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  • 特開-環状スロット型給気手段及び給気方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022042996
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】環状スロット型給気手段及び給気方法
(51)【国際特許分類】
   C21C 7/072 20060101AFI20220308BHJP
   F27D 27/00 20100101ALI20220308BHJP
   F27D 3/16 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
C21C7/072 A
F27D27/00
F27D3/16 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021142252
(22)【出願日】2021-09-01
(31)【優先権主張番号】202010916539.7
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521319133
【氏名又は名称】鋼鉄研究総院
【氏名又は名称原語表記】CENTRAL IRON & STEEL RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.76 Xueyuan Nanlu, Haidian District, Beijing 100081, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊利彬
(72)【発明者】
【氏名】王傑
(72)【発明者】
【氏名】楊勇
(72)【発明者】
【氏名】趙進宣
(72)【発明者】
【氏名】汪成義
(72)【発明者】
【氏名】蔡偉
【テーマコード(参考)】
4K013
4K055
4K056
【Fターム(参考)】
4K013CA21
4K055AA02
4K055AA03
4K055AA04
4K055MA03
4K055MA10
4K056AA02
4K056AA05
4K056CA02
4K056CA04
4K056EA14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】薄スラグ層又は無スラグ層の条件下での気体の高強度吹付を実現する、環状スロット型給気手段及び給気方法を提供する。
【解決手段】環状スロット型給気手段は、中心管1と、内側スリーブ2と、外側スリーブ3と、外部気室と、外部気室内に位置する内部気室と、を含み、中心管と、内側スリーブと、外側スリーブとがこの順に嵌装されており、中心管と内側スリーブとの間に少なくとも1つの内側環状スロット4が形成されており、内側スリーブと外側スリーブとの間に少なくとも1つの外側環状スロット5が形成されており、内側環状スロットが内部気室に連通しており、外側環状スロットが外部気室に連通している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状スロット型給気手段であって、
中心管と、内側スリーブと、外側スリーブと、外部気室と、外部気室内に位置する内部気室と、を含み、前記中心管、前記内側スリーブと、前記外側スリーブとがこの順に嵌装されており、
前記中心管と前記内側スリーブとの間に少なくとも1つの内側環状スロットが形成されており、前記内側スリーブと外側スリーブとの間に少なくとも1つの外側環状スロットが形成されており、前記内側環状スロットが内部気室に連通し、前記外側環状スロットが外部気室に連通していることを特徴とする環状スロット型給気手段。
【請求項2】
前記外側環状スロットの気体流量が前記内側環状スロットの気体流量よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の環状スロット型給気手段。
【請求項3】
前記内部気室に連通する内側吸気管と、前記外部気室に連通する外側吸気管と、をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の環状スロット型給気手段。
【請求項4】
前記内側吸気管及び/又は前記外側吸気管内には円錐状ストレーナが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の環状スロット型給気手段。
【請求項5】
前記円錐状ストレーナの先端の向き方向が気体流動方向と逆であることを特徴とする請求項4に記載の環状スロット型給気手段。
【請求項6】
前記内部気室は、前記内部気体チャンバと、前記内部気体チャンバ内に設けられた中心オーバーフロープレートと、を含み、前記中心オーバーフロープレートには中心オーバーフロー孔が開孔されており、前記中心管が中心オーバーフロープレート上に架設されており、前記内側スリーブが内部気体チャンバ上に架設されていること、
