(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043014
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】膝関節形成術のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/38 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
A61F2/38
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143789
(22)【出願日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】17/011,049
(32)【優先日】2020-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ジェーソン ザッパコスタ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ジェイ.ブラックウェル
(72)【発明者】
【氏名】キエム ファム
(72)【発明者】
【氏名】ヘイデン キャメロン
(72)【発明者】
【氏名】デビッド ストゥンポ
(72)【発明者】
【氏名】シモン コストシェフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ゲリゲル
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC05
4C097SC09
(57)【要約】
【課題】膝関節形成術のための脛骨インプラントは、患者の脛骨の近位端部上の配置のための大きさおよび形状を有する脛骨プレートを含む。
【解決手段】膝関節形成術のための脛骨インプラントには、脛骨プレート、脛骨キール、および少なくとも1つの固定突起が含まれる。脛骨プレートは、患者の脛骨の近位端部上の配置のための大きさおよび形状を有する。脛骨プレートは、反対側の近位面および遠位面を含み、遠位面は、脛骨の端部に係合するように構成されている。脛骨キールは、脛骨プレートの遠位面から遠位に延在し、かつ脛骨の近位端部に挿入されるように構成されている。固定突起は、脛骨プレートの遠位面から遠位に延在し、かつ脛骨の近位端部に挿入されるように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝関節形成術のための脛骨インプラントであって、
患者の脛骨の近位端部上の配置のための大きさおよび形状を有する脛骨プレートであって、前記脛骨プレートが、反対側の近位および遠位面を含み、前記遠位面が、前記脛骨の前記近位端部と係合するように構成されている、脛骨プレートと、
前記脛骨プレートの前記遠位面から遠位に延在し、かつ前記脛骨の前記近位端部に挿入されるように構成された脛骨キールと、
前記脛骨プレートの前記遠位面から遠位に延在し、かつ前記脛骨の前記近位端部に挿入されるように構成された少なくとも1つの固定突起と、を備える、脛骨インプラント。
【請求項2】
前記脛骨インプラントが前記脛骨の前記近位端部に配置された後、前記脛骨の前記近位端部に対する前記脛骨インプラントの位置を検証するために、位置検証システムによって係合されるように構成された少なくとも1つの位置決めガイドをさらに備える、請求項1に記載の脛骨インプラント。
【請求項3】
前記少なくとも1つの位置決めガイドが、前記脛骨プレート上に設置されている、請求項2に記載の脛骨インプラント。
【請求項4】
前記脛骨プレートが、周囲縁マージンを含み、前記少なくとも1つの位置決めガイドが、前記脛骨プレートの前記周囲縁マージンに設置されている、請求項3に記載の脛骨インプラント。
【請求項5】
前記少なくとも1つの位置決めガイドが、前記脛骨プレートにおける凹部を含む、請求項4に記載の脛骨インプラント。
【請求項6】
前記少なくとも1つの位置決めガイドが、互いに離間した複数の位置決めガイドを含む、請求項2に記載の脛骨インプラント。
【請求項7】
前記脛骨プレートが前記脛骨の前記近位端部に配置された後の、前記脛骨プレート内への骨の内部成長を可能にするように、前記脛骨プレートの前記遠位面が多孔性である、請求項1に記載の脛骨インプラント。
【請求項8】
前記脛骨キールが前記脛骨の前記近位端部に挿入された後、前記脛骨キール内への骨の内部成長を可能にするように、前記脛骨キールの少なくとも一部分が多孔性である、請求項1に記載の脛骨インプラント。
【請求項9】
前記少なくとも1つの固定突起が、遠位先端と、前記遠位先端から近位に延在する複数のリブを有する、請求項1に記載の脛骨インプラント。
【請求項10】
前記リブが前記少なくとも1つの固定突起の周りに円周方向に設置されている、請求項9に記載の脛骨インプラント。
【請求項11】
各リブの少なくとも一部分が、前記少なくとも1つの固定突起の長手方向軸の周りで湾曲している、請求項10に記載の脛骨インプラント。
【請求項12】
前記少なくとも1つの固定突起の前記遠位先端が凹部を含む、請求項9に記載の脛骨インプラント。
【請求項13】
前記脛骨キールが、前記脛骨プレートの前記遠位面から遠位に延在するにつれて、前記脛骨キールが、前記患者の横軸の周りで湾曲している、請求項1に記載の脛骨インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、膝関節形成術、特に、膝関節形成術インプラント、および膝関節形成術インプラントを設置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
しばしば膝関節置換術と呼ばれる膝関節形成術は、関節炎などによって損傷を受けた膝を再建し、かつ表面置換するために使用される外科的処置である。人工膝関節全置換術装置は、脛骨大腿関節および膝蓋大腿関節の両方を置換する。脛骨大腿関節は、脛骨および大腿骨が関節運動する場所である。膝蓋大腿関節は、膝蓋骨および大腿骨が関節運動する場所である。脛骨大腿関節を置換するために、膝関節形成術は、大腿骨の遠位端部に固定された大腿骨トライアル(またはインプラント)、脛骨の近位端部に固定された脛骨トレイ(またはインプラント)、およびそれらの間に設置された挿入物を含む。大腿骨インプラントおよび脛骨インプラントは、それぞれ膝関節を形成する大腿骨および脛骨の端を覆い、それによって膝を再建する。膝蓋大腿関節を置換するために、膝関節形成術には、膝蓋骨の裏側を置換し、かつ大腿骨トライアルと相互作用する置換用関節面を形成するための膝蓋骨プロテーゼ(またはインプラント)が含まれる。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、膝関節形成術のための脛骨インプラントは、患者の脛骨の近位端部上の配置のための大きさおよび形状を有する脛骨プレートを含む。脛骨プレートには、反対側の近位面および遠位面が含まれる。遠位面は、脛骨の端に係合するように構成されている。脛骨キールは、脛骨プレートの遠位面から遠位に延在し、かつ脛骨の近位端部に挿入されるように構成されている。少なくとも1つの固定突起は、脛骨プレートの遠位面から遠位に延在し、かつ脛骨の近位端部に挿入されるように構成されている。
【0004】
別の態様では、患者の脛骨の近位端部に対する脛骨インプラントの埋め込みを検証する方法は、脛骨の近位端部に対して脛骨インプラントを位置決めすることと、脛骨インプラントに対して位置検証システムの位置インジケータを位置決めすることと、位置検証システムのトラッカで位置インジケータの位置を追跡することにより、脛骨インプラントの位置を判定することと、脛骨の位置を判定することと、脛骨の位置に対する脛骨インプラントの位置を比較することにより、脛骨インプラントが脛骨の近位端部に対して正しく位置決めされていることを検証することと、を含む。
【0005】
本開示の他の目的および特徴は、部分的に明らかであり、部分的に以下に指摘されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の一実施形態による、脛骨インプラントの正面斜視図である。
【
図2】
図1の脛骨インプラントの底面斜視図である。
【
図3】
図1の脛骨インプラントの底面平面図である。
【
図4】本開示の別の実施形態による、脛骨インプラントの底面斜視図である。
【
図5】本開示の別の実施形態による、脛骨インプラントの底面平面図である。
【
図6】
図5の脛骨インプラントの拡大された、断片的な底面斜視図である。
【
図7】本開示の別の実施形態による、脛骨インプラントの底面斜視図である。
【
図8】本開示の別の実施形態による、脛骨インプラントの底面斜視図である。
【
図9】本開示の別の実施形態による、脛骨インプラントの底面斜視図である。
【
図10】本開示の別の実施形態による、脛骨インプラントの底面斜視図である。
【
図11】本開示の別の実施形態による、脛骨インプラントの底面斜視図である。
【
図12】
図11の脛骨インプラントの固定突起の拡大された、断片的な側面図である。
【
図13】本開示の別の実施形態による、脛骨インプラントの底面斜視図である。
【
図14】
図13の脛骨インプラントの固定突起の拡大された、断片的な側面図である。
【
図15】本開示の別の実施形態による、脛骨インプラントの底面斜視図である。
【
図15A】
図15の脛骨インプラントの拡大された、断片的な底面斜視図である。
【
図16】本開示の別の実施形態による、脛骨インプラントの正面、底面斜視図である。
【
図17】
図16の脛骨インプラントの背面、底面斜視図である。
【
図18】患者の脛骨の近位端部上に
図16の脛骨インプラントを設置する設置ツールアセンブリの斜視図である。
【
図19】設置ツールアセンブリの嵌入ガイドの正面斜視図である。
【
図21】本開示の別の実施形態による、脛骨インプラントの底面斜視図である。
【
図23】本開示の一実施形態による、膝蓋骨インプラントの側面図である。
【
図26】患者の脛骨の近位端部に対する脛骨インプラントの位置を検証するために、脛骨インプラントの位置決めガイドと係合する位置インジケータを有する位置検証システムの概略図である。
【
図27】患者の大腿骨の遠位端部に対する大腿骨インプラントの位置を検証するために、大腿骨インプラントの位置決めガイドと係合する
図26の位置インジケータの斜視図である。
【
図28】脛骨の近位端部に対する脛骨インプラントの位置を検証するために、脛骨インプラントに取り付けられた脛骨設置ツールと係合する
図26の位置インジケータの斜視図である。
【
図29】大腿骨の遠位端部に対する大腿骨インプラントの位置を検証するために、大腿骨インプラントに取り付けられた大腿骨設置ツールと係合する
図26の位置インジケータの斜視図である。
【
図30】脛骨の近位端部に対する脛骨インプラントの位置を検証するために、脛骨インプラントと係合する
図26の位置インジケータの斜視図である。
【
図31】大腿骨の遠位端部に対する大腿骨インプラントの位置を検証するために、大腿骨インプラントと係合する
図26の位置インジケータの斜視図である。
【
図32】脛骨の近位端部に対する脛骨インプラントの位置を検証するために、脛骨インプラントに取り付けられた脛骨設置ツールに固定された位置検証システムの位置インジケータの斜視図である。
【
図33】大腿骨の遠位端部に対する大腿骨インプラントの位置を検証するために、大腿骨インプラントに取り付けられた大腿骨設置ツールに固定された
図32の位置インジケータの斜視図である。
【
図34】脛骨の近位端部に対する脛骨インプラントの位置を検証するために、脛骨インプラントに取り付けられた脛骨カバーに固定された
