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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043109
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】液体アッセイの複数順次波長測定
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/78 20060101AFI20220308BHJP
   G01N 21/82 20060101ALI20220308BHJP
   G01N 21/13 20060101ALI20220308BHJP
   G01N 21/27 20060101ALI20220308BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20220308BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
G01N21/78 Z
G01N21/82
G01N21/13
G01N21/27 Z
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021196613
(22)【出願日】2021-12-03
(62)【分割の表示】P 2019526502の分割
【原出願日】2017-11-02
(31)【優先権主張番号】62/424,110
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ジャックス・ブルーネル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ポイントオブケアの場所で使用される分析器の精度を改善する。
【解決手段】分析器の測定システムでは、液体アッセイの複数の吸収読み取り値が試料光検出器92、参照光検出器94によって、少なくとも2つの別個で独立した波長範囲内のそれぞれの第1および第2の波長を有する複数の光源90a、90b、90cを使用して得られ、吸収読み取り値のそれぞれは別個の時点に取得される。分析器を作製および使用する方法を提供する。少なくとも1つのプロセッサおよび液体アッセイの較正情報を使用して、液体アッセイ中の少なくとも1つの分析物の量が、複数の吸収読み取り値を用いて決定される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析器であって:
液体試験試料・試薬混合物を含む試験カートリッジを受けるようにサイズ設定され構成された試験カートリッジスペースを取り囲むハウジングと;
該ハウジングによって支持され、試験カートリッジスペースを通過する光の第1のビームを生成する第1の光源であって、光の第1のビームは第1の波長範囲内の第1の波長を有する、第1の光源と;
ハウジングによって支持され、試験カートリッジスペースを通過する光の第2のビームを生成する第2の光源であって、光の第2のビームは第1の波長範囲と異なる第2の波長範囲内の第2の波長を有する、第2の光源と;
ハウジングによって支持され、第1および光の第2のビームを第1および光の第2のビームが試験カートリッジスペースを通過した後に受けるように位置する試料検出器と;
コンピュータシステムであって:
第1の時点に試料検出器によって捕捉された光を示す第1の信号、および第1の時点と異なる第2の時点に試料検出器によって捕捉された放射を示す第2の信号を受けるように、かつ第1の信号および第2の信号を使用して液体試験試料・試薬混合物中の分析物の量を決定するように構成されたプロセッサ
を有するコンピュータシステムとを含む、前記分析器。
【請求項2】
第1の波長範囲は580nmから660nmまでである、請求項1に記載の分析器。
【請求項3】
第2の波長範囲は660nmから790nmまでである、請求項1または2のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項4】
第2の波長範囲は700nmから740nmまでである、請求項1または2のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項5】
ハウジングによって支持され、試験カートリッジスペースを通過する光の第3のビームを生成する第3の光源であって、光の第3のビームは第1および第2の波長範囲と異なる第3の波長範囲を有する、第3の光源をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項6】
第3の波長範囲は480nmから580nmまでである、請求項5に記載の分析器。
【請求項7】
第1の光源および第2の光源は、光の第1のビームおよび光の第2のビームを生成し出力する能力を有する単一の光源である、請求項1~6のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項8】
第1の光源と第2の光源が分離している、請求項1~6のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項9】
第1の波長範囲は480nmから580nmである、請求項1、3~5および7~8のいずれか1項に記載の分析器。
【請求項10】
方法であって:
液体アッセイの複数の吸収読み取り値を光検出器によって、少なくとも2つの別個で独立した波長範囲内のそれぞれの第1および第2の波長を有する複数の光源を使用して得ることであって、吸収読み取り値のそれぞれは別個の時点に取得されること;
少なくとも1つのプロセッサおよび液体アッセイの較正情報を使用して、液体アッセイ中の少なくとも1つの分析物の量を、複数の吸収読み取り値を用いて決定することを含む
、前記方法。
【請求項11】
液体アッセイの複数の吸収読み取り値を得る前に、液体アッセイを動かして液体アッセイ中の試薬を液体試験試料と混合することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
対象の少なくとも1つの分析物はヘモグロビンである、請求項10~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
対象の少なくとも1つの分析物はヘモグロビンA1cである、請求項10~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
対象の少なくとも1つの分析物はアルブミンを含む、請求項10~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
対象の少なくとも1つの分析物はクレアチニンを含む、請求項10~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
複数の光源は、第1の波長範囲内の第1の波長および第2の波長範囲内の第2の波長を生成および出力する能力を有する単一の光源であり、第1および第2の波長範囲は2つの別個で独立した波長範囲である、請求項10~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
複数の光源は分離している、請求項10~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
方法であって:
複数の光源を光源スペース内に取り付けることを含み、光源の一方は、第1の波長範囲内の第1の光の波長を生成および出力する第1の能力を有し、光源のもう一方は、第2の波長範囲内の第2の光の波長を生成および出力する第2の能力を有し、ここで、第1および第2の波長範囲は別個で独立している波長範囲であり、光源は、光源で生成された光ビームが、液体アッセイを含む試験カートリッジを受けるようにサイズ設定され寸法設定された試験カートリッジスペース内を通過するように取り付けられ;さらに、
試料光検出器を試料光検出器スペース内に、試料光検出器が光源によって生成された光の少なくとも一部分を、光ビームが試験カートリッジスペース内を通過した後に受けるべく構成されるように取り付けること;および、
光源および試料光検出器を、コンピュータ実行可能な論理を有する主プロセッサに連結することを含み、この論理は、主プロセッサによって実行されると、主プロセッサに、試料光検出器によって液体アッセイの複数の吸収読み取り値を取得させ、それぞれの吸収読み取り値は別個の時点に取得され、液体アッセイ中の少なくとも1つの分析物の量を、液体アッセイの較正情報および複数の吸収読み取り値を使用して決定させる、前記方法。
【請求項19】
主プロセッサはコンピュータ実行可能な論理を有し、この論理は、主プロセッサによって実行されると、主プロセッサに、液体アッセイの複数の吸収読み取り値を得る前に、液体アッセイを動かして液体アッセイ中の試薬を液体試験試料と混合させる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
複数の光源は、2つの別個で独立した波長範囲を生成および出力する能力を有する単一の光源である、請求項18~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
