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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043239
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】駆動装置、電子機器、撮像装置及び移動体
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20220308BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20220308BHJP
   G03B 37/00 20210101ALI20220308BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
G03B17/56 B
G03B15/00 P
G03B15/00 U
G03B37/00 C
H04N5/222 100
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021212307
(22)【出願日】2021-12-27
(62)【分割の表示】P 2017110106の分割
【原出願日】2017-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】尾花 慎司
(72)【発明者】
【氏名】根本 歩
(57)【要約】
【課題】小型化することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】カメラ100は、レンズユニット50を有するチルトユニット40と、チルトユニット40を支持するパンユニット30と、該パンユニット30が立設されるベースユニット20とを備え、ベースユニット20は制御基板220を有し、パンユニット30は筒状のパン軸部312aを有し、ベースユニット20は、パン軸部312aをベースカバー210のパン回転支持部210aへ嵌合させることによってパンユニット30を回転支持し、チルトユニット40の回転を検出する位置検出部は、パン軸の中心からみてパン用駆動部よりも外周側に配置される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動体を支持する支持部と、前記被駆動体の回転を検出する位置検出部と、前記被駆動体をパン軸を中心に回転させるためのパン用駆動部とを備える駆動装置であって、
前記パン用駆動部は、前記パン軸を中心軸とした円環状の摺動面に接触する接触点と、前記摺動面に対して前記接触点を押圧する加圧部とを有する駆動部を有し、前記駆動部は前記被駆動体を相対的に移動させ、
前記位置検出部は、前記パン軸の中心からみて前記接触点よりも外周側に配置されることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記支持部は筒状の軸部を有し、
前記被駆動体から引き出される配線は、前記軸部の中空部からなる配線領域に挿通されて制御基板へ接続されることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
前記位置検出部は、環状或いは円弧状であり周期的なパターンが形成されたスケールと、当該スケールに対向する前記被駆動体の回転位置を検出する検出部を備え、前記スケールが前記パン軸の中心からみて前記接触点よりも外周側に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
撮像ユニットを支持する支持部と、前記撮像ユニットの回転位置を検出する検出部と、前記検出部と対向し、環状或いは円弧状であり周期的なパターンが形成されたスケールと、前記撮像ユニットをパン軸を中心に回転させるためのパン用駆動部と、を備える駆動装置であって、
前記パン用駆動部は、前記パン軸を中心軸とした円環状の摺動面に接触する接触点と、前記摺動面に対して前記接触点を押圧する加圧部とを有する駆動部を有し、前記駆動部は前記撮像ユニットを相対的に移動させ、
前記パターンは前記パン軸の中心からみて前記接触点よりも外周側に配置されることを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
前記スケールは、配列される複数の明暗パターンからなる光学格子を有することを特徴とする請求項4記載の駆動装置。
【請求項6】
前記検出部は、基板と、前記基板に実装される発光部及び受光部アレイとを備えることを特徴とする請求項4または5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記撮像ユニットは、被写体を撮像する撮像デバイスと、前記撮像デバイスに電気的に接続される配線と、を備え、
前記支持部は筒状の軸部を有し、
前記配線は、前記筒状の軸部の中空部からなる配線領域に挿通されて、前記撮像ユニットにより撮像された画像の画像処理を行う制御基板に電気的に接続されることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項8】
被駆動体と、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の駆動装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
撮像ユニットと、請求項4乃至7のいずれか1項に記載の駆動装置を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項8記載の電子機器を備えることを特徴とする移動体。
【請求項11】
請求項9記載の撮像装置を備えることを特徴とする移動体。
【請求項12】
飛翔機構をさらに備え、前記飛翔機構によって飛翔中に前記撮像装置によって撮像することを特徴とする請求項11記載の移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被駆動体をアクチュエータによって駆動する駆動装置、電子機器、撮像装置及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アクションカムやウエアラブルカメラと称される小型のカメラが普及している(例えば、特許文献1参照。)。このようなカメラは撮影者の身体に装着されるだけでなく、移動体である自転車やドローン(無人航空機)に装着され、移動体の移動時に動画を撮影する。
【0003】
