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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043023
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】安定な一酸化窒素による触媒酸化性能
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/16 20060101AFI20220308BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20220308BHJP
   B01J 23/42 20060101ALI20220308BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20220308BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20220308BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20220308BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
B01J37/16 ZAB
B01J37/08
B01J23/42 A
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/08 B
F01N3/10 A
F01N3/28 301P
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021181557
(22)【出願日】2021-11-08
(62)【分割の表示】P 2017541907の分割
【原出願日】2016-02-15
(31)【優先権主張番号】1502538.0
(32)【優先日】2015-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チッフィー, アンドリュー フランシス
(72)【発明者】
【氏名】ハッチャー, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】モロー, フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス, ポール リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ, フレイヤ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】圧縮着火エンジンの排気システムにおけるNOに対するNOの安定な比率を生じさせるための触媒組成物を調製する方法を提供する。
【解決手段】(i)担体物質上に配置又は担持された白金(Pt)化合物を含む第一の組成物を調製すること;(ii)白金(Pt)化合物を還元剤で白金(Pt)に還元して、第二の組成物を調製すること;及び(iii)第二の組成物を少なくとも650℃に加熱すること、を含む。還元剤としてヒドラジンを用いる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮着火エンジンの排気システムにおけるNOに対するNOの安定な比率を生じさせるための触媒組成物を調製する方法であって、
(i) 担体物質上に配置又は担持された白金(Pt)化合物を含む第一の組成物を調製すること;
(ii) 還元剤で白金(Pt)化合物を白金(Pt)に還元することにより、第二の組成物を調製すること;及び
(iii) 第二の組成物を少なくとも650℃に加熱すること
を含む、方法。
【請求項2】
(i) 初期湿潤法によって担体物質上に配置又は担持された白金(Pt)化合物を含む第一の組成物を調製すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(i) 初期湿潤法によって担体物質上に配置又は担持された白金(Pt)化合物を含む、固体状態の第一の組成物を調製すること
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
(i)
(a) 初期湿潤含浸法を用いて第一の組成物の溶液又は分散体を調製すること;その後
(b) 第一の組成物の溶液又は分散体から液体を除去して、固体状態の第一の組成物を製造すること
によって、固体状態の第一の組成物を調製すること
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
第一の組成物が白金(Pt)化合物を唯一の白金族金属(PGM)として含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
第一の組成物がパラジウム(Pd)化合物及び/又は元素状パラジウム(Pd)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第一の組成物が触媒促進剤又はその前駆体を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
還元剤がヒドラジンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
圧縮着火エンジンの排気システムにおいて、NO対NOの安定な比率を生じさせるための触媒組成物であって、
(a) 請求項1から8のいずれか一項に記載の方法によって得ることができ;及び/又は
(b) 担体物質上に配置又は担持されている白金(Pt)を含み、白金(Pt)が10から35nmの平均結晶子サイズを有する、
触媒組成物。
【請求項10】
触媒組成物が唯一の白金族金属(PGM)として白金(Pt)を含む、請求項9に記載の触媒組成物。
【請求項11】
パラジウム(Pd)をさらに含む、請求項9に記載の触媒組成物。
【請求項12】
触媒組成物が4:1以上のパラジウム(Pd)に対する白金(Pt)の質量比を有する、請求項11に記載の触媒組成物。
【請求項13】
触媒促進剤をさらに含む、請求項9から12のいずれか一項に記載の触媒組成物。
【請求項14】
基材上に配置されている請求項9から13のいずれか一項に記載の触媒組成物を含む、圧縮着火エンジンからの排気ガスを処理するための酸化触媒。
【請求項15】
第一のウォッシュコート領域;
第二のウォッシュコート領域;及び
基材
を含む、請求項14に記載の酸化触媒であって、
第一のウォッシュコート領域及び第二のウォッシュコート領域が基材上に配置されており、第一のウォッシュコート領域が触媒組成物を含み、第二のウォッシュコート領域が第二の白金族金属(PGM)と第二の担体物質とを含む、
酸化触媒。
【請求項16】
排気ガスが第二のウォッシュコート領域に接触した後に第一のウォッシュコート領域が排気ガスと接触するように配置されている、請求項15に記載の酸化触媒。
【請求項17】
第一のウォッシュコート領域が基材の出口端に配置されている第一のウォッシュコートゾーンであり、第二のウォッシュコート領域が第一のウォッシュコートゾーンの上流に配置されている第二のウォッシュコートゾーンである、請求項16に記載の酸化触媒。
【請求項18】
第一のウォッシュコート領域が第一のウォッシュコート層であり、第二のウォッシュコート領域が第二のウォッシュコート層であり、第一のウォッシュコート層が第二のウォッシュコート層上に配置されている、請求項16又は17に記載の酸化触媒。
【請求項19】
請求項14から18のいずれか一項に記載の酸化触媒と、排出制御装置とを備える、圧縮着火エンジン用の排気システム。
【請求項20】
排出制御装置が選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒である、請求項19に記載の排気システム。
【請求項21】
圧縮着火エンジンと、請求項19又は20に記載の排気システムとを備える自動車。
【請求項22】
排出制御装置のために圧縮着火エンジンからの排気ガス中でNOを安定的に発生させる、請求項9から13のいずれか一項に記載の触媒組成物又は請求項14から18のいずれか一項に記載の酸化触媒の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮着火エンジンの排気システムにおいてNOを安定的に製造するための触媒組成物及びその調製方法に関する。本発明は、酸化触媒、その製造方法、及び酸化触媒を備えた排気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンなどの圧縮着火エンジンは、世界中の政府間機関によって禁止の立法措置が取られる少なくとも四分類の汚染物質、すなわち一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)、及びパティキュレート・マター(PM)を一般に含有する排気物質を生じさせる。圧縮着火エンジン、特に自動車用ディーゼルエンジンの排出基準が次第に厳しくなってきている。このような基準を満たすことができて費用対効果の高い、改良された排気システムを提供する必要がある。
【0003】
一般に、圧縮着火エンジン用の排気システムは、いくつかの排出制御装置を含む。各排出制御装置は、特殊な機能を有し、排気ガス中の1つ以上の分類に属する汚染物を処理に役割を果たす。例えば、ディーゼルエンジン用の排気システムは、(i)CO及びHCを酸化するためのディーゼル酸化触媒(DOC)並びに(ii)NOを窒素(N)に還元するための選択的触媒還元(SCR)触媒を含み得る。上流の排出制御装置の性能が下流の排出制御装置の性能に影響を及ぼす可能性があるため、排気システムにおける各排出制御装置間の相互作用は、システムの全体効率にとって重要である。
【0004】
DOCなどの酸化触媒は、排気ガス中の一酸化窒素(NO)の一部を二酸化窒素(NO)へと酸化することができる。生じたNOは、例えば下流のディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)又は下流の触媒化スートフィルター(CSF)で捕集されたパティキュレート・マター(PM)の再生に使用することができる。酸化触媒によって発生するNOは、選択式触媒還元(SCR)触媒又は選択式触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒の性能にも有益であり得る。圧縮着火エンジンによって直接製造される排ガス中のNO:NOの比は、最適なSCR触媒又はSCRFTM触媒性能のためには一般に低すぎ、DPF又はCSFの受動的再生を補助するにも低すぎる可能性がある。特に、DOCなどの酸化触媒が排気システム内でSCR又はSCRFTM触媒の上流に配置される場合、発生するNOは、最適なSCR又はSCRFTM触媒性能に有利になるように排気ガス中のNO:NOの比を変化させ得る。
【0005】
排気システムに良好なNO生成活性を有する酸化触媒を含めることが有利であり得るが、このように酸化触媒を使用することは問題となり得る。所与の排気ガス温度で酸化触媒によって発生するNOの量は、触媒の寿命にわたって大きく変動し得る。これは、下流の排出制御装置の性能を損なう可能性があり、酸化触媒性能の変動に対応するように下流の触媒を配合する必要があり得る。活性SCRを行う排気システムの場合、窒素系還元剤の注入はNOxの量及びNO:NOxの比に依存するので、NOの量の変動は、窒素系還元剤の注入を調整することを困難にする可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明者らは、酸化触媒(例えばDOC)のNO生成活性(すなわちNO酸化活性)を、その寿命にわたって安定化させる方法を見出した。その結果、酸化触媒の下流の排出制御装置、特にSCR触媒又はSCRFTM触媒を備える排気システムを組み立て又は構成する際に、酸化触媒がその寿命にわたって発生するNOの量の変動を考慮する必要がなくなる。これにより、酸化触媒によって発生するNOの量が比較的一定のままであるとき又は狭い操作ウィンドウ内にあるときに、優れた性能を示す下流の排出制御装置での触媒配合物の使用が可能になる。また、活性SCRを行う排気システムにおいては、窒素系還元剤の注入を調整する方がずっと簡単である。
【0007】
本発明は、触媒組成物、特に圧縮着火エンジンの排気システムにおけるNOに対するNOの安定な比率を生じさせるための触媒組成物を調製する方法を提供する。本方法は、
(i) 担体物質上に配置又は担持された白金(Pt)化合物を含む第一の組成物を調製すること;
(ii) 還元剤で白金(Pt)化合物を白金(Pt)に還元することにより、第二の組成物を調製すること;及び
(iii) 第二の組成物を少なくとも650℃に加熱すること
を含む。
【0008】
酸化触媒の最終触媒組成物は、酸化触媒の製造中にin situで、基材上に調製するのが一般的である。触媒組成物を製造するための成分(例えば白金族金属塩、耐火金属酸化物など)は、溶液に溶解又は分散させてウォッシュコートを形成する。基材にウォッシュコートをコーティングし、その後コーティングした基材を乾燥させ、か焼する。最終的な触媒組成物は、典型的には白金族金属成分(単数又は複数)を耐火性金属酸化物担体物質に「固定」する乾燥及びか焼工程中に、基材の表面にin situで形成される。
【0009】
従来の方法で製造された触媒組成物は、良好な初期NO酸化活性(すなわちNO生成活性)を示すことが多いが、その活性は組成物が長期間(例えば複数の駆動サイクルにわたって)使用されるにつれて劣化する。このNO酸化活性(すなわちNO生成活性)の劣化は、パラメーターΔNO2(S1~S2)により、以下のように定量化することができる。
ΔNO2 (S1~S2)=S1で製造されるNOの量-S2で製造されるNOの量
(式中、S2は、それ以前の第一の状態であるS1の触媒組成物よりも長い使用に供された第二の状態の触媒組成物を表す。)特定の排ガス温度で触媒組成物によって発生するNOの量は、標準的な技術を用いて測定することができる。
【0010】
一般に、ΔNO2 (S1~S2)は、最初に使用された触媒組成物(すなわちS1は、繰り返しの長期使用に供されていない「新しい」又は「フレッシュな」触媒組成物を表す)と繰り返し使用された場合の触媒組成物(すなわちS2)との間のNO生成活性の差異を表す。先行技術における触媒組成物の問題とは、触媒組成物が比較的短期間使用された後に、又は比較的少ない高温再生イベント後にS2の測定が行われた場合でも、例えば組成物の通常の寿命にわたる使用と比較して、ΔNO2 (S1~S2)が相対的に大きくなり得ることである。
【0011】
触媒組成物は、そのライフサイクルにわたって発生するNOの量の変化が最小であることが望ましい。それにより、ΔNO2 (S1~S2)=0又は可能な限りゼロに近いままになる(この場合S1は、繰り返し長期間使用されていない「新しい」又は「フレッシュな」触媒組成物を表す)。
【0012】
本発明はまた、触媒組成物も提供する。この触媒組成物は、圧縮着火エンジンの排気システムにおいて、NOに対するNO(すなわちNO:NO)の安定な比率を生じさせるのに適している。
【0013】
本発明は、触媒組成物のΔNO2 (S1~S2)が非常に小さい触媒組成物及び/又はその調製方法を提供する[例えば式中、S1は最初に使用された触媒組成物を表し、S2は繰り返し使用された触媒組成物を表す]。
【0014】
一般に、本発明の触媒組成物は、担体物質上に配置又は担持された白金(Pt)を含む。
【0015】
本発明の触媒組成物は、本発明の方法から得られるか又は得ることができる。前記触媒組成物は通常、本発明の方法から直接的に得られるか又は直接的に得ることができる。
【0016】
追加的に又は代替的に、白金(Pt)は、10から35nmの平均結晶子サイズを有する。
【0017】
上記のように、本発明の触媒組成物は、長期の繰り返し使用後でも、そのNO酸化活性(すなわちNO生成性能)を保持し、その結果ΔNO2 (S1~S2)が非常に小さくなることが見出された。本発明の触媒組成物は、ΔNO2 (S1~S2)が非常に小さいことに加えて、優れたNO酸化活性も有する(すなわち発生したNOの絶対量が多い)。
【0018】
本発明のさらなる態様は、基材上に配置された本発明の触媒組成物を含む酸化触媒に関する。酸化触媒は、圧縮着火エンジンからの排気ガス(例えば圧縮着火エンジンから直接の排気ガス)の処理に、及び/又はフィルタリング基材を備える排ガス制御装置の能動的再生に適している。「圧縮着火エンジンからの排気ガスの処理」という表現は、圧縮着火エンジンからの排気ガス中の一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び一酸化窒素(NO)を酸化することをいう。
【0019】
本発明は、本発明の酸化触媒の製造方法をさらに提供する。本方法は、
(i) 本発明の触媒組成物を含むウォッシュコートを調製すること;及び
