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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043274
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】熱原子層エッチングプロセス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20220308BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
【審査請求】有
【請求項の数】32
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021214437
(22)【出願日】2021-12-28
(62)【分割の表示】P 2019530792の分割
【原出願日】2017-12-07
(31)【優先権主張番号】62/449,945
(32)【優先日】2017-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/432,318
(32)【優先日】2016-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/485,330
(32)【優先日】2017-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/455,989
(32)【優先日】2017-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512144771
【氏名又は名称】エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】ブロムバーグ トム イー.
(72)【発明者】
【氏名】ジュー チーユー
(72)【発明者】
【氏名】トゥオミネン マルコ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハウッカ スヴィ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】シャルマ ヴァルン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】一つ以上のエッチサイクルを含む化学原子層エッチングプロセスによって、基材上の膜を反応チャンバーでエッチングする方法を提供する。
【解決手段】方法は、基材が第一の気相ハロゲン化物反応物質および第二の蒸気ハロゲン化物反応物質に交互に、かつ、順次に曝露される少なくとも一つのエッチサイクルを含む。第一の反応物質は、有機ハロゲン化物化合物を含んでもよい。熱ALEサイクルの間、基材はプラズマ反応物質と接触しない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学原子層エッチングによって反応チャンバー内の基材の表面上の膜をエッチングする方法であって、前記方法が、一つ以上のエッチングサイクルを含み、各サイクルが、
第一のハロゲン化物配位子を含む第一の気相ハロゲン化物反応物質に前記基材を曝露して前記基材表面上に吸着種を形成することであって、前記第一の気相ハロゲン化物反応物質が水素を含まない、形成すること、および、
続いて、前記基材を、少なくとも一部の材料が前記膜から除去されるように、前記吸着種を揮発性種に変換する第二のハロゲン化物配位子を含む第二の気相ハロゲン化物反応物質に前記基材を曝露することであって、前記第二の気相ハロゲン化物反応物質が、水素を含まない、曝露すること、を含み、および、
前記エッチングサイクル中に前記基材がプラズマ反応物質と接触していない、方法。
【請求項2】
前記膜がW、TiN、TiO、TaN、SiN、AlO、Al、ZrO、WO、SiOCN、SiOC、SiCN、AlN、またはHfOを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の気相ハロゲン化物反応物質が金属ハロゲン化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属ハロゲン化物は、Nb、Ta、Mo、Sn、V、Re、Te、W、ならびに群5および6の遷移金属から選択される金属を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第一の気相ハロゲン化物反応物質が金属を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の気相ハロゲン化物反応物質は有機ハロゲン化物化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第一の気相ハロゲン化物反応物質が、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アシル、スルホニルハロゲン化物、スルフェニルハロゲン化物、ハロゲン化セレニル、または有機配位子を含むハロゲン化ホウ素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第一の気相ハロゲン化物反応物質は、フルオロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメチルトリフルオロメタンスルホナート、サルファテトラフルオリドサルファクロリドペンタフルオリド、または、六フッ化硫黄、または、1-クロロ2-(ペンタフルオロスルフラニルオキシ)エタンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第一の気相ハロゲン化物反応物質が、クロロスルホニルイソシアネートまたはN,N-ジメチルスルファモイルクロリドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第一の気相ハロゲン化物反応物質がホウ素、水素、およびハロゲン化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第一の気相ハロゲン化物反応物質がリン、酸素、およびハロゲン化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第一の気相ハロゲン化物反応物質がアンチモンおよびハロゲン化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第一の気相ハロゲン化物反応物質が、一つ以上の-CF基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記エッチングサイクルを順次に二回以上繰り返すことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記第一および第二のハロゲン化物配位子がClである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第二の気相ハロゲン化物反応物質は金属を含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第二の気相ハロゲン化物反応物質が炭素系ハロゲン化物である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第二の気相ハロゲン化物反応物質はCClまたはCBrを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記エッチングサイクル中の前記基材の温度が300℃~500℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
化学原子層エッチングによって反応チャンバー内の基材の表面上の膜をエッチングする方法であって、前記方法が、一つ以上のエッチングサイクルを含み、各サイクルが、
第一の気相反応物質が前記基材表面上の分子と反応して基材の表面上に反応物質種を形成するように、前記基材を前記第一の気相反応物質に曝すこと、および
続いて、前記反応物質種が揮発性反応生成物に変換され、前記膜の一部が前記基材表面から除去されるように、前記基材を第二の気相反応物質に曝露することであって、前記基材が前記エッチングサイクル中にプラズマ反応物質と接触しない、曝露すること、を含む、方法。
【請求項21】
前記第一の気相反応物質はCSeを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第一の気相反応物質が、S=R=S構造を有する化合物を含み、ここで、Rが炭素であってもよく、またはC2-C8などの任意の炭化水素であり得る、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記第一の気相反応物質はCSを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第二の気相反応物質がトリエチルアルミニウム(TEA)またはトリメチルアルミニウム(TMA)を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
二つ以上のエッチングサイクルを含む、反応チャンバー内の基材上の膜をエッチングする方法であって、各サイクルが、
水素を含まない第一の気相ハロゲン化物反応物質へ前記基材を曝露すること、および
続いて、前記基材を、水素を含まない第二の異なる気相ハロゲン化物反応物質に曝露すること、および
前記基材を、第一および第二の気相反応物質とは異なる第三の気相反応物質に曝露すること、を含み、
前記エッチングサイクル中に前記基材がプラズマ反応物質と接触していない、方法。
【請求項26】
追加の気相反応物質が、一つ以上のSO、HS、NH、HO、HCOOH、H、およびヒドラジンを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
基材表面上に薄膜をエッチングする方法であって、前記方法が、
第一のハロゲン化物配位子を含む第一の気相ハロゲン化物反応物質に前記基材表面を曝露して、第一の反応物質種を前記基材表面上に形成することであって、前記第一の気相ハロゲン化物反応物質が水素を含まない、形成すること、および、
続いて、第二の気相ハロゲン化物反応物質が前記第一の反応物質種を気相反応生成物に変換するように、第二のハロゲン化物配位子を含む前記第二の気相ハロゲン化物反応物質に前記基材を曝露することであって、前記第二の気相ハロゲン化物反応物質が水素を含まない、曝露すること、を含み、
前記第一の反応物質種の前記形成または前記第二の気相ハロゲン化物反応物質の気相反応生成物への前記変換は、自己制御ではない、方法。
【請求項28】
前記エッチングサイクル中に前記基材がプラズマ反応物質と接触していない、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第一の反応物質種の前記形成および前記第二の気相ハロゲン化物反応物質の気相反応生成物への前記変換が、自己制御ではない、請求項27に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月9日出願の米国仮特許出願第62/432,318号、2017年1月24日出願の米国仮特許出願第62/449,945号、2017年2月7日出願の米国仮特許出願第62/455,989号、および2017年4月13日出願の米国仮特許出願第62/485,330号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本出願は、エッチングプロセス、より具体的には、逐次反応を用いた熱原子層エッチングプロセスに関する。
【0003】
原子層堆積(ALD)などの蒸着プロセスは周知である。ALDプロセスは典型的には、気相反応物質の交互パルスおよび連続パルスを利用して、制御された高度な共形の様式で材料の単層まで堆積する。ALDによって堆積させた薄膜は、集積回路の形成などの幅広い用途で使用される。材料の制御された除去も非常に望ましい。ALDとは対照的に、原子層エッチング(ALE)は、気相反応物質の連続パルスを利用して、各反応サイクル内の基材から材料を除去する。典型的なALEプロセスは、第一の反応物質を利用して基材表面上に、次にプラズマから生成される第二の励起種によって除去される第一の種を形成する。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態では、一つ以上のエッチサイクルを含む化学原子層エッチングプロセスによって、基材上の膜を反応チャンバーにエッチングする。各エッチサイクルは、基材を非金属ハロゲン化物反応物質などの第一の気相ハロゲン化物反応物質に曝露し、基材表面上に吸着種を形成し、続いて、基材を第二の気相反応物質に暴露することを含み、第二の気相反応物質が吸着種をエッチングされる表面から一つ以上の原子を含む揮発性種に変換する。このようにして、少なくとも一部の材料は、各エッチサイクルの膜から除去される。
【0005】
いくつかの実施形態では、非金属ハロゲン化物反応物質などの第一の気相ハロゲン化物反応物質が第一のハロゲン化物配位子を含み、第二の気相反応物質が第二のハロゲン化物配位子を含む。いくつかの実施形態では、エッチングサイクル中に、基材はプラズマ反応物質と接触しない。いくつかの実施形態では、エッチングサイクルは二回以上繰り返される。いくつかの実施形態では第一の気相ハロゲン化物反応物質は、金属を含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、揮発性付加物はアトラン化合物を含む。いくつかの実施形態では、アトラン化合物はトリス(2-アミノエチル)アミンまたはトリエタノールアミンから形成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、膜は、W、TiN、TiO、TaN、SiN、SiO、AlO、AlO、Al、ZrO、ZrO、WO、SiOCN、SiOC、SiCN、AlN、およびHfOのうちの少なくとも一つを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、エッチングされる表面は、TiNまたはTaNなどの金属窒化物を含み、第二の気相反応物質はルイス酸を含む。
