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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042486
(43)【公開日】2022-03-14
(54)【発明の名称】ボトルキャップおよびボトル
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/16 20060101AFI20220307BHJP
【FI】
B65D51/16 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021136289
(22)【出願日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】17/010,818
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】315002243
【氏名又は名称】ユナイテッド・セミコンダクター・ジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100210480
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 学
(72)【発明者】
【氏名】里中 滝彦
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084EA02
3E084EC03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA01
3E084HB09
3E084KA04
3E084KB01
3E084LB02
(57)【要約】
【課題】超高純度液体分析の用途に適した改良された装置を提供すること。
【解決手段】ボトルキャップが開示される。ボトルキャップは、カバー板、および、カバー板と一体の円筒部品を有するキャップ本体を備える。停止部材がカバー板の内面から突出する。停止部材は、カバー板と一体の支持構造によって支持される封止部品を備える。環状案内板が、円筒部品の側壁表面から突出し、封止部品と係合するために停止部材に向けて傾斜している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー板、および、前記カバー板と一体の円筒部品を備えるキャップ本体と、
前記カバー板の内面から突出する停止部材であって、前記カバー板と一体の支持構造によって支持される封止部品を備える停止部材と、
前記円筒部品の側壁表面から突出し、前記封止部品と係合するために前記停止部材に向けて傾斜した環状案内板と
を備えるボトルキャップ。
【請求項2】
前記封止部品は凸状湾曲表面を備える、請求項1に記載のボトルキャップ。
【請求項3】
前記環状案内板は、平面視において前記封止部品の外周によって囲い込まれるように中心開口を定める、請求項1又は2に記載のボトルキャップ。
【請求項4】
前記封止部品は、中心膨出部分と、前記中心膨出部分を包囲する周囲膨出部分と、前記中心膨出部分と前記周囲膨出部分との間の環状陥凹領域とをさらに備える、請求項1から3の何れか一項に記載のボトルキャップ。
【請求項5】
前記環状案内板の上縁が、平面視において前記環状陥凹領域に位置付けられる、請求項4に記載のボトルキャップ。
【請求項6】
前記周囲膨出部分は、平面視において前記環状案内板の上方部分と重なって位置付けられる、請求項4に記載のボトルキャップ。
【請求項7】
前記支持構造は、前記カバー板と一体の鉛直部分と、前記鉛直部分と結合される水平部分とを備える、請求項1から6の何れか一項に記載のボトルキャップ。
【請求項8】
前記鉛直部分は複数の棒を備える、請求項7に記載のボトルキャップ。
【請求項9】
前記支持構造は、前記カバー板の前記内面に固定され、前記複数の棒によって包囲される支柱をさらに備える、請求項8に記載のボトルキャップ。
【請求項10】
前記水平部分は前記支柱の下面に固定される、請求項9に記載のボトルキャップ。
【請求項11】
前記封止部品は前記水平部分に固定され、前記支柱の反対にある、請求項10に記載のボトルキャップ。
【請求項12】
前記封止部品および前記支柱は弾性材料から成る、請求項11に記載のボトルキャップ。
【請求項13】
前記環状案内板は、前記カバー板と、前記円筒部品と、前記停止部材と、前記環状案内板との間の内部空間を前記ボトルキャップの外部と連通させる少なくとも1つの穿孔を備える、請求項1から12の何れか一項に記載のボトルキャップ。
【請求項14】