図13は、ドローンに従来の小型のカメラが装着される様子を示す図である。図13(A)はカメラの装着構成を説明するための分解図であり、図13(B)はカメラが装着されたドローンの斜視図である。図13(A)及び図13(B)において、ドローン1は複数、例えば、4つのプロペラを備えるクワッドコプターからなり、全てのプロペラの回転数を揃えることにより、機体を空中で安定保持(ホバリング)させる。また、ドローン1はプロペラの回転数を不均衡にすることにより、機体のバランスを変化させて姿勢を変更することができる。ドローン1に装着される小型のカメラ2はアクションカムからなる。カメラ2は比較的広角に撮影が可能な光学レンズユニットを搭載する。カメラ2は保持部材であるジンバル3によって保持される。ジンバル3はドローン1に対してビス4で固定され、カメラ2は不図示の固定部品によってジンバル3に固定される。固定部品としては、例えば、粘着性両面テープや結束バンドなどが適用される。ジンバル3には、固定されたカメラ2の姿勢を一定に維持する姿勢維持機構(図示しない)が内蔵される。姿勢維持機構はカメラ2のパン(水平・左右)方向/チルト(垂直・上下)方向/ロール(回転)方向の動きを制御し、カメラの撮影画像に対するドローン1の揺れの影響を排除する。
【0004】
図13のドローン1のカメラ2が画像を撮影する方向(以下、「撮像方向」という。)を変更するためにはジンバル3ごとドローン1の本体の向きを変更する必要があり、ドローン1の操縦者に不便を強いる。また、カメラ2が自転車のハンドルに装着される場合、撮像方向を変更するためにはハンドルの向きを変更する必要があり、自転車の運転者に不便を強いる。さらに、カメラ2が撮影者の身体に装着される場合、撮像方向を変更するためには身体の向きを変更する必要があり、やはり、撮影者に不便を強いる。
【0005】
そこで、レンズ鏡筒をパン方向やチルト方向へ大きく動かすことができるカメラが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2のカメラは、レンズ鏡筒を含むチルトユニットと、チルトユニットを含むパンユニットとを有し、それぞれはチルト駆動部、パン駆動部によって電気的に駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-82463号公報
【特許文献2】特開2014-212392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2のカメラでは、パンユニットの円滑な水平回転を実現するために、ワイヤーハーネスからなる電気的接続部がパンユニットの側方から引き出される。引き出された電気的接続部は水平回転するパンユニットに巻き付くが、巻き付く量が少ないときは撓んで電気的接続部の側方から飛び出すため、平面視において所定の領域を占める。その結果、特に平面視において、カメラのサイズを小さくすることができず、ドローンや自転車のハンドルへの装着の自由度が減じるおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、小型化することができる駆動装置、電子機器、撮像装置及び移動体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の駆動装置は、被駆動体を支持する支持部と、前記被駆動体の回転を検出する位置検出部と、前記被駆動体をパン軸を中心に回転させるためのパン用駆動部とを備える駆動装置であって、前記パン用駆動部は、前記パン軸を中心軸とした円環状の摺動面に接触する接触点と、前記摺動面に対して前記接触点を押圧する加圧部とを有する駆動部を有し、前記駆動部は前記被駆動体を相対的に移動させ、 前記位置検出部は、前記パン軸の中心からみて前記接触点よりも外周側に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小型化することができる駆動装置、電子機器、撮像装置及び移動体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る撮像装置としてのカメラを搭載したドローンの構成を概略的に示す図である。
図2図1におけるカメラの構成を概略的に示す分解斜視図である。
図3図2のカメラが有するパンニングユニットの構成を示す分解斜視図である。
図4】チルト駆動ユニットの構成を概略的に示す分解斜視図である。
図5】チルト位置検出ユニットのチルト用光学式センサの構成を概略的に示す図である。
図6】ベースユニットの内部構成を概略的に示す分解斜視図である。
図7】パン駆動ユニットの構成を概略的に示す分解斜視図である。
図8】パン位置検出ユニットのパン用光学式センサの構成を概略的に示す図である。
図9】パンベースのパン軸部近傍における配線の形態を説明するための部分拡大断面図である。
図10】ベースカバーの内部における配線の形態を説明するための部分拡大断面図である。
図11】制御基板やボトムカバーがベースカバーへ組み付けられる前の様子を説明するための図である。
図12】パン回転板及びパン用反射スケールの変形例を説明するための図である。
図13】ドローンに従来の小型のカメラが装着される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態では、無人航空機としてのドローン(移動体)に装着される撮像装置としてのカメラに本発明を適用する場合について説明するが、本発明の適用先はこれに限られない。本発明は、アクチュエータによって駆動される被駆動体を備える電子機器の全般に適用することができる。また、本発明が適用されるカメラは、ドローンだけでなく他の移動体(自動車や自転車)に装着することができ、さらに、撮影者の身体に装着することもできる。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る撮像装置としてのカメラを搭載したドローンの構成を概略的に示す図である。図1(A)は降着状態のドローンを示し、図1(B)は飛翔状態のドローンを示す。
【0014】
図1において、ドローン10は4つのプロペラ11a~11d(以下、まとめて「プロペラ11」という。)(飛翔機構)を備える。プロペラの数はドローン10の大きさや重量、用途等に応じて変化する。図1のドローン10は4つのプロペラを備えるクワッドコプターからなり、回転する各プロペラ11が生じる揚力によって飛翔する。また、全てのプロペラ11の回転数を揃えることにより、機体を空中でホバリングさせ、各プロペラ11の回転数を不均衡にすることにより、機体のバランスを変化させて姿勢を変更することができる。
【0015】
