(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043350
(43)【公開日】2022-03-15
(54)【発明の名称】耐火無線周波数ケーブル
(51)【国際特許分類】
H01B 11/18 20060101AFI20220308BHJP
H01B 7/295 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
H01B11/18 D
H01B7/295
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022004933
(22)【出願日】2022-01-17
(62)【分割の表示】P 2020513749の分割
【原出願日】2018-09-07
(31)【優先権主張番号】62/556,296
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518168281
【氏名又は名称】ノキア シャンハイ ベル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】エルサダニ,アサド
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ,ミヒラジュ
(72)【発明者】
【氏名】カコパルド,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】マーランド,エアハルト
(72)【発明者】
【氏名】マキオン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】チョン,イン-シン
(57)【要約】
【課題】極めて高い温度に耐え得るRF同軸ケーブルを提供する。
【解決手段】同軸ケーブルを大気から封止して火災においてケーブルの導体(18、20)を酸化から保護する外部バリア(12、14、16)を含む同軸ケーブル(10)が提供される。その外部保護バリアは、難燃性テープを含み得る。誘電体(22)は、導体間を分離し、誘電体材料(25)に埋め込まれたセラミック(23)又は編み込まれたセラミックメッシュにおけるセラミックビーズを備え得る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブルであって、
内部導体と、
前記内部導体の周囲に環状に配置された外部導体と、
前記内部導体から実質的に分離した前記外部導体を保持するように前記内部導体の少なくとも一部分の周囲に配置された誘電体セパレータと、
少なくとも第1テープ層と第2テープ層とを含むテープ層であって、前記第1および第2テープ層は前記外部導体の周囲に環状に配置され、
前記第1テープ層は、ガラス織物とマイカテープとからなるグループの内の少なくとも1つを備え、
前記第2テープ層は前記第1テープ層に近接し、前記第1テープ層の周囲に環状に構成された金属層であり、前記第2テープ層は一部が自身と重畳し、火災に曝された場合にそれ自体に結合し、それにより前記第2テープ層を密封してケーブル内への空気の侵入を防ぐ、同軸ケーブル。
【請求項2】
前記第2テープ層は、ステンレススチールのテープ、銅のテープ、および銅クラッドステンレススチールのテープからなる群の内の少なくとも1つを備える、請求項1に記載の同軸ケーブル。
【請求項3】
前記誘電体セパレータはセラミックビーズを備える、請求項1に記載の同軸ケーブル。
【請求項4】
同軸ケーブルであって、
内部導体と、
前記内部導体の周囲に環状に配置された外部導体であって、前記外部導体は銅クラッドステンレススチールで形成され、前記銅を前記内部導体と対向するように配置した外部導体と、
前記内部導体から実質的に分離した前記外部導体を保持するように前記内部導体の少なくとも一部分の周囲に配置された誘電体セパレータと、
ステンレススチールに近接する前記外部導体の周囲に環状に配置された少なくとも1層のテープを含むテープ層であって、前記テープ層は、ガラス織物およびマイカテープからなる群の内の少なくとも1つである前記外部導体に近接する材料の層を備え、
前記テープ層は、火災の場合に前記ケーブルへの空気の侵入を防止する、同軸ケーブル。
【請求項5】
前記誘電体セパレータはセラミックビーズを備える、請求項4に記載の同軸ケーブル。
