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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042984
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】温度制御媒体輸送用管路装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/08 20060101AFI20220308BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20220308BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20220308BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20220308BHJP
   B60L 58/26 20190101ALI20220308BHJP
   B60L 58/27 20190101ALI20220308BHJP
【FI】
F28D7/08
F25B1/00 331Z
B60H1/32 613Z
B60L50/60
B60L58/26
B60L58/27
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021138829
(22)【出願日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】20194403.0
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21183388.4
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518148098
【氏名又は名称】テーイー オートモーティブ テクノロジー センター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ウィンター
(72)【発明者】
【氏名】トシュテン シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン デイベル
(72)【発明者】
【氏名】マチュー オクテュリエ
【テーマコード(参考)】
3L103
3L211
5H125
【Fターム(参考)】
3L103AA05
3L103BB42
3L103DD04
3L103DD09
3L211BA51
3L211DA28
5H125AA01
5H125AC12
5H125FF22
5H125FF23
5H125FF24
5H125FF27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】設置スペース要件が特に小さい管路装置を提供する。
【解決手段】温度制御媒体輸送用の管路装置1であって、ブロー成形によって製造される基体2を備え、基体2から、少なくとも第1流路3と第2流路4とが形成されており、第1流路3及び第2流路4は、第1区域においては互いに対して第1配向となっており、第2区域においては互いに対して第2配向となっており、第1配向は、第2配向と異なっている管路装置。また流路3、4の配向は、第3区域内で又は第4区域内で又はその両方で、変化することを特徴とする管路装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度制御媒体輸送用の管路装置(1)であって、
ブロー成形によって製造される基体(2)を備え、
前記基体(2)から、少なくとも第1流路(3)と第2流路(4)とが形成されており、
前記第1流路(3)及び前記第2流路(4)は、
第1区域(11)においては互いに対して第1配向となっており、
第2区域(12)においては互いに対して第2配向となっており、
前記第1配向は、前記第2配向と異なっている
管路装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管路装置であって、
前記流路(3、4)の前記配向は、第3区域(13)内で又は第4区域(14)内で又はその両方で、変化する
ことを特徴とする管路装置。
【請求項3】
温度制御媒体輸送用管路装置であって、
ブロー成形によって製造される基体(2)を備え、
前記基体(2)から、少なくとも第1流路(3)と第2流路(4)とが形成されており、
前記第1流路(3)は、前記第2流路(4)を少なくとも部分的に貫通する
管路装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の管路装置であって、
