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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042878
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】バッテリ収容構造及びカメラ装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/20 20210101AFI20220308BHJP
   G03B 19/02 20210101ALI20220308BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20220308BHJP
【FI】
H01M2/10 E
H01M2/10 U
G03B19/02
G03B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148532
(22)【出願日】2020-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109896
【弁理士】
【氏名又は名称】森 友宏
(72)【発明者】
【氏名】平林 浩一
【テーマコード(参考)】
2H054
2H100
5H040
【Fターム(参考)】
2H054AA07
2H100DD03
2H100DD04
5H040AA14
5H040AS15
5H040AY02
5H040CC02
5H040CC03
5H040CC13
5H040CC15
5H040CC36
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スライド式と回転式のどちらの取付方法でもバッテリカバーを外部ケーシングに取り付け可能なバッテリ収容構造の提供。
【解決手段】バッテリカバー7が、外部ケーシングの縁部と第1の方おいて隣接する第1の隣接部と、第1の隣接部51から第1の方向に延出する延出部73と、延出部から第1の方向に垂直な第2の方向に突出する第1の係合突起と、外部ケーシングの縁部と第2の方向において隣接する第2の隣接部53と、第2の隣接部から第1の方向に突出する第2の係合突起75であって、第1の方向に沿って延びる摺接面75Bを有する第2の係合突起とを備え、第1及び第2の係合突起は、バッテリカバーの弾性変形により、それぞれ第2の方向及び第1の方向に移動可能に構成され、外部ケーシングは、バッテリカバーの第1の係合突起及び第2の係合突起とそれぞれ係合可能な第1の係合片及び第2の係合片と、ガイド面とを有するバッテリ収容構造。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを収容するためのバッテリ収容部と、前記バッテリ収容部にアクセスするための開口が形成された外部ケーシングと、前記外部ケーシングの前記開口を塞ぐように前記外部ケーシングに取り付けられるバッテリカバーとを含むバッテリ収容構造であって、
前記バッテリカバーは、
前記開口を規定する前記外部ケーシングの縁部と第1の方向において隣接する第1の隣接部と、
前記第1の隣接部から前記第1の方向に延出する延出部と、
前記延出部から前記第1の方向に垂直な第2の方向に突出する第1の係合突起と、
前記開口を規定する前記外部ケーシングの縁部と前記第2の方向において隣接する第2の隣接部と、
前記第2の隣接部から前記第1の方向に突出する第2の係合突起であって、前記第1の方向に沿って延びる摺接面を有する第2の係合突起と
を備え、
前記第1の係合突起は、前記バッテリカバーの弾性変形により前記第2の方向に移動可能に構成され、
前記第2の係合突起は、前記バッテリカバーの弾性変形により前記第1の方向に移動可能に構成され、
前記外部ケーシングは、
前記バッテリカバーの前記第1の係合突起と係合可能な第1の係合片と、
前記バッテリカバーの前記摺接面をガイドするガイド面と、
前記バッテリカバーの前記第2の係合突起と係合可能な第2の係合片と
を有する、
バッテリ収容構造。
【請求項2】
前記バッテリカバーの前記第1の係合突起は、前記第2の方向に対して前記第1の隣接部側に傾いた第1の傾斜面を有する、請求項1に記載のバッテリ収容構造。
【請求項3】
前記外部ケーシングの前記第1の係合片は、前記バッテリカバーの前記第1の係合突起の前記第1の傾斜面に当接可能な第2の傾斜面を有する、請求項2に記載のバッテリ収容構造。
【請求項4】