及び/又は、前記外部気室は、外部気体チャンバを含み、前記外側スリーブが外部気体チャンバ上に架設されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の環状スロット型給気手段。
【請求項7】
前記内側スリーブと中心管との間にさらに少なくとも1層の内側トランジッションスリーブが設けられており、
前記内部気室は、前記中心オーバーフロープレートと前記内部気体チャンバ壁との間に設けられた少なくとも1つの内側オーバーフロープレートをさらに含み、
前記内側オーバーフロープレート上には内側オーバーフロー孔が開孔されており、前記内側トランジッションスリーブが前記内側オーバーフロープレート上に架設されていることを特徴とする請求項6に記載の環状スロット型給気手段。
【請求項8】
前記外側スリーブと内側スリーブとの間にはさらに少なくとも1層の外側トランジッションスリーブが設けられており、
前記外部気室は、前記外部気体チャンバ内に設けられた少なくとも1つの外側オーバーフロープレートをさらに含み、前記外側オーバーフロープレート上には外側オーバーフロー孔が開孔されており、前記外側トランジッションスリーブが前記外側オーバーフロープレート上に架設されていることを特徴とする請求項6に記載の環状スロット型給気手段。
【請求項9】
環状スロット型給気手段の給気方法であって、
内部気体が順次に前記内部気室と、前記内側環状スロットと、を通過して冶金炉溶融プール内に吹き込まれるステップ、及び/又は
前記外部気体が順次に前記外部気室と、前記外側環状スロットと、を通過して冶金炉溶融プール内に吹き込まれるステップ、
を含み、
前記内部気体と外部気体とは種類が同じであるか、又は異なっていることを特徴とする環状スロット型給気手段の給気方法。
【請求項10】
環状スロット型給気手段の給気方法であって、
ライニングに侵食が発生し、かつ前記外側環状スロットの外部気体給気流量を低下させても侵食が避けられない場合、前記外側環状スロットが給気を行わず、内側環状スロットのみが給気を行うこと、
または、製錬に必要な給気流量が50m/h以下であり、あるいは給気圧力が0.1MPa以下である場合、前記内側環状スロットの給気通路が給気を行わず、外側環状スロットのみが給気を行うこと、
または、ライニングが完全に露出した場合、冶金炉に溶銑を添加するときに、前記内側環状スロットの内部気体給気圧力と外側環状スロットの外部気体給気圧力とが同じであること、
または、溶鋼製錬過程において、前記内側環状スロットの内部気体流量が外側環状スロットの外部気体流量よりも小さいことを特徴とする請求項9に記載の環状スロット型給気手段の給気方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金技術分野に属し、特に環状スロット型給気手段及び給気方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冶金生産において、生産プロセスの要求に応じて、冶金炉の底部及び/又は側壁等の部位から溶融プールへ各種の気体(窒素ガス、アルゴンガス、空気など)を導入する必要があり、冶金炉の溶融プールの動力学条件の最適化を行うことにより、成分を均一にし、反応を促進させ、効率を向上させるなどの効果を奏し、その中、気体の高効率な吹付が特に重要である。
【0003】
スラグコーティング技術は、スラグをスパッタリングすることにより冶金炉のライニング表面にスラグ層を生成することにより、ライニングを保護し、炉の寿命を延長する効果を奏する。製錬技術の発展に伴って、冶金において効率的に製錬する必要性が高まり、特に、薄スラグ層又は無スラグ層の条件下での気体の高強度吹付は、気体吹付手段の給気及びメンテナンスプロセスに対する要求が高くなっている。
【0004】
従来技術は、製鋼用多機能環状スロット型給気手段を開示しており、環状スロット給気方式により、キャピラリ、単管、環状スロット管型給気方式の流量調節範囲が狭く、目詰まりが発生しやすく、侵食が発生しやすいという問題を解決し、スラグコーティング条件下での気体の長時間吹付を実現した。しかし、上記環状スロット型給気手段には、1つの気体制御通路と1つの気体分配室とをしかなく、内部リングと外部リングとの単独差別化制御を実現することができず、薄スラグ層又は無スラグ層の条件下、外部リングの気流が大きすぎるため、底吹給気手段と底吹煉瓦との接触部位の耐火材の過度の侵食を引き起こしやすいので、薄スラグ層、無スラグ層又は複雑なプロセス条件下での気体の高強度吹付を実現することができない。
【発明の概要】
【0005】
上記の分析に鑑みて、本発明の目的は、従来技術において薄スラグ層、無スラグ層又は複雑なプロセス条件下での気体の高強度吹付を実現できない課題を解決するために、環状スロット型給気手段及び給気方法を提供することにある。
【0006】
本発明の目的は、主に以下の技術的解決手段により実現される。
【0007】
本発明は、環状スロット型給気手段を提供し、当該給気手段は、中心管と、内側スリーブと、外側スリーブと、外部気室と、外部気室内に位置する内部気室と、を含み、中心管と、内側スリーブと、外側スリーブとがこの順に嵌装されており、中心管と内側スリーブとの間に少なくとも1つの内側環状スロットが形成されており、内側スリーブと外側スリーブとの間に少なくとも1つの外側環状スロットが形成されており、内側環状スロットが内部気室に連通し、外側環状スロットが外部気室に連通している。