【請求項6】
前記テープ層は、前記外部導体の周囲に環状に配置された少なくとも1層のテープに近接し、前記外部導体の周囲に環状に配置された少なくとも1層のテープの外側に巻き付けられた金属層をさらに備え、前記金属層は、一部が自身と重畳し、火災に曝された場合にそれ自体に結合し、それにより前記金属層自体を密封してケーブル内への空気の侵入を防ぐように配置される、請求項4に記載の同軸ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年9月8日出願の、その全体において参照としてここに取り込まれる米国仮特許出願第62/556296号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルは、電気信号を伝送するのに使用される。同軸ケーブルは、螺旋状に巻かれた誘電絶縁材料(以下、単に「誘電体」という)又は他の適切な押出し形態の誘電体にカプセル化された中心(又は内部)導体から構成される。誘電体は、環状又は螺旋状に波形が付けられた外部導体で被覆される。誘電体は内部導体と外部導体の間の間隔(ギャップ)を保持するのに使用され、この間隔は同軸ケーブルについて規定された特性インピーダンスを得るのに必要となる。(それ自体がスペーサとして作用する)誘電体の存在にもかかわらず、空気が内部導体と外部導体の間のセパレータとなることが望ましいことから、ギャップは「エアギャップ」といわれることもある。アセンブリ全体は、外部保護ジャケット内にカプセル化され得る。
【0003】
そのような無線周波数(RF)同軸ケーブルとしても知られるケーブルは、屋内通信システムに使用され、緊急通信システムに使用されることが多い。それらの緊急通信の使用を考慮すると、そのようなRF同軸ケーブルは、現在では、国際建築基準法(IBC)/国際防火基準法(IFC)、ローカル建築基準法/ローカル防火基準法、全米防火協会(NFPA)72、第24章、NFPA1221及び潜在的にNFPA5000を合格する必要がある。
【0004】
しかし、従来から使用されている誘電体は、約300°Fで溶融し始めるので、火災中に曝される過熱条件(例えば、約1850°Fの温度)に耐えることができない。誘電体が溶融すると、内部導体及び外部導体を分離させておくというその目的を果たすことができない。その結果、内部導体は、外部導体と短絡することになる。これが起こると、同軸ケーブルは、通信には使用可能ではなくなる。
【0005】
他の公知の誘電体によっては、火災の温度に耐え、特性インピーダンスを維持する充分な強度を有し得るが、常温で同軸ケーブルを介して伝送される信号を大幅に減衰させるので適切ではない。
【0006】
一般に、防火基準法を満たすためには、非常に高い温度での2時間の燃焼試験(UL(Underwriters Laboratories)2196)、水ホースブラスト試験及びその後の機能試験を合格する必要がある。現在のところ、工業界においてそれらの基準を満たす既存のRF同軸ケーブルはなく、それは、そのようなRF同軸ケーブルは、UL2196によって認定されるために2時間にわたって極めて高い温度に耐えることができないためである。逆に、既存のケーブルは、燃焼又は変形してしまい、上述のように、それらの内部導体が外部導体との短絡を形成してしまう。また、銅の導体を用いる既存のケーブルは、酸化しやすく、それによって銅を空気と反応させ、導体を非常にもろくさせる酸化第二銅を形成する。結果として、導体は容易に破損し、事実上、導体は動作不能な電気的開回路となってしまう。
【0007】
1つの試行された解決手段は、建造物自体の中で難燃性テープ又は耐火構成材料付きのUL定格コンジットを使用し、プレナム同軸ケーブルを内部に引き回すことである。例えば、RF同軸ケーブルは、高価なフェノールコンジットに配置され得る。しかし、この構成は試験されたことがなく、そのようなコンジット内の温度は、例えば、約1850°Fと非常に高く、プラスチック誘電体材料を溶融させ、それによって内部導体と外部導体の間に短絡が形成されてしまい、ケーブルが動作不能となるために、NFPA72、第24章、NFPA1221を合格しない可能性があり、又はNFPA5000の要件を充足しない可能性があり、それが搬送していたいずれの緊急通信も同様に合格又は充足しない可能性がある。