前記バッテリカバーの前記第2の係合突起は、前記第2の方向に対して前記第2の隣接部側に傾いた第3の傾斜面を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリ収容構造。
【請求項5】
前記外部ケーシングの前記第2の係合片は、前記バッテリカバーの前記第2の隣接部を支持するリブの一部により構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリ収容構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリ収容構造と、
前記外部ケーシングの内部に収容されるレンズユニットと
を備える、カメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ収容構造及びカメラ装置に係り、特に外部ケーシングにバッテリカバーを着脱可能に取り付けたバッテリ収容構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラをはじめとする電子機器には電気回路が内蔵されているが、この電気回路を作動させるための電源としてバッテリ(電池)が使用されることが多い。このようなバッテリを交換可能とするために、電子機器のケーシングにバッテリカバーを着脱可能に取り付けることが一般的である(例えば、特許文献1参照)。このバッテリカバーを必要に応じて取り外すことで、古くなったバッテリをバッテリ収容部から取り出して新しいバッテリと交換することが可能になる。
【0003】
ケーシングにバッテリカバーを着脱可能に取り付ける構造としては、(1)バッテリカバーをケーシングのガイド面に沿って1方向にスライドさせてバッテリカバーをケーシングに係合させるもの(以下、このような取付方法を「スライド式」という)と、(2)バッテリカバーの一方の端部に形成された爪をケーシングの係合部に係合させた状態で当該係合部を中心にバッテリカバーを回転させてバッテリカバーの他方の端部をケーシングに係合させるもの(以下、このような取付方法を「回転式」という)が知られている。
【0004】
従来からこのようなスライド式のバッテリ収容構造と回転式のバッテリ収容構造とが広く流通している。このため、例えばスライド式のバッテリ収容構造であるのにユーザが回転式のバッテリ収容構造と誤って認識し、バッテリカバーを回転させて使用してしまうことや、回転式のバッテリ収容構造であるのにユーザがスライド式のバッテリ収容構造と誤って認識し、バッテリカバーをスライドさせて使用してしまうことも多くなってきている。このように本来とは異なる取付方法でバッテリカバーを取り付けようとすると、バッテリカバーとケーシングとの間で干渉が生じるため、バッテリカバーやケーシングが破損してしまうことも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-216490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、スライド式と回転式のどちらの取付方法によっても部材を破損させることなくバッテリカバーを外部ケーシングに取り付けることが可能なバッテリ収容構造及びそのようなバッテリ収容構造を有するカメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、スライド式と回転式のどちらの取付方法でも部材を破損させることなくバッテリカバーを外部ケーシングに取り付けることが可能なバッテリ収容構造が提供される。このバッテリ収容構造は、バッテリを収容するためのバッテリ収容部と、上記バッテリ収容部にアクセスするための開口が形成された外部ケーシングと、上記外部ケーシングの上記開口を塞ぐように上記外部ケーシングに取り付けられるバッテリカバーとを含んでいる。上記バッテリカバーは、上記開口を規定する上記外部ケーシングの縁部と第1の方向において隣接する第1の隣接部と、上記第1の隣接部から上記第1の方向に延出する延出部と、上記延出部から上記第1の方向に垂直な第2の方向に突出する第1の係合突起と、上記開口を規定する上記外部ケーシングの縁部と上記第2の方向において隣接する第2の隣接部と、上記第2の隣接部から上記第1の方向に突出する第2の係合突起であって、上記第1の方向に沿って延びる摺接面を有する第2の係合突起とを備える。上記第1の係合突起は、上記バッテリカバーの弾性変形により上記第2の方向に移動可能に構成される。上記第2の係合突起は、上記バッテリカバーの弾性変形により上記第1の方向に移動可能に構成される。上記外部ケーシングは、上記バッテリカバーの上記第1の係合突起と係合可能な第1の係合片と、上記バッテリカバーの上記摺接面をガイドするガイド面と、上記バッテリカバーの上記第2の係合突起と係合可能な第2の係合片とを有する。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、上述したバッテリ収容構造と、上記外部ケーシングの内部に収容されるレンズユニットとを備えるカメラ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態におけるバッテリ収容構造を含むカメラ装置を示す前方斜視図である。
