(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042968
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】組織分析の装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/67 20060101AFI20220308BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
G01N21/67 A
A61B10/00 E
G01N21/67 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021132516
(22)【出願日】2021-08-17
(31)【優先権主張番号】20194405
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・イェーガー
(72)【発明者】
【氏名】ヤニック・ダニエル
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA02
2G043EA06
2G043EA09
2G043JA01
2G043LA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】組織識別の信頼性を決定する概念を提供する。
【解決手段】受光装置16と分光計装置20とを有する本発明による組織分析装置10は、この目的のために、割当装置23に接続される評価装置22を備える。評価装置22は、生体組織の少なくとも1つの組織特性G、例えば生体組織のタイプまたは病気の感染の決定に役立つ。割当装置は、受光装置16のコンタミをモデル化する適切な透過曲線モデルの割当てに役立つ。異なるコンタミ度合いに対して、各組織特性Gのそれぞれ決定され得る信頼性値Rを含む異なる透過曲線モデルが提供される。本発明の概念を用いて、組織分析だけでなく、さらに、分析を行った信頼性、すなわち、組織特性Gの表示がどの程度信頼できるかの表示も実現することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に外科器具(14)および/または当該器具の提供に役立つ装置(15)に組み込まれる組織分析装置(10)であって、
組織(11)に対する電気スパーク(12)またはプラズマの作用によって生成された光を受ける受光装置(16)と、
前記光の異なる波長における光強度を決定する分光計装置(20)と、
前記光強度から、少なくとも1つの組織特性(G)を特徴付けるデータ(D)を決定する評価装置(22)と、
決定されたコンタミ(V)に基づいて、前記組織特性(G)に関するまたは前記組織特性(G)の信頼性値(R)を割り当て、かつ/または決定する割当装置(23)とを備える
組織分析装置。
【請求項2】
前記割当装置(23)は、前記分光計装置によって決定された前記光強度に基づいて、前記コンタミ(V)の分類を行う
請求項1に記載の組織分析装置。
【請求項3】
前記コンタミを分類するテスト装置(30)が設けられる
請求項1または2に記載の組織分析装置。
【請求項4】
前記分類は、前記コンタミ(V)を1以上のコンタミタイプ(T)に割り当てることを含む
請求項1~3のいずれか1項に記載の組織分析装置。
【請求項5】
前記テスト装置(30)は、前記コンタミ(V)の度合い(K)を検出する
請求項1~4のいずれか1項に記載の組織分析装置。
【請求項6】
前記割当装置(23)は、前記コンタミ(V)に基づいて前記信頼性値(R)を決定し、前記信頼性値(R)は、前記評価装置(22)によって決定される前記組織特性(G)に固有である
請求項4または5に記載の組織分析装置。
【請求項7】
前記割当装置(23)は、特定の組織特性(G)を識別する前記信頼性値(R)と、前記コンタミ(V)との関係に関するモデルを含む
請求項1~6のいずれか1項に記載の組織分析装置。
【請求項8】
前記モデルは、データ集合体である
請求項7に記載の組織分析装置。
【請求項9】
前記割当装置(23)は、コンタミ(V)それぞれに特有の複数の透過曲線モデル(26)を含む
請求項1~8のいずれか1項に記載の組織分析装置。
【請求項10】
前記割当装置(23)は、前記分光計装置(20)によって得られたスペクトル(28)に基づいて、一致する前記透過曲線モデル(26)を選択する
請求項9に記載の組織分析装置。
【請求項11】
各組織特性(G)の各透過曲線モデル(26)に信頼性値(R)が割り当てられる
請求項9または10に記載の組織分析装置。
【請求項12】
マルチスペクトル光を出射する光源(31)を含む、前記コンタミ(V)を決定するテスト装置(30)が設けられる
請求項1~11のいずれか1項に記載の組織分析装置。
