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特開2022-43030RABエスコートタンパク質の力価アッセイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043030
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】RABエスコートタンパク質の力価アッセイ
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/42 20060101AFI20220308BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20220308BHJP
   G01N 33/573 20060101ALI20220308BHJP
   C12N 15/864 20060101ALN20220308BHJP
   C12N 15/55 20060101ALN20220308BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20220308BHJP
【FI】
C12Q1/42
C12Q1/68
G01N33/573 A
C12N15/864 100Z
C12N15/55
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】37
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021184789
(22)【出願日】2021-11-12
(62)【分割の表示】P 2019523685の分割
【原出願日】2017-11-07
(31)【優先権主張番号】62/418,637
(32)【優先日】2016-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518138077
【氏名又は名称】スパーク セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SPARK THERAPEUTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ライト, ジョン フレーザー
(72)【発明者】
【氏名】スマロッカ, マリーナ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】REP-1及びREP-2の活性測定方法の提供。
【解決手段】方法は、(a)内因性REP-1又はREP-2を発現しない細胞を、REP-1タンパク質をコードする遺伝子又はREP-2タンパク質をコードする遺伝子を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターと、細胞への形質導入を可能にする条件下で接触させるステップ、(b)形質導入された細胞を、導入されたREP-1又はREP-2の発現を可能にする条件下でインキュベートするステップ、(c)形質導入された細胞を溶解して、REP-1又はREP-2及びRab低分子GTPアーゼ(Rab)を含む抽出物を産生するステップ、(d)前記抽出物とRab基質とを、Rabのプレニル化を可能にする条件下でインキュベートして、プレニル化Rabを形成するステップ、(e)プレニル化Rabを検出及び/又は定量することによりREP-1又はREP-2の活性を測定するステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
REP-1又は活性を測定するための方法であって、
(a)内因性機能的REP-1タンパク質を発現しない細胞を、REP-1タンパク質をコードするCHM遺伝子を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターと、細胞への形質導入を可能にする条件下で接触させるステップと、
(b)形質導入された細胞を、コードされた前記REP-1タンパク質の発現を可能にする条件下でインキュベートするステップと、
(c)前記形質導入された細胞を溶解して、前記コードされたREP-1タンパク質及びRab低分子GTPアーゼ(Rab)を含む抽出物を産生するステップと、
(d)前記抽出物とRab基質とを、前記Rabのプレニル化を可能にする期間及び条件下でインキュベートして、それによりプレニル化Rabを形成するステップと、
(e)前記プレニル化Rabを検出及び/又は定量するステップであり、プレニル化Rabの量がREP-1活性を反映し、それによりREP-1活性を測定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記REP-1タンパク質が哺乳動物のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記REP-1タンパク質がヒトREP-1を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記細胞がREP-1陰性細胞(CHMneg)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞がREP-1陰性RPE細胞(CHMneg)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞がヒトREP-1陰性細胞(CHMneg)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞がヒトREP-1陰性RPE細胞(CHMneg)を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記細胞が、REP-1を安定的又は一過性に発現する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記Rab基質がゲラニル部分を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記Rab基質が、検出可能に標識されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記Rab基質が、非放射性に標識されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記Rab基質が、放射性に標識されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記Rab基質が、GGPPである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記Rab基質が、ビオチニル化ゲラニル部分を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記Rab基質がBGPPを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(c)が、前記抽出物からRabを単離又は精製することをさらに含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(d)又は(e)が、前記プレニル化Rabを単離又は精製することをさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記プレニル化Rabが、検出可能な標識により検出及び/又は定量される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記プレニル化Rabが、非放射性の検出可能な標識により検出及び/又は定量される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記プレニル化Rabが、ELISAにより検出及び/又は定量される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記プレニル化Rabが、ウェスタンブロット又はウェスタンポリペプチドサイズに基づく(WES)アッセイにより検出及び/又は定量される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