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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042450
(43)【公開日】2022-03-14
(54)【発明の名称】ノズル
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20220307BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020147920
(22)【出願日】2020-09-02
(71)【出願人】
【識別番号】520339035
【氏名又は名称】株式会社アスニー
(74)【代理人】
【識別番号】100139815
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 忠克
(72)【発明者】
【氏名】藤井 教人
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082BB01
3E082CC01
(57)【要約】
【課題】飲料を注ぐ側と注がれる側の相互距離を確保することができノズルであって取扱性に優れたノズルを提供すること。
【解決手段】
ボトルの口部に装着可能なコネクタ部10と、コネクタ部10に連結されたノズル部30とを備える飲料用ノズルであり、ノズル部30は、一端側でコネクタ部に連結された本体31と、本体31の他端側の先端部40とを備え、先端部40は本体31に対して屈曲しており、先端部40は本体31に連なる基部41と、基部の先端側の先端開口に形成された開口縁部50とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルの口部に着脱可能に装着できるコネクタ部と、コネクタ部に連結されたノズル部とを備えるノズルであり、当該ノズルが装着された前記ボトル内の飲料を前記ノズル部の先端開口から流出させて飲用容器に注ぐことができるノズルであって、
前記ノズル部は、一端側で前記コネクタ部に連結されている本体と、当該本体の他端側に連なる先端部とを備えており、
当該先端部は、前記ノズル部の先端開口に、前記ノズル部の本体よりも肉厚の開口縁部を備えている、ノズル。
【請求項2】
ボトルの口部に着脱可能に装着できるコネクタ部と、コネクタ部に連結されたノズル部とを備えるノズルであり、当該ノズルが装着された前記ボトル内の飲料を前記ノズル部の先端開口から流出させて飲用容器に注ぐことができるノズルであって、
前記ノズル部は、一端側で前記コネクタ部に連結されている本体と、当該本体の他端側に連なる先端部とを備えており、
前記先端部は、前記本体の延在方向に対して屈曲した向きに延在していると共に、一端側で前記本体に連なる基部と、当該基部の先端側の先端開口を有する開口縁部とを備えており、
当該開口縁部は、前記基部よりも肉厚の突出部を備えている、ノズル。
【請求項3】
ボトルの口部に装着可能なコネクタ部と、コネクタ部に連結されたノズル部とを備えており、当該ノズル部の先端開口から流出させた飲料を飲用容器に注ぐことができるノズルであって、
前記コネクタ部は、前記ボトルの口部が挿入される一端側の開口と、当該開口から挿入された前記口部の外周面に当接する筒形の装着部とを備えており、
前記コネクタ部は、さらに、前記装着部の他端側に連なっていると共に当該装着部より小径の段差部を備えている、ノズル。
【請求項4】
前記コネクタ部は、前記ボトルの口部が挿入される一端側の開口と、当該開口から挿入された前記口部の外周面に当接する筒形の装着部とを備えており、
前記コネクタ部は、さらに、前記装着部の他端側に連なっていると共に当該装着部より小径の段差部を備えている、請求項2に記載のノズル。
【請求項5】
前記コネクタ部は、さらに、前記段差部の他端側に連なっていると共に前記装着部より小径の第2の装着部を備えている、請求項4に記載のノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルに関するものであり、特に容器内の飲料の給仕に使用する飲料ボトル用のノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
宴会などの会食では、ボトルに入った飲料を、会場の従業員や出席者が手に取って、他者のコップに注ぐことが行われている。
また、ノズルは、飲料の注出装置などにおいては広く用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-50361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ビールビンなどのボトルを手に取りそのボトルから他者のコップに飲料を注ぐ場合、飲料を注ぐ者の位置は、手に持ったボトルの注ぎ口が他者のコップに届く位置の必要がある。
ところが、昨今の生活環境では、両者の相互距離の確保が必要な場合が少なくない。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、両者の相互距離を確保することができノズルであって取扱性に優れたボトル用のノズルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願に係る発明は、ボトルの口部に着脱可能に装着できるコネクタ部と、コネクタ部に連結されたノズル部とを備えるノズルであり、当該ノズルが装着された前記ボトル内の飲料を前記ノズル部の先端開口から流出させて飲用容器に注ぐことができるノズルであって、前記ノズル部は、一端側で前記コネクタ部に連結されている本体と、当該本体の他端側に連なる先端部とを備えており、当該先端部は、前記ノズル部の先端開口に、前記ノズル部の本体よりも肉厚の開口縁部を備えている、ノズルである。
【0006】
本出願に係る別の発明は、ボトルの口部に着脱可能に装着できるコネクタ部と、コネクタ部に連結されたノズル部とを備えるノズルであり、当該ノズルが装着された前記ボトル内の飲料を前記ノズル部の先端開口から流出させて飲用容器に注ぐことができるノズルであって、前記ノズル部は、一端側で前記コネクタ部に連結されている本体と、当該本体の他端側に連なる先端部とを備えており、前記先端部は、前記本体の延在方向に対して屈曲した向きに延在していると共に、一端側で前記本体に連なる基部と、当該基部の先端側の先端開口を有する開口縁部と、を備えており、当該開口縁部は、前記基部よりも肉厚の突出部を備えている、ノズルである。
そして、前記コネクタ部は、前記ボトルの口部が挿入される一端側の開口と、当該開口から挿入された前記口部の外周面に当接する筒形の装着部とを備えており、前記コネクタ部は、さらに、前記装着部の他端側に連なっていると共に当該装着部より小径の段差部を備えているものでもよい。
