(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042421
(43)【公開日】2022-03-14
(54)【発明の名称】リニアアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 33/02 20060101AFI20220307BHJP
H02K 41/02 20060101ALI20220307BHJP
H02K 7/10 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
H02K33/02 A
H02K41/02 Z
H02K7/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147845
(22)【出願日】2020-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】田尻 将大
(72)【発明者】
【氏名】角谷 武光
【テーマコード(参考)】
5H607
5H633
5H641
【Fターム(参考)】
5H607BB11
5H607DD02
5H607EE04
5H633BB03
5H633GG02
5H633HH03
5H633JB05
5H641BB06
5H641GG02
5H641HH03
(57)【要約】
【課題】可動子の移動制御を容易に行うことが可能なリニアアクチュエータを提供する。
【解決手段】このリニアアクチュエータ100は、軸方向に直線移動する環状の可動子1と、環状の固定子2と、固定子2に保持される複数のコイル部5と、を備える。固定子2は、複数のコイル部5の各々のX方向(軸方向)における両側に配置され、可動子1との間に磁束が通過可能な磁気ギャップを有する環状でかつ磁性体の複数の第1突出部20を含む。また、固定子2は、X方向に隣り合う環状の第1突出部20同士の間の空間の1つに設けられる環状の第1コイル配置部21を含む。第1コイル配置部21は、周状に並んで配置され、可動子1との間に磁束が通過可能な磁気ギャップを有する磁性体の複数の第2突出部22を有する。複数のコイル部5は、複数の第2突出部22の各々に巻回される第1コイル5aを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に直線移動する環状の可動子と、
前記環状の可動子に対して径方向の内側または外側のいずれか一方側に固定される環状の固定子と、
前記固定子に保持され、前記軸方向に並んで配置される複数のコイル部と、を備え、
前記固定子は、
前記軸方向において前記複数のコイル部の各々を挟むように配置され、前記可動子側に突出して前記可動子との間に磁束が通過可能な磁気ギャップを有する環状でかつ磁性体の複数の第1突出部と、
前記軸方向に隣り合う前記環状の第1突出部同士の間の空間の少なくとも1つに設けられる環状の第1コイル配置部と、を含み、
前記第1コイル配置部は、周状に並んで配置されるとともに前記可動子側に突出して前記可動子との間に磁束が通過可能な磁気ギャップを有する磁性体の複数の第2突出部を有し、
前記複数のコイル部は、前記複数の第2突出部の各々に巻回される第1コイルを含む、リニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1コイル配置部において周方向に隣り合う前記第2突出部同士の間に設けられ、前記可動子の前記軸方向における位置を検出する位置センサをさらに備える、請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記固定子は、前記第1コイルが配置される前記第1コイル配置部とは異なる環状の第2コイル配置部をさらに含み、
前記複数のコイル部は、前記環状の第2コイル配置部に沿って周状に巻回される第2コイルをさらに含む、請求項1または2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記第2コイルが配置される前記第2コイル配置部は、前記軸方向において前記第1コイルが配置される前記第1コイル配置部の両側に設けられている、請求項3に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記可動子は、前記固定子と対向する表面に設けられる磁石を含むとともに、前記複数のコイル部の各々に電流が流れていない状態において、前記第1突出部および前記第2突出部と前記磁石との吸引力により、前記軸方向における少なくとも1点において位置が保持されるように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項6】
前記可動子は、前記軸方向に延びるシャフトの径方向外側において前記シャフトを取り囲むように環状に設けられるとともに、前記シャフトに対して摺動可能に構成されており、