図26の位置インジケータの斜視図である。
【
図35】大腿骨の遠位端部に対する大腿骨インプラントの位置を検証するために、大腿骨インプラントに取り付けられた大腿骨カバーに固定された
図32の位置インジケータの斜視図である。
【0007】
対応する参照文字は、図面全体の対応する部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
膝関節形成術を実行し、かつ実施するための様々な異なるシステムおよび方法がここに開示されている。本明細書に開示される膝関節形成術のための異なるシステムには、インプラント(例えば、脛骨インプラント、大腿骨インプラント、膝蓋骨インプラント)、インプラントを設置するための設置または関節形成ツール、および骨に対するインプラントの位置を判定し、かつ検証するための位置検証システムが含まれる。本明細書に開示される膝関節形成術のための異なる方法には、インプラントを設置するための方法、および骨に対して設置されたインプラントの位置を検証するための方法が含まれる。
【0009】
図1~3を参照すると、本開示の一実施形態による膝関節形成術のための脛骨トレイまたはインプラントの一実施形態は、概して、参照番号10に示されている。脛骨インプラント10は、患者の脛骨Tの近位端部PE上の配置のための大きさおよび形状を有する脛骨プレート12を含む(
図18)。脛骨プレート12は、概して、脛骨インプラントが取り付けられている脛骨Tの近位端部PEの特定の大きさおよび形状に一致するように、任意の大きさおよび形状を有し得る。脛骨プレート12は、反対側の近位面および遠位面14、16を含む。脛骨プレート12の遠位面16は、脛骨Tの近位端部PEと係合するように構成されている。脛骨プレート12は、周囲縁マージン18を有する。図示の実施形態では、脛骨プレート12は、近位面14から近位に延在する周囲壁20を含む。周囲壁20は、周囲縁マージン18を含む。周囲壁20は、挿入物(図示せず)を受容するような大きさおよび形状を有する挿入物受容空間22を画定する。周囲壁20は、挿入物受容空間22内に挿入物を保持するために、挿入物の一部分を受容するために使用される1つ以上の凹部またはノッチ24を含んでもよい。近位面14は、挿入物受容空間22の遠位端部または下端部を画定する。
【0010】
脛骨インプラント10は、脛骨インプラントが脛骨の近位端部上に埋め込まれた(例えば、配置された)後、脛骨Tの近位端部PEに対する脛骨インプラントの位置を検証するために、以下でより詳細に論じられるように、位置検証システム1400(
図26)によって係合されるように構成された少なくとも1つ(例えば、複数)の位置決めガイド26を含んでもよい。位置決めガイド26は、以下でより詳細に論じられるように、脛骨インプラント10に対して位置検証システム1400を発見する、また見当合わせするために使用される。位置決めガイド26は、位置検証システム1400の要素または構成要素(例えば、位置インジケータ1402)と嵌合するような大きさおよび形状を有する。したがって、位置決めガイド26は、位置検証システム1400の接触点である。1つ以上の位置決めガイド26は、インプラントが脛骨Tに取り付けられた後にアクセス可能な位置で脛骨インプラント10上に設置される。図示の実施形態では、位置決めガイド26は、脛骨プレート12上に設置される。具体的には、位置決めガイド26は、脛骨プレート12の周囲縁マージン18上に、望ましくは、周囲縁マージンの前方部分上に設置され、その結果、脛骨インプラント10が埋め込まれた後に、位置決めガイドが容易にアクセス可能である。位置決めガイド26の他の位置は、本開示の範囲内にある。例えば、位置決めガイド26は、近位面14上に配置されてもよい。位置決めガイド26は、突起などの正の要素、または凹陥部などの負の要素であってもよい。図示の実施形態では、位置決めガイド26は、凹陥部または凹部である。したがって、図示の実施形態の位置決めガイド26は、位置検証システム1400を受容する、またはそれによって係合されるように構成されている。凹部26は、概して、
図1に示す円錐形状(例えば、逆円錐)、底が平らな円錐形状、部分的に球形のシェーパ、半球形状、円筒形状、矩形状、正方形状、ピラミッド形状などの任意の形状を有してもよいが、これらに限定されない。位置決めガイド26は、互いに離間している。一実施形態では、位置決めガイド26は、脛骨インプラントの大きさ、インプラントの部品番号などであるがこれらに限定されない、脛骨インプラント10の識別データを示すように構成されている。位置決めガイド26の脛骨インプラント10上の位置および/または位置決めガイド間の距離を使用して、識別データを示す、または符号化することができる。位置検証システム1400が位置決めガイド26と見当合わせすると、システムは、位置決めガイドの位置および/または位置決めガイド間の距離を、可能なインプラントのリストを含むインプラントデータベースに一致させて、特定のタイプの脛骨インプラント10を判定し、かつ/または正しい脛骨インプラントが脛骨T上に埋め込まれていることを確認することができる。例えば、位置決めガイド26間の距離は、脛骨インプラント10の大きさ(例えば、位置決めガイド26間の間隔は、インプラントの大きさによって変化する)を表す(例えば、符号化する)ことができ、位置検証システム1400は、インプラントデータベースを参照して、正しい大きさの脛骨インプラントが埋め込まれたことを検証することにより、インプラント脛骨インプラントの大きさを判定することができる。
【0011】
脛骨インプラント10は、脛骨ステムまたはキール28を含む。脛骨キール28は、脛骨Tの近位端部PEに挿入されるように構成されている。脛骨キール28は、脛骨プレート12に取り付けられている。脛骨キール28は、脛骨プレート12の遠位面16から概ね遠位に延在する。図示の実施形態では、脛骨キール28は、概ね真っ直ぐである。脛骨キール28は、中実または中空であってもよい(例えば、中実または中空のコアを有する)。脛骨キール28は、冠状フィン30(例えば、2つの冠状フィン)を含んでもよい。冠状フィン30は、脛骨キール28の中心から、患者の冠状面に概ね平行な方向(例えば、垂直な左右に延在する平面)に外側に延在する。図示の実施形態では、冠状フィン30は、冠状面に対してわずかな角度、例えば、約15度以下であり、わずかなV字形を形成している。脛骨キール28はまた、矢状フィン32(例えば、2つの矢状フィン)を含んでもよい。矢状フィン32は、脛骨キール28の中心から、患者の矢状面に概ね平行な方向(例えば、垂直な前後に延在する面)に外側に延在する。冠状フィン30および矢状フィン32は、フィンが遠位に延在するにつれて、内側に向かって先細になる。矢状フィン32の幅はまた、フィンが遠位に延在するにつれて、内側に(例えば、冠状面に概ね平行な方向に)先細になってもよい。フィン30、32は丸みを帯びた縁を有する。脛骨キール28のノーズまたは先端は、冠状面において先細になっている(例えば、湾曲している)。他の実施形態では、脛骨キール28のノーズはまた、矢状面で先細になってもよい。脛骨キールの他の構成は本開示の範囲内であり、そのいくつかは本明細書に開示されている。
【0012】
図2および3を参照すると、脛骨インプラント10は、少なくとも1つの固定突起34を含んでもよい。図示の実施形態では、脛骨インプラント10は、4つの固定突起34を含むが、より多くのまたはより少ない固定突起は、本開示の範囲内にある。固定突起34は、脛骨プレート12の遠位面16上で互いに離間している。図示の実施形態では、4つの固定突起34は、概して、脛骨キール28の周りにX配設で配設され、脛骨キールは、Xの中心にある。固定突起34の他の配設は、本開示の範囲内にある。
【0013】
各固定突起34は、脛骨Tの近位端部PEに挿入されるように構成されている。各固定突起34は、概ね同一であり、したがって、1つの固定突起は、他の固定突起が本質的に同じ構造を有する(例えば、脛骨プレート12上の異なる場所に設置されている)ことを理解して、さらに詳細に説明される。固定突起34は、脛骨プレート12に取り付けられている。固定突起34は、脛骨プレート12の遠位面16から概ね遠位に延在する。固定突起34は、遠位端部または先端36を有する。この実施形態では、遠位先端36は凹部を含む。凹部は、概して、円錐形状(例えば、逆円錐)などの任意の形状を有してもよいが、これに限定されない。しかし、底が平らな円錐形状、部分的に球形のシェーパ、半球形状、円筒形状、矩形状、正方形状、ピラミッド形状などの他の形状は、本開示の範囲内にある。凹部は、脛骨インプラント10が脛骨Tに埋め込まれるときに、固定突起34と骨との圧入を最大化し、固定突起と骨の間の圧縮を増加させて、骨の治癒を刺激する。さらに、凹部は、遠位先端36での鋭い前縁または遠位縁の形成を容易にして、固定突起34の脛骨Tの近位端部PEへの挿入を容易にする。図示の実施形態では、固定突起34は、概して丸みを帯びた円錐形状(例えば、弾丸形状)であるが、丸みを帯びた、ブレードまたは中空の形状などの他の形状は、本開示の範囲内にある。固定突起34は、遠位先端36から近位に延在する複数のリブ38を含む。リブ38は、脛骨プレート12の遠位面16に近位に延在する。図示の実施形態では、固定突起34は6つのリブ38を含むが、より多くの(例えば、20の)またはより少ない(例えば、4つの)リブが本開示の範囲内にある。リブ38は、固定突起34の周りに円周方向に設置されている。リブ38は、傾斜した縁を有するが、他の実施形態では、丸みを帯びた、面取りされた、鋭い、すみ肉などの縁を有し得る。この実施形態では、リブ38は、固定突起34の長手方向軸の周りで湾曲している(例えば、わずかに湾曲している)。長手方向軸は、固定突起34の遠位先端36を通って近位および遠位に延在する。言い換えれば、リブ38は、長手方向軸の周りにらせん状または部分的にらせん状に湾曲している。図示の実施形態では、各リブ38は、遠位面16から概ね遠位に真っ直ぐに延在する近位部分、および、近位部分から遠位先端36まで、長手方向軸の周りに湾曲した方法で遠位に延在する遠位部分を含む。リブ38は、リブが遠位に延在するにつれて、遠位先端36に向かって内側に(例えば、長手方向軸に向かって)先細になる。テーパは真っ直ぐである、または湾曲してもよい。リブ38の他の構成は、本開示の範囲内にある。隣接するリブ38は、それらの間に溝40を画定する。溝40は、遠位面16から遠位先端36まで延在し、かつ溝の形状は、リブ38の形状に概ね対応する。したがって、溝40も長手方向軸の周りに湾曲している。リブ38(広義には、固定突起34)の設計は、骨の変位を最小限に抑え、骨折のリスクを最小限に抑え、かつ骨の内部成長のために固定突起の表面積を増加させる。固定突起の他の構成は本開示の範囲内であり、そのいくつかは本明細書に開示されている。固定突起34は、中実または中空であってもよい(例えば、中実または中空のコアを有する)。
【0014】