複数の光源は分離している、請求項18~19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
参照による組み込み
本特許出願は、2016年9月18日に出願された「MULTIPLE SEQUENTIAL WAVELENGTH MEASUREMENT OF A LIQUID ASSAY」という名称の米国特許仮出願第62/424,110号の優先権を主張し、同仮出願を参照により組み入れる。
【0002】
本開示および特許請求された発明概念は、少なくとも2つの別個で独立した波長範囲を使用して液体アッセイを監視および/または読み取る分析器に関する。
【背景技術】
【0003】
患者の診断および治療に関連する様々なタイプの分析試験が、患者の感染部、体液または膿傷から採取された液体試料を分析することによって行われる。このようなデバイスは、それだけには限らないが、ヘモグロビン、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、微量アルブミンおよびクレアチニン、ならびにコレステロール、トリグリセリド、および/または高密度リポタンパク質などの脂質ベースの分析物を含む、患者の健康を表す特定の分析物の存在および量を検出する診断アッセイに有効であることが実証されている。これらのアッセイは通常、患者の試料を含む管またはバイアルが装填された自動臨床分析器によって行われる。分析器は、バイアルから液体試料を取り出し、その試料を特殊な反応キュベットまたは管の中で様々な試薬と組み合わせる。ポイントオブケア分析器もまた、液体試料を分析するために使用される。ポイントオブケア分析器は、一般に医師の診察室に設置され、医師および/または医師のスタッフが液体試料をすぐに入手および分析することを可能にする。ポイントオブケア分析器では、液体試料は、ポイントオブケア分析器に入っているカートリッジの中に、通常は手作業で装填されてから分析される。
【0004】
自動臨床分析器については、試料・試薬溶液は通常、分析される前にインキュベートされるか、別に処理される。
【0005】
自動臨床分析器およびポイントオブケア分析器では、分析測定は、試料・試薬の組み合わせと相互に作用して比濁法、蛍光分析、吸収読み取り値などを生成する調査照射のビームを使用して行われることが多い。この読み取り値により、エンドポイントまたは速度の値を決定することが可能になり、この値から、周知の較正技法を用いて、患者の健康に関連した分析物の量が決定される。上述のように、このような光学検査機は個々の医師、看護師および他の介護者に、強力な医用診断ツールを提供する。
【0006】
ポイントオブケアの場所で使用される分析器は、DCA VANTAGEという商品名でSiemens Healthcare Diagnosticsから販売されてきた。この分析器では、531nmの単一波長に制限された光を用いてアッセイを分析した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、DCA VANTAGE分析器などの分析器の精度は改善できることが判明した。本開示が対象とするのは、このような分析器の改善である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態で分析器が説明される。これらの実施形態では、分析器は、ハウジング、第1の光源、第2の光源、試料検出器、およびコンピュータシステムを備える。ハ
ウジングは、液体試験試料・試薬混合物を含む試験カートリッジを受けるようにサイズ設定され構成された試験カートリッジスペースを取り囲む。第1の光源はハウジングによって支持され、試験カートリッジスペースを通過する光の第1のビームを生成し、光の第1のビームは第1の波長範囲内の第1の波長を有する。第2の光源はハウジングによって支持され、試験カートリッジスペースを通過する光の第2のビームを生成し、光の第2のビームは第1の波長範囲と異なる第2の波長範囲内の第2の波長を有する。試料検出器はハウジングによって支持され、第1および光の第2のビームを第1および光の第2のビームが試験カートリッジスペースを通過した後に受けるように位置する。コンピュータシステムは、第1の時点に試料検出器によって捕捉された光を示す第1の信号、および第1の時点と異なる第2の時点に試料検出器によって捕捉された放射を示す第2の信号を受けるように、かつ第1の信号および第2の信号を使用して液体試験試料・試薬混合物中の分析物の量を決定するように構成されたプロセッサを有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、液体アッセイの複数の吸収読み取り値が光検出器によって、少なくとも2つの別個で独立した波長範囲内のそれぞれの第1および第2の波長を有する複数の光源を使用して得られ、吸収読み取り値のそれぞれは別個の時点に取得される。少なくとも1つのプロセッサおよび液体アッセイの較正情報を使用して、液体アッセイ中の少なくとも1つの分析物の量が、複数の吸収読み取り値を用いて決定される。
【0010】
いくつかの実施形態では、複数の光源が光源スペース内に取り付けられる。光源の一方は、第1の波長範囲内の第1の光の波長を生成および出力する第1の能力を有し、光源のもう一方は、第2の波長範囲内の第2の光の波長を生成および出力する第2の能力を有し、ここで、第1および第2の波長範囲は別個で独立している波長範囲である。複数の光源は、光源で生成された光ビームが、液体アッセイを含む試験カートリッジを受けるようにサイズ設定され寸法設定された試験カートリッジスペース内を通過するように取り付けられる。試料光検出器が試料光検出器スペース内に、試料光検出器が光源によって生成された光の少なくとも一部分を、光ビームが試験カートリッジスペース内を通過した後に受けるべく構成されるように、取り付ける。これらの実施形態では、光源および試料光検出器は、コンピュータ実行可能な論理を有する主プロセッサに連結され、この論理は、主プロセッサによって実行されると、主プロセッサに、試料光検出器によって液体アッセイの複数の吸収読み取り値を取得させ、それぞれの吸収読み取り値は別個の時点に取得され、液体アッセイ中の少なくとも1つの分析物の量を、液体アッセイの較正情報および複数の吸収読み取り値を使用して決定させる。
【0011】
本開示、およびその付随的な利点の多くについてのより完全な理解が、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて参照することによって、より容易に得られよう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】試料中の対照の1つまたはそれ以上の分析物の量をより正確に測定するための、本開示により構築された例示的なポイントオブケア分析器の斜視図である。
図2図1に示されたポイントオブケア分析器と共に使用するための例示的な試験カートリッジの側面立面図である。
図3図1の分析器の1つの実施形態のブロック図である。
図4図1および図3の分析器の例示的な測定システムのブロック図である。
図5図1に示された分析器の中に図2の試験カートリッジを保持および支持するための例示的なカートリッジホルダの平面図である。
図6】分析器内の光源、カートリッジホルダ、試験カートリッジおよび光検出器の例示的な位置を示す、分析器の測定システムの一バージョンの部分断面図である。
図7】試料中のヘモグロビンの存在を検出するように設計された試料・ヘモグロビン試薬混合物の吸光度曲線を示すグラフである。
図8】試料中のヘモグロビンA1cの存在を検出するように設計された試料・ヘモグロビンA1c試薬混合物の吸光度曲線を示すグラフである。
図9】本開示の発明概念に従って、対象の複数分析物の存在について液体試験試料を分析する例示的なシーケンスを示す例示的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明概念の少なくとも1つの実施形態を例示的な図面および検査法によって詳細に説明する前に、本発明概念はその適用が、以下の説明で述べられ、または図面に示される構成要素の構築および配置の細部に限定されないことを理解されたい。本発明概念は、他の実施形態が可能であり、あるいは様々に実践または実行することができる。このようなものとして、本明細書で用いられる言葉は、最も広く可能な範囲および意味を与えるものであり;また実施形態は例示的なものであり、網羅的なものではない。また、本明細書で用いられる用語および術語は、説明を目的としており、限定するものとみなされるべきではないことも理解されたい。
【0014】
本明細書で特に別の定義がない限り、本開示および特許請求された発明概念に関連して使用される科学的および技法的用語は、当業者に一般に理解されている意味を有するものとする。さらに、文脈で特に別の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。上述の技法および手順は、当技術分野でよく知られた、また本明細書全体を通じて引用され論じられている様々な一般的およびより詳細な参照文献に記載された、従来の方法に従って一般的に実行される。本明細書に記載の分析化学、有機合成化学、および医薬品・製薬化学との関連で利用される専門語、ならびにこれらの検査法および技法は、当技術分野でよく知られている、かつ一般に使用されるものである。