(ii) ウォッシュコートを基材に塗布すること
を含む。
【0020】
本発明の酸化触媒は、SCR触媒又はSCRFTM触媒、特に遷移金属交換ゼオライト(例えば銅交換ゼオライト又は鉄交換ゼオライト)を含むSCR触媒又はSCRFTM触媒と共に、又はフィルタリング基材を含む放出制御装置の能動的再生において用いるのに特に適している。
【0021】
本発明は、圧縮着火エンジン用の排気システムを提供する。この排気システムは、排出制御装置及び本発明の酸化触媒を備える。
【0022】
本発明は、圧縮着火エンジンと、本発明の酸化触媒又は本発明の排気システムのいずれかを備える自動車(vehicle)をさらに提供する。
【0023】
本発明の別の態様は、排出制御装置のための、圧縮着火エンジンからの排気ガス中でNOを安定的に発生させる方法であって、(a)排気ガスを本発明の触媒組成物又は酸化触媒と接触させて、処理済み排気ガスを製造すること;及び(b)処理済み排気ガスを排出制御装置に通過させること
を含む。
【0024】
本発明はさらに、排出制御装置(例えば下流排出制御装置)のための、圧縮着火エンジンからの排気ガス中にNOを安定的に発生させ又は安定的に製造する触媒組成物又は酸化触媒の使用に関する。
【0025】
本発明はまた、フィルタリング基材を有する排出制御装置(例えばフィルタリング基材を有する下流の排出制御装置)の再生における、本発明の触媒組成物又は酸化触媒の使用にも関する。排出制御装置の再生は、「受動的」であっても、「能動的」であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】様々な温度(30℃、450℃、500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、及びその後30℃)での、実施例4の触媒組成物についてのX線回折(XRD)ディフラクトグラムを示す。
図2】様々な温度(30℃、450℃、500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、及びその後30℃)での、実施例5の触媒組成物についてのXRDディフラクトグラムを示す。
図3】様々な温度(30℃、450℃、500℃、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、及びその後30℃)での、実施例4及び5のPt結晶子サイズのアベレージ(平均)を示すヒストグラム。
【発明を実施するための形態】
【0027】
驚くべきことに、(例えば酸化触媒の寿命にわたって)NOを安定的に製造することができる触媒組成物を製造することが可能であることが見出された。触媒組成物のNO生成活性の安定化は、触媒組成物の初期NO酸化活性をほとんど劣化又は低下させることなく得ることができる。本発明の触媒組成物は、従来の方法によって調製された組成物と比較して、相対的に小さいΔNO2 (S1~S2)(式中、S1は初期のフレッシュな状態の触媒組成物を表し、S2は繰り返し長期間使用された触媒組成物を表す)を有する。これは、本発明の触媒組成物を基材に新たに塗布した後に発生したNOの量と、触媒組成物がより古くてエイジングした状態にある場合との差が比較的小さいことを意味する。
【0028】
一般に、本発明の方法は、以下の工程:
(i) 担体物質上に配置又は担持された白金(Pt)化合物を含む第一の組成物を調製する工程;
(ii) 還元剤で白金(Pt)化合物を白金(Pt)に還元することにより、第二の組成物を調製する工程;及び
(iii) 第二の組成物を少なくとも650℃に加熱する工程
を含むか又はそれらからなる。
【0029】
原則的に、(i)担体物質上に配置又は担持された白金(Pt)化合物を含む第一の組成物を調製する工程において、任意の従来の方法を使用することができる。第一の組成物は、例えば、基材上にコーティングされた酸化触媒のための従来のウォッシュコートと同じ、コーティングされた基材が乾燥及びか焼される前の配合を有し得る。
【0030】
工程(i)は、初期湿潤法、析出沈殿法又は共沈法によって担体物質上に配置又は担持された白金(Pt)化合物を含む第一の組成物を調製する工程(i)とすることができる。かかる方法は、当該技術分野で知られている。工程(i)は、初期湿潤法によって担体物質上に配置又は担持された白金(Pt)化合物を含む第一の組成物を調製する工程(i)であることが好ましい。
【0031】
本発明の触媒組成物を調製する方法において、工程(i)は典型的には、固体状態の第一の組成物を調製する工程(i)である。したがって、工程(i)は好ましくは、(i)第一の組成物から液体を除去し、及び/又は第一の組成物を乾燥させることによって、固体状態の第一の組成物を調製する工程(i)である。第一の組成物からの液体の除去又は第一の組成物の乾燥は、凍結乾燥及び/又は加熱(すなわち第一の組成物から余分な液体を蒸発させること)によって行うことができる。
【0032】
加熱によって第一の組成物から液体を除去する場合、第一の組成物を典型的には200℃以下、好ましくは150℃以下の温度に加熱する。
疑義を避けるためであるが、第一の組成物を加熱して第一の組成物を乾燥させる工程は、第一の組成物をか焼する工程ではない。
【0033】
第一の組成物から余分な液体を乾燥及び/又は除去する工程は、Pt化合物(加えて、存在し得る元素状Ptを含むその他任意のPGM又はPGM化合物)を担体物質上に固定させる。これにより、Pt化合物(加えて、存在し得る元素状Ptを含むその他任意のPGM又はPGM化合物)が担体物質から分離されることによって溶相に(例えば分散体又は溶液として)再進入することが防止される。このようにしてPt化合物(加えて、存在し得る元素状Ptを含むその他任意のPGM又はPGM化合物)を固定することにより、触媒組成物の活性に影響を与え得る大きなPt(及び他のPGM)結晶子の形成が回避される。
【0034】
第一の組成物は、複数の触媒前駆体粒子を通常含むか又は本質的にそれらからなる。各触媒前駆体粒子は、担体物質の粒子上に配置又は担持された白金(Pt)化合物の少なくとも1つの粒子を含む。各触媒前駆体粒子は、担体物質の粒子上に配置又は担持されたPt化合物の複数の粒子を通常含むか又は本質的にそれらからなることができる。
【0035】
第一の組成物(すなわち工程(i)で調製されたもの)は、固体状態、好ましくは固体の粉末形態であることが好ましい。
【0036】
工程(i)は、好ましくは、(a)初期湿潤含浸法を用いて第一の組成物の溶液又は分散体を調製し、次に(b)第一の組成物の溶液又は分散体から液体を(例えば凍結乾燥及び/又は加熱、好ましくは加熱により)除去して固体状態の第一の組成物を製造することにより、固体状態の第一の組成物を調製する工程(i)である。析出沈殿法又は共沈法などの他の方法とは対照的に、第一の組成物を調製するための初期湿潤含浸法の使用は、触媒組成物の酸化活性に悪影響を及ぼす大きなPt(及び他のPGM)結晶子の形成を最小化又は回避するので、有利である。
【0037】
初期湿潤含浸法を用いて第一の組成物の溶液又は分散体を調製する工程(i)(a)は典型的には、Pt化合物を含む液体(好ましくは水性液体)と担体物質を接触させて、好ましくは液体を含浸させた担体物質を製造することを含む。
【0038】
Pt化合物は、白金(Pt)塩及び/又は白金(Pt)の酸化物であってもよい。Pt塩は、例えば白金の硝酸塩[例えば白金(IV)硝酸塩、テトラアンミン白金(II)硝酸塩];白金のハロゲン化物[例えばテトラアンミン白金(II)テトラクロロ白金酸塩(II)];白金の水酸化物[例えばテトラアンミン白金(II)水酸化物、白金テトラモノエタノールアミン水酸化物];白金の炭酸塩[例えばテトラアンミン白金炭素塩];又は白金の有機酸塩[例えば白金(II)酢酸塩]であってもよい。
【0039】
第一の組成物がPd化合物及び/又は元素状パラジウム(例えばパラジウム(Pd)金属)を含む場合、液体は、Pd化合物をさらに含んでもよい。
【0040】
Pt化合物は、パラジウム(Pd)塩及び/又はパラジウム(Pd)の酸化物であってもよい。Pd塩は、例えばパラジウムの硝酸塩[例えば、パラジウム(II)硝酸塩、テトラアンミンパラジウム(II)硝酸塩];パラジウムのハロゲン化物;パラジウムの水酸化物;又はパラジウムの有機酸塩であってもよい。
【0041】
第一の組成物が触媒促進剤を含む場合、液体は、触媒促進剤又はその前駆体をさらに含み得る。
【0042】
好ましくは、触媒促進剤又はその前駆体は、アルカリ土類金属化合物(例えば二元アルカリ土類金属化合物)である。典型的には、アルカリ土類金属化合物は、アルカリ土類金属の酸化物又はアルカリ土類金属の塩、例えばアルカリ土類金属の硝酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩又はアルカリ土類金属のハロゲン化物である。
【0043】
アルカリ土類金属化合物は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群より選択されるアルカリ土類金属を含み得る。アルカリ土類金属はバリウムであることが好ましい。
【0044】
第一の組成物が触媒促進剤を含む場合、液体はアルカリ土類金属の塩である触媒促進剤前駆体を含むことが好ましい。
【0045】
本発明の方法の工程(i)は、
(i)
(a) 担体物質を液体と接触させて、液体が含浸された担体物質を製造することを含む初期湿潤含浸法を用いて、第一の組成物の溶液又は分散体を調製すること;次に
(b) 第一の組成物の溶液又は分散体から液体を除去して、固体状態の第一の組成物を製造すること
により、固体状態の第一の組成物を調製することを含む。
【0046】
一般に、第一の組成物の調製中に、Pt化合物の一部(ただし少量)を金属白金に転化させることが可能である。しかしながら、第一の組成物中の白金の大部分は、Pt化合物の形態にあるであろう。
【0047】
第一の組成物は、担体物質上に配置又は担持された元素状白金(例えば白金(Pt)金属)をさらに含み得る。第一の組成物は、担体物質上に配置又は担持された白金(Pt)化合物と、任意選択的に、担体物質上に配置された元素状白金(例えば白金金属)とを含んでもよく、又は本質的にそれらからなってもよい。第一の組成物が元素状白金を含む場合、第一の組成物は、元素状白金のモル量よりも多い(典型的には少なくとも50%多い)モル量の、白金(Pt)化合物からの白金を通常含む。
【0048】
各触媒前駆体粒子は、白金(Pt)化合物の少なくとも1つの粒子と、担体物質の粒子上に配置又は担持された元素状白金の少なくとも1つの粒子とを含んでもよく、又は本質的にそれらからなってもよい。
【0049】
第一の組成物は、担体物質上に配置された白金(Pt)化合物から本質的になることが好ましい(例えば、第一の組成物は複数の触媒前駆体粒子から本質的になり、各触媒前駆体粒子は、担体物質上に配置又は担持されたPt化合物の少なくとも1つの粒子、好ましくは複数の粒子から本質的になる)。
【0050】
第一の組成物は、唯一の白金族金属(PGM)又はその化合物として、Pt化合物及び任意選択的に元素状Pt(例えば金属Pt)を含んでもよい。したがって、Ptを除いて、第一の組成物中に他のPGMが存在することはない。
【0051】
あるいは、第一の組成物は、パラジウム(Pd)化合物及び/又は元素状パラジウム(例えばパラジウム(Pd)金属)をさらに含んでもよい。一般に、第一の組成物がパラジウムを含有する場合、第一の組成物はパラジウム(Pd)化合物を含むことが好ましい。
【0052】
典型的には、Pd化合物及び/又は元素状パラジウム(例えば金属Pd)は、担体物質上に配置又は担持され得る。
【0053】
Pd化合物及び/又は金属Pdは、前記担体物質(すなわちPt化合物に使用される担体物質と同じ組成を有する担体物質)上に配置又は担持されてもよい。
【0054】
Pd化合物及び/又は金属Pdは、Pt化合物のための担体物質と同じ担体物質上に配置又は担持されることが好ましい。したがって、第一の組成物は、(i)担体物質上に配置されたPt化合物と、(ii)該担体物質上に配置されたPd化合物及び/又は金属Pdとを含んでもよく、又は本質的にそれらからなってもよい。
【0055】
第一の組成物は、複数の触媒前駆体粒子を通常含み、各触媒前駆体粒子は、(i)担体物質の粒子上に配置又は担持された白金(Pt)化合物の少なくとも1つの粒子と、(ii)担体物質の粒子上に配置又は担持されたPd化合物の少なくとも1つの粒子及び/又は少なくとも1つの金属Pd粒子とを含むか又は本質的にそれらからなる。触媒前駆体粒子は、(i)Pt化合物の少なくとも1つの粒子と、(ii)Pd化合物の少なくとも1つの粒子及び/又は金属Pdの少なくとも1つの粒子とを含んでもよく、又はそれらから本質的になってもよく、Pt化合物の少なくとも1つの粒子及びPd化合物の少なくとも1つの粒子並びに/又は金属Pdの少なくとも1つの粒子は担体物質の粒子上に配置又は担持される(すなわちPt化合物の粒子及びPd化合物の粒子並びに/又は金属Pdの粒子は、担体物質の同じ粒子上に配置又は担持される)。
【0056】
第一の組成物は、Pt(例えばPt化合物の状態及び/又は元素状Pt)の全量及びPd(例えばPd化合物の状態及び/又は元素状Pd)の全量を通常含み、パラジウムに対する白金の所望のモル比又はパラジウムに対する白金の所望の質量比(下記参照)を有する触媒組成物を提供する。
【0057】
第一の組成物は、上記のような触媒促進剤又はその前駆体をさらに含んでもよい。
【0058】
典型的には、触媒促進剤又はその前駆体は、担体物質上に配置又は担持され得る。触媒促進剤又はその前駆体は、Pt化合物のための担体物質と同じ担体物質上に配置又は担持されることが好ましい。したがって、第一の組成物は、(i)担体物質上に配置されたPt化合物と、(ii)該担体物質上に配置された触媒促進剤又はその前駆体と、(iii)該担体物質上に配置されたPd化合物及び/又は金属Pdとを含んでもよく、又は本質的にそれらからなってもよい。
【0059】
第一の組成物は、複数の触媒前駆体粒子を通常含み、各触媒前駆体粒子は、(i)Pt化合物の少なくとも1つの粒子と、(ii)触媒促進剤又はその前駆体の少なくとも1つの粒子と、任意選択的に(iii)Pd化合物の少なくとも1つの粒子及び/又は金属Pdの少なくとも1つの粒子とを含むか又はそれらから本質的になり、Pt化合物の少なくとも1つの粒子及び触媒促進剤又はその前駆体の少なくとも1つの粒子は担体物質の粒子上に配置又は担持される(すなわちPt化合物の粒子及び触媒促進剤又はその前駆体の粒子は、担体物質の同じ粒子上に配置又は担持される)。Pt化合物の少なくとも1つの粒子、触媒促進剤又はその前駆体の少なくとも1つの粒子及びPd化合物の少なくとも1つの粒子並びに/又は金属Pdの少なくとも1つの粒子は、担体物質の粒子上に配置又は担持される。
【0060】
本方法の工程(ii)は、Pt化合物を還元剤で白金に還元することにより(例えば第一の組成物から)、第二の組成物を調製する工程(ii)である。典型的には、工程(ii)は、工程(i)の直後に行われる(例えば、他の介在する方法工程がない)。
【0061】
典型的には、工程(ii)は、第一の組成物を還元剤と接触させてPt化合物を白金(すなわち元素状白金[例えば金属Pt])に還元することによって、第二の組成物を調製する工程(ii)を含む。第一の組成物を還元剤と接触させることにより、白金化合物の実質的にすべてを白金に還元することが好ましい。
【0062】
加熱前にPt化合物を白金金属に還元することにより(すなわち本方法の工程(iii)において)、高いNO酸化活性と安定なNO酸化活性の両方を有する触媒組成物を得ることができることが見出された。特に、還元工程は、組成物の加熱又はか焼成前に還元工程なしで同様の方法で調製された触媒組成物よりも高いNO酸化活性を示す触媒組成物の調製を可能にする。本発明の触媒組成物はまた、組成物を加熱又はか焼する前に還元工程なしで調製された触媒組成物と比較して、同様の又は改善されたNO酸化安定性を示すことができる。
【0063】
理論に縛られることを望むものではないが、還元工程の結果、加熱工程の前にPt金属の小さな粒子が担体物質の表面に高分散した組成物(すなわち第二の組成物)が形成されると考えられる。加熱工程は、互いに近接しているPt金属粒子の焼結を引き起こし、加熱が起こる温度又はより低い温度ではそれ以上の焼結は不可能であると考えられる。したがって、第二の組成物が最初に形成されたときに存在する焼結可能なPt金属の粒子は、加熱工程中に焼結され、加熱温度以下でのさらなる焼結を低減又は防止する。しかしながら、担体物質の表面のPt金属の粒子の高分散性のために、焼結を受けるPt粒子の割合は最小であり、得られる触媒組成物は、Pt金属の小さな粒子により提供される広い表面積ゆえに、高いNO酸化活性を保持する。
【0064】
対照的に、Pt化合物が加熱/か焼によって変換される場合(すなわち加熱/か焼の前に化学的に還元されていない)、形成されるPtの粒子は、本発明の方法により調製される場合と比較して、より大きくなる傾向があり、担体物質の表面に高分散しない。