いくつかの実施形態では、第一の気相ハロゲン化物反応物質は、金属ハロゲン化物を含む。いくつかの実施形態では、金属は、Nb、Ta、Mo、Sn、V、Re、W、または第5族または6族の遷移金属を含む。いくつかの実施形態では、第一の気相ハロゲン化物反応物質は、SbまたはTeを含む。いくつかの実施形態では、ハロゲン化物は、塩化物、フッ化物、臭化物、またはヨウ化物を含む。いくつかの実施形態では、第一の気相ハロゲン化物反応物質は、NbFを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、第一の気相ハロゲン化物反応物質は金属を含まない。いくつかの実施形態では、第一の気相ハロゲン化物反応物質は、有機ハロゲン化物化合物を含む。いくつかの実施形態では、第一の気相ハロゲン化物反応物質は、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アシル、スルホニルハロゲン化物、スルフェニルハロゲン化物、ハロゲン化セレニル、または有機配位子を含むハロゲン化ホウ素を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、第一の気相ハロゲン化物反応物質は、フルオロスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメチルトリフルオロメタンスルホナート、または1-クロロ2-(ペンタフルオロスルフラニルオキシ)エタンを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、クロロスルホニルイソシアネートまたはN,N-ジメチルスルファモイルクロリドを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、ホウ素、水素およびハロゲン化物を含む。いくつかの実施形態では、第二の気相ハロゲン化物反応物質は、リン、酸素、およびハロゲン化物を含む。いくつかの実施形態では、第一の気相ハロゲン化物反応物質は、アンチモンとハロゲン化物を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、第一の気相ハロゲン化物反応物質は、一つ以上のCF基を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、第一の気相ハロゲン化物反応物質は、シクロヘキサンジエン(chd)、シクロペンタジエンなどの環状化合物を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、α、β-不飽和カルボニル化合物、例えばメチルビニルケトンなどのエノンを含みうる。
【0015】
いくつかの実施形態では、第二の気相反応物質は、ルイス塩基を含む。いくつかの実施形態では、ルイス塩基は、ピリジン、テトラヒドロフラン(thf)、DMSO、テトラ-ヒドロ-チオフェン、ピロール、イミダゾール、チアジン、またはピラジンなどのアジンを含む。いくつかの実施形態では、第二の気相反応物質は、ジアミンまたはジチオンを含む。いくつかの実施形態では、第二の気相反応物質は、複素環式反応性化合物を含む。いくつかの実施形態では、複素環式化合物は、チオカルボネート、チアジアゾール、またはジオキサンを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、第二の気相反応物質は、BCl、BF、またはAlClなどの平面化合物を含む。いくつかの実施形態では、第二の気相反応物質はハロゲン化物を含む。いくつかの実施形態では、第二の気相反応物質は、三つ以上のハロゲン化物を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、第二の気相反応物質は、SO、CHNCS、クロロニトリル、COS、またはCSなどのアルキルイソチオシアネートを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、第二の気相反応物質は、基材表面に吸着されていた金属原子への配位結合を形成する能力を有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、第二の気相反応物質は金属を含まない。いくつかの実施形態では、第二の気相ハロゲン化物反応物質は、炭素系ハロゲン化物である。いくつかの実施形態では、炭素系ハロゲン化物はCClまたはCBrを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、エッチングサイクルは、基材を第一の気相反応物質に曝露し、その後基材を第二の気相反応物質に曝露することを含み、基材はエッチングサイクル中にプラズマ反応物質と接触しない。いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、CSeを含む。いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、S=R=S構造を有する化合物を含み、この構造では、Rは炭素またはC2-C8などの任意の炭化水素であり得る。いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、CSを含む。いくつかの実施形態では、CSは、エッチング液の原位置での形成に関与する。いくつかの実施形態では、第二の気相反応物質はTEA、またはTMAを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、反応チャンバー内の基材上に薄膜をエッチングするプロセスは、基材を気相ハロゲン化物反応物質に逐次曝露することを含み、気相ハロゲン化物反応物質は、水素を含むアルキルハロゲン化物ではなく、プロセスは自己制御ではない。
【0022】
いくつかの実施形態では、エッチングサイクル中の基材の温度は300~500℃である。
【0023】
いくつかの実施形態では、基材表面上の膜をエッチングするための方法は、基材表面を第一のハロゲン化物配位子を含む第一の気相ハロゲン化物反応物質に曝露して、基材表面上に第一の反応物質種を形成することを含み、第一の気相ハロゲン化物反応物質は水素を含まない。その後、第二の気相ハロゲン化物反応物質が第一の反応物質種を気相反応生成物に変換するように、第二のハロゲン化物配位子を含む第二の気相ハロゲン化物反応物質に、基材を暴露することができ、第二の気相ハロゲン化物反応物質は水素を含まない。いくつかの実施形態では、第一反応物質種の形成および/または第二の気相ハロゲン化物反応物質の気相反応生成物への変換は、自己制御ではない。いくつかの実施形態では、エッチングサイクル中に、基材はプラズマ反応物質に曝露されない。いくつかの実施形態では、一つ以上のエッチサイクルにおいて、基材を、第一および第二の気相反応物質とは異なる第三の気相反応物質に曝露する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、いくつかの実施形態による、熱原子層エッチングの方法を一般的に例示するフローチャートである。
図2図2は、いくつかの実施形態による、塩化物反応物質を使用する熱原子層エッチングの方法を一般的に例示するフローチャートである。
図3図3は、いくつかの実施形態による、NbFおよびCClを反応物質として用いた熱原子層エッチングの方法を一般的に例示するフローチャートである。
図4図4は、いくつかの実施形態による、第一のハロゲン化物反応物質および第二の有機反応物質を使用する熱原子層エッチングの方法を一般的に例示するフローチャートである。
図5図5は、いくつかの実施形態による、第一のハロゲン化物反応物質および第二の付加物形成反応物質を使用する熱原子層エッチングの方法を一般的に例示するフローチャートである。
図6図6は、NbFおよびCClを反応物質として使用したALE処理後の、SiO2、TiN、AlN、TiO、Sin、TaN、ZrO、およびAl膜の、質量、厚さ、およびシート抵抗の差異を示すグラフである。
図7図7は、NbFおよびCClを反応物質として使用したALEサイクルの数を変化させた後の、TiN膜およびTaN膜を含む基材の重量およびシート抵抗を示すグラフである。
図8図8は、いくつかの実施形態による、様々な反応物質およびエッチング温度を使用したALE処理後の、AlN、TiN、HFO、およびTaN膜に対する除去された質量を示すグラフである。
図9図9は、いくつかの実施形態による、様々なエッチング反応物質およびエッチング温度を用いたALE処理後のTiN、AlN、AlOx、HfOx、TaN、SiN、および熱酸化物膜に対する除去された質量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
反応空間における基材表面を第一および第二の気相反応物質と交互に接触させることを含む原子層エッチング(ALE)プロセスによって、材料のサブ単層またはそれ以上を基材から取り除くことができる。ALEタイプのプロセスのいくつかの実施形態では、基材が第一の気相反応物質と接触し、その後、第二の曝露工程により基材が第二の気相反応物質と接触する、飽和自己制御吸着工程を含む一つ以上のエッチサイクルが提供される。第一の吸着工程では、第一の反応物質は、典型的には自己制御的に基材表面上にエッチングされる材料に吸着する。次いで、第二の曝露工程は、吸着原子、第二の反応物質の原子、およびエッチングされた表面からのいくつかの原子を含む揮発性副生成物の形成につながる。このようにして、基材表面上の所望の材料のエッチングを注意深く制御することができる。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、エッチングされる表面からの原子を含む揮発性付加物を形成する。
【0026】
付加物は、例えば、化学種ABとして考えられ、その各化学または分子エンティティが、化学または分子エンティティ結合の方法で変化があるが、化学エンティティAおよびB内で原子の損失はないという方法で、二つの別個の化学または分子エンティティAおよびBの直接組み合わせによって形成される。
【0027】
いくつかの実施形態では、BまたはC汚染など表面汚染は、基材表面から除去されてもよい。この文脈において、汚染は例えば、金属汚染物、S、Oなどの表面または膜上の任意の望ましくない原子とすることができる。いくつかの実施形態では、堆積サイクルの各nthサイクルを追加された、追加的な選択的エッチング工程によって、堆積工程中に、基材表面から、または膜自体から汚染を除去することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、エッチングされるターゲット材料は、Ti、Ta、Al、ZrまたはHf、Wなどの金属を含む。いくつかの実施形態では、エッチングされる材料は、W、TiN、TiO、TaN、SiN、SiO、AlO、AlO、Al、ZrO、ZrO、WO、AlN、HfO、およびHfOのうちの一つ以上を含む。いくつかの実施形態では、エッチングされる材料は、金属窒化物または金属酸化物またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、エッチングされる材料は、Si、Ge、a-C、グラフェン、ポリマー、SiO、上記の金属に加えて、Pt、Fe、Cu、Au、およびZnを含む金属を含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、気相反応は、反応物質を交互にかつ順次に反応チャンバーの中へ供給することにより回避される。気相反応物質は、反応チャンバー内で相互に分離される。いくつかの実施形態では、これは、例えば、過剰な反応物質および/または反応副生成物を反応物質パルス間の反応チャンバーから除去することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、反応物質は、パージガスおよび/または真空の助けとともに、基材表面の近接から取り除かれてもよい。いくつかの実施形態では、過剰な反応物質および/または反応物質副生成物は、例えば、不活性ガスによって、パージすることによって反応空間から除去される。いくつかの実施形態では、パージすることは、基材表面を不活性ガスなどのパージガスに曝すことを含む。反応物質の分離および反応の自己制御性のため、材料の単層よりも小さい材料は、各ALEエッチサイクルで一般的に除去される。しかしながら、いくつかの実施形態では、各サイクルで複数の単層を除去してもよい。いくつかの実施形態では、反応は、自己制御でも飽和でもない場合がある。いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質、第二の気相反応物質、または追加の相中の反応物質への曝露などの段階の少なくとも一つは、エッチング反応などの反応は自己制御でも飽和でもない。いくつかの実施形態では反応物質のパルスは、部分的または完全に重複しうる。例えば、いくつかの実施形態では、一つ以上の追加的反応物質が望ましい間隔で断続的に提供される間に、一つの反応物質が反応空間内に連続的に流れてもよい。
【0030】
本明細書に開示されるALE方法は、プラズマエッチングプロセスとは反対の熱エッチングプロセスである。したがって、プラズマ反応物質はALEエッチサイクルでは使用されない。プラズマ反応物質を使用するプロセスを区別するための熱ALEプロセスと呼ばれるが、いくつかの実施形態では、ALE反応はゼロの活性化エネルギーを有してもよく、したがって追加的な熱エネルギーを必要としなくてもよい。したがって、反応はまた、本明細書において化学的エッチングプロセスと呼ばれる場合がある。熱ALE方法は、下層基材に対する損傷を低減することができるため、プラズマALE法よりも一部の状況でより望ましいことがある。また、熱ALE方法は、非直接照準機能の等方性エッチングも考慮する。
【0031】
本明細書に開示されるALEプロセスは、プラズマの使用が無いときに制御されたエッチングを可能にすることが見出されていた特定の反応物質または反応物質の組み合わせを利用する。いくつかの実施形態では、例えば塩化物、フッ化物、臭化物、ならびに、第5族または6族の遷移金属ハロゲン化物のヨウ化物などのハロゲン化物などの、遷移金属ハロゲン化物などの金属ハロゲン化物は、第一の反応物質として使用され、および、第一の自己制御吸着工程で基材に接触される。第一の反応物質中の金属は、例えば、Nb、Ta、Mo、Sn、V、Re、Te、またはWであってよい。いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物第一の反応物質は、NbCl、SnCl、TaCl、MoClで、式中、xは約3~5、またはWClで、式中、xは約4~6である、金属塩化物である。いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物第一の反応物質は、NbF、TaF、WF、VF、ReF、ReF、またはMoFなどの金属フッ化物である。いくつかの実施形態では、非金属または、TeF、SbFまたはAsFなどの半金属フッ化物は、第一の反応物質として使用することができる。いくつかの実施形態では、金属ハロゲン化物は、金属臭化物または金属ヨウ化物(SnBr、SnIなど)であってもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、金属ハロゲン化物ではないハロゲン化物を含みうる。
