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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043312
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】回転式熱交換器用熱伝達エレメント
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/04 20060101AFI20220308BHJP
   F28F 13/12 20060101ALI20220308BHJP
   F28D 19/04 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
F28F3/04 A
F28F13/12 A
F28D19/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001422
(22)【出願日】2022-01-07
(62)【分割の表示】P 2019572502の分割
【原出願日】2018-06-18
(31)【優先権主張番号】15/636,673
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/703,092
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516084929
【氏名又は名称】ホーデン ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】リード、メロン
(72)【発明者】
【氏名】ホッグ、ドゥーガル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】クリーンな燃料のために使用される回転式熱交換器及び熱伝達エレメントの改善を図る。
【解決手段】本発明は、ハウジングの第1の開口部と第2の開口部との間で移動可能な複数の熱伝達エレメントを具備し、少なくとも1つの熱伝達エレメントは、流れ方向に対して第1の角度方向に向けて、間隔を空けて形成された複数の細長いノッチを有する第1のプレートを具備する。また、プレートは、流れ方向に対して第2の角度方向に向けて、間隔を空けて形成された複数の細長い起伏をさらに備え、ここで第1の角度は第2の角度とは異なっているものである。前記複数の細長いノッチのそれぞれの第1の高さは、前記複数の細長い起伏部のそれぞれの第2の高さよりも大きい。更に、熱伝達エレメントは、回転式熱交換器に設置するために容器に積み重ねることができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れ方向を有する回転式熱交換器用の熱伝達エレメントであって、前記熱伝達エレメントは、
間隔を空けて形成された複数の細長いノッチを有するプレートであって、前記細長いノッチの各々は、前記流れ方向に対して第1の角度に向けられ、前記プレートの表面から第1の高さを有し、前記第1の角度は前記流れ方向に対して5°から45°の範囲であることを特徴とする、プレートを具備し、
前記プレートは、間隔を空けて形成された複数の細長い起伏部をさらに有し、前記細長い起伏部の各々は、前記流れ方向に対して第2の角度に向けられ、前記プレートの表面から第2の高さを有し、前記第2の角度は前記流れ方向に対して0°から-90°の範囲であり、
前記複数の細長いノッチの各々の前記第1の高さは、前記複数の細長い起伏部の各々の前記第2の高さよりも高く、
前記第1の角度は前記第2の角度とは異なる、
ことを特徴とする熱伝達エレメント。
【請求項2】
前記第1の角度は前記流れ方向に対して20°であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝達エレメント。
【請求項3】
前記第2の角度は前記流れ方向に対して-30°であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝達エレメント。
【請求項4】
前記第2の高さは前記第1の高さの20%から70%の間であることを特徴とする請求項1に記載の熱伝達エレメント。
【請求項5】
前記複数の細長いノッチの各々は前記プレートの前記表面に対して第1の深さを有し、前記複数の細長い起伏部の各々は前記プレートの前記表面に対して第2の深さを有し、前記第2の深さは前記第1の深さより浅いことを特徴とする請求項1に記載の熱伝達エレメント。
