで第1収納部と第2収納部とを接続した状態で第1収納部および/または第2収納部を支持するとよい。また、X線検査装置は、搬送部による搬送方向から見たときに少なくとも搬送部の他方の側において搬送部の一部を覆うX線遮蔽部材を備えるとよい。
【0013】
本発明では、X線検出部が、搬送部の搬送方向と直交する方向に並べられた複数の検出素子を備える検出素子アレイを複数列備えるとよい。また、X線検査装置は、X線検出部が検出したX線量の分布のデータに基づき、折丁集積体のX線透過画像を生成し、当該X線透過画像に基づき異常を判定するとよい。
【0014】
本発明では、搬送部は折丁集積体を背部に直交する方向に搬送し、折丁集積体のX線透過画像に対し、搬送部による搬送方向に対応する方向についての微分フィルタを適用し、フィルタの出力結果を元の画像から減算した画像に基づき異常を判定するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】X線検査装置17の構成を示す図である。
図2】X線検査装置17の外観を示す斜視図である。
図3】製本ライン1における水平搬送部以降の工程の構成の一例を示す図である。
図4】綴工程を経た折丁集積体Oを水平搬送部14が受け取る様子を示す模式図である。
図5】水平搬送部14におけるガイド14cの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0017】
本発明に係るX線検査装置17は、丁合工程、綴工程、綴工程を経た折丁集積体Oを搬送面に載置して水平方向に搬送する水平搬送部、折丁集積体Oの天地と小口を断裁する断裁部、断裁後の折丁集積体O(すなわち製本済みの本)を集積するスタッカ等を備える製本ライン1に設けられる。X線検査装置17は、水平搬送部14による搬送経路上にて折丁集積体Oを検査する。なお、本願では、製本するために刷本を折った折丁が中綴じ本のページ順となるように積み重ねられたものを、綴工程や断裁工程を経て中綴じ本の形となったものも含め折丁集積体Oと総称する。
【0018】
図1は、X線検査装置17の構成例を示している。また、図2は、X線検査装置17の外観の一例を模式的に示す図である。X線検査装置17は、筐体170内にX線照射部171、X線検出部172、画像生成部173、記憶部174、判定部175、および判定結果出力部176を備える
【0019】
X線照射部171は、水平搬送部14に載置されて水平方向に搬送される折丁集積体Oに、X線を照射するX線源である。
【0020】
X線検出部172は、折丁集積体Oを透過したX線の透過量を検出し出力する。X線検出部172の構成方法は任意であり、例えば、水平搬送部14の搬送方向と直交する幅方向に並べられた複数の検出素子を備える検出素子アレイとして構成されてもよいし、この検出素子アレイが搬送方向そって複数列設けられた多列の検出素子アレイとしてもよい。あるいは、X線検出部172は、複数の検出素子がX軸方向及びY軸方向にマトリクス状に並べられたエリアセンサとして構成してもよい。
【0021】
画像生成部173は、X線検出部172が出力するX線の透過量の情報に基づいて、検査対象となる折丁集積体Oの一部(例えば予め設定された範囲)または全体についてのX線透過量の分布を可視化した画像を生成する。そして、画像生成部173は、生成した画像を記憶部174に格納する。例えばX線検出部172がラインセンサである場合、画像生成部173は、X線検出部172が周期的に出力する幅方向における透過量の分布に応じて、幅に並ぶ画素の色調(色彩の明暗・濃淡・強弱などの調子)を決定し、この幅に並ぶ画素列を時系列に並べることで、X線検出部172上を通過した折丁集積体O全体についての透過量の分布を得る。画像生成部173は、画素の輝度や色彩を当該画素に対応する位置の透過量に応じて決定し、透過量の分布を可視化した画像とする。
【0022】
判定部175は、画像生成部173が生成し記憶部174に格納された画像に基づき折丁集積体Oの綴じ状態を判定し異常を検出する。判定部175は、例えば、画像に写る綴じ部材(針金)の位置及び形状に基づき判定を行う。画像生成部173が生成する画像においては綴じ部材である針金が濃く写るので、判定部175は、画像における綴じ部材部分について、位置、形状、面積等に基づいて、針金の欠落、断裂、針金の形状不良、綴じ位置の不良等の異常を検出する。
【0023】
