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特開2022-43150流体の流れを加熱するための露出した加熱体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043150
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】流体の流れを加熱するための露出した加熱体
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/10 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
H05B3/10 Z
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021201529
(22)【出願日】2021-12-13
(62)【分割の表示】P 2018545966の分割
【原出願日】2017-03-02
(31)【優先権主張番号】62/302,501
(32)【優先日】2016-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501162454
【氏名又は名称】ワットロー・エレクトリック・マニュファクチャリング・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エヴァリー、マーク・デー
(72)【発明者】
【氏名】バンゲ、マイク
(72)【発明者】
【氏名】オーセ、ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、リチャード・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ザング、サンホン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】流体の流れに直接さらされる所定の形状を有する連続抵抗発熱体を含み、通路を通る流体の流れを加熱するのに用いられるヒータが提供される。
【解決手段】所定の形状は、必要な熱分布、構造強度、及び、前記通路内の背圧の低減を与える断面形状を含む。前記所定の形状は、前記断面形状が必要な熱分布、構造強度、及び、前記通路内の背圧の低減を与えるとともに、翼を含めてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路を通る流体の流れを加熱するのに用いられるヒータであって、
所定の形状を有する抵抗発熱体で、前記流体の流れに直接さらされる前記抵抗発熱体を備え、
前記所定の形状は、熱分布、構造強度、及び、前記通路内の背圧の低減を与える断面形状を含む。
【請求項2】
前記抵抗発熱体は形状記憶合金を含む、
請求項1に記載のヒータ。
【請求項3】
前記所定の形状は、対向する部分を有する複数の脚部を含み、前記対向する部分のそれぞれは、誘電体部材で分離される、
請求項1に記載のヒータ。
【請求項4】
前記誘電体部材は、ブッシング、ブロック、チューブ、及び、これらの組合せのうちの少なくとも1つを備える、
請求項3に記載のヒータ。
【請求項5】
前記誘電体部材は、前記対向する部分を横切って貫通する、
請求項3に記載のヒータ。
【請求項6】
前記対向する部分は、等間隔に配置され、前記誘電体部材は、横方向に割り当てられる、
請求項3に記載のヒータ。
【請求項7】
前記対向する部分は、半径方向に延びる様々な長さを定め、前記誘電体部材は、前記通路の中央部分に沿って垂直で、前記通路の周囲に半径方向に配置される、
請求項3に記載のヒータ。
【請求項8】
前記所定の形状は、対向する波形部分を有する蛇行波形を定め、前記波形部分は、複数の誘電体部材及び横方向支持部により分離される、
請求項3に記載のヒータ。
【請求項9】
前記所定の形状は、複数の脚を定め、前記脚のそれぞれは、多角形形状を定める、
請求項1に記載のヒータ。
【請求項10】
前記多角形形状は、外側に延びる部分、横方向部分、及び、内側に延びる部分のセットの繰り返しを含み、前記横方向部分のそれぞれは、誘電体部材により分離される、
請求項9に記載のヒータ。
【請求項11】
前記所定の形状は、不均一な断面を定める、
請求項3に記載のヒータ。
【請求項12】
前記所定の形状は、翼、楕円、卵形からなるグループから選択され、前記抵抗発熱体は、前記流体の流れに直接さらされる、
請求項1に記載のヒータ。
【請求項13】