そして、前記コネクタ部は、さらに、前記段差部の他端側に連なっていると共に前記装着部より小径の第2の装着部を備えているものでもよい。
【0007】
本出願に係るさらに別の発明は、ボトルの口部に装着可能なコネクタ部と、コネクタ部に連結されたノズル部とを備えており、当該ノズル部の先端開口から流出させた飲料を飲用容器に注ぐことができるノズルであって、前記コネクタ部は、前記ボトルの口部が挿入される一端側の開口と、当該開口から挿入された前記口部の外周面に当接する筒形の装着部とを備えており、前記コネクタ部は、さらに、前記装着部の他端側に連なっていると共に当該装着部より小径の段差部を備えている、ノズルである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ボトルを手に持った者が他者のコップなどの容器に飲料を注ぐ際、両者の相互距離を容易に確保することができ、しかも取扱性に優れたボトル用のノズルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るノズルの実施形態を示す側面図である。
図2図1に示されるノズルのコネクタ部を示す部分拡大側面図であり、部分的に断面構造を示す断面図を含む拡大側面図である。
図3図3(A)は、図1に示されるノズルのノズル部の先端部を示す部分拡大側面図であって部分的に断面構造を示す断面図を含む拡大側面図であり、図3(B)は、図3(A)に示される先端部の一部を示す部分拡大側面図である。
図4図4(A)は、図1に示されるノズルが装着対象のボトルに装着された状態を示す側面図であり、図4(B)及び図4(C)は、それぞれ、ノズルの装着対象であるボトル(ビールビン)の首部先端の口部の態様を示す側面図であり、図4(D)は、ノズルの装着対象であるボトル(ワインボトル)の首部先端の口部の態様を示す側面図である。
図5図1に示されるノズルが装着されたボトル内の飲料をコップに注ぐ状態を説明するための説明図である。
図6図6(A)~(D)は、それぞれ、本発明に係る他の実施形態のノズルの先端部の構成を示す部分拡大側面図である。
【符号の説明】
【0010】
1…ノズル、10…コネクタ部(着脱部、ジョイント部)、10a…開口端(開口端縁)、
11…第1装着部,11a…基部,11b…突出部(膨出部,基端側突出部,基端側膨出部),
11c…ガイド部、11L…第1装着部の筒長、12…第2装着部、12L…第2装着部の筒長、
21…第1段差部、21a…段差面(内周面)、21L…第1段差部の長手方向の長さ寸法、
22…第2段差部、22a…段差面(内周面)、22L…第2段差部の長手方向の長さ寸法、
30…ノズル部(管体部)、31…本体(管形状部の本体)、35…凸部、35a…稜線、
40…先端部、41…基部(管形状部の先端基部)、
41a…基部の内周面,41b…内周面の延長面,41c…ノズル部の先端部の底部延在直線,
45…谷底線(線状の谷底)、
50…開口縁部(ノズル部の先端開口の縁部)、50a…先端開口、
51…突出部(膨出部,先端側突出部,先端側膨出部),
51a…突出部の表面(外表面、内周面),
52…先端開口部、52a…開口端面、52b…外周縁、52c…面取り面、
A1…ノズル(のコネクタ部及び本体)の中心軸(回転対称軸)、
A2…ノズル部の先端部の回転対称軸(中心軸)、Ab…ボトルの回転対称軸(中心軸)、
B…ボトル(飲料容器,装着対象容器,ビールビン),B1…本体部,B2…首部,B3…口部,
Ba…ボトルの口部の先端の開口縁部(口部の先端部)、Bam…最大径部、
Bb…ボトルの口部の開口端面、
C…コップ(飲用容器)、D…飲料、F1…押圧される向きの力、
S…せき止め領域、V1…視線方向、
W…ボトル(ワインボトル、飲料容器,装着対象容器),
W1…口部,W1a…細径部(スクリュー部),W1b…円筒形部,W1c…大径部,
Wa…開口縁部,Wb…開口端面、Wg…スクリュー溝、
Wt…スクリュー溝の最大径部(細径部の頂上、細径部のスクリュー畝の頂上)、
X1…ノズルの長手方向(延在方向)、X2…ノズル部の先端部の長手方向(延在方向)、
Xb…ボトルの長手方向(延在方向、中心軸方向)、Xh…水平線、
α…本体の俯角、β…先端部の俯角、γ…ノズル部の本体の俯角、
δ…本体に対する先端部の傾斜角度。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係るノズル(以下)について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0012】
本発明に係るノズル1は、ボトルに入った飲料をコップC(図5参照)などの容器に注ぐ際、当該ボトルに装着されて用いられる飲料用のノズルである。
ノズル1の装着対象(装着対象容器)としては、ビールビンBやワインボトルWやなどのボトル(図4参照)を挙げることができる。
ボトルは、例えばビールビンBを例に挙げれば、直径が最も太い本体部B1と、その一端側である上側から上方に延びる先細形状の首部B2と、首部B2の上端に形成された注ぎ口である口部B3とを備える形状である(図5参照)。
【0013】
図1に示されるように、ノズル1は、ボトルBの口部B3(図4参照)に着脱自在に装着可能なコネクタ部(着脱部)10と、コネクタ部10に連なるノズル部(管体部)30とを備えるものであり、ノズル1が装着されたボトル内の飲料Dを、ノズル部30の先端部40の先端開口50a(図3(A)参照)から流出させて飲用容器に注ぐことができるものである。
【0014】
図2に示されるように、コネクタ部10は、ノズル1の一端側の端部である開口端10aに連なる筒形の第1装着部11と、第1装着部11よりもノズル部30側に配置された筒形の第2装着部12とを備えている。
開口端部10aが形成されたノズル1の開口は、ボトルBの口部B3が挿入される一端側の開口である。
第2装着部12は、第1装着部11より小径である。つまり、第2装着部12の外径は、第1装着部11の外径より小径であり、第2装着部12の内径は、第1装着部11の内径より小径である。
【0015】
第1装着部11及び第2装着部12は、いずれも、直径及び/又は半径よりも筒長の短い筒形の部分である。より詳細に説明すると、図2に示されるように、本実施形態のノズル1の第1装着部11及び第2装着部12は、いずれも、開口端10aが形成された一端側からノズル部30側である他端側(先端側)に向けて、徐々に直径が小さくなる先細形状であるということができ、ノズル部側(他端側、先端側)から開口端側(開口側、一端側)に向けて徐々に直径が大きくなる末広がり形状であるということができる。つまり、第1装着部11及び第2装着部12は、中空の円錐台形状ということができる。
【0016】
ノズル1をボトルB,Wに装着するとき、コネクタ部10はボトルの口部B3,W1に外挿されるように取り付けられる。
