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特開2022-42667携帯端末装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042667
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】携帯端末装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/00 20060101AFI20220308BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20220308BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20220308BHJP
   G06N 3/08 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
H04M1/00 R
G01C21/26 P
G06N20/00
G06N3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148159
(22)【出願日】2020-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】520339622
【氏名又は名称】ThinkX株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大塚 一輝
【テーマコード(参考)】
2F129
5K127
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129BB21
2F129BB22
2F129BB26
2F129CC03
2F129DD21
2F129DD34
2F129EE17
2F129EE77
2F129HH02
2F129HH12
5K127AA36
5K127BA03
5K127CB01
5K127CB11
5K127CB33
5K127JA01
5K127JA05
5K127JA11
5K127JA14
5K127JA15
5K127JA25
5K127JA50
5K127KA08
5K127MA05
5K127MA06
5K127MA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】位置を検出するための複数の装置を設置することなく位置を推定し、推定された位置に関連するデータを出力することができる携帯端末装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】携帯端末装置100は、位置推定部と、出力部と、を有する。位置推定部は、携帯端末装置の慣性計測ユニットで計測された計測値を、学習済みのニューラルネットワークに入力し、学習済みのニューラルネットワークから出力された移動経路を導くための情報に基づき携帯端末装置の位置を推定する。学習済みのニューラルネットワークは、慣性計測ユニットで計測された計測値と、ユーザの移動情報と、に基づき学習されたニューラルネットワークである。出力部は、位置推定部で推定された位置に基づき位置に関連するデータを出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置であって、
位置推定部と、出力部と、を有し、
前記位置推定部は、前記携帯端末装置の慣性計測ユニットで計測された計測値を、学習済みのニューラルネットワークに入力し、前記学習済みのニューラルネットワークから出力された移動経路を導くための情報に基づき前記携帯端末装置の位置を推定し、
前記学習済みのニューラルネットワークは、前記慣性計測ユニットで計測された計測値と、ユーザの移動情報と、に基づき学習されたニューラルネットワークであり、
前記出力部は、前記位置推定部で推定された位置に基づき前記位置に関連するデータを出力する、
携帯端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末装置において、
属性推定部を有し、
前記属性推定部は、前記携帯端末装置のマイクから入力されたユーザの音声データに基づき前記ユーザの属性を推定し、
前記出力部は、前記位置推定部で推定された位置と、前記属性推定部で推定された属性と、に基づき、出力するデータを決定する、
携帯端末装置。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯端末装置において、
前記属性推定部は、前記音声データに基づき前記ユーザが発話中か否かを判定し、前記ユーザが発話中であると判定した場合、前記音声データに基づき前記ユーザの属性を推定する、
携帯端末装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の携帯端末装置において、