脛骨インプラント10は、1つ以上の多孔質領域を含んでもよい。多孔質領域は、脛骨T(広義には骨)と係合する脛骨インプラント上の位置に設置されている。多孔質領域は、脛骨インプラントが骨上に配置された後の、脛骨インプラント10への骨の内部成長を可能にして、インプラントと骨との間に強い接続を形成する。これにより、膝関節形成術で従来使用されているセメントなしで脛骨インプラント10を脛骨Tに挿入することが可能になり、処置時間、セメント関連の合併症、および外科医のストレスが軽減される。多孔質領域は、約40%~90%の包含範囲内、またはより好ましくは約50%~80%の包含範囲内の多孔度を有してもよい。多孔質領域は、約1mm~1.5mmの厚さを有してもよい。図示の実施形態では、脛骨プレート12の遠位面16は多孔性である(例えば、多孔質領域である)。脛骨インプラント10の他の部品は、多孔質領域を含んでもよい。例えば、一実施形態では、脛骨キール28および/または固定突起34の少なくとも一部分は、脛骨インプラント10が脛骨Tの近位端部PEに挿入され、またはその上に埋め込まれた後、脛骨キールおよび/または固定突起34内への骨の内部成長をそれぞれ可能にするように、多孔性である。脛骨キール28および固定突起34の任意の表面は、多孔性であってもよい。好ましくは、多孔質領域は、脛骨キール28および固定突起34に沿って、脛骨プレート12の遠位面16から遠位に延在する。好ましくは、脛骨キール28および/または固定突起34の多孔質領域は、約10mm以下の距離にわたって遠位面16から遠位に延在する。これにより、骨を脛骨キール28および/または固定突起34に成長させることができ、同時に、インプラントの調整または置換が必要な場合に、将来、脛骨インプラント10を容易に除去することができる。脛骨キール28および/または固定突起34の多孔質領域は、より強い接続を可能にするために、その全体を含む、より多くの脛骨キールおよび/または固定突起34上に延在して(例えば、覆って)、脛骨キールおよび/または固定突起34の間に形成され得るが、除去が必要になった場合、このような脛骨インプラントを骨から除去して置換することはより困難になる。一実施形態では、多孔質領域は、格子を形成するために一緒に結合された六角形の支柱を含む(
図2および25)が、任意の適切な多孔質構造が本開示の範囲内にある。
【0015】
脛骨インプラント10は、従来の製造プロセスおよび方法、ならびに/または付加製造プロセスおよび方法(例えば、三次元(3D)印刷)を使用して作製することができる。製造方法の1つでは、脛骨インプラント10全体が付加製造を使用して構築される。この方法では、脛骨インプラント10は、概して基部プレート上にインプラントを構築し、インプラントが基部プレートから除去される前に、インプラントを後処理する付加製造機(例えば、3Dプリンタ)によって構築される。別の製造方法では、脛骨インプラント10は、従来の製造方法を付加製造と組み合わせたハイブリッド製造を使用して構築される。このハイブリッド方法では、インプラント10の脛骨プレート12は、最初に、金属ブランクを冷間成形(例えば、スタンピング、切断、変形)するなどの従来の製造方法によって、または脛骨プレートを鍛造することによって作成することができる。次に、脛骨プレート12は、脛骨プレート上に付加要素(例えば、キール28、固定突起34、多孔質領域など)を構築する付加製造機に配置される。好ましくは、脛骨インプラント10の多孔質領域は、付加製造を使用して構築される。付加製造機は、脛骨インプラントの構成要素(例えば、脛骨プレート12)上に多孔質領域(例えば、六角形支柱の格子)を構築する(例えば、構築するように構成されている)。付加製造により、従来の方法よりもより複雑な多孔質構造を構築できる。例えば、従来の製造方法では、六角形の支柱の格子からなる多孔質領域を構築することはできない。3D印刷、直接金属レーザ焼結(DMLS)、チタン堆積スプレーなどのような多孔質領域を作成するために、様々な異なる付加製造プロセスを使用してもよい。多孔質領域を構築する他の方法は、本開示の範囲内にある。例えば、多孔質領域は、レーザエッチングまたは酸エッチングなどの除去製造プロセスを使用して構築することができる。
【0016】
脛骨インプラントの他の構成は、本開示の範囲内にある。例えば、脛骨インプラントは、以下に説明する脛骨キールおよび/または固定突起のうちの1つ以上を有し得る。
【0017】
図4を参照すると、本開示の別の実施形態による脛骨インプラント110の固定突起は、概して、参照番号134に示されている。この実施形態では、固定突起134のリブ138は、概ね真っ直ぐであり、長手方向軸に平行に、かつ長手方向軸に向かって延在する(例えば、長手方向軸の周りで湾曲しない)。この実施形態では、固定突起134の遠位先端136は、点(例えば、円錐形状の点)を含む。
【0018】
図5および6を参照すると、本開示の別の実施形態による脛骨インプラント210の固定突起は、概して、参照番号234に示されている。この実施形態では、固定突起234は、概してX字形状に配設された4つのリブ238を含む(
図5)。リブ238もまた、概ね真っ直ぐであり、長手方向軸に平行に、かつ長手方向軸に向かって延在する。遠位先端236はまた、固定突起134と同様の点を含む。この実施形態では、リブ238は、脛骨プレート12の遠位面16から離間している。リブ238は、遠位先端236から遠位先端と遠位面16との中間の場所まで近位に延在する。各リブ238は、遠位面16に面し、遠位面16から離間している近位面を含む。リブ238の近位面、脛骨プレート12の遠位面16、およびリブの基部(図示せず)は一緒に、骨(例えば、脛骨T)がリブ内に成長してリブを取り囲むための空間を画定する。他の実施形態では、リブ238は、
図16、17、21、および22の固定突起234Aのリブなど、遠位面16までずっと延在してもよい。
【0019】
図7を参照すると、本開示の別の実施形態による脛骨インプラント310の固定突起は、概して、参照番号334に示されている。この実施形態では、固定突起334は円筒形である(例えば、円筒形状を有する)。固定突起334は、円筒形の外面335および先行面または遠位面336を含む。遠位面は概ね平坦であり(例えば、遠位端部336は概ね鈍い)、円形の形状を有する。外面335と遠位面336との間の縁または角は丸みを帯びているが、他の実施形態では、斜角、面取り、鋭利、すみ肉などを有し得る。
【0020】
図8を参照すると、本開示の別の実施形態による脛骨インプラント410の固定突起は、概して、参照番号434に示されている。この実施形態では、固定突起434は、円筒形の外面435を有する概ね円筒形である。遠位端部436は、本明細書に記載される他の構成が本開示の範囲内にあるが、図示の実施形態では逆円錐である凹部を含む。この実施形態では、遠位端部436の逆円錐形の凹部の基部の幅または直径は、円筒形の外面435の幅または直径に概ね等しいが、より小さな幅を有する凹部の基部は、本開示の範囲内にある。固定突起434は、遠位端部436の凹部と円筒形の外面436との間の遠位端部436に鋭い前縁または遠位縁を含む。
【0021】
図9を参照すると、本開示の別の実施形態による脛骨インプラント510の固定突起は、概して、参照番号534に示されている。この実施形態では、固定突起534は、固定突起が遠位に延在するにつれて内側に先細になる、概して多角形(例えば、六角形)の形状を有する。多角形状の表面541は凹面である。結果として、表面間の縁は、鋭い縁を有する固定突起534のスパイン538を概ね画定する。この実施形態では、遠位端部536は、概ね平坦な遠位面を有する。
【0022】
図10を参照すると、本開示の別の実施形態による脛骨インプラント610の固定突起は、概して、参照番号634に示されている。この実施形態では、固定突起634は、固定突起が遠位に延在するにつれて内側に先細になる、概して多角形(例えば、六角形)の形状を有する。多角形状の表面641は凹面である。結果として、表面間の縁は、固定突起634のスパイン638を概ね画定する。この実施形態では、スパイン638は丸みを帯びている。遠位端部636は、逆円錐などの凹部を有する。
【0023】
図11および12を参照すると、本開示の別の実施形態による脛骨インプラント710の固定突起は、概して、参照番号734に示されている。この実施形態では、固定突起734は、固定突起が遠位に延在するにつれて内側に先細になる、概して多角形(例えば、六角形)の形状を有する。多角形状の表面741は凹面である。結果として、表面741の間の縁は、鋭い縁を有する固定突起734のスパイン738を概ね画定する。スパイン738は、スパインが遠位に延在するにつれて、固定突起の長手方向軸LAの周りで概ね湾曲している。したがって、多角形の断面形状は、固定突起が遠位に延在するにつれて、長手方向軸LAの周りを概ね回転する。遠位端部736は、逆六角形ピラミッドなどの凹部を有するが、本明細書に記載されるような他の形状は、本開示の範囲内にある。固定突起734は、遠位端部の凹部と表面741との間の遠位端部736に鋭い前縁または遠位縁737を含む。遠位縁737は、複数の線形セグメントから作製された多角形(例えば、六角形)の形状を有する。遠位縁737の線形セグメントは、概ね同一平面上にある。
【0024】
図13および14を参照すると、本開示の別の実施形態による脛骨インプラント810の固定突起は、概して、参照番号834に示されている。この実施形態では、固定突起834は、固定突起が遠位に延在するにつれて内側に先細になる、概して多角形(例えば、六角形)の形状を有する。多角形状の表面841は凹面である。結果として、表面841の間の縁は、鋭い縁を有する固定突起834のスパイン838を概ね画定する。スパイン838は、スパインが遠位に延在するにつれて、固定突起の長手方向軸LAの周りで概ね湾曲している。したがって、多角形の断面形状は、固定突起が遠位に延在するにつれて、長手方向軸LAの周りを概ね回転する。遠位端部836は、逆六角形ピラミッドなどの凹部を有するが、本明細書に記載されるような他の形状は、本開示の範囲内にある。固定突起834は、遠位端部の凹部と表面841との間の遠位端部836に鋭い前縁または遠位縁837を含む。遠位縁837は、複数のセグメントから作製された概ね多角形(例えば、六角形)の形状を有する。この実施形態では、遠位縁837の線分セグメントは、弧状である、または湾曲している(例えば、長手方向軸LAに概ね垂直に延在する軸(例えば、水平軸)の周りに概ね湾曲している)。結果として、遠位縁837は、2つの湾曲したセグメントとスパイン838との交点に設置された(例えば、それによって画定された)歯または点を有する概して鋸歯状の構成を有する。
【0025】
図15および15Aを参照すると、本開示の別の実施形態による脛骨インプラント910の固定突起は、概して、参照番号934に示されている。この実施形態では、固定突起934は、遠位面16から遠位端部936まで遠位に延在する円筒形壁939を含む。円筒形壁939は、概ね円筒形の外面935および概ね円筒形の内面943を含む。円筒形の内面943は、本明細書に記載の固定突起の他の凹部と機能的に類似した、固定突起の空洞または凹部945を画定する。空洞945は、遠位面16から遠位端部936まで延在する。遠位端部936は、概ね平坦な遠位面を含む。遠位面の内縁および/または外周縁は、傾斜し、丸みを帯び、面取りされ、鋭く、すみ肉などであってもよい。図示の実施形態では、遠位端部936の遠位面の内縁は、面取りされている。外面および内面943、934は各々、円筒形壁939内に延在する円周方向の概して凹状の溝によって画定される1つ以上の(例えば、複数の)円周方向のスパイン938を含む。スパイン938は、円筒形壁939に沿って長手方向に離間した空間である。
【0026】
