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特開2022-42588自動車のインパネメンバー構造及びその組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042588
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】自動車のインパネメンバー構造及びその組立方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20220308BHJP
   B62D 65/14 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
B62D25/08 J
B62D65/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148035
(22)【出願日】2020-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】000201799
【氏名又は名称】双葉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132964
【弁理士】
【氏名又は名称】信末 孝之
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】寺田 敬章
【テーマコード(参考)】
3D114
3D203
【Fターム(参考)】
3D114AA04
3D114EA01
3D203BB37
3D203CA55
3D203CA73
3D203CB03
3D203CB19
3D203DA16
3D203DA57
(57)【要約】
【課題】体前部のインストルメントパネル内に車幅方向に配置される自動車のインパネメンバー構造において、製造コストの低減、高剛性、品質向上及び軽量化を可能とする。
【解決手段】車体前部のインストルメントパネル内に車幅方向に配置された自動車のインパネメンバー構造であって、中空部15を有する構造部材11と、構造部材11の中空部15に車幅方向に挿入されたパイプ部材12と、中空部15に板面13bが車体前後方向に沿うように取り付けられるとともにパイプ部材12が板面13bに嵌合して取り付けられて構造部材11をパイプ部材12に支持する板状のリブプレート13とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部のインストルメントパネル内に車幅方向に配置された自動車のインパネメンバー構造であって、
中空部を有する構造部材と、該構造部材の前記中空部に車幅方向に挿入されたパイプ部材と、前記中空部に板面が車体前後方向に沿うように取り付けられるとともに前記パイプ部材が前記板面に嵌合して取り付けられて前記構造部材を前記パイプ部材に支持する板状のリブプレートとを有することを特徴とする自動車のインパネメンバー構造。
【請求項2】
前記リブプレートが、前記インパネメンバーに取り付けられたブラケットの基端であることを特徴とする請求項1に記載の自動車のインパネメンバー構造。
【請求項3】
前記構造部材に前記リブプレートの周縁部を嵌め込む嵌入孔を設け、前記周縁部と前記嵌入孔の周縁とが固着されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車のインパネメンバー構造。
【請求項4】
車体前部のインストルメントパネル内に車幅方向に配置された自動車のインパネメンバー構造の組立方法であって、
中空部を有する構造部材の該中空部に、前記構造部材に車幅方向に挿入されるパイプ部材と嵌合する板状のリブプレートを板面が車体前後方向に沿うように取り付けた後、前記パイプ部材を前記リブプレートの前記板面に嵌合させて前記リブプレートと前記パイプ部材とを取り付けることを特徴とする自動車のインパネメンバー構造の組立方法。
【請求項5】
車体前部のインストルメントパネル内に車幅方向に配置された自動車のインパネメンバー構造の組立方法であって、
中空部を有する構造部材に車幅方向に挿入されるパイプ部材に、板状のリブプレートを板面が車体前後方向に沿うように嵌合させて取り付けた後、前記パイプ部材を前記構造部材に挿入して前記リブプレートと前記構造部材とを取り付けることを特徴とする自動車のインパネメンバー構造の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前部のインストルメントパネル内に車幅方向に配置される自動車のインパネメンバー構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車体前部のインストルメントパネル内には、車幅方向に沿ってインパネメンバーが配置されている。インパネメンバーは、別名ステアリングメンバーとも呼ばれ、インストルメントパネル及びステアリング装置等を支持するためのフレーム部材である。