【0015】
本明細書で言及されたすべての特許、公開特許出願、および非特許文献は、本開示および特許請求された発明概念が関係する技術分野の当業者の技術レベルを表す。本明細書のいずれかの部分で参照されたすべての特許、公開特許出願、および非特許文献は、あたかも各個別の特許または公報が参照により組み込まれるものと明確かつ個別に示されたのと同じ範囲まで、その全体が参照により明示的に組み込まれる。
【0016】
本明細書で開示および特許請求されたデバイス、キット、および/または方法のすべては、必要以上の実験なしで本開示に照らして作製および実行することができる。本開示および特許請求された発明概念のデバイスおよび方法は、好ましい実施形態に関して説明されているが、当業者には、変形形態が本明細書に記載の構成物および/または方法に、ならびに方法のステップまたはステップの一続きに、本開示および特許請求された発明概念の概念、趣旨および範囲から逸脱することなく適用されてよいことが明らかであろう。すべてのこのような同様の、当業者には明らかな置き換えおよび修正は、添付の特許請求の範囲に定義された発明概念の趣旨、範囲および概念の内にあると考えられる。
【0017】
本開示よって使用されるとき、以下の用語は、特に別の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるものである:
【0018】
語「1つの(a)」または「1つの(an)」の使用は、特許請求の範囲および/または
明細書において用語「含む(comprising)」と一緒に使用される場合、「1つの(one)
」を意味し得るが、「1つまたはそれ以上の」、「少なくとも1つの」、および「1つまたは1つより多い」の意味とも調和する。単数形「1つの」、「1つの」および「その(the)」は、特に文脈で別の明示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、たと
えば「1つのプロセッサ」を指すことが、1つもしくはそれ以上の、2つもしくはそれ以上の、3つもしくはそれ以上の、4つもしくはそれ以上の、またはさらに多い数のプロセ
ッサを指すこともある。用語「複数」は「2つまたはそれ以上」を指す。特許請求の範囲における用語「または(or)」の使用は、代替物だけを指すことが明示されていない限り、または代替物が互いに排他的ではない限り、「および/または」を意味するように使用されるが、本開示では、代替物および「および/または」だけを指す定義を支持する。本出願全体を通して用語「約」は、ある値がデバイス、その値を決定するために使用される方法、の誤差の固有の変化量、または研究課題の間に存在する変化量を含むことを示すために使用される。たとえば限定ではないが、用語「約」が使用される場合、示された値は、指定された値から±20%、または±10%、または±5%、または±1%、または±0.1%だけ変化する可能性がある。というのはこのような変化量が、開示された方法を実施するのに妥当であるからであり、また当業者に理解されているからである。用語「少なくとも1つ」は、1つならびに、それだけには限らないが、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100などを含む任意の1つより多い量を含むと理解されたい。用語「少なくとも1つ」は、それが付けられる用語に応じて、100または1000以上にまで及ぶことがあり;加えて、100/1000の量は、より高い限界もまた満足の行く結果を生む可能性があるので、限定するものとみなされるべきではない。加えて、用語「X、YおよびZのうちの少なくとも1つ」の使用は、Xだけ、Yだけ、およびZだけ、ならびにX、YおよびZの任意の組み合わせを含むものと理解されたい。序数術語(すなわち、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」など)は、単に2つ以上の品目を区別することを目的とし、たとえば、1つの品目の、他のものに対する順序もしくは順番もしくは重要度、または追加の何かの順番を示唆するものではない。
【0019】
本明細書および特許請求の範囲で使用される、用語「含む(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」など、任意の形の含む)、「有する
(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」など、任意の形の
有する)、「含む(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)」など、任意の形の含む)、または「含む(containing)」(ならびに「含む(contains)」および「含む(contain)」など、任意の形の含む)は、包括的または開放的な
ものであり、追加、未列挙の要素または方法ステップを排除しない。
【0020】
本明細書で使用される用語「またはこれらの組み合わせ」は、この用語に先行する列挙品目のすべての順列および組み合わせを指す。たとえば、「A、B、Cまたはこれらの組み合わせ」とは:A、B、C、AB、AC、BC、またはABCのうちの、また特定の文脈で順番が重要である場合には、さらにBA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABのうちの、少なくとも1つを含むものである。この例に続いて、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなど、1つまたはそれ以上の品目の繰り返しを含む組み合わせが明確に含まれる。当業者には、特に文脈から別の明示がない限り、任意の組み合わせの品目または用語の数には一般に限界がないことが理解されよう。
【0021】
本明細書で使用される、用語「実質的に」は、その後に記述される事象または状況が完全に生じること、またはその後に記述される事象または状況が大部分または大いに生じることを意味する。たとえば、用語「実質的に」は、その後に記述される事象または状況が、時間の少なくとも90%で、または時間の少なくとも95%で、または時間の少なくとも98%で生じることを意味する。
【0022】
本明細書で使用される語句「と結合された」は、2つの部分の互いの直接的な結合、ならびに2つの部分の互いの間接的な結合の両方を含む。結合の非限定的な例には、直接結合によるかスペーサ基を介した一方の部分ともう一方の部分の共有結合、直接の、または各部分に結合した特定の結合対メンバーによる一方の部分ともう一方の部分の非共有結合、一方の部分をもう一方の部分に溶解することなどによる一方の部分のもう一方の部分へ
の取り込み、および一方の部分をもう一方の部分にコーティングすること、が含まれる。
【0023】
本明細書で使用される用語「液体試験試料」は、本開示および特許請求された発明概念に従って利用される任意のタイプの生物学的流体試料を含むと理解されたい。利用される生物学的試料の例には、それだけには限らないが、全血またはその任意の部分(すなわち、血漿または血清)、唾液、痰、脳脊髄液(CSF)、腸液、腹腔内液、嚢胞液、汗、間質液、涙、粘液、尿、膀胱洗浄、精液、組み合わせなどが含まれる。本開示および特許請求された発明概念に従って利用される液体試験試料の量は、約1マイクロリットルから約100マイクロリットルである。本明細書で使用される用語「量」とは、それが本開示および特許請求された発明概念に従って利用される液体試験試料に関連するとき、約0.1マイクロリットルから約90マイクロリットルまで、または約1マイクロリットルから約75マイクロリットルまで、または約2マイクロリットルから約60マイクロリットルまで、または約50マイクロリットル以下を意味する。
【0024】
用語「患者」は、人間および獣医学の対象を含む。特定の実施形態では、患者は哺乳動物である。特定の実施形態では、患者は人間である。治療の目的の「哺乳動物」とは、人間、家畜、非ヒト霊長類、および犬、馬、猫、牛などの動物園、スポーツまたはペットの動物を含む、哺乳動物として分類されるあらゆる動物を指す。
【0025】
用語「光」とは、電磁スペクトルの可視部分内の波長および電磁スペクトルの可視部分外の波長を含む、電磁スペクトル内の波長を有する電磁放射を指す。
【0026】
ここで特定の実施形態に移ると、本開示および特許請求された発明概念は、液体アッセイ、すなわち液体試験試料・試薬混合物を読み取るデバイス、キット、および方法に関する。より詳細には、本開示および特許請求された発明概念は、少なくとも2つの別個で独立した波長範囲を使用して液体アッセイを監視および/または読み取る分析器に関する。
【0027】