図16および17を参照すると、本開示の別の実施形態による脛骨インプラント1010の脛骨キールは、概して、参照番号128で示されている。この実施形態では、脛骨キール128は弧状である、または湾曲している。脛骨キール128は、脛骨キールが脛骨プレートの遠位面から遠位に延在するにつれて、患者の横軸(例えば、脛骨プレート12の遠位面16に概ね平行である横または左右軸)の周りで湾曲している。言い換えれば、脛骨キール128は、脛骨インプラント1010の正面に向かって(例えば、前方方向に)湾曲している。その結果、脛骨インプラント1010が脛骨T上に埋め込まれると、脛骨キール128は患者の脛骨結節に向かって湾曲している。脛骨結節は、整形外科手術の目印として一般的に使用される皮質隆起である。脛骨キール128のノーズを脛骨結節に向けると、他のキール設計とは対照的に、付加皮質引っ掛かりが保証され、皮質骨の近くに設置されることによってリフトオフの可能性が減少する。さらに、湾曲した脛骨キール128は、直線キール設計よりも大きな表面積を有する。脛骨キール128のより大きな正面または前面および背面または後面は、脛骨インプラント10の脛骨Tからのリフトオフへのより大きな抵抗を提供する。さらに、湾曲した設計により、脛骨キール128の後面の一部分が遠位に面し、遠位に面する表面積の全体量を増加させ、これにより、脛骨インプラント1010が沈下に抵抗する能力が増加する。脛骨キール128が湾曲しているのに加えて、脛骨キールの冠状および矢状フィン130、132は、貫通縁を含む。フィン130、132の縁は、先細であり、鋭く、かつ/または鋸歯状であってもよい。従来の挿入技術では、インプラントの挿入前に、キール特徴部を脛骨Tに穿孔し、かつ/またはブローチングする必要がある。脛骨キール128の貫通縁は、事前の骨の準備を全くまたは最小限にせずに、脛骨インプラント1010の挿入を容易にする。さらに、この実施形態では、脛骨キール128はまた、固定突起またはスパイク131を含む。固定突起131は、脛骨インプラント1010を脛骨にさらに固定するために、脛骨Tの近位端部PEに挿入されるように構成されている。図示の実施形態では、固定突起131は、冠状フィン130の縁に隣接して、脛骨キール128の後側に設置されている。
【0027】
図18~20を参照すると、患者の脛骨Tの近位端部PE上に、インプラント1010などの湾曲したキール脛骨インプラントを設置するための設置ツールアセンブリは、概して、参照番号1200で示されている。設置ツールアセンブリ1200は、脛骨トライアルハンドル1202および嵌入ガイド1212を含む。ハンドル1202は、脛骨T上に埋め込まれる脛骨インプラント1010の大きさを判定するために使用されるフットプリントテンプレート1204を含む。フットプリントテンプレート1204は、フットプリントテンプレートが脛骨の上にある間に、脛骨キールおよび/または固定突起が脛骨Tの近位端部PEに挿入されることを可能にするための1つ以上の穴または空間1206を含んでもよい。フットプリントテンプレート1204は、シャフト1208の一端に解放可能に結合されている。シャフト1208は、概して円形の断面形状を有する。以下でより詳細に説明するように、シャフト1208は、嵌入ガイド1212をハンドル1202上に位置決めするために使用される位置決め凹部または凹陥部1210を含む。
【0028】
嵌入ガイド1212は、脛骨インプラント1010を湾曲した方法で(例えば、湾曲したまたは弧状の経路CPで)脛骨Tの近位端部PEに挿入するように構成されている。嵌入ガイド1212は、装着部分1214および駆動部分1216を含む。装着部分1214は、ハンドル1202に結合される(例えば、解放可能に結合される)ように構成されている。装着部分1214は、ハンドルのシャフト1208を受容するような大きさおよび形状のハンドル開口部1218を画定する。ハンドル開口部1218は、装着部分1214がシャフト1208の端部を、ハンドル1202のシャフトに沿って摺動することを可能にするために、反対側の開放端を有する。ハンドル開口部1218は、ハンドル1202のシャフト1208の断面形状と一致する、またはそれに対応する断面形状を有する。したがって、図示の実施形態では、ハンドル開口部1218は、円形の断面形状を有する。装着部分1214は、装着部分をハンドル1202上に位置決めし、かつ固定するように構成された戻り止めまたはキャッチ1220を含む。戻り止め1220は、嵌入ガイド1212をハンドル1202上の所定の位置に位置決めし、かつロックするために、ハンドルに沿って凹部1210のうちの1つに挿入されるような大きさおよび形状である。ロック位置(
図20)では、戻り止め1220は、ハンドル開口部1220内に概ね延在する。嵌入ガイド1212がハンドル1202に装着されている場合、戻り止めがロック位置にあるとき、戻り止め1220は、凹部1210内に延在する。戻り止め1220は、ばねまたはリビングヒンジなどによって、ロック位置に向かって確実にバイアスをかけられてもよい。戻り止め1220が凹部1210(例えば、ハンドル開口部1218)から離間するように戻り止めを解放位置(図示せず)に移動することにより、嵌入ガイド1212がハンドル1202に沿って移動する、または摺動することができる。
【0029】
嵌入ガイド1212の駆動部分1216は、脛骨インプラント1010を保持し、脛骨インプラントを脛骨Tの近位端部PE内に駆動するように構成されている。駆動部分1216は、装着部分1214に枢動可能に結合されている。図示の実施形態では、駆動部分1216は、ヒンジ1222(例えば、装着部分および駆動部分の位置合わせされた開口部を通って延在するシャフト)によって、装着部分1214に結合されている。したがって、駆動部分1216は、回転軸ARの周りを概ね回転して、脛骨インプラント1010を脛骨T内に駆動する。駆動部分1216は、脛骨インプラント1010に解放可能に結合するように構成された結合ヘッド1224を含む。特に、結合ヘッド1224は、挿入物受容空間22および凹部24内に延在し、かつ周囲壁20の内面と係合して、脛骨インプラント1010に結合する。結合ヘッド1224は、脛骨インプラント1010とスナップフィットまたは圧縮フィットを形成して、脛骨インプラントに解放可能に結合されるように構成されている。結合ヘッド1224は、装着挿入物1226、1228(例えば、前部装着挿入物および後部装着挿入物)を含む。装着挿入物1226、1228は、挿入物受容空間22および/または凹部24に挿入されるように構成されている。装着挿入物1226、1228は、脛骨インプラント1010の周囲壁20の一部分に概ね一致する。装着挿入物1226、1228は、互いに弾性的に離れるようにバイアスをかけられている。装着挿入物1226、1228は、互いに離れて移動し、脛骨インプラント1010の周囲壁20と係合して、脛骨インプラントを嵌入ガイド1212に固定する。脛骨インプラント1010を取り付ける、または結合ヘッド1224から解放するために、装着挿入物1226、1228は、挿入物が挿入物受容空間22に出入りすることを可能にするために、互いに向かって押圧される。図示の実施形態では、弾性的に変形可能なアーム1230は、装着挿入物1226、1228を一緒に結合する。アーム1230はまた、ヒンジ1222の一部分を画定する。図示されたアーム1230は、概ねU字形状を有する。結合ヘッド1224はまた、回転軸ARの周りで駆動部分1216を回転させ、脛骨インプラント1010を脛骨Tの近位端部PE内に駆動するためにハンマー(図示せず)と係合する、またはそれに当たるように構成された接触面1232を含む。駆動部分1216は、脛骨インプラント1010が結合ヘッド1224に取り付けられたときに、湾曲した脛骨キール128が湾曲している曲面軸が回転軸ARと概ね同一直線上にあるように構成されている。これにより、駆動部分1216は、脛骨キール128の曲線に概ね対応し、かつ一致する湾曲した経路に沿って脛骨インプラント1010を移動させることができる。
【0030】
設置ツールアセンブリ1200を使用する1つの操作方法では、外科医は、ハンドル1202を使用して、適切な大きさの脛骨インプラント1010を選択する。外科医は、当技術分野で一般に知られている処置であるフットプリントテンプレート1204を使用して、脛骨Tの近位端部PE上に埋め込まれる脛骨インプラント1010の大きさを判定する。ハンドル1202は、当技術分野で知られている従来の手段を使用して、脛骨Tに対して所定の位置に固定される。脛骨インプラント1010の大きさが判定されると、外科医は、正しい大きさの脛骨インプラントを選択し、かつそれを嵌入ガイド1216の結合ヘッド1224に取り付ける。脛骨インプラント1010は、装着挿入物1226、1228を互いに向かって移動させることによって結合ヘッド1124に取り付けられ、その結果、それらは、挿入物受容空間22に挿入され得る。挿入物受容空間22に入ると、装着挿入物1226、1228は互いに離れて移動し、周囲壁20と係合して、インプラントを嵌入ガイド1216に固定する。次に、外科医は、ハンドル1202のシャフト1208を、装着部分1214のハンドル開口部1218を通して挿入し、嵌入ガイド1216をハンドルに沿って摺動させる。外科医は、戻り止め1220を所望の凹部1210と位置合わせして、嵌入ガイド1212をハンドル1202に沿った所望の位置に定め、かつ固定する。その後、外科医はハンマーを使用して接触面1232を嵌入し、脛骨インプラント1010を脛骨T内に駆動する。ハンマーは、駆動部分1216および脛骨インプラント1010を回転軸ARの周りで回転させ、脛骨インプラント1010を湾曲した経路に沿って移動させる。一実施形態では、外科医は、設置ツールアセンブリ1200を除去する前に、脛骨インプラント1010を脛骨Tの近位端部PE内に完全に打ち込んでもよい。別の実施形態では、外科医は、脛骨インプラント1010を脛骨Tの近位端部PE内に部分的に打ち込み、次に、設置ツールアセンブリ1200を除去してもよい。設置ツールアセンブリ1200が除去された後、外科医は、脛骨インプラント1010を脛骨T内の残りまで駆動する。例えば、外科医は、脛骨インプラントを、脛骨T内の約半分などの中間位置まで駆動してもよい。この実施形態では、湾曲した脛骨キール128は、インプラントが脛骨T内にさらに駆動されるときに、湾曲した経路に沿って脛骨インプラント1010を誘導し続ける。脛骨インプラント1010を脛骨インプラント1010から取り外すために、外科医は、装着挿入物1226、1228を互いに向かって、次に挿入物受容空間22の外に移動させる。上記のように、脛骨インプラント1010の脛骨キール128は鋭い縁を有し、これにより、従来の脛骨インプラントを埋め込むために必要な事前の骨の準備なしに、脛骨インプラント1010を埋め込むことができる。具体的には、脛骨キール用に脛骨Tを準備するステップ(例えば、穴を事前に穿孔する)が排除される。さらに、本明細書に記載の湾曲キール脛骨インプラント1010の埋め込みは、従来の直線キール埋め込み技術よりも脛骨インプラントを設置するために必要な転位、転換、およびクリアランスを低減する。
【0031】
図21および22を参照すると、本開示の別の実施形態による脛骨インプラント1110の脛骨キールは、概して、参照番号228に示されている。この実施形態では、冠状フィン230および矢状フィン232を有する脛骨キール228。この実施形態では、脛骨キール228のフィンおよびノーズの縁は、概ね鈍い(例えば、概ね平坦である)。さらに、脛骨キール228の矢状フィン232は、凹面233を含む。脛骨キールの他の構成は、本開示の範囲内にある。例えば、一実施形態では、脛骨インプラントは、(前方に湾曲している代わりに)前方に傾斜するなど、垂直に対してある角度で脛骨キール(図示せず)を含む。脛骨キールの傾斜角度により、脛骨Tの近位端部PE上に脛骨インプラントを簡単に埋め込むことができる。傾斜した脛骨キールにより、脛骨インプラントはより正面または前方位置から開始し、その後、インプラントが脛骨Tの近位端部PE内に駆動されるときの傾斜キールにより、背面または後方に移動する。真っ直ぐなキールと比較して、より前方位置で脛骨インプラントの埋め込みを開始できると、インプラントと患者の体(大腿骨など)の他の部分および/または他の外科用ツールとの間に大きなクリアランスが得られ、インプラントを脛骨Tに挿入しやすくなる。
【0032】