前記第1流路(3)は、少なくとも部分的に前記第2流路(4)の内部に経路をとる
ことを特徴とする管路装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の管路装置であって、
前記第1流路(3)は、前記第2流路(4)に交差する
ことを特徴とする管路装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の管路装置であって、
前記基体(2)から、第3流路(9)が形成されており、
前記第3流路(9)は、前記第1流路(3)又は前記第2流路(4)又はその両方に交差する
ことを特徴とする管路装置。
【請求項7】
温度制御媒体輸送用の管路装置であって、
ブロー成形によって製造される基体(2)を備え、
前記基体(2)から、少なくとも第1流路(3)と第2流路(4)とが形成されており、
前記第1流路(3)及び前記第2流路(4)は、少なくとも1つの区域(5)において前記第1流路(3)と前記第2流路(4)とが互いに交差する態様で、前記基体内での経路がとられている
管路装置。
【請求項8】
請求項7に記載の管路装置であって、
前記第1流路(3)及び前記第2流路(4)は、前記区域(5)においてS字屈曲の形態になるように経路がとられている
ことを特徴とする管路装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の管路装置であって、
前記第1流路(3)及び前記第2流路(4)は、前記区域(5)において、断面を有し、
前記断面は、他の断面とは異なっている
ことを特徴とする管路装置。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載の管路装置であって、
前記第1流路(3)及び前記第2流路(4)は、区域(5)において平坦化されている
ことを特徴とする管路装置。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか1項に記載の管路装置であって、
前記基体(2)内に、少なくとも1つの機能要素(7)が配置されている
ことを特徴とする管路装置。
【請求項12】
請求項7~11のいずれか1項に記載の管路装置であって、
前記基体(2)から、少なくとも1つの機能要素(7)が形成されている
ことを特徴とする管路装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の管路装置であって、
前記流路(3、4、9)は、前記基体(2)と一体的に且つ前記基体(2)と同一の材料で形成されている
ことを特徴とする管路装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の管路装置であって、
前記第1流路(3)と前記第2流路(4)とは、互いに対して或る角度で延在している
ことを特徴とする管路装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の管路装置であって、
前記第1流路(3)及び前記第2流路(4)は、区域(11、12、15)の少なくとも1つにおいて、平行に延在している
ことを特徴とする管路装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の管路装置であって、
少なくとも1つの流路(3、4、9)の少なくとも1つの部分流路(16)がインサート(17)として形成される
ことを特徴とする管路装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の管路装置であって、
前記流路(3、4、9)は、
第1区域(11)においては第1平面内で互いに平行に延在しており、
第2区域(12)おいては第2平面内で互いに平行に延在している
ことを特徴とする管路装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の管路装置であって、
前記流路(3、4、9)は、少なくとも部分的に互いに接続されている
ことを特徴とする管路装置。
【請求項19】
請求項1~17のいずれか1項に記載の管路装置であって、
前記第1流路(3)又は前記第2流路(4)又はその両方は、第3区域(13)内で又は第4区域(14)内で又はその両方で、弓形に形成されている
ことを特徴とする管路装置。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の管路装置であって、
温度制御媒体用の内部熱交換器を形成する
管路装置。
【請求項21】