【0033】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、有機ハロゲン化物化合物を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質はハロゲン化アルキル化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は二つ以上の炭素原子を含む、芳香族、飽和、または不飽和脂肪族ハロゲン化アルキル化合物を含むことができる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、置換されたハロゲン化アルキルを含む場合があり、例えばいくつかの実施形態では、第一の反応物質は、tert-ブチルクロリド、1,1-ジクロロエタン、1,2-ジクロロエタン、またはトリクロロエタン、トリフルオロエタノール、トリフルオロイソプロパノールを含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、芳香族、飽和、または不飽和脂肪族ハロゲン化アルケン化合物を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、置換ビニルハロゲン化物またはハロゲン化アリルを含みうる。
【0034】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、有機オキシハライドを含み得る。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、芳香族、飽和、または不飽和脂肪族ハロゲン化アシル化合物などのハロゲン化アシル化合物を含んでもよく、これはハロゲン化ジアシル、およびハロゲン化トリアシルを含む。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、塩化フマリル、塩化マロニル、スクシニル、またはハロゲン化オキサリルを含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、テレフタロイルクロリドを含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、1,3,5-ベンゼントリカルボニルトリクロリドを含みうる。
【0035】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、芳香族、飽和、または不飽和脂肪族スルホニルハロゲン化物などのスルホニルハロゲン化物を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、例えば、フッ化エタンスルホニル(CFOS)、メタンスルホニルクロリド(CHClOS)、フッ化メタンスルホニル(CHFOS)、フッ化フェニルスルホニル(PhFOS)、フッ化ピリジンスルホニル(CFNOS)、フッ化チオフェンスルホニル(CFO)、シアノメタンスルホニルクロリド(CClNOS)、クロロメタンスルホニルクロリド(ClCHSOCl)、またはトリフルオロメタンスルホニルクロリド(CFSOCl)などを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、スルフェニルハロゲン化物化合物またはハロゲン化セレネニル化合物を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、トリクロロメタンスルフェニルクロリド(CClSCl)、またはクロロカルボニルスルフェニルクロリド(ClCOSCl)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、式PhSeClを有する化合物を含んでもよく、式中、Phはフェニル基である。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、式RSeXを有する化合物を含んでもよく、式中、Rはアルキル配位子であり、Xはハロゲン化物である。
【0036】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、硫黄、炭素、および一つ以上のハロゲン化物原子、例えば、チオホスゲン(CSCl)などを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、硫黄、リン、および一つ以上のハロゲン化物原子(例えば塩化チオホスホリルクロリド(PSCl)およびフッ化チオホスホリル(PSF)など)を含みうる。
【0038】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、リンおよび一つ以上のハロゲン化物原子を含んでもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、硫黄、窒素および一つ以上のハロゲン化物原子、例えばチアジルクロリド、フッ化チアジル、三フッ化チアジル(NSF)を含みうる。
【0040】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、リン、酸素および一つ以上のハロゲン化物原子(例えば、ホスホリルクロリド(POCl)など)を含んでもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、配位子、リン、酸素および一つ以上のハロゲン化物を含んでもよい。いくつかの実施形態では第一の反応物質は、一般式配位子-POXを有してもよい。例示的な配位子には、ジアルキルアミド(例えば、N,N-ジメチルホスホラミックジクロリド)、フェニル(例えば、フェニルホスホリルジクロリド)およびアルキル(例えば、tert-ブチルホスホニルジクロリドおよびメチルホスホニルジクロリドなど)が含まれる。
【0042】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、配位子、リンおよび一つ以上のハロゲン化物を含んでもよい。いくつかの実施形態では第一の反応物質は、一般式配位子-PXを有してもよく、式中、Xは塩素およびフッ素だけでないハロゲン化物である。例えば、第一の反応物質は、ジメチルホスホルアミドジクロリドを含みうる。
【0043】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、硫黄および炭素を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、S=R=S構造を含んでもよく、その構造中、Rは炭素、またはC2-C8炭化水素などの任意の炭化水素であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質は二硫化炭素(CS)または、二セレン化炭素(CSe)を含んでもよい。いくつかの実施形態では第一の反応物質は、基材に組み込まれた遷移金属を用いて付加物を形成してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、酸素および硫黄、およびハロゲン化物基および水素基、またはアルキル基などの炭化水素基を含む化合物を含み得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、芳香族または脂肪族または置換された芳香族または置換された脂肪族、飽和、または不飽和スルフィニルハロゲン化物などの、スルフィニルハロゲン化物を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、例えば、トリクロロメタンスルフィニルクロリド、フッ化トリフルオロメタンスルフィニル、トリフルオロメタンスルフィニルクロリド、tert-ブチルスルフィニルクロリドを含みうる。
【0046】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、芳香族または脂肪族または置換された芳香族または置換された脂肪族、飽和または不飽和スルホン酸ハロゲン化物などのスルホン酸ハロゲン化物化合物を含みうる。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質はフルオロスルホン酸(FSOH)を含んでもよい、および/またはトリフルオロメタンスルホン酸(CFSOH)を含んでいてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、芳香族または脂肪族または置換された芳香族または置換された脂肪族または飽和、または不飽和スルホナートハロゲン化物などのスルホナート化合物を含みうる。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート(CSSi)および、トリフルオロメチルトリフルオロメタンスルホナート(CFSOCF)を含みうる。
【0048】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、式A-SFを有する置換硫黄トリフルオリドを含むことができ、式中、Aは、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ベンゼン、アルキル基、ピリジン、チオフェン、シクロプロパン、または、トリフルオロ(N-メチルメタンアミナト)サルファ中にメチルメタンアミナトを含む、アミナト基であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、式X-O-SFを有するスルフラン化合物を含んでもよく、式中、Xはアルキル配位子、芳香族配位子またはハロゲン化物であり、yは1~5である。例えば、いくつかの実施形態では、反応物質は、1-クロロ2-(ペンタフルオロスルフラニルオキシ)エタン(SFOCCl)を含んでもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、硫黄、酸素およびハロゲン化物(塩素もしくはフッ素など)、ならびに炭化水素を含んでもよく、例えばシクロプロピルチオニルクロリドなどのシクロプロピル基などの、環状アルキル基を含んでもよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、一般式配位子-CClをもつ反応物質を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、窒素、ハロゲン化物、炭素および酸素を含みうる。例えば、反応物質は、トリクロロニトロメタン(CClNO)、またはトリクロロアセチルイソシアネート(ClCCONCO)を含みうる。
【0052】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、水素、ハロゲン化物、炭素および酸素を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、例えば、クロロギ酸エチル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸プロピル、クロロメチルクロロホルメートまたは2,2,2-トリクロロエトキシカルボニルクロリドなどのクロロギ酸アルキルを含み得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、窒素、水素、ハロゲン化物、炭素および酸素を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、例えば、トリクロロアセトアミドまたは置換トリクロロアセトアミド(O-アリル2,2,2-トリクロロアセトイミデート)を含んでもよい。
【0054】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、窒素、ハロゲン化物、および炭素を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、例えば、トリクロロアセトニトリルを含みうる。
【0055】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、窒素、炭素、硫黄、ハロゲン化物および酸素を含み得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、炭素、硫黄、ハロゲン化物、水素および酸素を含んでもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、窒素、炭素、硫黄、ハロゲン化物、水素および酸素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、クロロスルホニルイソシアネート、クロロメチルクロロスルファート、またはN,N-ジメチルスルファモイルクロリドを含みうる。
【0058】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、ハロゲンおよびスクシンイミド基を含みうる。いくつかの実施形態では、例えば、第一の反応物質は、N-クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミドを含み得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、ホウ素、ハロゲン化物および水素を含み得る。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、ホウ素、フッ素および水素を含み得る。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、例えばHBFを含みうる。いくつかの実施形態ではHBFは、第一の反応物質が反応物質源容器内で気化されていない場合、複合化合物として使用される。
【0060】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、安定剤にホウ素トリハロゲン化物を含んでもよく、安定剤は、例えば、限定されないが、アルキルアミン、アルキルニトリル、水、またはジメチルスルフィド、または三ハロゲン化ホウ素で揮発性複合体または付加物のいずれかを形成し得る他の化合物であってもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、例えば、ホウ素トリフルオリドエチルアミン複合体を含みうる。
【0061】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、一般的な式BXのホウ素ハロゲン化物を含むことができ、式中、「a」および「b」は、ゼロより大きいか等しいか、または1以上であり得、および式中、XとYとはフッ素、塩素および臭素およびヨウ素を含むハロゲン化物でありうる。第一の反応物質は、例えば、エタノール、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、ジメチルスルフィドを含む、少なくとも一つの炭素、酸素または水素を含む、有機安定剤中で安定化されてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、テトラフルオロホウ酸ジエチルエーテル複合体を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、例えば、三フッ化二水和物を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、例えば、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン複合体を含みうる。