【0008】
さらに、上記環状スロット型給気手段は、転炉、電気炉又は取鍋に適用される。
【0009】
さらに、外側環状スロットの気体流量が内側環状スロットの気体流量より小さい。
【0010】
さらに、外側環状スロットの気体給気圧力が内側環状スロットの気体給気圧力に等しく、外側環状スロットの面積が内側環状スロットの面積よりも小さいか、あるいは、外側環状スロットの面積が内側環状スロットの面積に等しく、外側環状スロットの気体給気圧力が内側環状スロットの気体給気圧力より小さい。
【0011】
さらに、内側環状スロットのスロット幅と外側環状スロットのスロット幅との差が1mm以下である。
【0012】
さらに、内側環状スロットのスロット幅が1~2mmであり、外側環状スロットのスロット幅が0.5~1mmである。
【0013】
さらに、内側環状スロットのスロット幅が1mm、1.1mm、1.3mm、1.5mm、1.7mm、1.9mm又は2.0mmであり、外側環状スロットのスロット幅が0.5mm、0.7mm、0.8mm又は1.0mmである。
【0014】
さらに、上記環状スロット型給気手段は、内部気室に連通する内側吸気管と、外部気室に連通する外側吸気管と、をさらに含む。
【0015】
さらに、上記内側吸気管及び/又は外側吸気管内には円錐状ストレーナが設けられている。
【0016】
さらに、円錐状ストレーナの先端の向きが気体流動方向とは逆である。
【0017】
さらに、上記円錐状ストレーナは、ろ過用網と、側面骨格と、軸骨格と、バネとを含み、ろ過用網が側面骨格上に設けられて円錐状ストレーナの側面を構成し、軸骨格が円錐状ストレーナの軸線に沿って設けられている。側面骨格の両端はそれぞれ円錐状ストレーナの先端に近い接続端および円錐状ストレーナの底端に近い支持端であり、軸骨格の両端はそれぞれ内側吸気管と外側吸気管とから伸び出す引張端および円錐状ストレーナの底端に近い支持端であり、側面骨格の支持端は、バネにより軸骨格の支持端に接続されており、バネは常にテンション状態にあり、側面骨格の接続端が軸骨格に回動接続されており、軸骨格の引張端は内側吸気管及び外側吸気管に伸び出す。
【0018】
さらに、内部気室は、内部気体チャンバと、内部気体チャンバ内に設けられた中心オーバーフロープレートとを含み、中心オーバーフロープレート上には中心オーバーフロー孔が開孔されており、その中、中心管が中心オーバーフロープレート上に架設されており、内側スリーブが内部気体チャンバ上に架設されている。
【0019】
さらに、内側環状スロットの数が少なくとも2つである場合、内側スリーブと中心管との間にはさらに少なくとも1層の内側トランジッションスリーブが設けられており、上記内部気室は、中心オーバーフロープレートと内部気体チャンバ壁との間に設けられた少なくとも1つの内側オーバーフロープレートをさらに含み、内側オーバーフロープレート上には内側オーバーフロー孔が開孔されており、内側トランジッションスリーブが内側オーバーフロープレート上に架設されている。
【0020】
さらに、内側オーバーフロー孔の孔径が内側オーバーフロープレートの孔径よりも大きい。
【0021】
さらに、上記内部気室は、内部気体チャンバの内側環状スロットに近い端に設けられた内側導流部をさらに含み、内側導流部により気体を内側環状スロットへ案内する。
【0022】
さらに、内側導流部の導流面が螺旋円錐状である。
【0023】
さらに、外部気室は、外部気体チャンバを含み、外側スリーブが外部気体チャンバ上に架設されている。
【0024】
さらに、外側環状スロットの数が少なくとも2つである場合、外側スリーブと内側スリーブとの間にはさらに少なくとも1層の外側トランジッションスリーブが設けられており、上記外部気室は、外部気体チャンバ内に設けられた少なくとも1つの外側オーバーフロープレートをさらに含み、外側オーバーフロープレート上には外側オーバーフロー孔が開孔されており、外側トランジッションスリーブが外側オーバーフロープレート上に架設されている。
【0025】
さらに、上記外部気室は、外部気体チャンバの外側環状スロットに近い端に設けられた外側導流部をさらに含み、外側導流部により気体を外側環状スロットへ案内する。
【0026】
さらに、外側導流部の導流面が螺旋円錐状である。
【0027】
さらに、外側環状スロットの数が1つ又は2つであり、内側環状スロットの数が1つ又は2つである。
【0028】
本発明は、上記環状スロット型給気手段を採用する環状スロット型給気手段の給気方法をさらに提供し、当該給気方法は、
内部気体が順次に内部気室と、内側環状スロットと、を通過して冶金炉溶融プール内に吹き込まれるステップ、及び/又は
外部気体が順次に外部気室と、外側環状スロットと、を通過して冶金炉溶融プール内に吹き込まれるステップ、
を含み、
内部気体と外部気体とは種類が同じであるか、又は異なっている。
【0029】
さらに、外側環状スロットの外部気体流量が内側環状スロットの内部気体流量より小さい。