各抵抗発熱体は、所定の形状を定め、前記抵抗発熱体は、前記流体の流れに直接さらされる、複数の抵抗発熱体と、
隣接する抵抗発熱体の間に配置された対応する複数の誘電体部材とを備え、
前記所定の形状は、熱分布、構造強度、及び、背圧の低減を与える断面形状を含む、
請求項1に記載のヒータ。
【請求項14】
前記所定の形状は、U、C、I、T、V、Z、スプライン、閉じた形状断面、及び、これらの組合せからなるグループから選択される、
請求項13に記載のヒータ。
【請求項15】
前記所定の形状は、内部が空洞、非円形、楕円、卵形、翼、涙形、及び、これらの組合せからなるグループから選択される閉じた形状断面を定める、
請求項13に記載のヒータ。
【請求項16】
前記抵抗発熱体は、直列回路、並列回路、及び、直列回路と並列回路の組合せのうちの1つで接続される、
請求項13に記載のヒータ。
【請求項17】
前記断面形状は、前記流体の流れに垂直、及び、前記流体の流れに対して横方向のうちの少なくとも1つに配置される、
請求項13に記載のヒータ。
【請求項18】
前記抵抗発熱体は、流体が前記抵抗発熱体を通り周りに流れることを可能にするサイズ及び形状の開口部を含む、
請求項13に記載のヒータ。
【請求項19】
前記抵抗発熱体の少なくとも1つは、流れのガイドとして動作する、
請求項13に記載のヒータ。
【請求項20】
前記抵抗発熱体は、前記流体通路の非線形部を通る前記流体の流れと実質的に平行に配置される、
請求項13に記載のヒータ。
【請求項21】
前記複数の抵抗発熱体の少なくとも1つは、前記通路の屈曲部内に配置される半円形の断面形状を定める、
請求項20に記載のヒータ。
【請求項22】
前記複数の抵抗発熱体及び前記誘電体部材の少なくとも1つは、前記流体の流れの混合を可能にする、
請求項13に記載のヒータ。
【請求項23】
前記複数の抵抗発熱体の少なくとも1つは、前記複数の抵抗発熱体をヒータ及び温度センサとして動作させることが可能な抵抗の温度係数を有する、
請求項13に記載のヒータ。
【請求項24】
前記抵抗発熱体の表面の少なくとも一部は、前記流体の流れの構成化合物及び成分の少なくとも1つとの化学反応を促進する触媒を含む、
請求項13に記載のヒータ。
【請求項25】
前記抵抗発熱体は、所定の熱の分布、その場の熱の分布、熱の動的分布、及び、これらの組合せのうちの少なくとも1つを可能にする複数の電気回路を形成する、
請求項13に記載のヒータ。
【請求項26】
請求項13に記載のヒータを含む流体管であって、
前記流体管は、
内壁及び前記抵抗発熱体の間に配置された少なくとも1つの誘電体部材と、
前記ヒータへの電気接続を保護するように適合された前記流体管に取り付けられた電気ボックスで、電流スイッチングデバイス及び分散された動作システムのうちの少なくとも1つをさらに含む前記電気ボックスとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱体に関し、より詳細にはディーゼル排気ガスのような流体の流れを加熱するのに使用される加熱体に関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションの記述は、単に本開示に関連する背景情報を提供するだけであり、先行技術を構成しない可能性がある。
【0003】
ディーゼルエンジンは、一般に、比較的高い窒素酸化物(NOx)及び粒子状排気物を有する。大気/環境に有害な可能性がある、これらの排出物を低減するために、様々な装置及び方法が採用されている。例えば、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)は、エンジンの下流で使用され、エンジン排気からの微粒子をフィルターにかける。DPFは、排気流温度を再生に適した温度に上げるために、DPFの上流のヒータを使用する能動的再生により、堆積したすすを焼き落とすことによって定期的にきれいにされる。
【0004】
受動的再生は、能動的再生の代替であり、その点で、排気流中の酸素(通常はO及びNOの形態)と堆積した粒子との間の反応が粒子の一部を酸化させる。しかしながら、受動的再生は、一般に、堆積した粒子をとてもゆっくりと除去するように生じ、従って、しばしばディーゼル用酸化触媒(DOC)と呼ばれる触媒を使用することがある。また、DOCは、DPFの上流に配置され、排気流中のNOをNOに転化させることで、NOがDPF中の粒子と反応するときに受動的再生を促進する。
【0005】