次に図1を参照すると、図には、本開示発明概念に従って構築された分析器の1つの実施形態が示されており、参照番号10で明示されている。いくつかの実施形態では、分析器10は、対象の1つまたはそれ以上の分析物のための液体試験試料を分析するために使用される使い捨ての試薬試験カートリッジ12(そのうちの2つが例として図1に示されており、以後「試験カートリッジ」と呼ぶ)を用いて測定を行うように設計されたコンピュータ制御分光光度計である。分析器10はまた、1つまたはそれ以上の試験カートリッジ12を一時的に受け、試験カートリッジ12内の液体試験試料が分析されている間その1つまたはそれ以上の試験カートリッジ12を支持するように設計された、カートリッジホルダ16(図5参照)も備える。いくつかの実施形態では、分析器10は、2つのタイプの試薬カートリッジ:1つはHbA1cを血液中の総ヘモグロビン(tHb)の百分率として測定するためのもの、もう1つは尿中の微量アルブミン、クレアチニン、およびアルブミン/クレアチニン比を測定するためのもの、を用いて動作するように構成される。
【0028】
ヘモグロビンA1cは、ヘモグロビンAoのβ鎖のN末端の非酵素的糖化によって形成される。ヘモグロビンA1cのレベルは、およそ2カ月の期間にわたる血液中のグルコースのレベルに比例する。したがって、ヘモグロビンA1cは、直前の2カ月にわたる毎日の血糖濃度の平均のインジケータとして認められている。研究によれば、ヘモグロビンA1cの規則的な測定によって得られた臨床値が、ヘモグロビンA1c値の低下によって示される糖尿病治療の変化および代謝調節の改善につながることが認められた。血液中のヘモグロビンA1cのパーセント濃度を測定するために、特にヘモグロビンA1cの濃度と総ヘモグロビンの濃度の両方が測定され、その比がパーセントヘモグロビンA1cとして報告される。ヘモグロビンA1cおよび総ヘモグロビンの濃度を決定するための試薬および材料のすべてが、試験カートリッジ12のうちの1つの中に含まれる。
【0029】
尿アルブミン試験またはアルブミン/クレアチニン比(ACR)は、腎臓病を発症するリスクを高める糖尿病および高血圧(高血圧症)などの持病のある人をスクリーニングするのに使用される。研究により、腎臓病の非常に初期の段階の人を特定することが、人々および医療提供者が治療を調整する助けになることが示されている。厳格な血糖管理を維持することおよび血圧を下げることによって糖尿病および高血圧症を管理することが、腎臓病の進行を遅らせるか防止する。アルブミンは、血液中に高い濃度で存在するタンパク質である。腎臓が適正に機能しているときには、尿中にアルブミンが実質上存在しない。しかし、アルブミンは、腎臓病の初期段階でも尿中に検出され得る。ランダムに、4時間にわたって、または一晩に収集された尿試料中にアルブミンが検出された場合、試験は、24時間にわたって収集される尿(24時間尿)を用いて繰り返され、かつ/または確認される。
【0030】
分析器10は、光学扉22を有するハウジング20を備え、この光学扉は、ハウジング20内の試験カートリッジスペース24(図6参照)へのアクセスを提供するために開放可能であり、また外光を阻止し試験カートリッジスペース24内の不要な光干渉を防止するように閉鎖可能である。1つの実施形態では、試験カートリッジスペース24は、カートリッジホルダ16によって支持される試験カートリッジ12のうちの1つを受けるようにサイズ設定され寸法設定される。
【0031】
分析器10はまた、試験カートリッジ12上の識別コードをスキャンするように構成された1つまたはそれ以上の読み取り装置26を備える。識別コードは、QRコード、またはバーコードなどの様々な方法で実装される。図示の例では、分析器10は、携帯型読み取り装置28および固定読み取り装置30を備える。ハウジング20は、試験カートリッジ12の少なくとも一部分を受けるようにサイズ設定および寸法設定されたスロット32を形成するように形づくられる。固定読み取り装置30は、ハウジング20の上または中の様々な場所に位置することができる。たとえば、固定読み取り装置30は、試験カートリッジ12がスロット32に通されたときに試験カートリッジ12上の識別コードを読み取るように、スロット32に隣接して位置することができる。または、固定読み取り装置30は、試験カートリッジ12がカートリッジホルダ16に挿入されているときに試験カートリッジ12上の識別コードを読み取るように、光学扉22に隣接して位置することができる。
【0032】
液体試験試料が分析される前に、試験カートリッジ12上の識別コードがスキャンされる。識別コードは、ロット番号および試験名を示すことができる。識別コードから得られた情報は、使用中の試薬試験カートリッジの特定のロット番号に対する適切な較正パラメータ値(較正曲線)にアクセスするために使用される。使用中の試薬試験カートリッジ12の特定のロット番号に対して、較正曲線が収納されていないか分析器10からアクセスできない場合、分析器10は使用者に、適切な較正曲線を含む較正カードをスキャンするように促すことができる。いくつかの実施形態では、適切な較正パラメータ値が識別コードに符号化され、携帯型読み取り装置28および/または固定読み取り装置30によって識別コードがスキャンされたときに読み取られる。
【0033】
分析器10はまた、使用者が分析器10と対話すること、分析器を制御すること、および分析器から情報を受け取ることを可能にするユーザインターフェース34を備える。ユーザインターフェース34は、グラフィックディスプレイ36、スピーカ38、タッチスクリーン40、プリンタ42、およびこれらの組み合わせなど、様々な方法で実装される。
【0034】
図2に、例示的な試験カートリッジ12が示されている。適切な試験カートリッジ12
は市販されており、当業者に知られている。一般に、各試験カートリッジ12は、流体回路(図示せず)を画成するハウジング50を含み、この流体回路は、たとえば、少なくとも2つの試薬、緩衝液、膠着剤(agglutinator)、抗体ラテックス、酸化体、タブ52、少なくとも1つの混合/反応チャンバ、および流体回路の構成要素を連結する少なくとも1つの流路を含む。膠着剤(たとえば、HbA1cの免疫反応性部分の複数のコピーを含む合成ポリマー)は、HbA1cに特異的なマウスモノクローナル抗体でコーティングされたラテックスの凝集を生じさせる。この凝集反応により光の散乱が増大し、これが吸光度の増加として測定される。緩衝液は、その中で化学反応が液体試験試料測定中に起こる、無色透明の水溶液マトリックスとすることができる。タブ52は、ハウジング50の中の緩衝液を流路から分離する。使用の際、操作者が液体試験試料を試験カートリッジ12の中に導入する。次に操作者は、試験カートリッジ12をカートリッジホルダ16の中に挿入し、タブ52を引っ張って、緩衝液を測定開始前に解放する。測定シーケンスが開始した後、分析器10は、試薬、緩衝液、および液体試験試料を様々な反応段階で混合するように、試験カートリッジ12を選択的に回転させることができる。分析器10はまた、光学測定のために試験カートリッジ12を様々な位置に選択的に回転させることもできる。
【0035】
図3に、分析器10のブロック図が示されている。一般に分析器10は、読み取り装置26と、ユーザインターフェース34と、ネットワークインターフェース60と、測定システム62と、電源64と、ファン66と、バスなどの任意の適切な通信経路を介して読み取り装置26、ユーザインターフェース34、ネットワークインターフェース60、測定システム62、およびファン66につながっている主プロセッサ68と、主プロセッサ68に本明細書に記載の機能を実行させる命令を収納するプロセッサ可読メモリ69とを含む。固定読み取り装置30が光学扉22および/またはカートリッジホルダ16から離れている場合、試験カートリッジ12上の識別コードがスキャンされた後、試験カートリッジ12は試験カートリッジスペース24に入れられ、光学扉22が閉じられ、ユーザインターフェース34が使用されて、測定システム62が試験カートリッジ12内の液体試験試料の測定を行うように駆動される。固定読み取り装置30がカートリッジホルダ16に隣接して位置する場合には、試験カートリッジ12上の識別コードは、試験カートリッジ12がカートリッジホルダ16の試験カートリッジスペース24に入れられるときにスキャンされる。
【0036】
ネットワークインターフェース60は、イーサネットネットワークなどの任意の適切なタイプのネットワークと通信するように設計されており、無線インターフェースでも有線インターフェースでもよい。ネットワークインターフェース60は、RAPIDComm
Data Management Systemなどのデータマネージャとの接続性を単純化するように構成されたPOCT1-A2通信プロトコルのような、任意の適切なプロトコルを使用する所定のデータマネージャなどの1つまたはそれ以上の所定の外部サーバまたはコンピュータと通信するように構成される。主プロセッサ68は、試験結果をLIS/HISまたは他のデータマネージャにネットワークインターフェース60を介して自動的にアップロードするようにプログラムされる。さらに、プロセッサ可読メモリ69は、4000件までの試験結果および1000人までの操作者名などの履歴試験結果を収納するための十分なオンボードメモリを含むことができる。
【0037】