【0003】
インパネメンバーに関する発明として、例えば特許文献1には、車両の前突時のステアリング装置の車幅方向内側への移動を抑制して、エアバッグで乗員を拘束することができる簡易な構造の前部車体構造に関する発明が記載されている。特許文献1に記載されたステアリングメンバー10は、車幅方向に延びるビーム部材11を有している。そして、ビーム部材11は、運転席側に配置された大径パイプ部11aと、助手席側に配置された小径パイプ部11bと、大径パイプ部11aから小径パイプ部11bに向かって徐々に縮径するテーパー部11cとで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-101136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されたように、従来のインパネメンバー(ステアリングメンバー)を構成するパイプ部材は、大径部、小径部、テーパー部から構成されており、このようなパイプ部材を使用するためには、1本のパイプ部材の一部を縮径加工するか、2本の異径パイプ部材をテーパー部材を介して接続加工する必要があった。
【0006】
これらの加工は、コスト要因や縮径部の品質低下要因になり、例えば2本の異径パイプ部材をテーパー部材を介して接続加工する場合には、接続部分のずれによりパイプ部材が真っすぐにならないこともあった。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、車体前部のインストルメントパネル内に車幅方向に配置される自動車のインパネメンバー構造において、製造コストの低減、高剛性、品質向上及び軽量化を可能としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る自動車のインパネメンバー構造は、車体前部のインストルメントパネル内に車幅方向に配置された自動車のインパネメンバー構造であって、中空部を有する構造部材と、該構造部材の前記中空部に車幅方向に挿入されたパイプ部材と、前記中空部に板面が車体前後方向に沿うように取り付けられるとともに前記パイプ部材が前記板面に嵌合して取り付けられて前記構造部材を前記パイプ部材に支持する板状のリブプレートとを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る自動車のインパネメンバー構造は、請求項1に係る発明において、前記リブプレートが、前記インパネメンバーに取り付けられたブラケットの基端であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に係る自動車のインパネメンバー構造は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記構造部材に前記リブプレートの周縁部を嵌め込む嵌入孔を設け、前記周縁部と前記嵌入孔の周縁とが固着されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に係る自動車のインパネメンバー構造の組立方法は、車体前部のインストルメントパネル内に車幅方向に配置された自動車のインパネメンバー構造の組立方法であって、中空部を有する構造部材の該中空部に、前記構造部材に車幅方向に挿入されるパイプ部材と嵌合する板状のリブプレートを板面が車体前後方向に沿うように取り付けた後、前記パイプ部材を前記リブプレートの前記板面に嵌合させて前記リブプレートと前記パイプ部材とを取り付けることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項5に係る自動車のインパネメンバー構造の組立方法は、車体前部のインストルメントパネル内に車幅方向に配置された自動車のインパネメンバー構造の組立方法であって、中空部を有する構造部材に車幅方向に挿入されるパイプ部材に、板状のリブプレートを板面が車体前後方向に沿うように嵌合させて取り付けた後、前記パイプ部材を前記構造部材に挿入して前記リブプレートと前記構造部材とを取り付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に係る自動車のインパネメンバー構造は、中空部を有する構造部材と、構造部材に車幅方向に挿入されるパイプ部材とリブプレートとからなる簡単な形状の3部材で構成され、構造部材及びリブプレートは板材をプレス成形することにより容易に製造することができるとともに、これら3部材同士の組み立ても挿入(嵌合)、及び固着により容易にできる。