請求項1~19のいずれか1項に記載の管路装置(1)を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度制御用媒体輸送用の管路装置であって、ブロー成形によって製造される基体を備え、この基体から少なくとも第1流路と第2流路とが形成されている管路装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気を利用した移動手段(Elektromobilitat)には、例えば、温度制御媒体が必要である。電気自動車の電池、特にリチウムイオン電池は、限定された温度範囲内でのみ、最適な能力を発揮する。このため、周囲温度に応じて電池の加熱又は冷却が必要になることがある。よって、電池のセルを所望の温度範囲内で温度制御するために、電気自動車のドライブユニットは、通常、管路装置を有する温度制御回路を備えており、この管路装置を通して、温度制御媒体をセルに導くことができる。設置するスペースが限られているため、温度制御ユニットはできるかぎりコンパクトでなければならない。
【0003】
さらに、電気自動車のドライブユニット全体の構成要素の温度を制御する、特に冷却することが必要な場合がある。これらの構成要素には、電池のほかに、パワーエレクトロニクス機器(Leistungselektronik)や電気モータが含まれる。充電エレクトロニクス機器(Ladeelektronik)やこれに関連するプラグ接続部や配管も、温度制御装置によって冷却することができる。高速充電処理に関しては、このことは特に重要である。
【0004】
ドライブユニット内での使用に加えて、車両エレクトロニクス機器(Fahrzeugelektronik)におけるその他の部分、特にセンサ及びオンボードコンピュータに関連する更なる応用分野がある。車両が自動運転用に装備される場合、強力なセンサ及び強力なコンピュータが必要になり、この場合、システムは冗長になる。車両内の設置するスペースが限られているため、これらのシステムは、これらの構成要素の温度を制御する温度制御ユニットについても特別な要件を有する。
【0005】
空調システム内でも温度制御媒体が使用される。空調システム、特に移動式空調システムは、温度制御媒体を空調システムの個々の装置間で輸送可能にする管路装置を備える。移動式空調システム、例えば自動車の車内空調用の空調システムでは、管路装置は、比較的複雑な構造を有し、各管が異なる材料で作られていることが多く、例えば、金属製の管、熱可塑性物質製の部分管、ゴム様材料製の部分管を有する。部分管を使用する条件は各要件に最適に適合可能であるが、管路装置は、高価であり且つ組立てが複雑で、再利用が困難である。
【0006】
あらゆる応用例において、管路装置は特にコンパクトであるべきと要求されることはよくあることである。各流路は各ユニットに媒体を供給するために使用するものであるが、これらのユニットは異なる場所に配置されることがあり、そのため、管の経路を交差させる必要が生じて、設置スペースがより多く必要となる場合がある。管の経路が交差することにより、管路装置が嵩張ることがあり、設置スペース要件が高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、設置スペース要件が特に小さい管路装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴により達成される。従属請求項は、有利な構成を示す。
【0009】
本発明による、温度制御媒体輸送用の管路装置は、ブロー成形によって製造される基体を備え、この基体から少なくとも第1流路と第2流路とが形成されており、第1流路及び第2流路は、第1区域においては互いに対して第1配向となっており、第2区域においては互いに対して第2配向となっており、第1配向は第2配向と異なっている。
【0010】
本発明による管路装置は、ブロー成形によって製造される基体を備える。ブロー成形により、複雑な形状の基体を製造することが可能になる。流路は、好ましくは、均一な材料で基体と一体的に形成される。管路装置用の材料として、好ましくは、熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマー等のプラスチックが使用される。管路装置内を輸送される媒体の圧力条件によっては、管路装置を、単層構造とすることができ、また、多層構造とすることもできる。
【0011】
基体は、複数の流路を備えてもよく、これらの流路は、装着場所に要求される形状、例えば湾曲形状等にすることができる。さらに、流路の断面形状の選択においては、自由度が大きい。
【0012】