【請求項6】
第1のガス流と流体連通する第1の開口部と、第2のガス流と流体連通する第2の開口部とを備えたハウジングを有する回転熱交換器用の熱伝達エレメント容器であって、前記第1のガス流及び前記第2のガス流の各々は流れ方向を有し、前記熱伝達エレメント容器は、
それらの間に空間を画定する一対の支持部材と、
前記一対の支持部材の間の前記空間に積み重ねられた複数の熱伝達エレメントと、を具備し、
前記複数の熱伝達エレメントの少なくとも1つは、
間隔を空けて形成された複数の細長いノッチを有する第1のプレートであって、前記細長いノッチの各々は前記流れ方向のどちらかに対して第1の角度に向けられ、前記第1のプレートの表面から第1の高さを有し、前記第1の角度は前記流れ方向のどちらかに対して5°から45°の範囲であることを特徴とする第1のプレートを具備し、
前記第1のプレートは、間隔を空けて形成された複数の細長い起伏部をさらに有し、前記細長い起伏部の各々は、前記流れ方向のどちらかに対して第2の角度に向けられ、前記第1のプレートの表面から第2の高さを有し、前記第2の角度は前記流れ方向のどちらかに対して0°から-90°の範囲であり、
前記複数の細長いノッチの各々の前記第1の高さは、隣接する熱伝達エレメント同士の間に第1のガス流及び第2のガス流のためのチャンネルを画定するために、前記複数の細長い起伏部の各々の前記第2の高さよりも高く、
前記第1の角度は前記第2の角度とは異なる、
ことを特徴とする熱伝達エレメント容器。
【請求項7】
前記第1の角度は前記流れ方向のどちらかに対して20°であることを特徴とする請求項6に記載の熱伝達エレメント容器。
【請求項8】
前記第2の角度は前記流れ方向のどちらかに対して-30°であることを特徴とする請求項6に記載の熱伝達エレメント容器。
【請求項9】
前記第2の高さは前記第1の高さの20%から70%の間であることを特徴とする請求項6に記載の熱伝達エレメント容器。
【請求項10】
前記複数の細長いノッチの各々は前記第1のプレートの前記表面に対して第1の深さを有し、前記複数の細長い起伏部の各々は前記第1のプレートの前記表面に対して第2の深さを有し、前記第2の深さは前記第1の深さより浅いことを特徴とする請求項6に記載の熱伝達エレメント容器。
【請求項11】
前記複数の熱伝達エレメントのうちの少なくとも2番目のものは、
前記第1のプレートに平行に隣接し直接接触する第2のプレートであって、間隔を空けて形成された複数の細長いノッチ及び前記複数の細長いノッチの間に形成された複数の細長い起伏部を有することを特徴とする第2のプレートを具備し、
前記第2のプレートの前記複数の細長いノッチが前記第1のプレートの前記複数の細長いノッチと交差する方向に向くように、前記第2のプレートは前記第1のプレートに対して180°回転され、前記第2のプレートの前記複数の細長い起伏部は、前記第1のプレートの前記複数の細長い起伏部と交差する方向に向く、
ことを特徴とする請求項6に記載の熱伝達エレメント容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2017年6月29日に出願された通常の米国特許出願第15/636
,673号、及び2017年9月13日に出願された通常の米国特許出願第15/703
,092号の両方に基づく優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書
に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明の実施形態は、回転式熱交換器用の熱伝達エレメントに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の石炭火力発電プラントでは、蒸気駆動タービンを使用して発電している。ボイラ
ーで水を加熱し蒸気を発生させるために石炭を燃焼させる。石炭火力発電プラントの効率
は長年にわたって改善されてきたが、石炭を燃焼させるプロセスにおいて、回転式空気予
熱器及び回転式ガス/ガスヒーター中の熱伝達エレメントのコールドエンド層のようなコ
ンポーネントのファウリングやバックエンド腐食を引き起こす可能性のある粒子状物質が
生じ、これに対するメンテナンス費用が必要となる。これまで、このような熱交換器の研
究は、主に石炭焚きボイラーに適合する熱伝達エレメントプロファイルを開発すること、
特にコールドエンドファウリングに関する問題を緩和することに集中していた。