記プレニル化Rabが、質量分析法により検出及び/又は定量される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記プレニル化Rabが、放射性の検出可能な標識により検出及び/又は定量される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記REP-1活性を、対照のREP-1陽性細胞(CHMpos)のREP-1活性と比較するステップをさらに含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記REP-1活性を、対照のREP-1陽性RPE細胞(CHMpos)のREP-1活性と比較するステップをさらに含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記REP-1陰性細胞(CHMneg)が、コロイデレミアを有する患者に由来するか又は前記患者から得られる、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記REP-1陰性細胞(CHMneg)が、コロイデレミアを有する患者から得られるiPS細胞から誘導される、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記対照のREP-1陽性細胞(CHMpos)が、コロイデレミアを有しない対象から得られるか又は前記対象に由来する、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項29】
前記対照のREP-1陽性細胞(CHMpos)が、コロイデレミアを有しない対象から得られるiPS細胞から誘導される、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項30】
前記対照のREP-1陽性細胞(CHMpos)が、コロイデレミアを有する対象から得られるか又は前記対象に由来し、前記対照細胞に、REP-1をコードするCHM遺伝子が安定的又は一過性に形質導入されている、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項31】
前記対照のREP-1陽性細胞(CHMpos)が、コロイデレミアを有する対象から得られるiPS細胞から誘導され、前記対照細胞又はiPS細胞に、REP-1をコードするCHM遺伝子が安定的又は一過性に形質導入されている、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項32】
前記REP-1陰性細胞(CHMneg)及び/又は前記REP-1陽性(CHMpos)細胞がRPE細胞を含む、請求項25~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記RPE細胞が、iPS細胞から誘導されるか又は分化したものである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記REP-1陰性RPE細胞が、iPSC-RPE-CHMneg細胞を含む、請求項5、7、26、27、30及び32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記REP-1陽性RPE細胞が、iPSC-RPE-CHMpos細胞を含む、請求項24、25及び28~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、及びAAV10から選択される任意の血清型のカプシドタンパク質配列又は逆位末端反復配列に対して70%以上の配列同一性を有するカプシドタンパク質配列又は逆位末端反復配列を含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10から選択される任意の血清型のカプシドタンパク質又は逆位末端反復を含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0002]コロイデレミアは、CHM遺伝子における突然変異により引き起こされるX連鎖性単一遺伝性疾患である。CHM遺伝子は、653アミノ酸であるRabエスコートタンパク質-1(REP-1)をコードする。
【0002】
[0003]哺乳動物は、コロイデレミア患者の網膜以外の組織におけるREP-1の非存在を補償するREP-2をコードするCHM様遺伝子を有する。
【0003】
[0004]Rabエスコートタンパク質1(REP-1)は、細胞内輸送において役割を有する。REP-1は、低分子GTPアーゼであり、細胞内輸送において非常に重要な機能を果たすRasスーパーファミリーのメンバーであるRabタンパク質の翻訳後脂質改変(プレニル化)を容易にする。REP-1は、結合して新しく合成されるRabとRabGGTアーゼの間の相互作用を整合して、Rabのプレニル化を触媒する。REP-1はプレニル化Rabをエスコートして膜を標的とする。Rabプレニル化サイクルを図1に例示する。
【0004】
[0005]コロイデレミア疾患の病理生物学は、網膜色素上皮(RPE)細胞におけるプレニル化されていないRabの蓄積及び/又は網膜細胞輸送における関連する機能障害に基づくと考えられる。
【発明の概要】
【0005】
[0006]本発明は、Rab保護タンパク質-1(REP-1)の力価アッセイを提供する。一実施形態では、アッセイはインビトロアッセイである。一実施形態では、アッセイは細胞に基づくアッセイである。種々の実施形態では、細胞に基づくアッセイは培養におけるものである。
【0006】
[0007]本発明は、Rab保護タンパク質-2(REP-2)の力価アッセイも提供する。一実施形態では、アッセイはインビトロアッセイである。一実施形態では、アッセイは細胞に基づくアッセイである。種々の実施形態では、細胞に基づくアッセイは培養におけるものである。
【0007】
[0008]アッセイのための適当な代表的な細胞は、REP-1陰性RPE細胞(CHMneg)を含む。アッセイのための適当な代表的な対照細胞は、REP-1陽性RPE細胞(CHMpos)を含む。ある実施形態では、REP-1陰性RPE細胞(CHMneg)は、iPSC誘導RPE細胞(iPSC-RPE-CHMneg)を含む。ある実施形態では、REP-1陽性RPE細胞(CHMpos)は、iPSC誘導RPE細胞(iPSC-RPE-CHMpos)を含む。
【0008】
[0009]アッセイのための適当な細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMneg)は、コロイデレミア患者から得ることができる。加えて、陽性対照としてアッセイに適した細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMpos)は、コロイデレミアを有しない患者から得ることができる。そのような細胞は典型的にはヒト細胞である。
【0009】
[0010]ある実施形態では、アッセイのための細胞は、アッセイに適したREP-1陰性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMneg)及びREP-1陽性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMpos)を有する細胞バンク又は細胞預託物から入手することができる。
【0010】
[0011]他の実施形態では、アッセイに適した細胞は、ヒトの血液細胞などの血液細胞に由来する。コロイデレミア患者の血液細胞を使用して、iPS細胞を生成し、さらにはiPS細胞はREP-1陰性RPE細胞(iPSC-RPE-CHMneg)に分化することができる。対照のREP-1陽性RPE細胞(iPSC-RPE-CHMpos)は、コロイデレミアを有しない供給源からの血液細胞に同様に由来し得、例えば、iPS細胞は、コロイデレミアを有しないヒトからのヒト対象に由来し、さらにはiPS細胞は、REP-1陽性RPE細胞(iPSC-RPE-CHMpos)に分化する。
【0011】