前記円筒部品は、前記環状案内板の下に据え付けられる螺旋雌ねじ部分を備える、請求項1から13の何れか一項に記載のボトルキャップ。
【請求項15】
前記環状案内板の下面に接着される弾性封止膜をさらに備える、請求項1に記載のボトルキャップ。
【請求項16】
前記キャップ本体と一体で、前記円筒部品に近接する環状固定構造をさらに備える、請求項13に記載のボトルキャップ。
【請求項17】
前記内部空間は前記環状固定構造によって第1の空間と第2の空間とに分割され、前記環状固定構造は、前記第1の空間を前記第2の空間と連通させる少なくとも1つの通路を備える、請求項16に記載のボトルキャップ。
【請求項18】
請求項1に記載のボトルキャップを備えるボトル。
【請求項19】
前記ボトルは、前記ボトルキャップが螺合するボトル首部を備える、請求項18に記載のボトル。
【請求項20】
前記ボトル首部は螺旋雄ねじ部分を備え、前記螺旋雄ねじ部分は連続的ではなく、鉛直方向においてスリットを備える、請求項19に記載のボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、超高純度液体分析の用途に適した装置に関する。より詳細には、本発明は、ボトルまたは容器の内部から空気または気泡を容易に除去することができる、改良されたボトルキャップ、および、このようなボトルキャップと協働するボトルまたは容器に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の分析機器における最近の進歩は、分析の感度を向上させてきた。現在、微量元素はpptまたはppt未満のレベルで測定される。これらのレベルは、分析プロトコルの注意深い制御が維持される場合に達成され得る。汚染が、例えば、試験室の環境、空気、および試料調製の間に使用されるものといった、試料に接触するあらゆるものから生じる可能性がある。
【0003】
水の品質は機器分析に相当の影響を有する。超微量分析に関する研究は、元素のほとんどについてppt未満のレベルの汚染を伴う超純水が使用されるときにのみ、ブランク最適化が達成可能であることを示している。汚染の危険性は、超純水が保管されるときに大きく上昇する。結果は、高度に純粋な水の品質が保管時間に伴って低下することをはっきりと示している。
【0004】
ある研究は、超純水が雰囲気に解放されたままである場合、約0.1ppbの陰イオン濃度が1時間以内に検出でき、約1ppbの陰イオン濃度が8時間の保管の後に検出できることを示している。当然ながら、室内環境に応じて濃度に違いがある。
【0005】
従来、超純水が試料容器で試料抽出された後、蓋またはボトルキャップを閉じた後に気泡が容器の内部に残る可能性がある。気泡がうまく除去されたと思われる場合であっても、少量の気泡が容器の内部側壁になおも残っている可能性がある。収集の後にできるだけ素早く超純水を使用し、保管しないことが望ましい。保管が避けられない場合、容器は、好ましくは、雰囲気からの汚染を排除するために超純水で覆われて封止されるのがよい。
【0006】
試料容器内に封止された空気が汚染され得ることが報告されている。超純水の微量分析においていくつかの汚染要因があるが、環境(雰囲気)からの汚染も問題として考えられている。そのため、このような問題に対処するために、超高純度液体分析の用途のための改良された装置を提供する強い必要性がこの技術分野にはある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005-001696号公報
【特許文献2】実開昭55-098759号公報
【特許文献3】特開2010-083512号公報
【特許文献4】特開2019-077476号公報
【特許文献5】特開2006-193214号公報
【特許文献6】特開2014-000975号公報
【特許文献7】特開2019-017346号公報
【特許文献8】特開2019-017342号公報
【特許文献9】特開2014-213921号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】黒木祥文著、「超純水の使用例にみる微量分析における汚染要因とその対策」、分析化学、日本分析化学会、2010年、第59巻、第2号、第85~93頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
超高純度液体分析の用途に適した改良された装置を提供することが、本発明の1つの目的である。
【0010】