NOx排出を低減するために、選択的触媒還元触媒(SCR)又はリーンNOx触媒(LNC)のようなNOx触媒を排気流中に設けることがある。SCR触媒は現在最も一般的であり、触媒によりNHを利用してNOx排出物をNに還元する上で非常に効率的であることがある。しかしながら、これらの触媒は、一般的には、比較的高い温度で最も効率的に作用し、したがって、これらの温度に達するようにヒータが用いられてきた。
【0006】
上述した排出物の低減を達成するために排気流に様々な形態のヒータが使用されているが、このようなヒータはエンジン性能に悪影響を及ぼし、車両全体にコストと複雑さを加えることがある。
【発明の概要】
【0007】
一般に、本開示は、流れに直接さらされ、衝撃、振動、又は、高い流速がある用途に強度を与えるように形成された断面を有する抵抗発熱体を使用する流体流(例えば、ディーゼル排気ガスの流れ)を加熱し、コスト、サイズ、流れに伝導される熱、背圧、及び、強度/振動耐性の間のトレードオフを補償するために、ヒータ、ヒータシステム、及び、関連する方法を提供する。
【0008】
その様々な形態において、本開示は、円形(例えば、ワイヤ)、ホイル、又は、リボン(例えば、フラット)断面を有する抵抗発熱体を使用して達成しうるものよりも高い物理的堅牢性を提供しながら、流体の流れ(例えば、ディーゼル排気ガスの流れ)を加熱するヒータ又はシステムを提供する。
【0009】
1つの形態では、通路を通る流体の流れを加熱するために使用されるヒータが提供され、ヒータは、所定の形状を有する連続抵抗発熱体を備え、抵抗発熱体は流体の流れに直接さらされる。所定の形状は、必要な熱分布、構造強度、及び、通路内の背圧の低減を与える断面形状を含む。
【0010】
本開示は、翼の所定の形状を定める断面形状を有する少なくとも1つの抵抗発熱体を含む通路を通る流体の流れを加熱するのに使用するヒータをさらに提供する。抵抗発熱体は流体の流れに直接さらされる。断面形状は、必要な熱分布、構造強度、及び、通路内の背圧の低減を与えるように作用可能である。
【0011】
さらに別の形態では、本開示は、複数の抵抗発熱体を含む流体の流れを加熱するのに使用するためのヒータを提供する。各抵抗発熱体は、所定の形状を定め、流体の流れに直接さらされる。ヒータは、隣接する抵抗発熱体の間に配置された対応する複数の誘電体部材をさらに含む。所定の形状は、必要な熱分布、構造強度、及び、背圧の低減を与えるように作用可能な断面形状を含めてもよい。
【0012】
さらに別の形態では、1つの上述のヒータを含む流体管を提供し、流体管は、内壁、内壁と抵抗発熱体との間に配置された少なくとも1つの誘電体部材、及び、ヒータへの電気接続を保護するように適合された流体管に取り付けられた電気ボックスを備え、電気ボックスは、電流スイッチングデバイス及び分散された動作システムのうち少なくとも1つをさらに含む。
【0013】
適用性のさらなる領域は、ここで提供される説明から明らかになる。説明及び具体例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示が十分に理解されるように、以下の添付の図面を参照しながら、例として与えられたその様々な形態について説明する。
図1図1は、本開示の教示に従って構成され、流体の流れを加熱するのに使用されるヒータの一形態の斜視図である。
図2図2は、図1のヒータの流体の流れの方向に垂直な正面図である。
図3図3は、本開示の教示に従って構成され、流体の流れを加熱するのに使用されるヒータの別の形態の斜視図である。
図4図4は、図3のヒータの流体の流れの方向に垂直な正面図である。
図5図5は、本開示の教示に従って構成され、流体の流れを加熱するのに使用されるヒータの別の形態の斜視図である。
図6図6は、図5のヒータの流体の流れの方向に垂直な正面図で90度回転させたものである。
図7図7は、図5及び図6のヒータの側面図である。
図8図8は、本開示の教示に従って構成され、流体の流れを加熱するのに使用されるヒータの別の形態の斜視図である。
図9図9は、図8のヒータの流体の流れの方向に垂直な正面図である。
図10図10は、図8のヒータの側面図である。
図11図11は、図8のヒータの上面図である。
図12図12は、本開示の教示に従って構成され、連続抵抗発熱体の1つの形態及び誘電体部材へのその取り付けを示す斜視図である。
図13図13は、図12の抵抗発熱体の流体の流れの方向に垂直な正面図である。
図14図14は、図12の抵抗発熱体及び誘電体部材の側面図である。
図15図15は、本開示の教示に従って構成され、誘電体ブロックによって分離され、多角形形状を有する連続抵抗発熱体の別の形態の斜視図である。