なお、水平搬送部14により搬送される折丁集積体Oにおいて、綴じ部材である針金には折丁集積体Oの背に沿って露出した部分と折丁集積体Oを貫通し内側に折り込まれた部分とが存在する。このため、針金は露出した部分と折丁集積体O内の部分とで画像に写る濃度に差が生じる。この画像に写る際の濃度差を緩和するために、画像生成部173が生成した画像に対しフィルタを適用するとよい。
【0024】
例えば、急激に変化する部分(エッジ)の抽出・強調のための各種フィルタを適用するとよい。より具体的には、水平搬送部14が折丁集積体Oを背部に直交する方向に搬送するように構成し、画像生成部173が生成した画像に対し搬送方向についての微分フィルタを適用し、フィルタの出力結果を元の画像から減算するとよい。中綴じ本では針金が本の外側と内側に存在しており、X線透過画像では紙が存在しない分だけ外側部分が薄く写ることになるが、このようなフィルタを用いれば本の内外で針金の写り方を均一化することができ、綴じ状態を検査しやすくすることができる。なお、方向を特定しない(二次元の)フィルタをかけると、本の外側も内側も全体的に濃くなってしまうため好ましくない。
【0025】
判定結果出力部176は、判定部175による判定結果を出力する。判定結果は、水平搬送部14の下流に設けられる選別機(不図示)に綴じ状態の良否を示す信号として供給され、選別機により綴じ不良の中綴じ本がスタッカ16に集積されないよう排除するようにしてもよい。あるいは、判定結果出力部176は、判定結果を、視覚および/または聴覚により認識可能な態様で周囲の作業者に報知してもよい。
【0026】
筐体170は、X線照射部171、X線検出部172、画像生成部173、記憶部174、判定部175、および判定結果出力部176を収納する。筐体170は、少なくとも、第1収納部170a、第2収納部170b、および支持部170cを備える。第1収納部170aは少なくともX線照射部171を収納する。第2収納部170bは、少なくともX線検出部172を収納する。X線照射部171およびX線検出部172以外の構成要素は、第1収納部170aおよび第2収納部170bのいずれに収納されてもよく、あるいは第1収納部170aおよび第2収納部170bのいずれとも異なる他の収納部に収納されてもよい。
【0027】
支持部170cは、第1収納部170aと第2収納部170bを接続しつつ支持する。支持部170cは、電源供給や信号伝送のための配線を収納するとよい。支持部170cは、図4に示すように、水平搬送部14による搬送方向から見たときに水平搬送部14の一方の側のみで第1収納部170aと第2収納部170bを接続する。すなわち、筐体170は、第1収納部170a、第2収納部170b、および支持部170cにより片持ちのコの字型となるように構成され、コの字型の内側の空間を通るように水平搬送部14により折丁集積体Oが搬送される。このように、筐体170は、検査対象である折丁集積体Oが通る空間S(以下ではこの空間を搬送空間Sという)の一側面が解放された構造となっている。筐体170を支える脚部は長さを調節可能に構成され、搬送空間Sの高さを水平搬送部14の高さや搬送される折丁集積体Oの大きさに応じて調節することができるようにされるとよい。このような構造により、筐体170は、既存の製本ライン1における水平搬送部14の任意の位置に、簡単に設置することができる。
【0028】
本例では筐体170において、搬送空間Sの上部にX線照射部171を収納する第1収納部170aが配置され、搬送空間の下部にX線検出部172を収納する第2収納部170bが配置されているが、第1収納部170aと第2収納部170bの上下関係を反対にしてもよい。なお、筐体170が製本ライン1に設置された状態においてX線の漏洩を防止すべく、少なくとも搬送空間の解放された側面に、X線を遮蔽する遮蔽カバー170dが着脱または(例えば蝶番で連結されて)開閉可能に設けられるとよい。
【0029】
図3は、製本ライン1における水平搬送部以降の工程を示している。製本ライン1は、調合工程と綴工程を経た折丁集積体Oを、水平搬送部14により搬送し、断裁機15で断裁し、スタッカ16に集積する。X線検査装置17は、水平搬送部14による搬送経路に配置される。
【0030】