つまり、ノズル1は、ボトルの口部B3,W1の外周面に第1装着部11又は第2装着部12が当接する状態でボトルB,Wに装着される。より詳細には、ノズル1は、第1装着部11又は第2装着部12の内周面がボトルB,Wの口部B3,W1の外周面に全周に亘って密着する状態でボトルB,Wに装着される。
なお、別言すれば、コネクタ部10には、ノズル装着時、その開口端10aからボトルBの口部B3,W1が挿入され、挿入された口部B3,W1の外周面が第1装着部11又は第2装着部12の内周面に当接する、ということができる。
なお、第1装着部11と第2装着部12は、それぞれ、装着対象としているボトル(口部の直径)が異なる。
【0017】
第1装着部11は、例えばワインボトルW(図4(D)参照)の口部W1に装着可能になっており、第2装着部12は、例えばビールビンBの口部B3に装着可能になっている。
また、ここでいうワインボトル(ワインのビン)とは、例えば、容量が750ミリリットルのガラス製の飲料容器であり、ボトルの口部の開口端(注ぎ口)を密封する栓として、いわゆるスクリューキャップと称される栓が用いられるスクリューキャップタイプのボトル(飲料容器)である。
より具体的に説明すると、スクリューキャップタイプのワインボトルWの口部W1は、図4(D)に示されるように、スクリュー溝Wgが形成された細径部(スクリュー部)W1aと、細径部W1aの下端側(首部側)に配置された大径部W1c、細径部W1aと大径部W1cとの間に形成された円筒形部W1bとを備えている。細径部W1aの外周面は、抜栓状態(スクリューキャップを外した状態)で露出されるスクリュー溝Wgが形成された面であり、大径部W1cは、細径部W1a及び円筒形部W1bよりも直径が大きい部分であり、円筒形部W1bは、細径部W1aの外周(スクリュー溝Wgの底部)よりも直径が大きく、大径部W1cより直径が小さい部分である。別言すれば、円筒形部W1bは、例えば、細径部W1aの頂上Wtの位置の直径(スクリュー畝の頂上Wtの位置の直径)と同径の部分である。第1装着部11は、ノズル1をワインボトルWに装着したとき、スクリューキャップが取り外されて抜栓されたワインボトルWの口部W1の外周面に当接する。
また、ここでいうビールビンBとは、例えば、容量が633ミリリットルのいわゆる大瓶、容量が500ミリリットルのいわゆる中瓶、容量が334ミリリットルのいわゆる小瓶などが存在するボトル(飲料容器)であり、その口部B3の開口端(注ぎ口)を密封する栓として、いわゆる王冠が用いられる形態の飲料容器である。第2装着部12は、ノズル1をボトル(ビールビン)Bに装着したとき、ボトルB,Wの口部B3の先端の開口縁部Baや円筒形状部W1bの外周面に当接する。
【0018】
コネクタ部10は、上述したように、ノズル1をボトルに装着したとき、第1装着部11又は第2装着部12の内周面がボトルの口部B3,W1の開口縁部Baや円筒形部W1bの外周面に当接した状態で装着される。密着状態としては、第1装着部11又は第2装着部12の内周面の少なくとも一部がボトルBの口部B3,W1の開口縁部Baや円筒形部W1bの外周面に当接して密着している状態が好ましい。
さらに、コネクタ部10は、コネクタ部10をボトルBの口部に装着したとき、ボトルBの口部B3の外周面に当接している第1装着部11又は第2装着部12がボトルBの口部B3の外周面に押圧される向きの力F1(図4参照)が発生している状態で装着されていることがより好ましい。この状態は、ボトルBと第1装着部11又は第2装着部12との間の密着性に優れた装着状態であり、ノズル1のボトルに対する装着安定性に優れた状態である。
また、ノズル1をボトルBに装着する際の作業性(取扱性)の観点からすれば、コネクタ部10の素材は柔軟性を有する素材が好ましい。柔軟性を有するコネクタ部10は、ボトルB,Wの口部B3,W1に装着されたとき、装着前の状態(自然状態)から拡張された状態で装着されるので、装着状態においては元の状態(装着前の状態)に復元する弾性が生じる。復元する向きの弾性力は、拡張した直径から元の直径に縮む向きの力(復元力)である。復元する向きの弾性力を有するコネクタ部10は、ボトルの口部への装着時、ボトルの口部への密着性の向上に寄与する。
また、ボトルの口部は、飲料の注ぎ口であることや、抜栓前の飲料容器が冷蔵庫等で冷却されている場合があることなどから、その表面に水分が付着した状態になりやすく、水分が付着した状態が想定されるという特徴を有する。
ノズル1のコネクタ部10の材質としては、合成樹脂であるプラスチック素材 など種々の素材を採用可能であるが、本実施形態では、ノズル1の材質としてポリプロピレンが用いられている。
【0019】
第1装着部11は、図2に示されるように、第2装着部12の肉厚寸法と同じ肉厚寸法の基部11aと、基部11aの一端側(基部11aよりもノズル1の一端側の位置)に形成されており基部11aよりも肉厚寸法(厚さ寸法)が大きい突出部(基端側膨出部)11bと、開口端10aに隣接する位置(基部11a及び突出部11bよりもノズル1の一端側の位置)に形成されたガイド部11cとを備えている。
これらのうち、突出部11bは、その断面形状がノズル1の中心軸A1方向(内側)に向かって膨出した膨出形状であり、突出部11bの肉厚が最も厚い位置の内径寸法(突出部11bの最小内径寸法)は、第1装着部11の基部11aの一端側の内径寸法(基部11aの最大内径寸法)やガイド部11cの内径寸法より短い。つまり、突出部11bの最小内径(径方向内側に膨出する突出部11bの全周に亘って存在する稜線の位置における内径)は、基部11aの最大内径やガイド部11cの内径より小径である。
【0020】
第1装着部11及び第2装着部12の筒長11L,12Lについては、筒長が短かすぎるとノズル1を装着対象容器であるボトルB,Wに装着したときに、ノズル1がボトルB,Wから外れやすくなる傾向にある。また、第1装着部11及び/又は第2装着部12の筒長11L,12Lが長すぎると装着しにくいボトル種類が多くなるなど、汎用性が低下しやすくなる傾向にある。
第1装着部11及び第2装着部12の筒長11L,12Lの長さ寸法とは、ノズル1の長手方向X1の長さ寸法である。そして、ノズル1の長手方向(延在方向)X1とは、回転対称形状であるノズル1のコネクタ部10及び/又は本体31の回転対称軸(中心軸)A1の方向のことである。
【0021】
第1装着部11の筒長11Lは、ノズル1のボトルWへの装着が完了したときに、第1装着部11の基部11aの内周面の少なくとも一部と、ボトルWの口部W1の円筒形部W1b(図4(D)参照)の外周面の少なくとも一部とが対面する状態になる長さが好ましい。
また、第1装着部11の筒長11Lは、ノズル1のボトルWへの装着が完了したときに、突出部11bの最小内径位置がボトルWの口部W1の円筒形部W1bの外周面に当接する状態になる長さが好ましい。