図16図16は、図15の連続抵抗発熱体の誘電体ブロックが無い斜視図である。
図17図17は、本開示の教示に従って構成され、機械的留め具を使用して誘電体ブロックに固定された多角形形状抵抗発熱体の一形態の拡大部分図である。
図18図18は、本開示の教示に従って構成され、誘電体ブロック内に形成された留め具空洞を示す図17の裏側からの別の拡大部分図である。
図19A図19Aは、本開示の教示に従って構成され、翼形状を有する抵抗発熱体の側面図である。
図19B図19Bは、図19Aの抵抗発熱体のための代替翼形状の側面図である。
図20A図20Aは、本開示の教示に従って構成され、複数の連続抵抗発熱体及び対応する誘電体スペーサ/部材の様々な形態を示す流体の流れの方向に垂直な正面図である。
図20B図20Bは、本開示の教示に従って構成され、複数の連続抵抗発熱体及び対応する誘電体スペーサ/部材の様々な形態を示す流体の流れの方向に垂直な正面図である。
図20C図20Cは、本開示の教示に従って構成され、複数の連続抵抗発熱体及び対応する誘電体スペーサ/部材の様々な形態を示す流体の流れの方向に垂直な正面図である。
図20D図20Dは、本開示の教示に従って構成され、複数の連続抵抗発熱体及び対応する誘電体スペーサ/部材の様々な形態を示す流体の流れの方向に垂直な正面図である。
図21A図21Aは、本開示の教示に従って構成され、流れのディフューザとしてヒータ兼用の一形態を示す概略図である。
図21B図21Bは、本開示の教示に従って構成され、流れのディフューザとしてヒータ兼用の一形態を示す概略図である。
図22A図22Aは、本開示の教示に従って構成され、流れのディフューザとしてヒータ兼用の他の形態を示す概略図である。
図22B図22Bは、本開示の教示に従って構成され、流れのディフューザとしてヒータ兼用の他の形態を示す概略図である。 ここに記載された図面は、説明目的のためのみであり、決して本開示の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明は、事実上単に例示的なものであり、本開示、用途、又は、使用を限定するものではない。図面を通して、対応する参照符号は、同様の又は対応する部分及び特徴を示すことを理解されたい。
【0016】
図1から図7を参照すると、通路10を通る流体の流れを加熱するためのヒータが示されており、参照符号20で示されている。一般に、ヒータ20は、所定の形状(多くの種類が以下に詳細に図示され、説明される)を有する連続抵抗発熱体30を含み、抵抗発熱体30は流体の流れFに直接さらされ、即ち抵抗発熱体30を取り囲む断熱材又は覆いは無い。所定の形状は、必要な熱分布、構造強度、及び、通路内の背圧の低減を与える断面形状を含む。
【0017】
より具体的には、図1から図4に示すように、一形態の所定の形状は、2つの脚部40,41を含み、各脚部は、対向する部分42,44で示されるような蛇行形状を有する。対向する各部分42,44は、それらの間に必要な誘電体の間隔を与えるために、誘電体部材46によって分離されている。また、連続抵抗発熱体30は、電源及び/又はコントローラ(図示せず)に接続するための末端部分48及び50を含む。
【0018】
さらに、図1及び図2に示すように、一形態の誘電体部材46はブッシングである。ブッシング46は、対向する部分42,44の間に配置され、それらを横切って貫通する。さらに、ブッシング46は、図示のようにその中心を貫通する横方向部材52によって支持されている。
【0019】
同様の構成が図3及び図4に示され、対向する部分42,44は、チューブ60の形態内で誘電体部材によって分離されている。チューブ60は、前の形態と同様に横方向支持部材52を同様に有する。さらに、連続抵抗発熱体30は、誘電体部材46/60及びその支持部材52が貫通する開口部62を含む。
【0020】
対向する部分42,44は、等間隔に配置され、誘電体部材46/60は横方向に割り当てられるが、本開示の範囲内でありながら、連続抵抗発熱体30及び誘電体部材46/60のそれぞれのための代替の間隔及び位置を提供することができることを理解されたい。
【0021】
1つの形態では、誘電体部材46/60(セラミックである)は、連続抵抗発熱体30に活性ろう付けされる。さらに、ろう付けは、例えば、とりわけ、アルミナ、Mo-Mn、Niめっき、又は、銅ろう付けを含めてもよい。しかし、本開示の範囲内でありながら、機械的留め具又は接着などの他の種類の結合を採用してもよいことを理解されたい。このような結合は、以降の同様の様々な設計選択に適用されることを理解されたい。
