(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042296
(43)【公開日】2022-03-14
(54)【発明の名称】現場監督派遣管理方法及びシステム、現場監督派遣者決定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20120101AFI20220307BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147662
(22)【出願日】2020-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】村木 伸次
(72)【発明者】
【氏名】乾 譲
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 利生
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】安全保障輸出管理役務に関わる、簡易で合理的な現場監督派遣管理方法及びシステムを提供する。
【解決手段】安全保障輸出管理役務に関わる現場監督派遣管理方法であって、輸出品の納入先国と派遣予定の現場監督である対象者の国籍とが同一であることを確認する国籍確認ステップと、対象者が外国為替令を確認したかどうかを確認する法令確認ステップと、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を認識しているかどうかを判断する技術認識ステップと、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供しないことを誓約するかどうかを確認する誓約ステップと、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供した場合の責任を派遣依頼者が保証可能か判断する保障判断ステップと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全保障輸出管理役務に関わる現場監督派遣管理方法であって、
輸出品の納入先国と派遣予定の現場監督である対象者の国籍とが同一であることを確認する国籍確認ステップと、
前記対象者が外国為替令を確認したかどうかを確認する法令確認ステップと、
前記対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を認識しているかどうかを判断する技術認識ステップと、
前記対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供しないことを誓約するかどうかを確認する誓約ステップと、
前記対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供した場合の責任を派遣依頼者が保証可能か判断する保障判断ステップと、を含む、現場監督派遣管理方法。
【請求項2】
前記法令確認ステップは、前記対象者に最新の関連法令を提示する、法令提示ステップを含む、請求項1記載の現場監督派遣管理方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の現場監督派遣管理方法を使用し、輸出品の納入先国に派遣する現場監督を決定する現場監督派遣者決定方法。
【請求項4】
安全保障輸出管理役務に関わる現場監督派遣管理システムであって、
輸出品の納入先国と派遣予定の現場監督である対象者の国籍とが同一であることを確認する国籍確認部と、
前記対象者が外国為替令を確認したかどうかを確認する法令確認部と、
前記対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を認識しているかどうかを判断する技術認識部と、
前記対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供しないことを誓約するかどうかを確認する誓約部と、
前記対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供した場合の責任を派遣依頼者が保証可能か判断する保障判断部と、を含む、現場監督派遣管理システム。
【請求項5】
前記法令確認部は、前記対象者に最新の関連法令を提示する、法令提示部を含む、請求項4記載の現場監督派遣管理システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の現場監督派遣管理システムを使用し、輸出品の納入先国に派遣する現場監督を決定する現場監督派遣者決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全保障輸出管理役務に関わる現場監督派遣管理方法及びシステム、現場監督派遣者決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品を日本から輸出するためには、その製品が安全保障輸出管理の輸出規制品に該当するかどうかを判定するための「該非判定書」が必要であることが、特許文献1に記載されており、その作成を省力化するものが特許文献2や3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-228008号公報
【特許文献2】特開2008-276645号公報
【特許文献3】特開2017-68436号公報