図2図2は、図1に示すカメラ装置の後方斜視図である。
図3図3は、図2に示すカメラ装置のバッテリカバーを取り外した状態を示す部分拡大斜視図である。
図4図4は、図3に示すバッテリ収容構造の背面図である。
図5図5は、図3に示すバッテリ収容構造の左側面図である。
図6図6は、図2に示すバッテリカバーの斜視図である。
図7図7は、図6に示すバッテリカバーの平面図である。
図8図8は、図6に示すバッテリカバーの正面図である。
図9図9は、図6に示すバッテリカバーの右側面図である。
図10A図10Aは、図8のA-A線に沿った断面図である。
図10B図10Bは、図8のB-B線に沿った断面図である。
図11A図11Aは、図4のC-C線断面図である。
図11B図11Bは、図4のD-D線断面図である。
図12A図12Aは、図2に示す状態におけるカメラ装置の部分拡大断面図であり、図10A及び図11AのA-A線断面図に対応するものである。
図12B図12Bは、図2に示す状態におけるカメラ装置の部分拡大断面図であり、図10B及び図11BのB-B線断面図に対応するものである。
図13A図13Aは、図2に示すカメラ装置においてスライド式の取付方法によりバッテリカバーをリアカバーに取り付ける手順を説明するための部分拡大断面図であり、図12Aの断面図に対応するものである。
図13B図13Bは、図2に示すカメラ装置においてスライド式の取付方法によりバッテリカバーをリアカバーに取り付ける手順を説明するための部分拡大断面図であり、図12Bの断面図に対応するものである。
図14A図14Aは、図2に示すカメラ装置において回転式の取付方法によりバッテリカバーをリアカバーに取り付ける手順を説明するための部分拡大断面図であり、図12Aの断面図に対応するものである。
図14B図14Bは、図2に示すカメラ装置において回転式の取付方法によりバッテリカバーをリアカバーに取り付ける手順を説明するための部分拡大断面図であり、図12Bの断面図に対応するものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るバッテリ収容構造の実施形態について図1から図14Bを参照して詳細に説明する。図1から図14Bにおいて、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図14Bにおいては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態におけるバッテリ収容構造を含むカメラ装置1を示す前方斜視図、図2は後方斜視図である。以下の実施形態では、本発明に係るバッテリ収容構造を備えた電子機器の例としてカメラ装置を説明するが、本発明に係るバッテリ収容構造は、カメラ装置以外の電子機器にも適用できることは言うまでもない。また、本実施形態におけるカメラ装置1は、撮影後に自動的に現像が行われる写真フィルムを用いるカメラ(インスタントカメラ)であるが、本発明はこのようなインスタントカメラ以外のカメラ装置にも適用できることは言うまでもない。
【0012】
図1及び図2に示すように、カメラ装置1は、フロントカバー2と、フロントカバー2の後方に装着されるリアカバー3と、内部にレンズユニットを収容したレンズ鏡筒4とを備えている。フロントカバー2にはファインダ窓2Aが形成されており、このファインダ窓2Aに隣接してフラッシュ窓2Bが配置されている。また、ファインダ窓2Aの-Y方向側にはレリーズボタン(図示せず)が配置されている。図2に示すように、リアカバー3には、フロントカバー2に形成されたファインダ窓2Aに対応してファインダ3Aが形成されている。
【0013】
フロントカバー2とリアカバー3の上部には、フロントカバー2とリアカバー3の間でX方向に延びる排出スリット5が形成されている。この排出スリット5から撮影後に現像された写真フィルムが排出されるようになっている。排出スリット5の周囲には、外装の質感や手触りを向上させるための化粧部材6が設けられている。このような化粧部材6は、例えば合成皮革や天然皮革のような皮革材料から構成される。