さらに、本発明による管路装置においては、流路の経路の取り方は、流路が、第1区域においては互いに対して第1配向となっており、且つ、第2区域においては互いに対して第2配向となっており、且つ、第1配向は第2配向と異なっているようになされている。これに関連して、特に、第1区域においては、各流路は互いに対して第1平面内を延在し、例えば垂直平面内を延在しており、第2区域においては、各流路は互いに対して第2平面内を延在し、例えば水平平面内を延在していることが考えられる。従って、管路装置は、利用可能な設置するスペースに適合する形状を有することができ、各流路は、狭窄な地点等で、互いに対する配向を変えることができる。
【0013】
流路の断面を利用可能な設置スペースに適合させれば、設置するスペースをさらに活用することがなし得る。例えば、流路は、第1区域においては円形断面、第2区域においては楕円形の又は矩形の断面を有してもよい。
【0014】
流路の配向は、第3区域内で又は第4区域内で又はその両方で、変化可能である。このため、流路は、第3区域内で又は第4区域内で又はその両方で、弓形に形成可能である。弓形に経路をとることにより、圧力損失が特に少なくなる。しかし、設置するスペースが非常に限られている場合は、第3区域内又は第4区域内又はその両方において、流路が角偏向を有することもできる。
【0015】
本発明による、温度制御媒体輸送用の更なる管路装置は、ブロー成形によって製造される基体を備え、この基体から少なくとも第1流路と第2流路とが形成されており、第1流路は、第2流路を少なくとも部分的に貫通する。
【0016】
特に、この管路装置内のこれらの流路が、第1区域においては互いに対して第1配向となっており、第2区域においては互いに対して第2配向となっており、第1配向は第2配向と異なっているということも考えられる。このために、第1流路は、少なくとも部分的に第2流路内に経路をとることができる。
【0017】
また、貫通させることで設置スペースをより一層節約可能になり、設置スペースが特に小さいところの設置スペース部分を通すことが可能になる。さらに、有利な点としては、ある流路が第2流路内に誘導されて堅牢な外面を有する領域内では、管路装置が特にコンパクトであり且つ設置スペースが少なくて済むことがある。さらに、流路同士が互いに作用して、例えば熱交換が行われることが考えられる。
【0018】
第1流路と第2流路とが少なくとも1つの区域において互いに交差することも考えられる。このような交差区域では、通常、必要な設置スペースが特に大きくなる。さらに、交差区域が個々の管から形成される場合は、組立ての手間が特に大きい。本発明による実施形態では、各流路の交差する区域は、ブロー成形工程により基体から形成される。これにより、管路装置を特に安価に製造可能となり、さらに、交差区域を、設置スペースが少なくて済む幾何学形状にすることが可能とある。
【0019】
第1流路と第2流路とは、互いに対して或る角度で延在可能である。この実施形態において、管路装置には、交差部分を形成可能である。例えば、これらの流路が互いに対して90°の角度で延在しており且つ交差点にて交わることが考えられる。
【0020】
第1流路と第2流路とが少なくとも1つの区域において平行に延在していることも考えられる。この領域内では、管路装置は、特に、必要な設置スペースが小さくなる。
【0021】
少なくとも1つの流路の部分流路の少なくとも1つをインサートとして形成することができる。1つ又は複数のインサートを設けてもよい。インサートというのは、基体とは別に設計される構成要素である。インサートは、ブロー成形工程前にブロー金型内に置かれ、ブロー成形工程中に基体上に成形される。これにより、基体内に交差区域を実装しつつ、流路同士を互いから分離して流体が混ざらないようにすることが可能になる。
【0022】
原則として、互いに交差する流路を幾つか設けることが考えられる。例えば、互いに平行に延在している2つの流路が、第3流路に交差可能であり、又は、互いに平行に延在している2つの更なる流路に交差可能である。
【0023】
好ましくは、第1流路及び第2流路は、区域において、弓形となるように経路がとられている。これにより、方向が急激に変化することが回避され、そのため、流路内を案内される媒体の流れ抵抗が低減される。
【0024】
第1流路及び第2流路は、区域において、S字屈曲の形態になるように経路がとることができる。この実施形態により、流れ抵抗が特に小さくなる。第1流路及び第2流路は、前述の区域において、管路装置の他の断面とは異なっている断面を有することができる。例えば、この領域においては2つの流路の幾何学形状が特に設置スペースが少なくて済む態様で、前述の区域内の流路の断面を選ぶことができる。しかし、前述の区域内の流路の設計を流れに関して最適化して、この領域における各流路では流れ抵抗を特に小さくさせることも考えられる。
【0025】