【0004】
天然ガスは、熱効率と排出削減の点で石炭に対する魅力的な代替品であるが、最近まで
石炭よりも高価であり、石炭ほど容易に入手できなかった。最近の水圧破砕の開発により
、利用可能性が向上し、天然ガスのコストが削減された。その結果、多くの石炭焚きボイ
ラーが現在、天然ガス燃焼に変換されつつある。しかし、もともと石炭焚きボイラー用に
設計された回転式熱交換器などのコンポーネントは、天然ガス又は「フラッキング」ガス
に備わる、クリーンで少量のガス排出となり高い熱ポテンシャルを有するという利益が十
分には得られない。したがって、クリーンな燃料のために使用される回転式熱交換器及び
熱伝達エレメントの改善が必要となる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の1つの態様では、第1のガス流と流体連通する第1の開口部と、第2のガス流
と流体連通する第2の開口部とを備えたハウジングを有する回転熱交換器用の熱伝達エレ
メント容器を具備し、第1のガス流及び第2のガス流は流れ方向を有する。熱伝達エレメ
ント容器は、それらの間に空間を画定する一対の支持部材と、一対の支持部材の間の空間
に積み重ねられた複数の熱伝達エレメントとを具備する。複数の熱伝達エレメントの少な
くとも1つは、間隔を空けて形成され、流れ方向に対して第1の角度に向けられた複数の
細長いノッチを有する第1のプレートを具備する。このプレートは、ノッチとノッチの間
に形成されて流れ方向に対して第2の角度方向に向けられた、複数の細長い起伏部をさら
に具備し、第1の角度は第2の角度とは異なっている。複数の細長いノッチのそれぞれの
第1の高さは、複数の細長い起伏部のそれぞれの第2の高さよりも高い。
【0006】
本発明の実施形態では、上記と実質的に同じで支持部材と支持部材との間に交互に積み
重ねられた複数の熱伝達エレメントを含むことができ、隣接する熱伝達エレメントはエレ
メントとエレメントとを好ましい間隔に維持し、ガス流とエレメントとの間の熱交換を増
大させるために、乱流を生じさせるよう互いに逆方向に向けられる。例えば、熱伝達エレ
メント容器は、間隔を空けて形成された複数の細長いノッチと、これらの複数の細長いノ
ッチとノッチとの間に形成された複数の細長い起伏部とを有する第2のプレートであって
、第1のプレートに平行であって隣接することを特徴とする第2のプレートを有する、第
2の熱伝達エレメントを具備することができる。第2のプレートの複数の細長いノッチは
、プレートとプレートとの間に間隔を画定するために、第1のプレートの複数の細長いノ
ッチと交差する方向に向けることができ、第2のプレートの複数の起伏部は、ガスの流れ
に乱流を生じさせて熱伝達を改善するために、第1のプレートの複数の起伏部と交差する
方向に向けることができる。
【0007】
本発明の別の態様では、流れ方向を有する回転式熱交換器用の熱伝達エレメントを具備
する。1つの実施形態では、熱伝達エレメントは、間隔を空けて形成された複数の細長い
ノッチを有するプレートを具備する。細長いノッチはそれぞれ、流れ方向に対して第1の
角度方向に向けられ、プレートの表面から第1の高さを有する。プレートはさらに、間隔
を空けて形成された複数の細長い起伏部を有する。細長い起伏部はそれぞれ、流れの方向
に対して第2の角度方向に向けられ、プレートの表面から第2の高さを有する。複数の細
長いノッチのそれぞれの、第1の高さは、複数の細長い起伏部のそれぞれの、第2の高さ
よりも高く、第1の角度は第2の角度とは異なる。
【0008】
ノッチを構成することは、熱伝達エレメント容器に積み重ねられたときに、エレメント
とそれに隣接するエレメントとの間で望ましい間隔を維持するのに役立ち、起伏部を構成
することは、乱流を生じさせ空気又はガスとエレメントとの間での熱交換を増加させるの
に役立つ。
【0009】
本発明の熱伝達エレメント及び容器により、回転式熱交換器からの排ガス出口温度を大
幅に低下させることができ、結果として発熱率を低下させることができ、その利点により
、乱流を増大させることによる圧力低下に対処するために必要となるファン出力のわずか
な増加を相殺することができる。クリーンな排ガスを放出する発電プラントで使用する場
合、ファウリングは最小となるため、圧力降下ドリフトの傾向はみられない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の例示的な実施形態による熱伝達エレメント容器を利用することができる回転式熱交換器を備えた発電プラントの概略図である。