【0030】
さらに、外側環状スロットの外部気体給気圧力が内側環状スロットの内部気体給気圧力に等しく、外側環状スロットの面積が内側環状スロットの面積よりも小さいか、あるいは、外側環状スロットの面積が内側環状スロットの面積に等しく、外側環状スロットの外部気体給気圧力が内側環状スロットの内部気体給気圧力より小さい。
【0031】
さらに、ライニングに侵食が発生し、かつ外側環状スロットの外部気体給気流量を低下させても侵食が避けられない場合、外側環状スロットが給気を行わず、内側環状スロットのみが給気する。
【0032】
さらに、製錬に必要な給気流量が50m/h以下あるいは給気圧力が0.1MPa以下である場合、内側環状スロットの給気通路が給気を行わず、外側環状スロットのみが給気を行う。
【0033】
さらに、ライニング完全に露出した場合、冶金炉に溶銑を添加するときに、内側環状スロットの内部気体給気圧力と外側環状スロットの外部気体給気圧力とが同じであり、溶銑目詰まりの防止に有利である。溶鋼製錬過程において、内側環状スロットの内部気体流量が外側環状スロットの外部気体流量よりも小さく制御する。
【0034】
さらに、上記内側環状スロットの内部気体給気圧力が0.1~3.0MPaであり、上記外側環状スロットの外部気体給気圧力が0.1~3.0MPaである。
【0035】
上記内側環状スロットの内部気体給気圧力が0.1MPa、0.5MPa、0.9MPa、1.2MPa、1.7MPa、1.9MPa、2.3MPa、2.5MPa、2.9MPa又は3.0MPaであり、上記外側環状スロットの外部気体給気圧力が0.1MPa、0.5MPa、0.9MPa、1.2MPa、1.7MPa、1.9MPa、2.3MPa、2.5MPa、2.9MPa又は3.0MPaである。
【0036】
さらに、内側環状スロットの内部気体給気圧力と外側環状スロットの外部気体給気圧力との圧力差が≦1.0MPaである。
【0037】
さらに、上記内側環状スロットの内部気体流量が20~300Nm/hであり、上記外側環状スロットの外部気体流量が20~300Nm/hである。
【0038】
上記内側環状スロットの内部気体流量が20Nm/h、55Nm/h、84Nm/h、120Nm/h、170Nm/h、245Nm/h、265Nm/h又は300Nm/hであり、上記外側環状スロットの外部気体流量が20Nm/h、55Nm/h、84Nm/h、120Nm/h、170Nm/h、245Nm/h、265Nm/h又は300Nm/hである。
【0039】
さらに、内側環状スロットの内部気体流量と外側環状スロットの外部気体流量との流量差が≦200Nm/hである。
【0040】
従来技術と比べて、本発明は以下の有益な効果を少なくとも1つ実現することができる。
【0041】
a)本発明が提供する環状スロット型給気手段は、各種の冶金炉気体吹付プロセスに適用され、異なる気体室を設置することにより、内部気室を外部気室内に配置し、内側環状スロットが内部気室を用いてに給気し、外側環状スロットが外部気室を用いて給気し、金属溶錬過程において、内側環状スロット及び外側環状スロットは、単独又は同時に冶金炉溶融プールに気体を吹き付けることが可能となり、これにより、内側環状スロットと外側環状スロットとの単独差別化制御を実現することができ、さらに薄スラグ層、無スラグ層又は複雑なプロセス条件下での気体の高強度吹付を実現することができる。
【0042】
b)従来技術において、1つの気体室を用いて複数の環状スロットを同時に制御し、各環状スロットの気流流量が自動的に分配され、単独制御を実現することができない。本発明が提供する環状スロット型給気手段によれば、内側環状スロットと外側環状スロットとはそれぞれ2つの気体室により単独に制御され、内側環状スロットと外側環状スロットから吹き付ける気体流量の単独制御を実現することができ、調節範囲が大きく、より気体の高強度吹付に有利である。
【0043】
c)本発明が提供する環状スロット型給気手段によれば、外側環状スロットの気体流量が内側環状スロットの気体流量より小さく、外側環状スロットの気体流量が大き過ぎないことを保証した上、内側環状スロットの気体流量を適宜向上させることにより、高強度吹付を実現することができる。
【0044】
本発明のその他の特徴及び利点については後述し、また、そのうちの一部が明細書から明らかとなるか、あるいは本発明を実施することにより理解され得る。本発明の目的及び他の利点は、明細書及び図面において特に言及された構造により実現及び取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図面は、具体的な実施例の目的を示すためのものに過ぎず、本発明を制限するものではないと理解されるべきであり、図面全体において、同一符号は同一部品を表す。
図1】本発明の実施例1が提供する環状スロット型給気手段の構造概略図であり、その中、内側環状スロットの数が1個であり、外側環状スロットの数が1個である。