好ましくは、第1流路及び第2流路は、前述の区域において平坦になっている。この場合、第1流路と第2流路は、対向する2つの側の両方において平坦にすることができる。別の方法として、前述の区域においてこの2つの流路が略矩形状の断面を有することも考えられる。これにより、管路装置を、前述の区域において特に設置スペースが少なくて済むように設計可能になり、しかも、流路が交差する管路装置であって、全体として設置スペースが少なくて済み且つ空間的に影響が少ない管路装置を形成可能となる。丸い構成、平坦な構成、矩形状の構成に加えて、楕円形の形状も考えられる。さらに、流路が部分的に凹状である又は凸状であることが考えられる。この点について、第1流路と第2流路は、対向している壁部分において合致するような形状にすることができる。このため、例えば、第1流路では、対向している壁部分を凹状の形状とし、第2流路では、これに対応する壁部分を凸状の形状にすることができる。同様に、第1流路と第2流路とはそれぞれ、互いに異なる断面を有することが考えられる。
【0026】
第1流路と第2流路とは、少なくとも部分的に互いに接続可能である。この接続は、均一な材料で一体的に形成することでなされ、例えば流路上へウェブが形成されることによりこの接続を実現することができる。ウェブは、連続的なものとすることができ、又は、部分的なものとすることができる。別の方法として、流路同士を部分的に互いに接触させ、接触している部分においては材料結合により互いに接合することもできる。いずれの実施形態においても、管路装置は特にコンパクトであり、各流路は、損失の恐れが無い態様で互いに接続される。b更なる実施形態においては、第1流路と第2流路は、形状嵌合式で互いに接続することもできる。この形状嵌合式接続は、形状嵌合要素を流路から形成することによって、又は、クリップ接続によって、実施することができる。クリップ接続は、特に、流路から形成可能である。第1流路と第2流路とは、締結装置を介して互いに接続されることも考えられる。この締結装置は、第1流路と第2流路とを接続するのと同時に管路装置を本体等に締結するように働く。
【0027】
部分流路においては流路間に開口を形成することができ、1つ又は複数の流路がこの開口を通る。これにより、流路の経路の取り方及び交差領域の設計が特に柔軟になり、流路の配向を変えることが特に容易になる。
【0028】
第1流路と第2流路とは、流れが伝達する態様で互いに接続することができる。この実施形態では、媒体が、一方の流路から他方の流路内へあふれることがある。これに関連して、特に、第1流路と第2流路との間の接続部分に、弁が配置される、特に切換可能弁が配置されることが考えられる。さらに、接続部分内に絞り弁が配置されることが考えられる。接続部分は、更なる流路として設計することができる。更なる流路は、別に形成することができ、又は、均一な材料から形成され且つ第1流路又は第2流路又はその両方と一体的に製造することができる。
【0029】
基体内に少なくとも1つの機能要素を配置することができる。機能要素は、少なくとも1つの流路に割り当てられるのが好ましい。このようにして、機能要素は、温度制御媒体と直接接触している。機能要素は、温度制御媒体の体積流量に直接影響を与えることができる、又は、温度・体積流量・圧力等の温度制御媒体の状態データを直接記録することができる。機能要素は、温度制御媒体と接触して温度制御媒体の温度に影響を与える冷却器として設計することもできる。または、これの代わりに、機能要素は、加熱要素として設計することもできる。
【0030】
機能要素は、基体から形成することができる。これは、特に、機能要素が受動的な機能要素であり且つ動く部分を持たない場合に考えられる。例えば、機能要素は、絞り弁を形成してもよい。絞り弁又は膨脹弁は、局所的に流れ断面を狭めることにより、この絞り弁又は膨脹弁を流通する温度制御媒体の圧力を低減し、同時に温度制御媒体を膨張させる。絞り弁は、無制御の絞り弁として設計され、流路のくびれを形成する。絞り弁が基体から直接形成されていることにより、管路装置は、製造が特に安価且つ容易になる。さらに、機能要素が、管路装置を構成要素に締結するための締結装置を形成することも考えられる。このために、機能要素は、例えば小穴、クリップ等として設計することが可能である。
【0031】
機能要素は、流体分配要素として設計することもできる。さらに、機能要素が接続要素又はコネクタとして形成されることも考えられる。従って、管路装置は、温度制御回路の更なる構成要素に接続されるよう装備可能である。この点について、管路装置は、複数の管路を有するシステムに一体化することができ、これらの管路のうちの少なくとも2つは互いに交差する。この場合は、流体分配要素は、分流交差点又はY字片を形成することができる。
【0032】
管路装置は、内部熱交換器を形成可能であり、例えば空調ユニットの一部として形成できる。管路装置により実現される内部熱交換システムは、特にコンパクトであり、容易に空調回路に一体化できる。
【0033】