本明細書に記載の脛骨インプラント10、110、210、310、410、510、610、710、810、910、1010、1110の、また、それに関する要素、特徴、および方法は、大腿骨インプラントおよび膝蓋骨インプラントを含むが、これらに限定されない他の骨インプラントに適用できることが理解される。例えば、脛骨インプラントの多孔質領域は、膝蓋骨インプラントなどの他の骨インプラントに組み込まれる。このような膝蓋骨インプラントの例は、概して、
図23~25の参照番号1310によって示されている。膝蓋骨インプラント1310は、膝蓋骨の裏側に埋め込まれるような大きさおよび形状である。膝蓋骨インプラント1310は、近位または関節面1314および反対側の遠位面1316を含む。遠位面1316は、膝蓋骨の裏側に係合するように構成されている。関節面1314は、部分的なドーム形状を有する。膝蓋骨インプラント1310は、上で論じたように、多孔質領域を含む。特に、遠位面1316は多孔性である(例えば、多孔質領域である)。図示の実施形態では、遠位面1316の一部分は多孔性であるが、他の実施形態では、遠位面1316全体が多孔性であってもよい。多孔性である遠位面1316の一部分は、遠位面の概ね中央に位置し、遠位面の周縁から離間している。多孔質領域は、遠位面1316のより大きな円形の形状内に設置された概ね円形の形状を有する。図示の実施形態に示されるように、多孔質領域は、格子を形成するために一緒に結合された概ね六角形の支柱を含むが、任意の適切な多孔質構造が本開示の範囲内にある。上記のように、遠位面1316の多孔度は、膝関節形成術で従来使用されるセメントなしで膝蓋骨インプラント1310を膝蓋骨に挿入する、または膝蓋骨上に埋め込むことを可能にし、処置時間、セメント関連の合併症および外科医のストレスを低減する。
【0033】
膝蓋骨インプラント1310は、一緒に結合されたキャップ1350および基部またはアンカー1352を含む。キャップ1350は、関節面1314および遠位面1316の一部分を画定する(例えば、含む)。図示の実施形態では、キャップ1350によって画定される遠位面1316の一部分は多孔性ではない。キャップ1350は、ポリマー材料または他の任意の適切な材料から作製することができる。基部1352は、遠位面1316の一部分を画定する。図示の実施形態では、基部1352によって画定される遠位面1316の一部分は多孔性である。基部1352はまた、上で論じた固定突起と同様に、少なくとも1つ(例えば、複数)の固定突起1334を含む。図示の実施形態では、膝蓋骨インプラント1310は、3つの固定突起1334を含むが、より多くのまたはより少ない固定突起は、本開示の範囲内にある。各固定突起1334は、遠位面1316から概ね遠位に延在する。この実施形態では、各固定突起1334は、浅い円錐形の遠位先端1336を有する円筒形である(例えば、円筒形状を有する)。固定突起1334はまた、中実であるが(
図24)、他の実施形態では、固定突起は中空であり得る。基部1352は、金属または他の任意の適切な材料から作製されてもよい。
【0034】
キャップ1350および基部1352は、一緒に結合されて、膝蓋骨インプラント1310を形成するように構成されている。図示の実施形態では、キャップ1350および基部1352は、スナップフィット接続を形成するように構成されている。基部1352は、反対側の内周および外周縁マージンまたは表面を有する支持リング1354を含む。
図24に示されるように、支持リング1354の内側および外側縁マージンは、縁マージンが概ね上向きに延在するにつれて、互いに離れるように先細になっている。結果として、支持リング1354の近位端部は、支持リングの遠位端部よりも広い(例えば、概ね鳩尾形の断面形状)。キャップ1350は、支持リング1354を受容するような大きさおよび形状の概ね円周方向のチャネル1356または凹部を含む。支持リング1354およびチャネル1356は、対応する大きさおよび形状を有する。キャップ1350は、チャネル1356の側面を画定する反対側の内周および外周面を含む。キャップ1350の内面および外面は、支持リング1354の内側および外側縁マージンのテーパに対応する。
図24に示されるように、キャップ1350の内面および外面もまた、表面が概ね上向きに延在するにつれて、互いに離れるように先細になっている。結果として、チャネル1356は、その基部よりも狭い口を有する(例えば、概して鳩尾形の断面形状)。膝蓋骨インプラント1310を組み立てるために、基部1352の支持リング1354が、キャップ1350のチャネル1356に挿入される。キャップ1350は弾性変形可能であり、変形してチャネル1356の口を拡大し、支持リング1354がその初期状態または静止状態に戻るかスナップバックする前にそれを通過することを可能にし、それによってキャップおよび基部1352を一緒に固定することができる。キャップ1350は、支持リング1354と係合して、基部1352をキャップに固定する。キャップ1350および支持リング1354の先細の内面および外面は、それぞれ互いに係合して、キャップおよび基部1352を一緒に固定する。支持リング1352はまた、膝蓋骨インプラント1310に剛性を提供し、多孔質構造(例えば、六角形支柱)に装着プラットフォームを提供する。
【0035】
基部1352は、本明細書で論じられる製造技術およびプロセスを使用して構築されてもよい。例えば、基部1352は、上記のように、ハイブリッド製造を使用して構築することができる。ハイブリッド製造プロセスでは、支持リング1354および固定突起1334は、最初に、金属ブランクを冷間成形(例えば、スタンピング、切断、変形)することなどの従来の製造方法によって、または鍛造によって作成することができる。次に、部分的に形成された基部1352は、その上に多孔質領域を構築する付加製造機に配置される。次に、キャップ1350が基部1352に取り付けられて、膝蓋骨インプラント1350の構築を完了する。ポリマーキャップ1350は、圧縮成形などの従来の方法によって形成されてもよい。
【0036】
図26~35を参照すると、患者の骨に対するインプラントの埋め込みを検証するための様々な異なるシステムおよび方法が開示されている。以下の説明では、骨に対する膝関節形成術インプラントの位置または配置を検証するための様々なシステムおよび方法について記載する。例えば、これらのシステムおよび方法は、患者の脛骨Tの近位端部PEに対して、脛骨インプラント10、または本明細書に開示されるインプラントのうちのいずれかの位置を検証するために使用することができる。しかしながら、インプラントの位置を検証するためのこれらのシステムおよび方法は、膝関節形成術以外の他の外科的用途に使用できることが理解されている。
【0037】
人工膝関節全置換術は、大腿骨および脛骨のインプラントの適切な配置に依存している。従来の膝関節形成術では、インプラントの最終的な配置は、インプラントを骨に配置すること、およびインプラントが置かれている骨に鋸切断を実行することの両方の外科的スキルに依存する。骨に鋸による切れ込みを作成するための様々な異なるシステムがある。例えば、インプラントの鋸切断は、手動の非コンピュータ支援器具によって、または鋸切断位置決めに関するコンピュータ支援フィードバックを提供するナビゲーション器具の助けにより、または鋸切断位置決めに関するロボット支援ガイダンスを提供する外科用ロボットを用いて駆動することができる。手術ロボットおよび鋸切断位置決めに関するロボット支援ガイダンスのさらなる詳細は、2020年1月8日に出願された米国特許出願第16/737,054号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。インプラントは鋸切断に概ね従うが、従来の膝関節形成術では、インプラントの最終的な位置は依然として、外科的経験、スキル、感覚、および眼に依存する。以下のシステムおよび方法は、患者の骨上のインプラントの位置に関する検証および確認を提供する。
【0038】
米国特許出願第16/737,054号に開示されている、膝関節形成術を実行するシステム(例えば、外科用ロボット、追跡システムなど)および方法を使用して、本明細書に記載のシステム(例えば、インプラント、位置検証システムなど)および方法(例えば、インプラント埋め込み、位置検証など)を使用する膝関節形成術を実行し、誘導し、それを、かつ/またはそれに関連して支援してもよいことが理解されている。
【0039】
図26を参照すると、本開示の一実施形態による位置検証システムは、概して、参照番号1400で示されている。位置検証システム1400は、脛骨Tの近位端部PEに対する脛骨インプラント10の位置を検証する、または判定するように構成されている。位置検証システム1400は、脛骨Tの近位端部PE上の脛骨インプラント10の埋め込み中および/または埋め込み後に使用することができる。位置検証システム1400は、位置インジケータ1402およびトラッカ1410(例えば、追跡システム)を含む。位置インジケータ1402は、脛骨インプラント10の位置を示すように構成されている。トラッカ1410は、脛骨インプラント10の位置を判定するために、(3D空間における)位置インジケータ1402の位置をリアルタイムで追跡する、または発見するように構成されている。位置インジケータ1402は、脛骨インプラント10に対して位置決めされて、脛骨インプラントの位置を示すように構成されている。位置インジケータ1402は、トラッカ1410によって追跡される複数(例えば、4つ)の追跡マーカまたはインジケータ1404を含む。インジケータ1404は、トラッカ1410によって認識される視覚的または光学的マーカである。図示の実施形態では、インジケータ1404は球体またはボールであるが、任意の適切な光学マーカが本開示の範囲内にある。位置インジケータ1402は固定された幾何学形状を有し、トラッカ1410は位置インジケータの幾何学形状を把握している。したがって、位置インジケータ1402上のインジケータ1404の位置を追跡することによって、トラッカ1410は、位置インジケータが接触している、または結合されているものの位置を判定する、または推定することができる。
図26に示される実施形態では、位置インジケータ1402はスタイラスを備える。スタイラス1402は、先端を有する。一実施形態では、スタイラス1402の先端は、ボールまたは球体である。以下でより詳細に説明されるように、外科医は、スタイラス1402の先端を異なる構成要素(例えば、脛骨インプラント10、関節形成ツールなど)と係合させて、脛骨インプラントの位置を判定してもよい。トラッカ1410は、インジケータ1404に対するスタイラス1402の先端の位置を把握している。トラッカ1410は、インジケータ1404およびスタイラスの既知の幾何学形状を使用してスタイラス1402の先端の位置を判定することができ、それにより、スタイラスの先端が接触している、または係合しているものの位置を判定することができる。位置インジケータ1402の他の構成は、本開示の範囲内であり、そのいくつかは、本明細書に記載されている。例えば、位置インジケータ1402は、米国特許出願第16/737,054号に記載されているような動的参照アレイであってもよい。
【0040】