これにより、インパネメンバーの製造コストを低減することができる。また、板状のリブプレートが、中空部に板面が車体前後方向に沿うように取り付けられて、パイプ部材が板面に嵌合して構造部材をパイプ部材に支持するようになっているので、前記3部材を確実かつ安定して組み立てることができ、高剛性で高品質のインパネメンバーを得ることができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に係る自動車のインパネメンバー構造は、請求項1に係る前記発明の効果に加えて、インパネメンバーに取り付けられたブラケットの基端がリブプレートとして機能し、ブラケットがリブプレートを兼用することとなり、インパネメンバーの軽量化を図ることができる。
【0015】
また、本発明の請求項3に係る自動車のインパネメンバー構造は、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、構造部材にリブプレートの周縁部を嵌め込む嵌入孔を設け、リブプレートの周縁部と嵌入孔の周縁とを固着することにより、構造部材へのリブプレートの取り付けを容易かつ確実に行うことができる。
【0016】
また、本発明の請求項4に係る自動車のインパネメンバー構造の組立方法は、中空部を有する構造部材の中空部に、構造部材に車幅方向に挿入されるパイプ部材と嵌合する板状のリブプレートを板面が車体前後方向に沿うように取り付けた後、パイプ部材をリブプレートの板面に嵌合させてパイプ部材とリブプレートとを取り付ける。従って、予めリブプレートが取り付けられた構造部材にパイプ部材を挿入してパイプ部材とリブプレートとを取り付けるだけで容易に組み立てることができる。
【0017】
また、本発明の請求項5に係る自動車のインパネメンバー構造の組立方法は、中空部を有する構造部材に車幅方向に挿入されるパイプ部材に、板状のリブプレートを板面が車体前後方向に沿うように嵌合させて取り付けた後、該パイプ部材を構造部材に挿入してリブプレートを構造部材に取り付ける。従って、予めリブプレートが取り付けられたパイプ部材を構造部材に挿入してリブプレートと構造部材とを取り付けるだけで容易に組み立てることができる。
【0018】
このように、本発明は、車体前部のインストルメントパネル内に車幅方向に配置される自動車のインパネメンバー構造において、製造コストの低減、高剛性、品質向上及び軽量化を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態1に係るインパネメンバーを示す斜視図である。
図2図1のII-II線矢視断面図である。
図3】本発明の実施形態2に係るインパネメンバーを示す斜視図である。
図4図3のIV-IV線矢視断面図である。
図5図3のV-V線矢視断面図ある。
図6】挿入孔を設けた構造部材の斜視図である。
図7】構造部材、パイプ部材及びリブプレートの組立方法を示すインパネメンバーの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、図1乃至図7を参照して、本発明の実施形態に係るインパネメンバーについて説明する。本実施形態に係るインパネメンバーは、自動車の車体前部のインストルメントパネル内に車幅方向に配置されるものであり、インストルメントパネル及びステアリング装置等を支持するためのフレーム部材である。
【0021】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインパネメンバー10を示す斜視図である。図2は、図1のII-II線矢視断面図である。インパネメンバー10は、中空部15を有する金属製の構造部材11と、板面13b、13b、13bが車体前後方向に沿うように構造部材11の中空部15に取り付けられた金属製のリブプレート13,13,13と、構造部材11に車幅方向に挿入された金属製のパイプ部材12から構成されている。構造部材11は、断面多角形状の部材であって、車体後方に向けて開口した開口部11bを有し、板材をプレス成形することによりにより形成されている。インパネメンバー10の車幅方向の両端には、車体(図示せず)に固定されるサイドブラケット14,14が取り付けられている。
【0022】