さらに、第1装着部11は、ノズル1のボトルWへの装着が完了したとき、第1装着部11の突出部11bが、ボトルWの大径部W1cに当接する状態になる長さが好ましい。
【0022】
第2装着部12の筒長12Lとしては、第1装着部11の筒長11Lより長い場合、第1装着部の筒長以下の場合、第1装着部よりも短い場合を挙げることができる。
第2装着部12は、第1装着部11よりもノズル部30側に配置されており、しかも第2装着部12の内径よりも第1装着部11の内径の方が大きい。
したがって、第2装着部12を利用してノズル1をボトルBの口部B3に装着する場合、第1装着部11は案内構造として機能する。つまり、第2装着部12を利用してノズル1を装着する作業の作業性は、第1装着部11が存在することで、より優れたものになっている。
また、ノズル1が装着されるボトルBの首部B2は、一般に、ボトルの本体B1側から口部B3の先端に向けて徐々に直径が細くなる先細構造である。したがって、第2装着部12を利用してノズル1をボトルBに装着したとき、第1装着部11はノズル1の装着安定性を向上させることができるサポート構造になることができる。
このように、第2装着部12は、装着作業性や装着安定性に、より優れた構成であるので、第2装着部12の筒長12Lは第1装着部11の筒長以下の長さに構成可能であり、第1装着部11の筒長11Lより短い長さに構成可能である。
【0023】
上述したように、第1装着部11と第2装着部12とでは、装着作業性や装着安定性などの点で異なる構成ということができる。
つまり、本実施形態のノズル1は、口部の口径が異なるボトルB,Wに対応した複数の装着部11,12を有するものであると共に、構成や特性が異なる複数の装着部11,12を備えるものであるということができる。このようなことから、ノズル1としては、2つの装着部を有するものが好ましく、2つ以上の複数の装着部を有するものが好ましいということができる。
【0024】
また、本実施形態のノズル1では、第1装着部11の厚さ寸法と第2装着部12の厚さ寸法は同じであり、第1装着部11の外径よりも第2装着部12の外径は小さい寸法である。このような構成は、第1装着部11の内径と第2装着部12の内径の大きさの違いを外観から容易に認識可能な構成であると共に、装着作業性の向上にも寄与する構成である。
【0025】
また、コネクタ部10は、第1装着部11と第2装着部12との間に第1段差部21を備えており、第2装着部12とノズル部30との間に第2段差部22を備えている。
つまり、第2装着部12は、第1段差部21の他端側(ノズル部30側)に、配置されている。このように、装着部を2つ又は複数(2つ以上)備えるコネクタ部10においては、装着部11,12と段差部21,22が、ノズル1の延在方向X1に沿って交互に配置される。
【0026】
第1段差部21は、第1装着部11の他端側(ノズル部30側)に配置され、連なっている。
ノズル1の第1装着部11をボトルWの口部W1に装着するとき、第1装着部11をボトルWの本体側に向けて押し付けると、ボトルWの口部W1の開口端面Wbの少なくとも一部が第1段差部21の段差面21aに当接する。
ノズル1をボトルWの取り付けたとき、ボトルWの口部W1の開口端面Wbが第1段差部21に当接した状態であれば、ボトルWの口部W1の開口縁部Waがコネクタ部10(第1装着部11及び第1段差部21)に包み込まれる状態(ホールドされる状態)に保持されることとなり、ノズル1がボトルWに確実に取り付けられた状態が確保される。
また、ノズル1のコネクタ部10がこのような取付け状態に取り付けられれば、ボトルWからノズル1側への飲料Dのスムーズな流動が確保される。
なお、口部W1の開口端面Wbとは、例えば、ボトルWの中心軸方向Xbの一端側から視認可能な面ということができる。
【0027】
第1段差部21の長さ寸法21L(長手方向X1の長さ寸法)としては、第1装着部11の筒長11L(長手方向X1の長さ寸法)より短い方が好ましく、第2装着部12の筒長以下の長さがより好ましく、第2装着部12の筒長12Lより短い方がさらに好ましい。
第1段差部21の高さ寸法21Lが長くなると、例えば、ボトルW内の飲料Dを注ぐためにノズル1が装着されたボトルWを傾けたとき、ノズル部30の先端側に揺れが生じやすくなるなど、飲料を注ぐ動作の作業性が低下しやすくなるおそれがある(図5参照)。同様に、第2段差部22の長さ寸法22L(長手方向X1の長さ寸法)としては、第2装着部12の筒長以下の長さがより好ましく、第2装着部12の筒長12Lより短い方がさらに好ましい。
【0028】
第1段差部21は、一端側である第1装着部11側から他端側である第2装着部12側に向けて、徐々に直径が小さくなる先細形状である。つまり、第1段差部21は、中空の円錐台形状ということができる。したがって、上述した段差面21aは、第1段差部21の円錐台形状の内周面21aということができる。さらに、第1段差部21は、第1装着部11より小径の内周面21aを有しているということができる。
そして、先細形状である第1段差部21の傾斜角度は、第1装着部11及び第2装着部12の傾斜角度より大きい。
なお、傾斜角度とは、図2に示される部分的な縦断面における該当部分の外周面又は内周面(例えば第1段差部21の内周面21a)の延在方向と、ノズル1の長手方向X1とのなす角度(鋭角)のことである。ここでいう縦断面は、ノズル1の長手方向X1に延びる回転対称軸A1を通る縦方向の断面のことである。
【0029】
第2段差部22は、第2装着部12の他端側(ノズル部30側)に、配置されていると共に連なっている。
ノズル1の第2装着部12をボトルBの口部B3に装着するとき、第2装着部12をボトルBの本体B1側に向けて押し付けると、ボトルBの口部B3の開口端面Bbの少なくとも一部が第2段差部22の段差面22aに当接する。
ノズル1をボトルBの取り付けたとき、ボトルBの口部B3の開口端面Bbが第2段差部22に当接した状態であれば、ボトルBの口部B3の先端部Baがコネクタ部10(第2装着部12及び第2段差部22)に包み込まれる状態(ホールドされる状態)に保持されることとなり、ノズル1が装着対象容器のボトルに確実に取り付けられた状態が確保される。
また、ノズル1のコネクタ部10をこのような取付け状態に取り付けることができれば、ボトルBからノズル1側への飲料Dのスムーズな流動が確保される。
【0030】
第2段差部22は、一端側である第2装着部12側から他端側であるノズル部30側に向けて、徐々に直径が小さくなる先細形状である。つまり、第2段差部22は、中空の円錐台形状ということができる。したがって、上述した段差面22aは、第2段差部22の円錐台形状の内周面22aということができる。さらに、第2段差部22は、第2装着部12より小径の内周面22aを有しているということができる。
そして、先細形状である第2段差部22の傾斜角度は、第1装着部及び第2装着部12の傾斜角度より大きい。