図2】本発明の例示的な実施形態による熱伝達エレメント容器を使用することができるタイプの回転式熱交換器の部分断面斜視図である。
図3】本発明の例示的な実施形態による回転式熱交換器用の熱伝達エレメント容器の斜視図である。
図4】本発明の例示的な実施形態による熱伝達エレメントの平面図である。
図4A】区間4A-4Aで切り取った図4の熱伝達エレメントの断面図である。
図5】本発明の例示的な実施形態による互いに隣接する熱伝達エレメントの斜視図である。
図6】本発明の別の例示的な実施形態による互いに隣接する熱伝達エレメントの斜視図である。
図7】本発明のさらに別の例示的な実施形態による熱伝達エレメントの平面図である。
図7A】区間7A-7Aで切り取った図7の熱伝達エレメントの断面図である。
図8】本発明のさらにまた別の例示的な実施形態による熱伝達エレメントの平面図である。
図8A】区間8A-8Aで切り取った図8の熱伝達エレメントの断面図である。
図9】本発明のさらなる例示的な実施形態による熱伝達エレメントの斜視図である。
図10】本発明の付加的で例示的な実施形態による熱伝達エレメントの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の概念は、添付図面を参照しながら本明細書に詳細説明された特定の実施形態を
通じて最もよく説明されており、類似の参照番号は全体を通して類似の要素を示す。本明
細書で使用されている発明という用語は、単に実施形態自体を示すものではなく、以下に
説明する実施形態の根底にある発明概念をも示すことを意図していることを理解すべきで
ある。さらに、ここに示す一般的な発明概念は以下に記載する説明のための実施形態に限
定されるものではないのであって、以下の説明はそのような観点から読まれるべきである
ことを理解すべきである。
【0012】
本発明による熱伝達エレメントを備えた回転式熱交換器12を組み込むことができるタ
イプの例示的な発電プラント10を図1に示す。発電プラント10は、電気を発生させる
ために、蒸気タービン16に結合された発電機14を含む。タービン16は、ボイラー1
8からの蒸気によって駆動され、ボイラー18は、吸気口20を介して燃焼用の空気を吸
引し、排気口22を介して燃焼ガスを排出する。 ファン24a及び24bは、空気をボ
イラー吸気口20に供給し、ダスト除去システム26を介して排気口22から燃焼ガスを
引き出し、その後大気に放出するために使用することができる。ボイラーから排出される
燃焼ガスからの熱を使用してボイラー18に入る空気を予熱するために、回転再生式熱交
換器12を吸気口20及び排気口22に隣接して配置することができる。回転再生式熱交
換器は、ガスガスヒーターに使用して、プラントからの排気を抑制することもできる。
【0013】
ここで図2を参照すると、本発明の例示的な実施形態による熱伝達エレメント及び容器
を利用する回転式熱交換器12の部分断面斜視図が示されている。回転式熱交換器12は
、第1のダクト又は開口部30及び第2のダクト又は開口部32を備えたハウジング28
を含む。第1の開口部30はボイラー吸気口20と連通し、第2の開口部32はボイラー
排気口22と連通している。複数の熱伝達エレメント容器36を含むローター34は、ロ
ーター内の熱伝達エレメント容器36が開口部30及び32を通過するように、ハウジン
グ28内で回転するように取り付けられ、したがって、容器内の熱伝達エレメントは第2
の開口部の位置にあるときは排気ガスにより加熱され、第1の開口部30の位置にあると
きは空気を予熱する。
【0014】
図3は、本発明の例示的な実施形態による回転式熱交換器用の熱伝達エレメント容器又
はパック36の斜視図である。熱伝達エレメント容器36は、一対の支持部材40の間に
積み重ねて配置されたシート又はプレートの形態で、複数の熱伝達エレメント38を含む
。例示的な実施形態では、支持部材はエンドプレートとすることができる。図示の例では
、シートは、水平方向に間隔を置いて配置されたエンドプレートの間に、垂直方向に向け
られた長方形のシートである。シートは同じ高さで、水平方向に幅が広くなり、上から見
たときに台形の断面形状となる。この例のように容器36を台形形状とすることで、この
タイプの複数の容器を回転式熱交換器のローター内に円形パターン又はリング状に配置す
ることが可能になる。例示した熱伝達エレメント容器36はまた、アセンブリを構造的な