前記出力部は、前記位置推定部で推定された位置と、前記属性推定部で推定された属性と、に基づき、前記位置の近傍に存在する案内対象物の説明を変更したデータを出力する、
携帯端末装置。
【請求項5】
請求項2から請求項4までの何れか1項に記載の携帯端末装置において、
前記属性には、前記ユーザの教養のレベルが含まれる、
携帯端末装置。
【請求項6】
請求項2から請求項5までの何れか1項に記載の携帯端末装置において、
前記属性には、前記ユーザの使用言語が含まれる、
携帯端末装置。
【請求項7】
請求項2から請求項6までの何れか1項に記載の携帯端末装置において、
前記属性には、前記ユーザの年齢層が含まれる、
携帯端末装置。
【請求項8】
請求項2から請求項7までの何れか1項に記載の携帯端末装置において、
前記属性には、前記ユーザの性別が含まれる、
携帯端末装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8までの何れか1項に記載の携帯端末装置において、
前記位置に関連して出力されるデータは音声データである、
携帯端末装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までの何れか1項に記載の携帯端末装置において、
前記位置に関連して出力されるデータは画像データである、
携帯端末装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までの何れか1項に記載の携帯端末装置において、
前記計測値は、加速度と、角速度と、地磁気と、である、
携帯端末装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11までの何れか1項に記載の携帯端末装置において、
日時情報取得部を有し、
前記日時情報取得部は、日時情報を取得し、
前記出力部は、前記位置推定部で推定された位置と、前記日時情報と、に基づき、前記位置に関連するデータを変更して出力する、
携帯端末装置。
【請求項13】
請求項1から請求項12までの何れか1項に記載の携帯端末装置において、
訪問回数取得部を有し、
前記訪問回数取得部は、前記位置推定部で推定された位置に訪れた回数を取得し、
前記出力部は、前記位置推定部で推定された位置と、前記回数と、に基づき、前記位置に関連するデータを変更して出力する、
携帯端末装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13までの何れか1項に記載の携帯端末装置において、
前記出力部は、ユーザがこれまでに再生したデータの時間情報と、前記位置推定部で推定された位置と、に基づき、前記位置に関連するデータを出力する、
携帯端末装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14までの何れか1項に記載の携帯端末装置において、
前記出力部は、前記携帯端末装置と説明対象物との位置関係により音像定位を動的に変える、
携帯端末装置。
【請求項16】
請求項1から請求項15までの何れか1項に記載の携帯端末装置において、
前記出力部は、ユーザの周辺環境音の雑音周波数帯域により出力音像の基本周波数を動的に変える、
携帯端末装置。
【請求項17】
携帯端末装置が実行する情報処理方法であって、
位置推定工程と、出力工程と、を有し、
前記位置推定工程では、前記携帯端末装置の慣性計測ユニットで計測された計測値を、学習済みのニューラルネットワークに入力し、前記学習済みのニューラルネットワークから出力された移動経路を導くための情報に基づき前記携帯端末装置の位置を推定し、
前記学習済みのニューラルネットワークは、前記慣性計測ユニットで計測された計測値と、ユーザの移動情報と、に基づき学習されたニューラルネットワークであり、
前記出力工程では、前記位置推定工程で推定された位置に基づき前記位置に関連するデータを出力する、
情報処理方法。
【請求項18】
携帯端末装置が実行する情報処理方法であって、
第1の工程と、第2の工程と、第3の工程と、含み、
前記第1の工程では、スタート位置を決定し、
前記第2の工程では、前記携帯端末装置の慣性計測ユニットで計測された計測値を、学習済みのニューラルネットワークに入力し、前記学習済みのニューラルネットワークから出力された移動経路を導くための情報と、前記スタート位置と、から前記携帯端末装置の位置を推定し、
前記学習済みのニューラルネットワークは、前記慣性計測ユニットで計測された計測値と、ユーザの移動情報と、に基づき学習されたニューラルネットワークであり、
前記位置が指定された位置に来た場合、前記第3の工程では、前記指定された位置に応じたデータを出力する、
情報処理方法。
【請求項19】