【0031】
コネクタ部10の装着部11,12は、上述のように配置で隣接配置された段差部21,22を有することが好ましい。別言すれば、コネクタ部10の段差部21,22は、装着部11,12に対応して設けられていることが好ましく、装着部11,12の数と同数が好ましい。
【0032】
図1に示されるように、ノズル部30は、コネクタ部10の開口とは反対の他端側に連なる本体(管形状部の本体)31と、本体31の他端側に配置され、連なる先端部40とを備えている。
別言すれば、ノズル部30は、一端側でコネクタ部10に連結されている本体31と、本体31の他端側に配置され、連なっていると共に先端開口50aを有する先端部40とを備えているということができる。
ノズル部30(の本体31)は、第2段差部22を介してコネクタ部10の第2装着部12に連なっているということができ、コネクタ部10の第2段差部22に連なっているということができる。
【0033】
また、本実施形態のノズル1は、コネクタ部10とノズル部30とが一体の構造である。一体構造のノズル1は、使用中に部品外れが生じるようなことがなく、その点で取扱性に優れている。
なお、ノズル1の素材としては種々の材質を採用可能であるが、本実施形態の一体構造のノズル1は、上述したように、全体がポリプロピレン製である。ポリプロピレンは、本実施形態のノズル1において好適な柔軟性を備えた素材であるということができる。
【0034】
また、ノズル1のコネクタ部10及びノズル部30は、相互に異なる厚さ寸法で構成されている。そして、コネクタ部10の厚さ寸法は、ノズル部30の厚さ寸法よりも薄い。具体的には種々の厚さの組み合わせが考えられるが、コネクタ部10の厚さ寸法としては、例えば1.0mm以上で1.2mm以下が好ましく、ノズル部30の厚さ寸法としては、例えば1.2mm以上で1.5mm以下が好ましい。なお、本実施形態のノズル1では、コネクタ部10の厚さ寸法は1.1mmであり、ノズル部30の厚さ寸法は、1.3mmであった。
ポリプロピレン製のノズル1では、相対的に厚さが薄いコネクタ部10は、より柔軟性に優れている。ボトルB,Wに対するノズル1の脱着時、コネクタ部10は、その内側に押し込まれるボトルB,Wに当接し、変形されつつボトルB,Wの口部B3,W1に装着されるものであるところ、より変形性に優れた構成であるので、着脱時の作業性の向上に寄与する。他方、相対的に厚さが厚いノズル部30は、より剛性に優れている。ボトルB,Wに対するノズル1の脱着時、ノズル部30は、作業者が保持する部分としても機能する部分であるところ、より剛性に優れた構成であるので、着脱時の作業性の向上に寄与する。また、ノズル部30は、その本体31と先端部40とが屈曲部を介して一体に構成さており、このような構造は剛性のさらなる向上に寄与する構成である。
【0035】
ノズル1は、ボトルB,W内の飲料Dを注ぐ際に用いられるものであり、これを用いると、ボトルB,Wを持って飲料Dを注ぐ側(提供者側、サーブ側)と、飲料Dをコップなどの容器Cに注がれる側(受領者側、レシーブ側)との離間距離を確保することができる。
ノズル1としては、例えば、受領者側がコップCなどの容器を持った手を伸ばした状態で、ボトルB,Wを持った提供者側が手を伸ばしてボトルB,W内の飲料Dを注ぐときに、提供者側と受領者側が所定の離間距離を確保できる長さが好ましい。
また、ノズルとしては、例えば、注がれる側のコップなどがテーブルに置かれた状態で、注ぐ側がボトルを持った手を伸ばしてボトル内の飲料を注ぐときに、注ぐ側と注がれるコップなどの容器と所定の離間距離を確保できる長さが好ましい。
離間距離としては、例えば、提供者と受領者との間の眼間距離又は口間距離(顔面間距離)や、提供者のボトルを持った手の付け根の肩と、受領者のコップを持った手の付け根の方との間の距離(肩間距離)などを用いることができる。
そして、所定の離間距離としては、例えば1メートルを挙げることができ、1.5メートルかこれ以上の距離が好ましく、2メートルかこれ以上の距離が好ましい。
【0036】
また、ノズル1としては、装着対象のボトルB,Wと並べたときに、同じような長さであると、種々の点で取扱性に優れているということができる。例えば、流通過程でノズルとビンを一緒に搬送する場合や同梱する場合、または飲食店のテーブルにおいて使用する場合における取扱性に優れている。さらに、飲食店において洗浄する場合や飲食店において保管する場合における取扱性にも優れる。
【0037】
このような離間距離やビンの長さとの関係が考慮されたノズル1の長さ(中心軸方向Xbの全長)は、20cm(センチメートル)以上が好ましく、25以上がより好ましく、30cm以上がさらに好ましい。また、当該ノズル長さは、50cm以下が好ましく、40cm以下がさらに好ましく、35cm以下がさらに好ましい。
【0038】
ノズル部30の本体31は、断面形状が円形の管材であり、コネクタ部10(の第2段差部22)と連なる本体31の一端側の端部の内径及び外形は、第1装着部11の外径及び内径よりも小径であると共に第2装着部12の外径及び内径よりも小径である。
また、ノズル部30の本体31は、コネクタ部10に連なる一旦側からノズル部30の先端部40に連なる他端側の端部に向けて直径(内径及び外形)が徐々に細くなった形状(先細形状)である。
つまり、ノズル部30の本体31は、その全体が、第1装着部11の外径及び内径よりも小径であり、第2装着部12の外径及び内径よりも小径である。
ノズル部30の本体31の内径は、清掃性などの取り扱い性の観点も考慮する必要があるが、具体的には14mm以上が好ましく、15mm以上がより好ましく、16mm以上がさらに好ましい。そして。21mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、19mm以下がさらに好ましい。
【0039】
ノズル部30の先端部40は、ノズル部30の本体31の先端側である一端部に配置され、連なる管形状の部分であり、その延在方向X2がノズル部30の本体31の延在方向X1とは異なる方向に向けられた状態でノズル部30の本体31に一体に形成されている。
つまり、ノズル部30の先端部40は、本体31との接続部において相互に屈曲する状態で本体31に一体に形成されているということができ、先端部40は、所定の延在方向X1に延びる本体31に対して屈曲する向きに延在しているということができ、
本体31に対して傾いた向きに向けられた状態(両者の中心軸A1,A2が交差する状態)で本体31に一体形成されているということができる。
なお、先端部40の長手方向(延在方向)X2とは、大部分が回転対称形状である先端部40の回転対称軸(中心軸)A2の方向のことである。
【0040】