[0012]他の実施形態では、対照のREP-1陽性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMpos)は、コロイデレミア患者に由来する(CHMneg)。REP-1陰性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMneg)は、欠陥のある、非機能的な、又は欠失しているCHM遺伝子が、機能的REP-1(又はRep-2)をコードする野生型又は他のCHM様遺伝子によって置換されるか又は補完することができ(一過性又は安定なトランスフェクションによる)、対照のREP-1陽性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMpos)を生成することができる。そのような形質転換された細胞(CHMnegからCHMposへ)は、CHM遺伝子(例えば、iPSC-RPE-CHMpos)だけがREP-1陰性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMneg)と異なり、異なるヒトの間で天然に生ずる他の遺伝子/遺伝子座における不均一性により引き起こされる可能性のある人為結果をそれにより低下させる。そのような遺伝子の置き換え、修正又は補完は、Crispr/Cas-9などの遺伝子編集技法、操作された亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、ベクターによる送達、ウイルスベクター(例えば、AAV)、ナノ粒子などを含むが、これらに限定されない種々の手段によって実施することができる。CHM遺伝子が修正されたiPS細胞(例えば、対照iPSC-RPE-CHMpos細胞に分化し得るiPSC-CHMpos)又は分化したRPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMpos)は、プレニル化における陽性の同質遺伝子型対照として使用され得る。
【0012】
[0013]REP-1陰性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMneg)及び/又は対照のREP-1陽性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMpos)は、本明細書で説明される力価アッセイのために使用することができる。加えて、REP-1陰性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMneg)及び/又は対照のREP-1陽性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMpos)は、細胞預託物の供給源として又は細胞バンクを確立するために使用することができる。或いは、それらがRPE細胞に分化する前のREP-1陰性iPS細胞又はREP-1陽性iPS細胞は、細胞預託物の供給源として又は(凍結した)細胞バンクを確立するために使用することができ、その結果、iPS細胞は、バンクから解凍されて、RPE細胞に分化して力価アッセイに使用することができる。そのような預託された又は預けられた細胞株は、適当な温度(例えば、液体窒素、約-190℃の液体窒素貯蔵、又は超低温貯蔵(例えば、約-70℃及び-80℃)で貯蔵して、生存能力を保存することができ、任意選択で解凍され、本明細書に記載の本発明のアッセイのために提供された細胞の供給源として使用することができる。
【0013】
[0014]REP-1陰性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMneg)には、Rabエスコートタンパク質-1(REP-1)をコードする試験CHM遺伝子をトランスフェクトすることができ、コードされたREP-1を活性について分析することができる。特定の実施形態で、ベクターは、細胞にRabエスコートタンパク質-1(REP-1)をコードする試験CHM遺伝子をトランスフェクトするために使用される。ある実施形態では、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが、REP-1陰性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMneg)にRabエスコートタンパク質-1(REP-1)をコードする試験CHM遺伝子をトランスフェクトするために使用される。
【0014】
[0015]トランスフェクトされたREP-1陰性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMneg)は、REP-1活性について分析される。特定の実施形態で、Rabプレニル化活性が分析される。活性は、任意選択で、標準又は閾値REP-1活性、又は対照のREP-1陽性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMpos)におけるREP-1活性と比較することができる。
【0015】
[0016]REP-1陰性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMneg)には、ベクター(例えばAAV)のある範囲の用量でトランスフェクトすることができる。ベクターのそのような範囲の用量は、用量/活性としてプロットして、ベクター用量とREP-1活性の間の相関関係を決定することができる。REP-1活性は、対照のREP-1陽性RPE細胞(例えば、iPSC-RPE-CHMpos)のREP-1活性と比較して、同程度のREP-1活性を達成するベクター用量を同定することができる。これは、異なるREP-1タンパク質の力価における差、ロット間変動性/類似性、及び力価標準に合っているかいないかを決定するために使用することができる。
【0016】
[0017]Rabのプレニル化は、種々の手段によって検出することができる。例えば、標識された基質(例えば、標識されたゲラニルゲラニル二リン酸、又はGGPP)は、Rabプレニル化を検出及び/又は定量するために使用することができる。標識されたRabを含む細胞ライセート、標識されたRabの抽出物、又は精製若しくは単離され、標識されたRabは、検出及び/又は定量され得る。
【0017】
[0018]Rabのプレニル化のための基質は、検出可能に標識されたゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)を含む。Rab基質上のトリチウムなどの放射性標識(例えば、トリチル化された[H]GGPP)は、例えばシンチレーションカウンターによって検出することができる。
【0018】
[0019]Rabのプレニル化のための基質は、非放射性の検出可能な標識も含む。したがって、種々の実施形態では、検出可能な標識は放射能ではなく、例えば、トリチウム(H)などの放射性同位体ではない。
【0019】
[0020]基質はビオチニル化することができ、BGPPなどは、ELISA、質量分析法及び/又は簡単な(例えば、自動化された)例えばウェスタンポリペプチドサイズに基づくアッセイにより、検出及び/又は定量することができる。したがって、特定の実施形態で、検出可能な標識は、放射能を使用しない検出及び/又は定量を、例えば、ウェスタンブロット、酵素免疫収着アッセイ(ELISA)などのイムノアッセイ、質量分析法又は別のアッセイ、例えば、簡単な(例えば、自動化された)ウェスタンポリペプチドサイズに基づく(WES)アッセイなどにより容易にする。ビオチンの例で、検出及び/又は定量は、ストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシダーゼ(STR-HRP)によることができる。
【0020】
[0021]ある実施形態では、本明細書で開示された発明のアッセイは、定量可能で、再現性があり、それらは、分析された異なるRabエスコートタンパク質-1間の交差比較を可能にする。ある実施形態では、本明細書で開示された発明のアッセイは、ロット間一致性、臨床的開発及びコロイデレミア療法の検証に関して厳格な規制の要求に合わせるために適する。
【0021】
