IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社神戸マイスターの特許一覧 ▶ 株式会社IDクリエイトの特許一覧

<>
  • 特開-保護フィルム 図1
  • 特開-保護フィルム 図2
  • 特開-保護フィルム 図3
  • 特開-保護フィルム 図4
  • 特開-保護フィルム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042850
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】保護フィルム
(51)【国際特許分類】
   G02C 9/00 20060101AFI20220308BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20220308BHJP
【FI】
G02C9/00
G02B1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148476
(22)【出願日】2020-09-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)株式会社神戸マイスターが、令和2年6月17日及び同年7月8日に同社の大阪府大阪市住之江区南港北2-1-10、株式会社神戸マイスター大阪営業所から、大阪府内の消防本部に販売したサンプル製品の写真。 (2)同、令和2年7月以降、大阪府、奈良県、広島県の消防や販売店に配布したサンプル製品に添付したカタログ。
(71)【出願人】
【識別番号】520340293
【氏名又は名称】株式会社神戸マイスター
(71)【出願人】
【識別番号】514096339
【氏名又は名称】株式会社IDクリエイト
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】蔭山佑太
【テーマコード(参考)】
2K009
【Fターム(参考)】
2K009AA15
2K009BB11
2K009EE02
2K009EE05
(57)【要約】
【課題】光学物品のレンズ面に、しわを入れずに貼り付けることができる保護フィルムを提供する。
【解決手段】光学物品のレンズ面に貼り付けるための保護フィルム1であって、縦方向、横方向、斜め方向、円状、直線的及び曲線的なカットスリット2a-2gから選ばれる少なくとも一つのカットスリットを入れている。前記カットスリットは、眼球に相当する領域を外して入れるのが好ましく、カットスリットの先端部は膨出形(先端膨張部3)であるのが好ましい。保護フィルム1の一方の面は粘着面であり、他方の面は防曇性面及び/又はハードコート面等の機能性面であるのが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学物品のレンズ面に貼り付けるための保護フィルムであって、
縦方向、横方向、斜め方向、円状、直線的及び曲線的なカットスリットから選ばれる少なくとも一つカットスリットを入れたことを特徴とする保護フィルム。
【請求項2】
前記保護フィルムのカットスリットは、眼球に相当する領域を外して入れてある請求項1に記載の保護フィルム。
【請求項3】
前記カットスリットの先端部は膨出形である請求項1又は2に記載の保護フィルム。
【請求項4】
前記カットスリットのスリット幅は0.1~10mmである請求項1~3のいずれか1項に記載の保護フィルム。
【請求項5】
前記カットスリットは、中心部から周縁部に向かってその幅を広くしている請求項1~4のいずれか1項に記載の保護フィルム。
【請求項6】
前記保護フィルムの一方の面は粘着面であり、他方の面は防曇性面、ハードコート面、抗菌面及び/又は抗ウイルス面、防指紋面、防汚面に代表される機能層を有している請求項1~5のいずれか1項に記載の保護フィルム。
【請求項7】
前記保護フィルムは、厚さ10~500μmの合成樹脂フィルム製である請求項1~6のいずれか1項に記載の保護フィルム。
【請求項8】
前記光学物品は、作業用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、医療用ゴーグル、防塵用ゴーグル又は水中用ゴーグル、感染症対策用メガネ、花粉症対策用メガネ、医療用メガネ、作業用メガネ等がある。度付きメガネ、近眼用メガネ、老眼用メガネ、乱視用メガネ、一般用メガネ、矯正なしメガネ、サングラスである請求項1~7のいずれか1項に記載の保護フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学物品の視野面、例えばゴーグル、保護メガネ、ヘルメットのバイザー、メガネ、アイウェア全般のレンズ面に貼り付けるための保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴーグル又は保護メガネ、ヘルメットのバイザー、メガネ、アイウェア全般等の光学物品のレンズ面には、もともとハードコート面及び防曇性面が施されて製品化されているものもある。ハードコート面は耐擦過性のためであり、防曇性は曇り止めのためである。ところが、使用している間に防曇性が無くなったり、小さな擦過傷が入ることがある。とくに業務用作業ゴーグル又は保護メガネの場合は、使用後の殺菌、洗浄などで、ハードコート性も防曇性も低下する問題があった。このため、これらの機能を有する保護フィルムを貼り付ける試みもあったが、レンズ面が球面であったり、湾曲になっているものが多く、単なる保護フィルムを貼り付けると、しわが入ってしまう問題がある。しわが入ると視野対象物は歪んでしまい、ゴーグル又は保護メガネとして機能しなくなる。特許文献1には、レンズ(光学フィルム)を取替可能にすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-123762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来技術は、レンズ(光学フィルム)を取替可能にした特殊な構造のゴーグルが必要であり、汎用性がないという問題がある。