ボトルまたは容器の内部から残留する空気または泡を容易に除去または吐出することができる、改良されたボトルキャップ、および、このようなボトルキャップと協働するボトルまたは容器を提供することが、本発明の別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様は、カバー板、および、カバー板と一体の円筒部品を備えるキャップ本体と、カバー板の内面から突出する停止部材とを備えるボトルキャップを提供する。停止部材は、カバー板と一体の支持構造によって支持される封止部品を備える。環状案内板が、円筒部品の側壁表面から突出し、封止部品と係合するために停止部材に向けて傾斜している。
【0012】
一部の実施形態によれば、封止部品は凸状湾曲表面を備える。
【0013】
一部の実施形態によれば、環状案内板は、平面視において封止部品の外周によって囲い込まれるように中心開口を定める。
【0014】
一部の実施形態によれば、封止部品は、中心膨出部分と、中心膨出部分を包囲する周囲膨出部分と、中心膨出部分と周囲膨出部分との間の環状陥凹領域とをさらに備える。
【0015】
一部の実施形態によれば、環状案内板の上縁が、平面視において環状陥凹領域に位置付けられる。
【0016】
一部の実施形態によれば、周囲膨出部分は、平面視において環状案内板の上方部分と重なって位置付けられる。
【0017】
一部の実施形態によれば、支持構造は、カバー板と一体の鉛直部分と、鉛直部分と結合される水平部分とを備える。
【0018】
一部の実施形態によれば、鉛直部分は複数の棒を備える。
【0019】
一部の実施形態によれば、支持構造は、カバー板の内面に固定され、複数の棒によって包囲される支柱をさらに備える。
【0020】
一部の実施形態によれば、水平部分は支柱の下面に固定される。
【0021】
一部の実施形態によれば、封止部品は水平部分に固定され、支柱の反対にある。
【0022】
一部の実施形態によれば、封止部品および支柱は弾性材料から成る。
【0023】
一部の実施形態によれば、環状案内板は、カバー板と、円筒部品と、停止部材と、環状案内板との間の内部空間をボトルキャップの外部と連通させる少なくとも1つの穿孔を備える。
【0024】
一部の実施形態によれば、円筒部品は、環状案内板の下に据え付けられる螺旋雌ねじ部分を備える。
【0025】
一部の実施形態によれば、ボトルキャップは、環状案内板の下面に接着される弾性封止膜をさらに備える。
【0026】
一部の実施形態によれば、ボトルキャップは、キャップ本体と一体で、円筒部品に近接する環状固定構造をさらに備える。
【0027】
一部の実施形態によれば、内部空間は環状固定構造によって第1の空間と第2の空間とに分割され、環状固定構造は、第1の空間を第2の空間と連通させる少なくとも1つの通路を備える。
【0028】
本発明の他の態様は、前述したボトルキャップと協働するボトルを提供する。
【0029】
一部の実施形態によれば、ボトルは、ボトルキャップが螺合するボトル首部を備える。
【0030】
一部の実施形態によれば、ボトル首部は螺旋雄ねじ部分を備え、螺旋雄ねじ部分は連続的ではなく、鉛直方向においてスリットを備える。
【0031】
本発明のこれらの目的および他の目的は、様々な図および図面において示されている好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後、当業者には確実に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態による、ボトルのボトル首部と協働するように適合された改良されたボトルキャップを示す概略的な断面図である。
図2】本発明の一実施形態による、通常位置における停止部材の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による、空気または泡を放出する操作の間の圧縮位置における停止部材の斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による、環状固定構造だけを示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態による、環状固定構造を有するボトルキャップの平面図である。
図6】本発明の一実施形態による、環状案内板の穿孔を示すボトルキャップの平面図である。
図7】本発明の一実施形態による、ボトルのねじボトル首部を示す側面図である。
図8】本発明の一実施形態による、改良されたボトルキャップを有するボトルの内部から泡を吐出する操作を示す図である。
図9】本発明の一実施形態による、改良されたボトルキャップを有するボトルの内部から泡を吐出する操作を示す図である。