3枚のリブプレート13は、周縁部13aが構造部材11の内壁面11aに合わせた形状になっており、車幅方向に間隔を空けて配置され、周縁部13aが構造部材11に溶接により固着されて取り付けられている。また、板面13b、13b、13bの略中央にはパイプ部材12と嵌合する挿入孔1が設けられている。リブプレート13,13,13の車体後方端縁は構造部材11の開口部11b近傍まで形成されている。そして、パイプ部材12がリブプレート13,13,13の挿入孔1に挿通されて板面13b、13b、13bに嵌合し、挿入孔1の周縁部とパイプ部材12とが溶接により固着され、これにより構造部材11がリブプレート13,13,13を介してパイプ部材12に支持されている。
【0023】
構造部材11の中空部15の車幅方向左側端部近傍には、板面16bが車体前後方向に沿うように金属製のリブプレート16が取り付けられているが、パイプ部材12の車幅方向左側端部はリブプレート16まで延びておらず、該リブプレート16は構造部材11の補強部材として機能している。また、構造部材11の車幅方向左側端部には、サイドブラケット14が接合されている。なお、リブプレート13の数は限定されないが、構造部材11がパイプ部材12に安定して支持されるためには少なくとも2つ以上とすることが好ましい。
【0024】
実施形態1に係る自動車のインパネメンバー構造は、中空部15を有する構造部材11と、中空部15内に配設されたリブプレート13,13,13と、構造部材11及びリブプレート13,13,13に車幅方向に挿入されたパイプ部材12とからなる簡単な形状の3部材で構成され、構造部材11及びリブプレート13,13,13は、板材をプレス成形することにより容易に製造することができるとともに、これら3部材同士の組み立ても挿入(嵌合)、及び固着により容易にできる。これにより、インパネメンバー10の製造コストを低減することができる。また、板状のリブプレート13,13,13が、中空部15に板面13b、13b、13bが車体前後方向に沿うように取り付けられて、パイプ部材12が板面13b、13b、13bに嵌合して構造部材11をパイプ部材12に支持するようになっているので、前記3部材を確実かつ安定して組み立てることができ、高剛性で高品質のインパネメンバーを得ることができる。
【0025】
なお、実施形態1に係るインパメメンバー10は、運転席側(図1における左側)に配置された構造部材11と、助手席側(図1における右側)に配置されたパイプ部材12との組み合わせであり、パイプ部材12が構造部材11の車幅方向途中まで挿入されているが、構造部材11とパイプ部材12との位置関係は、種々変更が可能である。例えば、パイプ部材12を左右のサイドブラケット14,14の間の全長に亘って配置して、構造部材11を左右のサイドブラケット14,14の間の一部に配置してもよい。また逆に、構造部材11を左右のサイドブラケット14,14の間の全長に亘って配置して、パイプ部材12を左右のサイドブラケット14,14の間の一部に配置してもよい。さらに、構造部材11及びパイプ部材12の両方を左右のサイドブラケット14,14の間の全長に亘って配置してもよい。
【0026】
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態2に係るインパネメンバー20を示す斜視図である。図4及び図5は、インパネメンバー20のブラケット取付構造を示す図3のIV―IV線断面図及び図3のV-V線断面図である。インパネメンバー20は、中空部25を有する構造部材21と、構造部材21の中空部25に車幅方向に挿入されたパイプ部材22と、ブラケット23とから構成されている。構造部材21は、中空部25を有する断面多角形状の部材であって、車体後方に向けて開口した開口部21bを有しており、板材をプレス成形することにより形成されている。インパネメンバー20の車幅方向の両端には、車体(図示せず)に固定されるサイドブラケット24,24が取り付けられている。
【0027】
実施形態2では、ブラケット23は、構造部材21の中空部25に取り付けられた一対のステアリングブラケット23a,23a、及びセンターブラケット23bである。ステアリングブラケット23a,23aは、運転席のステアリングシャフト(図示せず)を支持するためのものであり、センターブラケット23bは、その先端(下端)23b1を車体フロア(図示せず)に接続する接続部材である。実施形態2に係るインパネメンバー20は、実施形態1におけるリブプレート13の代わりに、ステアリングブラケット23a,23a及びセンターブラケット23bの基端をリブプレートとして機能させるものである。
【0028】