【0065】
還元剤は、有機酸(例えばアスコルビン酸)、アルデヒド、アルコール、ポリオール、水素化物還元剤(例えばNaBH又はLiAlH)、ヒドラジン、水素ガス又はHPO、NaPO及びHSOからなる群より選択される酸若しくはその塩である。還元剤は、ヒドラジンであることが好ましい。
【0066】
工程(ii)は、第一の組成物の溶液又は分散体を還元剤と接触させてPt化合物を白金(すなわち元素状白金[例えば金属Pt])に還元することによって、第二の組成物を調製する工程(ii)を含む。
【0067】
工程(ii)において、第一の組成物を接触させる工程は、典型的には、還元剤の溶液を第一の組成物に添加してPt化合物を白金(すなわち元素状白金[例えば金属Pt])に還元する工程によるものである。工程(ii)は第一の組成物の溶液又は分散体に還元剤の溶液を添加してPt化合物を白金に還元することを含むことが好ましい。
【0068】
本方法の工程(i)が固体状態の第一の組成物を調製することを含む場合、工程(ii)は、
(a) 第一の組成物の溶液又は分散体を形成すること、その後
(b) 上に記載のように、第一の組成物の溶液又は分散体を還元剤と接触させてPt化合物を白金に還元することによって、第二の組成物を調製すること
を含んでもよい。
【0069】
組成物の溶液若しくは分散体及び/又は還元剤の溶液を使用する場合、工程(ii)は、
- 第二の組成物の分散体を濾過して、固体状態の第二の組成物を得る工程;
- 任意選択的に、固体状態の第二の組成物を洗浄する工程;及び
- 第二の組成物を乾燥させる工程
をさらに含んでもよい。
【0070】
第二の組成物の乾燥は、凍結乾燥及び/又は加熱によるものであってよい。第二の組成物の乾燥は、第二の組成物を200℃以下、好ましくは150℃以下の温度に加熱することによるのが好ましい。
【0071】
Pt化合物を白金に還元した後、第二の組成物中に存在する白金の大部分は、元素状Pt(例えば金属Pt)であろう。
【0072】
第二の組成物は、担体物質上に配置又は担持された元素状白金(例えば白金(Pt)金属)を含む。第二の組成物は、担体物質上に配置又は担持された元素状白金(例えば白金金属)を含んでもよく、又は本質的にそれからなってもよい。少量のPt化合物が第二の組成物中に存在してもよい。第二の組成物が白金(Pt)化合物を含む場合、第二の組成物は、白金(Pt)化合物からの白金のモル量よりも多い(典型的には少なくとも100%多い)モル量の元素状白金を通常含む。
【0073】
第二の組成物は、複数の非コンディショニング触媒粒子を含む。各非コンディショニング触媒粒子は、担体物質の粒子上に配置又は担持された元素状白金の少なくとも1つの粒子、好ましくは複数の粒子を含んでもよく、又は本質的にそれからなってもよい。
【0074】
第一の組成物が唯一の白金族金属(PGM)として白金(Pt化合物及び/又は元素状Pt)を含む場合、第二の組成物も、唯一のPGMとして白金を含む。したがって、Ptを除いて、第二の組成物中に他のPGMが存在することはない。
【0075】
あるいは、第一の組成物がパラジウム(Pd)(Pd化合物及び/又は元素状Pd)を含む場合、第二の組成物も、パラジウム(Pd)化合物及び/又は元素状パラジウムを含む。Pd化合物及び/又は元素状パラジウム(例えば金属Pd)は、前記担体物質(すなわちPt化合物に使用される担体物質と同じ組成を有する担体物質)上に配置又は担持されてもよい。
【0076】
第一の組成物がPd化合物を含む場合、Pt化合物を還元剤で白金に還元する工程は、Pd化合物を元素状パラジウムに還元してもしなくてもよい。いくつかの還元剤は、存在しうるPd化合物を還元することなくPt化合物を元素状白金に選択的に還元することができる。還元剤でPt化合物を白金に還元する工程は、還元剤でPt化合物を白金に還元し、かつ、Pd化合物をパラジウムに還元する工程であることが好ましい。したがって、第二の組成物は、(i)担体物質上に配置又は担持された元素状Ptと、(ii)該担体物質上に配置又は担持された金属Pdとを含んでもよく、又は本質的にそれらからなってもよい。
【0077】
第二の組成物は、複数の非コンディショニング触媒粒子を通常含み、各非コンディショニング触媒前駆体粒子は、(i)担体物質の粒子上に配置又は担持された元素状白金の少なくとも1つの粒子と、(ii)担体物質の粒子上に配置又は担持されたPd化合物の少なくとも1つの粒子及び/又は元素状パラジウムの少なくとも1つの粒子とを含むか又は本質的にそれらからなる。
【0078】
第二の組成物は、上記のような触媒促進剤又はその前駆体をさらに含んでもよい。第二の組成物は、(i)担体物質上に配置されたPt化合物と、(ii)該担体物質上に配置された元素状白金と、(iii)該担体物質上に配置されたPd化合物及び/又は金属Pdとを含んでもよく、又は本質的にそれらからなってもよい。
【0079】
各非コンディショニング触媒粒子は、(i)元素状白金の少なくとも1つの粒子と、(ii)触媒促進剤又はその前駆体の少なくとも1つの粒子と、任意選択的に(iii)Pd化合物の少なくとも1つの粒子及び/又は元素状パラジウムの少なくとも1つの粒子とを含んでもよく、又は本質的にそれらからなってもよく、元素状白金の少なくとも1つの粒子、触媒促進剤又はその前駆体の少なくとも1つの粒子は担体物質の粒子上に配置又は担持される。元素状白金の少なくとも1つの粒子、触媒促進剤又はその前駆体の少なくとも1つの粒子及びPd化合物の少なくとも1つの粒子並びに/又は金属Pdの少なくとも1つの粒子は、担体物質の1つの粒子(すなわち同じ粒子)上に好ましくは配置又は担持される。
【0080】
本方法の工程(iii)は、(例えば触媒組成物を製造するために)第二の組成物を少なくとも650℃に加熱する工程である。この加熱工程は、得られる触媒組成物のNO酸化活性を安定化させ得ることが判明した。したがって、工程(iii)は、第二の組成物を加熱してそのNO酸化活性を安定化させる工程である。
【0081】
酸化触媒を製造する従来の方法では、コーティングされた触媒基材は、通常500℃以下の温度でか焼される。一般に、工程(ii)において第二の組成物は、酸化触媒の製造のために慣用的に使用される温度よりも高い温度に加熱される。
【0082】
工程(iii)は、第二の組成物を少なくとも650℃(例えば650から1000℃)、好ましくは少なくとも700℃(例えば700から1000℃)、例えば少なくとも750℃(例えば750から900℃)、より好ましくは少なくとも800℃、例えば少なくとも850℃に加熱する工程である。
【0083】
通常、工程(iii)は第二の組成物を空気中又は不活性ガス雰囲気下、好ましくは空気中で加熱することを含む。
【0084】
工程(iii)は、例えば、1から10体積%の水及び90から99体積%の空気を含有する雰囲気中で第二の組成物を加熱することを含んでもよい。水熱処理された触媒組成物は、特に触媒組成物が白金及びパラジウムを含む場合、有利なNO酸化活性を有することができる。
【0085】
あるいは、工程(iii)は、水を含まない雰囲気(例えば不活性ガス雰囲気)中で第二の組成物を加熱することを含んでもよい。
【0086】
通常、工程(iii)は、第二の組成物を少なくとも30分間(例えば少なくとも1時間)、好ましくは少なくとも2時間、例えば少なくとも3時間、より好ましくは少なくとも5時間、少なくとも650℃(例えば650から1000℃)に、又は少なくとも700℃(例えば700から1000℃)に、又は少なくとも750℃(例えば750から900℃)に、少なくとも800℃に、又は少なくとも850℃に加熱することを含む。本発明の方法で使用される加熱時間は、酸化触媒を製造する従来の方法においてコーティングされた触媒基材をか焼するのに要する時間よりも一般に長い。
【0087】
工程(iii)は、毎分2℃を超える傾斜率で、少なくとも650℃(例えば650から1000℃)に、より好ましくは少なくとも700℃(例えば700から1000℃)に、例えば少なくとも750℃(例えば750から1000℃)に、特には少なくとも800℃、例えば少なくとも850℃に第二の組成物を加熱することを含んでもよい。
【0088】
本発明はまた、上記の方法から得ることができる触媒組成物を提供する。
【0089】
本発明の触媒組成物は、担体物質上に配置又は担持された白金(Pt)を含む。白金は、元素状白金(例えば金属Pt)である。
【0090】
白金(Pt)は、典型的には10から35nm、例えば10から30nm又は15から25nmの平均結晶子サイズを有する。平均結晶子サイズは、好ましくは11から20nm、特に12から18nmである。
【0091】
この文脈における「平均結晶子サイズ」という用語は、担体物質上の白金粒子のアベレージ(すなわち平均)コヒーレントドメインサイズを指す。白金は一般に、担体物質上に結晶子として存在する。Pt結晶子サイズは、X線回折(XRD)技術を(例えば25℃で)使用し、回折ピークの幅に関係する、結晶子サイズを決定するための確立された方法を適用することによって、日常的に決定することができる。典型的には、積分幅から計算した体積平均カラム高さを使用して、平均結晶子サイズを決定する。
【0092】
本発明の触媒組成物は、排気ガス中のNOからNOへの酸化に対して、従来のウォッシュコート法を用いて調製された「フレッシュ」触媒組成物と比較して安定な活性を示すことが見出された。従来のウォッシュコート法によってin situで調製されたフレッシュ触媒組成物中の白金の平均結晶子サイズは、典型的には10nm未満であり、通常は約2から3nmである。対照的に、本発明の触媒組成物は、従来の方法によって調製されたフレッシュ触媒組成物中に典型的に見られる白金の平均結晶子サイズと比較して、白金の平均結晶子サイズの方がより大きい。
【0093】
本発明の触媒組成物の主な機能は、NOをNOに酸化することである。ところが、前記触媒組成物は、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)の酸化などの温度によっては、排気ガスと接触するときに他の反応を触媒することが認識されている。
【0094】
前記触媒組成物は、NOからNOへの酸化を触媒するのに有効となる最低温度を有する。例えば、特定の触媒反応のために「ライトオフ」温度を示すことは、当該技術分野において一般的である。「ライトオフ」温度は、酸化触媒が特定の触媒反応(例えばNOからNOへの酸化)を開始する温度であるか又はその反応を一定のレベルまで実施する温度である。
【0095】
使用中、本発明の酸化触媒の出口からの排気ガス中のNOの量は通常、本発明の触媒組成物を含む酸化触媒に流入する排気ガス中のNOの量より多い。一般に、酸化触媒又は触媒組成物は、約300℃で、NOの10%超をNOへ酸化する。
【0096】
触媒組成物は、使用中に(例えば、通常の使用中に酸化触媒が供される条件下で)熱的に安定な担体物質を含む。この文脈における「熱的に安定な」という用語は、実質的に一定の比表面積及び/又は実質的に一定の細孔容積を有する耐火性金属酸化物を含むか又は本質的にそれからなる担体物質をいう。この文脈における「実質的に一定」という用語は、その平均値から10%未満、好ましくは5%未満だけ逸脱した比表面積又は細孔容積をいう。
【0097】
担体物質(例えば白金担体物質及び/又はパラジウム担体物質)は、排気ガス中の汚染金属に対して化学的に非反応性の耐火性金属酸化物を含むか又は本質的にそれからなる(すなわち使用される)ことが好ましい場合がある。かかる汚染金属は、当該技術分野において周知であり、圧縮着火に使用される燃料又は油中に存在し得る。
【0098】
担体物質は通常、耐火性金属酸化物を含むか又は本質的に耐火性金属酸化物からなる。耐火性金属酸化物は通常、アルミナ、シリカ、セリア、チタニア、ジルコニア、及びそれらの2つ以上の混合又は複合酸化物からなる群より選択される。耐火性金属酸化物は例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、シリカ-アルミナ、チタニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、セリア-アルミナ、チタニア-シリカ、ジルコニア-シリカ、ジルコニア-チタニア、及びセリア-ジルコニアからなる群より選択され得る。耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ、及びそれらの混合又は複合酸化物から選択されることが好ましい。より好ましくは、耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ-アルミナ、及びアルミナとセリアの混合物から選択される。さらに一層好ましくは、耐火性金属酸化物は、アルミナ及びシリカ-アルミナから選択される。
【0099】
一般に、耐火性金属酸化物は、アルミナを含むか又は本質的にアルミナからなることが好ましい。アルミナは、α-Al、β-Al又はγ-Alとすることができる。アルミナは、γ-Alを含むか又は本質的にγ-Alからなることが好ましい。
【0100】
耐火性金属酸化物は、アルミナ(例えばシリカ-アルミナ又はアルミナとセリアとの混合物)の混合又は複合酸化物を含んでもよく、又は本質的にそれからなってもよい。好ましくは、アルミナの混合又は複合酸化物は、少なくとも50から99重量%のアルミナ、より好ましくは70から95重量%のアルミナ、さらに一層好ましくは75から90重量%のアルミナを含む。
【0101】
一般に、担体物質又はその耐火性金属酸化物は、(例えばドーパントを)任意選択的にドープされていてもよい。ドーパントは、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ケイ素(Si)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、ネオジム(Nd)、及びそれらの酸化物からなる群より選択され得る。ドーパントの含有によって、担体物質を熱的に安定化することができる。この文脈において「ドープした」という表現は、耐火性金属酸化物のバルク又はホスト格子にドーパントを置換ドープ又は格子間ドープした場合を指すものと理解されるべきである。
【0102】
担体物質又はその耐火性金属酸化物をドープする場合、ドーパントの量は、一般的には0.25から2.5重量%、好ましくは0.5から1.5重量%(例えば約1重量%)である。この文脈における各量は、担体物質又は耐火性金属酸化物当たりの総量を指す。
【0103】
担体物質は、ドーパントをドープしたアルミナを含んでもよく、又は本質的にそれからなってもよい。アルミナには、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)若しくはジルコニウム(Zr)又はそれらの2つ以上の組み合わせを含むドーパントがドープされてもよい。ドーパントは、ケイ素の酸化物、マグネシウムの酸化物、バリウムの酸化物、ランタンの酸化物、セリウムの酸化物、チタンの酸化物又はジルコニウムの酸化物を含んでもよく、又は本質的にそれからなってもよい。好ましくは、ドーパントは、ケイ素、マグネシウム、バリウム若しくはセリウム又はその酸化物、特にケイ素若しくはセリウム又はその酸化物を含むか又は本質的にそれからなる。より好ましくは、ドーパントは、ケイ素、マグネシウム若しくはバリウム又はその酸化物、特にケイ素若しくはマグネシウム又はその酸化物、とりわけケイ素又はその酸化物を含むか又は本質的にそれからなる。
【0104】
アルミナがシリカをドープしたアルミナである場合、このアルミナには、全重量が0.5から45重量%(すなわちアルミナの重量に対する%)、好ましくは1から40重量%、より好ましくは1.5から30重量%(例えば1.5から10重量%)、特に2.5から25重量%、より詳細には3.5から20重量%(例えば5から20重量%)、なお一層好ましくは4.5から15重量%のシリカがドープされている。アルミナが酸化マグネシウムをドープしたアルミナである場合には、このアルミナには、上に定義された量の、又は1から30重量%(すなわちアルミナの重量に対する%)、好ましくは5から25重量%の量のマグネシウムがドープされている。
【0105】
耐火性金属酸化物がセリア-アルミナ又はセリア-ジルコニアである場合、セリア-アルミナ又はセリア-ジルコニアは、20から95重量%のセリアと5から80重量%のアルミナ又はジルコニア(例えば50から95重量%セリアと5から50重量%アルミナ又はジルコニア)、好ましくは35から80重量%のセリアと20から65重量%のアルミナ又はジルコニア(例えば55から80重量%セリアと20から45重量%アルミナ又はジルコニア)、さらに一層好ましくは45から75重量%のセリアと25から55重量%アルミナ又はジルコニアから本質的になってもよい。
【0106】