図10】本発明の一実施形態による、改良されたボトルキャップを有するボトルの内部から泡を吐出する操作を示す図である。
図11】本発明の一実施形態による、改良されたボトルキャップを有するボトルの内部から泡を吐出する操作を示す図である。
図12】本発明の別の実施形態によるボトルキャップを有する二重層ボトルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示の以下の詳細な記載では、本開示の一部を形成し、本発明が実施され得る特定の実施形態が例を用いて示されている添付の図面が、参照される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施できるように十分に詳細に記載されている。
【0034】
他の実施形態が利用されてもよく、構造的、論理的、および電気的な変更が、本発明の範囲から逸脱することなく行われ得る。そのため、以下の詳細な説明は限定として見なされるべきではなく、本明細書に含まれている実施形態は添付の特許請求の範囲によって定められる。
【0035】
半導体産業は、1つのウェーハ当たりでのより多くのチップと、一桁のナノメートルの領域でのより細い線幅とに対する高まる要求で、急速に進歩している。これらの課題に対処するために、超純水(UPW: UltraPure Water)などの超高純度液体の監視および制御が、ウェーハの歩留りに悪影響を与え得ることの中でも、イオン性不純物を検出するために好ましくは実施され得る。半導体製作工程において使用される超純水の汚染レベルができるだけ低いままであることを確保することは、重要な課題である。
【0036】
新たに開発された機器のおかげで、微量分析によって到達される検出限界が益々低くなっている。超純水または高度精製水(HPW: Highly Purified Water)は、極めて厳しい仕様へと精製された水である。超純水は、有機化合物、無機化合物、溶解した物質、粒子状の物質、揮発性、不揮発性、反応性、不活性、親水性、疎水性、および溶解した気体を含め、すべての汚染の種類について最も高いレベルの純度に水が処理されているという事実を強調するために、半導体産業において一般的に使用されている用語である。
【0037】
超純水の分析について、保管するのではなく収集の後にできるだけ素早く超純水を使用することが望ましい。保管が避けられない場合、試料容器は、好ましくは、雰囲気からの汚染を排除するために超純水で覆われて封止されてもよい。試料容器内に封止された空気は汚染されている可能性があるため、収集された超純水が保管または使用される前に、試料容器の内部に残された残留する空気または泡を除去することが望ましい。しかしながら、空気または泡がうまく除去されたと思われる場合であっても、少量の空気または泡が試料容器の内部側壁になおも残っている可能性がある。従来の試料容器は、超純水の収集の後、試料容器の内部から空気または泡を容易に除去することができない。本発明はこの問題に対処している。
【0038】
本発明は、ボトルまたは容器の内部から残留する空気または泡を容易に除去または吐出することができる、ボトルまたは容器を閉じるためのねじキャップに関する。改良されたねじキャップは、外形が小さく、コスト効果が高く、操作しやすい。本発明は、限定されることはないが、半導体製造、水処理、医療処置、研究開発、バイオテクノロジー、火力発電、原子力発電などを含む技術分野において適用され得る。ねじキャップは、試料容器の機能性を損なうことなくボトルの内部の泡を除去するための構造を有し、新規のねじキャップを操作することによって容器の内部に残っている泡を誰でも容易に除去することができる。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態による、ボトルのボトル首部と協働するように適合された改良されたボトルキャップを示す概略的な断面図である。図1に示されているように、一実施形態によれば、ボトル2は、ボトルキャップ1が螺合するボトル首部21を備える。一実施形態によれば、ボトルキャップ1は、カバー板11と円筒部品12とを有するキャップ本体10を備える。円筒部品12は、キャップ囲込体を形成するようにカバー板11と一体に形成されている。一実施形態によれば、カバー板11は円形の形状を有することができ、円筒部品12は、ねじを有するボトル2または容器の円筒形のボトル首部21に装着されるために、ねじを有する内側エリアを有し得る。一実施形態によれば、ボトルキャップ1は、ボトル2の口部210を封止するためにボトル2のボトル首部21に螺合する。
【0040】