一方(左側)のステアリングブラケット23aには、図4に示すように板面26の周縁部を車幅方向右側へ向けて折り曲げてフランジ部27が形成されている。このフランジ部27のフランジ面は、構造部材21の内壁面21aに合わせた形状になっており、該内壁面21aに溶接により固着されている。一方(右側)のステアリングブラケット23aにもフランジ部27が形成されているが、該フランジ部27は車幅方向左側に向けて折り曲げて形成されている。ステアリングブラケット23a,23aは、構造部材21の開口部21bから車体後方に突出し、この突出した板面26にステアリングシャフトを取り付ける取付口6が開設されている。そして、パイプ部材22をステアリングブラケット23a、23aの挿入孔2に挿通(嵌合)し、該挿入孔2の周縁部とパイプ部材22の周面とが溶接されて固着され、これにより板面26を車体前後方向に沿うように配設したステアリングブラケット23a,23aを介して構造部材21がパイプ部材22に支持されている。
【0029】
センターブラケット23bには、図5に示すように板面28の長手方向周縁部を車幅方向左側に向けて折り曲げて一対のフランジ部29、29が形成されている。センターブラケット23bの基端側のフランジ部29,29は、構造部材21の内壁面21aのうち開口部21b側の対向する面に合わせた形状になっており、その板面28が車体前後方向に沿うように取り付けられている。また、センターブラケット23bの基端側端部には、パイプ部材22と嵌合する凹部3が形成されている。そして、パイプ部材22がセンターブラケット23bの凹部3に嵌合し、該凹部3の周縁とパイプ部材22の周面とが溶接され、さらにセンターブラケット23bの基端側のフランジ部29,29と構造部材21の開口部21bの内壁面21aとが溶接されて固着されている。これにより構造部材21がセンターブラケット23bを介してパイプ部材22に支持される。また、構造部材21及びパイプ部材22は下端が車体フロアーに取り付けられるセンターブラケット23bに支持される。
【0030】
実施形態2に係る自動車のインパネメンバー構造は、実施形態1に係る自動車のインパネメンバー構造の効果に加えて、インパネメンバー20に取り付けられたブラケット23の基端がリブプレートとして機能し、ブラケット23がリブプレートを兼用することとなりインパネメンバー20の軽量化を図ることができる。
【0031】
なお、上記実施形態においては、構造部材を車体後方に向けて開口した断面多角形状としたが、断面多角形状とした場合の角の数は特に限定されない。また、断面多角形状ではなく曲線状であってもよい。
【0032】
また、構造部材は開口部11b、21bを有さない閉断面形状であってもよい。ただし、開口部を有さない場合には、構造部材にリブプレートを挿入するための嵌入孔4を設けるとよい。図6は、開口部を有さない閉断面形状の構造部材31に嵌入孔4を設けた斜視図である。構造部材31には、外面から中空部35に通じ、リブプレートの周縁部の一部を挿入するための複数のスリット状の嵌入孔4が車幅方向に間隔を開けて設けられている。なお、実施形態1~2における構造部材11,21に形成したような開口部11b、21bを持つ断面形状の構造部材にも、リブプレートの周縁部の一部を挿入するための嵌入孔を設けることができる。
【0033】
構造部材31のようにリブプレートの周縁部の一部を挿入する嵌入孔4を設け、リブプレートの周縁部の一部と嵌入孔4の周縁とを溶接等により固着することにより、構造部材31へのリブプレートの取り付けを容易かつ確実に行うことができる。
【0034】
また、図6における構造部材31の長手方向(車幅方向)の端部には、予めリブプレートの板面が車体前後方向に沿うように取り付けられたパイプ部材を車幅方向から挿入する挿入口36が開口されている。予めパイプ部材に取り付けられたリブプレートと、構造部材31との組み付けは、リブプレートが構造部材31の内壁面に当接しないようにパイプ部材を反嵌入孔4側にずらしながら中空部35内に挿入し、リブプレートが嵌入孔4の位置に対応するようにした後、パイプ部材を嵌入孔4側に近づけてリブプレートの周縁部の一部を中空部35側から嵌入孔4に嵌入する。しかる後、リブプレートの嵌入孔4からの突出部を構造部材31の嵌入孔4周縁部に溶接等により固着する。
【0035】
図7は、構造部材、パイプ部材、及びリブプレートの組立方法を示す図である。構造部材の断面形状における開口部の有無、嵌入孔の有無に応じて、様々な組立方法が可能である。
【0036】