【0063】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、エッチサイクル中または周期的に連続的に反応器に流れる。
【0064】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、アンチモンおよびフッ素などのハロゲン化物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、アンチモン、フッ素および水素を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、アンチモン、フッ素、酸素および窒素を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、アンチモン、フッ素、酸素を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、アンチモン、フッ素および、アンチモンまたはフッ素以外に少なくとも一つの配位子を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、フルオロアンチモン塩化合物を含みうる。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、ヘキサフルオロアンチモン酸(HSbF)、ニトロニウムヘキサフルオロアンチモナートNOSbF6、ニトロソニウムヘキサフルオロアンチモナート(NOSbF)、またはヘキサフルオロアンチモン酸水和物(HSbF・6HO)を含みうる。
【0065】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、リンおよび酸素を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、リン、酸素および水素を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、リン、酸素および、フッ素などのハロゲン化物を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、リン、酸素および炭化水素基(アルキル基など)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質はリン酸化合物を含みうる。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、ヘキサフルオロリン酸アンモニウムを含んでもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、4つ以上のハロゲン化物、5つ以上のハロゲン化物、または6つ以上のハロゲン化物を有する化合物を含むことができ、ハロゲン化物は塩素および/またはフッ素でありうるが限定されない。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、-CF基である。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、選択的エッチングを支援しうる-CF基を含んでよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、-CF基および硫黄を含んでよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、-CF基、窒素および酸素を含んでよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、-CF基、炭素、水素および酸素、例えばクロロジフルオロ酢酸を含んでよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、-CF基および-NH基を含んでよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、-CF基、-NH基、および、酸素または硫黄のいずれかを含んでよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、-CF基、酸素および窒素を含み、アルキル鎖などの炭化水素鎖を介して接続されてもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、1つ以上のCX-基を含むことができ、XおよびYはハロゲン化物であり、フッ素および/または塩素でありうるが限定されない。いくつかの実施形態では、第一の反応物質はまた、炭素、水素および酸素、例えばクロロジフルオロ酢酸無水物を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、第一の反応物質が反応物質源容器内で気化されていないときに、例えば安定剤として、HClまたはHFを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質はHClを含んでもよく、これは反応チャンバーに別個に供給される。
【0068】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、炭素およびハロゲンを含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、式CXの化合物を含んでもよく、ここで、aおよびbは、1以上であることができ、例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質がCClBr、CClBrを含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、式CHXの化合物を含んでもよく、ここでaおよびbは、1以上であることができ、例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質はCHClBr、CHCl、CHClBrまたはCHClBrを含んでもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、式MOの化合物を含んでもよく、式中、cはゼロより大きくてもよく、ならびに、aおよび、またはbは1以上であってもよく、ゼロ以上であってもよく、Mは任意の遷移金属であってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、Mはレニウム、ニオブ、タングステン、チタン、バナジウム、クロムであり、XおよびYは相互に異なるハロゲン化物であってもよく、またはXおよびYは同じハロゲン化物であってもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、式MoOF、ReOF、WOF、ReOF、ReO、ReOCl、NbOFの化合物を含んでもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、フッ素または塩素などのハロゲン化物などの陰性元素を含んでもよく、それを通して反応物質が表面に結合する原子に近接していてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、フッ素がそれを通してそれを通してhfacが表面に結合するC=O基に近いヘキサフルオロアセチルアセトン(Hhfac)を含みうる。
【0071】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、一般式Xを有するハローハロゲン化合物を含んでもよく、式中、XおよびYは塩素またはフッ素または臭素または臭素またはヨウ素であってもよく、aおよびbは化学量論係数であり、ここで各aおよびbは1以上でありうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、ClF、BrCl、ClF、BrF、ClF、BrF、IF、IF、ICl、IClまたはIClを含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、ハロゲンおよび酸素を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、一般式OまたはOを有するオキシハライドを含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、複数のハロゲンおよび複数の酸素を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、OF、FClO、またはFClOを含みうる。
【0072】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、ハロゲン、窒素および硫黄を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、例えば、チアジルクロリド(NSCl)を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、ハロゲン、窒素、酸素および硫黄を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、例えば、NSOClを含みうる。
【0073】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、ハロゲン、リンおよび酸素を含みうる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、例えば、POClを含みうる。
【0074】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、置換されたアルキル水酸化アンモニウム化合物またはアルキルアミン化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、アルキルアンモニウムハロゲン化物または水酸化物化合物を表面上に形成する。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、表面上に、水酸化テトラメチルアンモニウム、またはテトラメチルアミンなどを含んでもよく、または表面上に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、二次アルキルアミンまたは三次アルキルアミンを含みうる。
【0075】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、有機配位子を含むホウ素ハロゲン化物化合物を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、式BX3-nを有する化合物を含んでもよく、式中、Lはアセチルアセトナト(acac)配位子などの有機配位子であり、Xはハロゲン化物であり、nは1または2である。いくつかの実施形態では、第一の反応物質はBFacacを含んでもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、炭素、水素、および、またはスズを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、ヘキサメチルジチンから成っていてもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、炭素、水素、ハロゲン化物およびスズを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、トリメチルスタンニルブロミドを含みうる。
【0077】
いくつかの実施形態では、第一の気相反応物質は、第一のハロゲン化物配位子を含み、第二の気相反応物質は、第二のハロゲン化物配位子を含む。いくつかの実施形態では、第一および第二の両方の気相反応物質はClを含む。いくつかの実施形態では、第二のハロゲン化物配位子は、第一のハロゲン化物配位子とは異なる。
【0078】
いくつかの実施形態では第一の気相ハロゲン化物反応物質は、無機であってもよい。いくつかの実施形態では第一の気相ハロゲン化物反応物質は、炭素を含まず、またCおよびHの両方を含まない。いくつかの実施形態では第二の気相反応物質は無機であってもよい。いくつかの実施形態では第二の気相反応物質は、炭素を含まず、またCおよびHの両方を含まなくてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では第一の気相反応物質および第二の気相反応物質は、同数のハロゲン化物配位子を含む。いくつかの実施形態では第一の気相反応物質および第二の気相反応物質は、異なる数のハロゲン化物を含む。いくつかの実施形態では第一の気相反応物質は、一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、または六つのハロゲン化物を含む一方、第二の気相反応物質は別々に一つ、二つ、三つ、四つ、五つまたは六つのハロゲン化物を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では第一および第二の気相反応物質は両方とも同一ハロゲン化物を含む。いくつかの実施形態では第一および第二の気相反応物質は、異なるハロゲン化物を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では第一の気相ハロゲン化物反応物質は、一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、または六つのハロゲン化物を含み、これは全て同じハロゲン化物であってもよく、または異なっていてもよく、および、第二の気相反応物質は、第一の反応物質とは異なる数のハロゲン化物を含む。第二の反応物質のハロゲン化物は、第一の反応物質のハロゲン化物と同一であってもよく、または異なっていてもよい。いくつかの実施形態では第二の気相反応物質は、本明細書に記載の反応物質から選択されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態では、「第一気相反応物質」と呼称される二つ(または三つ以上)の異なる反応物質を、第一および第二反応物質として堆積サイクルで使用することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では第一の気相ハロゲン化物反応物質は、例えば塩化物またはフッ化物などの、2~6ハロゲン化物(またはハロゲン原子)を含む一方で、第二の気相反応物質は、2~6ハロゲン化物(またはハロゲン原子)を含む。いくつかの実施形態では第一の気相ハロゲン化物反応物質は、例えば塩化物またはフッ化物などの3~5個のハロゲン化物(またはハロゲン原子)を含む一方、第二の気相反応物質は3~5個のハロゲン化物(またはハロゲン原子)を含む。第二の気相反応物質のハロゲン化物は、第一の気相反応物質のハロゲン化物と同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0083】