電源64は、分析器10内の様々な構成要素への適切な電力を調節および供給することができる、任意の適切なタイプの電源とすることができる。たとえば、電源64は、スイッチング電源および/または電池式、または太陽電池式の電源とすることができる。ファン66は、ハウジング20内の様々な構成要素を選択的に冷却するようにハウジング20内の空気を循環させる。ハウジング20は、試験中の光干渉を低減するために可視スペクトル内の光に対し不透明にできるプラスチック、複合材料、金属、または他の任意の適切
な材料から形成される。
【0038】
読み取り装置26は、携帯型コード読み取り装置28を主プロセッサ68と任意の適切な通信経路を介してインターフェースするように設計された、シリアルポートまたはUSBポートなどのコード読み取り装置インターフェース70を備えることができる。
【0039】
図4に、本開示に従って構築された測定システム62の例示的な実施形態のブロック図が示されている。一般に測定システム62は、測定モジュール72および環境モジュール74を備える。測定モジュール72は、試験シーケンスを実行するように、またそれによって、試験カートリッジ12からの1つまたはそれ以上の読み取りを行うように構成される。環境モジュール74は、温度、および試験カートリッジ12の周りの周辺光などの様々な環境パラメータを制御して安定した予測可能な環境を提供し、それによって、環境パラメータの変化により存在し得る様々なノイズおよび/または誤りを除去するように構成される。図示の例では、環境モジュール74は、周囲温度サーミスタ76、ヒータドライバ78、1つまたはそれ以上のプレートサーミスタ80(2つのプレートサーミスタ80aおよび80bが図4に例として示されている)、1つまたはそれ以上のヒータプレート82(2つのヒータプレート82aおよび82bが図4に例として示されている)を備える。プレートサーミスタ80aおよび80bは、試験カートリッジ12の温度を測定し、この試験カートリッジ12の温度を示す信号を主プロセッサ68まで、アナログ・デジタルコンバータ84およびデータ取得論理回路86を介して供給するように設計される。ヒータプレート82aおよび82bは、電力をヒータドライバ78から受け、それによって、試験カートリッジ12の温度を調節するためにエネルギーを試験カートリッジ12に供給するように構成される。周囲温度サーミスタ76は、試験カートリッジ12の周りの周囲温度を測定し、その周囲温度を示す信号を主プロセッサ68まで、アナログ・デジタルコンバータ84およびデータ取得論理回路86を介して供給する。主プロセッサ68は、周囲温度サーミスタ76およびプレートサーミスタ80aおよび80bから供給された情報を受け、このような情報を使用して試験カートリッジ12の温度を、ヒータドライバ78へ制御信号を供給することによって調節する。
【0040】
図示の例では、カートリッジホルダ16は、試験カートリッジ12に接触している2つのヒータプレート82aおよび82b(ヒータ要素)を有する。各ヒータプレート82aおよび82bは、ヒータプレート82aおよび82bと熱的に接触しているプレートサーミスタ80aおよび80bのそれぞれ1つを有し、各ヒータプレート82aおよび82bへの電圧は別個に制御される。比例・積分・微分(PID)アルゴリズムが、ヒータプレート82aおよび82bの温度を制御するために使用される。この例では、試験カートリッジ12に温度センサがない。したがって、この例では、制御は、ヒータプレート82aおよび82bの温度に関しては閉ループシステムであるが、試験カートリッジ12内の液体試験試料の温度に関しては開ループシステムである。各プレートサーミスタ80aおよび80bによって測定された温度は、当業者に知られている式およびアルゴリズムを使用して計算される。
【0041】
環境モジュール74はまた、光学扉22が開放位置にあるのかないのか、または閉鎖位置にあるのかないのかを決定するための光学扉検出器88(たとえばスイッチ)も備える。理想的には、光学扉22は、試験カートリッジスペース24内の不要な光を除去するために、光学的に不透明な材料から構築されており、閉じられたときにハウジング20と共に封止される。光学扉22が開いているときに試験シーケンスが実行された場合には、その試験から得られた試験結果は破棄される。
【0042】
測定モジュール72は、複数の光源90(または以下で論じる、複数の個別波長範囲で光を出力する能力がある単一の光源)、試料光検出器92、参照光検出器94、光ドライ
バ96、原動力源98、位置センサ100、位置検出論理回路102、動力ドライバ104、および原動力論理回路106を備える。
【0043】
複数の光源90は、試験カートリッジ12を選択的に照明し、光の複数の個別波長帯域における試験カートリッジ12からの透過率読み取り値を得るために、試験カートリッジスペース24に隣接して位置する。光源90から発せられる光は、試験カートリッジ12の光学窓124を通過する試料ビーム108と、試験カートリッジ12を回避する参照ビーム110とに分割される。試料ビーム108の光は試料光検出器92で受けられ、試料ビーム108の光の透過率を示す試料信号に変換される。参照ビーム110の光は参照光検出器94で受けられ、試験カートリッジ12の外側の光の透過率を示す参照信号に変換される。電力が複数の光源90に光ドライバ96を介して供給され、任意の特定の時期に発光するように選択された、複数の光源90のうちの特定の1つが、制御信号を光ドライバ96に提供する主プロセッサ68によって制御される。
【0044】
原動力源98は、主プロセッサ68によって原動力論理回路106および動力ドライバ104を介して制御される。1つの実施形態では、原動力源98はステッピングモータとすることができ、この場合、原動力論理回路106はステッピングモータドライバ論理回路とすることができ、また動力ドライバ104はステッピングモータドライバ回路とすることができる。主プロセッサ68は、位置センサ100と通信する位置検出論理回路102を介して、試験カートリッジ12の位置を監視および制御する。位置センサ100は、試験カートリッジ12のリアルタイム位置を直接または間接的に検出し、試験カートリッジ12のリアルタイム位置を示す信号を生成する。試験カートリッジ12のリアルタイム位置を示す信号は位置検出論理回路102に供給され、この回路は、信号を解釈して制御情報を生成した後、この制御情報を主プロセッサ68に渡す。
【0045】
例示的なカートリッジホルダ16の平面図が図5に示されている。カートリッジホルダ16は、試験カートリッジ12が読み取られることを可能にしながら、試験カートリッジ12と嵌合しこれを支持するように設計される。この例では、カートリッジホルダ16は、位置センサ100にカートリッジホルダ16の現在の位置に関する情報を提供する、スロット112およびポスト114からなるパターンを有する支持部材111を備える。スロット112およびポスト114からなるパターンは、原動力源98に面する支持部材111の表面116に成形され、そこから延びる。カートリッジホルダ16が回転するとき、スロット112とポスト114が、位置センサ100から発せられる光を交互に阻止し通過させる。カートリッジホルダ16が回転するとき、いくつかの回転角が、阻止から通過、および通過から阻止への遷移を数えることによって決定される。これにより主プロセッサ68は、カートリッジホルダ16を正確に位置付けるために原動力源98をどのように制御するかを理解できるようになる。カートリッジホルダ16の支持部材111は、ホーム空気読み取りアパーチャ118、参照空気読み取りアパーチャ120、および試料読み取りアパーチャ122を備える。ホーム空気読み取りアパーチャ118、参照空気読み取りアパーチャ120、および試料読み取りアパーチャ122は、後述のように、試料ビーム108および参照ビーム110を選択的に通過させる、または阻止するように様々な形状およびサイズで設計される。カートリッジホルダ16を原点/空気読み取り位置(たとえば、モータステップ+8)まで回転させると、試料ビーム108は、ホーム空気読み取りアパーチャ118の上部の円形部分を通過し、参照ビーム110は、ホーム空気読み取りアパーチャ118の下部の細長い部分を通過する。試料読み取り位置(たとえば、モータステップ+25)では、試料ビーム108は、試料読み取りアパーチャ122および光学窓124(図2に示される試験カートリッジ12の下方隅部にある)を通過する。参照ビーム110は、参照空気読み取りアパーチャ120、および試験カートリッジ12の下を通過する。暗読み取り位置では、試料ビーム108と参照ビーム110の両方がアパーチャ118、120および122の間に向けられ、カートリッジホルダ16の支持部材
111によって阻止される。
【0046】
図6に、光源90、試料光検出器92、参照光検出器94、試験カートリッジ12、およびカートリッジホルダ16を含む、分析器10の測定システム62の一部分の断面図が示されている。測定システム62は、光源スペース132、試験カートリッジスペース24および試料検出器スペース134を画成する支持体130を含む。試験カートリッジスペース24は、光源132と試料検出器スペース134の間に位置する。支持体130は、光源スペース132、試験カートリッジスペース24および試料検出器スペース134が連通できるように構築され、それにより、光源スペース132内で生成された光が、試験カートリッジスペース24を通過でき、試料検出器スペース134の中で受けられるようになる。