前記可動子は、前記シャフトに対して回動可能に設けられるギア部材と係合されるとともに前記軸方向に突出するように設けられるドグ歯を有するドグクラッチを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のリニアアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアアクチュエータに関し、特に、複数のコイル部を備えるリニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のコイル部を備えるリニアアクチュエータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、入力側ギアおよび出力側ギアが設けられる入力軸を備えるドグクラッチアクチュエータが開示されている。入力側ギアおよび出力側ギアの外周側には、軸方向に移動可能な中空円筒状のスリーブが配置されている。スリーブは、軸方向に移動することにより、入力側ギアのみ、または、入力側ギアおよび出力側ギアの両方に噛み合うように設けられている。また、ドグクラッチアクチュエータには、スリーブの外周側においてスリーブと一体的に移動する中空円筒状のプランジャが設けられている。また、ドグクラッチアクチュエータは、スリーブ(プランジャ)の外周側に設けられるヨークを備える。
【0004】
ヨークは、円筒部分と、円筒部分の両端において内周側に延びるドーナツ状の係合端側ティースおよび開放端側ティースと、円筒部分の中間部において内周側に延びる中間ティースと、を含む。また、係合端側ティースと中間ティースとの間の円筒状の空間には、係合用コイルが収容されている。また、開放端側ティースと中間ティースとの間の円筒状の空間には、解放用コイルが収容されている。係合用コイルに通電することによって、ヨークの係合端側ティース、中間ティース、およびプランジャを通る磁路が形成される。これにより、プランジャが係合側(係合端側ティース側)に吸引される。また、解放用コイルに通電することによって、ヨークの解放端側ティース、中間ティース、およびプランジャを通る磁路が形成される。これにより、プランジャが解放側(解放端側ティース側)に吸引される。すなわち、プランジャは、係合端側ティース、中間ティース、および開放端側ティースが並ぶ方向に直線移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、上記特許文献1のドグクラッチアクチュエータ(リニアアクチュエータ)では、磁路(磁気ギャップ)を形成するために、開放端側ティース、中間ティース、および解放端側ティースが設けられている。ここで、プランジャとティース同士の間(円筒状の空間)との対向面積が大きい場合には、磁路が形成され難いので、コイルを貫く鎖交磁束量が少なくなる。このため、隣り合うティース同士(磁気ギャップ同士)の間の距離が大きい場合には、プランジャの直線移動方向におけるプランジャの位置によってコイルを貫く鎖交磁束量に大きな差(変動)が生じるという不都合がある。この場合、鎖交磁束量の変動に起因してプランジャ(可動子)に生じる推力の変動が大きくなり、可動子の移動制御が困難になる場合があるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、可動子の移動制御を容易に行うことが可能なリニアアクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるリニアアクチュエータは、軸方向に直線移動する環状の可動子と、環状の可動子に対して径方向の内側または外側のいずれか一方側に固定される環状の固定子と、固定子に保持され、軸方向に並んで配置される複数のコイル部と、を備え、固定子は、軸方向において複数のコイル部の各々を挟むように配置され、可動子側に突出して可動子との間に磁束が通過可能な磁気ギャップを有する環状でかつ磁性体の複数の第1突出部と、軸方向に隣り合う環状の第1突出部同士の間の空間の少なくとも1つに設けられる環状の第1コイル配置部と、を含み、第1コイル配置部は、周状に並んで配置されるとともに可動子側に突出して可動子との間に磁束が通過可能な磁気ギャップを有する磁性体の複数の第2突出部を有し、複数のコイル部は、複数の第2突出部の各々に巻回される第1コイルを含む。
【0009】
この発明の一の局面によるリニアアクチュエータでは、上記のように、第1コイル配置部は、周状に並んで配置されるとともに可動子側に突出して可動子との間に磁束が通過可能な磁気ギャップを有する磁性体の複数の第2突出部を有し、複数のコイル部は、複数の第2突出部の各々に巻回される第1コイルを含む。これにより、第2突出部が設けられることにより、第1突出部のみが設けられる場合に比べて、隣り合う磁気ギャップ同士(突出部同士)の間の距離を小さくすることができる。その結果、可動子が軸方向に移動する際の鎖交磁束量の変動を小さくすることができる。これにより、鎖交磁束量の変動に起因して可動子に生じる推力の変動が大きくなるのを抑制することができる。その結果、可動子の移動制御を容易に行うことができる。
【0010】
また、第2突出部を設けることによって鎖交磁束量の変動が小さくなるので、鎖交磁束量の変動を小さくするためにコイルの巻き数を低減して第1突出部同士の間の間隔を狭くする必要がない。これにより、コイルの巻き数の減少を抑制しながら(略同数で)、鎖交磁束量の変動に起因して可動子に生じる推力の変動が大きくなるのを抑制することができる。
【0011】
上記一の局面によるリニアアクチュエータにおいて、好ましくは、第1コイル配置部において周方向に隣り合う第2突出部同士の間に設けられ、可動子の軸方向における位置を検出する位置センサをさらに備える。
【0012】
このように構成すれば、位置センサをコイル部と可動子との間に配置する場合に比べて、リニアアクチュエータの径方向の大きさが大きくなるのを抑制することができる。
【0013】