トラッカ1410は、位置インジケータ1402を追跡して、または発見して、3D空間における位置インジケータの位置を判定する。トラッカ1410は、米国特許出願第16/737,054号に記載されているものなどのカメラベースのトラッカ(例えば、カメラ追跡システム)であってもよい。トラッカ1410は、追跡コンピュータ1414と有線または無線で結合された(例えば、通信している)1つ以上のカメラ1412を含む。カメラ1412は、位置インジケータ1402の画像(例えば、写真、ビデオなど)をキャプチャするように構成され、追跡コンピュータ1414は、カメラからの画像内のインジケータ1404に基づいて、位置インジケータおよび脛骨インプラント10の位置を判定する。追跡コンピュータ1414は、脛骨Tの近位端部PEに対する脛骨インプラント10の位置などの情報を外科医に出力するためのディスプレイ(例えば、ビデオディスプレイ)を含んでもよい。トラッカ1410はまた、米国特許出願第16/737,054号で説明されているように、3D空間での骨(例えば、脛骨T)の位置を判定してもよいが、骨の位置を判定する他の方法が、本開示の範囲内にある。概して、トラッカ1410は、脛骨Tの位置を脛骨インプラント10の位置と比較して、脛骨に対するインプラントの位置を判定する。次に、トラッカ1410は、この情報を外科医に出力する、または表示する。位置検証システム1400は、より大きな外科システム(例えば、より大きなロボット外科システム)の一部であってもよいことが理解される。
【0041】
位置検証システム1400は、脛骨Tの近位端部PEに対する脛骨インプラント10の位置を判定するために、様々な異なる方法で使用することができる。
図26に示されるような1つの操作方法では、位置検証システム1400は、脛骨インプラント10の1つ以上の位置決めガイド26と嵌合し、または見当合わせして、脛骨インプラントの位置を判定するように構成されている。この実施形態では、位置インジケータ1402(例えば、スタイラスの先端)は、脛骨インプラント10の1つ以上の位置決めガイド26と嵌合する、または見当合わせする。例えば、スタイラス1402の先端は、脛骨インプラント10の凹部26に挿入される。次に、トラッカ1410は、1つ以上の位置決めガイド26(例えば、凹部)の位置を判定して、脛骨Tの近位端部PEに対する脛骨インプラント10の位置を判定する。例えば、1つの例示的な方法では、外科医は、脛骨の近位端部上に脛骨インプラントを配置するなどして、脛骨の近位端部PEに対して脛骨インプラント10を位置決めする。その後、外科医は、脛骨インプラント10に対して位置インジケータ1402を位置決めする。トラッカ1410は、位置インジケータ1402を追跡して、脛骨インプラント10の位置(例えば、3D空間における脛骨インプラントの位置)を判定する。この実施形態では、外科医は、スタイラス1402を使用して、先端で様々な位置決めガイド26を見当合わせする、または係合させる(例えば、接触する)(例えば、位置インジケータがインプラントに直接係合する)。トラッカ1410は、位置インジケータが脛骨インプラント10に対して位置決めされるにつれて、位置インジケータ1402の位置を追跡する。特に、トラッカ1410は、スタイラス1402を追跡して、位置決めガイド26の位置を判定し、かつ脛骨インプラントの位置を推定する、または判定する。一実施形態では、外科医は、スタイラス1402がトラッカのユーザインターフェースを介して位置決めガイド26と見当合わせされたときに、トラッカ1410に伝えるため、トラッカは、位置インジケータのどの位置が脛骨インプラント10の位置に対応するかを把握する(例えば、位置決めガイド)。位置インジケータ1402と同様に、この実施形態では、トラッカ1410は、脛骨インプラント10の幾何学形状を把握しており、脛骨インプラントの既知の幾何学形状および位置決めガイド26の位置に基づいて、脛骨インプラントの位置を判定することができる。一実施形態では、トラッカ1410は、位置決めガイド26の位置に基づいて、インプラントの幾何学形状にアクセスする。上記のように、位置決めガイド26の位置は、インプラントのそのスタイル(例えば、タイプ、大きさなど)に固有の情報を符号化するために使用することができる。位置決めガイド26の位置を判定した後、トラッカ1410は、インプラントデータベースにアクセスし、位置決めガイド情報(例えば、位置決めガイド間の距離)を使用して、データベース内の特定のインプラントおよび、名前、タイプ、大きさ、幾何学形状などの関連するインプラント情報を発見することができる。他の実施形態では、外科医は、ユーザインターフェースを介してこの情報を手動でトラッカに提供する、またはトラッカがインプラントデータベース内の正しいインプラントエントリにアクセスできるようにする情報を入力してもよい。
【0042】
この方法を続けると、ある時点で、トラッカ1410は、脛骨Tの位置(例えば、3D空間における脛骨の位置)を判定するか、または通知される。これは、脛骨インプラント10の位置が判定される前、最中、または後であり得る。次に、脛骨インプラントが脛骨の近位端部PE上に正しく位置決めされているかどうかを検証するために、3D空間における脛骨インプラント10の位置が、3D空間における脛骨Tの位置と比較される。トラッカ1410は、脛骨Tに対する脛骨インプラント10の位置に関して外科医にフィードバックを提供する。トラッカ1410は、脛骨Tと脛骨インプラント10の位置を比較する、または外科医が脛骨と脛骨インプラントの位置を比較できるようにする情報を表示してもよい。トラッカ1410または外科医は、脛骨Tに対する(例えば、その上での)脛骨インプラント10の位置を、ベースラインまたは理想的な位置と比較して、脛骨インプラントが正しく位置決めされているかどうかを判定してもよい。理想的な位置は、外科医などによって事前に判定され、脛骨T上の脛骨インプラント10の(例えば、脛骨の近位端部PEに対する)理論的に完璧な位置である。脛骨Tに対する脛骨インプラント10の位置が理想的な位置と位置合わせする(または適切な許容誤差内にある)場合、脛骨インプラントは正しく位置であり、外科医は残りの手術を続行することができる。脛骨Tに対する脛骨インプラント10の位置が理想的な位置と一致合わせしない場合、外科医は、手術を進める前に、必要に応じてインプラントの位置を調整する。脛骨インプラント10が再度位置決めされた後、外科医は、上記のステップを繰り返して、脛骨インプラントの新しい位置または調整された位置が正しいかどうかを判定することができる。これと同じプロセスを使用して、骨に対する他のインプラントの位置を判定できる。例えば、
図27に示されるように、同じプロセスを使用して、位置検証システム1400の位置インジケータ1402を大腿骨インプラントの1つ以上の位置決めガイド26と見当合わせすることによって、大腿骨インプラント11の位置を検証することができる。
【0043】
図28を参照すると、別の操作方法では、位置検証システム1400は、関節形成ツール1420(例えば、脛骨設置ツール、大腿骨設置ツール)上の1つ以上の位置決めガイド26と嵌合し、または見当合わせして、脛骨インプラント10の位置を判定するように構成されている。関節形成ツール1420は、脛骨インプラント10に解放可能に取り付けるように構成されている。関節形成ツール1420および脛骨インプラント10が一緒に結合されると、関節形成ツールは、脛骨インプラントにしっかりと動かないように固定される。関節形成ツール1420は、インプラント(例えば、脛骨インプラント、大腿骨インプラント)ホルダなどの任意の適切なツールであり得る。関節形成ツール1420は、上記のように、1つ以上の位置決めガイド26を含む。この実施形態では、位置インジケータ1402(例えば、スタイラスの先端)は、関節形成ツール1420の1つ以上の位置決めガイド26と嵌合する、または見当合わせする(例えば、位置インジケータは、ツールを介して間接的にインプラントと係合する)。次に、トラッカ1410は、1つ以上の位置決めガイド26(例えば、凹部)の位置を判定して、関節形成ツール1420の位置を判定し、次に、脛骨インプラント10の位置を判定する。例えば、1つの例示的な方法では、外科医は、脛骨の近位端部上に脛骨インプラントを配置するなどして、脛骨の近位端部PEに対して脛骨インプラント10を位置決めする。一実施形態では、外科医は、関節形成ツール1420を使用して脛骨インプラント10を配置し、ツールをインプラントに取り付けたままにしてもよい。別の実施形態では、外科医は、脛骨インプラントが脛骨T上に埋め込みされた後、関節形成ツール1420を脛骨インプラント10に取り付ける。その後、外科医は、脛骨インプラント10に対して位置インジケータ1402を位置決めする。トラッカ1410は、位置インジケータ1402を追跡して、脛骨インプラント10の位置を判定する。この実施形態では、外科医は、スタイラス1402を使用して、先端で関節形成ツール1420の様々な位置決めガイド26を見当合わせする、または係合させる(例えば、接触する)。トラッカ1410は、位置インジケータが関節形成ツール1420の位置決めガイド26と見当合わせされるにつれて、位置インジケータ1402の位置を追跡する。トラッカ1410は、スタイラス1402を追跡して、位置決めガイド26の位置を判定し、かつ関節形成ツール1420および脛骨インプラント10の位置を推定する、または判定する。位置インジケータ1402と同様に、この実施形態では、トラッカ1410は、脛骨インプラント10の幾何学形状、関節形成ツール1420の幾何学形状、ならびに関節形成ツールが脛骨インプラントに取り付けられたときの脛骨インプラントおよび関節形成ツールの相対的な向きおよび位置を把握している。トラッカ1410は、この情報を使用して、位置決めガイド26の位置に基づいて、脛骨インプラントの位置を判定する。上で論じたように、位置決めガイド26を使用して、関節形成ツールに関する関連情報(例えば、ツールに取り付けられた脛骨インプラントの幾何学形状、向き、および場所)にアクセスすることができる。
【0044】
トラッカ1410が脛骨インプラント10の位置を判定した後、プロセスは上記と概ね同じである。トラッカ1410は、脛骨Tの位置を判定する、または通知される。次に、脛骨インプラントが脛骨の近位端部PE上に正しく位置決めされているかどうかを検証するために、脛骨インプラント10の位置が、脛骨Tの位置と比較される。脛骨Tに対する脛骨インプラント10の位置が正しい場合、外科医は残りの手術を続行することができる。脛骨Tに対する脛骨インプラント10の位置の位置が正しくない場合、外科医は、手術を続行する前に、必要に応じてインプラントの位置を調整する。これと同じプロセスを使用して、骨に対する他のインプラントの位置を判定できる。例えば、
図29に示されるように、同じプロセスを使用して、位置検証システム1400の位置インジケータ1402を大腿骨インプラントに結合された関節形成ツール1420の1つ以上の位置決めガイド26と見当合わせすることによって、大腿骨インプラント11の位置を検証することができる。
【0045】