【0014】
カメラ装置1には、内部の電気回路を作動させるための電源としてのバッテリ(図示せず)が収容されているが、図2に示すように、リアカバー3にはバッテリカバー7が取り付けられており、このバッテリカバー7を取り外すことにより内部に収容されたバッテリを交換できるようになっている。このようなバッテリカバー7は、弾性変形が可能な材料、例えば樹脂などにより一体成型される。
【0015】
リアカバー3は、XY平面と平行に延びる後方カバー部31と、YZ平面と平行に延びる側方カバー部32とを含んでおり、バッテリカバー7は、リアカバー3の後方カバー部31と面一となる第1のカバー部71と、リアカバー3の側方カバー部32と面一となる第2のカバー部72とを有している。バッテリカバー7の第1のカバー部71には、ユーザの指に引っ掛かってバッテリカバー7をリアカバー3に対して着脱しやすくするための突起7Aが形成されている。
【0016】
図3は、このバッテリカバー7を取り外した状態を示す部分拡大斜視図である。図3に示すように、カメラ装置1の内部には、バッテリ(図示せず)を収容するためのバッテリ収容部10が設けられており、リアカバー3には、このバッテリ収容部10にアクセスするための開口Sが形成されている。本実施形態におけるバッテリ収容構造は、バッテリ収容部10と、外部ケーシングとしてのリアカバー3と、バッテリカバー7とにより構成される。なお、図面においては、理解を容易にするために、バッテリ収容部10内の電気的接点などの図示を省略している。
【0017】
図4図3に示すバッテリ収容構造の背面図、図5は左側面図である。図3から図5に示すように、リアカバー3の開口Sは、後方カバー部31に形成された縁部33,34,35と、側方カバー部32に形成された縁部36,37,38とによって規定されている。バッテリカバー7は、これらの縁部33~38によって規定される開口Sを塞ぐようにリアカバー3に取り付けられる。
【0018】
図6はバッテリカバー7の斜視図、図7は平面図、図8は正面図、図9は右側面図である。図6から図9に示すように、バッテリカバー7の第1のカバー部71は、Z方向に薄くなったエッジ部51,52を有しており、第2のカバー部72は、Z方向に対して+X方向側に傾いた傾斜面を有するエッジ部53を有している。また、バッテリカバー7は、第1のカバー部71と第2のカバー部72との間にわたって延びる2つのリブ54を有しており、このリブ54がバッテリ収容部10内に収容されたバッテリを保持するようになっている。
【0019】
図3から図5に示すように、リアカバー3は、バッテリカバー7の第1のカバー部71のエッジ部51,52をそれぞれ支持するリブ41,42と、第2のカバー部72のエッジ部53を支持するリブ43とを有している。リアカバー3のリブ43は、第2のカバー部72のエッジ部53に対応して、Z方向に対して+X方向側に傾いた傾斜面を有している。
【0020】
バッテリカバー7がリアカバー3に取り付けられた状態においては、バッテリカバー7のエッジ部51がリアカバー3の縁部33とX方向において隣接し、バッテリカバー7のエッジ部52がリアカバー3の縁部34,35とY方向において隣接し、バッテリカバー7のエッジ部53がリアカバー3の縁部36とZ方向において隣接するようになっている。このように、バッテリカバー7のエッジ部51は、開口Sを規定するリアカバー3の縁部33とX方向(第1の方向)において隣接する第1の隣接部として機能し、バッテリカバー7のエッジ部53は、開口Sを規定するリアカバー3の縁部36とZ方向(第2の方向)において隣接する第2の隣接部として機能する。
【0021】
図10Aは、図8のA-A線に沿った断面図である。図6から図9及び図10Aに示すように、バッテリカバー7は、第1のカバー部71のエッジ部51のY方向の中央部から全体として+X方向に延びる延出部73と、延出部73から+Z方向に突出する第1の係合突起74とを有している。この第1の係合突起74は、Z方向に対してエッジ部51側(-X方向側)に傾いた(第1の)傾斜面74A(図10A参照)を有している。延出部73は、第1の係合突起74がエッジ部51よりも+Z方向側に突出しないように、エッジ部51からわずかに-Z方向に移動しつつ+X方向に延びている。
【0022】
図10Bは、図8のB-B線に沿った断面図である。図6から図9及び図10Bに示すように、バッテリカバー7は、第2のカバー部72のエッジ部53の2箇所から+X方向に突出する第2の係合突起75を有している。図10Bに示すように、この第2の係合突起75は、Z方向に対してエッジ部53側(-X方向側)に傾いた(第3の)傾斜面75Aと、XY平面と平行な摺接面75Bとを有している。