[0022]REP-1に適用可能な全ての前述の実施形態は、REP-2にも適用可能である。例えば、REP-2の力価アッセイのための適当な細胞は、REP-2陰性RPE細胞(CHM様neg)を含む。アッセイのための適当な代表的な対照細胞は、REP-2陽性RPE細胞(CHM様neg)を含む。ある実施形態では、REP-2陰性RPE細胞(CHM様neg)は、iPSC誘導RPE細胞(iPSC-RPE-CHM様neg)を含む。ある実施形態では、REP-2陽性RPE細胞(CHM様pos)は、iPSC誘導RPE細胞(iPSC-RPE-CHM様pos)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】Rabのプレニル化サイクルを示す図である。
図2】RabのN末端のCys残基とGGPPの間におけるRabのプレニル化チオエステル結合形成を示す図である。
図3】例示的な発明の力価アッセイの模式的表現を示す図である。
図4】例示的な発明の力価アッセイの模式的表現を示す図である。
図5A】ビオチン-ゲラニルピロリン酸(B-GPP)を脂質供与体として用いるインビトロプレニル化アッセイに続く未処理の(a)及び5μMのコンパクチンで処理された(b、c)細胞からのHEK293細胞ライセートのウェスタンブロット分析を示す図である。REP1発現及びRabのプレニル化を、非形質導入HEK293細胞(レーン1、3、及び5)及びRabエスコートタンパク質-1(REP-1又はRep-1)をコードする試験CHM遺伝子を担持する100,000vg/細胞のAAV2ベクターを形質導入後のHEK293細胞で分析した(レーン2、4、及び6)。
図5B】ビオチン-ゲラニルピロリン酸(B-GPP)の非存在下におけるインビトロプレニル化アッセイに続く未処理(a)及びコンパクチン(5μM)処理(b、c)細胞からのHEK293細胞ライセートのウェスタンブロット分析を示す図である(陰性対照)。
図6A】iPSC-CHMpos(a)、フィーダー細胞(MEF)上で増殖するiPSC-CHMneg細胞(b)及びiPSC-CHMnegフィーダーフリー細胞(c)について、ビオチン-ゲラニルピロリン酸(B-GPP)を脂質供与体として用いるインビトロプレニル化アッセイ後に実施されたREP1発現及びRabのプレニル化のウェスタンブロット分析を示す図である。アッセイは、非形質導入iPSC(レーン1、3及び5)及びRabエスコートタンパク質-1(REP-1)をコードする試験CHM遺伝子を担持するAAV2ベクターを形質導入されたiPSCで実施した。
図6B】iPSC-CHMpos(a)、フィーダー細胞(MEF)上で増殖するiPSC-CHMneg細胞(b)及びiPSC-CHMnegフィーダーフリー細胞(c)について、脂質供与体としてのビオチン-ゲラニルピロリン酸(B-GPP)の非存在下でインビトロプレニル化アッセイ後に実施されたREP1発現及びRabのプレニル化のウェスタンブロット分析を示す図である(陰性対照)。
図7】プレニル化タンパク質及び網膜におけるプレニル化プロセスに関与するタンパク質の模式的表現を示す図である。それらの対応する遺伝子の幾つかにおける突然変異は、コロイデレミア(CHM)、コーン-ロッドジストロフィー(CRD)、先天性停止性夜盲症(CSNB)、ジュベール症候群(JS)、レーバー先天性黒内障(LCA)、メバロン酸キナーゼ欠損症(MKD)、網膜疾患(RD)及び網膜色素変性症(RP)の原因となることが発見された。ノックアウトマウスが網膜疾患を呈することになるタンパク質をハッシュ(#)で示す。異なる遺伝子によりコードされたプレニル化酵素のα及びβサブユニットは異なるグレイの影で表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[0032]本発明は、プレニル化活性及び/又は機能を測定及び/又は検出するための方法を提供する。種々の実施形態では、該方法は、特異的及び正確である。例えば、該方法は、遺伝子移動の有効性、遺伝子発現、タンパク質の活性又は機能などを測定するステップを含むが、これらに限定されない種々の目的のために、Rep-1及びRep-2などのタンパク質の活性又は機能を決定するために使用することができる。本明細書で説明されるプレニル化タンパク質の活性及び/又は機能を測定及び/又は検出する発明の方法は、薬物物質(DS)及び薬物製品(DP)の両方を、遺伝子療法への適用で試験するために適した方法を含む。
【0024】
[0033]本明細書における本発明の方法によりアッセイされるのに適したタンパク質は、653アミノ酸のRabエスコートタンパク質-1(REP-1)及びコロイデレミア患者の網膜以外の組織においてREP-1が存在しないことを補償することができるRabエスコートタンパク質-2(REP-2)を含む。本明細書における本発明の方法による適した追加のタンパク質は、図7で説明し、実施例3で記載する。
【0025】
[0034]iPS誘導RPE細胞は、Nicolas Ceresoら(Molecular Therapy-Methods&Clinical Development(2014)1、14011;doi:10.1038/mtm.2014.11);及びSimona Torrianoら(Human Molecular Genetics.26(18):3573~3584、2017年9月)に記載されているように産生することができる。iPS細胞からRPE細胞を得るか又はRPE細胞を誘導する(分化させる)のに適した他の方法もある。
【0026】
[0035]用語「ベクター」とは、小さい担体核酸分子、プラスミド、ウイルス(例えば、AAVベクター)、又は核酸の挿入若しくは組み込みにより操作され得る他のビヒクルを指す。ベクターは、ポリヌクレオチドを細胞中に導入/移動するために、及び挿入されたポリヌクレオチドを細胞中で転写又は翻訳するために、遺伝子操作(即ち、「ベクターをクローニング」)するために使用することができる。「発現ベクター」は、宿主細胞における発現のために必要な調節領域を有する遺伝子又は核酸配列を含有するベクターである。ベクター核酸配列は、少なくとも、細胞中における増殖のための複製の起点及び任意選択で追加の要素、例えば、Rep-1又はRep-2核酸配列、発現制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー)、イントロン、逆位末端反復(ITR)、任意選択の選択可能なマーカー、ポリアデニル化シグナルを一般的に含有する。
【0027】
[0036]AAVベクターは、アデノ随伴ウイルスから誘導される。AAVベクターは、遺伝子療法ベクターとして有用であり、その理由は、AAVベクターが、細胞中に侵入して、核酸/遺伝子材料を導入することができて、その結果、核酸/遺伝子材料が細胞中で安定に維持され得るからである。加えて、これらのウイルスは、核酸/遺伝子材料を特定の部位、例えば、第19染色体上の特定の部位などに導入することができる。AAVは、ヒトにおける病原性疾患と関連しないので、AAVベクターは、異種核酸配列(例えば、治療用タンパク質及び作用物質)をヒトの患者に、実質的なAAV病原性又は疾患を引き起こすことなく送達することができる。
【0028】
[0037]rAAVベクターなどのベクターの変更遺伝子として、並びに組換えポリヌクレオチド及びポリペプチドなどの変更遺伝子の配列としての用語「組換え」は、一般的に天然では起こらない様式で、組成が操作された(即ち、作り変えられた)ことを意味する。組換えAAVベクターの特定の例は、野生型AAVゲノムには通常存在しない核酸、例えばRep-1又はRep-2が、ウイルスのゲノム内に挿入された場合であろう。本明細書では、用語「組換え」が、AAVベクター、並びにポリヌクレオチドなどの配列に関して使用されるとは限らないが、AAVベクター、ポリヌクレオチド、Rep-1、Rep-2等を含む組換え形態は、任意のそのような省略にも拘わらず明らかに含まれる。
【0029】
[0038]「rAAVベクター」は、AAVゲノムから野生型ゲノムを除去して、非天然の(異種)核酸、例えばRep-1又はRep-2をコードする核酸で置き換える分子法を使用することにより、AAVなどのウイルスの野生型ゲノムから誘導される。典型的には、AAVについて、AAVゲノムの片側又は両側の逆位末端反復(ITR)配列が、rAAVベクターで保持される。rAAVは、AAVゲノムの全部又は一部が、AAVゲノムの核酸に関して、非天然の配列で、例えば、Rep-1又はRep-2をコードする異種核酸で置き換えられているので、AAVゲノムと明白に区別される。非天然の配列の組み込みは、それゆえに、AAVを「組換え」AAVベクターと定義し、「rAAVベクター」と称することができる。