一実施形態によれば、キャップ本体10は、限定されることはないが、高密度ポリエチレンまたはフッ素樹脂から作られ得る。一実施形態によれば、ボトル2は、限定されることはないが、高密度ポリエチレンまたはフッ素樹脂から作られ得る。一実施形態によれば、キャップ本体10とボトル2とは同じ材料から作られ得る。一実施形態によれば、キャップ本体10は、ボトル2の材料と異なる材料から作られ得る。
【0041】
一実施形態によれば、ボトルキャップ1は停止部材13をさらに備え、停止部材13は、ボトルキャップ1のカバー板11の内面11iからボトル2の口部210に向けて軸方向で突出する。一実施形態によれば、停止部材13は封止部品131を備え、封止部品131は支持構造132によって機械的に支持され得る。一実施形態によれば、支持構造132はカバー板11と一体に形成され得る。
【0042】
一実施形態によれば、ボトルキャップ1は、円筒部品12の側壁表面12sから内向きに横方向で突出する環状案内板14をさらに備える。一実施形態によれば、環状案内板14は封止部品131と係合するために停止部材13に向けて傾斜している。ボトルキャップ1がボトル2のボトル首部21に装着されるとき、環状案内板14はボトル2の口部210の環状の周囲領域を覆うだけである。一実施形態によれば、環状案内板14は、封止部品131によって封止される中心開口140を定める。
【0043】
一実施形態によれば、封止部品131は、環状案内板14によって定められる中心開口140を封止することができる底面131bを備える。一実施形態によれば、底面131bは、純粋な液体の収集の後に空気または泡の除去を容易にする凸状に湾曲した表面である。一実施形態によれば、封止部品131は、中心膨出部分131cと、中心膨出部分131cを包囲する周囲膨出部分131pと、中心膨出部分131cと周囲膨出部分131pとの間の環状陥凹領域131rとをさらに備える。周囲膨出部分131pは中心膨出部分131cと一体に形成されており、中心膨出部分131cは底面131bを定めている。
【0044】
一部の実施形態によれば、環状案内板14の上縁14rが環状陥凹領域131rに圧し掛かる。別の言い方をすれば、環状案内板14の上縁14rは、ボトルキャップ1が螺合していない平面視において、環状陥凹領域131rに位置付けられる。ボトルキャップ1は、ボトルキャップ1がねじ込まれていない場合、環状案内板14の上縁14rと環状陥凹領域131rとの間に空間を有してもよい。一部の実施形態によれば、周囲膨出部分131pは環状案内板14の上方部分14aに寄り掛かる。別の言い方をすれば、周囲膨出部分131pは、ボトルキャップがねじ込まれていない場合、平面視において環状案内板14の上方部分14aと重なって位置付けられる。ボトルキャップ1は、ボトルキャップ1がねじ込まれていない場合、周囲膨出部分131pと環状案内板14の上方部分14aとの間に空間を有してもよい。
【0045】
一実施形態によれば、支持構造132は、カバー板11と一体に形成されている鉛直部分1321と、鉛直部分1321と結合された水平部分1322とを備える。一実施形態によれば、支持構造132は、カバー板11の内面11iに固定される柔軟性の支柱1323をさらに備える。一実施形態によれば、水平部分1322は支柱1323の下面に固定される。一実施形態によれば、封止部品131は水平部分1322に固定され、支柱1323の反対にある。
【0046】
一実施形態によれば、封止部品131および支柱1323は、限定されることはないが、低密度ポリエチレンを含め、弾性材料から成り得る。一実施形態によれば、鉛直部分1321および水平部分1322は、キャップ本体10と同じ材料から成る。例えば、支持構造132の鉛直部分1321および水平部分1322は、限定されることはないが、高密度ポリエチレンまたはフッ素樹脂から作られ得る。
【0047】
図2および図3も参照されたい。図2は、本発明の一実施形態による、通常位置における停止部材13の斜視図である。明確性のために、キャップ本体10は、本発明の一実施形態によるこの図では描写されていない。図3は、本発明の一実施形態による、空気または泡を放出する操作の間の圧縮位置における停止部材13の斜視図である。
【0048】
図2に示されているように、一実施形態によれば、鉛直部分1321は複数の棒1321rを備え得る。例えば、4つの棒1321rがこの図では描写されている。例えば、4つの棒1321rの各々は、限定されることはないが、円筒の形状を有し得る。複数の棒1321rの各々の端面1321sは、図では描写されていないが、カバー板11に連結されて固定される。
【0049】