図2】本発明の実施例1が提供する環状スロット型給気手段のもう1つのい構造概略図であり、その中、内側環状スロットの数が2個であり、外側環状スロットの数が1個である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施例を詳しく説明し、その中、図面が本発明の一部を構成し、本発明の実施例1とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
【0047】
本発明の実施例の説明において、別途規定及び限定がない限り、「接続」という用語は、広範に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、着脱可能な接続であってもよく、あるいは、一体化接続は、機械的接続であってもよいし、電気的接続であっても直接接続であってもよいし、中間物を介した間接接続であってもよい。当業者にとって、上記用語の本発明における具体的な意味を具体的な場合に応じて理解することができる。
【0048】
全文の説明において使用される「頂部」、「底部」、「…上方に」、「下方」及び「…上方に」という用語は、装置の部品に対する相対位置、例えば、装置内部の頂部と底部ライナーの相対位置である。装置が多機能のものであり、それらの空間における方位とは無関係であると理解されうるであろう。
【0049】
本発明の通常の作業面は、平面又は曲面であってもよく、傾斜であってもよいし、水平であってもよい。説明の便宜上、本発明の実施例では水平面に放置して、さらに水平面で使用し、これにより、「高低」および「上下」を限定する。
【0050】
本発明は、環状スロット型給気手段を提供し、当該給気手段は、図1図2に示すように、中心管1と、中心管1の外周面に嵌装された内側スリーブ2と、内側スリーブ2の外周面に嵌装された外側スリーブ3と、外部気室と、外部気室内に位置する内部気室と、を含み、中心管1と内側スリーブ2との間には少なくとも1つの内側環状スロット4が形成されており、内側スリーブ2と外側スリーブ3との間には少なくとも1つの外側環状スロット5が形成されており、内側環状スロット4が内部気室に連通し、外側環状スロット5が外部気室に連通している。
【0051】
実施時に、内部気室と内側環状スロット4とが内側環状スロットの給気通路を構成し、外部気室と外側環状スロット5とが外側環状スロット給気通路を構成する。気体は、それぞれ内側環状スロットの給気通路と、外側環状スロット給気通路と、を通過して冶金炉溶融プール内に吹き込まれる。
【0052】
従来技術と比べて、本発明が提供する環状スロット型給気手段は、各種の冶金炉(例えば、転炉、電気炉、取鍋等の冶金容器)気体吹付プロセスに適し、異なる気体室(内部気室及び外部気室)を設置して、内部気室を外部気室内に放置することにより、内側環状スロット4が内部気室を用いて給気し、外側環状スロット5が外部気室を用いて給気し、金属溶錬過程において、内側環状スロット4及び外側環状スロット5は、単独又は同時に冶金炉溶融プールに気体を吹き付けることにより、内側環状スロット4と外側環状スロット5との差別化制御を実現することができ(例えば、流量が同じであって圧力が異なるか、圧力が同じであって流量が異なるか、あるいは、圧力も流量も異なる)、さらに、薄スラグ層、無スラグ層又は複雑なプロセス条件下での気体の高強度吹付を実現することができる。
【0053】
同時に、従来技術では、1つの気体室を用いて複数の環状スロットを制御し、各環状スロットの気流流量が自動的に分配され、単独制御を実現することができない。本発明が提供する環状スロット型給気手段によれば、内側環状スロット4及び外側環状スロット5はそれぞれ2つの気体室により単独に制御され、内側環状スロット4及び外側環状スロット5が吹き付ける気体の流量の単独制御を実現することができ、調節範囲が大きく、より気体の高強度吹付に有利である。
【0054】
ライニングを保護する点で考慮すると、外側環状スロット5の気体流量を内側環状スロット4の気体流量より小さくする。なぜなら、実際の応用において、外側環状スロット5の気体流量が大きすぎると、底吹給気手段と底吹煉瓦との接触部位の耐火材の過度の侵食を引き起こしやすいからであり、外側環状スロット5の気体流量を内側環状スロット4の気体流量より小さくすることにより、外側環状スロット5の気体流量が過大にならないことを保証した上、内側環状スロット4の気体流量を適宜向上させることにより、高強度吹付を実現することができる。
【0055】
外側環状スロット5の気体流量を内側環状スロット4の気体流量より小さくする実現方式としては、下記の2種類が挙げられる。具体的に、外側環状スロット5の気体給気圧力を内側環状スロット4の気体給気圧力に等しくし、外側環状スロット5の面積を内側環状スロット4の面積より小さくするか、あるいは、外側環状スロット5の面積を内側環状スロット4の面積に等しくし、外側環状スロット5の気体給気圧力を内側環状スロット4の気体給気圧力より小さくする。
【0056】
内側環状スロット4と外側環状スロット5とのスロット幅の差が過大になると、気体吹付の効果の差が過大になるので、それを考慮して、内側環状スロット4のスロット幅と外側環状スロット5のスロット幅との差を1mmにする。
【0057】