図30を参照すると、別の操作方法では、位置検証システム1400は、脛骨インプラント上の複数の異なる場所で脛骨インプラント10と係合して、脛骨インプラントの位置を判定するように構成されている。この実施形態では、外科医は、位置インジケータ1402(例えば、スタイラスの先端)を脛骨インプラント10の全部または一部分上で軽く滑らせる、または移動させる。トラッカ1410は、位置インジケータが脛骨インプラント10と係合してその上を移動するにつれて、位置インジケータ1402を追跡して、脛骨インプラントの大きさ、形状、および位置に対応する情報(例えば、クラウドポイントまたはクラウドポイントデータ)を生成する。例えば、1つの例示的な方法では、外科医は、脛骨の近位端部上に脛骨インプラントを配置するなどして、脛骨の近位端部PEに対して脛骨インプラント10を位置決めする。その後、外科医は、脛骨インプラント10に対して位置インジケータ1402を位置決めする。トラッカ1410は、位置インジケータ1402を追跡して、脛骨インプラント10の位置を判定する。この実施形態では、外科医は、スタイラス1402の先端を脛骨インプラント10またはその標的領域上で軽く滑らせる、または移動させる。例えば、外科医は、スタイラスを脛骨インプラント10上で前後に移動させることができる。この実施形態では、スタイラス1402の先端は、先端がインプラント上を摺動するにつれて、脛骨インプラント10を損傷しない(例えば、引っ掻かない)ように構成されている。トラッカ1410は、位置インジケータが脛骨インプラントを軽く滑らせるにつれて、位置インジケータ1402の位置を追跡する。トラッカ1410は、スタイラス1402を追跡して、脛骨インプラント10の位置を判定する。タッカ1410が追跡すると、脛骨インプラント10の大きさ、形状(例えば、輪郭)、および位置に対応するスタイラスクラウドポイントデータが生成される。位置インジケータ1402と同様に、この実施形態では、トラッカ1410は、脛骨インプラント10の幾何学形状を認識し、この情報を使用して、クラウドポイントデータに基づいて、脛骨インプラントの位置を判定する。上で論じた位置決めガイド26と同様に、一実施形態では、クラウドポイントデータを使用して、インプラントデータベースから脛骨インプラント10に関する関連情報(例えば、幾何学形状)にアクセスすることができる。トラッカ1410は、面合わせアルゴリズムを使用して、脛骨インプラント10のインプラントデータベースからの幾何学的情報またはデータをクラウドポイントデータと位置合わせして、脛骨インプラント10の位置を判定することができる。
【0046】
トラッカ1410が脛骨インプラント10の位置を判定した後、プロセスは、上記の実施形態で説明したものと概ね同じである。トラッカ1410は、脛骨Tの位置を判定する、または通知される。次に、脛骨インプラントが脛骨の近位端部PE上に正しく位置決めされているかどうかを検証するために、脛骨インプラント10の位置が、脛骨Tの位置と比較される。脛骨Tに対する脛骨インプラント10の位置が正しい場合、外科医は残りの手術を続行することができる。脛骨Tに対する脛骨インプラント10の位置の位置が正しくない場合、外科医は、手術を続行する前に、必要に応じてインプラントの位置を調整する。これと同じプロセスを使用して、骨に対する他のインプラントの位置を判定できる。例えば、
図30に示されるように、同じプロセスを使用して、大腿骨インプラント上で位置検証システム1400の位置インジケータ1402を軽く滑らせることによって、大腿骨インプラント11の位置を検証することができる。
【0047】
図32を参照すると、位置決めシステム1400の位置インジケータの別の実施形態は、概して、参照番号1403が示されている。この実施形態では、位置インジケータ1403は、ツール、アクセサリ、またはインプラントなどの関節形成装置に装着された(例えば、結合された)アレイである。アレイ1403は、インジケータ1404を支持するフレームを含む。位置インジケータ1403は、関節形成装置に解放可能に結合され、または関節形成装置に固定されてもよい。位置インジケータ1403が関節形成装置に装着されているとき、位置インジケータは、関節形成装置にしっかりと動かないように固定されている。位置インジケータ1403は、上で論じたように、インジケータ1404を含む。この実施形態では、位置インジケータ1403は、インプラントホルダなどの関節形成ツール1420にしっかりと結合されている。上で論じたように、関節形成ツール1420は、脛骨インプラント10に解放可能に取り付けられるように構成されている。
【0048】
例示的な操作方法では、位置検証システム1400は、関節形成ツール1420に結合された位置インジケータ1403を追跡して、脛骨インプラント10の位置を判定するように構成されている。この実施形態では、位置検証システム1400は、埋め込み中および埋め込みが完了した後の両方で、脛骨インプラント10の配置に関して外科医にフィードバックを提供することができる。インプラントの埋め込み中に脛骨Tに対する脛骨インプラント10の位置を判定することができると、利用可能な骨ストックの質および量が向上する。また、インプラント後にインプラントの位置をチェックする余分なステップを排除することもできる。1つの例示的な方法では、位置検証システム1400は、埋め込み中に脛骨インプラント10を脛骨T上の位置に誘導するために使用される。外科医は、位置インジケータ1403を有する関節形成ツール1420を脛骨インプラント10に取り付ける(例えば、外科医は、脛骨インプラントに対して位置インジケータを位置決めする)。次に、外科医は、脛骨の近位端部PEに対して脛骨インプラント10を位置決めする。外科医は、関節形成ツール1420を使用して、脛骨インプラント10を脛骨Tの近位端部PE上の位置に移動させる(例えば、脛骨インプラントを脛骨に向かって移動させる)。トラッカ1410は、位置インジケータ1403を追跡して、脛骨インプラント10の位置を判定する。トラッカ1410は、位置インジケータが関節形成ツール1420および脛骨インプラント10と共に脛骨Tに向かって移動するにつれて、位置インジケータ1403の位置を追跡する。トラッカ1410は、位置インジケータ1403の位置に基づいて、脛骨インプラント10の位置を判定する、または推定する。この実施形態では、トラッカ1410は、脛骨インプラント10の幾何学形状、(関節形成ツールに対する位置インジケータ1403の場所を含む)関節形成ツール1420の幾何学形状、ならびに、関節形成ツールが脛骨インプラントに取り付けられている場合の脛骨インプラントおよび関節形成ツールの相対的な向きおよび位置を把握している。トラッカ1410は、この情報を使用して、位置インジケータ1403の位置に基づいて、脛骨インプラントの位置を判定する。
【0049】
一実施形態では、脛骨インプラント10の位置を判定するための関連情報(例えば、脛骨インプラントの幾何学形状、(関節形成ツールに対する位置インジケータ1403の場所を含む)関節形成ツール1420の幾何学形状、ならびに、関節形成ツールが脛骨インプラントに取り付けられている場合の脛骨インプラントおよび関節形成ツールの相対的な向きおよび位置は、インプラントデータベースに保存することができる。この実施形態では、外科医は、どの脛骨インプラント10および関節形成ツール1420がユーザインターフェースを介して使用されているかをトラッカ1410に伝え、インプラントデータベースから適切な情報にアクセスしてもよい。別の実施形態では、脛骨インプラント10の位置を判定するための関連情報がトラッカ1410に教示される。この実施形態では、脛骨インプラント10は、関節形成ツール1420に取り付けられ、次いで、必要な情報を判定する(例えば、収集する)トラッカ1410に示される。例えば、外科医は、脛骨インプラントの可変領域を使用して、関節形成ツール1420に対する脛骨インプラント10の場所を較正することができる。この実施形態では、タッカ1410は、面合わせアルゴリズムを使用してトラッカ1410を較正するために、スタイラス1402を使用して、脛骨インプラント10および/または関節形成ツール1420上の特定の点に接触するように外科医に促してもよい。
【0050】
トラッカ1410が脛骨インプラント10の位置を判定した後、プロセスは、上記の実施形態で説明したものと概ね同じである。トラッカ1410は、脛骨Tの位置を判定する、または通知される。次に、脛骨インプラント10の位置が、脛骨インプラントが脛骨の近位端部PE上の正しい位置に向かって移動しているかどうかを検証するために、脛骨Tの位置と比較される。脛骨T上の脛骨インプラント10の配置または埋め込み中に位置検証システム1400を使用するとき、トラッカ1410または外科医は、理想的な位置に対する脛骨インプラントの位置を比較して、(脛骨インプラントが脛骨Tの近位端部PE上に埋め込まれるため)脛骨インプラントが理想的な位置に向かって移動している(例えば、それと一致している)ことを検証してもよい。脛骨インプラント10が理想的な位置に向かって移動している場合、外科医は、一切の調整を行うことなく、脛骨インプラント10を脛骨Tに向かって、かつ脛骨T内に移動させ続ける(例えば、挿入する)ことができる。脛骨インプラントが理想的な位置に向かって移動していない(例えば、軌道から外れている)場合、外科医は、脛骨インプラント10を脛骨Tに向かって、かつ脛骨T内に移動させながら、必要な調整および修正を行うことができる。このようにして、位置検証システム1400は、脛骨インプラント10を理想的な位置に向かって誘導する。
【0051】
別の例示的な方法では、関節形成ツール1420は、脛骨インプラントが脛骨T上に埋め込まれた後、脛骨インプラント10に結合され、または再結合されて、脛骨に対する脛骨インプラントの位置を検証する。この実施形態では、外科医は、位置インジケータ1403を有する関節形成ツール1420を脛骨Tに埋め込まれた脛骨インプラント10に取り付ける(例えば、外科医は、脛骨インプラントに対して位置インジケータを位置決めする)。トラッカ1410は、位置インジケータ1403を追跡して、脛骨インプラント10の位置を判定する。トラッカ1410は、脛骨インプラント10に結合されている関節形成ツール1420に装着された位置インジケータ1403の位置を追跡する、または発見する。トラッカ1410は、位置インジケータ1403を発見して、脛骨インプラント10の位置を判定する、または推定する。上で説明したように、トラッカ1410は、脛骨インプラント10の幾何学形状、(関節形成ツールに対する位置インジケータ1403の場所を含む)関節形成ツール1420の幾何学形状、ならびに、関節形成ツールが脛骨インプラントに取り付けられている場合の脛骨インプラントおよび関節形成ツールの相対的な向きおよび位置を把握している。トラッカ1410は、この情報を使用して、位置インジケータ1403の位置に基づいて、脛骨インプラント10の位置を判定する。
【0052】
トラッカ1410が脛骨インプラント10の位置を判定した後、プロセスは、上記の実施形態で説明したものと概ね同じである。トラッカ1410は、脛骨Tの位置を判定する、または通知される。次に、脛骨インプラントが脛骨の近位端部PE上に正しく位置決めされているかどうかを検証するために、脛骨インプラント10の位置が、脛骨Tの位置と比較される。位置検証システム1400を使用して、インプラントが埋め込まれた後の脛骨Tに対する脛骨インプラント10の位置を検証するとき、トラッカ1410または外科医は、脛骨インプラントの位置を理想的な位置と比較して、脛骨インプラントが脛骨の正しい位置にあることを検証してもよい。脛骨Tに対する脛骨インプラント10の位置が理想的な位置と位置合わせする場合、脛骨インプラントは正しく位置であり、外科医は残りの手術を続行することができる。脛骨Tに対する脛骨インプラント10の位置が理想的な位置と一致合わせしない場合、外科医は、手術を進める前に、必要に応じてインプラントの位置を調整する。脛骨インプラント10の位置が検証された後、関節形成ツール1420をインプラントから除去する、または取り除くことができる。これらと同じプロセスを使用して、骨に対する他のインプラントの位置を判定できる。例えば、
図33に示されるように、同じプロセスを使用して、大腿骨インプラントに結合された関節形成ツール1420に装着された位置検証システム1400の位置インジケータ1403を追跡することによって、大腿骨インプラント11の位置を検証することができる。
【0053】
図34を参照すると、一実施形態では、位置検証システム1400は、インプラントカバー1422を含む。インプラントカバー1422は、インプラントに解放可能に結合するように構成されている。インプラントカバー1422は、カバーが対応するタイプのインプラントに結合するような大きさおよび形状である。例えば、脛骨インプラント10(