支えを補強するために支持部材40の間で熱伝達エレメント38の上下に延びる1つ以上
の支持バー42、及び/又は付加的なサポートのためにこの1つ以上の支持バー42を横
切って延びる1つ以上の補強バー44を含むことができる。1つ以上のスチールバンド4
6をアセンブリの周りに巻き付けて、輸送中のエレメント38の保持を補助することがで
きる。ここに記載した熱伝達エレメントのいずれも、このような容器で使用することがで
きる。
【0015】
図4は、本発明の例示的な実施形態による熱伝達エレメント38の平面図である。熱伝
達エレメント38は、排気ガスにさらされると高温にまで加熱され、周囲温度で流入する
空気にさらされると冷却されることの繰り返しに耐える、スチールのような、熱伝導性材
料で形成された長方形のシート又はプレートを具備する。複数のリブ又はノッチ48が、
(例えば、ノッチの付いた外形を備えた1対のローラーを通してシートストックを供給す
ることにより)熱伝達エレメント容器を流れる空気又はガスの方向に対して第1の角度θ
でシートに形成される。ノッチ48は、図示のように平行であり、ノッチ同士は第1の
ピッチPの間隔で隔てられている。例示的に2つのノッチ48が示されているが、熱伝
達エレメントを3つ以上のノッチで形成することもできることがわかる。図4Aに示され
た熱伝達エレメント38の断面図でよく分かるように、各ノッチ48は、積み重ねたエレ
メント同士を好ましい間隔に保持させるよう選定された、第1の高さHを有するピーク
と、第1の深さDを有するトラフとを有する。積み重ねたエレメント同士の間隔は、空
気及び/又は排気ガスが流れることができるチャネルを画定するために選択される。
【0016】
また、(例えば、ノッチが形成される前又は同時に、波形プロファイルを備えた一対の
ローラーを通してシートストックを供給することにより)ノッチ48とノッチ48との間
に複数の起伏部50がシートに形成される。起伏部50は、隣接する熱伝達エレメント3
8間に画定されたチャネルを通って流れる空気及び/又はガスに乱流を生じさせるように
構成される。起伏部50は、熱伝達エレメント容器を通って流れる空気又は気体の方向に
対して第2の角度θ方向に向いている。図4に示す熱伝達エレメントの例では、第2の
角度θ方向は、起伏部50がノッチ48を横切るように、流れ方向に対して第1の角度
θ方向とは(例えば、時計回り対反時計回りに)反対の方向になるように選択される。
例えば、第1の角度が空気/ガスの流れの方向から反時計回りに測定される場合、第2の
角度は空気/ガスの流れの方向から時計回りに測定される。図示のように、第1のピッチ
よりも小さい第2のピッチPで起伏部50は互いに平行とすることができる。図4
Aに示される熱伝達エレメント38の断面図でよく分かるように、起伏部50はそれぞれ
、第1の高さHよりも小さい第2の高さHと、第1の深さDよりも小さい第2の深
さDとを有することができる。
【0017】
例示的な実施形態では、第1の角度θは5°から45°の範囲とすることができ、第
2の角度θは0°から-90°の範囲とすることができる。別の例では、第1の角度θ
は20°とすることができ、第2の角度θは-30°とすることができる。例示的な
実施形態では、第1の高さH及び第1の深さDはそれぞれ5~9mmとすることがで
き、第2の高さ及び第2の深さH及びDはそれぞれ3mmとすることができ、第1の
ピッチPは35mmとすることができ、第2のピッチPは15mmとすることができ
る。
【0018】
図5は、本発明の例示的な実施形態に従って積み重ねられた一対の熱伝達エレメント3
8及び38’の斜視図である。第1の熱伝達エレメント38は、第2の熱伝達エレメント
38’の詳細を見ることができるように部分的に切り取られて示されている。両方の熱伝
達エレメント38及び38’は、図4に示すような構成を有する。しかし、空気の流れの
方向に対するそれぞれの向きは、互いに逆になっている。すなわち、積み重ねた熱伝達エ
レメント全体を通して1つの熱伝達エレメント上で対角線上に間隔を隔てたノッチが隣接
する熱伝達エレメント上で対角線上に間隔を隔てたノッチを横切るように、第1の熱伝達
エレメント38は第1の向きを有し、第2の熱伝達エレメント38’は第1の向きに対し
て180°回転した第2の向きを有する。
【0019】
対角線上に間隔を空けて交差するノッチ48及び48’は、隣接する熱伝達エレメント