具体的に、内側環状スロット4及び外側環状スロット5のスロット幅について、例示的に、内側環状スロット4のスロット幅が1~2mm(例えば、1mm、1.1mm、1.3mm、1.5mm、1.7mm、1.9mm又は2.0mm)であり、外側環状スロット5のスロット幅が0.5~1mm(例えば、0.5mm、0.7mm、0.8mm又は1.0mm)である。なぜなら、内側環状スロット4と外側環状スロット5のスロット幅が過大になると、同一流量での給気圧力が小さくなり、気体吹付制御に不利であり、安全問題およびブレイクアウトの危険が発生しやすく、内側環状スロット4と外側環状スロット5のスロット幅が過大になると、気体の高強度吹付に不利であり、内側環状スロット4と外側環状スロット5との目詰まりを引き起こしやすいからである。
【0058】
内部気室および外部気室の給気を実現するために、上記環状スロット型給気手段は、内部気室に連通する内側吸気管6と、外部気室に連通する外側吸気管7と、をさらに含むことが理解されるべきである。
【0059】
気体内に不純物が存在する可能性を考慮して、金属製錬が不純物により影響されるのを避けるために、上記内側吸気管6及び/又は外側吸気管7内には円錐状ストレーナ8が設けられ、気体が円錐状ストレーナ8を流れるとき、円錐状ストレーナ8は、気体中の不純物をろ過し、気体を浄化する役割を果たすことができ、これにより、気体における不純物の金属製錬への悪影響を低減することができる。
【0060】
円錐状ストレーナ8の先端のろ過孔が不純物で目詰まるのを避けるために、円錐状ストレーナ8の先端の向きを気体流動方向と逆にし、即ち、円錐状ストレーナ8の先端の向きを内側吸気管6及び外側吸気管7の吸気端に向くようにする。このようにして、不純物が円錐状ストレーナ8によりろ過された後、気流の作用により、不純物が円錐状ストレーナ8の底端へ移動することができ、これにより、円錐状ストレーナ8の先端のろ過孔が不純物で目詰まることは避けられる。
【0061】
円錐状ストレーナ8のろ過性能を保証して、円錐状ストレーナ8の交換を容易にするために、上記円錐状ストレーナ8は、ろ過用網と、側面骨格と、軸骨格と、バネと、を含み、ろ過用網が側面骨格上に設けられて円錐状ストレーナ8の側面を構成し、軸骨格が円錐状ストレーナ8の軸線に沿って設けられている。その中、側面骨格の両端は、それぞれ円錐状ストレーナ8の先端に近い接続端、および円錐状ストレーナ8の底端に近い支持端であり、軸骨格の両端はそれぞれ内側吸気管6及び外側吸気管7から伸び出す引張端、及び円錐状ストレーナ8の底端に近い支持端であり、側面骨格の支持端は、バネにより軸骨格の支持端に接続されており、バネは始終テンション状態にあり、側面骨格の接続端が軸骨格と回動接続されており、軸骨格の引張端が内側吸気管6及び外側吸気管7から伸び出す。円錐状ストレーナ8の目詰まりがひどくて交換する必要がある場合、引張軸骨格の引張端は、円錐状ストレーナ8全体を内側吸気管6の吸気端と外側吸気管7の吸気端に近づく方向へ移動させ、側面骨格の支持端を軸骨格に接近して又は離れる方向へ移動させることができ、バネは、テンション状態を調整することにより、円錐状ストレーナ8の底端直径を小さくすることができ、これにより、円錐状ストレーナ8全体を内側吸気管6と外側吸気管7から取り出すことができる。また、バネの設置は、ろ過用網の底端が始終内側吸気管6の内壁と外側吸気管7の外壁と接触するのを保証して、塵が漏れて内側吸気管6及び外側吸気管7が汚染されるのを避けることができる。
【0062】
内部気室の構造について、具体的に、内部気体チャンバ9と、内部気体チャンバ9内に設けられた中心オーバーフロープレート11と、を含み、中心オーバーフロープレート11上には中心オーバーフロー孔が開孔されている。その中、中心管1が中心オーバーフロープレート11上に架設されており、内側スリーブ2が内部気体チャンバ9上に架設されている。このように内部気体チャンバ9及び中心オーバーフロープレート11の設置により、中心管1及び内側スリーブ2の安定的な取付を実現することができる。同時に、気体が中心オーバーフロー孔を流れて内側環状スロット4から冶金炉溶融プール内に吹き込まれる。
【0063】
なお、内側環状スロット4の数が少なくとも2つである場合、内側スリーブ2と中心管1との間にはさらに少なくとも1層の内側トランジッションスリーブ12が設けられており、内側トランジッションスリーブ12の安定的な取付を実現するために、上記内部気室は、中心オーバーフロープレート11と内部気体チャンバ9壁との間に設けられた少なくとも1つの内側オーバーフロープレート13をさらに含み、内側オーバーフロープレート13上には内側オーバーフロー孔が開孔されており、内側トランジッションスリーブ12が内側オーバーフロープレート13上に架設されている。
【0064】
気体の流動について、例示的に、内側環状スロット4の数が2つであり、それぞれ中心スリーブと内側トランジッションスリーブ12との間の第1内側環状スロット及び内側トランジッションスリーブ12と内側スリーブ2との間の第2内側環状スロットである。気体が内部気体チャンバ9に流れ込み、一部の気体が中心オーバーフロー孔を経過して第1内側環状スロットから冶金炉溶融プール内に吹き込まれ、もう一部の気体が内側オーバーフロー孔を経過して第2内側環状スロットから冶金炉溶融プール内に吹き込まれる。