【請求項13】
前記テスト装置(30)は、複数の光波長に基づいて前記コンタミ(V)を決定する
請求項12に記載の組織分析装置。
【請求項14】
特に外科的介入中における組織分析の方法であって、
受光装置(16)が、組織(11)に対する電気スパーク(12)またはプラズマの作用によって生成される光を受け、
受けた前記光から、異なる光波長(λ)における光強度(I)が決定され、
前記光強度(I)から、少なくとも1つの組織特性(G)を特徴付けるデータ(D)が決定され、
前記受光装置(16)のコンタミ(V)が決定され、
決定された前記コンタミ(V)に基づいて、前記評価装置(22)によって決定された前記データ(D)に信頼性値(R)が割り当てられ、
割り当てられた前記信頼性値(R)が閾値を超える場合、前記組織特性(G)および割り当てられた前記信頼性値(R)が示されるか、または前記組織特性(G)のみが示される
方法。
【請求項15】
決定される前記組織特性(G)に応じてテスト間隔が規定される
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に外科装置に組み込まれる、組織分析の装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気スパークまたは電気的に生成されたプラズマによって生体組織に作用を及ぼし、これによって生成された光を分析して、処置された組織に関する結果を得ようとすることが知られている。これについて、特許文献1は、切除電極に近接して配置される光ファイバの形態の受光装置を備える切除用カテーテルを開示している。光ファイバから受けた光は、分析装置、例えば分光計に供給され、電気スパークが堆積物、いわゆるプラークに作用しているか、特にスペクトルのリンのラインが観察されるか(254nm)判別することができるスペクトル分析を受ける。
【0003】
処置された組織または他の組織の特性の種類を、例えば非悪性または悪性として決定することも、特許文献2から知られている。ここでは組織識別のために、生体組織に作用するスパークの光が分光組成について分析される。またここでは、スパークから生じる光をスパークに近接して受けることが必要である。
【0004】
スパークによる生体組織への介入を行っている間、組織分析に影響を及ぼす堆積物が受光窓に形成され得ることが知られている。改善策として、特許文献3は、静止している、または流れている液体によって受光窓を形成することを提案している。これは、カーボンブラックまたは他のコンタミが受光窓に堆積する傾向を抑制する。しかしながら、液体は、幾何学的に規定された形状を有しておらず、また、特に過度の熱の発生を伴うプラズマ用途に使用することができない。
【0005】
これらのおよび他の影響因子から、スパークまたはプラズマから出射された光に基づく組織特性の光学測定中に、ある特定の状況依存不確実性が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2011/055369号
【特許文献2】欧州特許第2659846号明細書
【特許文献3】欧州特許第2815713号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、組織識別の信頼性を決定する概念を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の装置によって、また、請求項13に記載の方法によっても解決される。
【0009】
本発明による組織分析装置は、組織識別に役立つ。生体組織に対するスパークの作用によって生成される光の分光組成は、組織識別のために評価される。このために、組織分析装置は、生体組織に対する電気スパークまたはプラズマの作用によって生成された光を受ける受光装置を備える。受光装置は、例えば、光ファイバの端面、光ファイバに取り付けられた対物レンズなどにすることができる。特に、受光装置は、それぞれの外科器具の電極に近接して、ひいては生じるスパークまたはプラズマの近くに配置されることが好ましい。この理由により、受光装置は、ある程度汚染され、またはさらに劣化し得る。このコンタミは、カーボンブラック、組織粒子、ほこり、塩結晶またはその類似物の堆積物から生じ得る。受光装置から受けた光は分光計装置に供給され、分光計装置は、光の少なくとも1つ、好ましくは複数の波長における光強度を決定し、かつ光強度を特徴付ける信号を評価装置に供給する。評価装置は、光強度を特徴付ける信号からデータを決定し、データは、少なくとも1つの組織特性を特徴付ける。組織特性とは、例えば組織タイプ(骨、血液、結合組織、筋肉、神経、臓器組織など、またはさらに様々な腫瘍組織)などの組織を特徴付ける任意の特徴を意味する。判別される組織特性は、また、組織タイプ内の特性、例えば、組織が健康な組織または痛む組織であるのか、腫瘍組織であるのか、感染組織であるのか、壊死組織であるのかなどにすることもできる。