ドローン10にはカメラ100(電子機器)が装着される。カメラ100は、例えば、粘着性両面テープや結束バンドを用いてドローン10へ装着されるが、アタッチメント等の取付器具を用いてドローン10へ装着してもよい。なお、ドローン10におけるカメラ100の装着位置は特に限られないが、撮像のし易さや重量バランスの観点から、機体の中央近辺且つ下方に装着される。また、ドローン10は一対の降着脚であるスキッド12a,12bをさらに備える。スキッド12a,12bは可倒式に構成され、降着時にはドローン10の下方へ突出し(図1(A))、飛翔時にはドローン10の機体へ向けて引き上げられる(図1(B))。これにより、降着時に機体の下方に装着されたカメラ100が地面等と接触するのを防止するとともに、飛翔中にカメラ100がスキッド12a,12bを撮影するのを防止する。
【0016】
図2は、図1におけるカメラの構成を概略的に示す分解斜視図である。図3は、図2のカメラが有するパンニングユニットの構成を示す分解斜視図である。特に、図3(A)及び図3(B)は互いに異なる方向から斜視したパンニングユニットの構成を示す。
【0017】
図2及び図3において、カメラ100は、ベースユニット20(基台部)と、パンニングユニット30(支持部)と、レンズユニット50(被駆動体、撮像部)を保持するチルティングユニット40とを備える。なお、本実施の形態では、以下、チルティングユニットを「チルトユニット」と略し、パンニングユニットを「パンユニット」と略する。パンユニット30はベースユニット20の上に水平回転(パンニング)可能に載置され、パンユニット30にはチルトユニット40が垂直回転(チルティング)可能に取り付けられる。ここで、図2中の軸Pはパンユニット30の水平回転の中心軸(支持部の回転軸)を示し、同軸Tはチルトユニット40の垂直回転の中心軸を示す。軸Pと軸Tは互いに直交する。レンズユニット50は撮像光学系を有し、被写体を撮影する。ドローン10の飛翔中に飛行姿勢が一定に保たれていても、カメラ100はパンユニット30やチルトユニット40によってレンズユニット50を水平回転又は垂直回転させることにより、様々な方向、角度から被写体を撮影することができる。カメラ100は無線通信部(図示しない)をさらに備える。該無線通信部を介してカメラ100は外部機器からの操作を受け付ける。例えば、カメラ100はスマートフォン等の端末機器からリモート撮影や撮影画像の転送等の操作を受け付ける。
【0018】
ベースユニット20はベースカバー210、制御基板220、ボトムカバー230及びメインシャーシ240を有する。制御基板220は画像処理を行うCPUやメモリ等を搭載し、パンユニット30やチルトユニット40の駆動制御を行うドライバICも搭載する。ボトムカバー230は記録部231及びフレキシブルプリント基板(以下、「FPC」という。)232を搭載する。記録部231は、例えば、カードタイプの不揮発性メモリが収容可能なコネクタを実装するプリント基板であり、FPC232によって制御基板220と電気的に接続される。カメラ100は、記録部231に搭載される不揮発性メモリに対して画像処理を通じて生成された画像データを書き込むことにより、撮影画像を記録する。
【0019】
パンユニット30はパン基台310、パンカバー320及びパン回転板330を有する。パン基台310は、板状金属をプレス加工によってコの字状に折り曲げて成形したパンシャーシ311と、射出成型等の方法によって加工された樹脂製の円板状のパンベース312とを有する。パンシャーシ311はビスによってパンベース312に固定される。チルトユニット40は水平方向に沿って配置される円筒状部材からなる。パンシャーシ311の上端近傍には貫通穴を含む軸支部材としての一対のチルト回転支持部311aがビスによって締結される。チルト回転支持部311aは、低摩擦で摺動性に優れる樹脂(例えば、ポリアセタール(POM)等)を射出成型して形成される。なお、チルト回転支持部311aとして、ボールベアリングやローラーベアリング等の転がり軸受けを採用してもよい。各チルト回転支持部311aにはチルトユニット40の各側面から軸Tに沿って突出するチルト軸部40aが嵌合する。これにより、チルトユニット40はパンシャーシ311に保持されて軸Tを中心軸として回転(垂直回転)可能な状態でパンユニット30に支持される。パンベース312は下方に突出する筒状のパン軸部312aを有し、ベースカバー210へ軸Pに沿って穿設された貫通穴(穴部)を含む軸支部材としてのパン回転支持部210aにパン軸部312aが嵌合される。さらに、ベースカバー210の内側において、円環状部材からなるパン回転板330をパンベース312に締結することにより、パンユニット30は軸Pを中心軸として回転(水平回転)可能な状態でベースカバー210に載置される。レンズユニット50からは配線51が引き出され、該配線51によってレンズユニット50は制御基板220と電気的に接続される。配線51の配線の形態の詳細については後述する。配線51は、例えば、導体の芯線を絶縁体で被覆した複数の電線と、各電線の両端に接続されるコネクタと、電線を一定長さに亘って束ねる粘着テープとによって構成される。配線51に使用される電線は、例えば、内部導体、絶縁体、外部導体及び保護被覆によって構成される同軸ケーブルであってもよい。
【0020】
コの字状部材からなるパンシャーシ311は、ビスによってパンベース312に締結される平面を有する基台部311bと、該基台部311bに対して略垂直に立設する一対の腕部311cとからなる。チルトユニット40の一の側面にはチルト回転板41がビスによって固定される。また、チルトユニット40の他の側面には両面テープ40bによってチルト用反射スケール42が貼り付けられる。チルトユニット40がパンユニット30に支持される際、チルト回転板41やチルト用反射スケール42は各腕部311cに対向する。基台部311bには開口部311dが形成され、腕部311cには開口部311e及び開口部311fが形成される。なお、開口部311eや開口部311fは腕部311cに形成された穴によって構成されてもよく、腕部311cの一部を切り欠くことによって形成されてもよい。チルトユニット40から延出する配線51は、開口部311dに挿通される。パンシャーシ311では、後述するチルト駆動ユニット350(アクチュエータ)が開口部311eに進入するように配置され、後述するチルト位置検出ユニット360が開口部311fに進入するように配置される。
【0021】
カメラ100では、ベースカバー210に対してパンユニット30及びチルトユニット40が取り付けられた後に制御基板220がベースカバー210に固定される。制御基板220には、複数のコネクタが実装され、配線51だけでなく、チルト駆動ユニット350やチルト位置検出ユニット360から延出するFPCが接続される。ボトムカバー230には予め記録部231が組み付けられる。記録部231にはFPC接続用のコネクタが実装される。該コネクタにはFPC232の一端が接続され、ボトムカバー230をベースカバー210に組み付ける前にFPC232の他端が制御基板220に配置されるコネクタに接続される。ボトムカバー230はビスでベースカバー210に固定される。