間の好ましいギャップ又は間隔を維持する機能を果たす。ノッチの数、角度、及びピッチ
は、圧縮されたときにしっかりとした堅固な集合体を形成させるために十分な数の接触点
を持つことに寄与する。ノッチ48及び48’の対角線が交差することにより、スキュー
フローを回避するのに役立ち、エレメントの集合体の全断面での流れ領域全般にわたって
均一な流れを維持する。
【0020】
それぞれの熱伝達エレメント38及び38’のノッチ間の傾斜した起伏部50及び50
’は、乱流を生じさせるタービュレータとして作用する。特に低いガス速度とレイノルズ
数において熱伝達を改善するために、乱流を生じさせる傾斜した起伏部50及び50’が
組み込まれる。したがって、ここで説明するタイプの高効率熱伝達エレメントは、従来の
石炭焚きボイラーと比較して煙道ガス出口温度が大幅に低下する可能性のあるフラッキン
グガス焚きに適している。強い乱流により生じる圧力低下の増加は最小限であり、熱効率
が良くなることによる利益は、必要とされるわずかなファン出力の増加による不利益をは
るかに上回る。また、クリーンな煙道ガスはファウリングを引き起こさないため、圧力降
下ドリフトの傾向はみられない。例示の目的で2つの熱伝達エレメントが示されているが
、図示のように積み重ね構成には交互の向きが変わる3つ以上の熱伝達エレメントが含ま
れることがわかる。図5に示される熱伝達エレメントは、互いに交互に積み重ねることが
でき、又はここに記載の他の熱伝達エレメントのいずれかと交互に積み重ねることができ
る。
【0021】
図6は、本発明の別の例示的な実施形態による、一対の積み重ねられた熱伝達エレメン
ト52及び52’の斜視図である。熱伝達エレメント52及び52’は同じように構成さ
れているが、向きが逆になっている。熱伝達エレメント52及び52’の各々は、それぞ
れ複数のディンプル54又は54’によって分離された複数の傾斜したノッチ48又は4
8’をそれぞれ含む。傾斜したノッチ48及び48’は、上述のものと同じである。しか
し、起伏部の代わりに、ノッチ48と48’間にディンプル54及び54’が(例えば、
ノッチが形成される前又は形成されると同時に、シートストックを一対のディンプルのあ
るローラーに通すことにより)形成される。例示的な実施形態では、ディンプル54及び
54’は半球状であり、凹面又は凸面のいずれかとすることができる。例示的な実施形態
では、傾斜したノッチの各対の間に2列又は3列のディンプルが形成される。列は、示さ
れるようにノッチに平行であっても、ノッチに対して傾斜していてもよい。隣接する列の
ディンプルは、互いに整列させることも、互い違いにすることもできる。例示的な実施形
態では、ディンプルの深さはノッチの高さ/深さよりも小さく、隣接するディンプル間の
間隔はノッチ間の間隔よりも小さい。起伏部と同様に、ノッチ間のディンプルは乱流を引
き起こすタービュレータとして機能する。乱流を引き起こすディンプルは熱伝達を改善し
、フラッキングガス燃焼やその他の用途での使用を手助けする。さらに、例示の目的で2
つの熱伝達エレメントが示されているが、積み重ねには、示されるように交互に向きが変
わる3つ以上の熱伝達エレメントを有することができることが理解できる。図6の熱伝達
エレメントは、ここに記載の他の熱伝達エレメントのいずれかと交互に積み重ねることが
できる。
【0022】
図7は、本発明のさらに別の例示的な実施形態による熱伝達エレメント56の平面図で
ある。図7Aは、区間7A-7Aで切り取った図7の熱伝達エレメント56の断面図であ
る。熱伝達エレメント56は、空気流の方向に平行な方向に向けられた一対のノッチ48
と、ノッチ間に形成された複数のディンプル54とを含む。ディンプル54は、傾斜した
行からなる2つの列として配置され、各行は3つのディンプルを具備し、空気及び/又は
ガスの流れの方向に対してある角度をもたせている。例示的な実施形態では、ディンプル
54の列はそれぞれ、空気及び/又はガスの流れの方向に対して約45°の角度で配置さ
れている。図6の熱伝達エレメントと同様に、図7の熱伝達エレメントのディンプルの形
状は半球形とすることができ、深さはノッチの高さ/深さより小さくすることができ、隣
接するディンプル間の間隔をノッチ間の間隔より小さくすることができる。ノッチ間のデ
ィンプルは乱流を引き起こすタービュレータとして機能する。乱流を引き起こすディンプ
ルは熱伝達を改善し、フラッキングガス燃焼やその他の用途での使用を容易にする。図7
の熱伝達エレメントは、図6の熱伝達エレメント又はここに記載の他の熱伝達エレメント