一実施形態によれば、支柱1323は、カバー板11の内面11iに固定され、複数の棒1321rによって包囲される。一部の実施形態によれば、水平部分1322は、鉛直部分1321と係合するために上面に少なくとも1つの陥凹を備える。例えば、図2に示されているように、水平部分1322は4つの陥凹構造1322rを備え、陥凹構造1322rは、操作の間に鉛直部分1321の鉛直移動を緩衝するために、4つの棒1321rの下端をそれぞれ受け入れる。操作の間、図2および図3に示されているように、4つの棒1321rは、水平部分1322を、エンジンにおけるピストンのように、鉛直方向に移動させるように案内することができる。このような構成を設けることで、ボトルキャップ1が装着されるときのボトル2の気密性を向上させることができる。
【0050】
任意選択で、4つの棒1321rの各々は、表面において、4つの棒1321rの各々の長さ方向に沿って設けられた溝またはスロット1321stを備え得る。図3において見られるように、支柱1323が、環状案内板14の上縁14r(図1に示されている)からの応力Fのため若干圧縮されるとき、4つの棒1321rの下端は4つの陥凹構造1322rによって受け入れられ、4つの棒1321rの下端は4つの陥凹構造1322rの底面に到達し、それによって水平部分1322と係合することができる。この場合、スロット1321stは、操作の間、陥凹構造1322rにおいて空気を排出するのを容易にする。停止部材13は、環状案内板14の変形を防止し、環状案内板14の耐久性を向上させるために、環状案内板14に過剰な圧力を加えることはない。
【0051】
図1に戻って参照すると、一部の実施形態によれば、ボトルキャップ1は、環状案内板14の下面に接着される弾性封止膜141をさらに備え得る。一実施形態によれば、ガスケットまたは弾性封止膜211がボトル首部21の上端面に取り付けられる。弾性封止膜141と弾性封止膜211とは、ボトルキャップ1とボトル首部21との間の2つの合致する表面の間の空間を一緒になって封止し、それによって、圧縮されている間にボトル2からの漏れまたはボトル2への漏れを防止する。弾性封止膜141は、弾性封止膜211なしで、単独で使用されてもよいが、弾性封止膜141と弾性封止膜211との両方が図1において描写されている。
【0052】
一実施形態によれば、ボトルキャップ1は、キャップ本体10と一体に形成されている環状固定構造15をさらに備え得る。一実施形態によれば、環状固定構造15は円筒部品12に近接して配置され得る。
【0053】
図4および図5も参照されたい。図4は、本発明の一実施形態による、環状固定構造15だけを示す斜視図である。図5は、図1における水平平面Lに沿って切り取られた環状固定構造15を有するボトルキャップ1の平面図である。図1におけるボトルキャップ1の断面図が図5において切断線Lに沿って切り取られていることは理解されるものである。明確性のために、図4は環状固定構造15を描写しているだけであり、キャップ本体10および停止部材13は描写されていない。図4および図5に示され、図1に簡単に示されているように、環状固定構造15は停止部材13を包囲しており、ボトルキャップ1がボトル首部21に螺合するとき、ボトル首部21の中にある上端面とおおよそ並べられる位置に配置される。
【0054】
ボトルキャップ1がボトル首部21に螺合するとき、環状固定構造15は環状案内板14を押して、環状案内板14とボトル首部21の上端面との間の空間が封止されるように弾性封止膜141と弾性封止膜211とを共に閉じ、これによりボトル2の内部からの収集された液体の漏れを回避する。例えば漏れが効果的に回避できる場合、弾性封止膜141は弾性封止膜211なしで単独で使用されてもよい。
【0055】
また、環状固定構造15は、ボトル2の内部からの残留する空気の除去を容易にする少なくとも1つの通路151を備えてもよい。例えば、環状固定構造15の底部に位置決めされた4つの通路151が図5に示されている。図1において最も良く見られるように、ボトルキャップ1がボトル首部21へ螺合するとき、ボトルキャップ1のカバー板11と、円筒部品12と、停止部材13と、環状案内板14との間の内部空間は、環状固定構造15によって第1の空間Sと第2の空間Sとに分割され得る。少なくとも1つの通路151は第1の空間Sを第2の空間Sと連通させる。例えば、通路151の数は、環状固定構造の強度が向上させられ得る場合、2つ、3つ、4つ、または5つ以上であり得る。
【0056】