【0008】
上記規格を満たすための他の従来的な試作物は、容易に製造可能なものでなく及び/又はケーブルが非常に硬いものとなっていた。
【発明の概要】
【0009】
我々は、本開示の原理によると、同軸ケーブルが上記要件を満たして機能的であり続けることができないという問題が、同軸ケーブルアセンブリを大気から封止して外部導体及び内部導体を火災における酸化から保護する外部保護構造体又はバリアを含む新規な同軸ケーブルによって、克服され得ることを認識した。開示の例示的実施形態では、そのような外部保護バリアは、以下のうちの1つ以上などの難燃性テープから構成され得る:a)難燃性化合物が両面にコーティングされたガラス織物基板、例えば、マイカテープ、b)ステンレススチール、例えば、304、316、若しくはスチールテープ、例えば、A606、c)銅テープ、例えば、110、それは外部導体に使用されるのと同じ合金であり得る、d)ステンレススチールテープ付きの銅クラッド、又はe)ガラス織物テープ。有利なことに、金属テープ層及び(含まれるのであれば)難燃層は、外部/内部銅導体の酸化及び結果として生じる劣化、例えば、それらの酸化第二銅への転化を防止するように、空気の侵入からケーブルを封止するように機能する一方で、火災中、及び例えば回路整合性のUL2196試験の終了時に発明のケーブルが水噴射を受けた場合に、ケーブルの構造を補強するようにも機能する。
【0010】
さらに、種々の実施形態において、高温に耐えて更なる構造的剛性を与える発明のケーブルの能力をさらに高めるのに難燃性熱可塑性ジャケット材が使用されてもよい。
【0011】
開示の実施形態では、難燃性テープは、任意の内蔵金属テープの鋭い縁部からジャケット材を保護し、一方で、採用される場合には、ステンレススチールテープを補助するのに含まれてもよい。
【0012】
さらに他の実施形態によると、発明のケーブルは、内部導体及び外部導体を分離するように機能する誘電体を含む。有利なことに、そのような誘電体は、火災に影響されず、火災及びそれに関する温度においてその性能を維持することができる。
【0013】
より詳細には、一実施形態では、同軸ケーブルは、内部導体と、内部導体の周囲に設けられた外部導体と、外部導体の周囲に配置された少なくとも1層のテープを備えて設けられた誘電体とを備えていてもよく、テープ層は導体の酸化を防止するように構成される。
【0014】
テープ層は、例えば、少なくとも3層:(i)外部導体に対して近位の難燃性テープ層、(ii)外部導体に対して遠位の難燃性テープ層、及び(iii)近位の難燃性テープ層と遠位の難燃性テープ層の間の金属テープ層を備え得る。
【0015】
テープ層は、スチール、ステンレススチール、銅又はステンレススチール付きの銅クラッド、ガラス織物、難燃性化合物が両面にコーティングされたガラス織物基板など、多数の様々な難燃性材料又は材料の組合せを備え得る。
【0016】
誘電体は、例えば、埋め込みセラミック、難燃性テープでカプセル化されたセラミックビーズ、難燃性セラミックファイバメッシュにカプセル化された(小粒の)セラミックビーズ、又はプラスチック誘電体テープに挿入されたセラミックビーズを備え得る。例えば、小粒のセラミックビーズはAl2O3を備えていてもよく、メッシュはAl2O3及びSiO3を備えていてもよい。
【0017】
追加の実施形態では、発明の同軸ケーブルは、テープ層の周囲に環状に構成された難燃性ジャケットを備え得る。そのような難燃性ジャケットは、例えば、難燃性熱可塑性材料を備え得る。難燃性ジャケットが用いられる場合、発明のケーブルは、テープ層(例えば、テープの金属層)、及びテープ層と難燃性ジャケットの間に環状に構成された追加のテープ層をさらに備え得る。
【0018】
さらに他の追加の実施形態では、発明の同軸ケーブルの外部導体は、膨張性難燃性塗料でコーティングされていてもよいし、膨張性難燃性化合物の、外部導体上に形成されたジャケットであってもよい。
【0019】
これにより、開示の実施形態による同軸ケーブルは、上述の試験及び条件に直面してもそれに耐えて機能するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、火災条件に曝された外部導体を示す。
【
図2】
図2は、開示の原理によって構成された同軸ケーブルの例示的実施形態を示す。