一般に、本発明の触媒組成物は、担体物質上に配置又は担持された白金(Pt)を含む。白金(Pt)は、担体物質に直接配置されてもよく、又は担体物質によって直接担持されてもよい(例えばPtと担体物質の間に介在する担体物質は存在しない)。白金は例えば、担体物質上に分散させ、及び/又は担体物質中に含浸させることができる。
【0107】
触媒組成物は、典型的には0.5重量%以上の白金、好ましくは1.0重量%以上の白金を含む。
【0108】
触媒組成物は通常、複数の触媒粒子を含み、各粒子は、担体物質の粒子上に配置又は担持された白金の少なくとも1つの粒子、好ましくは複数の粒子を含むか又は本質的にそれらからなる。
【0109】
触媒組成物は、パラジウム化合物及び/又は元素状パラジウム(例えば金属Pd)のようなパラジウムをさらに含むことができる。触媒組成物がパラジウムを含む場合、パラジウムは元素状パラジウムであることが好ましい。
【0110】
触媒組成物がパラジウムを含む場合、触媒組成物は、1:1より大きいパラジウム(Pd)に対する白金(Pt)のモル比を有することが好ましい。NOからNOへの酸化に対する白金の活性は、パラジウムのそれよりも著しく好適である。
【0111】
典型的には、触媒組成物は、4:1以上のパラジウム(Pd)に対する白金(Pt)の質量比を有する。よって、Pdに対するPtの質量比は、25:1から4:1(例えば20:1から4.5:1)、好ましくは15:1から5:1(例えば12.5:1から6:1)、より好ましくは10:1から7:1であり得る。
【0112】
パラジウムは、前記担体物質上に配置又は担持されてもよい(すなわち白金及びパラジウムに使用される担体物質は同じ(例えば同じ組成)である)。パラジウム(Pd)は、担体物質に直接配置されてもよく、又は担体物質によって直接担持されてもよい(例えばパラジウムと担体物質の間に介在する担体物質は存在しない)。パラジウムは例えば、担体物質上に分散させ、及び/又は担体物質中に含浸させることができる。
【0113】
触媒組成物は、唯一の白金族金属(PGM)として白金(Pt)を含むことが好ましい場合がある。例えば、触媒組成物が担体物質上に配置又は担持された白金及びパラジウムを含む(すなわち白金及びパラジウムの粒子が同じ担体物質上に存在する)場合、白金-パラジウム合金が形成され得る。これは、NOからNOへの酸化にとって不利になり得る。
【0114】
一般に、本発明の触媒組成物は、Pd及び/又はRh(すなわち金属Pd若しくはRh又はその化合物)を含まないことが好ましい場合がある。本発明の酸化触媒は、Pd及び/又はRhを含まなくてもよい。
【0115】
驚くべきことに、「第二の」耐火性金属酸化物のような不活性物質と担持された白金粒子とを混合することにより、NO生成能力をさらに安定化させ得ることが見出された。したがって、小さなΔNO2(フレッシュから)を有する触媒組成物を得ることができる。実際、触媒組成物に不活性物質を含有させると、不活性物質を含まない触媒組成物のΔNO2(フレッシュから)より低いΔNO2(フレッシュから)を有する触媒組成物が得られる可能性がある。
【0116】
触媒組成物は、第二の耐火性金属酸化物をさらに含んでもよい。第二の耐火性金属酸化物は、その上に白金が配置又は担持される耐火性金属酸化物のような、担体物質の耐火性金属酸化物(例えば「第一の」耐火性金属酸化物)とは通常異なる(すなわち異なる物質)。
【0117】
第二の耐火性金属酸化物は白金、パラジウム及び/又はロジウムのような白金族金属のための担体物質ではないことが一般に好ましい。したがって、第二の耐火性金属酸化物上には何も配置又は担持されないことがさらに好ましい。
【0118】
第二の耐火性金属酸化物は、担体物質について上で定義したような耐火性金属酸化物であってもよい。耐火性金属酸化物は典型的には、例えばアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、及びそれらの2つ以上の混合又は複合酸化物(例えばアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、シリカ-アルミナ、チタニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、セリア-アルミナ、チタニア-シリカ、ジルコニア-シリカ、ジルコニア-チタニア又はセリア-ジルコニア)からなる群より選択される。第二の耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ、アルミナとシリカとの混合又は複合酸化物、及びシリカをドープしたアルミナから選択されることが好ましい。より好ましくは、第二の耐火性金属酸化物は、シリカをドープしたアルミナである。
【0119】
第二の耐火性金属酸化物がシリカをドープしたアルミナである場合、このアルミナには、全重量が0.5から45重量%(すなわちアルミナの重量に対する%)、好ましくは1から40重量%、より好ましくは1.5から30重量%(例えば1.5から10重量%)、特に2.5から25重量%、より詳細には3.5から20重量%(例えば5から20重量%)、さらに一層好ましくは4.5から15重量%のシリカがドープされている。アルミナが酸化マグネシウムをドープしたアルミナである場合には、このアルミナには、上に定義された量の、又は1から30重量%(すなわちアルミナの重量に対する%)、好ましくは5から25重量%の量のマグネシウムがドープされている。
【0120】
触媒組成物は通常、第二の耐火性金属酸化物と担体物質上に配置された白金との混合物を含む。
【0121】
触媒組成物が第二の耐火性金属酸化物を含む場合、触媒組成物は、40重量%以上の第二の耐火性金属酸化物を含むことが好ましい場合があり、より好ましくは40重量%以上の第二の耐火性金属酸化物を含む。
【0122】
触媒組成物が第二の耐火性金属酸化物を含む場合、触媒組成物は、0.2重量%以上の白金を含むことが好ましい場合があり、より好ましくは0.4重量%以上の白金を含む。
【0123】
本発明の触媒を調製する方法では、第二の耐火性金属酸化物を第一の組成物に混合しても、第二の組成物に混合してもよく、又は少なくとも650℃に加熱した後の第二の組成物に混合してもよい。
【0124】
本方法の工程(i)は、担体物質上に配置又は担持された白金(Pt)化合物を含む第一の組成物を調製すること(その場合担体物質は第一の耐火性金属酸化物を含む)と、次に第二の耐火性金属酸化物を第一の組成物に混合することとを含み得る。
【0125】
本方法の工程(ii)は、還元剤を用いて白金(Pt)化合物を白金(Pt)に還元することによって第二の組成物を調製することと、次に第二の耐火性金属酸化物を第二の組成物に混合することとを含み得る。
【0126】
あるいは、本発明の方法は、
(iii) 第二の組成物を少なくとも650℃に加熱し、第三の組成物を製造する工程;及び
(iv) 第二の耐火性金属酸化物を第三の組成物に混合する工程(すなわち、その結果触媒組成物を調製する)
を含み得る。
【0127】
触媒組成物は、炭化水素吸着剤をさらに含んでもよい。炭化水素吸着剤は、好ましくはゼオライトである。
【0128】
炭化水素吸着剤がゼオライトである場合、ゼオライトは好ましくは、中細孔ゼオライト(例えば8個の四面体原子の最大環サイズを有するゼオライト)又は大細孔ゼオライト(例えば10個の四面体原子の最大環サイズを有するゼオライト)である。
【0129】
適切なゼオライト又はゼオライトの種類の例としては、フージャサイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、フェリエライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、超安定Y型ゼオライト、AEI型ゼオライト、ZSM-5型ゼオライト、ZSM-12型ゼオライト、ZSM-20型ゼオライト、ZSM-34型ゼオライト、CHA型ゼオライト、SSZ-3型ゼオライト、SAPO-5型ゼオライト、オフレタイト、ベータゼオライト又はCHA型銅ゼオライトが挙げられる。ゼオライトは、好ましくはZSM-5型、ベータゼオライト又はY型ゼオライトである。
【0130】
一般に、触媒組成物は、ゼオライトなどの炭化水素吸着剤を含まないことが好ましい。
【0131】
触媒組成物は、触媒促進剤をさらに含んでもよい。触媒促進剤は、アルカリ土類金属を好ましくは含む。
【0132】
触媒促進剤は、アルカリ土類金属化合物、例えばアルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物又はアルカリ土類金属の炭酸塩であってもよい。触媒促進剤がアルカリ土類金属化合物である場合、アルカリ土類金属化合物は好ましくは、アルカリ土類金属カチオン及びアニオン(例えばCO -、OH-)からなり、又はアルカリ土類金属化合物は二元アルカリ土類金属酸化物などの二元アルカリ土類金属化合物である。
【0133】
アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)又はそれらの2つ以上の組み合わせであってもよい。アルカリ土類金属はバリウムであることが好ましい。
【0134】
触媒組成物が唯一の白金族金属(PGM)として白金(Pt)を含む場合、触媒組成物は通常、触媒促進剤をさらに含む。
【0135】
触媒組成物は一般に、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び/又はロジウムを含まないことが好ましい場合がある。
【0136】
触媒組成物は典型的には、固体、特に粉末である。一般に、触媒組成物(すなわち触媒組成物それ自体)は、基材上に配置又は担持されない。
【0137】
本発明の触媒組成物は典型的には、未使用の触媒組成物である(すなわち触媒組成物は「フレッシュ」である)。
【0138】
本発明はまた、圧縮着火エンジンからの排気ガスを処理するための酸化触媒を提供する。酸化触媒は、本発明の触媒組成物を含む。
【0139】
本発明の酸化触媒は通常、触媒組成物と基材とを含む。触媒組成物は、基材上に配置又は担持されてもよい。触媒組成物は、基材上に直接配置又は担持されてもよい(例えば触媒組成物は基材の表面と接触している)。
【0140】
一般に、本発明の酸化触媒は、第一のウォッシュコート領域と、第二のウォッシュコート領域と、基材とを含み、第一のウォッシュコート領域は触媒組成物を含むか又は本質的にそれからなり、第二のウォッシュコート領域は第二の白金族金属(PGM)及び第二の担体物質を含むか又はそれらから本質的になる。第一のウォッシュコート領域及び第二のウォッシュコート領域は、基材上に配置されている。第一のウォッシュコート領域は、第二のウォッシュコート領域とは異なる組成を有する。
【0141】
第一のウォッシュコート領域又は触媒組成物は、典型的には0.2から15重量%、好ましくは0.5から10重量%、より好ましくは1から9重量%(例えば1.2から8.5重量%、例えば1.5から8重量%)、例えば1.5から7重量%(例えば2から7重量%、例えば4から6重量%)の量の白金(Pt)を含む。この文脈における重量%は、担体物質の量を基準とする。
【0142】
第一のウォッシュコート領域は、典型的には5から300g/立方フィート、より好ましくは10から250g/立方フィート、例えば20から200g/立方フィート、より一層好ましくは25から175g/立方フィート、さらに一層好ましくは35から150g/立方フィート(例えば50から125g/立方フィート)の量の白金(Pt)を含む。第一のウォッシュコート領域は、全量が例えば5から150g/立方フィート、より好ましくは7.5から125g/立方フィート、例えば10から110g/立方フィート、より一層好ましくは25から100g/立方フィート、さらに一層好ましくは30から75g/立方フィート(例えば40から125g/立方フィート)の白金(Pt)を含み得る。
【0143】
触媒組成物がパラジウムを含む場合、第一のウォッシュコート領域又は触媒組成物は、0.2から10重量%(例えば0.4から3.5重量%)、好ましくは0.5から7.5重量%(例えば0.75から2.5重量%又は1から1.75重量%)、より好ましくは1から5重量%の量のパラジウムを含み得る。この文脈における重量%は、担体物質の量を基準とする。
【0144】
第一のウォッシュコート領域は典型的には、1から175g/立方フィートの量のパラジウム(Pd)を含む。第一のウォッシュコート領域は、例えば5から125g/立方フィート、好ましくは10から100g /立方フィート、例えば15から85g/立方フィート(例えば25から85g/立方フィート)、より一層好ましくは25から80g/立方フィート、さらに一層好ましくは30から75g/立方フィート(例えば50から75g /立方フィート)の量のパラジウム(Pd)を含み得る。
【0145】
第一のウォッシュコート領域は、典型的には0.1から4.5g/立方インチ(例えば0.25から4.2g/立方インチ)、好ましくは0.3から3.8g/立方インチ、より一層好ましくは0.5から3.0g/立方インチ(1から2.75g/立方インチ又は0.75から1.5g/立方インチ)、さらに一層好ましくは0.6から2.5g/立方インチ(例えば0.75から2.3g/立方インチ)の量(例えば総量)の担体物質を含む。
【0146】
第二のウォッシュコート領域の主な機能は、一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)を酸化することである。NOからNOへの多少の酸化も起こり得るが、これは触媒組成物によって触媒されるよりも少ない程度であることが理解される。
【0147】
第二の白金族金属(PGM)は一般に、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)とパラジウム(Pd)との組み合わせからなる群より選択される。第二のPGMがパラジウムである場合、第二のウォッシュコート領域は、さらに金を含み得る。Pd:Auの原子比は、典型的には9:1から1:9、好ましくは5:1から1:5、例えば2:1から1:2である。
【0148】
第二のウォッシュコート領域がパラジウムと金とを含む場合、第二のウォッシュコート領域は、パラジウム-金合金、好ましくはバイメタルパラジウム-金合金を含むことが好ましい。
【0149】
第二のウォッシュコート領域が白金を含む(すなわち第二のPGMが白金、又は白金とパラジウムとの組み合わせである)場合、白金は、第二の担体物質上に配置又は担持されてもよい。白金は、第二の担体物質上に分散させてもよく、及び/又は第二の担体物質中に含浸させてもよい。
【0150】
白金は、第二の担体物質上に直接配置されてもよく、又は第二の担体物質によって直接担持されてもよい。したがって、例えば、白金と第二の担体物質との間に介在する担体物質は存在しない。白金は、第二の担体物質と直接接触していることが好ましい。
【0151】
第二のウォッシュコート領域がパラジウムを含む(すなわち第二のPGMがパラジウム、又は白金とパラジウムとの組み合わせである)場合、パラジウムは、第二の担体物質上に配置又は担持されてもよい。パラジウムは、第二の担体物質上に分散させてもよく、及び/又は第二の担体物質中に含浸させてもよい。
【0152】
パラジウムは、第二の担体物質上に直接配置されてもよく、又は第二の担体物質によって直接担持されてもよい。したがって、例えば、パラジウムと第二の担体物質との間に介在する担体物質は存在しない。パラジウムは、第二の担体物質と直接接触していることが好ましい。
【0153】
第二のウォッシュコート領域において、白金及びパラジウムは、同じ第二の担体物質上に配置又は担持させることができる。したがって、第二のウォッシュコート領域は、第二の担体物質である単一の担体物質を含み得る。
【0154】
第二のウォッシュコート領域は、白金-パラジウム合金、好ましくはバイメタル白金-パラジウム合金を含むことができる(すなわち白金とパラジウムとの組み合わせは、白金-パラジウム合金を含むか又は本質的にそれからなる)。白金及びパラジウムが同じ第二の担体物質上に配置又は担持される場合、第二のウォッシュコート領域は、白金-パラジウム合金を含むことが好ましい。
【0155】
あるいは、白金は、白金担体物質上に配置又は担持されることができ、パラジウムは、パラジウム担体物質上に配置又は担持されることができ、白金担体物質及びパラジウム担体物質は同じではない(例えば第二の担体物質は白金担体物質及びパラジウム担体物質を含む)。したがって、白金担体物質及びパラジウム担体物質は、異なる組成物を有し得る。より好ましくは、白金担体物質及びパラジウム担体物質は、異なる耐火性金属酸化物を含むか又は本質的にそれらからなる。
【0156】