【0010】
評価装置によって決定されたデータに信頼性値を割り当てる割当装置は、組織分析装置の一部である。割当装置は、受光装置のコンタミに基づいて信頼性値を決定する。コンタミの決定は、分光計装置によって生成されるスペクトルが評価されることで間接的に行われる。スペクトルは、既知の分光組成の光源から、またはさらに、組織に作用するスパークが出射する光から生じ得る。光が既知の分光組成の光源から生じる場合、評価は特に単純である。そして、分光計装置によって提供されたスペクトルから、コンタミのタイプおよび度合いについて直接評価を決定することができるため、コンタミを分類することができる。異なるコンタミクラスは、フィルタ曲線のように、光源により出射され、受光装置が受けた光に影響を及ぼす異なる透過曲線に対応し得る。異なる組織特性、例えば異なる組織タイプの信頼性値は、異なる透過曲線に割り当てることができる。例えば、ある特定の組織タイプは、極度のコンタミの場合にも依然としてかなり確実に識別することができるが、他の組織タイプは、コンタミが少ない場合でもあまり確実に識別することができない。
【0011】
しかしながら、コンタミ決定のためのこのアプローチでは、既知の分光組成の光を受光装置に供給するためにテスト装置を時々使用しなければならない。光源がテスト装置の一部であってもよく、光源は、当該光源から出射された光が受光装置によって検出されるように配置される。その光源は、例えば、それぞれの器具の電極にスパークが存在しない場合、常に点灯している光源にすることができる。スパークが存在する場合は、光源をオフにすることができる(消灯)。
【0012】
代替方法として、テスト装置は、光源として手術エリア照明を使用することができる。これは、手術エリア照明が、組織識別に関連する波長範囲の光を出射する場合、特に適用される。さらに、これは、手術エリア照明の明るさが十分に一定の場合、有利である。器具が全く作動していない場合、および(選択肢として)当該場合は常に、テストを行うことが可能である。
【0013】
別の実施形態では、そのような光源は省略されるか、または、手術エリア照明はテスト目的に使用されない。むしろ、スパークから出射され、受光装置が受けた光は、割り当てられたスペクトルを決定する分光計装置に供給される。この場合、割当装置は、コンタミそれぞれに特有の複数の透過曲線モデルを含むデータブロックに接続することができる。次に、透過曲線モデルは、定性的形状と、波長依存の減衰値とについて判別することができるフィルタ曲線である。この場合、割当装置は、記録されたスペクトルと一致する透過曲線モデルを特定する。
【0014】
両方の実施形態において、異なる組織特性に異なる信頼性値を割り当てるデータセットが透過曲線モデルに割り当てられる。これらのデータは、スペクトルのさらなる評価に使用される。メーカまたはユーザが、例えば、少なくとも98%の信頼性値を規定している場合、および、その例における有効透過曲線モデルが、原則的に決定可能な組織特性のうちのいくつかのみに対してこの限界を上回る信頼性を有する場合、割当装置は、十分な信頼性が提供される組織タイプのみを示すことができる。代替方法として、相関性のある信頼性値を、決定された各組織特性と共に示すことができる。低い信頼性は、処置ミスを避けるために光学的にまたは聴覚的に明示することができる。
【0015】
本発明の有利な実施形態のさらなる詳細は、従属請求項、図、図面、またはそれぞれの記述から導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、組織分析装置の概略ブロック図である。
【
図2】
図2は、基本動作原理を明確にするための組織分析装置の一部の図である。
【
図3】
図3は、受光装置の様々なコンタミについての透過曲線モデルの図である。
【
図4】
図4は、コンタミタイプおよびコンタミの大きさ(度合い)に依存する信頼性値の空間図である。
【
図5】
図5は、異なる組織特性についてのコンタミ増加に伴う異なる信頼性曲線の図である。
【
図6】
図6は、テスト装置を備えた組織分析装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、生体組織11に作用するスパーク12から生じる光に基づいて特定の組織特性Gを識別する組織分析装置10を示す。スパーク12は、装置15から電力が供給される外科器具14の電極13から生じ得る。例えば、電極13にはこのように、組織11およびそれぞれの対向電極を介して流れている高周波電流が供給される。例えば、器具14は、電気回路を閉じるために患者に取り付けられなければならない(