いくつかの実施形態では第一および第二の気相ハロゲン化物反応物質の両方は、4~5ハロゲン化物(またはハロゲン原子)、例えば塩化物またはフッ化物を含む。第二の気相反応物質のハロゲン化物は、第一の気相反応物質のハロゲン化物と同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では第一気相ハロゲン化物反応物質は、フッ素化剤であるか、または塩素化剤であるが、第二の気相反応物質は塩素化剤であるか、またはフッ素化剤である。いくつかの実施形態では第一の気相ハロゲン化物反応物質は、フッ素化剤である一方、第二の気相反応物質は塩素化剤である。いくつかの実施形態では第一の気相反応物質は、塩素化剤である一方、第二の気相反応物質はフッ素化剤である。
【0085】
いくつかの実施形態では第一の気相ハロゲン化物反応物質は、複数の、例えば二つ以上の、三つ以上、四つ以上、または五つ以上のハロゲン化物(またはハロゲン原子)、例えば塩化物またはフッ化物を含む一方、第二の気相反応物質は、五つ未満、四つ未満、三つ未満、または二つ未満のハロゲン化物(またはハロゲン原子)を含む。第二の気相反応物質のハロゲン化物は、第一の気相反応物質のハロゲン化物と同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では第一の気相ハロゲン化物反応物質は、4~5個のハロゲン化物(またはハロゲン原子)、例えば塩化物またはフッ化物を含む一方、第二の気相反応物質は、五つ未満、四つ未満、三つ未満または二つ未満のハロゲン化物(またはハロゲン原子)を含む。第二の気相反応物質のハロゲン化物は、第一の気相反応物質のハロゲン化物と同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では第二の気相ハロゲン化物反応物質は、複数の、例えば二つ以上の、三つ以上、四つ以上、または五つ以上のハロゲン化物(またはハロゲン原子)、例えば塩化物またはフッ化物を含む一方、第一の気相反応物質は、五つ未満、四つ未満、三つ未満、または二つ未満のハロゲン化物(またはハロゲン原子)を含む。第二の気相反応物質のハロゲン化物は、第一の気相反応物質のハロゲン化物と同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0088】
いくつかの実施形態では第二の気相ハロゲン化物反応物質は、4~5個のハロゲン化物(またはハロゲン原子)、例えば塩化物またはフッ化物を含む一方、第一の気相反応物質は、五つ未満、四つ未満、三つ未満または二つ未満のハロゲン化物(またはハロゲン原子)を含む。第二の気相反応物質のハロゲン化物は、第一の気相反応物質のハロゲン化物と同一であってもよく、または異なっていてもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、第一の非金属ハロゲン化物反応物質は、式配位子-SXを、配位子-SXと共に有する非金属ハロゲン化物反応物質である、式中、Xはハロゲン化物であり、Sは、硫黄およびリンであり得るが、配位子は、ジメチルエーテル類似のジアルキルエーテル、ジ-メチルチオエーテル類似のジアルキルチオエーテル、ジメチルアミン類似のアルキルアミン、ベンゼン、アルキル、ピリジン、チオフェン、シクロプロパン、およびn-ハロイミノサルファなどでありうる。いくつかの実施形態では、第一の気相非金属ハロゲン化物反応物質は、トリフルオロ(N-メチルメタンアミナト)サルファであり得る。いくつかの実施形態では、第一の気相非金属ハロゲン化物反応物質は、N-フルオロホルミルイミノサルファジフルオリド(SF2=NCOF)である。
【0090】
いくつかの実施形態では、フッ化物、塩化物、臭化物、またはヨウ化物などのハロゲン化物反応物質は、反応空間から取り除くことができる揮発性反応生成物を形成するために吸着種と反応する第二の反応物質として使用される。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、非金属ハロゲン化物または半金属ハロゲン化物である。例えば、いくつかの実施形態では、第二の反応物質は炭素系ハロゲン化物である。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、例えば、炭素系フッ化物、臭化物、ヨウ化物または塩化物、例えばCCl またはCBrを含みうる。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、例えばSbCl、SbCl、SiCl、またはGeClなどの、半金属塩化物などの、Geハロゲン化物類似の半金属系ハロゲン化物である。いくつかの実施形態では、第一の反応物質に関連して上述した反応物質のいずれかを、上述の第一の反応物質のいずれかとともに第二の反応物質として使用することができる。すなわち、上述の第一の反応物質のうちのいずれか二つは、第一の反応物質と第二の反応物質として使用されてもよい。簡略化のための理由により、炭素系ハロゲン化物は、CClを含め、有機ハロゲン化物またはアルキルハロゲン化物とみなされる。
【0091】
いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、本明細書に記載される第一の反応物質と接触していた表面または基材上に揮発性付加物を形成する能力を有する化合物を含んでもよい。第二の反応物質は、第一の反応物質によって基材表面上に形成される種で揮発性付加物を形成し、また付加物は、エッチングされる表面からの一つ以上の原子を含む。揮発性付加物は次に、反応空間から除去されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、塩素化されたhigh-k表面などのハロゲン化物化表面に加え、-OH、-SH、-NH2、=NH終端などの表面と接触して、または酸化表面上、またはアミン調整表面上に、揮発性付加物を形成する能力を有する化合物を含みうる。
【0092】
いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、本明細書に記載されるように、第一の反応物質と接触していた表面上に金属ハロゲン化物を付加された化合物を形成することができる化合物を含み得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、第二反応物質は、基材表面に吸着されていた金属原子への配位結合を形成する能力を有する化合物を含んでもよい。例えば、ジアミン、ジチオン、チオカーボネート、チアジアゾールは、表面上の金属原子への配位結合を形成することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、遷移金属などのエッチングされる表面上の金属との反応で揮発性付加物を形成するであろうルイス塩基を含みうる。例えば、いくつかの実施形態では、第二反応物質は、ピリジン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロチオフェン、または表面上の揮発性付加物を形成し得る他のルイス塩基を含み得る。いくつかの実施形態では、ルイス塩基は、アルキルまたはアリールまたは置換されたニトリル(シアネート)およびメチルニトリル類似のイソニトリル、メチルイソニトリル、NHガス、アルキルまたは置換イソチオシアネート、イソシアネート、ポリオール(プロパン1,2,3オールなど)、エタノールアミン、スルホン(メチルスルホニルメタンなど)、PXおよびトリクロロニトロメタンを含む。
【0095】
いくつかの実施形態ではエッチングされている材料は、TiNまたはTaNなどの金属窒化物を含む場合、第二の反応物質はルイス酸を含みうる。いくつかの実施形態では、ルイス酸はSOである。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、BCl、BF、またはAlClなどの平面化合物、共役電子系を有する化合物、またはエッチングされる表面上の付加物を形成するであろう超原子価分子を含んでもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、エッチングされる表面上に付加物を形成するであろうジアミン化合物またはジチオン化合物を含むことができる。
【0097】
いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、遷移金属を含む表面などのエッチングされる基材表面上に付加物を形成することもできる、アルキルまたはアリールイソシアネート、またはそれらの置換型を含みうる。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、アルキルまたはアリールイソチオシアネート、またはそれらの置換型を含みうる。
【0098】
いくつかの実施形態では、揮発性付加物形成第二反応物質は、例えば、1,2,3、プロパントリオールおよびエタンジオールなどのアルキルまたはアリールポリオールを含んでもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、付加物を形成する第二の反応物質は、例えば、エタノールアミンなどの-NH2および-OH官能基を含み得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、付加物を形成する第二の反応物質は、硫黄トリオキシド(SO)を含みうる、
【0101】
いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、例えば、揮発性付加物の形成を助けることができるメチルスルホニルメタンなどのスルホンを含みうる。
【0102】
いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、複素環式反応性化合物を含みうる。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、一つより多い窒素原子を含有する複素環式反応性化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、一つより多い硫黄原子を含有する複素環式反応性化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、一つより多い酸素原子を含有する複素環式反応性化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、酸素、ホウ素、窒素および硫黄原子などの三つ以上の異なる原子を含有する複素環式反応性化合物を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、チオカルボネート化合物、例えばエチレントリチオカルボネートまたはジメチルトリチオカーボネート等を含み得る。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、例えば、3,4ジクロロ-1,2,5チアジアゾールなどのジクロロチアジアゾールなどのチアジゾール化合物を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、1,4-ジオキサンなどのジオキサン化合物を含みうる。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、シクロヘキサジエン、シクロペンタジン、例えばトランス-トリス(トリメチルシリル)シクロヘキサジエンおよびビス(トリメチルシリル)シクロヘキサジエンなど、を含む置換または非置換不飽和環状化合物を含みうる。
【0103】
いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、本明細書に記載される第一の反応物質に曝露されていた表面を接触させるときに、アトラン化合物を形成する能力を有する化合物を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、本明細書に記載されるように、第一の金属ハロゲン化物反応物質などの第一の反応物質に曝露されていた表面を接触させる場合に、金属アトラン化合物などの揮発性付加物を形成することができるTIPA、TIPEA、TMEA、トリス(2-アミノエチル)アミンまたはトリエタノールアミン(TEA)を含みうる。
【0104】
いくつかの実施形態では、遷移金属膜などの金属膜は、基材をNbCl類似の金属ハロゲン化物などの第一のハロゲン化物反応物質、およびCSなどの第二の揮発性付加物形成反応物質に曝露することを含むALEプロセスによってエッチングされる。いくつかの実施形態では、CSは、HfCl、TiCl、またはTiONClなどのハロゲン化物化表面上で使用して、揮発性生成物を形成することができる。
【0105】
エッチングされる基材表面を、第一の反応物質および第二の反応物質と交互に接触させて、揮発性付加物および反応副生成物を除去し、それによって遷移金属膜をエッチングする。一実施形態では、TiNは、基材をNbClなどの塩素含有化合物、およびCSなどの付加物形成化合物に交互に曝露することを含むALEプロセスによってエッチングすることができる。
【0106】
いくつかの実施形態では、第一のハロゲン化物反応物質への曝露により、Fe、Co、Ni、またはCu表面などの金属表面をハロゲン化物化する。その後、表面は揮発性金属付加物を形成し、それによって表面をエッチングする第二の反応物質に曝露される。
【0107】
いくつかの実施形態では、基材上の金属酸化物膜は、エッチサイクルを含むALEプロセスによってエッチングされ、このエッチサイクルで金属酸化物膜は、金属ハロゲン化物またはCClなどの第一のハロゲン化物反応物質、およびCHCN、NHまたは1,4-ジオキサンなどの第二の揮発性付加物形成反応物質に交互に曝される。いくつかの実施形態では、Al、HfO、TiOまたは基材表面上の他の金属酸化物膜は、金属ハロゲン化物またはCClを含む第一の反応物質、および、1,4-ジオキサンを含む第二の反応物質への交互の曝露によってエッチングされる。
【0108】
いくつかの実施形態では、第二の反応物質(CClなど)は、第一の反応物質なしで単独で使用することができ、所望のエッチング選択性を所望の制御されたエッチングに提供することができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質または第二の反応物質は、エッチングのために単独で使用することができ、所望のエッチング選択性を所望の制御されたエッチングに提供することができる。形成される任意の副生成物は、パージおよび/またはポンピングによって除去されうる。
【0110】
いくつかの実施形態では第一反応物質のみを、周期的にパルシングする方法で使用することができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、流量変更を伴う第一の反応物質の連続的な流れ、または流量の「パルシング」を使用する。
【0112】
いくつかの実施形態では、所望のエッチング選択性を有する所望の制御されたエッチングに対して、第一および第二の反応物質を交換可能に使用することができる。
【0113】