空調システムの冷却剤回路に一体化された内部熱交換器は、冷却剤の熱を高圧側から低圧側へ伝達することにより、空調システムの効率を高めることができる。この場合は、冷却剤は、高圧側では液体であり、低圧側ではガス状であり、高圧側の冷却剤は第1流れ流路を通して案内され、低圧側の冷却剤は第2流れ流路を通して案内される。車両等の移動式空調システムの空調回路は、冷却剤が中を循環する閉じた回路を有する。冷却剤は、コンプレッサにより圧縮され、その後、凝縮器に進入し、そこで液化される。液化された冷却剤は内部熱交換器に導かれ、内部熱交換器内で、凝縮器を離れる冷却剤が、蒸発器を離れるガス状冷却剤に熱を伝達する。その後、液体冷却剤は膨脹弁に流入し、そこで冷却剤の圧力が低減される。冷却剤は、蒸発器内で熱を吸収し、そこで蒸発し、その後ガス状になる。
【0034】
本発明による車両は、先に記載した実施形態のうちの1つにおける、本発明による管路装置を備える。本発明による管路装置は特にコンパクトであり、そのため、設置するスペースが限られることが特に多い電気自動車内での使用にも特に適している。
【0035】
本発明による管路装置の幾つかの実施形態を、以下で図を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】交差した流路を備えた管路装置を立体的に示した図。
図2図1による管路装置の平面図。
図3】その内部で各流路の配向が変化している管路装置を立体的に示した図。
図4図3による管路装置の平面図及び側面図。
図5】交差した幾つかの流路を備えた管路装置を立体的に示した図。
図6図5による管路装置の断面の平面図。
図7】交差する形態の管路装置を立体的に示した図。
図8図7による管路装置の断面を立体的に示した図。
図9図7による管路装置の断面の平面図。
図10】交差した流路を備えた管路装置を立体的に示した図。
図11図10による管路装置の部分を立体的に示した図。
図12】一方の流路が部分的に他方の流路内に延在している管路装置を立体的に示した図。
図13図12による管路装置の部分を立体的に示した図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
これらの図は、温度制御媒体輸送用の管路装置1を示す。管路装置1は、ポリマー材料製の基体2から形成されており、この基体2は、ブロー成形により製造される。基体2から第1流路3と第2流路4とが形成されており、この第1流路3と第2流路4は、温度制御媒体を収容する。実施形態によっては、更なる流路9を設けてもよい。管路装置1は、しばしばマニホルド構造をなしており、その場合は、マニホルドとも呼ばれる。
【0038】
基体2は、均一な材料で形成され且つブロー成形された部分として一体的になっており、ポリプロピレン又はポリアミド等の熱可塑性材料でできている。たいていは、流路3、4、9は、互いに材料結合により接続されるものであり、流路3、4、9の各境界壁が互いに接触しているか、又は、流路3、4、9間にウェブが形成されている。
【0039】
本事例において、管路装置1は、電気自動車のドライブユニット構成要素の温度を制御するように構成される温度制御ユニットの一部である。これらの構成要素は、電池に加えて、パワーエレクトロニクス及び電気モータを備える。さらに、温度制御ユニットは、充電エレクトロニクス機器やこれに関連するプラグ接続部や配管も冷却するように構成されているが、高速充電処理に関しては、このことは特に有利である。さらに、温度制御ユニットは、その他の車両エレクトロニクス機器の構成要素を制御する、特に冷却するように構成可能である。このような構成要素には、自動運転のためのセンサ及びコンピュータ、オンボードコンピュータが含まれる。
【0040】
別の方法として、管路装置1は、空調システムの空調回路の一部を形成することができ、この空調システムは、自動車の移動式空調システムの形態をとる。
【0041】
図1及び図2による実施形態において、第1流路3及び第2流路4は、交差区域5において第1流路3と第2流路4とが交差する態様で、基体2内での経路がとられている。交差区域5においては、第1流路3及び第2流路4は、S字屈曲の形態で弓形となるように経路がとられている。
【0042】
第1流路3及び第2流路4は、交差区域5において、断面を有し、交差区域5におけるこの断面は、管路装置1の領域内における流路3、4の他の断面とは異なっている。第1流路3及び第2流路4は、交差区域5において平坦になっている。これにより、断面で見ると、交差区域5において、第1流路3及び第2流路4は矩形状に形成されており、矩形の流路断面の角部領域は丸くなっている。第1流路3及び第2流路4が平坦にされるにあたって、交差区域5の領域において交差する流路3、4の高さが、交差区域5の外側の領域において丸い断面を有し且つ互いに隣り合う経路をとる流路3、4の高さに対応するように、なされている。結果として、管路装置1は、全体的な高さに関して言えば、設置スペースに関連する限り影響は少ない。