【0022】
チルト駆動ユニット350は、超音波振動を利用して被駆動体を駆動する、いわゆる超音波モータからなるアクチュエータである。超音波モータを利用する際、駆動力を被駆動体に伝達するために、超音波モータを被駆動体へ加圧接触させる必要がある。本実施の形態でも、後述するように、チルト駆動ユニット350はチルトユニット40へ加圧接触する。
【0023】
図4は、チルト駆動ユニットの構成を概略的に示す分解斜視図である。図4において、チルト駆動ユニット350は、駆動部351、フェルト352、プレッサー353、バネ354及びケース355を有する。駆動部351は、振動子351a、圧電素子351b、配線部材としてのFPC351c及びベース部材351dを有する。圧電素子351bは振動子351aへ超音波振動を付与し、FPC351cは圧電素子351bに接着固定されて圧電素子351bへ高周波電圧を印加する。ベース部材351dは、振動子351a、圧電素子351b及びFPC351cを保持し、チルト駆動ユニット350がパンシャーシ311の腕部311cへ取り付けられる際、振動子351aをチルトユニット40に加圧接触させる。FPC351cは、制御基板220と直接接続され、ドライバICからの制御信号に応じて任意の高周波電圧を圧電素子351bに印加する。振動子351aは複数の突起からなる接触点351eを有する。圧電素子351bに高周波電圧が印加されると、振動子351aには任意の周波数の振動が励起され、各接触点351eの配列方向へ被駆動体を駆動する駆動力を生じる。振動子351aがチルトユニット40に加圧接触されるため、該駆動力はチルトユニット40へ伝達されてチルトユニット40をチルト駆動ユニット350に対して相対移動させる。
【0024】
また、チルト駆動ユニット350では、ケース355がビスによって腕部311cに固定され、ケース355に支持されたバネ354がフェルト352とプレッサー353を介して駆動部351を押圧する。プレッサー353は、駆動部351のベース部材351dの内部に配置され、軸Tと平行な方向にスライド移動し、バネ354の局所的な押圧力を広範囲に伝達する。これにより、チルト駆動ユニット350では、振動子351aが傾くこと無く押圧され、駆動部351の複数の接触点351eがチルトユニット40に対して均等に加圧される。また、フェルト352は、プレッサー353及び駆動部351の間に配置され、振動子351aで発生する振動を減衰し、該振動がプレッサー353やバネ354に伝わるのを抑制する。チルト駆動ユニット350は、少なくとも各接触点351eが腕部311cの開口部311eに進入するように、腕部311cへ取り付けられる。
【0025】
図2及び図3に戻り、チルトユニット40の一の側面には、上述したように、チルト回転板41が固定され、各接触点351eはチルト回転板41の摩擦摺動面41aに加圧接触する。摩擦摺動面41aにはラップ加工等の表面加工が施され、高い平面度を有し且つ平滑な平面が形成される。また、チルト回転板41には窒化処理等の硬化処理が施されたステンレス材等が用いられる。これにより、チルト回転板41は各接触点351eの安定的な接触と低摩耗量を両立する。なお、チルト回転板41の硬化処理としては、例えば、摩擦摺動面41aの表面に炭素を添加して硬化させる侵炭法を用いてもよい。
【0026】
また、チルト位置検出ユニット360はスペーサ361及びFPC362(他の配線)を有し、FPC362にはチルト用光学式センサ363及びコネクタ362aが実装される。FPC362はスペーサ361を介して、チルト用光学式センサ363の一部が腕部311cの開口部311fへ進入するように、ビスによって腕部311cに固定される。上述したように、チルトユニット40の他の側面にはチルト用反射スケール42が設けられるが、チルト位置検出ユニット360は、チルト用光学式センサ363及びチルト用反射スケール42が所定の間隔を挟んで対向するように腕部311cへ取り付けられる。また、FPC362は制御基板220に接続され、チルト用光学式センサ363の検出結果をCPUへ出力する。チルト用反射スケール42は、チルト軸部40aの回りに一定の周期で周方向に配列される複数の明暗パターンからなる光学格子42aを有する。チルト用反射スケール42の基材としては、例えば、アクリル(PMMA)やポリカーボネート(PC)などの樹脂が用いられる。また、チルト用反射スケール42では、基材の表面に、例えば、アルミニウム膜からなる光学格子42aが反射膜として形成される。なお、チルト用反射スケール42の基材は上述の基材に限らず、例えば、石英ガラスや青板ガラスやシリコンウエハを用いてもよい。また、光学格子42aとして、例えば、クロム膜を用いてもよい。
【0027】
図5は、チルト位置検出ユニットのチルト用光学式センサの構成を概略的に示す図である。図5(A)はチルト用光学式センサをチルトユニット側から眺めた図であり、図5(B)はチルト用光学式センサをカメラの正面側から眺めた図である。チルト用光学式センサ363は、基板363aと、該基板363aに実装される発光部363b及び受光部アレイ363cとを備える。発光部363bはチルト用反射スケール42に光を照射し、受光部アレイ363cはチルト用反射スケール42からの反射光を受光する。発光部363bとしては、例えば、発光ダイオードが用いられ、受光部アレイ363cとしては、例えば、フォトトランジスタが用いられる。具体的に、受光部アレイ363cは、発光部363bの照射光に起因する光学格子42aの明暗パターンからの反射光が入射する範囲に配列された複数のフォトトランジスタによって構成される。チルト用光学式センサ363は光学格子42aの明暗パターンからの反射光を受光部アレイ363cによって受光し、該受光した反射光を電気信号に変換する。光学格子42aの明暗パターンからの反射光は、反射パターンの像、所謂、反射率分布像を形成する。受光部アレイ363cは、該反射率分布像を光電変換して反射率分布像の光量分布に応じた正弦波状の波形の電気信号を出力する。カメラ100では、チルト用反射スケール42とチルト用光学式センサ363とが相対的に移動すると、光学格子42aの明暗パターンからの反射光によって形成される反射率分布像が変化する。カメラ100は、この変化に応じた正弦波状の電気信号を読み取ることにより、チルトユニット40の回転位置を検知する。そして、光学格子42aから受光部アレイ363cに入射する反射光の変動方向を読み取ることによって、チルトユニット40の回転方向を検知することができる。
【0028】