図7(A)に示すインパネメンバー10は、開口部11bを有する構造部材11において、板面が車体前後方向に沿うように開口部11bから構造部材11に挿入したリブプレート13の周縁部を構造部材11の内壁面11bに溶接5により固着した後、パイプ部材12を車幅方向からリブプレート13の挿入孔1に挿入(嵌合)し、リブプレート13の挿入孔1とパイプ部材12とを溶接5により固着したものである。
【0037】
図7(B)に示すインパネメンバー10は、開口部11bを有する構造部材11において、リブプレート13を板面が車体前後方向に沿うように開口部11bから構造部材11内に挿入し、リブプレート13の周縁部の一部に形成した突出部13cを構造部材11に設けたスリット状の嵌入孔4に嵌入して構造部材11の外部に突出させ、突出部13cと構造部材11の嵌入孔4周縁部とを溶接5により固着する。その後、パイプ部材12を車幅方向からリブレート13の挿入孔1に挿入(嵌合)して、リブプレート13の挿入孔1とパイプ部材12とを溶接5により固着したものである。
【0038】
なお、ステアリングブラケット23a,23aやセンターブラケット23bをリブプレートとする場合であっても、図7(A)、(B)に示すリブプレートを使用する場合と同様に組み立てることができる。
【0039】
図7(A)、(B)に示す構造部材11、パイプ部材12及びリブプレート13の取り付けは、次のような組立方法により行うことができる。組立方法は、構造部材11の開口部11aや嵌入孔4の有無、リブプレート13の形状や大きさによって選択することができる。
【0040】
(組立方法1)
組立方法1は、まず構造部材11の中空部15にリブプレート13の周縁部を溶接5により取り付け、次にパイプ部材12を構造部材11の中空部15に車幅方向から挿入しながらリブプレート13の挿入孔1に挿入(嵌合)し、リブプレート13の挿入孔1の周縁部とパイプ部材12の外周面とを溶接5により固着することにより、リブプレート13を介して構造部材11をパイプ部材12に支持させるものである。
【0041】
組立方法1によれば、予め構造部材11にリブプレート13が溶接5により取り付けられた構造部材11、及びリブレート13にパイプ部材12を挿入し、リブプレート13とパイプ部材12とを固着するだけで容易に組み立てることができ、インパネメンバー10の製造コストを低減することができる。また、パイプ部材12、リブレート13及び構造部材11を高剛性、かつ安定して組み立てることができ、インパネメンバー10の品質を向上させることができる。
【0042】
(組立方法2)
組立方法2は、まずリブプレート13を複数個車幅方向に間隔を開けて溶接5により固着したパイプ部材12を、車幅方向もしくは開口部11b側から構造部材11の中空部15に挿入した後、リブプレート13の周縁部と構造部材11とを溶接5により固着することにより、リブプレート13を介して構造部材11をパイプ部材12に支持させるものである。
【0043】
組立方法2によれば、予めリブプレート13が取り付けられたパイプ部材12を構造部材11に挿入した後、リブプレート13の周縁部と構造部材11とを溶接5により固着するだけで容易に組み立てることができ、インパネメンバー10の製造コストを低減することができる。また、パイプ部材12、リブレート13及び構造部材11を高剛性、かつ安定して組み立てることができ、インパネメンバー10の品質を向上させることができる。
【0044】
このように、本実施形態に係る自動車のインパネメンバー構造は、車体前部のインストルメントパネル内に車幅方向に配置される自動車のインパネメンバー構造において、製造コストの低減、高剛性、品質向上及び軽量化を可能とするものである。
【0045】
以上、本実施形態に係る自動車のインパネメンバー構造について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変更が可能である。
【0046】
例えば、ステアリングブラケットやセンターブラケット以外のブラケットの基端をリブプレートとして構成してもよい。またブラケット基端をリブプレートとするブラケットと、ブラケットを有しない専用リブプレートとを組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1,2 挿入孔
3 凹部
4 嵌入孔
5 溶接
10,20 インパネメンバー
11,21,31 構造部材
12,22 パイプ部材
13,16 リブプレート
13a 周縁部
13b,26,28 板面
14,24 サイドブラケット
15,25,35 中空部
23 ブラケット
23a ステアリングブラケット
23b センターブラケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7