【0023】
上述したように、バッテリカバー7は、弾性変形が可能な材料、例えば樹脂などにより一体成型されているため、外力を加える箇所によっては、外力を加えた箇所の近傍が弾性変形するようになっている。本実施形態においては、バッテリカバー7の第1の係合突起74に外力を加えるとバッテリカバー7の延出部73及びその周辺が弾性変形して、バッテリカバー7の第1の係合突起74がZ方向に移動するようになっている。また、バッテリカバー7の第2の係合突起75に外力を加えるとバッテリカバー7のエッジ部53及びその周辺が弾性変形して、バッテリカバー7の第2の係合突起75がX方向に移動するようになっている。
【0024】
図11Aは、図4のA-A線断面図である。図11Aに示すように、リアカバー3の縁部33のY方向の中央部とこれに隣接するバッテリ収容部10は部分的に切り欠かれており、図3に示すような矩形状のスロット81が形成されている。このスロット81の内部にバッテリカバー7の第1の係合突起74及び延出部73を挿入できるようになっている。このスロット81内には、図11Aに示すように、バッテリカバー7の第1の係合突起74と係合可能な(第1の)係合片82が形成されている。この係合片82は、Z方向に対して-X方向側に傾いた(第2の)傾斜面82Aを有している。係合片82の+X方向側にはバッテリカバー7の第1の係合突起74を収容する空間83が形成されている。
【0025】
図11Bは、図4のB-B線断面図である。図11Bに示すように、リアカバー3のリブ43には、Y方向に沿った2箇所において凹部85が形成されている。この凹部85の内部にバッテリカバー7の第2の係合突起75を挿入できるようになっている。この凹部85の上方にはリブ43の一部を構成する枠部86が形成されており、この枠部86は、バッテリカバー7の第2の係合突起75と係合可能な第2の係合片として機能する。
【0026】
図12A及び図12Bは、リアカバー3にバッテリカバー7を取り付けた状態における断面図であり、それぞれ図10A及び図11AのA-A線断面図と図10B及び図11BのB-B線断面図に対応するものである。図12Aに示すように、リアカバー3にバッテリカバー7を取り付けた状態においては、バッテリカバー7の第1の係合突起74がX方向においてリアカバー3の係合片82に係合しており、リアカバー3がX方向に移動しないようになっている。また、この状態では、図12Bに示すように、バッテリカバー7の第2の係合突起75がZ方向においてリアカバー3のリブ43の枠部86に係合しており、バッテリカバー7がZ方向に移動しないようになっている。また、この状態では、バッテリカバー7のエッジ部52がリアカバー3の縁部34,35に当接しているため、バッテリカバー7はY方向にも移動しない。これにより、バッテリカバー7はリアカバー3の開口Sを塞いだ状態を保持することができる。
【0027】
本実施形態のバッテリ収容構造は上述したような構成を有しているため、スライド式及び回転式のどちらの取付方法でもバッテリカバー7をリアカバー3に取り付けることができる。以下、これらの取付方法について説明する。
【0028】
まず、スライド式の取付方法について説明する。スライド式の取付方法でバッテリカバー7をリアカバー3に取り付ける場合には、図13A及び図13Bに示すように、バッテリカバー7の第2の係合突起75の摺接面75Bをリアカバー3の側方カバー部32の縁部36に接触させつつ、リアカバー3の開口Sを塞ぐようにバッテリカバー7を+X方向に沿ってスライド(移動)させる。このとき、バッテリカバー7の+X方向へのスライドに伴い、図13Aに示すように、バッテリカバー7の第1の係合突起74がリアカバー3の係合片82に当接する。これにより、リアカバー3の係合片82からバッテリカバー7の第1の係合突起74に力が作用し、バッテリカバー7の延出部73及びその周辺が弾性変形して第1の係合突起74がZ方向に移動する。やがて、バッテリカバー7の第1の係合突起74がリアカバー3の係合片82を乗り越えると、バッテリカバー7の第1の係合突起74が、スロット81の内部の空間83に嵌まり込み、リアカバー3の係合片82と係合する。これにより、図12A及び図12Bに示すようにバッテリカバー7がリアカバー3に取り付けられる。
【0029】
ここで、リアカバー3の側方カバー部32の縁部36は、スライド式の取付方法によりバッテリカバー7がリアカバー3に取り付ける際に、バッテリカバー7の第2の係合突起75の摺接面75BをX方向にガイドし、バッテリカバー7のZ方向の位置決めを行うガイド面として機能する。