また、本体31に対する先端部40の傾斜角度δ(図3(A)参照)は、具体的には、135度以上が好ましく、140度以上がより好ましく、143度以上がさらに好ましい。また、155度以下が好ましく、150度以下がより好ましく、147度以下がさらに好ましい。
【0041】
ところで、ノズル1を用いてボトルBからコップCに飲料を注ぐとき、ノズル部30の本体31内における飲料Dの流量や流速を制御しつつ注ぐことは必ずしも容易でない。
この点、ノズル部30の先端側に、上述したような構成の先端部40があれば、ノズル1からの飲料Dの流出方向の制御が容易である。つまり、ノズル部30の本体31内における飲料Dの流量や流速にかかわらず、本体31の俯角α(図5参照)よりも大きい俯角βで下向きに向けられた先端部40の向きに沿った方向で飲料を流出させることができる。
したがって、本実施形態のノズル1を初めて使うような場合であっても、容易迅速かつ確実に飲料をコップ等の容器に注ぐことができる。この点でも、本実施形態のノズルは、取扱性に優れている。
【0042】
また、ノズル部30の本体31と先端部40との接続部には、ノズル部30の内周側に、先端縁に稜線35aを有する凸部35が形成されている(図3(A)参照)。
そして、図3(A)に示される視線方向V1で凸部35を見たとき、凸部35の稜線35aは、中心部がへこんだ凹形状の稜線である。
【0043】
後述の注ぎ動作では、注がれる飲料Dは、ノズル部30の本体31側からこの稜線35aを有する凸部35を乗り越えて先端部40側に流動した後、先端部40から流出してコップC等に注がれる。
そして、注ぎの終了動作では、乗り越えられなくなると、本体31から先端部40への飲料の流入が停止する。
本体31から先端部40に流れ込む際に飲料が乗り越える凸部35が稜線35aを有する形状は、乗り越えが可能か否かの条件が明らかな形状であるということができる。したがって、注ぎ動作(あるいは注ぎ終了動作)中、本体31内の飲料Dが凸部35を乗り越えられない状態になれば条件になれば、迅速に、本体31側から先端部40側への飲料Dの乗り越えが停止する。このような構成は、例えば注ぎ終了動作開始後、本体31内を先端部40側に向けて流れる飲料Dのうち凸部35を乗り越えて先端部40に流入する液量をより減少させることに寄与する構成ということができる。
【0044】
また、例えば飲食店での飲食中、ボトルB,Wから取り外されたノズル1がテーブル上に置かれることも考えらえるが、本実施形態のノズル1のように、本体31と先端部40とが相互に屈曲した構成(ノズル部の本体31に対して先端部40が折れ曲がった構成)であれば、テーブル上を転がることが確実に防止され、この点でも取扱性に優れる。
【0045】
ノズル部30の先端部40は、より詳細には、図3に示されるように、その一端側で本体31に連結され(連なって)いると共に筒形状の基部(管形状部の先端基部)41と、基部41の他端側に連なる開口縁部50とを備えている。
【0046】
基部41は、肉厚及び直径が一定の円筒形状である。つまり、円筒形の基部41は、内径が一定であると共に外径が一定であるということができる。なお、ノズル部30は、本体31と基部41とで構成される管形状部(管部)を有するものであるということが可能である。
【0047】
開口縁部50は、基部41の他端側(先端側)に配置されており、突出部(膨出部)51と先端開口部52とを備えている。
【0048】
開口縁部50は、基部41の先端側に形成された円筒形の開口端部であり、開口縁部50の外径は基部41の外径と同じである。
開口縁部50のうち、突出部51は基部41に連なる部分であり、筒形状の先端部40の内側に突出している。突出部51の内径は基部41の内径より小径であり、開口縁部50の突出部51は基部41よりも肉厚の部分である。
また、開口縁部50のうち、先端開口部52は、突出部51よりも先端側に配置されており、先端開口50aを有する。なお、先端開口部52の内径は基部41の内径と同じである。先端開口50aは、ノズル部30の先端部40の先端開口であると共にノズル1の先端開口であり、飲料Dの流出口である。
【0049】
図3(A)に示されるように、先端部40の基部41の内周面41a及びその延長面41b(図3(A)における二点鎖線参照)によって規定される円筒形の境界面を規定した場合、開口縁部50の突出部(膨出部)51は、円筒形の境界面で囲まれた円筒空間内(先端部40の回転対称軸A2)に向けて内側に突出した構成であるということができる。
そして、基部41よりも肉厚の開口縁部50の突出部51は、先端部40の先端開口の全周に亘って形成されている。つまり、開口縁部の突出部51は、先端部40の内側空間に面する開口縁部50の内周側の位置に、全周に亘って形成された環状の突出部である。
【0050】
ところで、仮に、上述したような構成の開口縁部50(突出部51)が設けられていない場合、先端部40の先端側(他端側)が下向き(正の値の俯角βが生じている状態)であれば、先端部40内に存在する飲料Dは、最終的には、全て、先端部の内周面に沿って先端側に流れて先端開口50aに到達することになる。
これに対して、本実施形態のノズル1のように、突出部51を有するものであれば、先端部40の先端側が下向き(正の値の俯角βが生じている状態)のとき、先端部40の開口縁部50に向けて流れた先端部40内の飲料は、先端開口50aに到達する前に、まず、堰形状の開口縁部50の突出部51に到達する。
ここで、例えば、図3(B)に示されるようにノズル部30の先端部40が下向きの状態(正の俯角β(図5参照)が生じている状態)で、先端部40の基部41の内周面41aに沿って延びる延在方向X2の直線のうち最も下側の位置する延在直線41c(以下、先端部40の底部延在直線41c)と、開口縁部50の突出部51の上端縁に接する水平線Xhと、突出部51の表面51aとに囲まれる領域Sの大きさに着目すると、この領域(以下、せき止め領域)Sの大きさは、ノズル部30の先端部40(あるいはノズル部30の本体31)の俯角βが小さいときほど、大きい。
したがって、例えば、後述の注ぎの終了動作では、飲料の流出を停止させるために先端部40が上側に向けられ俯角βが小さくなるに連れて、先端部40内への飲料の流入が減少するなどして先端部40内の飲料の量が減少し、同時に、上述したせき止め領域Sが増大する。
つまり、本実施形態のノズル1における注ぎの終了動作では、先端部40内の飲料の減少と、せき止め領域Sの増大とが相まって、先端部40の開口端縁からの飲料の流出が停止する。
【0051】
また、本実施形態のノズル1では、先端部40は本体31に対して屈曲した状態であるので、注ぎの終了動作のとき、ボトルBをその長手方向Xbの中心軸Ab周りに回転させると、先端部40の俯角βが小さくなる。
本実施形態のノズル1では、開口縁部50は、先端部40の先端開口(ノズル1及び/又はノズル部30の先端開口)の部分に全周にわたって形成されているので、先端部40の俯角βを小さくすることができれば、どのような動作によるものであっても、せき止め領域Sを増大させることができる。