【0047】
測定システム62は、光源スペース132と試験カートリッジスペース24の間に位置するレンズ・アパーチャホルダ136を備える。図示の例では、3つの光源90a、90b、および90cが光源スペース132内に配置され、光源90a、90b、および90cによって生成された光がレンズ・アパーチャホルダ136を通過して試験カートリッジスペース24へ向けられるように位置する。レンズ・アパーチャホルダ136は、第1の端部138および第2の端部140を有する。第1の端部138は、アパーチャ(図示せず)が配置されている壁142に連結される。第2の端部140は、アパーチャを通過する光を視準するように設計されたレンズ144を支持する。支持体130は、試験カートリッジスペース24と隣り合う、試料アパーチャ146および参照アパーチャ148を含む。光が光源90a、90b、および90cのうちの少なくとも1つによって生成されているとき、このような光は壁142内のアパーチャを通過し、レンズ144によって視準され、試料アパーチャ146および参照アパーチャ148を通過する。試料アパーチャ146を通過する光は試料ビーム108を形成し、参照アパーチャ148を通過する光は参照ビーム110を形成する。
【0048】
試料光検出器92および参照光検出器94は、試料検出器スペース134内に位置する。試料光検出器92は試料ビーム108を受けるように位置し、参照光検出器94は参照ビーム110を受けるように位置する。1つの実施形態では、視準化管150および152は、試料検出器スペース134内に位置し、試験カートリッジスペース24に隣接する。視準化管150は、試料光検出器92と試験カートリッジスペース24の間に位置しており、試験カートリッジスペース24からの光を受け、このような光を試料光検出器92まで、視準された形で伝達する働きをする。同様に、視準化管152は、参照光検出器94と試験カートリッジスペース24の間に位置しており、試験カートリッジスペース24からの光を受け、このような光を参照光検出器94まで、視準された形で伝達する働きをする。上で論じたように、特定の位置ではカートリッジホルダ16および試験カートリッジ12が、光源スペース132からの光を試料検出器スペース134まで通過させるように位置し;他の位置では、カートリッジホルダ16および試験カートリッジ12が、光源スペース132からの光が試料検出器スペース134まで通過することを阻止するように位置する。
【0049】
本開示の利益を得る当業者には理解されるように、光源90a、90b、および90cから発せられた光は、たとえば、試料光検出器92および/または参照光検出器94によって検出される前に、処理、コンディショニング、フィルタリング、拡散、偏光、またはそれとは別にコンディショニングされてもよい。1つの実施形態では、試料光検出器92および/または参照光検出器94はフォトダイオードである。
【0050】
さらに、本明細書で開示された発明概念のいくつかの実施形態では、光源90a、90bおよび90cは、支持体130に連結されることによって(たとえば、継ぎ手、縫い合
わせ、ボルト、ブラケット、固定具、溶接、またはこれらの組み合わせにより)、または分析器10の任意の他の構成要素によるなど、任意の所望の方法で光源スペース132内に支持される。
【0051】
当業者には理解されるように、本明細書で開示された発明概念のいくつかの実施形態では、4つ、5つまたは6つの光源90など、3つの光源90a、90bおよび90cよりも多く実装されてもよい。
【0052】
図7は、液体試験試料中のヘモグロビンの存在を検出するように設計された液体試験試料・ヘモグロビン試薬混合物の吸光度曲線を示すグラフである。図7に示されるように、液体試験試料・ヘモグロビン試薬混合物を通過する光の波長が500nmから700nmへ長くなるにつれて光の吸収が低下し、およそ700nmで完全に減少する。図8は、液体試験試料中の特定のタイプのヘモグロビン(すなわちA1c)の存在を検出するように設計された液体試験試料・ヘモグロビンA1c試薬混合物の吸光度曲線のグラフである。図8に示されるように、液体試験試料・ヘモグロビンA1c試薬混合物を通過する光の波長が500nmから750nmへ長くなるにつれて光の吸収が低下するが、ゼロよりも十分上になおとどまっている。
【0053】
本開示の発明概念によれば、測定システム62は複数の光源90a、90bおよび90cを含み、光源90a、90bおよび90cのそれぞれが別個の範囲の波長の光を発する。図7および図8に示された例では、光源90aは480nmから580nmまでの範囲に制限された波長の光を発し、光源90bは580nmから660nmまでの範囲に制限された波長の光を発し、光源90cは660nmから780nmまでの範囲に制限された波長の光を発する。1つの実施形態では、光源90aは、図7に示されたヘモグロビン吸収曲線の第1の局所的なピーク160に対応するおよそ531nmの波長に制限された光を発し;光源90bは、図7に示されたヘモグロビン吸収曲線の第2の局所的なピーク162に対応するおよそ630nmの波長に制限された光を発し、光源90cは、およそ720nmの波長に制限された光を発す。光源90cから発せられる光は、図7に示されたヘモグロビン吸収曲線の透過率を越えるが、図8に示されたヘモグロビンA1c吸収曲線内であり、試験カートリッジ12を調べるために使用されると、液体試験試料中のヘモグロビンA1cの量に関する情報を提供する。
【0054】
図9に、液体試験試料中の対象の複数の分析物の存在を決定するための例示的なプロセスを示す時系列表が示されている。図示の例では、液体試験試料は血液であり、対象の第1の分析物はヘモグロビンであり、対象の第2の分析物はヘモグロビンA1cである。別の例では、液体試験試料は尿とすることができ、対象の分析物はアルブミンおよびクレアチニンであり得る。このシーケンス記述は4つの主要素を含む:たとえばシーケンスの開始を基準とした秒の単位の動作時間、動作(たとえばMOVE、READ)、動作を定量化するパラメータ(必要な場合に)、および試験カートリッジ12のモータステップでの回転位置。
【0055】
「時間」列は、各動作の目標時間を示す。この列の0秒とは、操作者が試験カートリッジ12をカートリッジホルダ16に挿入し、光学扉22を閉じて試験を開始してからおよそ5秒後のことである(重要ではない)。カートリッジホルダ16を動かし、かつ/または液体試験試料を1つまたはそれ以上の所定の試薬と混合するモータの動きの目標時間は、動きの開始時に記録予定である。READ動作のタイムスタンプは、各READ動作の完了時に記録予定である。
【0056】
各READ動作では通常、試料光検出器92および参照光検出器94から液体試験試料と参照ADチャネルの両方の複数の複合読み取り値(たとえば、16個の読み取り値)を
取得し、各複合読み取り値が、光源90a、90bおよび90cの所定のサブセットからの複数の個々のサブ読み取り値からなり、たとえば、所定のサブセット内の光源90a、90bおよび90cは、個々別々の時点に光を生成するように有効にされる。各複合読み取り値は、対象の特定の分析物の吸光度曲線内で有用な情報を得ると予想される光源90a、90bおよび90cを有効にすることにより得られる情報を含む。すなわち、測定システム62が液体試験試料中のヘモグロビンの量を決定するとき、各複合読み取り値は、光源90aから試験カートリッジ12を通過した光の透過率を示す第1の透過率値と、さらに光源90bから試験カートリッジ12を通過した光の透過率の第2の透過率値とが得られ、これらの値を用いて計算される。測定システム62が液体試験試料中のヘモグロビンA1cの量を決定するとき、各複合読み取り値は、光源90aから試験カートリッジ12を通過した光の透過率を示す第1の透過率値と、光源90bから試験カートリッジ12を通過した光の透過率の第2の透過率値と、光源90cから試験カートリッジを通過した光の透過率の第3の透過率値とが得られ、用いられる。ヘモグロビンまたはヘモグロビンA1cを決定するための複合読み取り値は、個々のサブ読み取り値の組み合わせになり、百分率ヘモグロビンA1c読み取り値は、複合ヘモグロビンA1c読み取り値/複合ヘモグロビン読み取り値の比になる。個々に取得された(たとえば、一度に光を発するように有効にされた光源90a、90bおよび90cのうちの1つで)、また順に別々の時点に光源90a、90bおよび90cを用いて取得されたサブ読み取り値は、加算、平均、差などの適切な任意の数学的技法またはアルゴリズムを使用して、複合読み取り値に組み合わされる。
【0057】
この例では、すべてのモータの動きが、全モータステップにおいて指定されることに留意されたい。モータ位置ステップ0で、カートリッジホルダ16の上面は、分析器10があるベンチの表面と平行になり得る。正のステップが、カートリッジホルダ16を原動力源98の反対側から見た場合の、時計回り(CW)方向の試験カートリッジ12の回転を示す。分析器10を正面から見た場合は、正方向のステップで試験カートリッジ12が操作者の方へ回転する。