上記一の局面によるリニアアクチュエータにおいて、好ましくは、固定子は、第1コイルが配置される第1コイル配置部とは異なる環状の第2コイル配置部をさらに含み、複数のコイル部は、環状の第2コイル配置部に沿って周状に巻回される第2コイルをさらに含む。
【0014】
ここで、第2コイルを環状の第2コイル配置部に沿って周状に巻回することによって、第2コイルを配置する工程は、第1コイル配置部において複数の第2突出部の各々に第1コイルを巻回する工程に比べて、コイルを巻回する回数が少ない分、簡易である。その結果、第1コイル配置部と第2コイル配置部との両方が設けられることによって、第1コイル配置部のみが複数設けられている場合に比べて、コイル部の配置工程を簡略化(コイル部の配置工程に要する時間を短縮化)することができる。
【0015】
上記固定子が第2コイル配置部を含むリニアアクチュエータにおいて、好ましくは、第2コイルが配置される第2コイル配置部は、軸方向において第1コイルが配置される第1コイル配置部の両側に設けられている。
【0016】
このように構成すれば、固定子の構造を軸方向において左右対称にすることができる。その結果、軸方向の一方側および他方側においてコイル部の鎖交磁束量に差が生じるのを抑制することができるので、可動子の移動制御をより容易に行うことができる。
【0017】
上記一の局面によるリニアアクチュエータにおいて、好ましくは、可動子は、固定子と対向する表面に設けられる磁石を含むとともに、複数のコイル部の各々に電流が流れていない状態において、第1突出部および第2突出部と磁石との吸引力により、軸方向における少なくとも1点において位置が保持されるように構成されている。
【0018】
このように構成すれば、第1突出部および第2突出部の各々が設けられる位置に基づいて可動子が保持される位置を制御することができる。
【0019】
上記一の局面によるリニアアクチュエータにおいて、好ましくは、可動子は、軸方向に延びるシャフトの径方向外側においてシャフトを取り囲むように環状に設けられるとともに、シャフトに対して摺動可能に構成されており、可動子は、シャフトに対して回動可能に設けられるギア部材と係合されるとともに軸方向に突出するように設けられるドグ歯を有するドグクラッチを含む。
【0020】
このように構成すれば、ドグクラッチを含む可動子の移動制御が容易になるので、ドグクラッチとギア部材との係合を容易に制御することができる。
【0021】
なお、上記一の局面によるリニアアクチュエータにおいて、以下のような構成も考えられる。
【0022】
(付記項1)
すなわち、上記固定子が第2コイル配置部を含むリニアアクチュエータにおいて、好ましくは、軸方向において第1コイル配置部を挟むように設けられる第1突出部同士の間の距離は、軸方向において第2コイル配置部を挟むように設けられる第1突出部同士の間の距離よりも大きい。
【0023】
このように構成すれば、第1コイル配置部を比較的大きくすることができるので、第1コイル配置部において第2突出部を容易に配置することができる。
【0024】
(付記項2)
上記固定子が第2コイル配置部を含むリニアアクチュエータにおいて、好ましくは、第1コイルの直径は、第2コイルの直径よりも小さい。
【0025】
このように構成すれば、第1コイルの直径が比較的小さいので、第2突出部が設けられることにより第1コイル配置部のスペースが小さくなった場合にも、第1コイルのターン数が少なくなるのを抑制することができる。その結果、第1コイルにより発生する磁束に起因する可動子の推力が小さくなるのを抑制することができる。
【0026】
(付記項3)
上記一の局面によるリニアアクチュエータにおいて、好ましくは、複数の第1突出部の各々および第2突出部は、互いに別体として設けられている。
【0027】
このように構成すれば、複数の第1突出部の各々および第2突出部が別部材になるので、複数の第1突出部の各々および第2突出部の位置関係を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】一実施形態によるリニアアクチュエータの構成を示す斜視図である。
【
図2】一実施形態によるリニアアクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【
図3】一実施形態によるリニアアクチュエータの構成を示す断面図である。
【
図4】
図3の固定子および可動子の近傍の部分拡大図である。
【
図5】一実施形態による第1コイル配置部の構成を示す斜視図である。
【
図6】一実施形態による位置センサの近傍の部分拡大斜視図である。
【
図7】一実施形態による可動子がA点に位置する場合の固定子および可動子の構成を示す断面図である。
【
図8】一実施形態による可動子がC点に位置する場合の固定子および可動子の構成を示す断面図である。
【
図9】一実施形態による第2コイル配置部の構成を示す斜視図である。
【
図10】一実施形態による無通電状態における可動子に発生する推力を示すシミュレーション結果の模式図である。
【
図11】一実施形態による通電状態における可動子に発生する推力を示すシミュレーション結果の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
[本実施形態]
図1~
図11を参照して、本実施形態におけるリニアアクチュエータ100の構成について説明する。
【0031】