図1には示していない)中性極を必要とするモノポーラ器具である。組織分析装置10は、また、スパークが間に生じる2以上の電極を含むバイポーラ器具と協働することもできる。電極によって生成されたスパーク12またはプラズマジェットが組織11に接触するとすぐに光が現れ、その光のスペクトルにより、組織11のタイプおよび状態、すなわち特性を決定することができる。
【0018】
器具14の一部にすることができるか、または別個のユニットとして構成することもできる組織分析装置10は、そのような組織特性Gの決定に役立つ。組織分析装置10は、組織の関連特性、例えば、スパークと接触している組織がどんなタイプの組織であるか(例えば、結合組織または臓器組織)を決定し、示す。
【0019】
例えば遠位端18が受光窓を形成し、かつ電極13および/またはスパーク12に近接して配置される導光体17の形態の受光装置16は、組織分析装置10の一部である。受光窓は、また、レンズまたは対物レンズなどによって形成することもできる。
【0020】
受光装置16は、分光計装置20に接続され、スパーク12から生じた受けた光を分光計装置20に供給する。分光計装置20は、光のスペクトルを決定する。スペクトルは、光の異なる波長において存在する光強度によって特徴付けられる。いずれの種類の分光計も、異なる光波長における異なる光強度を特徴付ける信号を導体21に出力するのに適した分光計装置20として適している。
【0021】
導体21は、分光計装置20によって測定されたスペクトルから(すなわち、分光計装置20から出力された信号から)組織特性Gを決定する評価装置22に分光計装置20を接続する。決定される組織特性Gは、組織タイプ、またはさらに組織タイプの特定の特徴にすることができる。例えば、組織タイプ(筋組織、骨組織、脂肪組織、血液など)は、特定の特徴(イオン含有量、リン含有量または他の微妙な特徴)について精査することができる。これについて、評価装置は、多数の異なる組織試料に基づいて訓練することができ、それぞれの学習アルゴリズムまたは他の学習構造を含むことができる。これについて、評価装置22は、また、明確に規定された計算アルゴリズムまたは他の評価アルゴリズムも使用することができる。評価装置22は、組織の特性を特徴付けるデータDを生成する。例えば、データDは、組織タイプを示すこと、または悪性組織を非悪性組織と判別することなどに適し得る。
【0022】
組織分析装置10は、さらに、データDに信頼性値Rを割り当てる割当装置23を含む。データDおよび信頼性値Rは、導体24を介して表示装置25に提供することができる。信頼性値は、透過測定に基づいて決定され、次の透過測定まで、それ以降のすべてのデータDに適用される。このように、組織分類の信頼性、さらに場合によっては低下した信頼性も、ある程度事前にそれらの測定に割り当てられる。
【0023】
評価装置22と、評価装置22に接続された割当装置23と、それらの協働とについては、
図2からより詳細に明らかである。割当装置23は、特に、特定の組織特性Gの決定がどの程度信頼できるかを決定する働きをする。一般的に言えば、信頼性は、受光装置16のコンタミの増加に伴って低下する。しかしながら、このことは、決定されるすべての組織特性Gに等しく当てはまらない。例えば、受光装置またはその受光窓が既に著しく汚染されている場合であっても、依然として脂肪組織が骨組織と良好に判別可能であったり、例えば、コンタミ度合いがより低くても、似たような組織タイプのより微妙な判別または非悪性組織と悪性組織の判別は、既に信頼できなくなっている可能性があったりする。
【0024】
受光窓が汚染されると、その透過特性が変わる。受光窓上の堆積物には、フィルタと同様の効果があるため、スペクトルを歪める効果がある。割当装置は、コンタミV(V1、V2…Vn)それぞれに特有の様々な透過曲線モデル26を提供することができる。例えば、コンタミのない透過曲線V1は、全通過特性を有するが、透過曲線V2…Vnは、低通過特性もしくは帯域通過特性を有する透過曲線であるか、または複数の最小値、最大値および/もしくは変曲点を有するフィルタ曲線を有する透過曲線である。これについて、
図3は、コンタミが1から9まで増加する間の透過曲線の典型的な変化を示す。曲線は、図示された光強度Iが光波長λに依存していることを示す。
【0025】
組織特性Gの識別中に、異なるコンタミV1~Vnを有する各透過曲線モデル26に対して、異なる信頼性値Rが得られる。これを、タイプA~タイプFの異なる組織タイプについて
図5に示す。この場合も、