【0030】
[0039]組換えAAVベクター配列は、パッケージングすることができて、エクスビボ、インビトロ又はインビボにおける細胞のその後の感染(形質導入)について、本明細書では「粒子」と称する。組換えベクター配列が、AAV粒子中にカプシド形成されているか又はパッケージングされている場合、粒子は、「rAAV」又は「rAAV粒子」又は「rAAVビリオン」と称することもできる。そのようなrAAV、rAAV粒子及びrAAVビリオンは、ベクターゲノムをカプシド形成するか又はパッケージングするタンパク質を含む。特定の例として、AAVの場合、カプシドタンパク質が含まれる。
【0031】
[0040]ベクター「ゲノム」とは、最終的にパッケージングされるか又はカプシド形成されてrAAV粒子を形成する組換えプラスミド配列の部分を指す。組換えプラスミドが組換えAAVベクターを構築するか又は製造するために使用される場合に、AAVベクターゲノムは、組換えプラスミドのベクターゲノム配列に対応しない「プラスミド」の部分を含まない。この組換えプラスミドの非ベクターゲノム部分は、「プラスミド骨格」と称され、プラスミド骨格は、プラスミドのクローニング及び増幅、増殖及び組換えウイルス産生のために必要なプロセスのために重要であるが、それ自体はrAAV粒子中にパッケージング又はカプシド形成されない。したがって、ベクター「ゲノム」とは、rAAVによりパッケージングされているか又はカプシド形成された核酸を指す。
【0032】
[0041]「AAVヘルパー機能」とは、AAV由来のコード配列(タンパク質)を指し、そのコード配列は、発現されてAAV遺伝子生成物及びAAVベクターを提供することができて、順送りで、transの形態で増殖性AAV複製及びパッケージングのために自動的に機能する。したがって、AAVヘルパー機能は、主要なAAVオープンリーディングフレーム(ORF)、rep及びcapの両方を含む。rep発現生成物は、とりわけ:DNA複製のAAV起源の認識、結合及びニッキング;DNAヘリカーゼ活性;並びにAAV(又は他の異種)プロモーターからの転写の調整を含む多くの機能を有することが示されている。cap発現生成物(カプシド)は必要なパッケージング機能を供給する。AAVヘルパー機能は、AAVベクターゲノムから消失しているAAV機能をtransの形態で補うために使用される。
【0033】
[0042]「AAVヘルパー構築物」とは、例えば、対象に対する遺伝子療法のために、目的の核酸配列を送達するための形質導入AVVベクターを製造するために使用されるべきAAVベクターから欠失されたAAV機能を提供するヌクレオチド配列を含む核酸配列を一般的に指す。AAVヘルパー構築物は、AAVベクター複製に必要な消失しているAAV機能を補うために、AAVのrep及び/又はcap遺伝子を一過性で発現させるために、通常使用される。ヘルパー構築物は、AAVのITRを一般的に欠いて、それら自体で複製もパッケージングもできない。AAVヘルパー構築物は、プラスミド、ファージ、トランスポゾン、コスミド、ウイルス、又はビリオンの形態にあることができる。幾つかのAAVヘルパー構築物は、Rep及びCap発現生成物の両方をコードするプラスミドpAAV/Ad及びpIM29+45などと記載されている(例えば、Samulskら(1989)J.Virol.63:3822~3828;及びMcCartyら(1991)J.Virol.65:2936~2945を参照されたい)。Rep及び/又はCap発現生成物をコードする多くの他のベクターが記載されている(例えば、米国特許第5,139,941号及び第6,376,237号を参照されたい)。
【0034】
[0043]用語「補助機能」とは、AAVが複製のために依存する、AAVに由来しないウイルスの及び/又は細胞の機能を指す。用語は、AAV遺伝子転写の活性化、ステージ特異的なAAVのmRNAスプライシング、AAVのDNA複製、Cap発現生成物の合成及びAAVカプシドのパッケージングに関与する部分を含むAAV複製で必要とされるタンパク質及びRNAを含む。ウイルスに基づく補助機能は、任意の公知のヘルパーウイルス、例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(1型単純ヘルペスウイルス以外)及びワクシニアウイルスから誘導することができる。
【0035】
[0044]「補助機能ベクター」とは、補助機能を提供するポリヌクレオチド配列を含む核酸分子を一般的に指す。そのような配列は、補助機能ベクター上にあり、適当な宿主細胞にトランスフェクトされ得る。補助機能ベクターは、宿主細胞中によるrAAVビリオン産生を支持することができる。補助機能ベクターは、プラスミド、ファージ、トランスポゾン又はコスミドの形態にあることができる。加えて、全部のアデノウイルス遺伝子は、補助機能のために必要ではない。例えば、DNA複製及び晩発の遺伝子合成ができないアデノウイルス突然変異体は、AAV複製の複製を許容すると報告されている(Itoら、(1970)J.Gen.Virol.9:243;Ishibashiら、(1971)Virology 45:317)。同様に、E2B及びE3領域内の突然変異体は、AAV複製を支持することが示されており、E2B及びE3領域は、補助機能を提供することにおそらく関与しないことが示される(Carterら、(1983)Virology 126:505)。E1領域に欠陥があるか、又はE4領域が欠失しているアデノウイルスは、AAV複製を支持することができない。したがって、E1A及びE4領域は、直接又は間接的のいずれかで、AAV複製のために必要であると思われる(Laughlinら、(1982)J.Virol.41:868;Janikら、(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:1925;Carterら、(1983)Virology 126:505)。他のキャラクタライズされているアデノウイルス突然変異体には:E1B(Laughlinら(1982)、前出;Janikら(1981)、前出;Ostroveら、(1980)Virology 104:502);E2A(Handaら、(1975)J.Gen.Virol.29:239;Straussら、(1976)J.Virol.17:140;Myersら、(1980)J.Virol.35:665;Jayら、(1981)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 78:2927;Myersら、(1981)J.Biol.Chem.256:567);E2B(I CRC Handbook of Parvoviruses(P.Tijssen編、1990)におけるCarter、Adeno-Associated Virus Helper Functions);E3(Carterら(1983)、前出);及びE4(Carterら(1983)、前出;Carter(1995))が含まれる。E1Bコード領域における突然変異を有するアデノウイルスにより提供される補助機能の研究は、相反する結果を生じたが、E1B55kはAAVビリオン産生のために必要である可能性があり、一方、E1B19kは必要ではない(Samulskiら、(1988)J.Virol.62:206~210)。加えて、国際公開第97/17458号及びMatshushitaら、(1998)Gene Therapy 5:938~945には、種々のアデノウイルス遺伝子をコードする補助機能ベクターが記載されている。例示的な補助機能ベクターは、アデノウイルスVA RNAコード領域、アデノウイルスE4 ORF6コード領域、アデノウイルスE2A 72kDコード領域、アデノウイルスE1Aコード領域、及び完全E1B55kコード領域を欠くアデノウイルスE1B領域を含む。そのような補助機能ベクターは、例えば、国際公開第01/83797号に記載されている。
【0036】
[0045]本明細書において使用する用語「血清型」は、他のAAV血清型と血清学的に区別されるカプシドを有するAAVを指して使用される区別である。血清学的特殊性は、あるAAVを別のAAVと比較して抗体間の交差反応性の欠如を根拠に決定される。交差反応性の差は、カプシドタンパク質の配列/抗原決定基における差に通常起因する(例えば、VP1、VP2、及び/又はVP3配列のAAV血清型の差に起因する)。