図1に示すように、リニアアクチュエータ100は、直線移動する環状の可動子1を備える。本実施形態では、軸方向(可動子1の直線移動方向)をX方向として説明する。また、後述するシャフト101を中心とした径方向をY方向として説明する。
【0032】
可動子1は、X方向に延びるシャフト101の径方向外側(Y1方向側)においてシャフト101を取り囲むように環状に設けられる。可動子1は、シャフト101に対して摺動可能に構成されている。具体的には、可動子1は、シャフト101に対してX方向の一方側(X1方向側)および他方側(X2方向側)に移動可能に構成されている。
【0033】
また、リニアアクチュエータ100は、環状の固定子2を備える。固定子2は、環状の可動子1に対して径方向外側(Y1方向側)に固定されている。すなわち、固定子2は、X方向から見て、可動子1を取り囲むように設けられている。
【0034】
本実施形態では、可動子1は、シャフト101に対して回動可能に設けられるギア部材(102a、102b)と係合されるとともにX方向に突出するように設けられるドグ歯(3a、3b)(
図2および
図3参照)を有するドグクラッチ3(
図2参照)を含む。具体的には、ギア部材102aは、可動子1に対してX1方向側に設けられる。また、ギア部材102bは、可動子1に対してX2方向側に設けられる。なお、ドグクラッチ3はあくまで一例であり、ドグクラッチ3の代わりに、たとえば摩擦クラッチを設けてもよい。
【0035】
ドグ歯3aは、ギア部材102a側(X1方向側)に突出するように設けられている。ドグ歯3aは、ギア部材102aに設けられるギア歯102c(
図2参照)と係合する。ドグ歯3aとギア歯102cとが係合した状態でギア部材102aが回転することにより、ギア部材102aの動力がドグクラッチ3に伝達される。
【0036】
また、ドグ歯3bは、ギア部材102b側(X2方向側)に突出するように設けられている。ドグ歯3bは、ギア部材102bに設けられるギア歯102d(
図2参照)と係合する。ドグ歯3bとギア歯102dとが係合した状態でギア部材102bが回転することにより、ギア部材102bの動力がドグクラッチ3に伝達される。
【0037】
また、
図3に示すように、可動子1は、プランジャ4を含む。プランジャ4は、ドグクラッチ3に連結されている。これにより、プランジャ4は、ドグクラッチ3と一体的に移動する。
【0038】
リニアアクチュエータ100は、軸方向(X方向)に並んで配置される複数のコイル部5を備える。具体的には、3つのコイル部5がX方向に並んで配置されるように、固定子2に保持されている。
【0039】
図4に示すように、固定子2は、X方向において複数のコイル部5の各々を挟むように配置される環状でかつ磁性体(たとえば鉄)の複数の第1突出部20を含む。具体的には、第1突出部20は、X方向に沿って4つ並んで配置されている。複数の第1突出部20の各々は、可動子1側(径方向内側)に突出して可動子1との間に磁束が通過可能な磁気ギャップを有する。詳細には、複数の第1突出部20は、後述するケース25から可動子1側(径方向内側)に突出している。
【0040】
また、固定子2は、X方向に隣り合う環状の第1突出部20同士の間の空間の少なくとも1つに設けられる環状の第1コイル配置部21を含む。本実施形態では、第1コイル配置部21は、4つの第1突出部20同士の間に形成される3つの空間のうち中央の空間に設けられる。
【0041】
ここで、本実施形態では、第1コイル配置部21は、周状に並んで配置される(
図5参照)とともに可動子1側に突出して可動子1との間に磁束が通過可能な磁気ギャップを有する磁性体の複数の第2突出部22を有する。詳細には、複数の第2突出部22は、後述するケース25から可動子1側(径方向内側)に突出している。そして、複数のコイル部5は、複数の第2突出部22の各々に巻回される第1コイル5aを含む。すなわち、第1コイル5aは、第2突出部22のうち径方向(Y方向)に延びるシャフト部分22aに複数ターン巻回されている。
【0042】
また、第2突出部22は、シャフト部分22aと連結されているとともにシャフト部分22aの径方向外側(Y1方向側)に設けられる外壁部22bを含む。外壁部22bは、円環状に形成されている。外壁部22bは、複数のシャフト部分22aに共通に設けられている。すなわち、複数のシャフト部分22aは、外壁部22bにより接続(連結)されている。
【0043】
また、第2突出部22は、シャフト部分22aと連結されているとともにシャフト部分22aの径方向内側(Y2方向側)に設けられる内壁部22cを含む。内壁部22cは、複数の第2突出部22の各々に設けられている。内壁部22cは、第1コイル5aが径方向内側に移動するのを規制するために設けられている。これにより、第1コイル配置部21から第1コイル5aが飛び出すのを防止することが可能である。
【0044】
また、複数の第2突出部22の各々には、絶縁部材23が取り付けられている。絶縁部材23は、第1コイル5aと、シャフト部分22a、外壁部22b、および内壁部22cの各々とを絶縁するように設けられている。すなわち、絶縁部材23は、シャフト部分22aを取り囲むように設けられる第1絶縁部分23aを含む。また、絶縁部材23は、第1絶縁部分23aに接続され、外壁部22bに沿って延びるように設けられる第2絶縁部分23bを含む。また、絶縁部材23は、第1絶縁部分23aに接続され、内壁部22cに沿って延びるように設けられる第3絶縁部分23cを含む。また、絶縁部材23は、第3絶縁部分23cに接続され、第3絶縁部分23cから径方向内側に延びる補強部23dを含む。補強部23dが設けられていることにより絶縁部材23の機械的強度を向上させることが可能である。なお、絶縁部材23は、シャフト部分22aを取り囲むように設けられる円環状の部材である。