プログラムであって、コンピュータを請求項1から請求項16までの何れか1項に記載の携帯端末装置の各部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ある位置に来た場合、スマートフォンからデータを出力したいという要求がある。スマートフォンの位置を取得する技術としてはグローバル・ポジショニング・システム(以下、GPSという)が知られている。しかし、GPSは屋外に限られるという問題がある。特許文献1には、位置を検出する他の手段としてビーコン、NFC(Near Field Communication)が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-041422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ビーコンを用いて位置を検出するためには電波を発生する複数の装置を設置する必要がある。また、NFCを用いて位置を検出するにも近距離無線通信を行うための複数の装置を設置する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、携帯端末装置が提供される。この携帯端末装置は、位置推定部と、出力部と、を有する。位置推定部は、携帯端末装置の慣性計測ユニットで計測された計測値を、学習済みのニューラルネットワークに入力し、学習済みのニューラルネットワークから出力された移動経路を導くための情報に基づき携帯端末装置の位置を推定する。学習済みのニューラルネットワークは、慣性計測ユニットで計測された計測値と、ユーザの移動情報と、に基づき学習されたニューラルネットワークである。出力部は、位置推定部で推定された位置に基づき位置に関連するデータを出力する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、情報処理の概要を説明する図である。
図2図2は、携帯端末装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、携帯端末装置の機能構成の一例を示す図である。
図4図4は、携帯端末装置が実行する情報処理の一例を示すアクティビティ図である。
図5図5は、入力表示部に表示された画像データの一例を示す図である。
図6図6は、変形例1の携帯端末装置の機能構成の一例を示す図である。
図7図7は、変形例2の携帯端末装置の機能構成の一例を示す図である。
図8図8は、変形例3の携帯端末装置の機能構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0008】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0009】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0010】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0011】
<実施形態1>
1.情報処理の概要
図1は、情報処理の概要を説明する図である。情報処理システム1000は、システム構成として、携帯端末装置100を含む。携帯端末装置100のユーザは、エリアの入り口に設置されているチェックインパネル110のコードを携帯端末装置100の後述する撮像部204で撮像する。すると、本実施形態の処理に関するアプリケーションのプログラムが所定のサーバから携帯端末装置100にダウンロードされる。プログラムを起動し、アプリケーションを用いて、チェックインパネル110のコード等が撮像されると、携帯端末装置100は、スタート位置を特定することができる。なお、すでにプログラムだダウンロードされている場合は、ダウンロードのプロセスは省略される。ユーザは、携帯端末装置100を保持しながら、エリア内を進む。ユーザがエリア内の所定の位置の周辺に来ると、コンテンツが再生される。図1の例では、文化財120の周辺に来ると、文化財120に関するコンテンツが携帯端末装置100において再生される。なお、コンテンツは動的に生成され、再生される場合がある。例えば、携帯端末装置100は、ユーザの名前を含むコンテンツを生成し、出力する。コンテンツを最後まで再生したユーザの情報は、サーバに記録され、毎月レポートが提供される。例えば、サーバは、ユーザごとにどのコンテンツをどれだけの長さ再生させたか時間情報を記録する。このような構成とすることによって、サーバ、又は携帯端末装置100は、サーバが管理している情報に基づき、パーソナライズされたコンテンツの割り当て、又は生成等を行うことができる。携帯端末装置100を保持するユーザがエリアから出ると、自動的にチェックアウトされ、コンテンツを用いた案内は終了する。なお、該当するエリアの案内は終了するが、パーソナライズされたコンテンツの内容とチェックアウトされた状況(例えば、場所、時間情報)等に基づき、携帯端末装置100は、次に勧めるエリアへ誘導するコンテンツ等を出力する。
【0012】
2.ハードウェア構成
図2は、携帯端末装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。携帯端末装置100は、ハードウェア構成として、制御部201と、記憶部202と、入力表示部203と、撮像部204と、慣性計測ユニット205と、通信部206と、音声入力部207と、音声出力部208と、含む。