【0065】
複数の内側環状スロット4から吹き付けた気体の均一性を向上させるために、内側オーバーフロー孔の孔径を内側オーバーフロープレート13の孔径より大きくする。なぜなら、給気通路の流体抵抗力と比べて、内部気体チャンバ9、中心オーバーフロー孔及び第1内側環状スロットで第1内側環状スロットの給気通路を構成し、内部気体チャンバ9、内側オーバーフロー孔及び第2内側環状スロットで第2内側環状スロットの給気通路を構成する場合、第1内側環状スロットの給気通路の流体抵抗力が第2内側環状スロットの給気通路より小さいことが明らかであり、内側オーバーフロー孔の孔径を内側オーバーフロープレート13の孔径より大きくすることにより、第2内側環状スロットの給気通路の流体抵抗力を適宜低減することができ、これにより、複数の内側環状スロット4から吹き付ける気体の均一性を向上させることができる。
【0066】
気体を内側環状スロット4へスムーズに案内可能にするために、上記内部気室は、内部気体チャンバ9の内側環状スロット4に近い端に設けられた内側導流部14をさらに含み、内側導流部14により、気体を内側環状スロット4へ案内することができる。
【0067】
内側導流部14の構造について、具体的に、内側導流部14の導流面が螺旋円錐状であり、いわゆる導流面とは、内側導流部14の気体との接触する面である。螺旋円錐状の導流面により、気体を収束することができ、気体を内側環状スロット4へ徐々に集合させ、内側環状スロット4に入らせる。同時に、螺旋円錐状の導流面を使用することにより、気体が流動過程において回転気流を形成するようにし、回転気流が内側環状スロット4を流れ、流体抵抗力を低下させることができ、これにより、内側環状スロット4の通気効果を増加させ、内側環状スロット4に目詰まりが発生するのを避けることができる。
【0068】
同様に、外部気室の構造について、具体的に、外部気体チャンバ10を含み、外側スリーブ3が外部気体チャンバ10上に架設されている。このように、外部気体チャンバ10の設置により外側スリーブ3の安定的な取付を実現することができる。
【0069】
なお、外側環状スロット5の数が少なくとも2つである場合、外側スリーブ3と内側スリーブ2との間にはさらに少なくとも1層の外側トランジッションスリーブ(図示せず)が設けられており、外側トランジッションスリーブの安定的な取付を実現するために、上記外部気室は、外部気体チャンバ10内に設けられた少なくとも1つの外側オーバーフロープレート(図示せず)をさらに含み、外側オーバーフロープレート上に外側オーバーフロー孔が開孔されており、外側トランジッションスリーブが外側オーバーフロープレート上に架設されている。
【0070】
気体の流動について、例示的に、外側環状スロット5の数が2つであり、それぞれ外側トランジッションスリーブと外側スリーブ3との間の第1の外側環状スロット、および内側スリーブ2と外側トランジッションスリーブとの間の第2の外側環状スロットである。気体が外部気体チャンバ10に流れ込み、一部の気体が第1の外側環状スロットから冶金炉溶融プール内に吹き込まれ、もう一部の気体が外側オーバーフロー孔を経過して第2の外側環状スロットから冶金炉溶融プール内に吹き込まれる。
【0071】
気体を外側環状スロット5へスムーズに案内するために、上記外部気室は、外部気体チャンバ10の外側環状スロット5に近い端に設けられた外側導流部15をさらに含み、外側導流部15により、気体を外側環状スロット5へ案内することができる。
【0072】
外側導流部15の構造について、具体的に、外側導流部15の導流面が螺旋円錐状であり、いわゆる導流面とは、外側導流部15と気体とが接触する面である。螺旋円錐状の導流面により、気体を収束させ、気体を外側環状スロット5へ徐々に集合させ、外側環状スロット5に入らせることができる。同時に、螺旋円錐状の導流面を用いることにより、気体が流動過程において回転気流を形成し、回転気流が外側環状スロット5を流れ、流体抵抗力を低減することができ、これにより、外側環状スロット5の通気効果を増加させ、外側環状スロット5に目詰まりの発生を避けることができる。
【0073】
外側環状スロット5と内側環状スロット4との数について、例示的に、外側環状スロット5の数が1つ又は2つであり、内側環状スロット4の数が1つ又は2つである。なぜなら、内側環状スロット4のスロット幅および外側環状スロット5のスロット幅は、流量および吹付安全性に関連するからであり、内側環状スロット4のスロット幅、外側環状スロット5のスロット幅および給気圧力が一定である条件下、内側環状スロット4及び外側環状スロット5の数を1~2とすることにより、上記環状スロット型給気手段の内部構造を効果的に簡略化することができるのみならず、さらに吹付気体流量及び流量調節範囲を向上させることができる。
【0074】
実施例2
本実施例は、環状スロット型給気手段の給気方法を提供し、当該方法は、
内部気体が順次に内部気室と、内側環状スロットと、を通過して冶金炉溶融プール内に吹き込まれるステップ、及び/又は