【0045】
また、固定子2は、第1コイル5aが配置される第1コイル配置部21とは異なる環状の第2コイル配置部24を含む。具体的には、第2コイル配置部24は、可動子1(シャフト101)を径方向外側から取り囲むように環状に設けられている。
【0046】
ここで、本実施形態では、複数のコイル部5は、環状の第2コイル配置部24に沿って周状に巻回される第2コイル5bを含む。具体的には、第2コイル5bは、X方向に沿ってコイル線が複数並ぶように複数ターン巻回されている。
【0047】
ここで、第1コイル5aの直径(符号付さず)は、第2コイル5bの直径(符号付さず)よりも小さい。具体的には、第1コイル5aの直径は、第2コイル5bの直径の約1/2である。なお、第1コイル5aの直径とは、第1コイル5aを構成するコイル導線の直径である。また、第2コイル5bの直径とは、第2コイル5bを構成するコイル導線の直径である。なお、第1コイル5aおよび第2コイル5bの各々は、丸線により構成されている。
【0048】
また、第2コイル配置部24には、絶縁性のボビン24aが設けられている。ボビン24aは、可動子1(シャフト101)を径方向外側から取り囲むように環状に設けられている。ボビン24aは、第2コイル5bを収容することにより第2コイル5bをガイドするように環状(
図9参照)に設けられている。
【0049】
なお、第2コイル配置部24のボビン24aおよび第2コイル5bは、第1突出部20の径方向内側(Y2方向側)の端部に設けられる突起部20aにより、径方向内側に移動するのを規制するために設けられている。突起部20aは、第2コイル配置部24側に突出するように設けられている。これにより、第1コイル配置部21からボビン24aおよび第2コイル5bが飛び出すのを防止することが可能である。
【0050】
また、本実施形態では、第2コイル5bが配置される第2コイル配置部24は、X方向において第1コイル5aが配置される第1コイル配置部21の両側に設けられている。具体的には、固定子2には、X1方向側(X2方向側)から、第2コイル配置部24、第1コイル配置部21、第2コイル配置部24の順に設けられている。すなわち、第1コイル配置部21は、固定子2において略中央に設けられている。
【0051】
また、複数の(本実施形態では4つ)の第1突出部20の各々および第2突出部22は、互いに別体(別部材)として設けられている。具体的には、固定子2は、中空円筒状のケース25を含む。複数の第1突出部20の各々および第2突出部22は、ケース25の径方向内側に各々独立して圧入されている。
【0052】
また、X方向において第1コイル配置部21を挟むように設けられる第1突出部20同士の間の距離L1は、X方向において第2コイル配置部24を挟むように設けられる第1突出部20同士の間の距離L2よりも大きい。これにより、第1コイル配置部21を比較的大きくすることができるので、第1コイル配置部21において第2突出部22を容易に配置することが可能である。なお、距離L1および距離L2の各々は、第1突出部20同士の距離の最大値を意味する。
【0053】
また、プランジャ4は、円筒状のプランジャ本体部40を含む。また、プランジャ4は、プランジャ本体部40から径方向外側(Y1方向側)に突出する第1凸状部41、第2凸状部42、第3凸状部43、および第4凸状部44を含む。第1凸状部41、第2凸状部42、第3凸状部43、および第4凸状部44の各々は、円環状に設けられている。なお、第1凸状部41および第2凸状部42は、第3凸状部43および第4凸状部44よりも径方向外側(Y1方向側)に突出している。
【0054】
第1凸状部41は、プランジャ4のX1方向側の端部に設けられている。第2凸状部42は、プランジャ4のX2方向側の端部に設けられている。第3凸状部43および第4凸状部44は、第1凸状部41と第2凸状部42との間に設けられている。また、第3凸状部43は、第4凸状部44よりもX1方向側に設けられている。なお、第1凸状部41、第2凸状部42、第3凸状部43、および第4凸状部44は、X方向において互いに離間して設けられている一方で、プランジャ本体部40を介して一体的に設けられている。
【0055】
可動子1は、固定子2と対向する表面に設けられる磁石(6a、6b)(永久磁石)を含む。具体的には、磁石6aは、第3凸状部43に配置される。また、磁石6bは、第4凸状部44に配置されている。磁石6aおよび磁石6bの各々は、円環状に形成されている。
【0056】
磁石6aは、N極が固定子2と対向するとともにS極が第3凸状部43と対向(接触)するように設けられている。また、磁石6bは、S極が固定子2と対向するとともにN極が第4凸状部44と対向(接触)するように設けられている。
【0057】
なお、コイル部5の鎖交磁束量は、第1~第4凸状部(41~44)が第1突出部20および第2突出部22と対向している状態において大きくなり、第1~第4凸状部(41~44)が第1突出部20および第2突出部22と対向していない状態(突出部同士の間に位置する状態)において小さくなる。これは、磁束が、凸状部(41~44)と突出部(20、22)とを通過するように流れるためである。
【0058】