【0030】
また、本実施形態では、バッテリカバー7の第1の係合突起74とリアカバー3の係合片82とが互いに傾斜面74A,傾斜面82Aで当接するように構成されている。このような構成により、バッテリカバー7の第1の係合突起74とリアカバー3の係合片82との当接によりバッテリカバー7の第1の係合突起74に作用する力の変化が滑らかになる。このため、スライド式の取付方法によるリアカバー3へのバッテリカバー7の取付作業が容易になる。
【0031】
次に、回転式の取付方法について説明する。回転式の取付方法でバッテリカバー7をリアカバー3に取り付ける場合には、図14A及び図14Bに示すように、まず、バッテリカバー7の第1の係合突起74及び延出部73をスロット81に挿入して、バッテリカバー7の第1の係合突起74をリアカバー3の係合片82に係合させる。この状態で、バッテリカバー7をリアカバー3の係合片82を中心に回転させる。このとき、バッテリカバー7の回転に伴い、図14Bに示すように、バッテリカバー7の第2の係合突起75がリアカバー3のリブ43の枠部86に当接する。これにより、リアカバー3のリブ43の枠部86からバッテリカバー7の第2の係合突起75に力が作用し、バッテリカバー7のエッジ部53及びその周辺が弾性変形して第2の係合突起75がX方向に移動する。やがて、バッテリカバー7の第2の係合突起75がリアカバー3のリブ43の枠部86を乗り越えると、バッテリカバー7の第2の係合突起75が、リアカバー3のリブ43の凹部85に嵌まり込み、リアカバー3のリブ43の枠部86と係合する。これにより、図12A及び図12Bに示すようにバッテリカバー7がリアカバー3に取り付けられる。
【0032】
本実施形態では、バッテリカバー7の第2の係合突起75が傾斜面75Aでリアカバー3の枠部86に当接するように構成されている。このような構成により、バッテリカバー7の第2の係合突起75とリアカバー3の枠部86との当接によりバッテリカバー7の第2の係合突起75に作用する力の変化が滑らかになる。このため、回転式の取付方法によるリアカバー3へのバッテリカバー7の取付作業が容易になる。
【0033】
上述したように、本実施形態におけるバッテリ収容構造は、バッテリカバー7をリアカバー3に取り付ける方法としてスライド式及び回転式のいずれにも対応しているため、いずれの取付方法によりバッテリカバー7をリアカバー3に取り付けようとしてもバッテリカバー7やリアカバー3などの部材を破損させることがない。
【0034】
バッテリカバー7をリアカバー3から取り外す際は、バッテリカバー7の突起7Aを指で-Z方向に押すことで延出部73及びその周辺を弾性変形させることで、バッテリカバー7の第1の係合突起74とリアカバー3の係合片82との係合を解除し、バッテリカバー7を-X方向にスライドさせる。これによりバッテリカバー7をリアカバー3から取り外すことができる。
【0035】
上述した実施形態では、バッテリカバー7の第1の係合突起74及びリアカバー3の係合片82の数をそれぞれ1つとし、バッテリカバー7の第2の係合突起75及びリアカバー3の枠部86の数をそれぞれ2つとしているが、バッテリカバー7の第1の係合突起74、第2の係合突起75、リアカバー3の係合片82、及び枠部86の数はこれに限られるものではない。ただし、リアカバー3からのバッテリカバー7の取り外し易さの観点からは、バッテリカバー7の第1の係合突起74及びリアカバー3の係合片82の数は1つとするのが好ましい。また、バッテリカバー7をリアカバー3に安定的に保持するという観点からは、バッテリカバー7の第2の係合突起75及びリアカバー3の枠部86の数は複数とするのが好ましい。
【0036】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【0037】
以上述べたように、本発明の第1の態様によれば、スライド式と回転式のどちらの取付方法によっても部材を破損させることなくバッテリカバーを外部ケーシングに取り付けることが可能なバッテリ収容構造が提供される。このバッテリ収容構造は、バッテリを収容するためのバッテリ収容部と、上記バッテリ収容部にアクセスするための開口が形成された外部ケーシングと、上記外部ケーシングの上記開口を塞ぐように上記外部ケーシングに取り付けられるバッテリカバーとを含んでいる。上記バッテリカバーは、上記開口を規定する上記外部ケーシングの縁部と第1の方向において隣接する第1の隣接部と、上記第1の隣接部から上記第1の方向に延出する延出部と、上記延出部から上記第1の方向に垂直な第2の方向に突出する第1の係合突起と、上記開口を規定する上記外部ケーシングの縁部と上記第2の方向において隣接する第2の隣接部と、上記第2の隣接部から上記第1の方向に突出する第2の係合突起であって、上記第1の方向に沿って延びる摺接面を有する第2の係合突起とを備える。