【0022】
図5から図7を参照すると、連続抵抗発熱体の別の形態が示されており、参照符号70で示されている。この形態では、連続抵抗発熱体70は、示されるような蛇行波形である所定の形状を有する。対向する波形部分72,74は、誘電体部材76及び横方向支持部78によって同様に分離されている。さらに示されるように、波形部分72,74は、追加の誘電体部材76及び横方向支持部78を容易にでき、及び/又は代替流れ特性に対して軽量構造を提供する開口部80(図7に最もよく示されている)を含む。
【0023】
図8から図11は、連続抵抗発熱体のさらに別の形態を示しており、参照符号90で示されている。連続抵抗発熱体90は、半径方向に延びる様々な長さを有する対向する部分92,94を含み、誘電体ブッシング96(又は部材)は、図示されるように、通路の中央部分に沿って垂直に、通路の外周の周囲に半径方向に(97)配置される。この形態では、連続抵抗発熱体90は、誘電体ブッシング96/97の周りに、より具体的には、図示されるように、縮小された直径部分の周りに巻かれている。図10及び図11に示すように、各々の脚部98及び99は軸方向に互い違いに配置され、中央の誘電体ブッシング96は軸方向に一列に並べられ又は互いに接続されている。
【0024】
図12から14を参照すると、様々な距離の対向する部分のさらに別の形態が連続抵抗発熱体100に示されている。対向する部分104/106は、誘電体部材/ブッシング102の周りに巻かれるのではなく、末端として、又は、システム内で追加の加熱回路への接続のために、使用することができる端部タブ108を含む。図14に示すように、対向する部分104/106は、例えば、通路内の背圧を低減して必要な加熱を提供するように軸方向に互い違いに配置される。
【0025】
図15及び図16に移り、連続抵抗発熱体のさらに別の形態が示され、参照符号120で示されている。連続抵抗発熱体120は、複数の脚122を含む所定の形状を有し、各々の脚は、多角形形状を有する。この形態では、多角形形状は、外側に延びる部分124、横方向部分126、及び、内側に延びる部分128のセットの繰り返しを含み、各々の横方向部分126は、この代替設計におけるブロックの形態をした誘電体部材130によって分離されている。
【0026】
図17及び図18に示すように、誘電体部材130は、横方向部分126を誘電体部材に固定するための機械的留め具134を収容するための凹部132を含む。機械的留め具134は単なる例示であり、連続抵抗発熱体120と誘電体部材130との間の接続の形式を限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。例えば、上述したような活性ろう付けも、本開示の範囲内にありながら採用することができる。
【0027】
図19Aから図19Bを参照すると、通路を通る流体の流れを加熱するために使用されるヒータの別の形態は、翼150の所定の形状を有する少なくとも1つの抵抗発熱体を含む。翼150は、内部が空洞でもよく、通路内の流れ要件に従って翼の形状を変えるように形状記憶合金にしてもよい。複数の翼150は、区域全体に、又は、通路に沿った複数の軸方向の配置で採用されてもよいし、又は、単一の翼150が通路の全体の幅にわたって延びてもよい。さらに、様々なタイプの翼が使用されてもよく、特に、例えば、異なるNACA(全米航空諮問委員会)コンフィグレーション、低キャンバー、深いキャンバー、対称、又は、超音速を含む。翼形状の例が19Bに示される。通常、翼形状150は、流体の流れに必要な加熱プロファイルを与えながら、背圧を低減することを意図している。
【0028】
別の形態では、ヒータの断面形状は、不均一であるか、又は、回路の一部の領域で高剛性かつ改良された熱伝導が提供され、他の領域での成形性が改善されるような断面変化をする。
【0029】
図20Aから図20Cを参照すると、複数の連続抵抗発熱体170を通常備える流体の流れを加熱するために使用するための更なる形態のヒータが示され、各抵抗発熱体170は、所定の形状を有し、抵抗発熱体170は、流体の流れに直接さらされ、対応する複数の誘電体スペーサ172は、隣接する抵抗体170の間に配置され、所定の形状は、必要な熱分布、構造強度、及び、背圧の低減を与える断面形状を含む。ここでは、明確にするために、発熱体170及び誘電体スペーサ172の部分的な構成のみを示しており、したがって、特定の構成は、流体通路/流体管の全領域にわたって変化することを理解されたい。一つの形態では、複数の抵抗発熱体及び誘電体部材のうちの少なくとも1つは、流体の流れの混合を可能にする。