また、本実施形態では、
図5に示すように、リニアアクチュエータ100は、第1コイル配置部21において周方向に隣り合う第2突出部22同士の間に設けられ、軸方向(X方向)における位置を検出する位置センサ7を備える。位置センサ7は、可動子1に設けられる磁石(6a、6b)からの磁束を検知することにより、可動子1の位置を検出するように構成されている。本実施形態では、複数(本実施形態では23個)の第2突出部22および位置センサ7が、シャフト101の回転軸を中心に周方向に等角度間隔で設けられている。
【0059】
ここで、
図6に示すように、コイル部5に電流が流される場合、X方向に隣り合う第2突出部22とプランジャ4とケース25とを通過するようにループ状の磁気経路(破線矢印参照)が形成される。したがって、位置センサ7がコイル部5の通電に起因する磁気経路上に配置されないので、位置センサ7により位置検知の精度が低下するのを抑制することが可能である。また、位置センサ7が、コイル部5と可動子1との間に設けられる場合に比べて、位置センサ7と磁石(6a、6b)との間の距離を容易に確保することができるので、位置センサ7を通過する磁束密度を容易に調整することが可能であるので、位置センサ7を通過する磁束が過度に多いことに起因してセンサ感度を超えるのを抑制することが可能である。これにより、磁力の高い磁石を使用することが可能となる。また、位置センサ7が、コイル部5と可動子1との間に設けられる場合に比べて、コイルの占積率(配置スペース)を大きくすることができるので、コイルによる起磁力を容易に大きくすることが可能である。なお、コイル部5に流される電流の向きおよびタイミング等は、図示しない制御部により制御される。これにより、可動子1に発生する推力の向きおよび推力の発生タイミングが制御される。なお、
図6に示した磁束(破線矢印)は一例であり、磁束の向きが逆になる場合もあるとともに、第2突出部22から隣り合う第2突出部22に流れる磁束も存在する。これらの場合でも、磁束が、位置センサ7を通過することはない。
【0060】
(可動子に作用する推力)
次に、
図4、
図7、
図8、
図10および
図11に示すシミュレーション結果の模式図を参照して、可動子1に作用する推力について説明する。
【0061】
図10を参照して、コイル部5に電流が流れていない状態(無通電状態)における推力について説明する。
図10のグラフでは、縦軸は可動子1に発生する推力を示し、横軸は可動子1の位置を示す。推力が正の値であるとは、可動子1にX2方向側への力が作用している状態を意味し、推力が負の値であるとは、可動子1にX1方向側への力が作用している状態を意味する。可動子1の位置(横軸)が正であるとは、可動子1がB点(
図4における可動子1の位置)よりもX2方向側に位置することを意味する。また、可動子1の位置が負であるとは、可動子1がB点よりもX1方向側に位置することを意味する。なお、B点は、特許請求の範囲の「1点」の一例である。
【0062】
ここで、本実施形態では、可動子1は、複数のコイル部5の各々に電流が流れていない状態(無通電状態)において、第1突出部20および第2突出部22と磁石(6a、6b)との吸引力(可動子1に発生する推力)により、X方向における1点(B点)において位置が保持されるように構成されている。B点とは、磁石6aおよび磁石6bの各々が第1コイル配置部21を挟む一対の第1突出部20と対向する位置である。
【0063】
詳細には、B点において可動子1に発生する推力は0になる。その結果、可動子1は、B点において固定される。たとえば、可動子1がB点よりもX2方向側のD点(B点の近傍)に位置している場合は、可動子1に負の発生推力が加わる。その結果、可動子1はB点に戻され、B点に固定される。また、可動子1がB点よりもX1方向側のE点(B点の近傍)に位置している場合は、可動子1に正の発生推力が加わる。その結果、可動子1はB点に戻され、B点に固定される。なお、可動子1がB点に位置している状態は、ドグクラッチ3がギア部材102aともギア部材102bとも係合していないニュートラル状態を意味する。
【0064】
また、可動子1は、磁石6aが最もX1側の第1突出部20に対向するとともに磁石6bが第2突出部22と対向している位置(
図7参照:以下ではA点とする)において固定される。可動子1がA点に位置している状態は、ドグクラッチ3がギア部材102aとのみ係合するHighギアの状態を意味する。
【0065】
A点では、可動子1には、負の発生推力(
図10参照)が加わる。これにより、A点では、可動子1は、ギア部材102aに対してX1方向に力を加えている。そして、可動子1は、ギア部材102aからX2方向に抗力を受けることによって、A点で固定される。
【0066】
また、可動子1は、磁石6aが最もX2側の第1突出部20に対向するとともに磁石6bが第2突出部22と対向している位置(
図8参照:以下ではC点とする)において固定される。可動子1がC点に位置している状態は、ドグクラッチ3がギア部材102bとのみ係合するLowギアの状態を意味する。
【0067】
C点では、可動子1には、正の発生推力(
図10参照)が加わる。これにより、C点では、可動子1は、ギア部材102bに対してX2方向に力を加えている。そして、可動子1は、ギア部材102bからX1方向に抗力を受けることによって、C点で固定される。
【0068】
次に、
図11を参照して、コイル部5に電流を流した状態(通電状態)における推力について説明する。