【特許文献4】特開平10-301988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記は製品に関するものであり、実際には、外国の現場で当該製品を組み立てたり試運転を行うために、現場監督(Supervisor、SV)を現場に派遣することも必要となる。
【0005】
ここで、派遣される現場監督についても安全保障輸出管理役務で規定される要件を満たす必要があるが、派遣される現場監督は、日本人ではないこともあり、また、案件毎契約でこれまでどのような技術を有しているか現場監督を依頼する側にとって不明であることも多く、現場監督を派遣するに当たり、安全保障輸出管理役務の要件を満たしているかどうか確認することが複雑となってきている。また、特許文献4に示されるように、海外出張者を人選するプログラムは開示されているが、安全保障輸出管理役務に関わる、現場監督の派遣に関する合理的な管理方法及びシステム、現場監督派遣者決定方法は構築されていない。
【0006】
そこで本発明では、安全保障輸出管理役務に関わる、簡易で合理的な現場監督派遣管理方法及びシステム、現場監督派遣者決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、
安全保障輸出管理役務に関わる現場監督派遣管理方法であって、
輸出品の納入先国と派遣予定の現場監督である対象者の国籍とが同一であることを確認する国籍確認ステップと、
前記対象者が外国為替令を確認したかどうかを確認する法令確認ステップと、
前記対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を認識しているかどうかを判断する技術認識ステップと、
前記対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供しないことを誓約するかどうかを確認する誓約ステップと、
前記対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供した場合の責任を派遣依頼者が保証可能か判断する保障判断ステップと、を含む。
【0008】
前記構成によれば、安全保障輸出管理役務に関わる、簡易で合理的な現場監督派遣管理方法を提供できる。
【0009】
第一の態様は、さらに、次のような構成を備えるのが好ましい。
【0010】
前記法令確認ステップは、前記対象者に最新の関連法令を提示する、法令提示ステップを含む。
【0011】
前記構成によれば、対象者に最新の関連法令を提示するので、対象者が当該法令を確認したことを確実に記録として残すことができる。
【0012】
本発明の第二の態様は、
現場監督派遣者決定方法であって、
第一の態様の現場監督派遣管理方法を使用し、輸出品の納入先国に派遣する現場監督を決定する。
【0013】
前記構成によれば、安全保障輸出管理役務に関わる現場監督派遣者を簡易で合理的に決定することができる。
【0014】
本発明の第三の態様は、
安全保障輸出管理役務に関わる現場監督派遣管理システムであって、
輸出品の納入先国と派遣予定の現場監督である対象者の国籍とが同一であることを確認する国籍確認部と、
前記対象者が外国為替令を確認したかどうかを確認する法令確認部と、
前記対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を認識しているかどうかを判断する技術認識部と、
前記対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供しないことを誓約するかどうかを確認する誓約部と、
前記対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供した場合の責任を派遣依頼者が保証可能か判断する保障判断部と、を含む。
【0015】
前記構成によれば、安全保障輸出管理役務に関わる、簡易で合理的な現場監督派遣管理システムを提供できる。
【0016】
第三の態様は、さらに、次のような構成を備えるのが好ましい。
【0017】
前記法令確認部は、前記対象者に最新の関連法令を提示する、法令提示部を含む。
【0018】
前記構成によれば、対象者に最新の関連法令を提示するので、対象者が最新の当該法令を確認したことを確実に記録として残すことができる。
【0019】
本発明の第四の態様は、
現場監督派遣者決定方法であって、
第三の態様の現場監督派遣管理システムを使用し、輸出品の納入先国に派遣する現場監督を決定する。
【0020】
前記構成によれば、安全保障輸出管理役務に関わる現場監督派遣者を簡易で合理的に決定することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、安全保障輸出管理役務に関わる、簡易で合理的な現場監督派遣管理方法及びシステム、現場監督派遣者決定方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る現場監督派遣管理システムの構成概略図である。
【
図2】設計支援システムの処理における記憶フェーズのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る現場監督派遣管理システムの構成概略図である。
図1に示されるように、現場監督派遣管理システム10は、安全保障輸出管理役務に関わり、輸出製品を外国の現場で組み立てたり、試運転を行う現場監督(Supervisor、SV)を派遣するための管理システムである。
【0024】