【0030】
所定の形状は、例えば、図20Aに示す「M」、図20Bに示す「Z」、又は、図20Cに示す「O」でもよい。所定の形状は、「U」、「C」、「I」、「T」、「V」、スプライン、及び/又は、閉じた形状断面のその他の典型的形状に加えて、これらのいずれか1つ又はその組合せでもよい。閉じた形状は、中が空洞でもよく、及び/又は、楕円、卵形、又は涙形(図示せず)などのような、図20Dに示す非円形でもよい。
【0031】
抵抗発熱体170は、直列回路又は直列回路と並列回路の組合せのうち1つで接続されてもよい。
【0032】
断面形状は、本開示の範囲内にあるが、図示のように流体の流れに垂直に配置されてもよいし、又は、流体の流れに対して横切る位置、又は、その他の向き及び/又はそれらの組合せで配置されてもよい。
【0033】
上記の配置のように、抵抗発熱体170は、流体が抵抗発熱体170の周りを通り抜けて流れるように、流体が通り抜けて流れることのできる開口部を含めてもよい。
【0034】
図20Dに示すように、流体管10は、内壁と、抵抗発熱体170の間に配置された少なくとも1つの誘電体材料172とを有することが示されている。流体管は、ヒータへの電気接続を保護するために、そこに取り付けられた電気ボックス182を含めてもよい。電気ボックス182は、本開示の一形態における電流スイッチングデバイスをさらに備える。別の形態では、電気ボックス182は、米国特許第7,627,455号に開示されているような分散動作システムをさらに含み、これは本出願と同一出願人に譲渡され、その内容は参照により本明細書にそっくりそのまま組み込まれる。また、所定の形状に対する流れは、本開示の範囲内にあるが、所定の形状に沿って、クロスフロー、又は、所定の形状に対する他の任意の方向の流れでもよいことを理解されたい。
【0035】
図21A-B及び図22A-Bを参照すると、所定の形状を有し、流体の流れに直接さらされる二重目的の抵抗発熱体は、流れのガイドとしても機能し、参照符号200で図解及び図示される。図21Aに示すように、曲がり部(例えば90°の屈曲)又は非線形部の周りを流れる流体は、図示されたように、流体通路又は導管の壁から分離する傾向がある。1つの形態において、二重目的の抵抗発熱体200は、図21Bに示すようにガイド羽根として使用され、そこでは、抵抗発熱体200は、流体の流れの方向と実質的に平行に配置され、この形態の半円形状を定める。同様に、図22Aでは、流体の流れはディフューザを通って分離する傾向がある。図22Bに示すように、抵抗発熱体200は、ガイドの役割を果たすために、ディフューザ又は導管の増加する断面積を通る流体の流れの方向と実質的に平行に配置される。この二重目的の抵抗発熱体200は、本開示の範囲内にあるが、流体通路又は流体管の任意の断面積に採用してもよいことを理解されたい。例えば、抵抗発熱体200は、導管の減少する断面積を通る流体の流れの方向に実質的に平行に配置されてもよい。
【0036】
本開示の別の形態では、ここで開示される任意の抵抗発熱体、及び/又は、誘電体スペーサ/部材は、流体の流れが混ざるように構成されてもよい。
【0037】
さらに別の形態では、抵抗発熱体の少なくとも1つは、抵抗発熱体がヒータと温度センサとして機能するように抵抗の温度係数を有する。そのような加熱システムは、米国特許第7,196,295号に開示されており、これは、本出願と共通に所有され、その内容は参照により本明細書にそっくりそのまま組み込まれる。
【0038】
別の変形例では、米国特許第7,257,464号に開示されているように、可変ワット数制御システムが採用され、これも本出願と共通に所有され、その内容は参照により本明細書にそっくりそのまま組み込まれる。
【0039】
さらに別の形態では、抵抗発熱体の表面の少なくとも一部が、流体の流れの少なくとも1つの構成化合物又は成分の化学反応を促進するための触媒で被覆される。
【0040】
別の設計では、抵抗発熱体は、所定の熱の分布を与えるように配置された複数の電気回路を形成する。
【0041】
さらに別の形態では、露出した抵抗発熱体又はその一部は、特定の用途において所望の電気絶縁を与えるために、例えば、約0.030”の厚さの窒化物層などのような誘電体材料で被覆されてもよい。
【0042】