【0058】
位置縦列のエントリが、動作の終了時のモータ位置を示す。1回転当たり200ステップのステッピングモータが想定されている。この例では、+8ステップが原点/空気読み取り位置である(試験カートリッジ装填位置でもある)。試験カートリッジ12が分析器10に装填されるとき、カートリッジホルダ16は原点の近くにあるが、操作者が試験カートリッジ12を挿入する間にカートリッジホルダ16をわずかに回転させている可能性があるので、正確な位置は各シーケンスの開始時に検証される。ステップ+16は暗読み取り位置であり、ステップ+25は試料読み取り位置である。
【0059】
百分率HbA1cおよび微量アルブミン/クレアチニンシーケンスのタイミングが理想的なタイミングから感知できるほどに外れていないことの検査として、測定シーケンスの開始からの実際の時間が、連続動作しているハードウェア時計と照合される。理想的なシーケンス時間と実際の経過時間との差が±1.00秒を超える場合、分析器10は、液体試験試料の読み取り値ではなくエラーを記入する。
【0060】
図9に、百分率HbA1c/Hb読み取り値を決定するための例示的なシーケンスが示されている。しかし、このシーケンスは、分析器10によって、微量アルブミン/クレアチニン測定などの他のタイプの読み取り値を得るように修正できることを理解されたい。図9に示されるように、シーケンスは、カートリッジホルダ16をREAD位置へ動かすことから開始し、較正段階161の間に光源90a、90bおよび90cのそれぞれを用いて個々の読み取り値を取得することによって、別個の波長範囲のそれぞれで緩衝液の透過率/吸光度の複数の複合読み取り値を取得することができる。緩衝液の複合読み取り値は、シーケンスの間に取得された他の測定値すべてのベースラインとして使用される。次
に、原動力源98は、事前濡らし段階163へと時計回り方向に駆動されて、1つまたはそれ以上の試薬が液体試験試料で事前に濡らされる。図示の例では、HbA1cとHbの相対百分率を決定するために、膠着剤およびAbラテックスとして知られる試薬が液体試験試料で事前に濡らされ、次に、原動力源98が、液体試験試料中のHbの存在を決定するための特定の試薬と液体試験試料を混合するために、反時計回り方向に第1の混合段階164まで動く。液体試験試料が試薬と混合されているとき、原動力源98は、緩衝液の読み取り値に対する液体試験試料・試薬混合物の複合読み取り値を得るために、カートリッジホルダ16および試験カートリッジ12を監視段階166の様々な時点でREAD位置まで動かすように有効にされる。これが達成されて、液体試験試料と試薬の混合の状態を監視することができる。第1の読み取り段階168で、液体試験試料と試薬が十分に混合されると、カートリッジホルダ16および試験カートリッジ12がREAD位置まで動き、複数のHb複合読み取り値が取得される。次に、原動力源98が、カートリッジホルダ16および試験カートリッジ12を第2の混合段階170へと動かすように駆動されて、液体試験試料がHbA1c試薬と混合される。次に、第2の読み取り段階172に入り、カートリッジホルダ16および試験カートリッジ12が再びREAD位置まで動き、緩衝液に対する複数の複合読み取り値が取得され、次いで平均される。HbA1cおよびHbの量の複合読み取り値が取得されると、次にHbA1cとHbの百分率が計算され、インターフェース34を使用して使用者に報告される。
【0061】
第1の読み取り段階168の間、Hbの量の10個の複合測定値が取得される。各複合測定値は、試料光検出器92および参照光検出器94の各チャネルについて、平均して2つ(光源90a、90b、または90cごとに1つ)のAD読み取り値(複合測定値1つ当たり4つの合計読み取り値)になり得る。読み取り値は対にされ、また時間で交互にされる。すなわち、試料光検出器92による試料ビーム108の単一の読み取り値の後に、参照光検出器94による参照ビーム110の単一の読み取り値が続く。(読み取り値の順番は重要ではない;個々の読み取り値が交互になっている限り、試料ビーム108または参照ビーム110のどちらが最初に読み取られてもよい。)10個の複合測定では、全40回の読み取り(20回の試料ビーム108測定および20回の参照ビーム110測定)がおよそ3秒以内に完了しなければならない。平均、標準偏差(SD)および百分率変動係数(%CV)が、たとえば、10個の読み取り値の組ごとに計算される。この同じ手順が、ヘモグロビンA1cを測定するために第2の読み取り段階172の間に続けられて、任意の所望の数の、たとえば26個の複合凝集読み取り値(たとえば、光源90a、90b、および90cを使用して156個の個別読み取り値)が得られる。
【0062】
分析器10では、個別の読み取り値は、知られているアルゴリズムおよび式、ならびに上で論じた較正パラメータを使用して計算される。
【0063】
試料光検出器92および参照光検出器94による測定電圧は、モータ位置ステップ+8(空気読み取り位置)またはモータ位置ステップ+25(試料読み取り位置)において、それぞれ試料および参照ビーム108および110について測定された光を表す。チャネルごとのオフセット電圧もまた、光路が遮断された状態(たとえば、モータ位置ステップ+16)で得られる。すべての測定値が、同一の固定利得値で取得される。
【0064】
ランプドリフトの間隔を最小限にするために、緩衝液読み取り値が空気(100%透過率)および暗読み取り値(0%透過率)と参照される。同様に、ヘモグロビンおよび微量アルブミン読み取り値が、後の空気読み取り値と参照される。たとえば、第1の読み取り段階168の間のヘモグロビン読み取り値(たとえば、hb1・・・hb10)が、後の空気読み取り値と参照される。第2の読み取り段階172、たとえば凝集読み取り(HbA1c)およびクレアチニン読み取り(微量アルブミン/クレアチニン)、の前後の空気読み取りの間の時間の関数としての直線補間が、第2の読み取り段階172の間に複合読
み取り値を得るために使用される。
【0065】
本明細書に記載の方法およびシステムは、特定のハードウェアまたはソフトウェア構成に限定されず、また多くの計算および処理環境において適用可能性を見出すことができる。これらの方法およびシステムは、ハードウェアもしくはソフトウェアで、またはハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実施することができる。これらの方法およびシステムは、1つまたはそれ以上のコンピュータプログラムで実施することができ、この場合コンピュータプログラムは、1つまたはそれ以上のプロセッサ実行可能命令を含むと理解される。
【0066】
主プロセッサ68は、単一のプロセッサ、または下記のプロセッサ実行可能命令を実行するように一緒もしくは別個に動作する複数のプロセッサを含む、コンピュータシステムとして実装される。主プロセッサ68の実施形態は、デジタル信号プロセッサ(DSP)、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、特定用途向け集積回路、およびこれらの組み合わせを含み得る。主プロセッサ68は、プロセッサ可読メモリ69に連結される。非一時的プロセッサ可読メモリ69は、より詳細には以下で説明するように、RAM、ROM、フラッシュメモリなどとして実装される。プロセッサ可読メモリ69は、単一の非一時的プロセッサ可読メモリでも、論理的に一緒または別個に機能する複数の非一時的プロセッサ可読メモリでもよい。
【0067】
本明細書で「マイクロプロセッサ」および「プロセッサ」、または「そのマイクロプロセッサ」および「そのプロセッサ」と呼ばれるものは、単独型および/または分散型環境において通信できる、したがって、有線または無線通信を介して他のプロセッサと通信するように構成される、1つまたはそれ以上のマイクロプロセッサを含むと理解され、このような1つまたはそれ以上のプロセッサは、同様または異なるデバイスでよい1つまたはそれ以上のプロセッサ制御デバイス上で動作するように構成される。したがって、このような「マイクロプロセッサ」または「プロセッサ」という術語が使用されるものはまた、中央処理ユニット、算術論理演算ユニット、特定用途向け集積回路(IC)、および/またはタスクエンジンを含むと理解され、このような例は限定ではなく説明のために提供されている。
【0068】