図6は、ベースユニットの内部構成を概略的に示す分解斜視図である。図6では、チルトユニット40が取り付けられたパンユニット30のベースカバー210への取付方法も併せて示す。パンユニット30がベースカバー210へ取り付けられる際、パン回転支持部210aにパン軸部312aが嵌合されるが、パン回転支持部210aは、低摩擦で摺動性に優れる樹脂(例えば、ポリアセタール(POM)等)を射出成型して形成される。なお、パン回転支持部210aとして、ボールベアリングやローラーベアリング等の転がり軸受けを採用してもよい。これにより、パンユニット30は軸P周りに円滑に回転(水平回転)可能な状態でベースユニット20に支持される。パンユニット30のパンベース312(パン軸部312a)には、カメラ100の底面側からパン回転板330がビスにより、軸Pを中心として締結される。また、パン回転板330には、不図示の両面テープによって円環板状のパン用反射スケール331(目盛り板)が、軸Pを中心として貼り付けられる。パン用反射スケール331はパン回転板330の外周寄りに配置される。ベースカバー210にパン回転板330及びパン用反射スケール331を組み込んだ後、カメラ100の底面側からメインシャーシ240が組み込まれ、ビスによってメインシャーシ240がベースカバー210に固定される。メインシャーシ240には、ビス穴以外に開口部240a及び開口部240bが形成される。開口部240bは隣接して配置された円形状開口及び矩形状開口からなる。チルトユニット40から延出する配線51は、後述する配線空間S(配線領域)を介して開口部240bの円形状開口に挿通され、制御基板220に接続される。メインシャーシ240には、パンユニット30を駆動するパン駆動ユニット250(他のアクチュエータ)と、パンユニット30の回転を検出するパン位置検出ユニット260(位置検出部)と、配線51を保持するケーブルホルダ241とが取り付けられる。メインシャーシ240では、パン駆動ユニット250が開口部240bの矩形状開口に進入するように配置され、パン位置検出ユニット260のパン用光学式センサ262(後述する)の一部が開口部240aに進入するように配置される。このとき、パン位置検出ユニット260は間にケーブルホルダ241の一部を挟み込んでメインシャーシ240へ取り付けられる。パン駆動ユニット250は、前述したチルト駆動ユニット350と同様の構成を有する超音波モータからなるアクチュエータである。したがって、駆動力を伝達するために、本実施の形態では、後述するように、パン駆動ユニット250がパンユニット30へ締結されたパン回転板330へ加圧接触する。
【0029】
図7は、パン駆動ユニットの構成を概略的に示す分解斜視図である。図7において、パン駆動ユニット250は、駆動部251、フェルト252、プレッサー253、バネ254及びケース255(固定部)を有する。駆動部251は、振動子251a、圧電素子251b、配線部材としてのFPC251c及びベース部材251dを有する。圧電素子251bは振動子251aへ超音波振動を付与し、FPC251cは圧電素子251bに接着固定されて圧電素子251bへ高周波電圧を印加する。ベース部材251dは、振動子251a、圧電素子251b及びFPC251cを保持し、パン駆動ユニット250がメインシャーシ240へ取り付けられる際、振動子251aをパン回転板330に加圧接触させる。FPC251cは、制御基板220と直接接続され、ドライバICからの制御信号に応じて任意の高周波電圧を圧電素子251bに印加する。振動子251aは複数の突起からなる接触点251eを有する。圧電素子251bに高周波電圧が印加されると、振動子251aには任意の周波数の振動が励起され、各接触点251eの配列方向へ被駆動体を駆動する駆動力を生じる。振動子251aがパン回転板330に加圧接触されるため、該駆動力はパン回転板330へ伝達されてパンユニット30をパン駆動ユニット250に対して相対移動させる。
【0030】
パン駆動ユニット250では、ケース255がビスによってメインシャーシ240に固定され、ケース255に支持されたバネ254がフェルト252とプレッサー253を介して駆動部251を押圧する。プレッサー253は、駆動部251のベース部材251dの内部に配置され、軸Pと平行な方向にスライド移動し、バネ254の局所的な押圧力を広範囲に伝達する。これにより、パン駆動ユニット250では、振動子251aが傾くこと無く押圧され、駆動部251の複数の接触点251eがパン回転板330に対して均等に加圧される。また、フェルト252は、プレッサー253及び駆動部251の間に配置され、振動子251aで発生する振動を減衰し、該振動がプレッサー253やバネ254に伝わるのを抑制する。パン駆動ユニット250は、少なくとも各接触点251eがメインシャーシ240の開口部240bの矩形状開口に進入するように、メインシャーシ240へ取り付けられる。
【0031】
パン回転板330の下面には、軸Pを中心として円環状に摩擦摺動面330aが形成され、各接触点251eは摩擦摺動面330aに加圧接触する。摩擦摺動面330aにはラップ加工等の表面加工が施され、高い平面度を有し且つ平滑な平面が形成される。また、パン回転板330には金属材、例えば、窒化処理等の硬化処理が施されたステンレス材が用いられる。これにより、パン回転板330は各接触点251eの安定的な接触と低摩耗量を両立する。なお、パン回転板330の硬化処理としては、例えば、摩擦摺動面330aの表面に炭素を添加して硬化させる侵炭法を用いてもよい。
【0032】
図6に戻り、パン位置検出ユニット260はFPC261を有し、FPC261にはパン用光学式センサ262が実装される。FPC261は、パン用光学式センサ262の一部がメインシャーシ240の開口部240aへ進入するように、ビスによってメインシャーシ240に固定される。このとき、FPC261はケーブルホルダ241の一部を挟み込むようにメインシャーシ240へ取り付けられる。上述したように、パン回転板330の下面にはパン用反射スケール331がパン回転板330の外周寄りに配置される。パン位置検出ユニット260は、パン用光学式センサ262及びパン用反射スケール331が所定の間隔を挟んで対向するようにメインシャーシ240へ取り付けられる。また、FPC261は制御基板220に接続され、パン用光学式センサ262の検出結果をCPUへ出力する。パン用反射スケール331は、軸P(パン軸部312a)の回りに一定の周期で周方向に配列される複数の明暗パターンからなる光学格子331a(目盛り)を有する。摩擦摺動面330aとパン用反射スケール331は軸Pに関して同心に配置され、パン用反射スケール331は摩擦摺動面330aよりもパン回転板330の外周側に配置される。パン用反射スケール331の基材としては、例えば、アクリル(PMMA)やポリカーボネート(PC)などの樹脂が用いられる。また、パン用反射スケール331では、基材の表面に、例えば、アルミニウム膜からなる光学格子331aが反射膜として形成される。なお、パン用反射スケール331の基材は上述の基材に限らず、例えば、石英ガラスや青板ガラスやシリコンウエハを用いてもよい。また、光学格子331aとして、例えば、クロム膜を用いてもよい。