所定の形状を有する連続抵抗発熱体の様々な形態は、本開示の範囲内であるが、全体を通して主に示されているように、流れの方向に沿う方向に向けて配置されてもよいし、流れ又は別の方向に対して横向きに配置されてもよいし、それらの組合せでもよいことを理解されたい。さらに、ここに図示され記載された様々な所定の形状は、開いた断面、閉じた断面、又はそれらの組合せを有してもよいし、及び/又は、必要な熱分布、構造強度、重量、コスト、及び/又は背圧の低減を達成する目的で、壁を貫通する開口部を含めてもよい。
【0043】
また、「流体」は、ガス、液体、又は、プラズマを意味すると解釈されるべきであり、上記のディーゼル排気ガスの例に限定されないことも理解されるべきである。
【0044】
本開示の説明は、事実上単に例示的なものであり、したがって、本開示の内容から逸脱しない変形は、本開示の範囲内にあるものとする。そのような変形は、本開示の精神及び範囲からの逸脱とはみなされない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図20D
図21A
図21B
図22A
図22B
【手続補正書】
【提出日】2022-01-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管を通る流体の流れを加熱するためのヒータであって、
前記導管内の流体の流れにさらされるように前記導管内に配置された少なくとも1つの抵抗発熱体を備え、
前記少なくとも1つの抵抗発熱体は、前記導管を通る流体の流れをガイドするための流れガイドとして機能するように構成された少なくとも1つのガイド羽根を定める、
ヒータ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのガイド羽根は、前記導管の壁からの流体の流れの分離を妨げる、請求項1に記載のヒータ。
【請求項3】
前記少なくとも1つのガイド羽根は、複数のガイド羽根を含み、前記ガイド羽根間の距離は、前記導管の増加する断面積での流体の流れをガイドするように、前記導管の流れの方向に増加する
請求項1に記載のヒータ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのガイド羽根は、複数のガイド羽根を含み、前記ガイド羽根間の距離は、前記導管の減少する断面積での流体の流れをガイドするように、前記導管の流れの方向に減少する
請求項に記載のヒータ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのガイド羽根は、曲がりの周りの流体の流れをガイドするように、流路の曲がりに従う
請求項に記載のヒータ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのガイド羽根は、前記曲がりの周りの流体の流れをガイドするように、前記流路の曲がりに従う複数のガイド羽根を含む
請求項に記載のヒータ。
【請求項7】
前記ガイド羽根は、前記曲がりに沿って互いに実質的に平行である
請求項に記載のヒータ。
【請求項8】
前記曲がりは、90°曲がりである
請求項に記載のヒータ。
【請求項9】
前記少なくとも1つのガイド羽根は、半円形状を定める、
請求項1に記載のヒータ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの抵抗発熱体は、翼形状、楕円形状又は卵形状である断面形状を有する
請求項1に記載のヒータ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの抵抗発熱体は、流体の流れに影響を与えるように断面形状を変えるように構成された形状変化材料を含む
請求項10に記載のヒータ。
【請求項12】
前記形状変化材料は、形状記憶合金である
請求項11に記載のヒータ。
【請求項13】
前記断面形状は、不均一である、
請求項10に記載のヒータ。
【請求項14】
前記断面形状は、翼形状である
請求項10に記載のヒータ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの抵抗発熱体は、流体の流れに直接さらされる露出した抵抗発熱体である
請求項に記載のヒータ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
本開示の説明は、事実上単に例示的なものであり、したがって、本開示の内容から逸脱しない変形は、本開示の範囲内にあるものとする。そのような変形は、本開示の精神及び範囲からの逸脱とはみなされない。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
通路を通る流体の流れを加熱するのに用いられるヒータであって、
