(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042437
(43)【公開日】2022-03-14
(54)【発明の名称】万引き防止システム
(51)【国際特許分類】
G08B 13/10 20060101AFI20220307BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20220307BHJP
G06Q 30/00 20120101ALI20220307BHJP
G08B 21/18 20060101ALI20220307BHJP
【FI】
G08B13/10
G06Q30/06 340
G06Q30/00 342
G08B21/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147894
(22)【出願日】2020-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】520338474
【氏名又は名称】上野 慎一
(74)【代理人】
【識別番号】100145425
【弁理士】
【氏名又は名称】大平 和由
(72)【発明者】
【氏名】上野 慎一
【テーマコード(参考)】
5C084
5C086
5L049
【Fターム(参考)】
5C084AA02
5C084AA09
5C084CC31
5C084DD77
5C084EE07
5C084GG54
5C084HH00
5C086AA28
5C086AA45
5C086CA09
5C086CA15
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA33
5L049BB44
5L049BB56
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で取り扱いが容易で確実に万引きの証拠を発見することが可能な万引き防止システムを提供する。
【解決手段】入店前の購買者1の体重2を測定する第1の重量測定器3aと、購買した商品4の重量5を測定する第2の重量測定器3bと、出店する際に購買者1が搬出する全商品4’が加わった体重2’を測定する第3の重量測定器3cと、購買者1にナンバリングを行い、ナンバーカード6を発行するナンバリング装置7と、第1~第3の重量測定器3a~3c及びナンバーカード6のデータ管理を行う重量管理装置8を備え、重量管理装置8において、購買者1に対応するナンバーカード6のデータごとに、第1及び第2の重量測定器3a、3bの体重データ2、商品重量5の合計重量と、第3の重量測定器3cの体重データ2’との比較を行って、体重データ2’が体重データ2と商品重量5の合計重量を上回る場合は不正な商品の搬出と判断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入店前の購買者の体重を測定する第1の重量測定器と、
上記購買者の購買した商品の重量を測定する第2の重量測定器と、
購買を完了して出店する際に、上記購買者が搬出する全商品が加わった体重を測定する第3の重量測定器と、
上記購買者にナンバリングを行い、ナンバーカードを発行するナンバリング装置と、
上記第1~第3の重量測定器及び上記ナンバーカードのデータ管理を行う重量管理装置と、を備え、
上記重量管理装置において、上記購買者に対応する上記ナンバーカードのデータごとに、上記第1及び第2の重量測定器のデータの合計重量と、上記第3の重量測定器のデータの重量との比較を行うことにより、上記購買者が不正に商品を搬出していないかを検知することを特徴とする万引き防止システム。
【請求項2】
上記ナンバリング装置に替えて、カメラによる個人の映像データと顔認証技術の組み合わせや、指紋認証技術、静脈認証技術、眼球認証技術、音声認識技術を使用して店舗に入出する個人を特定することを特徴とする、請求項1に記載の万引き防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、万引き防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国の全国における万引き被害は、平成22年度経済産業省商業時計によれば年間4600億円、1日当たりでは約12億6000万円となっている。これは検挙された被害の総額であるので、実際の被害は10倍の年間4兆6000億円になるともいわれている。
また、書店などは年間500店舗が廃業に追い込まれており、万引きは経営状態を悪化させる大きな要因となっていると考えられる。
【0003】