【0033】
図8は、パン位置検出ユニットのパン用光学式センサの構成を概略的に示す図である。図8(A)はパン用光学式センサをパンユニット側から眺めた図であり、図8(B)はパン用光学式センサをカメラの正面側から眺めた図である。パン用光学式センサ262は、基板262aと、該基板262aに実装される発光部262b及び受光部アレイ262cとを備える。発光部262bはパン用反射スケール331に光を照射し、受光部アレイ262cはパン用反射スケール331からの反射光を受光する。発光部262bとしては、例えば、発光ダイオードが用いられ、受光部アレイ262cとしては、例えば、フォトトランジスタが用いられる。具体的に、受光部アレイ262cは、発光部262bの照射光に起因する光学格子331aの明暗パターンからの反射光が入射する範囲に配列された複数のフォトトランジスタによって構成される。パン用光学式センサ262は光学格子331aの明暗パターンからの反射光を受光部アレイ262cによって受光し、該受光した反射光を電気信号に変換する。光学格子331aの明暗パターンからの反射光は、反射パターンの像、所謂、反射率分布像を形成する。受光部アレイ262cは、該反射率分布像を光電変換して反射率分布像の光量分布に応じた正弦波状の波形の電気信号を出力する。カメラ100では、パン用反射スケール331とパン用光学式センサ262とが相対的に移動すると、光学格子331aの明暗パターンからの反射光によって形成される反射率分布像が変化する。カメラ100は、この変化に応じた正弦波状の電気信号を読み取ることにより、パン回転板330、すなわち、パンユニット30の回転位置を検知する。そして、光学格子331aから受光部アレイ262cに入射する反射光の変動方向を読み取ることによって、パンユニット30の回転方向を検知することができる。
【0034】
図9は、パンベースのパン軸部近傍における配線の形態を説明するための部分拡大断面図であり、図10は、ベースカバーの内部における配線の形態を説明するための部分拡大断面図である。
【0035】
図9及び図10において、チルト駆動ユニット350及びチルト位置検出ユニット360はパンベース312の内部で電気的に接続される。具体的には、チルト駆動ユニット350からFPC351cが延出し、該FPC351cの先端部がFPC362のコネクタ362aに接続される。カメラ100では、筒状のパン軸部312aの内側の中空部に配線空間Sが形成され、配線51やFPC362等が配線空間Sに挿通されて制御基板220に接続される。本実施の形態において、配線空間Sは3つの空間に区分けされる。具体的には、配線空間Sは、余長収容空間312b(第1の領域)、挿通空間241b及び余長収容空間W(第2の領域)を有する。チルトユニット40がチルト駆動やパン駆動するときに、配線51はチルトユニット40の動きに追従するために余長部分が必要になる。チルトユニット40の動きによっては配線51の余長部分が撓み、不必要な空間を占拠するおそれがある。カメラ100では、これに対応して、筒状のパン軸部312aの内側空間の略上半分を占める余長収容空間312bが配線51の余長部分を収容する。FPC351cは余長収容空間312bの外周に沿って配線されてコネクタ362aに接続される。
【0036】
余長収容空間312bの直下にはケーブルホルダ241が配置される。ケーブルホルダ241は、軸Pに沿って図中上方へ向けて突出する筒状の壁部241aを有する。ケーブルホルダ241は、壁部241aがパン軸部312aの内側空間へ挿入されて余長収容空間312bに対向するようにメインシャーシ240へ取り付けられる。壁部241aの内側には、ケーブルホルダ241を上下に貫通する挿通空間241bが形成され、配線51は挿通空間241bへ挿通されて制御基板220に接続される。また、ケーブルホルダ241は、挿通空間241bの下端に配置されるケーブル保持部241cを有し、ケーブル保持部241cは、挿通空間241bを挿通する配線51を固定保持する。ケーブル保持部241cは円弧状の腕部を有し、該腕部によって配線51を挟み込む。ケーブル保持部241cは軸P上に配置され、配線51を軸Pに沿って保持する。これにより、パンユニット30が水平回転する際、配線51は軸Pを中心に捻られるのみとなり、不必要に撓むことが無く、配線51が占拠する空間を小さくすることができる。すなわち、余長収容空間312bや挿通空間241bを小さくすることができる。また、配線51は不必要に撓むことがないため、不規則に変形しない。これにより、不規則な変形の繰り返しに起因する配線51の断線を防止することができる。
【0037】
パン軸部312aの壁部312cとケーブルホルダ241の壁部241aの間には、挿通空間241bを囲むように環状空間である余長収容空間Wが形成される。パンユニット30が水平回転する際、FPC362はパンユニット30の水平回転に追従するために余長部分が必要になる。パンユニット30の動きによってはFPC362の余長部分が撓み、不必要な空間を占拠するおそれがある。カメラ100では、これに対応して、余長収容空間WがFPC362の余長部分を収容する。具体的に、FPC362は、余長収容空間Wにおいて、ケーブルホルダ241の壁部241aに複数回分巻回される。FPC362の余長部分の一端はパンベース312へ不図示の両面テープ等で接着固定され、他端はケーブルホルダ241へ不図示の両面テープ等で接着固定される。これにより、パンユニット30が水平回転しても、FPC362の余長部分は、余長収容空間Wにおいて、巻き緩み又は巻き締りするのみであり、余長収容空間Wの外において撓むことがない。また、FPC362は撓むことがないため、不規則に変形しない。これにより、不規則な変形の繰り返しに起因するFPC362の断線を防止することができる。
【0038】
壁部312cの外側において、パン回転板330がパンベース312に締結される。これにより、パン回転板330はパンベース312とともに、ベースユニット20によって回転可能に保持される。パン位置検出ユニット260は、軸Pに沿って眺めたとき、パン駆動ユニット250に対して軸P周りに所定角度だけ回転移動して配置される。
【0039】