外部気体が順次に外部気室と外側環状スロットとを通過して冶金炉溶融プール内に吹き込まれるステップ、
を含み、
内部気体及び外部気体の種類が同じであるか、又は異なっている。
【0075】
従来技術と比べて、本実施例が提供する環状スロット型給気手段の給気方法の有益な効果は実施例1が提供する環状スロット型給気手段の有益な効果とほぼ同じであり、ここでは詳しい説明を省略する。
【0076】
ライニングを保護する点で考慮すると、上記給気方法において、外側環状スロットの外部気体流量が内側環状スロットの内部気体流量より小さい。なぜなら、実際の応用において、外側環状スロットの外部気体流量が過大であると、底吹給気手段と底吹煉瓦との接触部位での耐火材の過度の侵食を引き起こしやすく、外側環状スロットの外部気体流量を内側環状スロットの内部気体流量より小さくすることにより、外側環状スロットの外部気体流量が過大にならないことを保証した上、内側環状スロットの内部気体流量を適宜向上させ、高強度吹付を実現することができる。
【0077】
外側環状スロットの外部気体流量を内側環状スロットの内部気体流量より小さくする実現方式としては、下記の2種が挙げられる。具体的に、外側環状スロットの外部気体給気圧力を内側環状スロットの内部気体給気圧力に等しくし、外側環状スロットの面積を内側環状スロットの面積より小さくするか、あるいは、外側環状スロットの面積を内側環状スロットの面積に等しくし、外側環状スロットの外部気体給気圧力を内側環状スロットの内部気体給気圧力より小さくする。
【0078】
なお、ライニングに侵食が発生し、かつ外側環状スロットの外部気体給気流量を低下させても侵食が避けられない場合、外側環状スロットが給気を行わず、内側環状スロットのみが給気する。
【0079】
製錬に必要な給気流量が50m/h以下あるいは給気圧力が0.1MPa以下である場合、内側環状スロット及び外側環状スロットが同時に給気すると、内部気体給気圧力及び外部気体給気圧力が小さ過ぎ、溶鋼が内側環状スロット及び外側環状スロット内へ逆流し、内側環状スロット及び外側環状スロットの目詰まりを引き起こすので、内側環状スロットの給気通路が給気を行わず、外側環状スロットのみが給気する方式を採用する。また、内側環状スロットの給気通路が給気を行わず、外側環状スロットのみが給気する方式を採用すれば、上記給気手段の中心が給気を行わない面積が拡大されることに相当し、即ち、中心筒の面積を増加させ、ウオーターハンマー現象を避けることもできる。なお、ウオーターハンマー現象とは、底吹給気過程において、気泡が上昇し、気泡と同じ体積の液体が下がり、内側環状スロットの排気端及び外側環状スロット排気端への侵食を引き起すことを指す。
【0080】
例えば、ライニング完全に露出した場合、冶金炉に溶銑を添加するときに、内側環状スロットの内部気体給気圧力と外側環状スロットの外部気体給気圧力とを同じ、例えば、0.3MPaに制御することにより、溶銑目詰まりの防止に有利である。溶鋼製錬過程において、内側環状スロットの内部気体流量を外側環状スロットの外部気体流量より小さく制御することは、それと接触する底吹煉瓦耐火材への侵食の低減に有利である。
【0081】
例示的に、上記内側環状スロットの内部気体給気圧力が0.1~3.0MPa(例えば、0.1MPa、0.5MPa、0.9MPa、1.2MPa、1.7MPa、1.9MPa、2.3MPa、2.5MPa、2.9MPa又は3.0MPa)であり、上記外側環状スロットの外部気体給気圧力が0.1~3.0MPa(例えば、0.1MPa、0.5MPa、0.9MPa、1.2MPa、1.7MPa、1.9MPa、2.3MPa、2.5MPa、2.9MPa又は3.0MPa)であり、かつ内側環状スロットの内部気体給気圧力と外側環状スロットの外部気体給気圧力との圧力差が≦1.0MPaであり、上記内側環状スロットの内部気体流量が20~300Nm/h(例えば、20Nm/h、55Nm/h、84Nm/h、120Nm/h、170Nm/h、245Nm/h、265Nm/h又は300Nm/h)であり、上記外側環状スロットの外部気体流量が20~300Nm/h(例えば、20Nm/h、55Nm/h、84Nm/h、120Nm/h、170Nm/h、245Nm/h、265Nm/h又は300Nm/h)であり、かつ、内側環状スロットの内部気体流量と外側環状スロットの外部気体流量との流量差が≦200Nm/hである。
【0082】
以上は、本発明の好適な具体的な実施形態であるに過ぎず、本発明の保護範囲はこれらに限定されるものではなく、当業者であれば本発明に披露された技術範囲内で容易に想到し得た変更又は置換は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0083】
1 中心管
2 内側スリーブ
3 外側スリーブ
4 内側環状スロット
5 外側環状スロット
6 内側吸気管
7 外側吸気管
8 円錐状ストレーナ
9 内部気体チャンバ
10 外部気体チャンバ
11 中心オーバーフロープレート
12 内側トランジッションスリーブ
13 内側オーバーフロープレート
14 内側導流部
15 外側導流部
図1
図2