万引きの対策はいろいろ打たれているが被害は一向に減少していないという現実がある。例えばコンビニを含む小売店で万引き被害に遭いやすい商品としては、おにぎりや健康食品、たばこなどの手にしやすい小さなものが多いという傾向があり、女性の犯人の場合はメイクアップ化粧品などが狙われやすい。換金のし易さから年賀状なども被害が多い。
【0004】
また最近の万引き犯罪の傾向として、ネットオークションなどで転売が容易になったことから組織的な窃盗グループによる犯行も増加している。このような窃盗グループは構成員それぞれに役割分担を設けて巧妙な手口で万引きを行い、組織的に転売を行っており被害額も大きなものとなっている。
この万引き対策の人件費には現状多額の費用が発生しており、業種によっては一店舗当たり年間1千万円程度の費用が発生するといわれている。
【0005】
こうした万引き被害の現状に対し、ハードの面から万引き防止を図るべく様々の防止装置、検出装置が提案されている。しかしながら、いずれの装置も決定打となるような効果を奏しているとは言い難く、費用面や運用面に問題が残されていた。
【0006】
例えば、こういった万引き行為に対し、目視やカメラによって犯行の現場を発見、検知する方式もあるが、これには限界があり、人力による場合はもちろん、ロボット等で機械化してもすべての万引き行為を発見、検知することは到底望めない。また、商品すべてにタグ付けをしてその不正な持ち去りを検出する方式などは、商品へのタグ付け作業が必要となり、コストがかかってしまう。
特許文献1にはセンタ側装置と、通信回線を介して接続した店舗側装置とで構成され、監視カメラを利用して人物毎の人物毎の動線情報を分析して万引きを検出する万引き防止システムの技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では上記費用面の問題、運用上の困難さの問題は解決されておらず、多くの業種、店舗に採用されるには至っていない。
【0009】
本発明は上記問題点を解決して、簡易な構成で取り扱いが容易であって、かつ確実に万引きの証拠を発見することが可能な万引き防止システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、入店前の購買者の体重を測定する第1の重量測定器と、購買者の購買した商品の重量を測定する第2の重量測定器と、購買を完了して出店する際に、記購買者が搬出する全商品が加わった体重を測定する第3の重量測定器と、購買者にナンバリングを行い、ナンバーカードを発行するナンバリング装置と、第1~第3の重量測定器及び重量管理装置において、購買者に対応するナンバーカードのデータごとに、第1及び第2の重量測定器のデータの合計重量と、第3の重量測定器のデータの重量との比較を行うことにより、購買者が不正に商品を搬出していないかを検知することを特徴とする。
請求項2の発明は、ナンバリング装置に替えて、カメラによる個人の映像データと顔認証技術の組み合わせや、指紋認証技術、静脈認証技術、眼球認証技術、音声認識技術を使用して店舗に入出する個人を特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、簡易な構成で取り扱いが容易であって、かつ確実に万引きの証拠を発見することが可能であり、様々の業種、店舗に適用可能な万引き防止システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態を示す説明図であり、(a)は第1の重量測定器、(b)は第2の重量測定器及び重量管理装置、(c)は第3の重量測定器を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の第1の実施形態について
図1を用いて説明する。
まず、本実施形態の構成について説明する。
図1(a)~(c)に示すように、入店前の購買者1の体重2を測定する第1の重量測定器3aと、購買者1の購買した商品4の重量5を測定する第2の重量測定器3bと、購買を完了して出店する際に、購買者1が搬出する全商品4’が加わった体重2’を測定する第3の重量測定器3cと、購買者1にナンバリングを行い、ナンバーカード6を発行するナンバリング装置7と、第1~第3の重量測定器3a~3c及びナンバーカード6のデータ管理を行う重量管理装置8を備えている。
【0014】
重量管理装置8において、購買者1に対応するナンバーカード6のデータごとに、第1及び第2の重量測定器3a、3bのデータの合計重量と、第3の重量測定器3cのデータの重量との比較を行う。これらの重量は本来一致しているはずであり、3cのデータの重量が3a、3bのデータの合計重量を越えている場合は、購買者1が会計を行わずに不正に商品4を搬出している可能性が大きいといえるのである。
【0015】
本実施形態の構成についてさらに詳しく説明する。