上記第1の係合突起は、上記バッテリカバーの弾性変形により上記第2の方向に移動可能に構成される。上記第2の係合突起は、上記バッテリカバーの弾性変形により上記第1の方向に移動可能に構成される。上記外部ケーシングは、上記バッテリカバーの上記第1の係合突起と係合可能な第1の係合片と、上記バッテリカバーの上記摺接面をガイドするガイド面と、上記バッテリカバーの上記第2の係合突起と係合可能な第2の係合片とを有する。
【0038】
このような構成によれば、バッテリカバーの第2の係合突起の摺接面を外部ケーシングのガイド面に接触させつつ、外部ケーシングの開口を塞ぐようにバッテリカバーを第1の方向に沿ってスライド(移動)させることにより、バッテリカバーの第1の係合突起と外部ケーシングの第1の係合片との当接によるバッテリカバーの弾性変形を利用して、スライド式の取付方法によりバッテリカバーを外部ケーシングに取り付けることができる。また、バッテリカバーの第1の係合突起を外部ケーシングの第1の係合片に係合させた状態で、バッテリカバーを外部ケーシングの第1の係合片を中心に回転させることにより、バッテリカバーの第2の係合突起と外部ケーシングの第2の係合片との当接によるバッテリカバーの弾性変形を利用して、回転式の取付方法によりバッテリカバーを外部ケーシングに取り付けることができる。このように、上記の構成によれば、スライド式と回転式のどちらの取付方法でも部材を破損させることなくバッテリカバーを外部ケーシングに取り付けることができる。
【0039】
上記バッテリカバーの上記第1の係合突起は、上記第2の方向に対して上記第1の隣接部側に傾いた第1の傾斜面を有することが好ましい。この場合には、バッテリカバーの第1の係合突起が外部ケーシングの第1の係合片に第1の傾斜面で当接することになるため、この当接によりバッテリカバーの第1の係合突起に作用する力の変化が滑らかになる。このため、スライド式の取付方法によるリアカバーへのバッテリカバーの取付作業が容易になる。
【0040】
また、上記外部ケーシングの上記第1の係合片は、上記バッテリカバーの上記第1の係合突起の上記第1の傾斜面に当接可能な第2の傾斜面を有することが好ましい。この場合には、バッテリカバーの第1の係合突起と外部ケーシングの第1の係合片とが互いに傾斜面で当接することになるため、この当接によりバッテリカバーの第1の係合突起に作用する力の変化がさらに滑らかになる。このため、スライド式の取付方法によるリアカバーへのバッテリカバーの取付作業がさらに容易になる。
【0041】
上記バッテリカバーの上記第2の係合突起は、上記第2の方向に対して上記第2の隣接部側に傾いた第3の傾斜面を有することが好ましい。この場合には、バッテリカバーの第2の係合突起が外部ケーシングの第2の係合片に第3の傾斜面で当接することになるため、この当接によりバッテリカバーの第2の係合突起に作用する力の変化が滑らかになる。このため、回転式の取付方法によるリアカバーへのバッテリカバーの取付作業が容易になる。
【0042】
上記外部ケーシングの上記第2の係合片は、上記バッテリカバーの上記第2の隣接部を支持するリブの一部により構成されていてもよい。この場合には、外部ケーシングのリブが第2の係合片の機能を兼ね備えるので、バッテリ収容構造の部材数を減らすことができ、製造コストを低減することができる。
【0043】
本発明の第2の態様によれば、上述したバッテリ収容構造と、上記外部ケーシングの内部に収容されるレンズユニットとを備えるカメラ装置が提供される。
【符号の説明】
【0044】
1 カメラ装置
2 フロントカバー
3 リアカバー(外部ケーシング)
4 レンズ鏡筒
5 排出スリット
6 化粧部材
7 バッテリカバー
10 バッテリ収容部
31 後方カバー部
32 側方カバー部
33~38 縁部
41~43 リブ
51 エッジ部(第1の隣接部)
52 エッジ部
53 エッジ部(第2の隣接部)
54 リブ
71 第1のカバー部
72 第2のカバー部
73 延出部
74 第1の係合突起
74A (第1の)傾斜面
75 第2の係合突起
75A (第3の)傾斜面
75B 摺接面
81 スロット
82 (第1の)係合片
82A (第2の)傾斜面
85 凹部
86 枠部(第2の係合片)
S 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B