図6は、図1における水平平面Lに沿って切り取られたボトルキャップ1の平面図である。理解のために、図6は、停止部材13の封止部品131と環状案内板14の中心開口140とを破線で描写しているだけであり、封止部品131および中心開口140は、示されている図1では、ボトル2の底部からの図においてLの後ろ側に位置付けられるため、元々は水平平面Lに沿って切り取られて描写されない。環状案内板14の中心開口140は、平面視において、封止部品131の外周によって囲い込まれている。図6に示されているように、一実施形態によれば、環状案内板14および弾性封止膜141は、カバー板11と、円筒部品12と、停止部材13と、環状案内板14との間の内部空間から空気および/または液体を排出するための少なくとも1つの穿孔143を備え得る。例えば、穿孔143の数は、環状案内板14の強度が向上させられ得る場合、2つ、3つ、4つ、または5つ以上であり得る。別の言い方をすれば、少なくとも1つの穿孔143は、カバー11と、円筒部品12と、停止部材13と、環状案内板14との間の内部空間をボトルキャップ1の外部と連通させることができる。例えば、図6に示されているように、4つの穿孔143が描写されている。一実施形態によれば、好ましくは、4つの穿孔143は環状固定構造15の4つの通路151に対応する。一実施形態によれば、好ましくは、4つの穿孔143は円筒部品12に近接して配置され、4つの通路151と径方向においてそれぞれ並べられる。
【0057】
図7を参照し、図1を簡単に参照されたい。図7は、本発明の一実施形態による、ボトルのねじボトル首部を示す側面図である。図1および図7に示されているように、一実施形態によれば、ボトルキャップ1の円筒部品12は、環状案内板14の下に据え付けられた螺旋雌ねじ部分121を備え、螺旋雌ねじ部分121は、ボトル2のボトル首部21の相補的な螺旋雄ねじ部分213と協働する。図7に示されているように、ボトル首部21は螺旋雄ねじ部分213を備える。螺旋雄ねじ部分213は、連続的ではなく、空気および/または液体をボトルキャップ1の内部から排出するために鉛直方向においてスリット215を備える。螺旋雄ねじ部分213のスリット215は、ボトルキャップ1の内部の液体および空気を外部に容易に吐出させるためのものである。
【0058】
一実施形態によれば、螺旋雄ねじ部分213は、ボトルキャップ1が適切に閉じられないこと、または、使用者の個人的な違いによりボトルキャップ1が過度にきつく閉じられることを防止するために、その下方末端の近くに少なくとも1つの突起を備える。例えば、より小さい突起216aとより大きい突起216bとが螺旋雄ねじ部分213の下方末端の近くに設けられ得る。
【0059】
図8図11を参照されたい。図8図11は、本発明の一実施形態による、改良されたボトルキャップを有するボトルの内部から泡を吐出する操作を示しており、同様の要素、層、または領域は同様の符号によって指示されている。図8に示されているように、ボトル2は超純水などの液体300で満たされる。図9に示されているように、次に、ボトルキャップ1はボトル2のボトル首部21に緩く螺合する。この時点で、ボトルキャップ1はしっかりと閉じられておらず、ボトル2の内部に残っている空気が、液体300の頂面300cと、環状案内板14の下面に接着された弾性封止膜141の若干上向きに傾斜した表面141cと、中心膨出部分131cの湾曲した底面131bとの間の小さい中心領域ACに集められ得る。
【0060】
一実施形態によれば、ボトル首部21の上端面の周りに設けられた湾曲した面取り部218は、中心領域ACにおいて泡を集めることをより容易にする。さらに、容器口部の上角を丸める(湾曲させる)ことで、空気が留まるのを防止し、外部への流出を容易にすることが可能である。一実施形態によれば、中心領域ACはできるだけ小さくなるように設計される。
【0061】
図10に示されているように、残留する空気および液体をボトル2の内部から矢印400で示されるように経路を介して吐出させるために、ボトル2を握ってボトル2に圧力を加えることができる。停止部材13の中心膨出部分131cは湾曲した底面131bを有するため、泡がボトル2の内部から容易に漏出し得る。空気を吐出した後、ボトル2の内部の気密性が増加する。図11に示されているように、空気および液体が外部に吐出された後、ボトルキャップ1は、ボトル2の口部をきつく閉じるために、しっかりと係止される位置へと、きつく閉じられる。そのため、ボトル2の口部はボトルキャップ1によって封止される。同時に、鉛直部分1321の底部が水平部分1322の陥凹1322rの上面と直接的に接触することができる。さらに、環状固定構造15の底部は、環状案内板14の上面と直接的に接触することができる。