典型的には、(各)第二の担体物質(例えば白金担体物質及び/又はパラジウム担体物質)は、耐火性金属酸化物を含むか又は本質的にそれからなる。(各)耐火性金属酸化物は典型的には、アルミナ、シリカ、セリア、チタニア、ジルコニア、及びそれらの2つ以上の混合又は複合酸化物からなる群より選択される。耐火性金属酸化物は、例えばアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、シリカ-アルミナ、チタニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、セリア-アルミナ、チタニア-シリカ、ジルコニア-シリカ、ジルコニア-チタニア、及びセリア-ジルコニアからなる群より選択され得る。耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ、セリア、ジルコニア、及びそれらの混合又は複合酸化物から選択されることが好ましい。より好ましくは、耐火性金属酸化物は、アルミナ、シリカ-アルミナ、セリア、セリア-アルミナ、及びアルミナとセリアとの混合物から選択される。さらに一層好ましくは、耐火性金属酸化物は、アルミナ及びシリカ-アルミナから選択される。
【0157】
アルミナは、α-Al、β-Al又はγ-Alとすることができる。アルミナは、γ-Alを含むか又は本質的にγ-Alからなることが好ましい。
【0158】
耐火性金属酸化物がアルミナの混合又は複合酸化物(例えばシリカ-アルミナ又はアルミナとセリアとの混合物)を含むか又は本質的にそれからなる場合、アルミナの混合又は複合酸化物は、好ましくは少なくとも50から99重量%のアルミナ、より好ましくは70から95重量%のアルミナ、なお一層好ましくは75から90重量%のアルミナを含む。
【0159】
一般に、(各)第二の担体物質(例えば白金担体物質及び/又はパラジウム担体物質)又はそれらの耐火性金属酸化物は、任意選択的に(例えばドーパントを)ドープされていてもよい。ドーパントは、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、ケイ素(Si)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、ネオジム(Nd)、及びそれらの酸化物からなる群より選択することができる。
【0160】
(各)第二の担体物質(例えば白金担体物質及び/又はパラジウム担体物質)又はそれらの耐火性金属酸化物をドープする場合、ドーパントの量は、通常0.25から5重量%、好ましくは0.5から1.5重量%(例えば約1重量%)である。この文脈における各量は、担体物質又は耐火性金属酸化物当たりの総量を指す。
【0161】
第二の担体物質(例えば白金担体物質及び/又はパラジウム担体物質)は、ドーパントをドープしたアルミナを含んでもよく、又は本質的にそれからなる。アルミナには、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、バリウム(Ba)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、チタン(Ti)若しくはジルコニウム(Zr)又はそれらの2つ以上の組み合わせを含むドーパントをドープすることができる。ドーパントは、ケイ素の酸化物、マグネシウムの酸化物、バリウムの酸化物、ランタンの酸化物、セリウムの酸化物、チタンの酸化物又はジルコニウムの酸化物を含んでもよく、又は本質的にそれからなってもよい。好ましくは、ドーパントは、ケイ素、マグネシウム、バリウム若しくはセリウム又はその酸化物、特にケイ素若しくはセリウム又はその酸化物を含むか又は本質的にそれからなる。より好ましくは、ドーパントは、ケイ素、マグネシウム若しくはバリウム又はその酸化物、特にケイ素若しくはマグネシウム又はその酸化物、とりわけケイ素又はその酸化物を含むか又は本質的にそれからなる。
【0162】
アルミナがシリカをドープしたアルミナである場合、このアルミナには、全重量が0.5から45重量%(すなわちアルミナの重量に対する%)、好ましくは1から40重量%、より好ましくは1.5から30重量%(例えば1.5から10重量%)、特に2.5から25重量%、より詳細には3.5から20重量%(例えば5から20重量%)、なお一層好ましくは4.5から15重量%のシリカがドープされている。アルミナが酸化マグネシウムをドープしたアルミナである場合には、このアルミナには、上に定義された量の、又は1から30重量%(すなわちアルミナの重量に対する%)、好ましくは5から25重量%の量のマグネシウムがドープされている。
【0163】
耐火性金属酸化物がセリア-アルミナ又はセリア-ジルコニアである場合、セリア-アルミナ又はセリア-ジルコニアは、20から95重量%のセリアと5から80重量%のアルミナ又はジルコニア(例えば50から95重量%セリアと5から50重量%アルミナ又はジルコニア)、好ましくは35から80重量%のセリアと20から65重量%のアルミナ又はジルコニア(例えば55から80重量%セリアと20から45重量%アルミナ又はジルコニア)、なお一層好ましくは45から75重量%のセリアと25から55重量%アルミナ又はジルコニアから本質的になってもよい。
【0164】
白金担体物質は一般に、アルミナを含む。白金担体物質は、アルミナ(例えばγ-Al)又はシリカ-アルミナを含むか又は本質的にそれからなることが好ましく、アルミナ又はシリカ-アルミナは任意選択的にドープされている。
【0165】
パラジウム担体物質は一般に、耐火性金属酸化物を含むか又は本質的にそれらからなる。耐火性金属酸化物は、典型的にはアルミナ、シリカ、セリア、チタニア、ジルコニア、及びそれらの2つ以上の混合又は複合酸化物からなる群より選択される。耐火性金属酸化物は、例えばアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア、シリカ-アルミナ、チタニア-アルミナ、ジルコニア-アルミナ、セリア-アルミナ、チタニア-シリカ、ジルコニア-シリカ、ジルコニア-チタニア、及びセリア-ジルコニアからなる群より選択され得る。耐火性金属酸化物は、アルミナ、セリア、セリア-アルミナ、及びセリア-ジルコニアから選択されることが好ましく、より好ましくは耐火性金属酸化物は、セリア及びセリア-ジルコニアから選択される。
【0166】
第二のウォッシュコート領域は、触媒促進剤をさらに含むことができる。触媒促進剤は、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はそれらの混合物を含むことができる。
【0167】
触媒促進剤がアルカリ金属を含む場合、アルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、及びカリウム(K)からなる群から選択され得る。アルカリ金属は、ナトリウム(Na)又はカリウム(K)であることが好ましく、より好ましくはアルカリ金属は、カリウム(K)である。
【0168】
触媒促進剤がアルカリ土類金属を含む場合、アルカリ土類金属は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、及びバリウム(Ba)からなる群から選択され得る。アルカリ土類金属は、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)であることが好ましく、より好ましくはストロンチウム(Sr)又はバリウム(Ba)であり、最も好ましくはアルカリ土類金属はバリウム(Ba)である。
【0169】
触媒促進剤は、アルカリ土類金属を含むことが好ましい。触媒促進剤は、アルカリ土類金属化合物、例えばアルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物又はアルカリ土類金属の炭酸塩であってもよい。触媒促進剤がアルカリ土類金属化合物である場合、アルカリ土類金属化合物は好ましくは、アルカリ土類金属カチオン及びアニオン(例えばCO -、OH-)からなり、又はアルカリ土類金属化合物は二元アルカリ土類金属酸化物などの二元アルカリ土類金属化合物である。
【0170】
第二のウォッシュコート領域が触媒促進剤を含む場合、第二の担体物質(又はその耐火性金属酸化物)は、ヘテロ原子成分を組み込んだ改質アルミナを含んでもよく、又は本質的にそれからなってもよい。ヘテロ原子成分を組み込んだ改質アルミナは一般に、ヘテロ原子成分、アルカリ土類金属アルミン酸塩又はそれらの混合物をドープしたアルミナを含むか又は本質的にそれからなる。ヘテロ原子成分を組み込んだ改質アルミナは、ヘテロ原子成分又はアルカリ土類金属アルミン酸塩をドープしたアルミナを含むか又は本質的にそれからなることが好ましい。
【0171】
ヘテロ原子成分をドープしたアルミナは、シリカをドープしたアルミナ、酸化マグネシウムをドープしたアルミナ、バリウムをドープしたアルミナ、酸化バリウムをドープしたアルミナ、酸化ランタンをドープしたアルミナ、セリアをドープしたアルミナからなる群より選択され得る。ヘテロ原子成分をドープしたアルミナは、シリカをドープしたアルミナ、酸化ランタンをドープしたアルミナ、セリアをドープしたアルミナ、及び酸化マグネシウムをドープしたアルミナからなる群より選択されることが好ましい。より好ましくは、ヘテロ原子成分をドープしたアルミナは、シリカをドープしたアルミナ及び酸化マグネシウムをドープしたアルミナからなる群より選択される。さらに一層好ましくは、ヘテロ原子成分をドープしたアルミナは、シリカをドープしたアルミナである。ヘテロ原子成分をドープしたアルミナは、当技術分野で知られている方法を用いてか、又は、例えば米国特許第5045519号に記載されている方法により調製することができる。
【0172】
ヘテロ原子成分をドープしたアルミナは、典型的には0.5から45重量%のヘテロ原子成分、好ましくは1かtら40重量%のヘテロ原子成分、より好ましくは1.5から30重量%のヘテロ原子成分、特に2.5から25重量%のヘテロ原子成分を含む。ヘテロ原子成分をドープしたアルミナがシリカをドープしたアルミナを含むか又は本質的にそれからなる場合、このアルミナには、0.5から45重量%、好ましくは1から40重量%、より好ましくは1.5から30重量%(例えば1.5から10重量%)、特に2.5から25重量%、より詳細には3.5から20重量%(例えば5から20重量%)、なお一層好ましくは4.5から15重量%の量のシリカがドープされている。ヘテロ原子成分をドープしたアルミナが酸化マグネシウムをドープしたアルミナを含むか又は本質的にそれからなる場合、このアルミナには、上に定義された量の、又は5から30重量%、好ましくは10から25重量%の量のマグネシウムがドープされている。
【0173】
典型的には、アルミン酸アルカリ土類金属は、アルミン酸マグネシウム(MgAl)、アルミン酸カルシウム(CaAl)、アルミン酸ストロンチウム(SrAl)、アルミン酸バリウム(BaAl)又はそれらの2つ以上の混合物である。好ましくは、アルミン酸アルカリ土類金属は、アルミン酸マグネシウム(MgAl)である。
【0174】
一般に、ヘテロ原子成分がアルカリ土類金属を含むか又は本質的にそれからなる場合、好ましくはアルカリ土類金属(触媒促進剤の)は、ヘテロ原子成分とは異なる。第二の担体物質がアルミン酸アルカリ土類金属を含む場合、アルミン酸アルカリ土類金属のアルカリ土類金属は、触媒促進剤のアルカリ土類金属とは異なる。
【0175】
第二のウォッシュコート領域は、炭化水素吸着剤をさらに含んでもよい。炭化水素吸着剤は、好ましくはゼオライトである。
【0176】
炭化水素吸着剤がゼオライトである場合、ゼオライトは好ましくは、中細孔ゼオライト(例えば8個の四面体原子の最大環サイズを有するゼオライト)又は大細孔ゼオライト(例えば10個の四面体原子の最大環サイズを有するゼオライト)である。
【0177】
適切なゼオライト又はゼオライトの種類の例としては、フージャサイト、クリノプチロライト、モルデナイト、シリカライト、フェリエライト、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、超安定Y型ゼオライト、AEI型ゼオライト、ZSM-5型ゼオライト、ZSM-12型ゼオライト、ZSM-20型ゼオライト、ZSM-34型ゼオライト、CHA型ゼオライト、SSZ-3型ゼオライト、SAPO-5型ゼオライト、オフレタイト、ベータゼオライト又はCHA型銅ゼオライトが挙げられる。ゼオライトは、好ましくはZSM-5型、ベータゼオライト又はY型ゼオライトである。
【0178】
第二のウォッシュコート領域が白金を含む場合、白金(Pt)の量は、0.2から15重量%、好ましくは0.5から10重量%、より好ましくは1から9重量%(例えば1.5から8重量%)、例えば2から7重量%(例えば4から6重量%)である。この文脈における重量%は、第二の担体物質(例えば白金担体物質)の量を基準とする。
【0179】
第二のウォッシュコート領域が白金を含む場合、白金の量は、5から300g/立方フィート、好ましくは10から250g/立方フィート(例えば20から200g/立方フィート)、より好ましくは20から175g/立方フィート(例えば25から150g/立方フィート)である。
【0180】
第二のウォッシュコート領域がパラジウムを含む場合、パラジウム(Pd)の量は、0.2から15重量%、好ましくは0.5から10重量%、より好ましくは1から9重量%(例えば1.5から8重量%)、例えば2から7重量%(例えば4から6重量%)である。この文脈における重量%は、第二の担体物質(例えばパラジウム担体物質)の量を基準とする。
【0181】
第二のウォッシュコート領域がパラジウムを含む場合、パラジウム(Pd)の量は、5から300g /立方フィート、好ましくは10から250g/立方フィート(例えば20から200g/立方フィート)、より好ましくは20から175g/立方フィート(例えば25から150g/立方フィート)である。
【0182】
第二のウォッシュコート領域において、白金(Pt)の質量は、パラジウム(Pd)の質量よりも好ましくは多い。
【0183】
第二のウォッシュコート領域は、典型的には0.1から4.5g/立方インチ(例えば0.25から4.0g/立方インチ)、好ましくは0.5から3.0g/立方インチ、より好ましくは0.6から2.5g/立方インチ(例えば0.75から1.5g/立方インチ)の量(例えば総量)の第二の担体物質(例えば白金担体物質及びパラジウム担体物質)を含む。
【0184】
第二のウォッシュコート領域は、典型的には0.07から5モル/立方フィート、好ましくは0.1から4.0モル/立方フィート、より詳細には0.2から3.0モル/立方フィート(例えば0.25から1.0モル/立方フィート)、例えば0.3から2.25モル/立方フィート、特に0.35から2.0モル/立方フィート、好ましくは0.4から1.8モル/立方フィート(例えば0.5から1.5モル/立方フィート)の量の触媒促進剤、特にアルカリ土類金属を含む触媒促進剤を含む。
【0185】
第二のウォッシュコート領域内の白金族金属(PGM)成分の全質量に対する触媒促進剤の全質量の比、特に触媒促進剤がアルカリ土類金属を含む場合の比は、典型的には0.25:1から20:1(例えば0.3:1から20:1)である。第二のウォッシュコート領域内の白金族金属(PGM)の全質量に対する触媒促進剤の全質量の比は、0.5:1から17:1であることが好ましく、より好ましくは0.7:1から15:1、特に1:1から10:1、より一層好ましくは1.5:1から7.5:1、さらに一層好ましくは2:1から5:1である。第二のウォッシュコート領域内に白金(Pt)が存在する場合、触媒促進剤の全質量は好ましくは、白金(Pt)の全質量よりも多い。
【0186】
第二のウォッシュコート領域が炭化水素吸着剤を含む場合、炭化水素吸着剤の全量は、0.05から3.00g/立方インチであり、特に0.10から2.00g/立方インチ、さらに詳細には0.2から1.0g/立方インチである。炭化水素吸着剤の全量は、例えば0.8から1.75g/立方インチ、例えば1.0から1.5g/立方インチであってもよい。
【0187】
酸化触媒は、総量が0.1から4.5g/立方インチ(例えば0.25から4.2g/立方インチ)、好ましくは0.2から3.8g/立方インチ、例えば0.3から3.0g/立方インチ、特に0.5から2.5g/立方インチ(例えば0.75から2.3g/立方インチ)、より一層好ましくは0.6から2.0g/立方インチ、さらに一層好ましくは0.75から1.75g/立方インチ)の担体物質(例えば第一のウォッシュコート領域内の触媒組成物の担体物質及び第二の担体物質体[白金担体物質及びパラジウム担体物質])を通常含む。
【0188】
本発明の酸化触媒において、パラジウム(Pd)に対する白金(Pt)の(質量)比は、典型的には20:1から1.1:1(例えば15:1から1.2:1)であり、好ましくは前記比は10:1から1.3:1(例えば9:1から1.4:1)、より好ましくは8:1から1.5:1、さらに一層好ましくは7.5:1から1.75:1、例えば6:1から2:1、より一層好ましくは5.5:1から2.5:1(例えば5:1から3:1)である。パラジウム(Pd)に対する白金(Pt)の(質量)比は、典型的には>2:1(例えば>4:1)、例えば20:1から4:1(例えば20:1から4.5:1)、特に10:1から5:1である。