いくつかの実施形態では第一の反応物質として本明細書に記載される二つ以上の化合物を、原子層エッチングプロセスで周期的に使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第一の反応物質はNbFであり、および第二の反応物質は、フマル酸塩またはマロニルまたは任意のハロゲン化アシルである。
【0114】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質はNbFであり、および第二の反応物質はCClである。
【0115】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質および第二の反応物質は、同一のハロゲン化物配位子を含む。例えば、第一の反応物質は、NbCl、TaCl、MoClまたはWClなどの金属塩化物を含んでもよい。および第二の反応物質はまた、CClなどのClを含んでもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、第一および第二の反応物質のいずれかまたは両方は、ハロゲン化物を含み、水素を含まない、またはハロゲン化物を含むが、酸素も水素も含まない。いくつかの実施形態では、第一または第二の反応物質のいずれかは、ハロゲン化物を含むが、水素を含まない、またはハロゲン化物を含むが、酸素も水素も含まない。いくつかの実施形態では、第一および第二の反応物質のうちの少なくとも一つは、Sn(acac)ではない。いくつかの実施形態では、第一および第二の反応物質のうちの少なくとも一つは、TMAではない。いくつかの実施形態では第一および第二の反応物質のうちの少なくとも一つは、HFガスではない。いくつかの実施形態では第一および第二の反応物質のうち少なくとも一つは、HF-ピリジンではない。いくつかの実施形態では第一および第二の反応物質は、HFおよびSn(acac)ではない。いくつかの実施形態では第一および第二の反応物質は、HFおよびSiClではない。いくつかの実施形態では、Hは使用されない。いくつかの実施形態では、TMAは使用されない。いくつかの実施形態ではSn(acac)は使用されない。
【0117】
いくつかの実施形態では、一つ以上の追加的反応物質を利用してもよい。いくつかの実施形態では、選択的エッチングを改善または調整するために、一つ以上の反応物質を使用してもよい。追加的な反応物質は、別個に提供されてもよく、または第二の反応物質などの一つ以上の反応物質と組み合わされてもよい。いくつかの実施形態では、追加の反応物質は酸素源であってもよい。例えば、追加的反応物質は、例えば、水、酸素またはオゾンを含みうる。
【0118】
いくつかの実施形態では、水、酸素および/またはオゾンは、第二の反応物質と組み合わされる。水、酸素またはオゾンの第二の反応物質への比は、反応を調整するように、例えば、エッチングプロセスの選択性を調整するように、または更に、エッチ停止層を形成することによってエッチングを停止させるように変更されてもよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、追加の反応物質は、SO3、S、NH、ヒドラジンを含み、ここでaおよびbはゼロより大きい。いくつかの実施形態では、追加の反応物質は、他の第一および/または第二の反応物質と組み合わせて使用されてもよい。
【0120】
いくつかの実施形態では、追加の反応物質はNOガスであってもよい。追加的な反応物質は、別個の源から追加的に供給されてもよい。
【0121】
いくつかの実施形態では、エッチサイクルは、基材が配位子交換体に曝露される相を追加的に含む。いくつかの実施形態では、配位子交換体は、Hacac TMA、Sn(acac)から選択される。いくつかの実施形態では、配位子交換体は、例えばヘキサフルオロアセチルアセトナト(Hhfac)、ジアセチル、thdなどの隣接ケトン基からなってもよい。いくつかの実施形態では、配位子交換体は、M(thd)x化合物からなり、式中、Mは金属状の遷移金属およびアルカリ土類金属であり、ならびにxが1より大きく、場合によっては2より大きい場合がある。いくつかの実施形態では金属「M」は、少なくとも一つの「thd」および、または少なくとも一つの「acac」または両方、例えば、Mg(thd)(acac)などからなりうる。
【0122】
上述のように、いくつかの実施形態では、ALEプロセスは熱プロセスであることが好ましい。したがって、いくつかの実施形態では、プラズマ反応物質は第一または第二の反応物質として使用されない。いくつかの実施形態ではプラズマ反応物質は、ALEプロセスでは使用されない。
【0123】
いくつかの実施形態では制御されたエッチングのために、一つ以上のALEサイクルが実行され、各サイクルは所望の基材表面から材料を除去する。いくつかの実施形態では、各ALEサイクルにおいて材料の単層まで最大で除去され、サイクルごとの除去された質量はおよそ体積の単層であり、密度が変化しないと仮定される。いくつかの実施形態では、サイクルごとの単層を超えるものが除去される。各ALEサイクルは通常、少なくとも二つの別個の段階を含む。基材表面の接触および基材からの反応物質の除去は、一つの段階とみなされ得る。
【0124】
第一の段階では、気相の第一の反応物質は、エッチングされる基材表面に接触する。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、吸着種の約一つの単層以下を形成する。特に、いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、基材表面上で除去される材料のアクセス可能な基材分子と反応して、吸着種を形成する。
【0125】
いくつかの実施形態では、第一の段階は自己制御である。いくつかの実例では、基材表面分子が気相の第一の反応物質種と反応するのに限られた可用性がある場合、反応が本質的に自己制御されることを確実にする。さらに、形成された反応層自体は、自己制御的挙動を導入できる。
【0126】
いくつかの実施形態では過剰な第一の気相反応物質および任意の反応副生成物が基材表面の近傍から除去される。第一の気相反応物質および任意の反応副生成物は、パージガスおよび/または真空の助けとともに、基材表面の近接から取り除かれてもよい。いくつかの実施形態では、過剰な反応物質および/または反応物質副生成物は、例えば、不活性ガスによって、パージすることによって反応空間から除去される。いくつかの実施形態では、基材の近傍から反応物質および/または反応物質副生成物の除去を容易にするために、基材を移動させることができ、例えば、基材を異なる反応チャンバーに移動することによる。
【0127】
第二の段階では、第二の気相ハロゲン化物反応物質は基材に接触し、吸着種を気相反応生成物に変換し得る。反応生成物は、元の材料の原子を含み、これによって材料をエッチングする。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、第一の反応物質と同じハロゲン化物を含む。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は反応種を含まない。過剰な第二の反応物質および気相反応生成物は、例えば、真空および/またはパージガスの助けと共に、基材表面から除去される。いくつかの実施形態では、過剰な第二の反応物質および反応副生成物は、例えば、不活性ガスによって、パージすることによって反応空間から除去される。いくつかの実施形態では、基材の近傍から反応物質および/または反応副生成物の除去を容易にするために、基材を移動させることができ、例えば、基材を異なる反応チャンバーに移動することによる。
【0128】
エッチング速度を調整するために、および/または、エッチング膜の後の残りの膜の一つ以上の特性に影響(例えば、抵抗率の調整、例えば、要因によって、または、1%、または5%より多い、または20%より多い、または50%より多い、または100%より多いポストエッチングの抵抗率の増減、例えば要因によって、または、1%、または5%より多い、または20%より多い、または50%より多い、または100%より多い、ポストエッチングの(n,k)のような光学的パラメーターの増減のような光学的特性の修正、例えば、要因によって、または、1%、または5%より多い、または20%より多い、または50%より多い、または100%より多いポストエッチングの粗さの増減のような膜の粗さの調整、および、例えば、要因によって、または、1%、または5%より多い、または20%より多い、または50%より多い、または100%より多いポストエッチングの選択性の増減のようなエッチングの選択性の改善など)を与えるために、追加の段階を加えたり、削除したり自由にしてもよい。いくつかの実施形態では、第二の反応物質(CClなど)は、第一の反応物質なしで単独で使用することができ、所望のエッチング選択性を所望の制御されたエッチングに提供することができる。いくつかの実施形態では、酸素、水またはオゾンのような酸素反応物質など、別個の段階で一つ以上の追加的反応物質を提供しうる。
【0129】
いくつかの実施形態では、第三の気相反応物質を堆積させることによって第三の段階を追加する。その後、第三の段階は、エッチング速度を調整および/またはエッチングされた材料に影響を与えるために取り除かれてもよい。第四の段階は、第四の気相反応物質を堆積することによって追加される。さらに、追加的気相反応物質を堆積させることによって追加的な相を追加する。
【0130】
ArまたはHe等のキャリアガスを用いて、一つ以上の反応物質を供給してもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質および第二の反応物質は、キャリアガスの助けを借りて提供される。いくつかの実施形態では、キャリアガスはプロセス全体を通して連続的に流れてもよい。いくつかの実施形態では、キャリアガスはパージガスとしても機能しうる。
【0131】
第一の段階および第二の段階は一緒になって、基材表面から材料を制御可能に取り除くALEエッチングサイクルを形成する。ALEエッチングサイクルは、基材表面上の材料を所望の度合いにエッチングするために二回以上繰り返されてもよい。いくつかの実施形態では、ALEエッチングサイクルは、10、20、50、100、200、400、600、800、1000回以上繰り返され、所望の量の材料を除去する。
【0132】
いくつかの実施形態では、二つの段階が重複するか、または組み合わせられる。例えば、第一の反応物質および第二の反応物質は、部分的または完全に重なる段階で同時に基材に接触してもよい。さらに、第一および第二の段階、および第一および第二の反応物質と呼ばれるが、段階の順序は変化してもよく、またALEサイクルは段階のいずれの一つから始まってもよい。
【0133】
気相反応物質の使用により、エッチングプロセスの共形性は非常に良好であり、材料は三次元構造のすべての表面から均等に除去され得る。いくつかの実施形態では、エッチングの共形性は垂直方向に約90%よりも大きく、かつエッチングの共形性は水平方向に約92%より大きい。いくつかの実施形態では垂直開口部のエッチングの共形性は、約50%以上、約75%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、約99%以上、およびさらには最大約100%である。いくつかの実施形態では水平方向(例えば、垂直開口から)に延在する開口部におけるエッチングの共形性は、約50%以上、約75%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、約99%以上、およびさらには最大約100%である。いくつかの実施形態では、プロセスは二つ以上の段階、三つより多い段階、または四つを超える段階または五つを超える段階を周期的に適用することを含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、半導体ワークピースなどのエッチングされる材料を含む基材を反応空間または反応器に装填する。反応器は、集積回路の形成における様々な異なるプロセスが実行されるクラスタツールの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、フロー型反応器が使用される。いくつかの実施形態では、反応器のシャワーヘッドタイプが使用される。いくつかの実施形態では、空間分割反応器が利用される。いくつかの実施形態では、大量製造可能単一ウエハ原子層堆積反応器が使用される。他の実施形態では、複数の基材を含むバッチ式反応器が使用される。
【0135】
使用され得る適切な反応器の例としては、アリゾナ州フェニックスのASM America,Inc.、およびオランダアルメアのASM Europe B.V.から入手可能な、市販の装置、例えば、F-120(登録商標)反応器、F-450(登録商標)反応器、Pulsar(登録商標)反応器、例えば、Pulsar(登録商標)2000、および、Pulsar(登録商標)3000-EmerALD(登録商標)反応器、および、Advance(登録商標)400シリーズ反応器が挙げられる。他の市販の反応器としては、商品名Eagle(登録商標)XPおよびXP8、日本エー・エス・エム(株)(日本、東京)製の反応器が挙げられる。いくつかの実施形態では、反応器はエッチング反応器である。
【0136】
いくつかの実施形態では、必要に応じて、ワークピースの露出した表面を前処理して、反応部位をALEプロセスの第一段階と反応させることができる。いくつかの実施形態では、別個の前処理工程は必要ない。いくつかの実施形態では、基材は、所望の表面終端を提供するために前処理される。いくつかの実施形態では、基材はプラズマで前処理される。
【0137】
第一反応物質および第二反応物質などの反応物質は、気体形態で反応空間に供給される。第一の反応物質および、第二の反応物質ガスは、その種が露出した表面を飽和させるのに十分な濃度でワークピースに種を運ぶためのプロセス条件下で、その種が十分な蒸気圧を示す場合に、本明細書の目的では「揮発性」とみなされる。
【0138】
いくつかの実施形態では、反応物質は、表面を約0.01~約60秒、約0.05~約30秒、約0.05秒~約5.0秒、約0.1秒~約3秒または約0.2秒~約1.0秒の間エッチングされる基材を含む反応チャンバー内にパルスされる。いくつかの実施形態では、パルス時間は60秒より大きい場合があり、例えば120秒またはそれ以上の場合がある。いくつかの実施形態では、反応物質は、エッチングされる基材表面に約0.01秒~約60秒間、約0.05秒~約30秒間、約0.05秒~約5.0秒間、約0.1秒~約3秒間、または約0.2秒~約1.0秒間接触する。いくつかの実施形態では、パルス時間は60秒より大きい場合があり、例えば最大120秒の場合がある。最適な時間は、特定の状況に基づいて当業者により容易に決定され得る。
【0139】