図3と同様に1~8の番号をコンタミに付しており、番号は、増加するコンタミ度合いに対応している。タイプCおよびEを除くと、組織タイプのほぼすべてにおけるコンタミ度合い1の場合に、依然としてほぼ100%の信頼性が得られる。コンタミ度合いの増加に伴い(2、3、4など)、信頼性は組織タイプに応じて低下し、その低下量は異なる。このことは、組織のタイプA~F、および他の組織特性Gまたは組織特徴に当てはまる。例えば、ある3つの組織特性Gのコンタミ度合いが規定されている場合、例えばタイプBの特性は、依然として確実に決定することができ、タイプDは、ある程度信頼性があり、他のタイプまたは特性は、例えば、もはや信頼性がない。この情報、すなわち、どの組織特性Gがどんな信頼性で決定され得るかは、V1~Vnの各透過曲線モデル26の一部である。
【0026】
評価装置22は、まず、所望の組織特性G、例えば組織タイプを決定する。その後、割当装置23は、それぞれ有効透過曲線モデル26(V1、V2...またはVn)に基づくそれぞれの信頼性値Rをこの特性に割り当てる。両方のデータは、導体24を介して表示装置25に提供し、表示装置25に表示することができる。これにより、データDは、例えば、特定された組織タイプまたは別の組織特性Gを特徴付ける。これによって、信頼性値Rは、組織特性Gを決定した信頼性を特徴付ける。
【0027】
信頼性値Rの決定は、本発明の少なくとも一実施形態において実際の適用前に行うことができる。その際、信頼性値Rは、手術中に測定される透過率にも続いて割り当てることができる。例えば、スペクトルは記録することができ、組織は、100%の透過率を有するファイバを用いて、テスト組織への適用前に分類することができる。続いて、異なる透過曲線モデルは、異なるコンタミをシミュレートするために用いることができる。次に、これらの透過曲線モデルを用いて、組織を再度分類することができる。100%の透過率で分類された組織との比較によって、どの透過曲線モデルが、組織分析の信頼性の点でどの程度悪くなっているか決定することができる。
【0028】
そして、適用中に測定される特定の透過率を有するファイバが、現在の組織分類に依然として十分良好であるか決定するために、適用中に透過曲線モデルを用いることができる。
【0029】
また、信頼性値Rが、規定されたまたは選択された限界を下回る場合、組織特性G(データD)を表示しないようにすることが可能である。
【0030】
図3および
図5から明らかなように、透過曲線モデル26は、増加するコンタミのみを特徴付ける一次元モデルにすることができる。しかしながら、また、コンタミタイプTと、コンタミの大きさまたは度合いKとを判別することができるように、様々なコンタミの分類を構成することもできる。例えば、コンタミタイプは、コンタミの種類(カーボンブラック堆積物、組織の堆積物、他のガスの堆積物)に依存し得る。これは、それぞれの粒子サイズが異なる場合、特に当てはまり得る。そして、コンタミ度合いKは、形成された堆積物の厚さを特徴付けることができる。例えば、コンタミタイプTは、異なるフィルタ曲線、例えば低通過もしくは帯域通過、または異なる基本特性の組合せを規定することができ、一方、コンタミ度合いは、フィルタ曲線のカットオフ周波数、傾斜または他のパラメータを特徴付ける。
【0031】
割当装置23は、提供される透過曲線モデル26から、それぞれのコンタミと最もよく一致するモデルを選択しなければならない。これについて、
図2が参照される。第1スペクトル27では、汚染されていない受光装置16の場合に特定の組織タイプ、例えば筋組織に対して記録されるようなスペクトルが表されている。異なる強度Iで生じる複数のスペクトル線A、B、Cが存在する。スペクトル線の数およびそれらの強度は、それぞれの組織タイプに依存する。それらを
図2に単に比喩的に示す。ここで、受光装置16のコンタミにより、異なるスペクトル28がそれぞれの組織、例えば筋組織に対して記録される場合、そのスペクトル線は、コンタミのために変形している。スペクトル27は、スペクトル線A、B、Cを示すが、スペクトル28は、スペクトル線a、B、Cを含み、すなわち、1以上のスペクトル線が、清潔な受光装置16の場合に有したであろう強度よりも低い強度Iを有する。しかしながら、外科医がどの組織からスペクトルが生じているのか分かっている場合、および、この情報が評価装置22に利用可能である場合、評価装置22は、理想的なスペクトル27と比較したスペクトル28の変形に基づいて、透過曲線モデル26のどれがスペクトルの変形に明らかに影響を及ぼしたのか決定することができ、利用可能なモデルV1~Vnのグループからそれぞれの透過曲線モデルを選択することができる。透過曲線モデルの選択に際して、評価装置22は、特定の組織特性を識別し得る信頼性の評価を割当装置23から同時に得る。透過曲線モデルに対して他のすべての組織特性Gの信頼性値Rが知られているため、決定された組織特性G(例えば組織タイプ)と、組織特性G(例えば組織タイプ)を識別した割り当てられた信頼性値Rとを表示装置25が外科医に常に示している間、外科医は、自分の器具を用いて連続的に作業することができ、また、異なる組織タイプに作用を及ぼすことができる。