【0037】
[0046]従来の定義に基づき、血清型は、目的ウイルスが、全ての既存の及びキャラクタライズされた血清型に対して特異的な血清に対して、中和活性について試験されて、目的ウイルスを中和する抗体が見出されなかったことを意味する。より多くの天然に生ずるウイルス単離体が発見されて及び/又はカプシド突然変異体が発生するので、現在存在する血清型のいずれかと血清学的差があることもあり、ないこともある。したがって、新しいウイルス(例えば、AAV)が血清学的差を有しない場合、この新しいウイルス(例えば、AAV)は、対応する血清型のサブグループ又は変異体である。多くの場合、カプシド配列が改変された突然変異体ウイルスについて、血清型の従来の定義による別の血清型のものであるかどうかを決定するために、中和活性についての血清学試験が、さらに実施されなければならない。したがって、便宜上及び繰り返しを避けるために、用語「血清型」とは、血清学的に区別されるウイルス(例えばAAV)並びに所与の血清型のサブグループ又は変異体の内であり得て血清学的に区別されないウイルス(例えば、AAV)の両方を広く指す。
【0038】
[0047]rAAVベクターは、任意のウイルス株又は血清型を含む。非限定的な例として、rAAVプラスミド又はベクターゲノム又は粒子(カプシドタンパク質)は、任意のAAV血清型、例えば、AAV-1、-2、-3、-4、-5、-6、-7、-8、-9、-10、-11などに基づき得る。そのようなベクターは、同じ株又は血清型に基づき得るか(又はサブグループ若しくは変異体)、又は互いに異なることもできる。非限定的な例として、1つの血清型のゲノムに基づくrAAVプラスミド又はベクターゲノム又は粒子(カプシド)は、ベクターをパッケージングするカプシドタンパク質の1種又は複数と同一であることができる。加えて、rAAVプラスミド又はベクターゲノムは、ベクターゲノムをパッケージングするカプシドタンパク質の1種又は複数と区別されるAAV(例えば、AAV2)の血清型ゲノムに基づき得、その場合、3種のカプシドタンパク質のうちの少なくとも1種が、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、又はそれらの変異体であることができる。rAAVベクターは、それゆえに、特定の血清型、並びに混合血清型に対して特徴的な遺伝子/タンパク質配列と同一の遺伝子/タンパク質配列を含む。
【0039】
[0048]種々の例示的な実施形態では、rAAVベクターは、1種又は複数のAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、又はAAV11のカプシドタンパク質と少なくとも70%以上(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%等)同一のカプシド配列を含むか又はそれらからなる。種々の例示的な実施形態では、rAAVベクターは、1種又は複数のAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、又はAAV11の逆位末端反復(ITR)と少なくとも70%以上(例えば、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%等)同一の配列を含むか又はそれらからなる。
【0040】
[0049]rAAV、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、及びAAV11、並びに変異体、ハイブリッド及びキメラ配列は、当業者に公知の組換え技法を使用して、1種又は複数の機能的AAVのITR配列が隣接する異種ポリヌクレオチド(例えば、Rep-1又はRep-2配列)を含むように構築することができる。そのようなベクターは、全体又は一部が欠失した野生型のAAV遺伝子の1種又は複数を有するが、rAAVベクター粒子中に組換えベクターをレスキュー、複製、及びパッケージングするために必要なので、少なくとも1種の機能的な隣接して存在するITR配列(複数可)を保持する。rAAVベクターゲノムは、それゆえに、複製及びパッケージングのために必要な配列(例えば、機能的ITR配列)を、cisの形態で含む。
【0041】
[0050]rAAVビリオンを発生させるための方法は、当技術分野で公知である。例えば、AAVベクター及びAAVヘルパー配列を、AAVヘルパーウイルス(例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、又はワクシニアウイルス)との共感染と併せて使用するトランスフェクション、又は組換えAAVベクター、AAVヘルパーベクター、及び補助機能ベクターを用いるトランスフェクションが挙げられる。rAAVビリオンを発生させるための方法は、例えば、米国特許第6,001,650号及び第6,004,797号に記載されているが、これらに限定されない。組換えrAAVベクターの産生(即ち、細胞培養系におけるベクターの発生)の後、rAAVビリオンが宿主細胞及び細胞培養上清から得られ、任意選択で精製され得る。
【0042】
[0051]用語「核酸」及び「ポリヌクレオチド」は、本明細書では、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を含む核酸、オリゴヌクレオチドの全て形態を指して互換的に使用される。核酸は、ゲノムDNA、cDNA及びアンチセンスDNA、及びスプライスされた又はスプライスされていないmRNA、rRNA、tRNA及び阻害DNA又はRNA(RNAi、例えば、小さい若しくは短いヘアピン(sh)RNA、ミクロRNA(miRNA)、小さい若しくは短い干渉(si)RNA、trans-スプライシングRNA、又はアンチセンスRNA)を含む。核酸は、天然に生ずる、合成の、及び意図的に改変された又は変えられたポリヌクレオチドを含む。核酸は、一重、二重、又は三重、直鎖状又は環状であることができ、任意の長さのものであることができる。核酸を論ずる際に、本明細書では、特定のポリヌクレオチドの配列又は構造は、5’から3’方向で配列を提供する慣行に従って記載されることがある。
【0043】
[0052]「宿主細胞」とは、AAVベクターのプラスミド、AAVヘルパー構造体、補助機能ベクター、又は他の転移DNAのレシピエントとして使用され得るか又は使用された、例えば、微生物、酵母細胞、昆虫細胞、及び哺乳動物の細胞を指す。用語は、トランスフェクトされた元の細胞の子孫を含む。したがって、「宿主細胞」とは、外来性DNA配列をトランスフェクトされた細胞を一般的に指す。単一の親細胞の子孫は、自然の、偶発性の、又は故意の突然変異に起因して、形態又はゲノム又は全DNAの相補体が、元の親と必ずしも完全に同一でなくてもよいと理解される。例示的な宿主細胞は、HEK293細胞などのヒト胚腎臓(HEK)細胞を含む。
【0044】
[0053]「形質導入された細胞」は、導入遺伝子(例えば、CHM又はCHM様配列)が導入されている細胞である。したがって、「形質導入された」細胞は、外来性分子、例えば、核酸(例えば、導入遺伝子)の細胞中への組み込み後の細胞における遺伝的変化を意味する。「形質導入された」はそれらの子孫も含む。細胞(複数可)は、増殖する(培養する)ことができ、細胞により、導入されたタンパク質(例えば、Rep-1又はRep-2タンパク質)が発現され、又はrAAVなどのベクターが産生される。培養細胞の場合、染色体中に挿入された異種核酸配列などの核酸配列、又はプラスミド若しくはベクターは、複数の細胞継代の過程にわたり維持され得る。
【0045】
[0054]「細胞株」とは、インビトロの適当な培養条件下で連続した又は長期の成長及び分裂が可能な細胞の集団を指す。細胞株は、単一の前駆細胞に由来するクローンの集団であり得るが、そうである必要はない。細胞株では、自発的な又は誘導された変化が、そのようなクローンの集団の貯蔵又は移動中、並びに組織培養における長期の継代中に核型で起こり得る。したがって、細胞株に由来する子孫細胞は、祖先細胞又は培養物と厳密には同一でないこともある。本発明の活性方法に適用可能な例示的な細胞株はHEK-LRAT細胞などのHEK293である。