上述のように、およそ一つの分子層が基材表面上の除去される材料と反応し、吸着種を形成するための十分な時間が経過した後、過剰な第一の反応物質、および反応副生成物がある場合、基材表面から除去される。いくつかの実施形態では、過剰な反応物質および反応副生成物がある場合にそれを除去することは、反応チャンバーをパージすることを含むことができる。いくつかの実施形態では、反応チャンバーは、過剰な反応物質および反応物質副生成物がある場合には、それらを反応空間から拡散またはパージするのに十分な時間にわたりキャリアガスまたはパージガスを流し続ける間に、第一の反応物質の流れを停止させることによってパージされてもよい。反応副生成物は、例えば、オキシハライドを含みうる。いくつかの実施形態では、過剰な第一の反応物質は、ALEサイクル全体を通して流れるヘリウムまたはアルゴンなどの不活性ガスを用いてパージされる。いくつかの実施形態では、基材は、第一の反応物質を含む反応空間から第二の異なる反応空間へと移動されてもよい。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、約0.01秒から約60秒、約0.05秒から約30秒、約0.1秒から約10秒、約0.3秒から約5秒、または約0.3秒から約1秒の間除去される。いくつかの実施形態では、60秒以上である場合がある。
【0140】
第二の段階では、第二の反応物質(CClなど)をワークピースに提供する。典型的には、第二の反応物質は、約0.01~約60秒、約0.05~約30秒、約0.05秒~約5.0秒、約0.1秒~約3秒または約0.2秒~約1.0秒間エッチングされる表面をもつ基材を含む反応チャンバー内にパルスされる。いくつかの実施形態では、第二の反応物質は、約0.05秒間~約5.0秒間、約0.1秒~約3秒または約0.2秒間~約1.0秒間エッチングされる基材表面に接触する。いくつかの実施形態では、パルスは約60秒より大きくてもよい。しかしながら、反応器のタイプ、エッチングされる材料、および表面積および温度などの他のプロセス条件に応じて、第二の反応物質接触時間は約10秒よりもさらに高くてもよい。いくつかの実施形態では、接触時間は分のオーダーとすることができる。当業者は、特定の状況に基づいて最適な接触時間を容易に決定し得る。
【0141】
第二の反応物質は、吸着種と反応して、エッチングされる材料の原子を含む気相反応副生成物を形成する。過剰な第二の反応物質および気相反応副生成物を反応チャンバーから除去する。いくつかの実施形態では、過剰な反応物質および反応副生成物を除去することは、反応チャンバーをパージすることを含むことができる。いくつかの実施形態では、反応チャンバーは、過剰な反応物質および反応物質副生成物を反応空間から拡散またはパージするのに十分な時間にわたりキャリアガスまたはパージガスを流し続ける間に、第二の反応物質の流れを停止させることによってパージされてもよい。いくつかの実施形態では、過剰な第二の反応物質および反応副生成物は、ヘリウムまたはアルゴンなどの不活性ガスを用いてパージされる。いくつかの実施形態では、基材は、第二の反応物質を含む反応空間から異なる反応空間へと移動されてもよい。パージガスのパルスは、いくつかの実施形態では、約0.1秒~約10秒、約0.1秒~約4秒または約0.1秒~約0.5秒でありうる。
【0142】
いくつかの実施形態によると、ALEサイクルは、約20~約1200℃、約50~約800℃、約75~約600℃、約300℃~約500℃、または約350℃~約450℃の範囲の温度で実施されうる。いくつかの実施形態では、温度は約20、50または100℃よりも高いが、約1000、800、600、または500℃未満である。いくつかの実施形態では、サイクルは、約450℃の温度で実施される。
【0143】
反応チャンバー内の圧力は、典型的には約10E-9トル~約760トル、または約0.001~約100トルである。しかし、特定の状況が与えられるのならば当業者が圧力を決定し得るので、場合によっては、圧力はこの範囲よりもより高いまたはより低いであろう。一部の事例では、反応器は、等温(ホットウォールなど)または非等温(コールドウォールなど)条件のいずれかで動作することができる。一部の事例では、反応器はエッチング化学とは相互作用しないため、基材とも相互作用しない可能性がある。一部の事例では、反応器はホットウォール、冷水、およびさらには暖水壁型の反応チャンバーであり得る。
【0144】
ターゲット材料とも呼ばれるエッチングされる材料を含む基材は、様々な形態を取ることができる。いくつかの実施形態では、基材の集積回路ワークピースまたは他の基材であってもよい。エッチングされるターゲット材料は、基材表面上に薄膜を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ターゲット材料は、基材上の三次元構造上の薄膜である。エッチングされる薄膜またはその他の材料を含む基材は、様々なタイプのその他の材料を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、基材は、エッチングプロセスによって標的化される材料に加えてシリコンを含んでもよい。いくつかの実施形態では、エッチングプロセスは、基材上または反応チャンバー内の他の材料に対して選択的である。いくつかの実施形態では、選択性を改善するために、第一の反応物質単独、または第二反応物質単独、または第一の反応物質だけでなく、第二反応物質も周期的に供給される。
【0145】
いくつかの実施形態では、エッチングされるターゲット材料は、Ir、Ru、Rh、Mo、Cu、Sb、Al、Ti、Co、Ni、Ta、Al、Zr、Hf、またはWなどの金属を含む。いくつかの実施形態では、エッチングされる材料はW、WO、AlN、TiN、TiO、GaN、MoN、CoP、TaN、SiN、SiO、AlO、AlO、Al、ZrO、ZrO、およびHfO、例えば、HfOのうちの一つ以上を含む。いくつかの実施形態では、エッチングされる材料は、金属窒化物または金属酸化物またはそれらの混合物を含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、W、TiN、TiO、TaN、SiN、SiO、AlO、AlO、Al、ZrO、ZrO、WO、AlN、HfOおよびHfOのうちの一つ以上を含む薄膜が、NbFおよびCClに、薄膜を含む基材を交互にかつ順次に接触させることを含むALEプロセスによってエッチングされる。いくつかの実施形態では、W、TiN、TiO、TaN、SiN、SiO、AlO、AlO、Al、ZrO、ZrO、WO、AlN、HfOおよびHfOのうちの一つ以上を含む薄膜が、第一の反応物質および第二の反応物質に、薄膜を含む基材を交互にかつ順次に接触させることを含むALEプロセスによってエッチングされ、第一の反応物質および第二の反応物質が同一のハロゲン化物を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、ALEプロセスは、約0.01~約5Å/サイクルの平均エッチング速度をもつ。エッチング速度は、1エッチングサイクル、または2より多いエッチングサイクル、または5より多い、または更に20より高いまたは時には50サイクルより高い、エッチングサイクルの後に計算できる実用的な理由から、材料の量または膜の厚さは各サイクル後、除去されるとして定義される。いくつかの実施形態では、平均エッチング速度は、約0.01~0.1Å/サイクル、または0.1~約2Å/サイクルまたは一部の場合では2Å/サイクルよりもさらに高い。いくつかの実施形態では、平均エッチング速度は、約0.1Å/サイクルより大きい、約0.5Å/サイクルより大きい、約1.0Å/サイクルより大きい、約2.0Å/サイクルより大きい、約3.0Å/サイクルより大きい、約5.0Å/サイクルより大きい、約10Å/サイクルより大きい、または約20Å/サイクルより大きく、いくつかの実例では、連続した流れに流量変更を適用する場合、または、曝露時間の長さが十分な場合、エッチング速度は約30Å/サイクルより大きい、約50Å/サイクルより大きい、または約100Å/サイクルより大きくなり得る。
【0148】
いくつかの実施形態では、エッチング選択性、すなわち、所望の表面/材料から除去された材料と非所望の表面/複数の材料または複数の表面/複数の材料から除去された材料との材料の比率(厚さ、質量または原子/分子の量)は、約2:1より大きい、約3:1より大きい、約5:1より大きい、約7:1より大きい、約10:1より大きい、約15:1より大きい、約20:1より大きい、約30:1より大きい、約50:1より大きい、約100:1より大きい、約1000:1より大きい。いくつかの実施形態では、所望でない表面/材料から実質的な量の材料が除去されない。
【0149】
いくつかの実施形態では、流れまたは第一または第二の反応物質は、2sccmより高くすることができ、10sccmより大きくするか、または50sccmよりもさらに高い場合もあれば、100sccmよりも多くまたは500sccmよりも多くなどもできる。いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、第二の反応物質が断続的に流れる間、反応チャンバーへ連続的に流れることができる。
【0150】
図1は、一般的にALE方法の実施形態を示すフローチャートである。図1に図示されるALE方法は、第一の曝露工程100、第一の除去工程110、第二の曝露工程120、および第二の除去工程130を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、エッチングターゲット材料を有する基材を反応チャンバー内に配置し、第一の曝露工程100で第一の気相反応物質に曝露する。エッチングターゲットは一般に、上述の一定期間の間、第一の気相反応物質に曝露される。いくつかの実施形態では、パルス時間は約0.1~10秒、または0.1~5秒である。
【0152】
第一の曝露工程100の後、過剰な第一の気相反応物質が、第一の除去工程110の反応チャンバーから除去される。反応チャンバーは、真空ポンプで排気されてもよく、およびまたはアルゴンまたは窒素などの不活性ガスと反応器内のガスを置換することによって排気してもよい。除去工程110は通常、約0.05~20秒かかりうる。しかし、除去工程は、必要に応じて多少時間をかけることができる。
【0153】
その後、基材を、第二の曝露工程120の第二の気相反応物質に曝露する。第二の反応物質は、第一の気相反応物質と同じであってもよい。エッチングターゲットは、例えば、約0.1秒~10秒の間、上述の期間にわたり第二の気相反応物質に一般的に曝露される。
【0154】
第二の曝露工程120の後、過剰な第二の気相ハロゲン化物反応物質および揮発性反応副生成物は、第二の除去工程130の反応チャンバーから除去される。いくつかの実施形態では、第一の曝露工程100、第一の除去プロセス110、第二の曝露工程120、および第二の除去工程130は、ターゲット材料の所望の量のエッチングが得られるまで、繰り返され得るALEエッチサイクル150を形成する。いくつかの実施形態では、第一の曝露工程100、第一の除去プロセス110、第二の曝露工程120、および第二の除去工程130は、10、20、50、100、200、500、1000またはそれ以上のサイクルで繰り返されてもよい。
【0155】
いくつかの実施形態では、エッチングターゲット材料は、W、Pt、Cu、Ni、Co、Ti、Zn、Nb、Mo、Taなどの金属を含む。いくつかの実施形態では、エッチングターゲット材料は、例えば、MoN、NbN、SiN、TiN、TAN、WN、AlNなどの金属窒化物を含む。いくつかの実施形態では、エッチングターゲット材料は、SiC、TiC、TAC、AlC、HfC、MoC、NbCなどの炭化物を含む。いくつかの実施形態では、エッチングターゲット材料は、例えばAlOx、ZRox、HfOx、TiOx、TaOx、NbOX、MoOx、SiOx、LaoXなどの誘電酸化物などの酸化物を含む。いくつかの実施形態では、エッチングターゲット材料は、2D材料および/またはWS2、Mos2、Tis2、SNs2などの硫化物を含む。いくつかの実施形態では、エッチングターゲット材料は、TiONx類似の金属酸窒化物、WNCなどの金属炭窒化物、オキシカーバイド、例えばおよびSi、C、a-C、グラフェンなどの元素基材を含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、第一の反応物質は、Nb、Ta、MoまたはWを含む。
【0157】
図2を参照すると、いくつかの実施形態によると、反応空間の基材上の、W、TiN、TiO、TaN、SiN、SiO、AlO、AlO、Al、ZrO、ZrO、WO、AlN、HfOまたはHfOを含むエッチングターゲット薄膜は、少なくとも一つのエッチサイクル240を含むALEプロセスによってエッチングされ、このエッチサイクルは、工程200で基材が、金属塩化物反応物質が基材の表面上で薄膜を反応して吸着種を形成するように励起種を含まない気相金属塩化物反応物質を接触すること、工程210における基材表面からの過剰な金属塩化物反応物質および反応副生成物がある場合の除去、工程220において反応種を含まない第二の塩化物反応物質と基材を接触させることによって、それによって吸着種をエッチングターゲット薄膜の原子を含む気相反応副生成物に変換すること、工程230における基材表面からの過剰な第二の塩化物反応物質および反応副生成物がある場合の除去、および、工程240での接触および除去工程を任意で繰り返して、エッチングターゲット薄膜を所望の程度にエッチングすることと、を含む。
【0158】
図3を参照すると、いくつかの実施形態によると、反応空間内の基材において、W、TiN、TiO、SiOC、SICN、SiOCN、SiON、TaN、SiN、SiO、AlO、AlO、Al、ZrO、ZrO、WO、AlN、HfOまたはHfOを含むエッチングターゲット薄膜は少なくとも一つのエッチサイクル340を含むALEプロセスによってエッチングされ、このエッチサイクル340は、ステップ300で基材を気相NbFと接触させること、ステップ310で基材表面から過剰なNbFおよび反応副生成物があった場合の除去、工程320で基材を気相CClと接触させること、工程330で基材表面から過剰なCClと反応副生成物とを除去、工程340で接触および除去工程を任意選択的に繰り返し、エッチングターゲット薄膜を所望の程度にエッチングすることと、を含む。
【0159】
図4を参照すると、いくつかの実施形態によると、反応空間の基材上の、W、TiN、TiO、TaN、SiN、SiO、AlO、AlO、Al、ZrO、ZrO、WO、AlN、HfOまたはHfOを含むエッチングターゲット薄膜は、少なくとも一つのエッチサイクル440を含むALEプロセスによってエッチングされ、このエッチサイクルは、工程400で、金属ハロゲン化物反応物質が基材の表面上で薄膜と反応して吸着種を形成するように基材が励起種を含まない気相金属ハロゲン化物反応物質と接触すること、工程410における基材表面からの過剰な金属ハロゲン化物反応物質および反応副生成物がある場合の除去、工程420において反応種を含まない第二の有機反応物質と基材を接触させることによって、それによって吸着種をエッチングターゲット薄膜の原子を含む気相反応副生成物に変換すること、工程430における基材表面からの過剰な第二の有機反応物質および反応副生成物がある場合の除去、および、工程440での接触および除去工程を任意で繰り返して、エッチングターゲット薄膜を所望の程度にエッチングすることと、を含む。