カメラ100では、軸Pに沿って眺めたとき、軸Pからパン駆動ユニット250の接触点251eまでの距離(以下、「駆動半径」という。)は短い方が好ましい。これにより、接触点251eの一振動当たりのパンユニット30の移動角度を大きくすることができ、もって、パンユニット30の回転移動速度を高くすることができる。このとき、駆動半径は、パン回転支持部210a及びパン軸部312aの摩擦負荷、パンユニット30の重量、パンユニット30の回転時の配線51や摺動摩擦負荷、並びにパン駆動ユニット250が発生可能な駆動力を考慮して決定される。また、軸Pに沿って眺めたとき、軸Pからパン用光学式センサ262が光学格子331aからの反射光を検出する検出点までの距離(以下、「検出半径」という。)は長い方が好ましい。これにより、検出点における単位移動角あたりのパンユニット30の回転移動量を大きくすることでき、もって、パン用光学式センサ262によって得られる反射率分布像の精度を向上することができる。このとき、検出半径は、ベースカバー210に収容可能なパン用反射スケール331の最大直径を考慮して決定される。カメラ100では、パン用反射スケール331がパン回転板330の外周寄りに配置されるため、検出半径が駆動半径よりも大きくなる。これにより、パン動作の高速化とパン回転検出の精度向上を両立させることができる。
【0040】
また、本実施の形態では、配線51やFPC362が、パンユニット30の筒状のパン軸部312aの内側の中空部に形成される配線空間Sに挿通されて制御基板220へ接続される。これにより、配線51やFPC362をパンユニット30の側方から引き出す必要を無くすことができる。その結果、パンユニット30が水平回転する際、引き出される配線51やFPC362が撓んで不必要な空間を占拠することが無い。すなわち、配線51やFPC362をパンユニット30の側方から引き出す場合に比して、軸Pに沿って眺めたとき、カメラ100を小型化することができる。さらに、カメラ100では、余長収容空間312bに配線51bの余長部分を収容し、余長収容空間WにFPC362の余長部分を収容する。これにより、配線51やFPC362に余長部分を設けることができ、配線51やFPC362をチルトユニット40の水平回転に追従させることができる。
【0041】
なお、ベースカバー210に対してパンユニット30、及びチルトユニット40の組み付けが完了した後に制御基板220と、ボトムカバー230を組み付けると、カメラ100の組み立てが完了する。
【0042】
図11は、制御基板やボトムカバーがベースカバーへ組み付けられる前の様子を説明するための図である。図11において、パン駆動ユニット250は、駆動部251が摩擦摺動面330aと対向するようにメインシャーシ240に固定される。パン駆動ユニット250はケース255を有するが、該ケース255は平面視において略矩形を呈する。ケース255は、パン駆動ユニット250の各構成部品を収容する凹部からなる収容部255aと、収容部255aの両端に配置される2つの固定端部255bとを有する。各固定端部255bがビスによってメインシャーシ240に固定されることにより、ケース255は各構成部品をバランス良く押圧する。その結果、駆動部251の複数の接触点251eがパン回転板330に対して均等に加圧される。収容部255aは各構成部品を収容する必要があるため、収容部255a近辺のパン駆動ユニット250の厚みが大きくなる。一方、各固定端部255bは各構成部品を収容する必要が無いため、各固定端部255b近辺のパン駆動ユニット250の厚みは小さくなる。また、パン用反射スケール331はパン回転板330に貼り付けられるため、パン用反射スケール331近辺のパン回転板330の厚みが大きくなる。一方、摩擦摺動面330aには何も貼り付けられないため、摩擦摺動面330a近辺のパン回転板330の厚みは小さくなる。カメラ100では、パン駆動ユニット250をメインシャーシ240に固定する際、厚みが大きいパン駆動ユニット250の収容部255a近辺を、厚みが小さいパン回転板330の摩擦摺動面330a近辺に重なるように配置する。また、厚みが小さいパン駆動ユニット250の各固定端部255b近辺を、厚みが大きいパン回転板330のパン用反射スケール331近辺に重なるように配置する。これにより、パン回転板330及びパン駆動ユニット250が占拠する空間を小さくすることができ、ひいては、カメラ100をより小型化することができる。
【0043】
図10に戻り、カメラ100では、制御基板220は複数のコネクタ(図示しない)を有し、配線51やFPC362等が各コネクタへ接続される。ボトムカバー230の記録部231はFPC接続用のコネクタを有し、該コネクタにFPC232の一端が接続される。また、FPC232の他端を制御基板220のコネクタに接続した後、ボトムカバー230をビスによってベースカバー210に固定する。ボトムカバー230の記録部231の下部には電池接点231aが実装される。ボトムカバー230には該電池接点231aと対向するように開口部が形成され、該開口部には電池接点231aの先端部分が露出する。カメラ100では、ボトムカバー230へ外部電源(図示しない)が装着される。外部電源としては、例えば、アルカリ二次電池やリチウムイオン二次電池を搭載したバッテリパックが該当する。ボトムカバー230には外部電源の取り付け部230aが形成され、外部電源が取り付け部230aに固定されると、外部電源側の電子接点が電池接点231aと接触し、カメラ100に電力が供給される。なお、外部電源はドローン10の本体に搭載してもよい。この場合、カメラ100がドローン10に装着されると、電池接点231aがドローン10の下部に形成される電子接点(図示しない)と接触し、ドローン10からカメラ100へ電力が供給される。
【0044】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、本実施の形態では、パン基台310を板状金属で形成されるパンシャーシ311及び樹脂製からなるパンベース312で構成するが、パンシャーシ311及びパンベース312を一体的に高強度な樹脂材料で形成してもよい。
【0045】
図12は、パン回転板及びパン用反射スケールの変形例を説明するための図である。特に、図12(A)はパン回転板及びパン用反射スケールを下方から眺めた場合を示し、図12(B)は図12(A)における線A-Aに沿う断面を示す。以下、パン回転板330やパン用反射スケール331の構成と異なる構成を説明する。パン回転板330と略同様の構成を有するパン回転板430の下面には、軸Pを中心として円環状に摩擦摺動面430aが形成される。パン用反射スケール331と略同様の構成を有するパン用反射スケール431は軸Pの回りに一定の周期で周方向に配列される複数の明暗パターンからなる光学格子431aを有する。軸Pに沿って眺めたとき、パン用反射スケール431の内側にパン回転板430が内包されるように配置され、パン用反射スケール431の内周部の一部とパン回転板430の外周部の一部が重なる。具体的には、パン用反射スケール431の内周部には周方向に関して等間隔に複数の一対の突出部431bが形成される。各突出部431bは軸Pへ向けて突出する楔状の突出片である。各突出部431bの範囲432に紫外線硬化接着剤等を塗布し、各突出部431bをパン回転板430の外周部へ貼り付けた後、紫外線照射によって接着剤を硬化させてパン回転板430へパン用反射スケール431を固定する。その後、パン回転板430はパンベース312にビスによって固定される。接着剤を塗布する各突出部431bを楔状の突出片で構成することにより、接着剤を突出部431bに留まりやすくすることができる。また、各突出部431bのみに接着剤を塗布することにより、接着剤の塗布量を低減することができ、ひいては、接着剤の硬化時間を短縮してカメラ100の生産性を向上させることができる。