制御部201は、携帯端末装置100の全体を制御する。記憶部202は、プログラム及び制御部201がプログラムに基づき処理を実行する際に用いるデータ等を記憶する。上述したサーバからダウンロードされたプログラムは記憶部202に記憶される。記憶部202は、記憶媒体の一例である。制御部201が、記憶部202に記憶されているプログラムに基づき処理を実行することによって、後述する図3図6図7図8に示す携帯端末装置100の機能構成及び図4に示すアクティビティ図の処理が実現される。
【0013】
入力表示部203は、データ等を表示すると共に、ユーザの操作を受け付ける。入力表示部203で受け付けられた操作は、制御部201に伝えられる。撮像部204は、被写体等を撮像する。慣性計測ユニット205は、複数のセンサーを有し、それぞれ異なる物理量を検知し、計測する。慣性計測ユニット205は、慣性計測部の一例である。通信部206は、携帯端末装置100をネットワークに接続し、他の装置との通信を司る。
【0014】
音声入力部207は、ユーザの音声を制御部201に入力する。音声入力部207は、マイクの一例である。音声出力部208は、制御部201の制御に基づき音声を出力する。なお、本実施形態では、携帯端末装置100の音声出力部208を用いて音声を入力するものとして説明を行うが、携帯端末装置100に外付けのイヤホンを介して音声を出力するようにしてもよい。
【0015】
3.機能構成
図3は、携帯端末装置100の機能構成の一例を示す図である。携帯端末装置100は、機能構成として、位置推定部301と、出力部302と、を含む。
位置推定部301は、携帯端末装置100の慣性計測ユニット205で計測された計測値を学習済みのニューラルネットワークに入力し、学習済みのニューラルネットワークから出力された移動経路を導くための情報に基づき携帯端末装置100の位置を推定する。ここで、学習済みのニューラルネットワークは、慣性計測ユニット205で計測された計測値と、携帯端末装置100のユーザの移動情報と、に基づき学習されたニューラルネットワークである。ここで、移動情報は、3次元空間内の座標変化としての位置情報である。より具体的に説明すると、3次元空間内の座標変化として位置情報は、外部の赤外線モーションキャプチャーシステム等の光学的高精度物体位置追跡システムか、同等の追跡精度を有する装置により得られた、ユーザの手元のデバイス(携帯端末装置)の3次元空間内の座標の移動情報である。
出力部302は、位置推定部301で推定された位置に基づき位置に関連するデータを出力する。
携帯端末装置100が位置推定部301と出力部302とを有することによって、携帯端末装置100は自律的に自装置の位置を推定することができ、設定された位置に到達した場合、位置に関連するデータを出力することができる。すなわち、携帯端末装置100によれば、屋外であっても、屋内であっても、複数の装置を設定することなく、自装置の位置を推定し、位置に応じたデータを、携帯端末装置100を介して出力することができる。
【0016】
4.情報処理
図4は、携帯端末装置100が実行する情報処理の一例を示すアクティビティ図である。図4の処理は、上述したように、携帯端末装置100のユーザが、サーバからプログラムをダウンロードし、ユーザ操作に応じて、制御部201がプログラムを起動してからの処理を示している。
A401において、位置推定部301は、撮像部204によって撮像されたチェックインパネル110の二次元コードの形状から、チェックインパネル110と携帯端末装置100との位置関係を求め、緯度、経度の座標及び携帯端末装置100の向いている方向の情報を得て、スタート位置を決定する。
【0017】
A402において、位置推定部301は、慣性計測ユニット205で計測された計測値に基づき携帯端末装置100の位置を推定する。より具体的に説明すると、位置推定部301は、学習済みのニューラルネットワークに計測値を入力し、学習済みのニューラルネットワークから出力された携帯端末装置100のユーザの移動距離及び角度の単位時間あたりの変化量に基づき携帯端末装置100の位置を推定する。ここで計測値とは、加速度、角速度、地磁気である。
【0018】
A403において、出力部302は、位置推定部301の位置の推定の結果に基づき、携帯端末装置100が定められた位置の近傍にいるか否かを判定する。定められた位置とは、エリア内において予め定められた位置であり、例えば、ある市内の建造物等が存在する場所であったり、博物館の中の展示物の前であったり、ある地域における寺院を巡る複数のコースの分岐点、又は寺院の前であったりする。また、定められた位置の近傍とは、定められた位置を中心として所定の距離離れた範囲内のことである。所定の距離とは、例えば、1mである。出力部302は、定められた位置に来たと判定した場合、処理をA404に進める。出力部302は、定められた位置に来ていないと判定した場合、A403の処理を繰り返す。
【0019】