【0189】
第二のウォッシュコート領域又は酸化触媒は、ロジウムを通常含まない。第二のウォッシュコート領域又は酸化触媒は、ロジウム、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含まないことが好ましい。
【0190】
本発明の酸化触媒は、未使用の酸化触媒であってもよい。圧縮着火エンジンからの排気ガスが酸化触媒を通過していない場合、酸化触媒は未使用である。
【0191】
本発明の酸化触媒において、第一のウォッシュコート領域及び第二のウォッシュコート領域は、様々な方法で基材上に配置され得る。一般的には、第一のウォッシュコート領域は、排気ガスが第二のウォッシュコート領域と接触した後に排気ガスに接触するように配置又は配向されるのが好ましい。第二のウォッシュコート領域は通常、第一のウォッシュコート領域より先に排気ガスに接触するように配置又は配向される。よって、第二のウォッシュコート領域は、排気ガスが酸化触媒に入る際に排気ガスと接触するように配置されて差し支えなく、第一のウォッシュコート領域は、排気ガスが酸化触媒を離れる際に排気ガスと接触するように配置され得る。そのような配置の例は、本明細書に記載している。
【0192】
第二のウォッシュコート領域に接触した後の排気ガスに第一のウォッシュコート領域が接触するように配置又は配向される場合、酸化触媒は通常、第二のウォッシュコート領域と接触する前の排気ガスに第一のウォッシュコート領域が接触するように配置又は配向される場合よりも良好なNO酸化活性を有する。
【0193】
第一のウォッシュコート領域は、基材上に直接配置されてよい(すなわち第一のウォッシュコート領域は基材の表面と接触している)。第二のウォッシュコート領域は、(a)基材上に直接配置されてよく(すなわち第二のウォッシュコート領域は基材の表面と接触している)、及び/又は(b)第一のウォッシュコート領域に接触していてよい。
【0194】
第二のウォッシュコート領域が基材上に直接配置される場合には、第二のウォッシュコート領域は第一のウォッシュコート領域に接触していてよく、又は第一のウォッシュコート領域と第二のウォッシュコート領域は(例えば、第三のウォッシュコート領域などの、間に介在するウォッシュコート領域によって、又はすき間によって)隔てられていてもよい。
【0195】
第二のウォッシュコート領域は、基材上に直接配置されてよい(すなわち第二のウォッシュコート領域は基材の表面と接触している)。第一のウォッシュコート領域は、(i)第二のウォッシュコート領域上に配置又は担持されても、(ii)基材上に直接配置されても(すなわち第一のウォッシュコート領域は基材の表面と接触している)、及び/又は(iii)第二のウォッシュコート領域と接触していてもよい。
【0196】
第一のウォッシュコート領域が第二のウォッシュコート領域上に配置又は担持される場合、第一のウォッシュコート領域は、第二のウォッシュコート領域上に直接配置されてよい(すなわち第一のウォッシュコート領域は第二のウォッシュコート領域の表面と接触している)。
【0197】
第一のウォッシュコート領域が基材上に直接配置される場合には、第一のウォッシュコート領域は、第二のウォッシュコート領域に接触していてよく、又は第二のウォッシュコート領域と第一のウォッシュコート領域は(例えば、第三のウォッシュコート領域のような、間に介在するウォッシュコート領域によって、又はすき間によって)隔てられていてもよい。
【0198】
一般に、第一のウォッシュコート領域及び第二のウォッシュコートは、いずれも基材上に直接配置されない(すなわち第一のウォッシュコート領域、第二のウォッシュコート領域のいずれも基材の表面と接触していない)ことがあり得る。したがって、第一のウォッシュコート領域及び第二のウォッシュコート領域の少なくとも1つは、第三のウォッシュコート領域上に配置又は担持される。
【0199】
第一のウォッシュコート領域及び第二のウォッシュコート領域が「ゾーン」配置を有する、本発明のいくつかの酸化触媒を以下に記載する。疑義を避けるためであるが、これらの配置は、本発明の酸化触媒の一般的な特徴であり、上述した第一及び第二のウォッシュコート領域の配置と組み合わせることができる。
【0200】
第一の酸化触媒装置では、第一のウォッシュコート領域は、基材の出口端又はその近傍に配置又は担持された第一のウォッシュコートゾーンである。第二のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコートゾーンの上流に配置又は担持されてもよい。好ましくは、第二のウォッシュコート領域は、第二のウォッシュコートゾーンである。より好ましくは、第二のウオッシュコーゾーンは、第一のウォッシュコートゾーンの上流(例えば基材の入口端又はその近傍)に配置又は担持される。
【0201】
第二の酸化触媒配置では、第二のウォッシュコート領域は、基材の出口端に配置又は担持された第二のウォッシュコートゾーンである。第一のウォッシュコート領域は、第二のウォッシュコートゾーンの上流に配置又は担持されてもよい。好ましくは、第一のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコートゾーンである。より好ましくは、第一のウォッシュコートゾーンは、第二のウォッシュコートゾーンの上流(例えば基材の入口端又はその近傍)に配置又は担持される。
【0202】
第一のウォッシュコートゾーンは、第二のウォッシュコートゾーンに隣接してもよい。好ましくは、第一のウォッシュコートゾーンは、第二のウォッシュコートゾーンと接触している。第一のウォッシュコートゾーンが第二のウォッシュコートゾーンと隣接するか又は第一のウォッシュコートゾーンが第二のウォッシュコートゾーンと接触している場合、第一のウォッシュコートゾーン及び第二のウォッシュコートゾーンは、層(例えば単層)として基材に配置又は担持されてもよい。よって、層は、第一及び第二のウォッシュコートゾーンが互いに隣接又接触している場合に、基材上に形成され得る。
【0203】
第一のウォッシュコートゾーンは、第二のウォッシュコートゾーンと離間していてもよい。よって、第一のウォッシュコートゾーンと第二のウォッシュコートゾーンとの間に介在する追加のウォッシュコートゾーン又は領域(例えば第三のウォッシュコートゾーン又は領域)が介在してもよく、及び/又は第一のウォッシュコートゾーンと第二のウォッシュコートゾーンとの間にすき間(例えば切れ目)が存在してもよい。
【0204】
第一のウォッシュコートゾーンは、第二のウォッシュコートゾーンと重なり合っていてもよい。よって、第一のウォッシュコートゾーンの終端部が第二のウォッシュコートゾーン上に配置又は担持されてもよい。第一のウォッシュコートゾーンは、第二のウォッシュコートゾーンと完全に又は部分的に重なり合っていてもよい。第一のウォッシュコートゾーンが完全に又は部分的に第二のウォッシュコートゾーンと重なり合っている場合、第二のウォッシュコートゾーンの表面(通常は触媒の縦断面の表面、すなわち基材の入口端及び出口端の平面に垂直な平面)は典型的には、第一のウォッシュコートゾーンによって完全に覆われる。
【0205】
あるいは、第二のウォッシュコートゾーンは、第一のウォッシュコートゾーンと重なり合っていてもよい。よって、第二のウォッシュコートゾーンの終端部が第一のウォッシュコートゾーン上に配置又は担持されてもよい。第二のウォッシュコートゾーンは、第一のウォッシュコートゾーンと部分的に重なり合っていてもよい。
【0206】
第一のウォッシュコートゾーンと第二のウォッシュコートゾーンは、実質的に重なり合っていないことが好ましい。
【0207】
第一のウォッシュコートゾーンは、典型的には基材の長さの10から90%の長さ(例えば10から45%)、好ましくは基材の長さの15から75%(例えば15から40%)、より好ましくは基材の長さの20から70%(例えば20から65%、例えば25から45%など)、なお一層好ましくは25から65%(例えば25から50%)の長さを有する。
【0208】
一般に、特に第一の酸化触媒配置において、第一のゾーンは通常、基材の長さの10から90%の長さ(例えば10から45%)、好ましくは基材の長さの15から75%(例えば15から40%)、より好ましくは基材の長さの20から70%(例えば20から65%、例えば25から45%など)、なお一層好ましくは25から65%(例えば25から50%)の長さを有する。
【0209】
第一のウォッシュコート領域及び第二のウォッシュコート領域が「層状の」配置を有する本発明の酸化触媒を以下に記載する。疑義を避けるためであるが、これらの配置は、本発明の酸化触媒の一般的な特徴であり、上述した第一及び第二のウォッシュコート領域の如何なる配置とも組み合わせることができる。
【0210】
第一のウォッシュコート領域は、第一のウォッシュコート層であってよく、第二のウォッシュコート領域は、第二のウォッシュコート層であってよい。第一のウォッシュコート層及び第二のウォッシュコート層は、異なる長さを有してもよく、又は第一のウォッシュコート層及び第二のウォッシュコート層は、ほぼ同じ長さを有してもよい。一般に、第一のウォッシュコート層の長さ及び第二のウォッシュコート層の長さはそれぞれ、実質的に均一である。
【0211】
典型的には、第一のウォッシュコート層及び第二のウォッシュコート層の少なくとも1つは、基材の実質的に全長にわたって、特に基材モノリスのチャネルの全長にわたって延びる。より好ましくは、第一のウォッシュコート層及び第二のウォッシュコート層はそれぞれ、基材の実質的に全長にわたって延びる。
【0212】
第三の酸化触媒装置では、第一のウォッシュコート層が第二のウォッシュコート層上に配置又は担持され、好ましくは第一のウォッシュコート層は、第二のウォッシュコート層上に直接配置されてよい(すなわち第一のウォッシュコート層は第二のウォッシュコート層の表面と接触している)。
【0213】
第一のウォッシュコート層が第二のウォッシュコート層上に直接配置される場合、第一のウォッシュコート層の全長は、第二のウォッシュコート層上に配置又は担持されることが好ましい。よって、第一のウォッシュコート層の長さは、第二のウォッシュコート層の長さ以下である。より好ましくは、第一のウォッシュコート層の端部が第二のウォッシュコート層の端部を越えては延びない(すなわち第一のウォッシュコート層の両端部又は境界が第二のウォッシュコート層の両端部又は境界を越えない)。
【0214】
第三の酸化触媒装置では、第二のウォッシュコート層は、基材上に直接配置されてもよく(すなわち第二のウォッシュコート層が基材の表面と接触している)、及び/又は第二のウォッシュコート層は、第三のウォッシュコート領域上に直接配置されてもよい。第二のウォッシュコート層は、基材上に直接的にのみ配置することができる(すなわち第二のウォッシュコート層は基材の表面と接触している)。
【0215】
第四の酸化触媒構造では、第二のウォッシュコート層は、第一のウォッシュコート層上に配置又は担持される。好ましくは、第二のウォッシュコート層の全長は、第一のウォッシュコート層上に配置又は担持される。よって、第二のウォッシュコート層の長さは、第一のウォッシュコート層の長さ以下である。より好ましくは、第二のウォッシュコート層の端部が第一のウォッシュコート層の端部を越えては延びない(すなわち第二のウォッシュコート層の両端部又は境界が第一のウォッシュコート層の両端部又は境界を越えない)。
【0216】
第四の酸化触媒装置では、第一のウォッシュコート層は、基材上に直接配置されてもよく(すなわち第一のウォッシュコート層が基材の表面と接触している)、及び/又は第一のウォッシュコート層は第三のウォッシュコート領域上に直接配置されてもよい。第一のウォッシュコート層は、基材上に直接的にのみ配置することができる(すなわち第一のウォッシュコート層は基材の表面と接触している)。
【0217】
第一のウォッシュコート領域が第一のウォッシュコート層である場合、第一のウォッシュコート層は、一番上のウォッシュコート領域/層であることが好ましい(すなわち第一のウォッシュコート層上に配置される他のウォッシュコート領域又はウォッシュコート層は存在しない)。第一のウォッシュコート領域が第一のウォッシュコートゾーンである場合、第一のウォッシュコートゾーンは、最後のウォッシュコート領域/層であることが好ましい(すなわち第一のウォッシュコートゾーンの下流に配置される他のウォッシュコート領域又はウォッシュコート層は存在しない)。
【0218】
圧縮着火エンジンからの排気ガスを処理するための酸化触媒を担持する基材は、当該技術分野でよく知られている。
【0219】
前記基材は、典型的には複数の(例えば排気ガスを流すための)チャネルを有する。一般に、前記基材は、セラミック材料又は金属材料である。
【0220】
前記基材は、コーディエライト(SiO2-Al2O3-MgO)、炭化ケイ素(SiC)、Fe-Cr-Al合金、Ni-Cr-Al合金又はステンレス鋼合金でできているか又はこれらで構成されることが好ましい。
【0221】
前記基材は、典型的にはモノリスである(本明細書では基材モノリスとも称される)。該モノリスは、当該技術分野でよく知られている。基材モノリスは、フロースルーモノリス又はフィルターモノリスであり得る。
【0222】
フロースルーモノリスは、ハニカムモノリス(例えば金属製又はセラミック製のハニカムモノリス)を典型的には含み、それを通って延びる、両端部で開放されている複数のチャネルを有する。基材がフロースルーモノリスである場合、本発明の酸化触媒は通常、ディーゼル酸化触媒(DOC)であるか又はディーゼル酸化触媒(DOC)としての使用のためのものである。
【0223】
フィルターモノリスは、複数の入口チャネルと複数の出口チャネルとを通常含み、入口チャネルは上流端部(すなわち、排気ガスの入口側)で開放され、下流端部(すなわち、排気ガスの出口側)で塞栓されるか封止され、出口チャネルは上流端部で塞栓されるか封止され、下流端部で開放されており、各入口チャネルは、多孔質構造によって出口チャネルから隔てられている。基材がフィルターモノリスである場合、本発明の酸化触媒は通常、触媒化スートフィルター(CSF)であるか又は触媒化スートフィルター(CSF)としての使用のためのものである。
【0224】
モノリスがフィルターモノリスである場合、フィルターモノリスはウォールフロー型フィルターであることが好ましい。ウォールフロー型フィルターでは、各入口チャネルが、多孔質構造の壁によって出口チャネルから交互に隔てられ、逆もまた同様である。入口チャネルと出口チャネルは、ハニカム構造に配置されていることが好ましい。ハニカム構造が存在する場合、入口チャネルに垂直方向及び横方向に隣接するチャネルが上流端部で塞栓され、逆もまた同じである(すなわち、出口チャネルに垂直方向及び横方向に隣接するチャネルは下流端部で塞栓される)ことが好ましい。いずれの端部から見ても、交互に塞栓及び開放されているチャネルの端部は、チェス盤の外観を呈する。
【0225】
原則として、基材は、如何なる形状又は大きさであってもよい。しかしながら、基材の形状及び大きさは通常、触媒中の触媒活性材料の排気ガスへの曝露を最適化するように選択される。基材は、例えば管、繊維又は粒子の形状を有し得る。適切な担持基材の例としては、モノリスハニカムコーディエライト型の基材、モノリスハニカムSiC型の基材、層状繊維又は編地型の基材、発泡体型の基材、クロスフロー型の基材、金属ワイヤーメッシュ型の基材、金属多孔体型の基材、及びセラミック粒子型の基材が挙げられる。
【0226】
一般に、本発明の酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒(DOC)又は触媒化スートフィルター(CSF)としての使用のためのものである。実際、DOC及びCSFに用いられる触媒配合は、似ている。一般的に、DOCとCSFの原理的な違いは、触媒配合物がコーティングされる基材と、基材上にコーティングされる白金、パラジウム及び他の触媒的に活性な金属の総量である。
【0227】
また、本発明は、酸化触媒の製造方法も提供する。本方法は、
(i) 本発明の触媒組成物を含むウォッシュコートを調製する工程;及び
(ii) ウォッシュコートを基材に塗布する(例えば、コーティングされた基材を形成するために)工程
を含む。
【0228】
ウォッシュコートの作製方法及びウォッシュコートを基材に塗布する方法は、当該技術分野で知られている(例えば、本発明者らの国際公開第99/47260号、国際公開第2007/077462号及び国際公開第2011/080525号を参照)。
【0229】
酸化触媒が第一のウォッシュコート領域及び第二のウォッシュコート領域を含む場合、本発明の方法は一般的に、
(i) 本発明の触媒組成物を含む第一のウォッシュコートを調製すること;及び
(ii) (a)第一のウォッシュコートを基材に塗布し、第一のウォッシュコート領域を形成すること;
(b) 第二のウォッシュコートを基材に塗布し、第二のウォッシュコート領域を形成すること