【
図3】
図3は、開示の原理によって構成された同軸ケーブルの他の例示的実施形態を示す。
【
図4】
図4は、開示の原理による難燃性セラミックファイバメッシュ、例えばAl
2O
3及びSiO
3にカプセル化された小粒セラミックビーズ、例えばAl
2O
3を備える、内部導体及び外部導体を分離するように機能する誘電体の例示的実施形態を示す。
【
図5】
図5は、開示の原理による、カプセル化難燃性テープにおいてさらに構成された誘電体の他の例示的実施形態を示す。
【
図6】
図6は、開示の原理によってセラミックビーズがプラスチック誘電体テープに挿入された、内部導体及び外部導体を分離するように機能する誘電体の他の例示的実施形態を示す。
【
図7】
図7は、開示の原理によって構成された同軸ケーブルの他の例示的実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下は、開示の原理を示すに過ぎない。したがって、ここに明記又は明示されないが、開示の原理を採用し、その要旨及び範囲内に含まれる種々の構成を当業者は工夫することができることが理解されるはずである。またさらに、ここに記載される全ての例及び条件付き文言は、技術を深めるために発明者が寄与した開示の原理及び概念を理解する際に読者を補助する教育的目的のみのためのものであることが明示的に主に意図されており、そのような具体的に記載された例及び条件への限定がないものとして解釈されるべきである。さらに、開示の原理、態様及び実施形態、その他その具体的例をここに記載する全ての主張は、その構造的な均等物及び機能的な均等物の双方を包含することが意図されている。さらに、そのような均等物は、現在公知の均等物と将来開発される均等物の双方、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を実行する任意の開発される要素を含むことが意図されている。
【0022】
特に断りがない限り、図面は寸法通りではない。
【0023】
説明において、図面のうちの異なるものにおいて同様に符号付けされた構成要素は、同じ構成要素を示す。
【0024】
図1は外部導体1a、1bの例を示し、空気及び高温、例えば、火災の条件への曝露の前(1a)及び後(1b)における同じタイプの導体が示される。(1b)に示す導体は、そのような条件に起因する銅からの酸化第二銅の形成の結果を示す。
【0025】
開示の原理によると、同軸ケーブルを大気から封止して火災中に外部及び内部導体を酸化から保護するように機能する外部構造又はバリアを含む新規な同軸ケーブルが提案される。開示の例示的実施形態では、そのような外部保護バリアは、以下のうちの1以上を備える難燃性テープを含み得る:a)難燃性化合物が両面にコーティングされたガラス織物基板、例えば、マイカテープ、b)ステンレススチール、例えば、304、316、又はスチールテープ、例えば、A606、c)銅テープ、例えば、110、それは外部導体に使用されるのと同じ合金であり得る、d)ステンレススチールテープ付きの銅クラッド、又はe)ガラス織物テープ。有利なことに、金属テープ層及び(含まれるのであれば)難燃性テープ層は、外部/内部銅導体の酸化及び結果として生じる劣化を防止するように(すなわち、それらの酸化第二銅への転化を防止又は最小化するように)空気の侵入からケーブルを封止するように機能する一方で、火災中、及び/又は例えばUL2196試験の終了時に発明のケーブルが水噴射を受けた場合に、ケーブルの構造を補強するようにも機能する。
【0026】
図2~3及び5~7は開示の原理による発明の同軸ケーブルの種々の構成を示し、一方、
図4は適切な誘電体の代表的構成を示す。
【0027】
図2は、開示の実施形態による例示的な発明のケーブル10を示す。発明のケーブル10は模式図(a)、説明図(b)及び説明図(b)の切取り図(c)において示され、この3図の組合せはケーブル10の発明の態様を示す。図示するように、外部バリアは、ステンレススチールテープ16(例えば、タイプ304、316)の両面に、12及び14で示す2層の難燃性テープ(例えば、マイカ系テープ)を含み得る。内部導体18及び外部導体20も、内部導体18と外部導体20の間のギャップに配置された誘電体22とともに示される。図(c)が、誘電体22の位置を最も良く示している。誘電体22は、難燃性テープ25内にカプセル化されたセラミックビーズ23を備え得る。誘電体22は、中心導体18を外部導体20に対して適所に保持するように機能する。他の形態のセラミックビーズ、例えば、Al