【0046】
[0055]「発現制御要素」とは、作動可能に連結した核酸の発現に影響する核酸配列(複数可)を指す。制御要素は、本明細書で説明されるプロモーター及びエンハンサーなどの発現制御要素を含む。rAAVベクターは1種又は複数の「発現制御要素」を含むことができる。典型的には、そのような要素が含まれて、適当な異種ポリヌクレオチドの転写及び適当ならば翻訳を容易にする(例えば、プロモーター、エンハンサー、イントロンのためのスプライシングシグナル、mRNAのフレーム内翻訳を可能にする遺伝子の正確な読み取りフレームの維持、及び停止コドン等)。そのような要素は、典型的には、cisの形態で作用して、「cis作用性」要素と称されるが、transの形態で作用することもある。
【0047】
[0056]発現制御は、転写、翻訳、スプライシング、メッセージの安定性等のレベルで影響され得る。典型的には、転写を調整する発現制御要素は、転写される核酸の5’末端付近(即ち、「上流」)に並置される。発現制御要素は、転写される配列の3’末端(即ち、「下流」)に又は転写物内(例えば、イントロン中)に配置することもできる。発現制御要素は、転写される配列に隣接して、又は距離をおいて(例えば、ポリヌクレオチドから1~10、10~25、25~50、50~100、100~500、又はそれを超えるヌクレオチド)、かなりの距離でも配置され得る。それにも拘わらず、rAAVベクターの長さの制限があるので、発現制御要素は、典型的には、転写される核酸から1~1000ヌクレオチド以内である。
【0048】
[0057]機能的に、作動可能に連結した核酸の発現は、要素(例えば、プロモーター)により少なくとも部分的に制御可能であり、その結果、要素が核酸の転写及び、適当な場合には、転写物の翻訳を調整する。発現制御要素の具体的な例は、プロモーターであり、プロモーターは転写される配列の5’に通常位置する。プロモーターは、典型的には、作動可能に連結した核酸から発現される量を、プロモーターが存在しない場合に発現される量と比較して増大させる。
【0049】
[0058]本明細書において使用する「エンハンサー」は、選択可能なマーカーなどの核酸配列又は異種核酸配列に隣接して位置する配列を指すことができる。エンハンサー要素は、典型的には、プロモーター要素の上流に位置するが、機能しもする、そして配列の下流又は配列内部に位置することもできる。それゆえに、エンハンサー要素は、上流でも下流でも、例えば、選択可能なマーカー、及び/又は治療用タンパク質若しくはポリヌクレオチド配列をコードする異種核酸の100塩基対、200塩基対、又は300以上の塩基対以内に位置することができる。エンハンサー要素は、典型的には、作動可能に連結した核酸の発現を、プロモーター要素により生ずる発現を超えて増大させる。
【0050】
[0059]用語「作動可能に連結した」は、核酸配列の発現に必要な調節配列が、核酸配列の発現に効果をもたらすように、配列に対して適当な位置に置かれることを意味する。この同じ定義が、時には、発現ベクター、例えば、rAAVベクターにおける核酸配列及び転写制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、及び停止要素)の配置に適用される。
【0051】
[0060]核酸と作動可能に連結している発現制御要素の例では、関係は、制御要素が核酸の発現を調整するようになっている。より詳細には、例えば、作動可能に連結した2つのDNA配列は、2つのDNAがDNA配列の少なくとも1つが他の配列に対して生理学的効果を及ぼすことができる、そのような関係で配置されている(cis又はtrans)ことを意味する。
【0052】
[0061]したがって、ベクターのための追加要素は、AAVのITR配列、又はイントロンの1つ又は複数のコピーなどの配列に隣接して存在する、発現制御要素(例えば、プロモーター/エンハンサー)、転写停止シグナル又は停止コドン、5’又は3’の非翻訳領域(例えば、ポリアデニル化(polyA)配列)を含むが、これらに限定されない。
【0053】
[0062]さらなる要素は、例えば、パッケージングを改善し、混入核酸の存在を減少させるための、例えば、フィラー又はスタッファーのポリヌクレオチド配列を含む。AAVベクターは、典型的には、一般的に約4kb~約5.2kb、又は僅かにそれを超えるサイズ範囲を有するDNAの挿入を受け入れる。したがって、より短い配列に対して、rAAV粒子中へのベクターのパッケージングのために許容されるウイルスゲノム配列の正常サイズ近くに又は正常サイズに、長さを調節するために、スタッファー又はフィラーが含まれる。種々の実施形態では、フィラー/スタッファーの核酸配列は、核酸の非翻訳(非タンパク質コード)セグメントである。4.7Kb未満の核酸配列に対して、フィラー又はスタッファーのポリヌクレオチド配列は、配列と組み合わされたときに(例えば、ベクター中に挿入)、約3.0~5.5Kbの間、又は約4.0~5.0Kbの間、又は約4.3~4.8Kbの間の全長を有する長さを有する。
【0054】
[0063]特に断りのない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解される同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様な又は等価の方法及び材料が、本発明の実行又は試験で使用され得るが、適当な方法及び材料が本明細書に記載されている。
【0055】
[0064]本明細書に挙げた全ての特許出願、出版物、特許及び他の参考文献、GenBankの引用及びATCCの引用は、参照によりそれらの全体で組み込まれる。相容れない場合には、定義を含む本明細書が優先する。
【0056】
[0065]本明細書で開示された特徴の全ては、任意の組合せで組み合わされてもよい。本明細書で開示された各特徴は、同じ、等価の、又は同様な目的に役立つ代替的特徴により置き換えることもできる。したがって、別段明確に述べられていない限り、開示された特徴(例えば、CHM又はCHM様配列、ベクター、rAAVベクター等)は、等価の又は同様な特徴の部類の例である。
【0057】
[0066]本明細書において使用する、単数形「ある(a)」、「ある(an)」、及び「その(the)」は、文脈上別段明確に示されていない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「あるAAVベクター」、又は「AAV粒子」への言及は、複数のそのようなAAVベクター及びAAV粒子を含み、「ある細胞(a cell)」又は「宿主細胞(host cell)」への言及は、複数の細胞及び宿主細胞を含む。
【0058】
[0067]本明細書において使用する用語「約」は、基準値の10%(プラス又はマイナス)以内にある値を意味する。
【0059】
[0068]本明細書において使用する、全て数値又は数の範囲は、前後関係で他のように明確に示されない限り、そのような範囲内の整数及び範囲内の値の端数又は整数を含む。したがって、例示すると、80%以上の同一性への言及は、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%等、並びに81.1%、81.2%、81.3%、81.4%、81.5%等、82.1%、82.2%、82.3%、82.4%、82.5%等を含む。
【0060】
[0069]超又は未満を伴う整数への言及は、言及された数を超えるか又は未満の任意の数をそれぞれ含む。したがって、例えば、100未満への言及は、99、98、97等、ずっと下がって数1までの全てを含み;10未満は、9、8、7等、ずっと下がって数1までの全てを含む。
【0061】
[0070]本明細書において使用する、全て数値又は範囲は包括的である。さらに、全ての数値又は範囲は、文脈上別段明確に示されていない限り、そのような範囲内の値の端数及び整数、並びにそのような範囲内の整数の端数を含む。したがって、例示すると、1~10などの数の範囲への言及は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、並びに1.1、1.2、1.3、1.4、1.5等を含む。それゆえに、1~50の範囲への言及は、50を含め50までを含み、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20等、並びに1.1、1.2、1.3、1.4、1.5等、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5等(以下同様)を含む。