を含み得る。
【0230】
上記の一般的な方法において、工程(ii)(a)は、工程(ii)(b)の前に実施されてもよい。したがって、本方法は、
(ii) (a)第一のウォッシュコートを基材に塗布し、第一のウォッシュコート領域を形成すること;及び
(b) 第二のウォッシュコートを前記基材に塗布し、第二のウォッシュコート領域を形成すること
を含み得る。
【0231】
あるいは、上記の一般的な方法における工程(ii)(b)は、工程 (ii)(a)の前に実施されてもよい。本方法は、
(ii)(x) 第二のウォッシュコートを前記基材に塗布し、第二の ウォッシュコート領域を形成すること;及び
(y) 第一のウォッシュコートを前記基材に塗布し、第一のウォッシュコート領域を形成すること
を含み得る。
【0232】
本発明の酸化触媒の製造方法は、第一のウォッシュコート及び/又は第二のウォッシュコートでコーティングされた基材などの、ウォッシュコートでコーティングされた基材を乾燥させ、かつ/又はか焼する工程(iv)をさらに含み得る。ウォッシュコートでコーティングされた基材を乾燥させ、かつ又はか焼する場合、基材を600℃以下、好ましくは500℃以下の温度に加熱する。
【0233】
本発明はまた、排出制御装置と本発明の酸化触媒とを備えた排気システムも提供する。
【0234】
典型的には、排気システムが少なくとも1つの排出制御装置をさらに備えていてもよいし、又は酸化触媒が少なくとも1つの排出制御装置と組み合わせて使用されてもよい。排出制御装置は、ディーゼルパティキュフィルター(DPF)、NO貯蔵触媒(NSC)、リーンNO触媒(LNC)、選択的触媒還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒、アンモニアスリップ触媒(ASC)、及びそれらの2つ以上の組み合わせから選択され得る。ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)、NO貯蔵触媒(NAC)、リーンNO触媒(LNC)、選択的触媒還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化スートフィルター(CSF)、及び選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒という用語により表される排出制御装置は、当該技術分野でよく知られている。
【0235】
前述の排出制御装置のいくつかは、フィルタリング基材を有する。フィルタリング基材を有する排出制御装置は、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)、触媒化スートフィルター(CSF)、及び選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒からなる群より選択され得る。
【0236】
本発明の酸化触媒と共に使用するための、又は本発明の排気ガスシステムに含めるための排出制御装置の例を以下に示す。
【0237】
少なくとも1つの排出制御装置が、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒であることが好ましい。
【0238】
SCR及びSCRFTM触媒も、当該技術分野でよく知られている。本発明の排気システムがSCR触媒又はSCRFTM触媒を備える場合、排気システムは、一酸化炭素(CO)及び炭化水素(HC)を酸化するための触媒の下流及びSCR触媒又はSCRFTM触媒の上流で、窒素系還元剤、例えばアンモニア又は尿素若しくはギ酸アンモニウムなどのアンモニア前駆体、好ましくは尿素を排気ガス内に注入するためのインジェクターをさらに備えていてもよい。かかるインジェクターは、かかる窒素系還元剤前駆体の供給源、例えばそのタンクと流体的につながり、かつ、排気流への前駆体のバルブ制御注入は、適切にプログラムされたエンジン管理手段と、関係している排気ガス組成をモニターするセンサーによって提供される閉ループ又は開ループのフィードバックとによって調整される。また、(固体の)カルバミン酸アンモニウムを加熱することによってアンモニアを発生させることが可能であり、生じたアンモニアは、排気ガス中に注入することができる。
【0239】
インジェクターの代わりか又はインジェクターに加えて、例えばフィルターの上流に配置されたNSCのリッチ再生の間に、又はフィルターの上流に配置されたDOCをエンジン由来のリッチ排気ガスと接触させることによって、アンモニアをin situで発生させることができる。よって、排気システムは、排気ガスに炭化水素を混入するためのエンジン管理手段をさらに備えていてもよい。
【0240】
SCR触媒又はSCRFTM触媒は、Cu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド系及び第VIII族遷移金属(例えばFe)のうちの少なくとも1つからなる群より選択される金属を含んでいてもよく、この金属は、耐火性酸化物又はモレキュラーシーブ上に担持される。前記金属は、好ましくはCe、Fe、Cu、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択され、より好ましくは、金属はFe又はCuである。
【0241】
SCR触媒又はSCRFTM触媒用の耐火性酸化物は、Al、TiO、CeO、SiO、ZrO、及びそれらの2つ以上を含む混合酸化物からなる群より選択され得る。非ゼオライト触媒はまた、酸化タングステン、例えばV/WO/TiO、WO/CeZrO、WO/ZrO又はFe/WO/ZrOも含み得る。
【0242】
SCR触媒、SCRFTM触媒又はそれらのウォッシュコートがアルミノシリケートゼオライト又はSAPOなどの少なくとも1つのモレキュラーシーブを含む場合が、特に好ましい。前記少なくとも1つのモレキュラーシーブは、例えば小細孔、中細孔又は大細孔のモレキュラーシーブであり得る。本明細書において「小細孔モレキュラーシーブ」とは、8個の最大環サイズを含む、CHAなどのモレキュラーシーブを意味し;本明細書において「中細孔モレキュラーシーブ」とは、10個の最大環サイズを含む、ZSM-5などのモレキュラーシーブを意味し;本明細書において「大細孔のモレキュラーシーブ」とは、12個の最大環サイズ12を有する、ベータなどのモレキュラーシーブを意味する。小細孔モレキュラーシーブは、SCR触媒における使用にとって潜在的に有利である(例えば国際公開第2008/132452号参照)。
【0243】
本発明においてSCR触媒として適用されるのに好ましいモレキュラーシーブは、AEI、ZSM-5、ZSM-20、ZSM-34を含むERI、モルデナイト、フェリエライト、ベータを含むBEA、Y、CHA、Nu-3を含むLEV、MCM-22、及びEU-1からなる群より選択され、好ましくはAEI又はCHAであり、約10から約50、例えば約15から約40のシリカ対アルミナ比を有する合成アルミノシリケートゼオライトモレキュラーシーブである。
【0244】
第一の排気システムの実施態様では、排気システムは、好ましくはDOCである本発明の酸化触媒と、触媒化スートフィルター(CSF)とを備える。このような構造は、DOC/SCRと称され得る。この実施態様はまた、触媒化スートフィルターと組み合わせて、圧縮着火エンジンからの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用にも関し、好ましくは酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒であるか又はディーゼル酸化触媒としての使用のためのものである。典型的には、酸化触媒の後に触媒化スートフィルター(CSF).が続く(例えば、酸化触媒はCSFの上流にある)。よって、例えば、酸化触媒の出口は触媒化スートフィルターの入口に接続される。
【0245】
前記第一の排気システムの実施態様は、NO貯蔵触媒(NSC)をさらに含んでもよい。したがって、この実施態様は、NO貯蔵触媒(NSC)及び触媒化スートフィルター(CSF)と組み合わせて、圧縮着火エンジンからの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用にも関し、好ましくは酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒であるか又はディーゼル酸化触媒としての使用のためのものである。典型的には、酸化触媒の後にNO貯蔵触媒(NSC)及び触媒化スートフィルター(CSF)が続き(例えば、酸化触媒はNO貯蔵触媒の上流にある)、NO貯蔵触媒(NSC)の後に触媒化スートフィルター(CSF)が続く(例えば、NO貯蔵触媒は触媒化スートフィルターの上流にある)。一般に、酸化触媒、NOx吸蔵触媒(NSC)、及び触媒化スートフィルター(CSF)は、直列に接続される。したがって、例えば酸化触媒の出口は、NOx吸蔵触媒(NSC)の入口に接続され、NOx吸蔵触媒(NSC)の出口は、触媒化スートフィルター(CSF)の入口に接続される。このような構造は、DOC/NSC/CSFと称され得る。
【0246】
第二の排気システムの実施態様では、排気システムは、ディーゼル酸化触媒と、好ましくは触媒化スートフィルター(CSF)である本発明の酸化触媒とを備える。この構造は、DOC/CSF構造とも称され得る。この実施態様は、ディーゼル酸化触媒(DOC)と組み合わせて、圧縮着火エンジンからの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用にさらに関し、好ましくは酸化触媒は、触媒化スートフィルターであるか又は触媒化スートフィルターとしての使用のためのものである。典型的には、ディーゼル酸化触媒(DOC)の後に、本発明の酸化触媒が続く(例えば、DOCは本発明の酸化触媒の上流にある)。よって、ディーゼル酸化触媒の出口は本発明の酸化触媒の入口に接続される。
【0247】
第三の排気システムの実施態様は、好ましくはDOCである本発明の酸化触媒と、触媒化スートフィルター(CSF)と、選択的触媒還元(SCR)触媒とを備える排気システムに関する。このような構造は、DOC/CSF/SCRと称される場合があり、軽量ディーゼル車用の好ましい排気システムである。この実施態様はまた、触媒化スートフィルター(CSF)及び選択的接触還元(SCR)触媒と組み合わせて、圧縮着火エンジンからの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用にも関し、好ましくは酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒であるか又はディーゼル酸化触媒としての使用のためのものである。典型的には、酸化触媒の後に触媒化スートフィルター(CSF).が続く(例えば、酸化触媒はCSFの上流にある)。典型的には、触媒化スートフィルターの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、スートフィルターはSCR触媒の上流にある)。窒素系還元剤のインジェクターは、触媒化スートフィルター(CSF)と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配置してもよい。よって、触媒化スートフィルター(CSF)の後に窒素系還元剤のインジェクターが続いてもよく(例えば、CSFはインジェクターの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクターの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクターはSCR触媒の上流にある)。
【0248】
第四の排気システムの実施態様は、ディーゼル酸化触媒(DOC)と、好ましくは触媒化スートフィルター(CSF)である本発明の酸化触媒と、選択的触媒還元(SCR)触媒とを備える排気システムに関する。これは、DOC/CSF/SCR構造でもある。この実施態様のさらなる態様は、ディーゼル酸化触媒(DOC)及び選択的接触還元(SCR)触媒と組み合わせて、圧縮着火エンジンからの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用に関し、好ましくは酸化触媒は、触媒化スートフィルター(CSF)であるか又は触媒化スートフィルター(CSF)としての使用のためのものである。典型的には、ディーゼル酸化触媒(DOC)の後に本発明の酸化触媒が続く(例えば、DOCは本発明の酸化触媒の上流にある)。典型的には、本発明の酸化触媒の後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、酸化触媒はSCR触媒の上流にある)。窒素系還元剤のインジェクターは、酸化触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配置してもよい。よって、酸化触媒の後に窒素系還元剤のインジェクターが続いてもよく(例えば、酸化触媒はインジェクターの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクターの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクターはSCR触媒の上流にある)。
【0249】
第五の排気システムの実施態様では、排気システムは、好ましくはDOCである本発明の酸化触媒、選択的触媒還元(SCR)触媒、及び触媒化スートフィルター(CSF)又はディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)のいずれかを備える。この構造は、DOC/SCR/CSF又はDOC/SCR/DPFのいずれかである。この実施態様はまた、選択的接触還元(SCR)触媒と、触媒化スートフィルター(CSF)又はディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)のいずれかと組み合わせて、圧縮着火エンジンからの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用にも関し、好ましくは酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒であるか又はディーゼル酸化触媒としての使用のためのものである。
【0250】
第五の排気システムの実施態様では、典型的には本発明の酸化触媒の後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、酸化触媒はSCRの上流にある)。窒素系還元剤のインジェクターは、酸化触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配置してもよい。よって、酸化触媒の後に窒素系還元剤のインジェクターが続いてもよく(例えば、酸化触媒はインジェクターの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクターの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクターはSCR触媒の上流にある)。選択的触媒還元(SCR)触媒の後に、触媒化スートフィルター(CSF)又はディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)が続く(例えば、SCRはCSF又はDPFの上流にある)。
【0251】
第六の排気システムの実施態様は、好ましくはDOCである本発明の酸化触媒と、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒とを備える。このような構造は、DOC/SCRFTMとも称され得る。この実施態様はまた選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)と組み合わせて、圧縮着火エンジンからの排気ガスを処理するための酸化触媒の使用にも関し、好ましくは酸化触媒は、ディーゼル酸化触媒であるか又はディーゼル酸化触媒としての使用のためのものである。典型的には、本発明の酸化触媒の後に選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒が続く(例えば、酸化触媒はSCRFTM触媒の上流にある)。窒素系還元剤のインジェクターは、酸化触媒と選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒の間に配置してもよい。よって、酸化触媒の後に窒素系還元剤のインジェクターが続いてもよく(例えば、酸化触媒はインジェクターの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクターの後に選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒が続いてもよい(例えば、インジェクターはSCRFTM触媒の上流にある)。