図34)用のインプラントカバー1422は、挿入物に類似し、インプラントの挿入物受容空間22に固定されるような大きさおよび形状であってもよい。別の実施形態では、インプラントカバー1422は、大腿骨インプラント11(
図35)用であり、インプラント上に固定されるような大きさおよび形状である。インプラントカバー1422がインプラントに結合されると、インプラントカバーは、インプラントにしっかりと動かないように固定される。好ましくは、インプラントカバー1422は、インプラントの関節面に概ね適合する。概して、トラッカ1410は、インプラントカバー1422の位置を使用して、インプラントの位置を判定する。この実施形態では、位置インジケータ1402、1403は、インプラントカバー1422にしっかりと結合されている。
図34は、脛骨インプラント10のインプラントカバー1422に結合された1つのタイプの位置インジケータ1402、スタイラスを示し、
図35は、大腿骨インプラント11のインプラントカバーに結合された別のタイプの位置インジケータ1403、アレイを示している。他のタイプの位置インジケータは、インプラントカバーに結合されてもよい。一実施形態では、インプラントが骨上に配置された後、インプラントカバー1422をインプラントに結合して、インプラントの位置を検証してもよい。別の実施形態では、インプラントカバー1422は、インプラントが骨上に埋め込まれている間に、インプラントに結合されて、埋め込みを誘導してもよい。
【0054】
さらに
図34を参照すると、例示的な操作方法では、位置検証システム1400は、インプラントカバー1422に結合された位置インジケータ1402を追跡して、脛骨インプラント10の位置を判定するように構成されている。この実施形態では、位置検証システム1400は、埋め込み中および埋め込みが完了した後の両方で、脛骨インプラント10の配置に関して外科医にフィードバックを提供することができる。1つの例示的な方法では、位置検証システム1400は、埋め込み中に脛骨インプラント10を脛骨T上の位置に誘導するために使用される。外科医は、位置インジケータ1402を有するインプラントカバー1422を脛骨インプラント10に取り付ける(例えば、外科医、脛骨インプラントに対して位置インジケータを位置決めする)。外科医はまた、関節形成ツール1420を脛骨インプラント10に取り付ける。一実施形態では、インプラントカバー1422は、脛骨インプラント10と関節形成ツール1420との間に設置され、関節形成ツールと共に移動する。次に、外科医は、脛骨の近位端部PEに対して脛骨インプラント10を位置決めする。外科医は、関節形成ツール1420を使用して、脛骨インプラント10を脛骨Tの近位端部PE上の位置に移動させる(例えば、脛骨インプラントを脛骨に向かって移動させる)。トラッカ1410は、位置インジケータ1402を追跡して、脛骨インプラント10の位置を判定する。トラッカ1410は、位置インジケータがインプラントカバー1422、関節形成ツール1420、および脛骨インプラント10と共に脛骨Tに向かって移動するにつれて、位置インジケータ1402の位置を追跡する。トラッカ1410は、位置インジケータ1402を追跡して、インプラントカバー1422の位置を判定し、かつ、それに結合された脛骨インプラント10の位置を判定する、または推定する。この実施形態では、トラッカ1410は、脛骨インプラント10の幾何学形状、(インプラントカバーに対する位置インジケータ1402の場所を含む)インプラントカバー1422の幾何学形状、ならびに、インプラントカバーが脛骨インプラントに取り付けられている場合の脛骨インプラントおよびインプラントカバーの相対的な向きおよび位置を把握している。トラッカ1410は、この情報を使用して、位置インジケータ1402の位置に基づいて、脛骨インプラント10の位置を判定する。トラッカ1410によって把握されている脛骨インプラント10の位置を判定するためのこの関連情報は、上で説明したように、インプラントデータベースに格納され、かつ/またはトラッカに教示されてもよい。
【0055】
トラッカ1410が脛骨インプラント10の位置を判定した後、プロセスは、上記の実施形態で説明したものと概ね同じである。トラッカ1410は、脛骨Tの位置を判定する、または通知される。次に、脛骨インプラント10の位置が、脛骨インプラントが脛骨の近位端部PE上の正しい位置に向かって移動しているかどうかを検証するために、脛骨Tの位置と比較される。脛骨T上の脛骨インプラント10の配置または埋め込み中に位置検証システム1400を使用するとき、トラッカ1410または外科医は、理想的な位置に対する脛骨インプラントの位置を比較して、(脛骨インプラントが脛骨Tの近位端部PE上に埋め込まれるため)脛骨インプラントが理想的な位置に向かって移動している(例えば、それと一致している)ことを検証してもよい。脛骨インプラント10が理想的な位置に向かって移動している場合、外科医は、一切の調整を行うことなく、脛骨インプラント10を脛骨Tに向かって、かつ脛骨T内に移動させ続ける(例えば、挿入する)ことができる。脛骨インプラントが理想的な位置に向かって移動していない場合、外科医は、脛骨インプラント10を脛骨Tに向かって、かつ脛骨T内に移動させながら、必要な調整および修正を行うことができる。このようにして、位置検証システム1400は、脛骨インプラント10を理想的な位置に向かって誘導する。
【0056】
別の例示的な方法では、インプラントカバー1422は、脛骨インプラントが脛骨T上に埋め込まれた後、脛骨インプラント10に結合されて、脛骨に対する脛骨インプラントの位置を検証する。この実施形態では、外科医は、位置インジケータ1402を有するインプラントカバー1422を脛骨Tに埋め込まれた脛骨インプラント10に取り付ける(例えば、外科医は、脛骨インプラントに対して位置インジケータを位置決めする)。トラッカ1410は、位置インジケータ1402を追跡して、脛骨インプラント10の位置を判定する。トラッカ1410は、脛骨インプラント10に結合されているインプラントカバー1422に装着された位置インジケータ1402の位置を追跡する、または発見する。トラッカ1410は、位置インジケータ1402を発見して、脛骨インプラント10の位置を判定する、または推定する。上で説明したように、トラッカ1410は、脛骨インプラント10の幾何学形状、(インプラントカバーに対する位置インジケータ1402の場所を含む)インプラントカバー1422の幾何学形状、ならびに、インプラントカバーが脛骨インプラントに取り付けられている場合の脛骨インプラントおよびインプラントカバーの相対的な向きおよび位置を把握している。トラッカ1410は、この情報を使用して、位置インジケータ1402の位置に基づいて、脛骨インプラント10の位置を判定する。
【0057】
トラッカ1410が脛骨インプラント10の位置を判定した後、プロセスは、上記の実施形態で説明したものと概ね同じである。トラッカ1410は、脛骨Tの位置を判定する、または通知される。次に、脛骨インプラントが脛骨の近位端部PE上に正しく位置決めされているかどうかを検証するために、脛骨インプラント10の位置が、脛骨Tの位置と比較される。位置検証システム1400を使用して、インプラントが埋め込まれた後の脛骨Tに対する脛骨インプラント10の位置を検証するとき、トラッカ1410または外科医は、脛骨インプラントの位置を理想的な位置と比較して、脛骨インプラントが脛骨の正しい位置にあることを検証してもよい。脛骨Tに対する脛骨インプラント10の位置が理想的な位置と位置合わせする場合、脛骨インプラントは正しく位置であり、外科医は残りの手術を続行することができる。脛骨Tに対する脛骨インプラント10の位置が理想的な位置と一致合わせしない場合、外科医は、手術を進める前に、必要に応じてインプラントの位置を調整する。脛骨インプラント10の位置が検証された後、インプラントカバー1422をインプラントから除去する、または取り除くことができる。これらと同じプロセスを使用して、骨に対する他のインプラントの位置を判定できる。例えば、
図35に示されるように、同じプロセスを使用して、大腿骨インプラントに結合されたインプラントカバー1422に装着された位置検証システム1400の位置インジケータ1403を追跡することによって、大腿骨インプラント11の位置を検証することができる。
【0058】
本明細書に記載の本開示の態様の実施形態における操作の実施または実行の順序は、特に明記または別段の指示がない限り、必須ではない。すなわち、操作は、任意の順序でかつ/または同時に実行することができ、本開示の態様の実施形態は、本明細書に開示されるものよりも付加的な、またはより少ない操作を含んでもよい。例えば、別の操作の前、同時、または後に特定の操作を実施する、または実行することは、本開示の範囲内にあると考えられる。
【0059】
本明細書に記載の追跡システムおよび方法を使用して、インプラント以外の他の要素および物体の位置を判定することもできる。一実施形態では、本明細書に記載の追跡システムおよび方法を使用して、インプラントが取り付けられている骨の位置を判定する。例えば、
図30および31に示される実施形態と同様の一実施形態では、外科医は、脛骨の位置を判定するために、その脛骨Tまたは近位端部PEの全部または一部分にわたって位置インジケータ1402(例えば、スタイラスの先端)を軽く滑らせ、または移動させてもよい。
【0060】
明らかなように、本明細書に開示されるインプラント10、110、210、310、410、510、610、710、810、910、1010、1110、1310は、互いに概ね類似しており、したがって、理解を容易にするために、同様のまたは類似の部品が様々な異なるインプラント(またはその要素)の間で使用され、同じ最後の2桁を有する参照番号が使用される。例えば、脛骨キール28は脛骨キール228に類似しているため、これら2つの脛骨キールの最後の2桁は同じ「28」になる。したがって、特に明記しない限り、インプラントおよびその要素に関する上記の説明は、すべての類似のインプラントおよびその要素に等しく適用される。例えば、固定突起34に関連する説明の少なくともいくつかは、固定突起134にも適用されてもよく、かつ/またはその逆であってもよい。
【0061】
本明細書に開示される各実施形態に記載される要素、特徴、および/または教示は、要素、特徴、および/または教示が記載される特定の実施形態に限定されないことが明らかであり、理解される。したがって、一実施形態で説明される要素、特徴、および/または教示は、本明細書で開示される他の実施形態の1つ以上に適用されてもよいことが明らかであり、理解される。例えば、本明細書に開示される脛骨キールのいずれも、脛骨キール128上に存在する鋭い縁を有してもよいことが理解される。別の例では、ある位置検証方法の方法および特徴を別の位置検証方法と共に使用してもよい。
【0062】
添付の特許請求の範囲に定義された開示の範囲から逸脱することなく、開示された実施形態の修正例および変形例が可能である。
【0063】
本開示の要素またはその実施形態を紹介する場合、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1つ以上の要素が存在することを意味することを意図している。「備える」、「含む」および「有する」という用語は、包括的であることを意図しており、リストされた要素以外の付加的要素が存在する可能性があることを意味する。
【0064】
本開示の範囲を逸脱することなく、上記の構造、製品、および方法に様々な変更を加えることができるので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されるすべての事項は、限定の意味ではなく、例示として解釈されるべきである。