水平搬送部14は、綴工程を経た折丁集積体Oを受け取り、後段の工程に向けて搬送する。図4は、綴工程を経た折丁集積体Oを水平搬送部14が受け取る様子を示す模式図である。綴工程を経た折丁集積体Oは、ギャザリングチェーン12に鞍掛けされた状態で水平搬送部への乗換位置まで搬送され、突上機構14aによってギャザリングチェーン12の頂部で下から上に突き上げられ上方に押し出される。折丁集積体Oが押し出される位置並びにタイミングで、水平搬送部14のコンベア14bが折丁集積体Oを受け取り、折丁集積体Oを垂直な姿勢(背部が上を向いた姿勢)から水平な姿勢(折丁集積体Oが閉じて紙面が水平搬送部14の搬送面と略平行となり背部が水平方向を向いた姿勢)へと変化させつつ、後段の工程に向けて搬送する。折丁集積体Oの姿勢が水平となった後の水平搬送部14による搬送方向は、折丁集積体Oの背部の長手方向に直交する(つまりギャザリングチェーン12の搬送方向とも直交する)水平方向である。水平搬送部14は、折丁集積体O同士が重ならないように間隔を空けて折丁集積体Oを搬送する。
【0031】
X線検査装置17での画像生成を安定して行うために、水平搬送部14は、図5に示すように、X線検査装置17までの搬送経路に、搬送する折丁集積体Oの位置および姿勢を整えるガイド14cを有するとよい。ガイド14cは、搬送経路の両側からガイドしてもよいし、片側のみをガイドしてもよい。ガイド14cは、板状の部材により構成してもよいし、搬送速度に合わせて動くベルトとして構成してもよい。このようにガイド14cを備えることにより、水平搬送部14はX線検札装置17に搬送される折丁集積体Oの位置決めをすることができる。従来は折丁集積体Oの外形画像を取得し、この外形画像から綴じ部材の位置を特定し、綴じ状態を判定する必要があったが、ガイド14cにより折丁集積体Oが位置決めされる構成においては、外形画像を必要としない。折丁集積体に打ち込まれた針金の位置は略一定の範囲に収まるため、画像生成部173は、折丁集積体O全体についての画像を生成せずに、針金があると想定される所定の範囲のみの画像を得るようにしてもよい。このようにして取得した所定の範囲の画像について、画像認識等の技術を適用して、例えば、予め記憶した位置(X-Y座標)での針金の有無の検査、針金の形状の検査、針金の傾き傾きの検査等を実施するとよい。このよう針金のあるべき位置の周囲に絞った範囲の画像を用いることにより、画像の生成及び画像を用いた検査等の処理の負荷を軽減することができる。
【0032】
断裁機15は、水平搬送部14により搬送されてきた綴じられた折丁集積体Oの天地と小口を断裁して所定の寸法に仕上げる。断裁機15にて断裁された折丁集積体O(すなわち中綴じ本)は、水平搬送部14によりさらに搬送され、スタッカ16に集積される。
【0033】
X線検査装置17は、水平搬送部14における、断裁機15の前段および/または断裁機15の後段に設置するとよい。
【0034】
断裁機15の前段にX線検査装置17を設置すれば、断裁前の折丁集積体Oの綴じ状態を検査することができる。また、ギャザリングチェーン12から水平搬送部14に乗り換えて水平搬送に変更されるの伴い、針金の位置ズレや針金の変形が生じる可能性があるため、水平搬送部14での水平搬送に移行したこの位置でX線検査を行うことは効果的である。断裁機15の前段にX線検査装置17を設置する構成においては、水平搬送部14による搬送経路におけるギャザリングチェーン12からの乗換位置とX線検査装置17との間にガイド14cを設けるとよい。
【0035】
また、断裁機15の後段にX線検査装置17を設置すれば、断裁後の折丁集積体Oの綴じ状態を検査することができる。断裁により針金の位置ズレや針金の変形が生じたり、断裁位置のズレにより中綴じ本における綴じ位置が相対的にずれたりする可能性があるため、この位置でX線検査を行うことも効果的である。また、断裁機15の前段と後段の両方にX線検査装置17を設置すれば、断裁前および断裁後の折丁集積体Oの綴じ状態だけでなく、断裁の前後における綴じ状態の変化を検査することができる。断裁機15の後段にX線検査装置17を設置する構成においては、水平搬送部14による搬送経路における断裁機14とX線検査装置17との間にガイド14cを設けるとよい。
【0036】
また、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【符号の説明】
【0037】
1 製本ライン
14 水平搬送部
15 断裁機
16 スタッカ
17 X線検査装置
170 筐体
171 X線照射部
172 X線検出部
173 画像生成部
174 記憶部
175 判定部
176 判定結果出力部
O 折丁集積体
図1
図2
図3
図4
図5