【0160】
図5を参照すると、いくつかの実施形態によると、反応空間の基材上の、W、TiN、TiO、TaN、SiN、SiO、AlO、AlO、Al、ZrO、ZrO、WO、AlN、HfOまたはHfOを含むエッチングターゲット薄膜は、少なくとも一つのエッチサイクル540を含むALEプロセスによってエッチングされ、このエッチサイクルは、工程500で、金属ハロゲン化物反応物質が基材の表面上で薄膜と反応して吸着種を形成するように基材が励起種を含まない気相金属ハロゲン化物反応物質と接触すること、工程510における基材表面からの過剰な金属ハロゲン化物反応物質および反応副生成物がある場合の除去、工程520において反応種を含まない第二の付加物形成反応物質と基材を接触させることによって、それによって吸着種をエッチングターゲット薄膜の原子を含む揮発性付加物に変換すること、工程530における基材表面からの過剰な第二の付加物形成反応物質および反応副生成物がある場合の除去、および、工程440での接触および除去工程を任意で繰り返して、エッチングターゲット薄膜を所望の程度にエッチングすることと、を含む。
【0161】
いくつかの実施形態によると、反応空間内の基材において、Al、HfO、TiOまたは別の金属酸化物を含むエッチングターゲット薄膜は、少なくとも一つのエッチサイクルを含むALEプロセスによってエッチングされ、このエッチサイクルは、第一の反応物質が基材の表面上で薄膜と反応して吸着種を形成するように基材が励起種を含まない金属ハロゲン化物またはCClを含む第一の気相反応物質と接触すること、基材表面からの過剰な第一の反応物質および反応副生成物がある場合の除去、反応種を含まない1,4-ジオキサンを含む 第二の有機反応物質と基材を接触させることによって、それによって吸着種をエッチングターゲット薄膜の原子を含む揮発性付加物に変換すること、基材表面からの過剰な第二の有機反応物質および反応副生成物がある場合の除去、および、接触および除去工程を任意で繰り返して、エッチングターゲット薄膜を所望の程度にエッチングすることと、を含む。
【実施例0162】
SiO(熱および天然)TiN、TiO、TaN、AlO、AlN、ZrOおよびHfOの薄膜をエッチングするために熱ALEを使用した。ALEサイクルは、関連する膜を含む基材を、NbFおよびCCl;NbFおよびCClとHOとの混合物;NbFおよびCClとOとの混合物;またはCCl単独と、交互および順次に接触させることを含む。以下の表1に示すように、様々な種類の各薄膜のエッチングが観察され、エッチング速度は約0.1Å/サイクル~約1.8Å/サイクルの範囲である。SiO膜のエッチングなし、またはSiOまたはSiNが観察された。
【表1】
【0163】
図6は、SiO2、TiN、TiO、SiN、TaN、ZrO、およびAlの熱ALE処理後の、質量、厚さ、およびシート抵抗の差異を示すグラフである。各材料の薄膜を含む基材を、Pulsar2000(商標)反応物質中に配置した。熱ALEサイクルは、NbFおよびCClの代替パルスおよび連続パルスを含んでいた。基材の温度は約450℃(サセプタ温度は465℃であり、最高プレート温度は405℃)であった。SiO2、Tin、TiO2、SiN、およびTaN膜に対する1000ALEサイクル後の、ならびに、ZrO2、AlおよびTiO膜に対する100サイクル後の質量、厚さおよびシート抵抗が測定された。グラフからTiN、TiO、TaN、ZrO、およびAlに対して顕著な変更が観察された。TiOに関して、1000のエッチサイクル後、層全体を消費し、膜の厚さは約40nm減少した。100サイクル後、厚さは約20nm減少した。TaNに関して、質量は約22mg減少し、シート抵抗性は約1000サイクル後に約11Ω/□増加した。ZrOに関して、厚さが100サイクル後に約5nm減少した。Alに関して、厚さが100サイクル後に約11nm減少した。
【0164】
図7は、NbFおよびCClを用いたALEサイクル数を変化させた後の、約450℃の反応温度でのTiNおよびTaN膜の重量およびシート抵抗の変化のグラフである。目視検査は、400サイクル後のウエハの中心で20nmのTiN膜の完全な除去を明らかにした。
【0165】
図8は、本明細書に記載されるおよびいくつかの実施形態による、様々な熱原子層エッチプロセスを受けたAlN、TiN、HfO、および、TaNターゲット膜の除去された質量(mg)を示すグラフである。各ターゲット膜は、各々のプロセスに対するさまざまな反応またはエッチング温度でエッチングされた。第一の反応物質としてのNbF、および第二の反応物質としてのトリエチルアルミニウム(TEA)またはトリメチルアルミニウム(TMA)を含む原子層エッチプロセスが、TaNおよびAlNターゲット膜から除去された質量に至ったことが予想外であった。
【0166】
図9は、本明細書で説明したおよびいくつかの実施形態による様々な熱原子層エッチプロセスを受けた、TiN、AlN、AlOx、HfOx、TaN、SiN、および熱酸化物ターゲット膜の除去されたマース(mas)(mg)を示すグラフである。各々のターゲット膜は、各々のプロセスについて様々なエッチング温度でエッチングされた。第一および第二の反応物質としてNbF、およびTEAを含むALEプロセス、第一および第二の反応物質としてTEAおよびCClを使用するALEプロセス、ならびに、反応物質として、NbF、TEA、およびCClを使用するALEプロセスが、ターゲット膜から除去された質量に至ったことが予想外であった。
【0167】
当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく、様々な修正および変更が可能であることを理解するであろう。添付の特許請求の範囲によって規定された通り、類似の他の修正および変更は本発明の範囲内に入ることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-01-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学原子層エッチングによって反応チャンバー内の基材の表面上の膜をエッチングする方法であって、前記方法が、一つ以上のエッチングサイクルを含み、各サイクルが、
第一の気相反応物質が前記基材表面上の分子と反応して基材の表面上に反応物質種を形成するように、前記基材を前記第一の気相反応物質に曝すこと、および
続いて、前記反応物質種が揮発性反応生成物に変換され、前記膜の一部が前記基材表面から除去されるように、前記基材を第二の気相反応物質に曝露することであって、前記基材が前記エッチングサイクル中にプラズマ反応物質と接触しない、前記第一の気相反応物質がCSe を含む、曝露すること、を含む、方法。
【請求項2】
化学原子層エッチングによって反応チャンバー内の基材の表面上の膜をエッチングする方法であって、前記方法が、一つ以上のエッチングサイクルを含み、各サイクルが、
第一の気相反応物質が前記基材表面上の分子と反応して基材の表面上に反応物質種を形成するように、前記基材を前記第一の気相反応物質に曝すこと、および
続いて、前記反応物質種が揮発性反応生成物に変換され、前記膜の一部が前記基材表面から除去されるように、前記基材を第二の気相反応物質に曝露することであって、前記基材が前記エッチングサイクル中にプラズマ反応物質と接触しない、前記第一の気相反応物質が、S=R=S構造を有する化合物を含み、ここで、Rが炭素であってもよく、またはC2-C8などの任意の炭化水素であり得る、曝露すること、を含む、方法。
【請求項3】
前記第一の気相反応物質はCSを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
化学原子層エッチングによって反応チャンバー内の基材の表面上の膜をエッチングする方法であって、前記方法が、一つ以上のエッチングサイクルを含み、各サイクルが、
第一の気相反応物質が前記基材表面上の分子と反応して基材の表面上に反応物質種を形成するように、前記基材を前記第一の気相反応物質に曝すこと、および
続いて、前記反応物質種が揮発性反応生成物に変換され、前記膜の一部が前記基材表面から除去されるように、前記基材を第二の気相反応物質に曝露することであって、前記基材が前記エッチングサイクル中にプラズマ反応物質と接触しない、前記第二の気相反応物質がトリエチルアルミニウム(TEA)またはトリメチルアルミニウム(TMA)を含む、曝露すること、を含む、方法。
【請求項5】
二つ以上のエッチングサイクルを含む、反応チャンバー内の基材上の膜をエッチングする方法であって、各サイクルが、
水素を含まない第一の気相ハロゲン化物反応物質へ前記基材を曝露すること、および
続いて、前記基材を、水素を含まない第二の異なる気相ハロゲン化物反応物質に曝露すること、および
前記基材を、第一および第二の気相反応物質とは異なる第三の気相反応物質に曝露すること、を含み、
前記エッチングサイクル中に前記基材がプラズマ反応物質と接触していない、方法。
【請求項6】
追加の気相反応物質が、一つ以上のSO、HS、NH、HO、HCOOH、H、およびヒドラジンを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
基材表面上に薄膜をエッチングする方法であって、前記方法が、
第一のハロゲン化物配位子を含む第一の気相ハロゲン化物反応物質に前記基材表面を曝露して、第一の反応物質種を前記基材表面上に形成することであって、前記第一の気相ハロゲン化物反応物質が水素を含まない、形成すること、および、
続いて、第二の気相ハロゲン化物反応物質が前記第一の反応物質種を気相反応生成物に変換するように、第二のハロゲン化物配位子を含む前記第二の気相ハロゲン化物反応物質に前記基材を曝露することであって、前記第二の気相ハロゲン化物反応物質が水素を含まない、曝露すること、を含み、
前記第一の反応物質種の前記形成または前記第二の気相ハロゲン化物反応物質の気相反応生成物への前記変換は、自己制御ではない、方法。
【請求項8】
前記エッチングサイクル中に前記基材がプラズマ反応物質と接触していない、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第一の反応物質種の前記形成および前記第二の気相ハロゲン化物反応物質の気相反応生成物への前記変換が、自己制御ではない、請求項に記載の方法。
【請求項10】
一つ以上のエッチングサイクルを含む、反応チャンバー内の基材上の膜をエッチングする方法であって、各サイクルが、
気相ハロゲン化物反応物質へ前記基材を曝露すること、および
過剰の前記気相ハロゲン化物反応物質を除去することであって、前記気相ハロゲン化物反応物質が少なくとも一つのハロゲン化物配位子を含み、前記エッチングサイクル中に前記基材がプラズマ反応物質と接触していない、各サイクルが前記膜から物質を除去する、除去すること、を含む、方法。
【請求項11】
前記エッチングサイクル中に前記基材がHFと接触していない、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記膜が、一つ以上の金属を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記膜が、金属酸化物または金属窒化物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記膜が、SiまたはGeを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記膜が、TiN、TiO 、TaN、AlO 、Al 、ZrO 、AlN、Si、Cu、Co、CuO 、CoO 、Mo、,MoO 、Ru、RuO 、またはHfO を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記気相ハロゲン化物反応物質が、非金属ハロゲン化物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記気相ハロゲン化物反応物質が、金属オキシハロゲン化物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記気相ハロゲン化物反応物質が、オキシハロゲン化物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記気相ハロゲン化物反応物質が、半金属ハロゲン化物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記気相ハロゲン化物反応物質が、ハロゲン化アシルを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
前記気相ハロゲン化物反応物質が、第一の反応物質が窒素、酸素およびハロゲン化物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
前記気相ハロゲン化物反応物質が、複数のハロゲン原子を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記気相ハロゲン化物反応物質が、硫黄、炭素、および一つ以上のハロゲン化物;硫黄、リン、および一つ以上のハロゲン化物;リン、および一つ以上のハロゲン化物;硫黄、窒素、および一つ以上のハロゲン化物;配位子、リン、酸素、および一つ以上のハロゲン化物;または、PX に結合した配位子であって、Xはハロゲン化物である配位子、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記気相ハロゲン化物反応物質が、Sn、V、Re、Te、Nb、Ta、Mo、およびWからなる群から選択される金属を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
前記気相ハロゲン化物反応物質へ前記基材を曝露することが、前記基材上の二つの異なる前記膜を、一つの膜が他の膜に対して選択的にエッチングされるように、前記気相ハロゲン化物反応物質と接触させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項26】
前記エッチングサイクル中の前記基材の温度が、150℃~600℃である、請求項10に記載の方法。
【請求項27】
前記基材が、0.01秒~60秒の間、前記気相ハロゲン化物反応物質へ曝露される、請求項10に記載の方法。
【請求項28】
前記気相ハロゲン化物反応物質が、連続的に前記反応チャンバーに流れる、請求項10に記載の方法。
【請求項29】
前記気相ハロゲン化物反応物質が、断続的に前記反応チャンバーに流れる、請求項10に記載の方法。
【請求項30】
前記反応チャンバー内の圧力が、10E-9トル~760トルである、請求項10に記載の方法。
【請求項31】
前記基板を第2の気相反応物質と接触させることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の気相反応物質が、SO 、SO 、H O、O 、O 、H 、HCOOH、窒素酸化物およびヒドラジンからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【外国語明細書】