このように開口縁部50は、次の終了動作の迅速な停止に寄与する構成である。
【0052】
また、ノズル1の開口縁部50の突出部51の表面51aは、上述したように、先端部40の基部41の内周面41aに当接しており、両面の当接位置には、先端部40の全周に亘る環状の谷折り線ともいうことができる谷底線(線状の谷底)45が形成されている。つまり、開口縁部50の突出部51の表面51aと、先端部40の基部41の内周面41aとの当接位置には、谷底線45を谷底とする谷部が形成されている。
例えば、本実施形態のノズル1を用いて注ぐ飲料としては、ビールや発泡性のワインなど、泡を伴う飲料があるところ、先端部40の先端開口縁部51の上流側に谷部があれば、ノズル先端における泡の保持力が向上し、ノズル注出口からの飲料(特に泡)の流出の迅速な停止に寄与すると考えられる。
【0053】
次に、本実施形態のノズル1の使用状態を説明する。
【0054】
まず、ノズル1を抜栓したボトルB,Wに装着する(装着動作)。
ノズル1のコネクタ部10は、ボトルB,Wの口部B3,W1に外挿される状態でボトルB,Wに装着される。ノズル1のコネクタ部10は上述したような構成であるので、容易に装着することができ、装着作業性に優れている。
また、ポリプロピレン製のコネクタ部10を備えるノズル1はビールビンやワインボトルなどの飲料容器への装着性に優れており、またノズル1は全体がポリプロピレン製で軽量であるので、迅速にボトルに装着することができる。
【0055】
例えば、コネクタ部10の第1装着部11は、上述したように、基部11aやガイド部11cよりも内側に膨出した小径の突出部11bを備えている。したがって、第1装着部11を使用してワインボトルWにノズル1を装着したとき、コネクタ部10の第1装着部11の突出部11bがボトルWの外周面に確実に当接し、密着した状態で装着される。したがって、ノズル1のコネクタ部10は、第1装着部11の使用時における装着安定性に優れている。
【0056】
そして、コネクタ部10は、第1装着部11を使用してワインボトルWにノズル1を装着したときに、第1装着部11の突出部11bがワインボトルWの円筒形部W1bの外周面に当接した状態で装着される構成になっており、この構成が好ましい。円筒形部W1bの外周面は円筒形状であるところ、この円筒形部W1bに突出部11bが当接すれば、コネクタ部10とワインボトルWとの密着性が向上し、コネクタ部10とワインボトルWとの間における液漏れがより確実に防止される。
【0057】
また、第2装着部12を使用してビールビンBにノズル1装着したとき、本実施形態のノズル1は、第装着部11の突出部11bがビールビンの首部B3の外周面に当接し、密着した状態で装着される。本実施形態のノズル1のコネクタ部10は、装着対象のビールビンBの首部B3が口部から本体側に向けて徐々に太くなっているという特徴に着目して構成されている。
ところで、第1装着部11が装着対象としているビールビンは、かなりの低温まで冷やされた状態で提供されることなどビールの特徴に起因して、ビールビンの口部における、いわゆる液垂れが問題になることが想定される。この点、本実施形態のノズル1であれば、第2装着部12の内面の密着による垂れ防止だけでなく、第1装着部11の突出部11bがビールビンBの外周面に密着することで、より確実に液垂れが防止される構造となっており、ビールビン用のノズル1としてより好適な構成であるということができる。
【0058】
ここで、ビールビンBやワインボトルWなどの装着対象容器にノズル1が装着された状態(ノズル1の装着が完了した状態)とは、例えば、第2装着部12を用いてノズル1が装着されている場合であれば、ボトルBの口部B3の開口端面Bbの少なくとも一部が第2段差部22の内周面(段差面)22aに当接している状態であり、第1装着部11を用いてノズル1が装着されている場合であれば、ボトルWの口部W1の開口端面Wbの少なくとも一部が第1段差部21の内周面(段差面)21aに当接している状態である。
なお、ノズル1は、その中心軸A1とボトルBの中心軸Abとが一致する状態になるように取り付けられることが好ましい。
上述したように、本実施形態のノズル1では、コネクタ部10をボトルB,Wに装着したとき、ボトルB,Wの先端の開口端面Bbが対応する段差部に当接し、これによりノズル1の中心軸A1とボトルB,Wの中心軸Abとが一致する状態になるように構成されていることから、ノズル1は、より正確に装着するための装着作業容易性に優れた構成である。
【0059】
ノズル1のボトルB,Wへの装着が完了すると、ノズル1を利用してボトルB,W内の飲料をコップCなどの容器に注ぐための注ぎ動作を行うことができる。
【0060】
注ぎ動作では、まず、注ぎの開始動作(以下、単に開始動作)が行われる。
開始動作では、ボトルB,Wを傾けて、例えば、ノズル1のうち、ノズル先端開口(先端部40の開口端)が最も下側に位置する状態で、ノズル1の先端部40を下方に向けつつ、ノズル先端開口をコップCの上端開口の上方に位置させる。すると、ボトルB,W内の飲料Dがノズル1からコップCに注がれる(図5参照)。
【0061】
ところで、ノズルの先端部40は、本体31に対して屈曲した構造であり、コップCへのノズル先端開口からの飲料Dの流出が開始するとき、ノズル1の先端部40は、俯角βが生じている下向きの状態である。
したがって、ノズル先端開口から飲料Dを勢いよく流出させてしまったとしても、流出した飲料Dは、先端部40からコップCの上端開口に向けて、先端部40の俯角βの向き又は当該俯角βより大きい角度の下向きに流出することとなり、ノズル先端開口をコップCの開口に近づけた状態にしても、確実にコップC内に注がれる。
ノズル1を用いて飲料を注ぐ場合、ボトルB,Wを持つ手元と、実際に飲料Dが注がれるノズル先端開口との距離が離れるので、コップCへの注ぎ動作は必ずしも容易でない場合があるが、上述したような構成の本実施形態のノズル1は、注ぎ開始動作が容易であり、取扱性に優れる。また、ノズル1は、注ぎ動作の際、ノズル部30の本体31内を流れる飲料Dの上方に空間を確保しやすい構成であり、この点でも注ぎ動作の作業性に優れる。
【0062】
注ぎ動作によってコップ内の飲料Dが適量に近づくと、注ぎの終了動作(以下、単に終了動作)を開始する。
終了動作では、ノズル部30の本体31の俯角γ(図5参照)が小さくなるように、ノズル部30の先端部40を上方に向ける。この動作によって、本体31内の飲料Dの水面が、本体31と先端部40の境界(接続部)の凸部35の稜線35aの高さより低い位置になると、本体31側から先端部40側への飲料Dの流動が停止する。
そして、その後、先端部40の先端開口からの飲料の滴りを停止させて、終了動作を完了する。
【0063】