所定の形状を有する抵抗発熱体で、前記流体の流れに直接さらされる前記抵抗発熱体を備え、
前記所定の形状は、熱分布、構造強度、及び、前記通路内の背圧の低減を与える断面形状を含む。
[2]
前記抵抗発熱体は形状記憶合金を含む、
[1]に記載のヒータ。
[3]
前記所定の形状は、対向する部分を有する複数の脚部を含み、前記対向する部分のそれぞれは、誘電体部材で分離される、
[1]に記載のヒータ。
[4]
前記誘電体部材は、ブッシング、ブロック、チューブ、及び、これらの組合せのうちの少なくとも1つを備える、
[3]に記載のヒータ。
[5]
前記誘電体部材は、前記対向する部分を横切って貫通する、
[3]に記載のヒータ。
[6]
前記対向する部分は、等間隔に配置され、前記誘電体部材は、横方向に割り当てられる、
[3]に記載のヒータ。
[7]
前記対向する部分は、半径方向に延びる様々な長さを定め、前記誘電体部材は、前記通路の中央部分に沿って垂直で、前記通路の周囲に半径方向に配置される、
[3]に記載のヒータ。
[8]
前記所定の形状は、対向する波形部分を有する蛇行波形を定め、前記波形部分は、複数の誘電体部材及び横方向支持部により分離される、
[3]に記載のヒータ。
[9]
前記所定の形状は、複数の脚を定め、前記脚のそれぞれは、多角形形状を定める、
[1]に記載のヒータ。
[10]
前記多角形形状は、外側に延びる部分、横方向部分、及び、内側に延びる部分のセットの繰り返しを含み、前記横方向部分のそれぞれは、誘電体部材により分離される、
[9]に記載のヒータ。
[11]
前記所定の形状は、不均一な断面を定める、
[3]に記載のヒータ。
[12]
前記所定の形状は、翼、楕円、卵形からなるグループから選択され、前記抵抗発熱体は、前記流体の流れに直接さらされる、
[1]に記載のヒータ。
[13]
各抵抗発熱体は、所定の形状を定め、前記抵抗発熱体は、前記流体の流れに直接さらされる、複数の抵抗発熱体と、
隣接する抵抗発熱体の間に配置された対応する複数の誘電体部材とを備え、
前記所定の形状は、熱分布、構造強度、及び、背圧の低減を与える断面形状を含む、
[1]に記載のヒータ。
[14]
前記所定の形状は、U、C、I、T、V、Z、スプライン、閉じた形状断面、及び、これらの組合せからなるグループから選択される、
[13]に記載のヒータ。
[15]
前記所定の形状は、内部が空洞、非円形、楕円、卵形、翼、涙形、及び、これらの組合せからなるグループから選択される閉じた形状断面を定める、
[13]に記載のヒータ。
[16]
前記抵抗発熱体は、直列回路、並列回路、及び、直列回路と並列回路の組合せのうちの1つで接続される、
[13]に記載のヒータ。
[17]
前記断面形状は、前記流体の流れに垂直、及び、前記流体の流れに対して横方向のうちの少なくとも1つに配置される、
[13]に記載のヒータ。
[18]
前記抵抗発熱体は、流体が前記抵抗発熱体を通り周りに流れることを可能にするサイズ及び形状の開口部を含む、
[13]に記載のヒータ。
[19]
前記抵抗発熱体の少なくとも1つは、流れのガイドとして動作する、
[13]に記載のヒータ。
[20]
前記抵抗発熱体は、前記流体通路の非線形部を通る前記流体の流れと実質的に平行に配置される、
[13]に記載のヒータ。
[21]
前記複数の抵抗発熱体の少なくとも1つは、前記通路の屈曲部内に配置される半円形の断面形状を定める、
[20]に記載のヒータ。
[22]
前記複数の抵抗発熱体及び前記誘電体部材の少なくとも1つは、前記流体の流れの混合を可能にする、
[13]に記載のヒータ。
[23]
前記複数の抵抗発熱体の少なくとも1つは、前記複数の抵抗発熱体をヒータ及び温度センサとして動作させることが可能な抵抗の温度係数を有する、
[13]に記載のヒータ。
[24]
前記抵抗発熱体の表面の少なくとも一部は、前記流体の流れの構成化合物及び成分の少なくとも1つとの化学反応を促進する触媒を含む、
[13]に記載のヒータ。
[25]
前記抵抗発熱体は、所定の熱の分布、その場の熱の分布、熱の動的分布、及び、これらの組合せのうちの少なくとも1つを可能にする複数の電気回路を形成する、
[13]に記載のヒータ。
[26]
[13]に記載のヒータを含む流体管であって、
前記流体管は、
内壁及び前記抵抗発熱体の間に配置された少なくとも1つの誘電体部材と、
前記ヒータへの電気接続を保護するように適合された前記流体管に取り付けられた電気ボックスで、電流スイッチングデバイス及び分散された動作システムのうちの少なくとも1つをさらに含む前記電気ボックスとを備える。
【外国語明細書】