A404において、出力部302は、定められた位置に関連するデータを出力する。位置に関連するデータは、画像データ及び音声データの何れか又は双方であってもよい。画像データの場合、携帯端末装置100の入力表示部203に表示される。図5は、入力表示部203に表示された画像データの一例を示す図である。また、音声データの場合、携帯端末装置100の音声出力部208から図5に示したような内容が音声にて出力される。なお、より具体的に説明すると、音声以外の効果音、自然環境音も含むオーディオデータが出力される。ここで、出力される、位置に関連するデータがオーディオデータの場合、出力部302は、携帯端末装置100と説明対象物(図5の例では○○小学校)との位置関係により音像定位を動的に変えるようにしてもよい。このような構成とすることによって、ユーザは、出力がどの位置に存在する説明対象物に関してであるかを認知感覚的に把握することができる。また、出力される、位置に関連するデータがオーディオデータの場合、出力部302は、マイクから入力されたユーザの周辺環境音の雑音周波数帯域により出力音像の基本周波数を動的に変えるようにしてもよい。このような構成とすることによって、出力音像に対しユーザの意識の注意をより高い確度で喚起することができる。
【0020】
予め定めれた位置の情報(経度及び緯度情報)と、位置に関連する出力対象データと、を含む入出力データは、携帯端末装置100に記憶されていてもよいし、携帯端末装置100と通信可能な他の装置(例えば、サーバ)に記憶されていてもよい。入出力データがサーバに記憶されている場合、A404において、出力部302は、位置推定部301で推定された位置を検索キーとしてサーバに対して、対応する出力対象データの取得要求を送信し、サーバより出力対象データを取得し、出力する。なお、入出力データを携帯端末装置100にダウンロードする構成とすれば、電波が届かないところでも位置に応じた音声等を出力することができる。
【0021】
上述したように、携帯端末装置100は、スタート位置を特定し、携帯端末装置100の慣性計測ユニット205で計測された計測値と、スタート位置と、から携帯端末装置100の位置を推定し、携帯端末装置100の位置が予め指定された位置に来た場合、指定された位置に応じたデータを出力する。
屋外か、屋内かに関わらず、かつ、ビーコン、NFC等の複数の装置を使わずとも、携帯端末装置100による自律航法によって携帯端末装置100の位置を推定し、位置に応じた音声データ等を出力することができる。また、入出力データを携帯端末装置100にダウンロードする構成にすれば、電波の有無に関わらず、携帯端末装置100の位置が予め定められた位置に来た場合、指定された位置に応じた音声データ等を出力することができる。
なお、携帯端末装置100は、ユーザによって携帯されデータを出力することができる装置であればどのようなものであってもよい。携帯端末装置100の例としては、スマートフォン、ダブレット型コンピュータ、ウェアラブルデバイス等がある。
【0022】
<変形例1>
図6は、変形例1の携帯端末装置100の機能構成の一例を示す図である。携帯端末装置100は、機能構成として、位置推定部301と、出力部302と、属性推定部601と、を含む。
属性推定部601は、音声入力部207を介して入力された携帯端末装置100のユーザの音声データに基づきユーザの属性を推定する。音声入力部207の一例としてはマイクがある。より具体的に説明すると、属性推定部601は、音声データに基づきユーザが発話中か否かを判定し、ユーザが発話中であると判定した場合、音声データに基づきユーザの属性を推定する。属性推定部601は、音声入力部207から入力される音声データに基づきユーザが発話中か否か出力する学習済みのニューラルネットワークに、音声入力部207から入力される音声データを入力し、出力された値に基づき、ユーザが発話中か否かを判定する。ユーザが発話中であると判定した場合、属性推定部601は、ユーザの属性を推定する。ユーザの属性には、ユーザの使用言語、ユーザの年齢層、ユーザの性別、ユーザの教養のレベル等が含まれる。
【0023】
変形例1の出力部302は、位置推定部301で推定された位置と、属性推定部601で推定された属性と、に基づき、出力するデータを変更する。すなわち、変形例1では、入出力データには、予め定めれた位置の情報と、属性と、その属性の人に対して出力したい、位置に関連する出力対象データと、が入出力データとして用いられる。例えば、出力部302は、位置推定部301で推定された位置と、属性推定部601で推定された属性と、に基づき、予め定められた位置の近傍に存在する案内対象物の説明を変更したデータを出力する。図1を例に説明を行うと、文化財120の近傍に到達したユーザの属性が、日本語、6歳-8歳であると推定された場合、出力部302は、小学校低学年用の、小学校低学年が理解できる水準で、かつ、日本語で説明を行うデータを出力する。一方、文化財120の近傍に到達したユーザの属性が、日本語、15歳-18歳であると推定された場合、出力部302は、高校生用の、高校生が理解できる水準で、かつ、日本語で説明を行うデータを出力する。
【0024】