【0032】
それぞれの透過曲線モデルの選択は、所定の時間間隔後、例えば1秒以上後にそれぞれ確認することができる。また、起動時間およびこれまでのコンタミ率に基づいて透過モデルを推定することも可能である。その推定は、透過測定によって、規定された時間間隔で、または所与の機会に、例えば器具の作動中に確認することができる。外科医は、別途較正を行う必要がない。
【0033】
本発明の変形形態において、
図6に示すようにテスト装置30を設けることも可能である。テスト装置30は、規定された分光組成を有する光を受光装置16の受光窓に供給することができる光源31を含む。これにより、制御装置34は、光が受光装置16の受光窓に入るように時々光源31を作動させることでテスト工程を調整する。分光計20は、そのデータをこのテスト条件でスイッチ32を介して透過分類器33に出力し、透過分類器33は、コンタミ度合いKおよび/またはコンタミタイプTを決定する。テストの開始およびテストの進行制御は、テスト装置30の一部にすることができる制御装置34の管理下にある。
【0034】
あるいは、手術エリア照明を光源31として使用することができる。これについて、電極13がスパーク12を発しない短い動作休止を用いることができる。制御装置34は、これらの動作休止を用いて、それぞれ適切な透過曲線モデルを決定するルーチンを処理することができる。
【0035】
透過分類器33によって提供されるコンタミ度合いKおよび/またはコンタミタイプTは、割当装置23に供給され、次に、割当装置23は、
図2を参照して前述したものと類似の一致する透過曲線モデル26を選択する。透過測定は、コンタミ度合いに関する情報を提供する。透過分類器33および/または割当装置23は、(プールから選択された)比較可能な透過曲線モデルを決定し、どの組織分類がどんな信頼性Rで可能であるか決定することができる。これにより、透過分類器33および/または割当装置23は、コンタミ度合いおよび/またはコンタミタイプに基づいて、比較可能な透過曲線モデル間の補間を行うことができる。
【0036】
テストが終了すると、制御装置34は、分光計20によって供給された信号が評価装置22に送られるようにスイッチ32を再度切り替え、評価装置22は、この場合も、スパーク光から得られたスペクトルから所望の組織特性を決定する。これらの組織特性は、組織特性を示す表示装置25にデータの形で提供される。
【0037】
その際、透過分類器33および割当装置23は、測定された透過率から、組織分類の結果はどれくらい良好であるか予測することができる。例えば、組織分類によって、汚染された実際のファイバを用いて92%正確な結果が得られる。清潔なファイバの場合には、組織分類器は、例えば96%正確な結果を提供する。透過分類器33によって、測定された透過率は、ここで、例えば92%以上の正確さを実現する透過率と、組織分類の予想される質が92%未満である透過率とに細分類することができる。
【0038】
組織のタイプを決定する組織決定のために、データDが組織分類器33に提供される。組織のタイプと、決定された信頼性値Rとは、ここで表示装置25に供給される。表示装置25は、信頼性値Rを表示することができる。表示装置25は、また、信頼性値Rが閾値を下回るか明示することもできる。閾値は、固定するか、または可変に規定することができる。
【0039】
組織特性Gを決定する、受光装置16と分光計装置20とを有する本発明による組織分析装置10は、この目的のために、割当装置23に接続される評価装置22を備える。評価装置22は、生体組織の少なくとも1つの組織特性G、例えば生体組織のタイプまたは病気の感染の決定に役立つ。割当装置は、受光装置16のコンタミをモデル化する適切な透過曲線モデル26の割当てに役立つ。異なるコンタミ度合いに対して、各組織特性Gのそれぞれ決定され得る信頼性値Rを含む異なる透過曲線モデルが提供される。本発明の概念を用いて、組織分析だけでなく、さらに、分析を行った信頼性、すなわち、組織特性Gの表示がどの程度信頼できるかの表示も実現することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 組織分析装置
11 生体組織
12 スパーク
13 電極
14 器具
15 装置
16 受光装置
17 導光体
18 導光体17の遠位端
20 分光計装置
21 導体
22 評価装置
G 組織特性
D データ
23 割当装置
24 導体
25 表示装置
26 透過曲線モデル
V、V1...Vn コンタミ/透過曲線
I 光強度
λ 光波長
T コンタミタイプ
K コンタミ度合い
R 信頼性値
27 第1スペクトル
28 異なるスペクトル
30 テスト装置
31 光源
32 スイッチ
33 透過分類器
34 制御装置
35 ファイバカプラ
【外国語明細書】