【0062】
[0071]一連の範囲への言及は、その一連の範囲内の異なる範囲の境界の値を組み合わせる範囲を含む。したがって、例示すると、一連の範囲、例えば、1~10、10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~75、75~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~400、400~500、500~750、750~1,000、1,000~1,500、1,500~2,000、2,000~2,500、2,500~3,000、3,000~3,500、3,500~4,000、4,000~4,500、4,500~5,000、5,500~6,000、6,000~7,000、7,000~8,000、又は8,000~9,000への言及は、10~50、50~100、100~1,000、1,000~3,000、2,000~4,000等の範囲を含む。
【0063】
[0072]本発明は、本明細書で肯定的言語を使用して一般的に開示され、多数の実施形態及び態様が説明されている。本発明は、物質若しくは材料、方法ステップ及び条件、プロトコール、又は手順などの特定の対象事物が全部又は一部除外される実施形態も特定して含む。例えば、本発明のある実施形態又は態様では、材料及び/又は方法ステップが除外される。したがって、本発明が含まないことに関して、たとえ本発明が本明細書で一般的に表現されていなくても、それにも拘わらず、本発明で明白に除外されていない態様が、本明細書で開示されている。
【0064】
[0073]本発明の幾つかの実施形態が記載されている。それにも拘わらず、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の種々の変更及び改変を行って、本発明を種々の用途及び条件に適合させることができる。したがって、以下の例は、例示することを意図するが、特許請求された本発明の範囲を限定することは意図しない。
【実施例0065】
実施例1
[0074]簡単なウェスタンアッセイは、適切化された定量的アッセイの例である(WES)。再現性、定量、結果までの時間及び全データの信頼性に影響する使用される手動のプロセスの変動性は排除される。
【0066】
[0075]試料のロード、サイズに基づくタンパク質分離、イムノプロービング又は全タンパク質標識、洗浄、検出及びデータ分析を含む全てのアッセイステップは自動的に実施される。2kDaのように小さい又は440kDaのように大きいタンパク質の分離及び検出を、僅か3時間で実施することができる。
【0067】
[0076]試料のデータは、アッセイが完了すると直ちに画像のような可視的ブロットでレーンにより示される。分子量などの定量的結果は、シグナル強度(面積)、面積%で、及び免疫的に検出された各タンパク質についてのシグナル対ノイズ比は、結果の表で自動的に提示される。
【0068】
[0077]図4で例示されるように、40nLのように少量の試験細胞ライセートをWES装置にロードする。タンパク質は、それらがスタッキング及び分離マトリックスを通して移送するにつれてサイズにより自動的に分離される。分離されたタンパク質は、次に、光で活性化された捕捉化学反応により毛細管壁に固定化される。標的REP-1タンパク質は、一次抗体を使用して同定し、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)-コンジュゲート二次抗体を使用して検出する。ビオチニル化Rabは、ストレプトアビジン-HRPを使用して化学発光により、検出される。生じる化学発光シグナルを検出して定量する。
【0069】
実施例2
[0078]ビオチン組み込みは、DyLight800を用いてストレプトアビジンコンジュゲートを使用することにより分析した。REP-1発現は、一次抗REP1-抗体、クローン2F1(MABN52)、及びDyLight680とコンジュゲートさせた二次ヤギ抗マウスIgG(H+L)抗体を用いて検出した。プレニル化されていないRabだけが、インビトロプレニル化アッセイで標識されて、分子量約20~25kDaのバンドとして可視化された。イムノブロットをOdyssey赤外撮像装置(LiCOR)を使用して走査した。
【0070】
[0079]内因性REP-1の微かなバンド(約75~80kDa、REP1矢印)が、未処理及び非形質導入HEK293細胞のコンパクチンで処理されたライセートで検出された(図5A、レーン1、3、及び5)。REP1発現のレベルは、ニワトリ-ベータアクチン(CBA)プロモーターの制御下で、Rabエスコートタンパク質-1(REP-1)をコードする試験CHM遺伝子を担持するAAV2ベクター(AAV2-CHMベクター)を形質導入されたHEK293細胞で有意に高かった(図5A、レーン2、4、及び6)。プレニル化されていないRab(他の矢印により示される)は、Rabエスコートタンパク質-1(REP-1)をコードする試験CHM遺伝子を担持するAAV2ベクターを形質導入されていないか(図5A、レーン5)、形質導入されて(図5A、レーン6)コンパクチン処理された細胞で明瞭に観察された。プレニル化における差が、コンパクチン処置されていないHEK293細胞では観察されなかった(図5A、レーン1及び2)。陰性対照については、インビトロでプレニル化されたRabが観察された(図5B)。
【0071】
[0080]同じプレニル化アッセイを、フィーダー細胞上で増殖したiPSC-CHMpos、iPSC-CHMneg細胞で、及びフィーダー細胞なしのiPSC-CHMneg細胞で実施した。
【0072】
[0081]図6A、レーン1、3及び5は、非形質導入細胞からの細胞ライセートを表す。
【0073】
[0082]図6A、レーン2、4及び6は、Rabエスコートタンパク質-1(REP-1)をコードするCHM発現カセットを担持する100,000vg/細胞のAAV2ベクターを形質導入された細胞由来のライセートを表す。
【0074】
[0083]REP1に対応する約75~80kDaのバンド(REP1、矢印)は、非形質導入iPSC-CHMpos細胞(図6A、レーン1)及び形質導入されたiPSC-CHMpos細胞(図6A、レーン2)で明確に可視化されている。REP-1発現は、非形質導入iPSC-CHMneg細胞では検出可能でない(図6A、レーン3及び5)が、REP-1をコードするCHM発現カセットを担持するAAV2ベクターを形質導入されたiPSC-CHMneg細胞で観察することができる(図6A、レーン4及び6)。プレニル化されていないRab(矢印)のレベルは、Rabエスコートタンパク質(REP-1)をコードするCHM発現カセットを担持するAAV2ベクターを形質導入されたiPSC-CHMneg細胞で低下している(図6A、レーン4及び6)。陰性対照については、インビトロでプレニル化されたRabが観察された(図6B)。
【0075】
実施例3
[0084]RPE細胞中のRep-1及びRabタンパク質について本明細書で例示したプレニル化の力価アッセイは、RPE及び他のタイプの細胞において、プレニル化プロセスで決定的に重要な他のタンパク質(例えばRep-2)、又はプレニル化のための主要な基質(記載された約70種のRabタンパク質)についても使用することができる。例えば、網膜における他の対応する遺伝子の突然変異が、コーン-ロッドジストロフィー(CRD)、先天性停止性夜盲症(CSNB)、ジュベール症候群(JS)、レーバー先天性黒内障(LCA)、メバロン酸キナーゼ欠損症(MKD)、網膜疾患(RD)及び網膜色素変性症(RP)の原因となることが発見された。
【0076】
【表1】
【0077】
〔関連出願の情報〕
[0001]本出願は、2016年11月6日出願の米国特許仮出願第62/418,637号に対する優先権を主張する。前述の出願の全内容は、本文、表、配列表及び図面の全てを含めて参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
【外国語明細書】