【0005】
本発明は前記従来の問題を解決するため、光学物品のレンズ面に、しわを入れずに貼り付けることができる保護フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の保護フィルムは、光学物品のレンズ面に貼り付けるための保護フィルムであって、 縦方向、横方向、斜め方向、円状、直線的及び曲線的なカットスリットから選ばれる少なくとも一つのカットスリットを入れたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の保護フィルムは、縦方向、横方向、斜め方向、円状、直線的及び曲線的なカットスリットから選ばれる少なくとも一つのカットスリットを入れたことにより、光学物品のレンズ面に、しわを入れずに貼り付けることができる。ここでカットスリットとは、単なる線状のスリットではなく、幅のあるスリットを言う。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は本発明の一実施例における保護フィルムの模式的正面図である。
図2図2は同、保護フィルムをゴーグルに貼り付けた模式的正面図である。
図3図3A-Cは本発明の別の実施例における保護フィルムの模式的正面図である。
図4図4は本発明の別の実施例の保護フィルムを保護メガネに貼り付けた模式的斜視図である。
図5図5は本発明のさらに別の実施例の保護フィルムを保護メガネに貼り付けた模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の保護フィルムは、ゴーグル、保護メガネ、ヘルメットのバイザー、メガネ、アイウェア全般等の光学物品のレンズ面に貼り付けるための保護フィルムである。使用中の光学物品であってもよい。保護フィルムは、縦方向、横方向、斜め方向、円状、直線的及び曲線的なカットスリットから選ばれる少なくとも一つのカットスリットを入れている。これにより、メガネのレンズ面に、しわを入れずに貼り付けられる。カットスリットは、縦方向、横方向、斜め方向、円状、直線、曲線を単独で入れてもよいし、組み合わせて入れてもよい。好ましくは、光学物品のレンズ面の眼球に相当する領域を外してカットスリットを入れる。このようにすると、カットスリットの部分は目の中心から外れているので焦点が合いづらく、それほど視覚に影響を与えない。
【0010】
カットスリットには幅があり、スリット幅は0.1~10mmが好ましく、より好ましくは0.5~5mmである。これにより、メガネのレンズ面に、しわを入れずに貼り付けられる。カットスリットの長さは、レンズ面の大きさにもよるが、5~50mmが好ましく、より好ましくは7~40mmである。このカットスリットは、パンチングにより押し切りするのが好ましい。例えば、トムソン刃等でダイカット(パンチング)する方が、シャープにカットすることが可能である。シャープな断面は粗度が低く、光の乱反射が抑えられるため、カット面が目立ちにくくなる。
【0011】
スリットは縦スリットが好ましい。太陽光、照明のいずれの場合でも光源は頭上にあることが多い。横スリットは、頭上から垂直に降りてくる光を遮る方向となり、端面の反射が大きくなることから、端面が白く光りやすくなり、視界の邪魔になることがある。縦スリットは、頭上から垂直に降りてくる光を遮りにくいので、端面による反射が起きにくく、端面が白く光ることを抑え、視界の邪魔になりにくい。
【0012】
カットスリットは、保護フィルムの上方及び下方から1本又は複数本、縦方向に入れられていてもよい。前記カットスリットの先端部は膨出形であるのが好ましい。このような形状であると、メガネのレンズ面の眼球に相当する領域に発生しやすいしわを、前記膨出形部分で吸収でき、全体としてしわが発生せず、良好な状態で貼り付けられる。前記において、膨出形は、スリット幅に対して0.1mm以上大きい幅になっていることが望ましく、円形、角を取った星型、オーバル、水滴型等であってもよい。
【0013】
保護フィルムの一方の面は粘着面であり、他方の面は防曇性面、ハードコート面、抗菌面及び/又は抗ウイルス面、防指紋面、防汚面等の機能性表面であるのが好ましい。粘着面はレンズ面に貼り付けるために必要である。他方の面が防曇性面及び/又はハードコート面であると、レンズ面にもともと付与されていたハードコート機能及び/又は防曇性機能と同等の機能となり、使い勝手が良くなる。前記ハードコート面は鉛筆硬度で1H~9Hが好ましい。また、前記機能が低下したら前記保護フィルムは剥がし、新規保護フィルムを貼り付けることができる。粘着剤は一例として、シリコーン樹脂系のものが市販されており、これを使用できる。
【0014】
防曇加工は、一例としてポリビニルアルコール系、ポリビニルピロリドン系などの親水性樹脂を、架橋剤とともに約0.5~50μm程度の膜厚で付与する。ハードコートの一例は、シラン系、エポキシ系などの熱硬化型ハードコート、アクリル系、エポキシ系などの活性光線硬化型ハードコートなどのタイプのハードコートが含まれ、約0.5~50μm程度の膜厚にするが、密着性向上などを目的に、アクリレート系などのプライマーコート層をコートした上にハードコート層を付与することもできる。ハードコートの上に防曇性塗材をコーティングする加工、ハードコート塗材と防曇性塗材を混合してコーティングする加工も可能である。これらの保護フィルムは市販品されており、これを使用できる。