図11のグラフでは、縦軸は可動子1に発生する推力を示し、横軸は可動子1の位置を示す。また、
図11の実線は、本実施形態における可動子1に作用する推力を示し、
図11の破線は、比較例(第1コイル配置部21が設けられずに第2コイル配置部24のみが3つ並ぶ構成)における可動子に作用する推力を意味する。
【0069】
図11に示すように、比較例における可動子に作用する推力に比べて、可動子1に作用する推力の変動(発生推力の最大値と最小値との差)が小さくなっていることが確認された。これは、第1コイル配置部21(第2突出部22)が設けられたことにより、磁束の通過経路が比較例の構成よりも多くなることに起因して可動子1の直線移動に伴う鎖交磁束量の変動が小さくなることによるものである。
【0070】
なお、
図11に示す推力の推移は一例であり、コイル部5に流す電流の向き等により変化し得るものである。たとえば、可動子1のストローク領域の全域をA1~A4の4つの領域に分け、それぞれの領域においてコイル部5に流す電流を切り替えることで、可動子1を移動させる。なお、D~Gの領域は、X1方向側から順にA1、A2、A3、A4の順で隣接して並ぶ領域である。
【0071】
具体的には、A1の領域では、X1側の第2コイル5bには紙面(
図4等参照)から出てくる方向に電流が流され、X2側の第2コイル5bには紙面に向かう方向に電流が流されるとともに、第1コイル5aには電流が流されないように制御される。また、A2の領域では、X1側の第2コイル5bには紙面から出てくる方向に電流が流され、第1コイル5aには第2突出部22においてY2方向に磁束が流れるように電流が流されるとともに、X2側の第2コイル5bには電流が流されないように制御される。
【0072】
また、A3の領域では、X2側の第2コイル5bには紙面(
図4等参照)から出てくる方向に電流が流され、第1コイル5aには第2突出部22においてY1方向に磁束が流れるように電流が流されるとともに、X1側の第2コイル5bには電流が流されないように制御される。また、A4の領域では、X1側の第2コイル5bには紙面に向かう方向に電流が流され、X2側の第2コイル5bには紙面から出てくる方向に電流が流されるとともに、第1コイル5aには電流が流されないように制御される。なお、上記の電流パターンは、可動子1をX1側からX2側に移動させる場合の電流パターンである。
【0073】
また、コイル部5への通電時に発生する推力、コイルの巻き数、コイル部5に流れる電流、鎖交磁束量、および可動子1の位置を、それぞれ、F、N、I、φ、およびxとする。この場合、F=N×I×dφ/dxという式が成り立つ。
図11に示す通電状態において発生する推力は、可動子1に無通電状態において発生する推力(
図10参照)と、コイル部への通電により発生する推力(上記式により算出される推力F)とを合計したものである。なお、図示は省略するが、コイル部5への通電により発生する推力F自体も、
図11の合計推力と同様、比較例に比べて変動量が抑制される。
【0074】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0075】
本実施形態では、上記のように、固定子2は、軸方向に隣り合う環状の第1突出部20同士の間の空間の1つに設けられる環状の第1コイル配置部21を含む。また、第1コイル配置部21は、周状に並んで配置されるとともに可動子1側に突出して可動子1との間に磁束が通過可能な磁気ギャップを有する磁性体の複数の第2突出部22を有する。また、複数のコイル部5は、複数の第2突出部22の各々に巻回される第1コイル5aを含む。これにより、第2突出部が設けられることにより、第1突出部のみが設けられる場合に比べて、隣り合う磁気ギャップ同士(突出部同士)の間の距離を小さくすることができる。その結果、可動子が軸方向に移動する際の鎖交磁束量の変動を小さくすることができる。これにより、鎖交磁束量の変動に起因して可動子1に生じる推力の変動が大きくなるのを抑制することができる。その結果、可動子1の移動制御を容易に行うことができる。
【0076】
また、第2突出部22を設けることによって鎖交磁束量の変動が小さくなるので、鎖交磁束量の変動を小さくするためにコイルの巻き数を低減して第1突出部20同士の間の間隔を狭くする必要がない。これにより、コイルの巻き数の減少を抑制しながら(略同数で)、鎖交磁束量の変動に起因して可動子1に生じる推力の変動が大きくなるのを抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態では、上記のように、第1コイル配置部21において周方向に隣り合う第2突出部22同士の間に設けられ、可動子1の直線移動方向における位置を検出する位置センサ7を備えるように、リニアアクチュエータ100を構成する。これにより、位置センサ7をコイル部5と可動子1との間に配置する場合に比べて、リニアアクチュエータ100の径方向の大きさが大きくなるのを抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、固定子2が、第1コイル5aが配置される第1コイル配置部21とは異なる環状の第2コイル配置部24を含み、複数のコイル部5が、環状の第2コイル配置部24に沿って周状に巻回される第2コイル5bを含むように、リニアアクチュエータ100を構成する。