出力部302は、位置推定部301で推定された位置と、属性推定部601で推定された属性と、ユーザの過去の行動履歴(例えばどのコンテンツをどれだけ再生させたか、どこに行ったか)と、に基づき、動的に出力内容を変更する。
例えば、植物園のある植物の前で停止したユーザの属性が、50代、男性であると推定された場合、出力部302は、植物園の中でも植栽やガーデニングに関する情報を出力する。一方、ユーザの属性が、20代、女性であると推定された場合、出力部302は、花言葉にまつわるトピックなど若者向けのポピュラーな話題を出力する。
【0025】
<変形例2>
図7は、変形例2の携帯端末装置100の機能構成の一例を示す図である。携帯端末装置100は、機能構成として、位置推定部301と、日時情報取得部901と、出力部302と、を含む。日時情報取得部901は、日時情報を取得する。日時情報取得部901は、携帯端末装置100のリアルタイムクロック(不図示)より日時情報を取得してもよいし、通信可能な他の装置から日時情報を取得してもよい。変形例2の出力部302は、位置推定部301で推定された位置と、日時情報取得部901で取得された日時情報と、に基づき、出力するデータを変更する。すなわち、変形例2では、入出力データには、予め定めれた位置の情報と、日時と、その日時に出力したい、位置に関連する出力対象データと、が入出力データとして用いられる。
出力部302は、位置推定部301で推定された位置と、日時情報取得部901で取得された日時と、に基づき、予め定められた位置から所定範囲内で実施されるショーの開催を知らせるデータを出力する。例えば、出力部302は、水族館において、ある時間になると同じ博物エリアの別の部屋にあるアシカショーの開始を予告するコンテンツを出力したり、又は、その場所までの移動を誘導する何らかの情報を出力したりする。
【0026】
変形例2によれば、携帯端末装置100は、携帯端末装置100の位置に応じたデータを出力する際に、日時情報に基づき日時に適したデータを出力することができる。
【0027】
<変形例3>
図8は、変形例3の携帯端末装置100の機能構成の一例を示す図である。携帯端末装置100は、機能構成として、位置推定部301と、訪問回数取得部1001と、出力部302と、を含む。変形例3の出力部302は、定められた位置においてデータを出力した際に、その位置に関連付けて訪問回数を記憶する。訪問回数の記憶先は、記憶部202であってもよいし、ネットワークを介して通信可能な他の装置(例えば、サーバ)であってもよい。出力部302によって、位置推定部301の位置の推定の結果に基づき、携帯端末装置100が定められた位置の近傍にいると判定された場合、訪問回数取得部1001は、位置推定部301で推定された位置に訪れた訪問回数を取得する。出力部302は、位置推定部301で推定された位置と、その位置に訪れた訪問回数と、に基づき、出力するデータを変更する。すなわち、変形例3では、入出力データには、予め定めれた位置の情報と、回数と、回数に応じて出力したい、位置に関連する出力対象データと、が入出力データとして用いられる。出力部302は、位置推定部301で推定された位置と、訪問回数取得部1001で取得されたその位置の訪問回数と、に基づき、その位置の周辺の施設の説明の水準を、訪れた回数が多いほど高くなるようにデータを出力する。
【0028】
変形例3によれば、携帯端末装置100は、携帯端末装置100の位置に応じたデータを出力する際に、その場所に訪れた回数に応じたデータを出力することができる。
【0029】
<その他の変形例>
その他の変形例として、携帯端末装置100は、音声入力部207を介して入力された音声データに基づき、携帯端末装置100が置かれている環境を推定し、推定された位置と、推定された環境と、に基づき、出力するデータを変更するようにしてもよい。携帯端末装置100が置かれている環境とは、例えば、室内、室外等がある。携帯端末装置100は、室内では音声データを標準の音量よりも少し下げた音量で出力する。一方、携帯端末装置100は、室外では音声データを標準の音量よりも少し上げた音量で出力する。
またその他の変形例として、携帯端末装置100は、音声入力部207を介して入力された音声データに基づき、携帯端末装置100のユーザの状態を推定し、推定された位置と、推定された状態と、に基づき、出力するデータを変更するようにしてもよい。携帯端末装置100のユーザの状態とは、例えば、歩行中、会話中、食事中等がある。携帯端末装置100は、食事中の場合、データを出力しないようにし、会話中の場合は、標準の音量よりも少し上げた音量で出力し、歩行中の場合、少し立ち止まってもらうアナウンスを流した後、データを出力する。
【0030】
<付記>
次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記携帯端末装置において、属性推定部を有し、前記属性推定部は、前記携帯端末装置のマイクから入力されたユーザの音声データに基づき前記ユーザの属性を推定し、前記出力部は、前記位置推定部で推定された位置と、前記属性推定部で推定された属性と、に基づき、出力するデータを決定する、携帯端末装置。