上述したように、本実施形態のノズル1は、先端部40の開口端に開口縁部50を備えており、突出部51を備えているので、先端部40が下向きから水平方向に向けられる前(依然として下向きの状態)であっても、例えば、先端部40内の飲料Dの残存量がせき止め領域Sでせき止め可能容量以下になれば、先端部40内に残存する飲料Dのノズル先端開口からの飲料Dの滴りが停止する。
したがって、本実施形態のノズル1の先端部40の構成は、注ぎの終了動作をより迅速に終了させることができる構造であるということができる。
【0064】
ノズル1は、ボトルB,Wに対して着脱可能である。終了動作が完了して例えばボトルB,Wが空になると、ノズル1をボトルB,Wから取り外すことができる(取り外し動作)。
ノズル1は、ボトルB,Wに装着されたコネクタ部10に連なる部位として、手の甲の幅寸法よりも長い寸法のノズル部30の本体31を備えており、また、本体31に対して屈曲した先端部40を備えているので、ボトルB,Wからのノズル1の取り外しが容易であり、取扱性に優れている。
【0065】
ノズル1は、屈曲した接続部が一か所である。そして、ノズル1の内周面は、全ての領域について、コネクタ部10の開口又は先端部40の開口の少なくともいずれか一方から視認可能である。このように内周面の全面を視認可能な構成は、清掃作業性に優れていると共に、清掃後の目視による清掃確認の作業性にも優れており、メインテナンスに関する取扱性に優れている。
【0066】
なお、本発明に係るノズルは、実施形態で説明したノズル1に限られるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変されたノズルは、本発明の範囲に含まれる。
【0067】
例えば、本実施形態のノズル1の装着対象容器は、第1装着部11を利用する場合はビールビンBであり、第2装着部12を利用する場合はワインボトルWであるが、本発明に係るノズル1の装着対象の飲料容器は、これらに限られるものではなく、本発明に係るノズル1として、種々の装着対象容器に対応したノズルを製造可能である。
【0068】
また、本実施形態では、ノズル1の先端部40の基部41は、円筒形状であるが、本体31側から開口縁部50側に向けて直径(内径及び外形)が徐々に細くなった形状(先細形状)であってもよい。
【0069】
また、ノズル1(すなわちコネクタ部10およびノズル30)の材質としては、例えば、抗菌性を有する素材が好ましい。
例えば、成型前のポリプロピレン素材に抗菌素材が添加されたポリプロピレンによって成型されたノズルを挙げることができる。
ポリプロピレンはこのように、添加剤を添加して成型への適応性に優れており、本実施形態のノズル用の素材として好適である。
【0070】
また、ノズル(コネクタ部、ノズル部)1の色としては、種々の色を挙げることができるが、半透明や透明の材質がより好ましい。ノズル使用時のノズル部30内の飲料の流動状態を目視でき、使用後の洗浄後のノズル内の洗浄状態を目視できからであり、これらの点では透明がより好ましい。
【0071】
また、コネクタ部30の構造、より具体的には第1装着部11及び第2装着部12の構造としては、円錐台形状と円筒形状とを挙げることができる。なお、円筒形状は、円錐台形状において傾斜角度が0度の場合である。
これらの形状が円錐台形状にすると、ノズル装着作業時におけるノズル1のボトルBへの装着容易性に優れ、装着作業をより容易かつ迅速に行うことができる点で好ましい。
他方、これらの形状を円筒形状にすると、ノズル装着時におけるノズル1のボトルBに対する装着確実性に優れ、ノズルをより確実にボトルに装着することができる点で好ましい。
【0072】
また、ノズル1のノズル部30の先端部40の開口縁部50の構成は、図3に示される構成に限られず、採用し得る構成としては、図6に示されるように種々の構成を挙げることができる。
図6(A)に示される構成は、図3(B)に示される構成と比較すると、先端開口部52の形状が異なる。より具体的には、先端開口部52の開口端面の形状が異なる。つまり、図3(B)では、先端開口部52の開口端面の形状は、断面円弧形状の曲面であり、断面円弧形状の曲面が開口の全周に亘って環状に構成された形状であるが、図6(A)では、先端開口部52の開口端面52aの形状は開口の全周に亘って環状に構成された平面である。
図6(B)に示される構成は、図3(B)に示される構成と比較すると、先端開口部52の有無が異なる。より具体的には、図3(B)では、先端開口部52を有するが、図6(B)では、先端開口部50は、突出部52を有しておらず、突出部51の先端側が先端開口50aになっており、開口縁部50(突出部51)の開口端面52aは開口の全周に亘って環状に構成された平面である。
図6(C)に示される構成は、図6(B)に示される構成と比較すると、開口端面52aの断面角形状の外周縁52bを削ることで形成された面取り面52cを有する。
【0073】
図6(D)に示される構成は、図6(C)に示される構成と比較すると、開口端面52aの断面角形状の外周縁52bを削ることで形成された曲面を有する。
より具体的に説明すると、先端開口部50は、突出部52を有しておらず、突出部51の先端側が先端開口50aになっており、開口縁部50(突出部51)の開口端面(先端面)52aは、開口の全周に亘って環状に構成された断面円弧形状の曲面である。
そして、この断面円弧形状の開口端面52aは、突出部51の表面51aに連なっている。つまり、図6(D)に示される実施形態の構成では、突出部51の表面51aと開口端面52aとは一連の面であり、突出部51の表面51aを開口端面52aと称することができ、開口端面52aを突出部の表面51aと称することができる。
なお、ここで用いる断面は、図3(A)に示されるように、回転対称形状である先端部40の回転対称軸(中心軸)A2を通る縦方向の断面のことである。
【0074】
さらに、断面形状が円弧形状である開口端面52a(突出部51の表面51a)の曲率半径の長さ寸法(すなわち開口縁部50の最大肉厚寸法の半分の長さ寸法)は、基部41の肉厚の半分(1/2)の長さ寸法よりも長い。開口端面52aの曲率半径の長さ寸法は、基部41の肉厚の半分(1/2)の長さ寸法以上の長さが好ましく、当該長さ寸法より長いことがより好ましい。図6(D)に示される構成は、注ぎの終了動作における飲料Dの滴り挙動をより迅速に終了させることに寄与する構成ということができる。
【0075】
また、ノズル部30の本体31としては、例えば、通気穴を備える構成や、さらに通気孔を開閉する蓋つきの構成などを挙げることができる。
また、分割可能な構成のノズルを挙げることができる。例えば、コネクタ部とノズル部とが着脱可能な螺合構造である構成などを挙げることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6