【0252】
SCR触媒(SCRFTM触媒を含む)を含む上述の第一から第六の排気システムの実施態様の各々において、ASC触媒は、SCR触媒又はSCRFTM触媒の下流に(すなわち別個の基材モノリスとして)配置することができ、又はより好ましくはSCR触媒を備える基材モノリスの下流ゾーン又は終端部は、ASCのための担体として使用することができる。
【0253】
本発明の別の態様は、酸化触媒又は排気システムを備える自動車に関する。
【0254】
一般に、圧縮着火エンジンは、ディーゼルエンジンである。ディーゼルエンジンは、均質予混合圧縮着火(HCCI)エンジン、予混合圧縮着火(PCCI)エンジン又は低温燃焼(LTC)エンジンであり得る。ディーゼルエンジンは通常の(すなわち従来からの)ディーゼルエンジンであることが好ましい。
【0255】
自動車は、米国又は欧州の法律で規定されている軽量ディーゼル車(LDV)であってよい。軽量ディーゼル車は、典型的には<2840kgの重量を有し、より好ましくは<2610kgの重量を有する。
【0256】
米国では、軽量ディーゼル車(LDV)とは、≦8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車を指す。欧州では、軽量ディーゼル車(LDV)という用語は、(i)運転席の他に8席以下の座席を備え、5トン以下の最大質量を有する乗用車、及び(ii)12トン以下の最大質量を有する貨物輸送車を指す。
【0257】
あるいは、自動車は、米国の法律で規定されている、>8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車のような大型ディーゼル車(HDV)であってもよい。
【0258】
本発明の触媒組成物又は酸化触媒は、例えば下流の排出制御装置のために圧縮着火エンジンからの排気ガス中のNOx含有量を調節するのに使用することができる。
【0259】
本明細書において、特に本発明の方法又は使用態様に関して使用される「NO含量を調節する」という表現は、(一般に排気ガスの温度及び圧力におけるppm又は体積%での)NO:NOの比を、特定の排気ガス温度又は温度範囲で所定の範囲に収まるように変化させる(すなわち調整する)か又は維持することをいう。
【0260】
一般に、「NOx含有量を調節する」とは、通常は圧縮着火エンジンから直接の排気ガス中のNO:NOの比(ppm又は体積%)を、17:3未満(すなわちNOのNOに対する量が圧縮着火エンジンからの排気ガス中に通常見られる量より少ない)、好ましくは5:1から1:5、より好ましくは2.5:1から1:2.5、さらに一層好ましくは2:1から1:2(例えば1.5:1から1:1.5又は約1:1)になるように変更又は維持すること、好ましくは変更することをいう。
【0261】
本発明の圧縮着火エンジンからの排気ガス中のNOx含有量を調節する方法において、処理済み排気ガスを排出制御装置に送る工程は一般に、処理済み排気ガスを排出制御装置に直接送る工程を伴う。よって、酸化触媒の出口は、排出制御装置の入口に直接的に(例えば中継なしに)接続される。
【0262】
排出制御装置は、上に定義したとおりである。典型的には、排出制御装置は、選択的触媒還元(SCR)触媒、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)又は触媒化スートフィルター(CSF)である。
【0263】
本発明の触媒組成物又は酸化触媒がフィルタリング基材を有する排出制御装置の再生に使用される場合、前記触媒組成物又は酸化触媒は、排出制御装置の能動的又は受動的再生、好ましくは能動的再生に使用され得る。典型的には、フィルタリング基材を有する排出制御装置は、酸化触媒の下流にある。
【0264】
フィルタリング基材を有する排出制御装置は、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)、触媒化スートフィルター(CSF)、選択的触媒還元フィルター(SCRFTM)触媒、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群より選択され得る。
【0265】
触媒組成物及び酸化触媒は、少なくとも220℃の温度で、好ましくは少なくとも240℃、より好ましくは少なくとも260℃、なお一層好ましくは少なくとも280℃の温度で、一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO)へと酸化することによる、フィルタリング基材を有する排出制御装置の再生に使用することができる。
【0266】
定義
本明細書において、特に金属化合物(例えば白金化合物、パラジウム化合物)又は元素状の金属(例えば元素状白金又はパラジウム)のような化学物質に関して使用される、担体物質上に「配置された」又は「担持された」という表現は、担体物質の表面に分散しているか及び/又は担体物質に含浸されている(例えば担体物質の細孔に含浸される)化学物質をいう。一般に、「配置された」又は「担持された」という表現は、担体物質上に直接配置されるか又は担体物質によって直接担持される化学物質をいう(例えば化学物質と担体物質の間に介在する物質は存在しない)。
【0267】
「安定的にNOを発生させる」又は「安定的にNOを製造する」という表現は、「安定的にNOを酸化する」と同義である。ΔNO2 (フレッシュから)の変動[例えば「フレッシュ」状態(すなわち触媒組成物が試験前に未使用)と約250℃の排気ガス温度での「エイジング」状態との間で測定した場合]が20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは10%未満5%の場合、触媒組成物は、NOを「安定的に発生させる」か又は「安定的に製造する」こと理解されるべきである。
【0268】
本明細書で用いられる頭字語「PGM」とは、「白金族金属」を指す。用語「白金族金属」とは、一般的にRu、Rh、Pd、Os、Ir及びPtからなる群より選択される金属、好ましくはRu、Rh、Pd、Ir及びPtからなる群より選択される金属のことを指す。一般に、用語「PGM」とは、好ましくはRh、Pt及びPdからなる群より選択される金属のことを指す。
【0269】
本明細書で用いられる「混合酸化物」という用語は通常、当該技術分野で従来から知られているような、単一相の酸化物の混合物を指す。本明細書で用いられる「複合酸化物」という用語は通常、当該技術分野で従来から知られているような、二相以上の相を有する酸化物の組成物を指す。
【0270】
「ウォッシュコート」という用語は、当該技術分野ではよく知られており、通常は触媒の製造中に基材に塗布される接着性コーティングを指す。
【0271】
本明細書で用いられる「ウォッシュコート領域」という用語は、基材上のウォッシュコートのエリアを指す。例えば、「ウォッシュコート領域」は、基材上に「層」又は「ゾーン」として配置又は担持され得る。基材上のウォッシュコートのエリア又は配置は一般に、基材にウォッシュコートを塗布する工程の間、制御される。一般に、「ウォッシュコート領域」は、明確な境界又は縁を有する(すなわち一般的な分析技術を用いて、1つのウォッシュコート領域を別のウォッシュコート領域から区別することが可能である)。
【0272】
各「ウォッシュコート領域」は、実質的に均一な組成物を有する(すなわちウォッシュコート領域の一部をウォッシュコート領域の別の部分と比較した場合、ウォッシュコートの組成物に実質的な差がない)ことが好ましい。この文脈において実質的に均一な組成物とは、ウォッシュコート領域の一部をウォッシュコート領域の別の部分と比較した場合に、組成の差異が5%以下、通常は2.5%以下、最も一般的には1%以下である物質(例えばウォッシュコート領域)のことを指す。
【0273】
本明細書で用いられる「ウォッシュコートゾーン」という用語は、実質的に一様な長さのウォッシュコート領域を指す。ウォッシュコートゾーンの長さは、基材の全長と同じであってもよい。一般に、ウォッシュコートゾーンの長さは、基材の全長よりも短い。基材の全長とは、入口端と出口端(例えば基材の対向端部)の間の距離である。「ウォッシュコートゾーン」は一般に、基材の全長の少なくとも5%の長さ(すなわち実質的に均一な長さ)を有する。
【0274】
長さの文脈での「実質的に均一な」又は本明細書で用いられる「実質的に均一な長さ」という表現は、平均値から10%を超えて逸脱しない長さ、好ましくは5%を超えて逸脱しない長さ、より好ましくは1%を超えて逸脱しない長さを指す。
【0275】
本明細書で用いられる「基材の入口端に配置されたウォッシュコートゾーン」という表現は、基材の出口端よりも基材の入口端に近い、基材上に配置又は担持されたウォッシュコートゾーンを指す。よって、ウォッシュコートゾーンの中間点(すなわちその長さの半分の地点)は、基材の出口端よりも基材の入口端に近い。同様に、本明細書で用いられる「基材の出口端に配置されたウォッシュコートゾーン」という表現は、基材の入口端よりも基材の出口端に近い、基材上に配置又は担持されたウォッシュコートゾーンを指す。よって、ウォッシュコートゾーンの中間点(すなわちその長さの半分の地点)は、基材の入口端よりも基材の出口端に近い。
【0276】
基材がウォールフロー型フィルターの場合、「基材の入口端に配置されたウォッシュコートゾーン」という表現は、(a)基材の入口チャネルの閉塞端部よりも入口チャネルの入口端に近く、及び/又は(b)基材の出口チャネルの出口端よりも出口チャネルの閉塞端部に近い、基材上に配置又は担持されたウォッシュコートゾーンを指す。よって、ウォッシュコートゾーンの中間点(すなわちその長さの半分の地点)は、(a)基材の入口チャネルの閉塞端部よりも入口チャネルの入口端に近く、及び/又は(b)基材の出口チャネルの出口端よりも出口チャネルの閉塞端部に近い。同様に、基材がウォールフロー型フィルターの場合、「基材の出口端に配置されたウォッシュコートゾーン」という表現は、(a)基材の出口チャネルの閉塞端部よりも出口チャネルの出口端に近く、及び/又は(b)基材の入口チャネルの入口端よりも入口チャネルの閉塞端部に近い、基材上に配置された又は担持されたウォッシュコートゾーンを指す。よって、ウォッシュコートゾーンの中間点(すなわちその長さの半分の地点)は、(a)基材の出口チャネルの閉塞端部よりも出口チャネルの出口端に近く、及び/又は(b)基材の入口チャネルの入口端よりも入口チャネルの閉塞端部に近い。
【0277】
本明細書で用いられる「実質的に重なり合って」いないウォッシュコートゾーンという表現は、基材の長さの10%未満、好ましくは基材の長さの7.5%未満、より好ましくは基材の長さの5%未満、特に基材の長さの2.5%未満、さらに一層好ましくは基材の長さの1%未満の重なり(すなわち基材上の隣接するゾーンの端部間)をいい、最も好ましくは重なりが存在しないことをいう。
【実施例0278】
次に、以下の非限定的な実施例によって本発明を例証する。
【0279】
実施例1
初期湿潤法によって、算出された体積の白金硝酸塩溶液をシリカ-アルミナ粉末に含浸させる。その後、前記粉末を8時間乾燥させる。得られたPt含浸粉末を水中に懸濁させ、ヒドラジン水溶液を用いて55℃で還元する。得られたスラリーを濾過し、2時間乾燥させ、次に800℃で1時間か焼成して、熱処理したPt粉末を製造する。
【0280】
熱処理したPt粉末を水中でスラリー化し、<20ミクロンのd90に粉砕する。得られたウォッシュコートを、確立されたコーティング技術を用い、平方インチ当たり400個のセルを有するコーディエライトフロースルーモノリスに塗布する。その後、その部分(すなわち酸化触媒)を乾燥させ、500℃でか焼する。仕上がった当該部分は、37.5g/立方フィートのPt充填量を有する。
【0281】
実施例2
実施例1の部分を調製するための調製方法を、(実施例1での800℃で1時間の代わりに)850℃の高温で1時間か焼成することによって熱処理したPt粉末を得ること以外、繰り返す。
【0282】
実施例3
実施例1の部分を調製するための調製方法を、(実施例1での800℃で1時間の代わりに)900℃の高温で1時間か焼成することによって熱処理したPt粉末を得ること以外、繰り返す。
【0283】
実施例4
初期湿潤法によって、算出された体積の白金硝酸塩溶液をアルミナ粉末に含浸させる。その後、前記粉末を8時間乾燥させる。得られたPt含浸粉末を水中に懸濁させ、ヒドラジン水溶液を用いて55℃で還元する。得られたスラリーを濾過し、その後100℃で乾燥させる。得られた粉末は、8重量%のPt充填量を有する。
【0284】
実施例5
ヒドラジン水溶液による還元工程を粉末上で行わないことを除いて、実施例4の調製方法を繰り返す。得られた粉末は、8重量%のPt充填量を有する。
【0285】
実験の詳細
NO酸化の測定
実施例1、2及び3の酸化触媒からコア試料を採取する。すべてのコアを、オーブン中790℃で16時間、水熱的にエイジングさせた。実施例1、2及び3の酸化触媒から追加のコアを採取し、「フレッシュな」状態を保つ(すなわちオーブン内での熱処理なしで保持する)。
【0286】
合成ガスベンチ活性試験を使用して、触媒活性を決定する。表1の入口ガス混合物を使用して、模擬的な触媒活性試験(SCAT)ガス装置内で、フレッシュなコアとエイジングさせたコアを試験する。各事例において、残部は窒素である。
表1
【0287】
平均Pt結晶子サイズの測定
実施例1、2及び3の酸化触媒からのか焼Pt粉末の試料をX線回折(PANalytical X’Pert Proを使用)で分析する。X’Pert HighScore Plusソフトウェア(PANalytical)を使用して、回折パターンのリートベルト法を行い、Pt結晶子サイズを決定する。
【0288】
実施例4及び5からのPt粉末の試料を、in situでXRD(Bruker AXS)を用いて様々な温度で分析する。ピーク幅パラメーターを抽出するために、回折パターンのリートベルト法を行い、TOPAS(Bruker AXS)プログラムに実装されているようなDouble-Voigtアプローチを使用して、Pt結晶子サイズを決定する。試料を30℃で、次に50℃刻みに450℃から800℃の間で測定する(加熱速度6℃/分)。XRD測定の前に、各温度点で60分の滞留時間を費やす。最終データセットが800℃で収集されたら、試料を30℃に冷却し、最終的なXRDパターンを収集する。
【0289】
結果
表2の結果は、実施例1、2及び3の300℃でのNO酸化性能を示す。
表2
【0290】
実施例1は、最も高いNO酸化活性を有する。実施例2は、中間のNO酸化活性を有する。実施例3は、最も低いNO酸化活性を有する。790℃で16時間の水熱エイジング後、実施例1、2及び3はすべて同じNO酸化活性を有する。実施例1は、NO酸化活性が最も大きく変化した。実施例3は、NO酸化性能が最も小さく変化し、NO酸化に対する最大の安定性を示している。
【0291】
表3の結果は、XRDによって決定されたナノメートル(nm)単位の平均Pt結晶子サイズを示す。
表3
【0292】
フレッシュ状態では、実施例1は最小の結晶子サイズを有し;実施例2は中間のPt結晶子サイズを有し;実施例3は最大のPt結晶子サイズを有した。790℃で16時間の水熱エイジング後、実施例1、2及び3のすべては、19-20nmのほぼ同じ平均Pt結晶子サイズを有する。実施例1は、Pt結晶子サイズが最も大きく変化した。実施例3は、Pt結晶子サイズが最も小さく変化した。
【0293】
図1は、実施例4のPt粉末(還元工程を含む本発明による方法を用いて調製)のin situ XRD回折パターンをいくつか示す。Pt結晶子の回折ピークは、すべての温度で見られる。ピークは、Pt結晶子のサイズが増加するにつれてシャープになる。Ptの平均結晶子サイズは、各回折パターンについて、TOPASでのLVol-IBの実行によって決定される。
【0294】
図2は、実施例5のPt粉末(還元工程を含む方法を用いて調製)のin situ XRD回折パターンをいくつか示す。温度上昇(例えば600℃以上)後に、Pt結晶子の回折ピークが見られる。ピークは、Pt結晶子のサイズが増加するにつれてシャープになる。Ptの平均結晶子サイズは、各回折パターンについて、TOPASでのLVol-IB実行によって決定される。
【0295】
図3は、(図2及び3に示した)様々な温度で収集したXRDデータから得られた実施例4及び5のPt粉末の見かけの平均Pt結晶子サイズを示す。実施例4は、温度範囲にわたって比較的安定な平均Pt結晶子サイズを示す。実施例5は、550℃以上の温度で実施例4と比較して、平均Pt結晶子サイズがより大きな増加を示す。これは、実施例4が実施例5と比較して、より安定な触媒粉末であることを示している。
【0296】
疑義を避けるために、本明細書で引用したすべての文献の全内容は、参照により本願に援用される。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【外国語明細書】