前記携帯端末装置において、前記属性推定部は、前記音声データに基づき前記ユーザが発話中か否かを判定し、前記ユーザが発話中であると判定した場合、前記音声データに基づき前記ユーザの属性を推定する、携帯端末装置。
前記携帯端末装置において、前記出力部は、前記位置推定部で推定された位置と、前記属性推定部で推定された属性と、に基づき、前記位置の近傍に存在する案内対象物の説明を変更したデータを出力する、携帯端末装置。
前記携帯端末装置において、前記属性には、前記ユーザの教養のレベルが含まれる、携帯端末装置。
前記携帯端末装置において、前記属性には、前記ユーザの使用言語が含まれる、携帯端末装置。
前記携帯端末装置において、前記属性には、前記ユーザの年齢層が含まれる、携帯端末装置。
前記携帯端末装置において、前記属性には、前記ユーザの性別が含まれる、携帯端末装置。
前記携帯端末装置において、前記位置に関連して出力されるデータは音声データである、携帯端末装置。
前記携帯端末装置において、前記位置に関連して出力されるデータは画像データである、携帯端末装置。
前記携帯端末装置において、前記計測値は、加速度と、角速度と、地磁気と、である、携帯端末装置。
前記携帯端末装置において、日時情報取得部を有し、前記日時情報取得部は、日時情報を取得し、前記出力部は、前記位置推定部で推定された位置と、前記日時情報と、に基づき、前記位置に関連するデータを変更して出力する、携帯端末装置。
前記携帯端末装置において、訪問回数取得部を有し、前記訪問回数取得部は、前記位置推定部で推定された位置に訪れた回数を取得し、前記出力部は、前記位置推定部で推定された位置と、前記回数と、に基づき、前記位置に関連するデータを変更して出力する、携帯端末装置。
前記携帯端末装置において、前記出力部は、ユーザがこれまでに再生したデータの時間情報と、前記位置推定部で推定された位置と、に基づき、前記位置に関連するデータを出力する、携帯端末装置。
前記携帯端末装置において、前記出力部は、前記携帯端末装置と説明対象物との位置関係により音像定位を動的に変える、携帯端末装置。
前記携帯端末装置において、前記出力部は、ユーザの周辺環境音の雑音周波数帯域により出力音像の基本周波数を動的に変える、携帯端末装置。
携帯端末装置が実行する情報処理方法であって、位置推定工程と、出力工程と、を有し、前記位置推定工程では、前記携帯端末装置の慣性計測ユニットで計測された計測値を、学習済みのニューラルネットワークに入力し、前記学習済みのニューラルネットワークから出力された移動経路を導くための情報に基づき前記携帯端末装置の位置を推定し、前記学習済みのニューラルネットワークは、前記慣性計測ユニットで計測された計測値と、ユーザの移動情報と、に基づき学習されたニューラルネットワークであり、前記出力工程では、前記位置推定工程で推定された位置に基づき前記位置に関連するデータを出力する、情報処理方法。
携帯端末装置が実行する情報処理方法であって、第1の工程と、第2の工程と、第3の工程と、含み、前記第1の工程では、スタート位置を決定し、前記第2の工程では、前記携帯端末装置の慣性計測ユニットで計測された計測値を、学習済みのニューラルネットワークに入力し、前記学習済みのニューラルネットワークから出力された移動経路を導くための情報と、前記スタート位置と、から前記携帯端末装置の位置を推定し、前記学習済みのニューラルネットワークは、前記慣性計測ユニットで計測された計測値と、ユーザの移動情報と、に基づき学習されたニューラルネットワークであり、前記位置が指定された位置に来た場合、前記第3の工程では、前記指定された位置に応じたデータを出力する、情報処理方法。
プログラムであって、コンピュータを前記携帯端末装置の各部として機能させるためのプログラム。
もちろん、この限りではない。
【0031】
例えば、上述のプログラムを記憶する、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体として提供してもよい。
また、上述した実施形態及び変形例を任意に組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0032】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態及びその変形は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0033】
100 :携帯端末装置
110 :チェックインパネル
120 :文化財
201 :制御部
202 :記憶部
203 :入力表示部
204 :撮像部
205 :慣性計測ユニット
206 :通信部
207 :音声入力部
208 :音声出力部
301 :位置推定部
302 :出力部
601 :属性推定部
901 :日時情報取得部
1000 :情報処理システム
1001 :訪問回数取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8