【0046】
ここで、パン用反射スケール431を用いたパンユニット30の回転検出は非接触で行われるため、パン用反射スケール431に荷重は作用しない。したがって、パン用反射スケール431をパン回転板430へ強固に取り付ける必要がなく、具体的には、ビス等の締結部材を用いて取り付ける必要が無い。これにより、パン回転板430及びパン用反射スケール431のアッセンブリ時の厚みを小さくすることができ、もって、カメラ100の小型化に寄与することができる。また、パン用反射スケール431の固定に用いられる接着剤は、紫外線硬化接着剤に限られず、例えば、熱硬化接着剤等の各種接着剤を用いることができる。さらに、パン用反射スケール431に各突出部431bを設けること無く、パン回転板430の外周部に各突出部431bと同様の突出部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0047】
P,T 軸
S 配線空間
W 余長収容空間
10 ドローン
11 プロペラ
20 ベースユニット
30 パンユニット
40 チルトユニット
50 レンズユニット
51 配線
100 カメラ
210 ベースカバー
220 制御基板
240 メインシャーシ
241 ケーブルホルダ
241b 挿通空間
241c ケーブル保持部
250 パン駆動ユニット
251 駆動部
251a 振動子
251b 圧電素子
255 ケース
255a 収容部
255b 固定端部
260 パン位置検出ユニット
330 パン回転板
330a 摩擦摺動面
331 パン用反射スケール
331a 光学格子
362 FPC
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の駆動装置は、被駆動体を支持する支持部と、前記被駆動体のパン軸を中心とした回転を検出する位置検出部と、前記被駆動体を前記パン軸を中心に回転させるためのパン用駆動部とを備える駆動装置であって、前記パン用駆動部は、前記パン軸を中心軸とした円環状の摺動面に接触する接触点と、前記摺動面に対して前記接触点を押圧する加圧部とを有する駆動部を有し、前記駆動部は前記被駆動体を相対的に移動させ、前記位置検出部は、前記パン軸の中心からみて前記接触点よりも外周側に配置されることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動体を支持する支持部と、前記被駆動体のパン軸を中心とした回転を検出する位置検出部と、前記被駆動体を前記パン軸を中心に回転させるためのパン用駆動部とを備える駆動装置であって、
前記パン用駆動部は、前記パン軸を中心軸とした円環状の摺動面に接触する接触点と、前記摺動面に対して前記接触点を押圧する加圧部とを有する駆動部を有し、前記駆動部は前記被駆動体を相対的に移動させ、
前記位置検出部は、前記パン軸の中心からみて前記接触点よりも外周側に配置されることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記支持部は筒状の軸部を有し、
前記被駆動体から引き出される配線は、前記軸部の中空部からなる配線領域に挿通されて制御基板へ接続されることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
前記位置検出部は、環状或いは円弧状であり周期的なパターンが形成されたスケールと、当該スケールに対向する前記被駆動体の回転位置を検出する検出部を備え、前記パターンは前記パン軸の中心からみて前記接触点よりも外周側に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記スケールは、配列される複数の明暗パターンからなる光学格子を有することを特徴とする請求項3記載の駆動装置。
【請求項5】
撮像ユニットを支持する支持部と、前記撮像ユニットのパン軸を中心とした回転位置を検出する検出部と、前記検出部と対向し、環状或いは円弧状であり周期的なパターンが形成されたスケールと、前記撮像ユニットを前記パン軸を中心に回転させるためのパン用駆動部と、を備える駆動装置であって、
前記パン用駆動部は、前記パン軸を中心軸とした円環状の摺動面に接触する接触点と、前記摺動面に対して前記接触点を押圧する加圧部とを有する駆動部を有し、前記駆動部は前記撮像ユニットを相対的に移動させ、
前記パターンは前記パン軸の中心からみて前記接触点よりも外周側に配置されることを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
前記スケールは、配列される複数の明暗パターンからなる光学格子を有することを特徴とする請求項記載の駆動装置。
【請求項7】
前記検出部は、基板と、前記基板に実装される発光部とを備えることを特徴とする請求項またはに記載の駆動装置。
【請求項8】
前記撮像ユニットは、被写体を撮像する撮像デバイスと、前記撮像デバイスに電気的に接続される配線と、を備え、
前記支持部は筒状の軸部を有し、
前記配線は、前記筒状の軸部の中空部からなる配線領域に挿通されて、前記撮像ユニットにより撮像された画像の画像処理を行う制御基板へ接続されることを特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項9】
被駆動体と、請求項1乃至のいずれか1項に記載の駆動装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
撮像ユニットと、請求項乃至のいずれか1項に記載の駆動装置を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項記載の電子機器を備えることを特徴とする移動体。
【請求項12】
請求項10記載の撮像装置を備えることを特徴とする移動体。
【請求項13】
飛翔機構をさらに備え、前記飛翔機構によって飛翔中に前記撮像装置によって撮像することを特徴とする請求項12記載の移動体。