2O
3が使用可能であることが理解されるべきである。
【0028】
バリアは、難燃性テープ層12を囲むように構成された難燃性ジャケット材24をさらに含み得る。実施形態では、ステンレススチールテープ層16は、純銅導体の融点(1083℃、1981°F)よりも大幅に高い1400~1455℃(2550~2651°F)の融点を有する材料を備え得る。なお、UL2196試験温度は1010℃(1850°F)であるので、外部銅導体20の融点に非常に近い。
【0029】
実施形態では、ステンレススチールテープ16は、熱及び空気への直接の曝露から外部導体20を遮蔽するように機能し、ケーブル10の構造的整合性を大幅に補強する。
【0030】
外部銅導体20とステンレススチールテープ16の間の難燃性テープ14は、外部導体20を温度限界において大気から封止して酸化第二銅の形成を防止するように機能する。難燃性テープ12は、ステンレススチールテープ16の鋭い縁部からジャケット材24を保護するとともにステンレススチールテープ16を遮蔽するようにも機能する。
【0031】
まとめると、難燃性テープ12及び14と難燃性ジャケット24の組合せは、ケーブル10を補強し、銅導体18、20を酸化及び劣化から保護するように機能する。
【0032】
ここで
図3を参照すると、開示の実施形態による他の例示のケーブル30が示される。ケーブル30は、スチールテープ36(例えば、A606合金)を挟んで2層の難燃性テープ32、34(例えば、マイカ系テープ、セラミックテープ(Al
2O
3及びSiO
3)、シリカテープ(SiO
3)、又は(Al
2O
3及びSiO
3を備える)メッシュ編みなど)を備える。ケーブル30はさらに、外部難燃性テープ32を囲むように構成された難燃性ジャケット材38(例えば、難燃性可塑性エストラマ)をさらに備える。
図2の構成と同様に、難燃性テープ32及び34、スチールテープ36及び難燃性ジャケット38の組合せは、銅導体40、42を劣化及び酸化から保護するように機能する。中心導体40は、導体40を螺旋状に囲む誘電体44によって適所に保持され、例えば、セラミックロープを備え得る。ただし、他の形態のセラミックが使用され得ることが理解されるべきである。
【0033】
開示の実施形態では、実質的に純銅製のテープがスチール又はステンレススチールテープの代わりに使用され得る。そのような実施形態では、銅の融点はスチールテープのいずれよりも低いため、銅テープは温度限界の火災に曝された場合にそれ自体に結合し始めることになる。そのような自己結合は、密封された銅チューブを外部導体42の周囲に作るように機能する。内部導体40に対して遠位の外部難燃性テープ32は、銅テープとの結合を形成して酸化第二銅の形成を遅らせるように機能する。
【0034】
実施形態では、銅テープ36と外部導体42の間に設けられた内部難燃性テープ34は、両銅層を結合し、内部導体40及び外部導体42の酸化を防止する密封状態を形成するように機能する。
【0035】
追加の実施形態では、難燃性熱可塑性ジャケット38(例えば、エストラマ)も、高温に耐える発明のケーブルの能力をさらに高め、追加の構造的剛性を与えるように機能する。開示の実施形態では、追加の難燃性テープ(不図示)が含まれてもよく、任意の金属テープの鋭い縁部からジャケット38を保護し、テープの遮蔽を補助するように機能し得る。
【0036】
開示の種々の実施形態では、ケーブル30は、ケーブル30の内部コアに対する昇温速度を低下させるようにテープ42、44の外部保護層によって適所に保持され得る、外部導体42上に設けられた断熱層46をさらに備え得る。そのような断熱層は、極端な温度上昇時にケーブルの性能を高める。ある実施形態では、断熱層46は、膨張性難燃性塗料、又は外部導体42上に配置された膨張性難燃性化合物の別個のジャケットを備え得る。
【0037】
他の実施形態によると、ケーブル30は内部導体40を外部導体42から分離するように機能する誘電体44を含んでいてもよく、誘電体は、例えば、埋め込みセラミックを備え得る。
【0038】
図4は、内部導体を外部導体から分離するように機能する誘電体100の例示的実施形態を示す(導体は