現場監督派遣管理システム10は、国籍確認部1、法令確認部2、技術認識部3、誓約部4、保障判断部5及び操作端末6を含んで構成されている。
【0025】
国籍確認部1、法令確認部2、技術認識部3、誓約部4、保障判断部5及び操作端末6は、インターネット又はLAN等の通信回線7を介して互いに通信可能に接続されている。なお、
図1には、操作端末6は1つのみ示されているが、現場監督派遣管理システム10は、複数の操作者が使用する複数の操作端末6を含んでもよい。
【0026】
国籍確認部1は、輸出品の納入先国と派遣予定の現場監督である対象者の国籍とを確認する。具体的には、国籍確認部1は、対象者の国籍が輸出品の納入先国と同一であるかどうかを確認する。対象者が確認したかどうかの判断は、操作端末6の画面に表示された質問に対して対象者自身が回答を入力することによって行われ、その結果は管理サーバ(図示せず)に記録される。
【0027】
法令確認部2は、対象者が安全保障輸出管理役務に関わる外国為替令を確認したかどうかを確認する。法令確認部2はさらに、法令提示部8を含んでおり、法令確認部2が、対象者が外国為替令を確認していないことを確認すると、法令提示部8は、操作端末6に最新の外国為替令関連法令を提示、すなわち表示させる。具体的には、法令提示部8は通信回線7を介して、経済産業省が開示する最新の外国為替令関連法令、すなわち法令データベース9にアクセスし、それを操作端末6に表示する。
【0028】
技術認識部3は、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を認識しているかどうかを判断する。
【0029】
誓約部4は、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を第三者に提供しないことを誓約するかどうかを確認する。具体的には、誓約部4は、操作端末6に、安全保障輸出管理に該当する技術を提供しないことを確認する画面を表示させる。なお、ここで述べる「第三者」とは、状況にもよるが、例えば、現場監督を依頼する側の個人、集団又は法人等と、派遣予定の現場監督となる対象者以外の者を意味し、一般には元請け、顧客を含み、場合によっては別途契約、秘密保持契約や関連会社リストによって第三者を特定することもある。
【0030】
保障判断部5は、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を第三者に提供した場合の責任を派遣依頼者が保証可能か判断する。具体的には、保障判断部5は、操作端末6に対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を第三者に提供しないことを保障する派遣依頼者のサインを求める。
【0031】
(現場監督派遣管理システム10の処理)
図2は、現場監督派遣管理システム10の処理におけるフローチャートである。以下、
図2のフローチャートにしたがって、現場監督派遣管理システム10の処理の流れを説明する。
【0032】
現場監督として派遣予定の対象者が選定されると、操作者(対象者を含む)は、操作端末6から現場監督派遣管理システム10を立ち上げる。
【0033】
まず、国籍確認部1は、輸出品の納入先国と対象者の国籍とが同一であるかどうかを確認する(S01)。輸出品の納入先国と対象者の国籍とが同一である場合、安全保障輸出管理に関わる問題は生じないので、現場監督派遣管理システム10は、対象者を派遣する現場監督の要件を満たしているとし、判断を終了する。
【0034】
国籍確認部1が、輸出品の納入先国と対象者の国籍とが同一でないことを確認すると、現場監督派遣管理システム10は次のステップに移行する。そして、法令確認部2は、対象者が外国為替令を確認したかどうかを確認する(S02)。
【0035】
対象者が外国為替令を確認していない場合、法令提示部8は、通信回線7を介して、経済産業省が開示する最新の外国為替令関連法令の法令データベース9にアクセスし、当該関連法令を操作端末6に表示させる(S03)。
【0036】
対象者が操作端末6において、最新の外国為替令関連法令を確認すると、法令確認部2は、対象者が外国為替令を確認したと判断し、現場監督派遣管理システム10は次のステップに移行する。
【0037】
次に、技術認識部3は、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を認識しているかどうかを判断する(S04)。技術認識部3が、対象者は安全保障輸出管理に該当する技術を認識していないと判断した場合、安全保障輸出管理に関わる問題は生じないので、現場監督派遣管理システム10は、対象者を派遣する現場監督の要件を満たしているとし、判断を終了する。
【0038】
技術認識部3が、対象者は安全保障輸出管理に該当する技術を認識していると判断した場合、現場監督派遣管理システム10は次のステップに移行する。
【0039】
誓約部4は、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を第三者に提供しないことを誓約するかどうかを確認する(S05)。具体的には、誓約部4は、操作端末6に、安全保障輸出管理に該当する技術を第三者に提供しないことを確認する画面を表示させ、対象者がそれにサインをするかどうかを確認する。誓約部4が、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を第三者に提供しないことを確認すると、現場監督派遣管理システム10は対象者を派遣する現場監督の要件を満たしているとし、判断を終了する。