ここで、第2コイル5bを環状の第2コイル配置部24に沿って周状に巻回することによって、第2コイル5bを配置する工程は、第1コイル配置部21において複数の第2突出部22の各々に第1コイル5aを巻回する工程に比べて、コイルを巻回する回数が少ない分、簡易である。その結果、第1コイル配置部21と第2コイル配置部24との両方が設けられることによって、第1コイル配置部21のみが複数設けられている場合に比べて、コイル部5の配置工程を簡略化(コイル部5の配置工程に要する時間を短縮化)することができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、第2コイル5bが配置される第2コイル配置部24が、軸方向において第1コイル5aが配置される第1コイル配置部21の両側に設けられるように、リニアアクチュエータ100を構成する。これにより、固定子2の構造を軸方向において左右対称にすることができる。その結果、軸方向の一方側および他方側においてコイル部5の鎖交磁束量に差が生じるのを抑制することができるので、可動子1の移動制御をより容易に行うことができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、可動子1が、複数のコイル部5の各々に電流が流れていない状態において、第1突出部20および第2突出部22と磁石(6a、6b)との吸引力により、軸方向における1点(B点)において位置が保持されるように、リニアアクチュエータ100を構成する。これにより、第1突出部20および第2突出部22の各々が設けられる位置に基づいて可動子1が保持される位置を制御することができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、可動子1は、軸方向に延びるシャフト101の径方向外側においてシャフト101を取り囲むように環状に設けられるとともに、シャフト101に対して摺動可能に構成されている。また、可動子1は、シャフト101に対して回動可能に設けられるギア部材(102a、102b)と係合されるとともに軸方向に突出するように設けられるドグ歯(3a、3b)を有するドグクラッチ3を含む。これにより、ドグクラッチ3を含む可動子1の移動制御が容易になるので、ドグクラッチ3とギア部材(102a、102b)との係合を容易に制御することができる。
【0082】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0083】
たとえば、上記実施形態では、固定子2には、第1コイル配置部21および第2コイル配置部24の両方が設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。固定子2には、第1コイル配置部21のみが複数設けられていてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、第2コイル配置部24は、第1コイル配置部21の両側に設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1コイル配置部21は、軸方向に並ぶ複数のコイル配置部のうちの端部に設けられていてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、第1突出部20および第2突出部22と磁石(6a、6b)との吸引力により、コイル部5に電流が流されていない状態において可動子1が1点で保持される例を示したが、本発明はこれに限られない。コイル部5に電流が流されていない状態において可動子1が複数の点(たとえば3点)で保持されてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、軸方向において第1コイル配置部21を挟むように設けられる第1突出部20同士の間の距離L1は、軸方向において第2コイル配置部24を挟むように設けられる第1突出部20同士の間の距離L2よりも大きい例を示したが、本発明はこれに限られない。距離L1は距離L2以下であってもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、第1コイル5aの直径は第2コイル5bの直径よりも小さい例を示したが、本発明はこれに限られない。第1コイル5aの直径は第2コイル5bの直径以上であってもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、複数の第1突出部20の各々および第2突出部22は互いに別個に設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。複数の第1突出部20の各々および第2突出部22が一体的に形成されていてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、固定子2が可動子1の径方向外側に設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。固定子2が可動子1の径方向内側に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 可動子
2 固定子
3 ドグクラッチ
3a、3b ドグ歯
5 コイル部
5a 第1コイル
5b 第2コイル
6a、6b 磁石
7 位置センサ
20 第1突出部
21 第1コイル配置部
22 第2突出部
24 第2コイル配置部
100 リニアアクチュエータ
101 シャフト
102a、102b ギア部材