のいずれかと交互に積み重ねることができる。
【0023】
図8は、本発明のさらに別の例示的な実施形態による熱伝達エレメント58の平面図で
ある。図8Aは、区間8A-8Aで切り取った図8の熱伝達エレメント58の断面図であ
る。この実施形態では、複数のディンプル54が、複数の列及び行で熱伝達エレメント5
8に形成される。例示的な実施形態では、それぞれ3つのディンプルを含む行から成る少
なくとも3つの列が示されている。ただし、行には、示されているよりも少ないか又は多
いディンプルが含まれている場合がある。ディンプルの列は、空気の流れ方向に対してあ
る角度をもたせている。例示的な実施形態では、ディンプルの列は、空気の流れの方向に
対して約45°の角度で配置されている。ディンプルは乱流を引き起こすタービュレータ
として機能する。乱流を引き起こすディンプルは熱伝達を改善し、フラッキングガス燃焼
やその他の用途での使用を容易にする。図8の熱伝達エレメントは、図7の熱伝達エレメ
ント又はここに記載の他の熱伝達エレメントのいずれかと交互に積み重ねることができる
【0024】
図9は、本発明のさらなる例示的な実施形態による熱伝達エレメント60の斜視図であ
る。図9の熱伝達エレメント60は、乱流を引き起こすタービュレータとして機能する菱
形の隆起又は突起部62の繰り返しパターンを含む。乱流を引き起こす菱形パターン62
は、接触する点の数を増やし、熱伝達を改善して、フラッキングガス燃焼及び他の用途で
の使用を容易にする。菱形形状の隆起又は突起部62は、第1のローラーの起伏部の角度
が第2のローラーの起伏部の角度と反対になるようにシートを二重圧延することによって
形成することができる。例えば、第1のローラーは、空気/ガスの流れの方向に対して+
30°の角度方向に向けられた起伏部を作り出すように構成し、第2のローラーは、空気
/ガスの流れの方向に対して-30°の角度方向に向けられた起伏部を作り出すように構
成することができる。このプロセスにより、菱形のプロファイルが作り出され、起伏部の
角度を変更して菱形形状を変更することができる。図9の熱伝達エレメントは、図7の熱
伝達エレメントと、又は空気/ガスの流れの方向に平行な起伏状又は波形状のプロファイ
ルを有する熱伝達エレメントと、又はここに記載した他の熱伝達エレメントと、交互に積
み重ねることができる。
【0025】
図10は、本発明の付加的で例示的な実施形態による熱伝達エレメント64の斜視図で
ある。図10の熱伝達エレメント64は、乱流を引き起こすタービュレータとして機能す
る隆起又は突起部66の複雑なパターンを含む。図10の乱流を引き起こすパターンは、
接触する点の数を増やし、熱伝達を改善して、フラッキングガス燃焼及び他の用途での使
用を容易にする。図10に示すパターンは、空気/ガスの流れの方向に対して角度を持た
せた起伏部を作り出すためにシートを波状のローラーに通し、その後、空気/ガスの流れ
の方向に平行な波状部を生成する波形ローラーに通すことによって形成することができる
。このプロセスは、波状部の側面に隆起66を作り、乱流を引き起こし、熱伝達を改善す
る。図10の熱伝達エレメントは、傾斜した起伏部(例えば、図10の熱伝達エレメント
の起伏部と反対の角度方向に向けられている)を有する熱伝達エレメントと、又は図9
熱伝達エレメントと、又はここで説明した他の熱伝達エレメントのいずれかと交互に積み
重ねることができる。
【0026】
上述し、そして図面に示された実施形態は、本発明の実施形態を実施する多くの方法の
うちのいくつかを表しているにすぎないことが理解されよう。例えば、図4に示す実施形
態では、特定の用途に応じて又はクライアント仕様に応じて熱伝達/圧力低下の能力を最
適化するために、ノッチ角度に対する起伏部の角度及びノッチ高さに対する起伏部の高さ
を変えることができる。また、ディンプルは半球状であると記載したが、ディンプルは、
小さな球状のセグメント(例えば、ディンプルの高さ又は深さが半径よりも小さい)を含
むことができ、又はピラミッド形などの他の構成を有することもできる。さらに、台形の
断面を有する熱伝達エレメント容器を図示したが、容器は、長方形の断面、湾曲した断面
、又は回転式熱交換器に設置するのに適した他の形状で構成できることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4-4A】
図5
図6
図7-7A】
図8-8A】
図9
図10