【0040】
誓約部4が、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を第三者に提供しないことを確認できない場合、すなわち、対象者が誓約を行わない場合、現場監督派遣管理システム10は次のステップに移行する。
【0041】
保障判断部5は、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を第三者に提供した場合の責任を派遣依頼者が保証可能か判断する(S06)。具体的には、保障判断部5は、操作端末6に対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供しないことを保障する派遣依頼者のサインを求める。
【0042】
保障判断部5が、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を第三者に提供した場合の責任を派遣依頼者が保証可能であると判断した場合、現場監督派遣管理システム10は対象者を派遣する現場監督の要件を満たしているとし、判断を終了する。
【0043】
保障判断部5が、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を第三者に提供した場合の責任を派遣依頼者が保証可能でないと判断した場合、現場監督派遣管理システム10は、当該対象者を派遣する現場監督として認定せず、他の対象者を派遣する現場監督として判断するフローを進める。
【0044】
前記構成の現場監督派遣管理システム10によれば、次のような効果を発揮できる。
【0045】
(1)現場監督派遣管理システム10は、輸出品の納入先国と派遣予定の現場監督である対象者の国籍とが同一であることを確認する国籍確認部1と、対象者が外国為替令を確認したかどうかを確認する法令確認部2と、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を認識しているかどうかを判断する技術認識部3と、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供しないことを誓約するかどうかを確認する誓約部4と、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供した場合の責任を派遣依頼者が保証可能か判断する保障判断部5と、を含んでいるので、安全保障輸出管理役務に関わる、簡易で合理的な現場監督派遣管理システム10を提供できる。
【0046】
(2)法令確認部2は、対象者に最新の関連法令を提示する、法令提示部8を含んでいるので、対象者が法令を確認していない場合、対象者に最新の関連法令を提示でき、対象者が当該法令を確認したことを確実に記録として残すことができる。
【0047】
(3)現場監督派遣管理システム10を使用することによって、安全保障輸出管理役務に関わる現場監督派遣者を簡易で合理的に決定することができる。
【0048】
(4)輸出品の納入先国と派遣予定の現場監督である対象者の国籍とが同一であることを確認し、対象者が外国為替令を確認したかどうかを確認し、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を認識しているかどうかを判断し、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供しないことを誓約するかどうかを確認し、対象者が安全保障輸出管理に該当する技術を提供した場合の責任を派遣依頼者が保証可能か判断することによって、安全保障輸出管理役務に関わる、簡易で合理的な現場監督派遣管理方法を提供できる。
【0049】
上記実施形態では、国籍確認部1、法令確認部2、技術認識部3、誓約部4、保障判断部5の順に確認、判断するようになっており、この順で確認、判断を進めることが最も合理的ではあるが、状況によって、確認、判断する順序を変更あるいは一部を省略してもよい。
【0050】
上記実施形態では、安全保障輸出管理役務に関わる現場監督派遣管理システム10として説明しているが、本管理システム10は、来客を受け入れるかどうかの判断にも使用することができる。具体的には、輸出品の納入先国を来客受入先国と読み替え、対象者を来客者と読み替えることによって、本管理システムを適用できる。なお、来客受入先国が日本であり、来客者が日本人以外の外国人である場合、同じ外国人でも日本に六か月未満の滞在者は非居住者となり、六か月以上の滞在者は居住者となるため、六か月以上日本に滞在しているかという判断を国籍確認部に追加することが好ましい。
【0051】
特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、各種変形及び変更を行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明では、安全保障輸出管理役務に関わる、簡易で合理的な現場監督派遣管理方法及びシステム、現場監督派遣者決定方法を提供できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0053】
1 国籍確認部
2 法令確認部
3 技術認識部
4 誓約部
5 保障判断部
6 操作端末
7 通信回線
8 法令提示部
9 法令データベース
10 現場監督派遣管理システム