購買者1が入店するコーナー9aには、ナンバリング装置7及び第1の重量測定器3aが設置されており、購買者1が購買した商品4を会計するレジコーナー9bには第2の重量測定器3b、ナンバーカード6のリーダー6a及び重量管理装置8が設置されており、購買者1が出店するコーナー9cには、ナンバーカード6のリーダー6b及び第3の重量測定器3cが設置されている。
【0016】
本実施形態の機能について説明する。
上述したように、入店コーナー9a、レジコーナー9b、出店コーナー9cの3か所に機器が設置されており、購買者1はまずナンバリング装置7にて発行されるナンバーカード6を受け取り、第1の重量測定器3aで入店時の体重データ2を取得される。この際、体重データ2は重量管理装置8に送られる。
その後購買者1は商品を購買し、レジコーナー9bにてナンバーカード6及び購買した商品4を店員10に渡す。店員10はこのナンバーカード6をリーダー6aに挿入し、第2の重量測定器3bで測定された購買者1の購買した商品4の重量データを重量管理装置8にインプットする。
最後に購買者1は出店コーナー9cでナンバーカード6をリーダー6bに挿入し、第3の重量測定器3cで出店時の購買済みの商品4の重量が加わった体重データ2’を取得される。この際、体重データ2’は重量管理装置8に送られる。
この時点で、重量管理装置8にて第1の重量測定器3aの体重データ2と、購買済みの商品4の重量である第2の重量測定器3bの重量データ5の合計重量が、第3の重量測定器3cの体重データ2’と一致しているかを計算する。3cの体重データ2’が、3aの体重データ2と3bの商品重量データ5の合計を上回っている場合には、レジコーナー9bで会計した商品4以外の商品を身に着けて出店している可能性が高いと判断されるため万引きアラートを発生させて警告する。
なお、細かい点であるが、レジコーナー9bの重量測定器3bに載せる商品かごの重量は商品4の重量データ5からは除外するように重量管理装置8で設定され、出店コーナー9cで購買者1が保持している商品4の袋は重量測定器3bに載せる商品かごの中に入っており、商品4の重量データ5に含まれている。
【0017】
以上説明したように、本実施形態は購買者の入出店時の体重差と、購入商品の重量のみの測定を行って万引きの有無を検出するという単純な構成であり、取り扱いも容易なため種々の業態に適用可能なものである。
本実施形態ではレジコーナーで店員による対応を行っているが、店員なしのセルフサービス方式とすることも可能である。
【0018】
本実施形態の万引き防止システムを他の代表的な防止ステムである人員による警備、カメラ式のシステム及びゲートタグ方式と比較してみる。
まず、人員による警備と比較すると、人員による警備の場合は1日当りの外注費用が高く、常習者以外は対応しにくいという欠点があり、費用が年間1千万円以上かかると考えられるため費用面で本システムが優れている。
次に、カメラ式のシステムと比較すると、カメラ式は適応業種範囲が狭く、特に非常習者、外国人窃盗団等に不向きであり、これらの点で本システムが優れている。
さらに、ゲートタグ方式と比較すると、全商品に防犯タグをつけなければならず、運用面での困難さがあり、また適用業種範囲が狭く、特に食品等を扱うスーパー、コンビニ等には不向きであり、これらの点で本システムが優れている。
このように、本実施形態の万引き防止システムは他の防止システムと比較しても優れた特質を有している。しかし、重量検知式であるため極めて軽量の商品の万引き防止に関しては対応が困難な一面はある。
【0019】
本実施形態では購買者にナンバーカードを配布し、これによって個人を特定して店舗入出時の購買者の重量差と、購買した商品の重量を比較して万引きの有無を判断する方式としている。この個人を特定する方法については、店舗によっては各人にナンバーカードを渡すことが困難な業態もあると思われる。そのような場合、他の実施形態としてカメラによる個人の映像データと顔認証技術や、指紋認証技術、静脈認証技術、眼球認証技術、音声認識技術等あらゆる人体に関わる認証技術を用いて店舗に入出する個人を特定し、これと店舗入出時の購買者の重量差とを組み合わせる方式とすることも考えられる。ただし、このような個人の映像データを使用する場合は予めその旨を表示して、万引き防止の目的で使用することを明らかにしておくことが必要になると思われる。
【符号の説明】
【0020】
1 購買者
2、2’ 体重データ
3a 第1の重量測定器
3b 第2の重量測定器
3c 第3の重量測定器
4 商品
4’全商品
5 重量データ
6 ナンバーカード
6a、6b リーダー
7 ナンバリング装置
8 重量管理装置
9a 入店コーナー
9b レジコーナー
9c 出店コーナー
10 店員