上記のような一方または両方の接触において、柔軟な支柱1323に対する過剰な力が効果的に低減させられ得る。ここで、図11に示されているように、残留する液体RLが第1の空間S1および第2の空間S2の中に留まる可能性があり、これは理想的な場合ではない。ボトルキャップ1が螺合するときにボトルキャップ1の内部空間に残留する液体RLがある場合であっても、残留する液体RLは、ボトル2を再び開けるためにボトルキャップ1がねじられるとき、環状案内板14、穿孔143、および円筒部品12の内面に沿って、ボトルキャップ1の外部に向けて流され得る。そのため、残留する液体RLが残された空気、気体などによって汚染される場合であっても、残留する液体RLと超純水などの液体300との混合が防止され得る。
【0062】
図12は、本発明の別の実施形態によるボトルキャップを有する二重層ボトルを示す概略図である。図12に示されているように、一実施形態によれば、ボトル3は、内壁311と外壁312とを備える二重壁構造310を備える。空隙313が内壁311と外壁312との間に設けられている。ボトル3にこのような二重壁構造310を提供することで、液体300の膨張または収縮による力を吸収する一方で気密性を向上させることができる。好ましくは、力を吸収するために内壁311の弾性は外壁312の弾性より小さくなり得る。
【0063】
ボトルキャップまたはねじキャップが、試料ボトルの機能性を損なうことなく、試料ボトルの内部の泡または残留する空気を除去または吐出するための構造を有するため、本発明を使用することは有利であり、新規のボトルキャップまたはねじキャップを操作することによって試料ボトルの内部に残された泡を誰もが容易に除去することができる。ボトルに適切な圧力を加えるだけで、気泡は試料ボトルの内部から漏出し得る。また、外壁312より小さい内壁311の弾性は、ボトル3の内部の不必要な力を低減でき、ボトルキャップ1のいくつかの部品の不必要な力を緩和させることができる。例えば、いくつかの部品は、封止部品131、鉛直部分1321、水平部分1322、柔軟な支柱1323、および環状案内板14などである。
【0064】
まとめると、改良されたボトルキャップは、空気をボトルおよびキャップから除去するための機能を有する改良された構造を有する。ボトルおよびボトルキャップの構造は、空気が留まるのを難しくし、空気または泡を容易に流出させる。ボトルキャップを閉じることで、気密性は増加する。ボトルキャップは、ボトルが損傷されるのを防止でき、キャップが開けられるとき、封止(パッキン)が早期に劣化するのを防止できる。また、ボトルキャップは、誰が閉じたとしても、同じ締め付けトルクで閉じることができる。さらに、ボトルキャップは、水がキャップの内部に蓄積するのを防止する構造を有する。ボトルキャップは、液体の膨張および収縮によるボトルまたは容器への損傷を防止するための機能も有する。分析結果に影響を与える汚染を低減させることができ、分析結果の信頼性を向上させることができる。
【0065】
当業者は、装置および方法の数々の変更および修正を、本発明の教示を保ちつつ行うことができることを容易に理解されよう。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界のみによって限定されるとして解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0066】
1 ボトルキャップ
2 ボトル
3 ボトル
10 キャップ本体
11 カバー板
11i 内面
12 円筒部品
12s 側壁表面
13 停止部材
14 環状案内板
14a 上方部分
14r 上縁
15 環状固定構造
21 ボトル首部
121 螺旋雌ねじ部分
131 封止部品
131b 底面
131c 中心膨出部分
131p 周囲膨出部分
131r 環状陥凹領域
132 支持構造
140 中心開口
141 弾性封止膜
141c 若干上向きに傾斜した表面
143 穿孔
151 通路
210 口部
211 ガスケット、弾性封止膜
213 螺旋雄ねじ部分
215 スリット
216a 突起
216b 突起
218 面取り部
300 液体
300c 頂面
310 二重壁構造
311 内壁
312 外壁
313 空隙
1321 鉛直部分
1321r 棒
1321s 端面
1321st 溝、スロット
1322 水平部分
1322r 陥凹構造、陥凹
1323 支柱
AC 中心領域
水平平面
水平平面
切断線
RL 残留する液体
第1の空間
第2の空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】