図4には示されていないが
図2及び3に明示されている)。誘電体100は、複数の小粒セラミックビーズ110a~110nを備えていてもよく、ここで「n」は最後のビーズを示す。実施形態では、各ビーズは、Al
2O
3を備え得る。
【0039】
誘電体100は、例えば、(例えば、Al2O3及びSiO3からなる)難燃性セラミックファイバメッシュ120をさらに備えていてもよく、ここでメッシュ120が編み込まれ得る。セパレータとして機能するそのような誘電体100の使用は、火災に起因する関連の同軸ケーブル内部の温度限界の存在下においても、中心導体と外部導体の間の必要なギャップ(例えば、エアギャップ)が実質的に一定のままであることを保障することを補助する。
【0040】
図5を参照すると、外部導体54を内部導体56から分離するように機能する誘電体52を備える他の例示的実施形態のケーブル50が示される。この実施形態では、誘電体52はファイバメッシュ55に小粒セラミックビーズ53を備えていてもよく、それが難燃性テープ58にさらにカプセル化され得る。
【0041】
図6は、外部導体64を内部導体66から分離するように機能する誘電体62を備える他の例示的実施形態のケーブル60を示す。誘電体62は、プラスチック難燃性テープ65に挿入され得るセラミックビーズ63を備え得る。誘電体62は、Al
2O
3及びSiO
3(又はAl
2O
3のみ)を備えていてもよく、ロープ又はメッシュとして構成され得る。火災の場合、プラスチック誘電体テープ65は溶融するが、例えば酸化アルミニウムセラミックからなるビーズ63は溶融しない。その代わり、ビーズ63は、外部導体64と内部導体66の間の必要な間隔を保持し、それら二者間に短絡が形成されることを防止するように機能することになる。
【0042】
また、誘電体62は、内部導体66及び外部導体64を適所に保持し、既存のケーブルと比較して、温度限界においてもRF信号が通過できるように機能する。
【0043】
より詳細には、同軸ケーブルにわたる電気信号の適切な伝送を可能とするためには、ケーブルの中心(内部)導体と外部導体の間のエアケーブルが、ケーブルの所定の特性インピーダンスを実現するために保持されるべきである。発明者らによって行われた実験的測定では、難燃性テープ内にカプセル化されたセラミックビーズを備える誘電体を含む発明のケーブルのサンプルの電圧定在波比の変化は、値1.23を超えなかった。
【0044】
RFケーブルの構成は、RF信号の減衰を決定する。また、誘電体に起因する減衰は、関連のケーブルを介して伝送されているRF信号の周波数に比例して増加する。実際に、減衰は、ケーブルサイズには依存せず、誘電体の量及び質によってのみ決まる。
【0045】
発明者らは、厚い空気誘電体を含んだ7/8″又は1/2″同軸ケーブルにも試験を行った。ステンレステープ及び難燃性テープを含めることによってケーブルの保護が得られた(すなわち、劣化を最小化した)。
【0046】
図7は、開示の原理によって構成された他の例示的実施形態の同軸ケーブル70を示す。
図7の実施形態では、ケーブル70は、外部銅導体並びに2層の難燃性テープ及び金属テープ(例えば、ステンレススチール)を含むのではなく、銅クラッド72aの層及びステンレススチールテープ72bの層の双方を含むテープ72を含む。テープ72は、例えば、火災によって生成される熱を反射及び阻止するように機能する。テープ72は、銅クラッド72aが内部導体74に近接する(対向する)一方でステンレススチールテープ72bが外部バリア(不図示)に近接する(対向する)ように内部導体74の周囲に環状に構成され得る。ケーブル70は、ここでいずれかに記載した誘電体78も備え得る。一実施形態では、誘電体78は、99.9%Quartzelシリカ(SiO
3)又は3M Nextel440セラミック(Al
2O
3及びSiO
3)ロープを備え得る。
【0047】
当業者であれば、種々の外部ジャケット材及び絶縁誘電体の性能検討に加えて、例えば、同軸ケーブルは、建造物内の設置時に狭い空間を介して引き回すことができるほどに充分柔軟でなければならないことを容易に認識するはずである。したがって、ここに開示される種々の実施形態は、工業固有の曲げ仕様を満足するように構成され得るものであり、大量に生産可能である。