プロセッサ可読メモリ69と呼ばれるものは、特に明記してあるものを除いて、1つまたはそれ以上のプロセッサ可読、およびアクセス可能な非一時的コンピュータ可読媒体および/または構成要素を含み、これらは、主プロセッサ68の内部にあっても主プロセッサ68の外部にあってもよく、かつ/または様々な通信プロトコルを使用する有線または無線ネットワークを介してアクセスされてよく、また特に明記してあるものを除いて、外部と内部のメモリデバイスの組み合わせを含むように配置され、このようなメモリは、用途によって隣接し、かつ/または分割されており、またこのようなメモリは性質が非一時的であり得る。非一時的コンピュータ可読媒体は、RAM、ハードドライブ、ハードドライブアレイ、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、メモリカードなど、ならびにこれらの組み合わせとして実装される。2つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体が使用される場合、非一時的コンピュータ可読媒体の一方が主プロセッサ68と同じ物理的位置に設置され、非一時的コンピュータ可読媒体のもう一方が主プロセッサ68から遠い位置に設置されてよい。非一時的コンピュータ可読媒体の物理的位置は変えることができ、また非一時的コンピュータ可読媒体は「クラウドメモリ」として、すなわち、ネットワークインターフェース60を使用して主プロセッサ68からアクセスできるネットワークを部分的または完全にベースとする、またはそれを使用してアクセスされる、非一時的コンピュータ可読媒体として実施することができる。
【0069】
主プロセッサ68は、本明細書に記載の論理を実施するためのコンピュータプログラム
とも本明細書では呼ばれる、プロセッサ実行可能命令を実行することができる。本明細書でマイクロプロセッサ命令、マイクロプロセッサ実行可能命令、プロセッサ実行可能命令、またはコンピュータプログラムと呼ばれるものは、上記に従って、プログラム可能ハードウェアを含むと理解されてよい。コンピュータプログラムは、コンピュータシステムと通信するための1つまたはそれ以上の高レベル手続き型またはオブジェクト指向のプログラミング言語を使用して実施できる;しかし、プログラムは、要望に応じてアセンブリ言語または機械言語で実装されてもよい。言語はコンパイルまたは解釈される。
【0070】
本明細書で提供されたように、1つの実施形態では、分析器10は別個に、またはネットワーク環境中の他のデバイスと一緒に動作することができる。ネットワークと呼ばれるものは、特に他に明記してあるものを除いて、1つまたはそれ以上のイントラネットおよび/またはインターネットを含み得る。ネットワークは、主プロセッサ68と、ハウジング20の外側に設置された別のコンピュータシステムとの間で、ネットワークインターフェース60を使用して情報および/またはデータの二方向伝達を可能にする。ネットワークには、たとえば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)が含まれ、かつ/またはイントラネットおよび/またはインターネットおよび/または他のネットワークが含まれ得る。ネットワークは有線もしくは無線、またはこれらの組み合わせとすることができ、また、通信を容易にするために1つまたはそれ以上の通信プロトコル、および複数のネットワークトポグラフィを使用することができる。したがって、これらの方法およびシステムでは、複数のプロセッサおよび/またはプロセッサデバイスを利用することができ、プロセッサ命令は、このような単一または複数のプロセッサ/デバイスの間で分割することができる。
【0071】
本発明を様々な図の例示的な実施形態に関して説明してきたが、本発明はこれらに限定されない。また他の同様の実施形態が使用されてよく、あるいは修正および追加が、本発明の同じ機能を実行するために、本発明から逸脱することなく加えられてもよいことを理解されたい。したがって、本発明は、どれか単一の実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲による幅および範囲で解釈されるべきである。また、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく当業者によって作成される、他の変形物および実施形態を含むと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-12-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析器であって:
少なくとも1つの分析物を含む液体試験試料・試薬混合物を含む試験カートリッジを受けるようにサイズ設定され構成された試験カートリッジスペースを取り囲むハウジングと;
該ハウジングによって支持され、試験カートリッジスペースを通過する光の第1のビームを生成する第1の光源であって、光の第1のビームは、分析物の吸収スペクトルの第1の局所的なピークに対応する第1の波長範囲内の第1の波長を有する、第1の光源と;
ハウジングによって支持され、試験カートリッジスペースを通過する光の第2のビームを生成する別個の第2の光源であって、光の第2のビームは、第1の波長範囲より高い第2の波長範囲内の第2の波長を有し、分析物の吸収スペクトルの吸収に対応する、第2の光源と;
ハウジングによって支持され、第1および光の第2のビームを第1および光の第2のビームが試験カートリッジスペースを通過した後に受けるように位置する試料検出器と;
コンピュータシステムであって:
第1の時点に試料検出器によって捕捉された光を示す第1の信号、および第1の時点と異なる第2の時点に試料検出器によって捕捉された放射を示す第2の信号を受けるように、かつ第1の信号および第2の信号を組み合わせて使用して液体試験試料・試薬混合物中の1つの分析物の量を決定するように構成されたプロセッサを有するコンピュータシステムとを含み、
ここで、分析物の1つはヘモグロビンであり、第2の波長範囲が580nmから660nmである、前記分析器。
【請求項2】
第1の波長範囲は480nmから580nmまでである、請求項1に記載の分析器。
【請求項3】
ハウジングによって支持され、試験カートリッジスペースを通過する光の第3のビームを生成する第3の光源であって、光の第3のビームは第1および第2の波長範囲と異なる第3の波長範囲を有する、第3の光源をさらに含む、請求項1または2に記載の分析器。
【請求項4】
第3の波長範囲は480nmから580nmまでである、請求項3に記載の分析器。
【請求項5】
方法であって:
対象の少なくとも1つの分析物を含む液体アッセイの複数の吸収読み取り値を光検出器によって、少なくとも2つの別個で独立した波長範囲、第1の波長範囲及び第2の波長範囲、内のそれぞれの第1および第2の波長を有する複数の別個の光源を使用して得ることであって、吸収読み取り値のそれぞれは別個の時点に取得されること;
少なくとも1つのプロセッサおよび液体アッセイの較正情報を使用して、液体アッセイ中の1つの分析物の量を、複数の吸収読み取り値を組み合わせて用いて決定することを含み、
ここで、分析物の1つはヘモグロビンあるいはヘモグロビンA1cであって、第1の波長範囲は第2の波長範囲より低く、そして、第2の波長範囲は580nmから660nmである、前記方法。
【請求項6】
液体アッセイの複数の吸収読み取り値を得る前に、液体アッセイを動かして液体アッセイ中の試薬を液体試験試料と混合することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
対象の少なくとも1つの分析物はさらにアルブミンを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
対象の少なくとも1つの分析物はさらにクレアチニンを含む、請求項5または6に記載の方法。
【請求項9】
複数の光源は分離している、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
方法であって:
複数の光源を光源スペース内に取り付けることを含み、光源の一方は、第1の波長範囲内の第1の光の波長を生成および出力する第1の能力を有し、もう一方の別個の光源は、第2の波長範囲内の第2の光の波長を生成および出力する第2の能力を有し、ここで、第1および第2の波長範囲は別個で独立している波長範囲であり、そして、第2の波長範囲は第1の波長範囲より高く、光源は、光源で生成された光ビームが、液体アッセイを含む試験カートリッジを受けるようにサイズ設定され寸法設定された試験カートリッジスペース内を通過するように取り付けられ;さらに、
試料光検出器を試料光検出器スペース内に、試料光検出器が光源によって生成された光の少なくとも一部分を、光ビームが試験カートリッジスペース内を通過した後に受けるべく構成されるように取り付けること;および、
光源および試料光検出器を、コンピュータ実行可能な論理を有する主プロセッサに連結することを含み、この論理は、主プロセッサによって実行されると、主プロセッサに、試料光検出器によって液体アッセイの複数の吸収読み取り値を取得させ、それぞれの吸収読み取り値は別個の時点に取得され、液体アッセイ中の少なくとも1つの分析物の量を、液体アッセイの較正情報と複数の吸収読み取り値を組み合わせたものとを使用して決定させ、
ここで、少なくとも一つの分析物はヘモグロビンを含み、そして、第2の波長範囲が580nmから660nmである、前記方法。
【請求項11】
主プロセッサはコンピュータ実行可能な論理を有し、この論理は、主プロセッサによって実行されると、主プロセッサに、液体アッセイの複数の吸収読み取り値を得る前に、液体アッセイを動かして液体アッセイ中の試薬を液体試験試料と混合させる、請求項10に記載の方法。
【外国語明細書】