【0043】
交差区域5の外側では、第1流路3と第2流路4とは互いに材料結合され、流路3、4の流路壁が互いに当接し接触する。別の方法として、流路3、4は、これらの流路がはずれないように締結手段によって互いに接続することもでき、又は、ウェブによって互いに接続することもできる。
【0044】
交差区域5では流路3、4間に開口6が形成されている。別の方法として、流路間に境界壁を配置することができる。
【0045】
基体2内には、機能要素7が配置されている。機能要素7は、基体2と同一の材料で且つ基体2と一体的に形成されている。本事例において、機能要素7は絞り弁をなしている。
【0046】
図3に示す実施形態において、第1流路3及び第2流路4は、第1区域11においては互いに対して第1配向となっており、第2区域12においては互いに対して第2配向となっている。また、第1配向は、第2配向とは異なっている。具体的に言うと、この実施形態では、流路3、4は、第1区域11においては第1平面内で互いに平行に延在しており、第2区域12内では第2平面内で互いに平行に延在している。流路3、4は、第1区域11においては垂直平面内に延在しており且つ上下に配置されており、第2区域12では水平平面内に延在しており且つ並んで配置されている。よって、流路3、4は、各区域において、互いに平行に延在している。
【0047】
第1区域11と第2区域12との間のつなぎの部分では、流路は、第3区域13及び第4区域14において弓形となっており、流路3、4の配向は第3区域13内及び第4区域14内で変化する。弓形の区域13、14は、管路装置1が全体としてU字形状になるように形成されている。
【0048】
図4は、図3に示す管路装置1の平面図を上部に示し、側面図を下部に示している。
【0049】
図5は、3つの流路3、4、9を備えた管路装置1を示す。1つの流路9が、交差区域5において他の2つの流路3、4に交差する。このために、流路9は、他の2つの流路3、4を貫通する。流路9は、交差区域5において、他の流路3、4内に経路がとられている。流路3、4、9内における流体の流れを分離しておくために、流路9の部分流路16がインサート17として形成される。インサート17は、管状要素であり、これを通して、流路9を通る流体が交差区域5を通るように輸送される。インサート17は、図6の断面図に見ることができる。交差区域5の外側では、流路3、4、9は、区域15において、平行に延在している。流路3、4、9は、全ての区域において1つの平面内で延在している。インサート17は、ポリマー材料で形成されているが、これの代わりに、アルミニウム等の金属材料を考慮してもよい。
【0050】
図7は、2つの流路3、4を備えた管路装置1を示す。一方の流路4が、交差区域5において他方の流路3に交差する。2つの流路3、4は、互いに対して或る角度で延在しており、この実施形態では直角で延在している。これにより、管路装置1には交差部分が形成される。
【0051】
交差区域5においては、流路4は他方の流路3を貫通しており、流路4は、交差区域5において他方の流路3の内部に経路がとられている。流路3、4内における流体の流れを分離しておくために、流路4の部分流路16がインサート17として形成される。インサート17は、管状要素であり、これを通して、流路4を通る流体が、交差区域5を通るように輸送される。インサート17は、流路3、4間で媒体が溢流しないように、管路装置1内に流体密に挿入される。インサート17は、図8及び図9の断面図に見ることができる。
【0052】
図10は、図7図8、及び図9に示す管路装置1の更なる展開例を示す。本実施形態において、弓形の第3区域13及び第4区域14は、交差区域5に隣接する。弓形の区域13、14は、流路3、4が区域15において互いに平行に延在している態様で形成されている。図11は、図10に示す管路装置1の断面図を、インサート17とともに示す。
【0053】
図12に示す管路装置1において、一方の流路4が部分的に他方の流路3の内部に経路をとるように、一方の流路4が他方の流路3を貫通する。この事例において、管路装置1は、車両の空調ユニットの内部熱交換器を形成する。流路3、4内における流体の流れを分離しておくために、流路4の部分流路がインサート17として形成される。インサート17は、管状要素であり、これを通して、流路4を通る流体が、他方の流路3の内部に位置する領域を通るように輸送される。インサート17は図13の断面図に見ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】