【0015】
保護フィルムは、合成樹脂フィルム製が好ましく、このような合成樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムがある。厚さは10~500μmが好ましく、より好ましくは50~200μmである。
【0016】
本発明の保護フィルムは、作業用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、医療用ゴーグル、防塵用ゴーグル又は水中用ゴーグル等がある。保護メガネは、感染症対策用メガネ、花粉症対策用メガネ、医療用メガネ、作業用メガネ等がある。度付きメガネ(近眼用メガネ、老眼用メガネ、乱視用メガネ等の一般用メガネ)、矯正なしメガネ、サングラス等の光学物品にも適用できる。
【0017】
保護フィルムは透明であるのが好ましい。透明であれば、使用中のレンズの状態を維持できる。着色するのは任意である。
【実施例0018】
以下実施例を用いて説明する。本発明は実施例に限定されるものではない。以下の図面において、同一符号は同一物を示す。
(実施例1)
図1は本発明の一実施例における保護フィルム1の模式的正面図である。この保護フィルム1は、眼球に相当する領域を外して、縦方向にカットスリット2a-2gが入っており、各カットスリットの先端部は膨出形(先端膨張部3)である。カット幅は2mmで、先端膨張部3までの長さはカットスリット2a-2cが10mm、カットスリット2d-2gは約15mmとした。カットスリット2bは中心の位置合わせマークとしての機能もある。素材は厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(無色透明品)とし、1方の面にはシリコーン樹脂系粘着剤がコーティングされ、他方の面には防曇性ハードコート塗材がコートされている。このフィルムは市販品を用いた。
カットスリットはフィルム端面からフィルムの中心に向かって切り込みを入れているが、フィルム中心から端面に向かってカットスリットの幅は広くしている。この理由は、レンズ面が曲面になっているためである。カットスリット幅が同一であると、フィルム端面のスリットが重なってしまう場合がある。曲面に沿ってフィルムがカーブしていくので、フィルム同士がぶつかってしまう。これを避けるために、中心から端面に向かってスリット幅は広くしていき、フィルムがぶつからないようにしている。カットスリット幅はフィルム中心から端面に向かって、その幅を1%~500%広くすることが好ましく、より好ましくは5%~200%である。
【0019】
図2は使用済みで防曇性が低下したゴーグル4のレンズ面5の内面(眼球側)に、前記保護フィルム1を貼り付けた模式的正面図である。保護フィルム1はしわが入らずにレンズ面5の内面(眼球側)に貼り付けることができた。
実際に着用して重作業をしたところ、新品と同様の良好な防曇性があり、視界を妨げることもなかった。
ゴーグルレンズ面よりも保護フィルムを小さくしているのは、以下の理由からである。
(1)人によって黒目の位置はバラバラなので、フィルムの貼り位置の自由度を上げるため。
(2)市販のゴーグルには様々なデザインがあり、汎用性を高めるため。
【0020】
(実施例2)
図3Aは、保護フィルム6に縦方向に8本のカットスリット7a-7hを入れた模式的正面図である。カットスリット7a-7hの先端には先端膨張部3を形成した。この保護フィルム6を保護メガネ12に貼り付けた模式的斜視図を図4に示す。この保護メガネ12は感染症対策用メガネ又は花粉症対策用メガネである。実施例1と同様に保護フィルム6にはしわが入らず、着用試験も良好であった。
【0021】
(実施例3)
図3Bは、保護フィルム8に横方向に4本のカットスリット9a-9dを入れた模式的正面図である。カットスリット9a-9dの先端には先端膨張部3を形成した。この保護フィルム8を保護メガネ13に貼り付けた模式的斜視図を図5に示す。実施例1と同様に保護フィルム8にはしわが入らず、着用試験も良好であった。
【0022】
(実施例4)
図3Cは、保護フィルム10に円状に6本のカットスリット11a-11fを入れた模式的正面図である。カットスリット11a-11dはメガネの正面図から見て外側に開口部を開け、ここからカットスリットを入れている。カットスリット11e-11fは開放端のないスリットである。各カットスリットの先端には先端膨張部3を形成した。この保護フィルム10を保護メガネに貼り付けたところ(図示せず)、実施例1と同様に保護フィルム10にはしわが入らず、着用試験も良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の保護フィルムは、作業用ゴーグル、スポーツ用ゴーグル、医療用ゴーグル、防塵用ゴーグル又は水中用ゴーグル等がある。保護メガネは、感染症対策用メガネ、花粉症対策用メガネ、医療用メガネ、作業用メガネ等がある。度付きメガネ(近眼用メガネ、老眼用メガネ、乱視用メガネ等の一般用メガネ)、矯正なしメガネ、サングラス等の光学物品にも適用できる。
【符号の説明】
【0024】
1,6,8,10 保護フィルム
2a-2g,7a-7h 縦方向カットスリット
3 先端膨張部
4 ゴーグル
5 レンズ面
9a-9d 横方向カットスリット
11a-11f 円状カットスリット
12,13 保護メガネ
図1
図2
図3
図4
図5