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  • 特開-集水桝用基礎ブロック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043404
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】集水桝用基礎ブロック
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/10 20060101AFI20220309BHJP
【FI】
E03F5/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148647
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】000246343
【氏名又は名称】株式会社イビコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 義弘
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063DA02
2D063DA30
(57)【要約】
【課題】
集水桝の埋設現場で、集水空間の底面を形成するためにインバートコンクリートを打設する必要がない、集水桝用基礎ブロックを提供する。
【解決手段】
内部に集水空間Dを備える集水桝200の底部240に取り付けられる集水桝用基礎ブロック100であって、集水桝200の底部240を載置可能な載置面111を備える本体部110と、本体部110から上方へ突出し、集水桝200の底部240の開口230に挿入される凸部120と、を備え、凸部120は、集水桝200の集水空間Dの底面を構成することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に集水空間を備える集水桝の底部に取り付けられる集水桝用基礎ブロックであって、
前記集水桝の底部を載置可能な載置面を備える本体部と、
前記本体部から上方へ突出し、前記集水桝の底部の開口に挿入される凸部と、を備え、
前記凸部は、前記集水桝の集水空間の底面を構成することを特徴とする集水桝用基礎ブロック。
【請求項2】
前記本体部の載置面には、前記集水桝の底部に当接する止水パッキンが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の集水桝用基礎ブロック。
【請求項3】
前記本体部と前記凸部は、コンクリートで一体成形されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の集水桝用基礎ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、排水管、側溝等の交差部に設置され、排水管や側溝等を相互に連結する集水桝に取り付けられる集水桝用基礎ブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な種類の集水桝が知られており、その構成は基本的に同じで、例えば、特許文献1に示すように、集水桝は、集水空間を備えるコンクリート製の本体部を備える。この特許文献1に見られるような一般的な集水桝は、掘り返した地中に基礎ブロックを敷き、その上に集水桝の本体部を載置して、周囲を埋め戻して埋設している。そして、集水桝の上方開口部から集水空間内にインバートコンクリートを打設して、集水空間の底面を形成している。また、集水空間の底面の高さは、設置される周囲の環境に応じて(接続される側溝の形状や排水量など)、決められている場合がある。そのため、集水桝の埋設現場では、作業員が、決められた高さになるように、集水空間内にインバートコンクリートを打設する必要があり、面倒で煩雑な作業となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2015-155638
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本願発明は、集水桝の埋設現場で、集水空間の底面を形成するためにインバートコンクリートを打設する必要がない、集水桝用基礎ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本願発明の集水桝用基礎ブロックは、内部に集水空間を備える集水桝の底部に取り付けられる集水桝用基礎ブロックであって、前記集水桝の底部を載置可能な載置面を備える本体部と、前記本体部から上方へ突出し、前記集水桝の底部の開口に挿入される凸部と、を備え、前記凸部は、前記集水桝の集水空間の底面を構成することを特徴とする。
【0006】
上記特徴によれば、集水桝用基礎ブロックの凸部によって集水空間の底面を構成しているので、集水空間の底面を形成するためにインバートコンクリートを打設する必要がないのである。さらに、凸部の高さを変更するだけで、集水空間の高さ(深さ)を容易に変更できるのである。また、凸部を集水桝の開口に挿入して、集水空間の底面を塞ぐ構成なので、集水桝用基礎ブロックと集水桝とが安定して組付けられると共に、集水空間から外部へ雨水等が漏れることを効果的に防止できる。
【0007】
上記課題を解決するために、本願発明の集水桝用基礎ブロックは、前記本体部の載置面には、前記集水桝の底部に当接する止水パッキンが設けられていることを特徴とする。
【0008】
上記特徴によれば、止水パッキンにより、底部と載置面とが隙間なく密着した状態とし、集水空間に集められた雨水等が、底部と載置面との間から外へ漏れないように止水することが出来る。
【0009】
上記課題を解決するために、本願発明の集水桝用基礎ブロックは、前記本体部と前記凸部は、コンクリートで一体成形されていることを特徴とする。
【0010】
上記特徴によれば、凸部は、本体部とコンクリートで一体成形されているので、集水桝用基礎ブロックの製造が容易となる。
【発明の効果】
【0011】
上述したように、本願発明の集水桝用基礎ブロックは、集水桝の埋設現場で、集水空間の底面を形成するためにインバートコンクリートを打設する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】集水桝用基礎ブロックの全体斜視図である。
図2】(a)は集水桝用基礎ブロックの平面図、(b)は集水桝用基礎ブロックの側面図である。
図3】(a)は集水桝の全体斜視図、(b)はA-A断面図である。
図4】集水桝に本願発明の集水桝用基礎ブロックを取り付ける様子を示した全体斜視図である。
図5】集水桝に本願発明の集水桝用基礎ブロックを取り付けた状態を示した全体斜視図である。
図6】(a)は集水桝に本願発明の集水桝用基礎ブロックを取り付けた状態の平面図、(b)は、B-B断面図である。
図7】地面に埋設した集水桝用基礎ブロック及び集水桝の断面図であり、集水桝用基礎ブロック及び集水桝は、図6のB-B断面図によって示している。
【符号の説明】
【0013】
100 集水桝用基礎ブロック
110 本体部
111 載置面
120 凸部
200 集水桝
230 開口
240 底部
D 集水空間
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。まず、図1及び図2には、本願発明にかかる集水桝用基礎ブロック100を示す。なお、図1は集水桝用基礎ブロック100の全体斜視図、図2(a)は集水桝用基礎ブロック100の平面図、図2(b)は集水桝用基礎ブロック100の側面図である。
【0015】
集水桝用基礎ブロック100は、全体がコンクリートで一体成形されており、平面視略四角形の本体部110と、本体部110から上方へ突出し、本体部110より一回り小さい平面視略四角形の凸部120とを備える。本体部110の上面は平坦面であり、凸部120の周囲に位置する本体部110の上面は、後述する集水桝200の底部を載置可能な載置面111となっている。載置面111は、凸部120の周囲を周方向に一周するように連続している。また、載置面111には、止水パッキン130が設けられている。この止水パッキン130は、凸部120の周囲を周方向に一周するように連続している。また、載置面111には、凸部120の周囲を周方向に一周するように嵌込溝112が設けられており、この嵌込溝112に止水パッキン130がはめ込まれて、止水パッキン130が強固に取り付けられている。
【0016】
また、凸部120の上面121は、平坦面となっており、凸部120が集水桝の底部の開口に挿入された際に、集水桝200の集水空間の底面を構成する。凸部120の高さH1、すなわち、集水桝用基礎ブロック100の載置面111から凸部120の上面121までの高さは、集水桝200の集水空間の底面の高さに合わせて任意に決められている。さらに、凸部120の四隅のコーナーは、平面視略L字状に切り欠かれた切欠部122となっており、後述する集水桝200の柱部を嵌め合わせることができるようになっている。
【0017】
なお、集水桝用基礎ブロック100は平面視略四角形をしているが、これに限定されず、集水桝200の形状に合わせて、平面視略長方形など任意の形状であってもよい。また、集水桝用基礎ブロック100は止水パッキン130を備えているが、これに限定されず、止水パッキン130を備えなくてもよい。さらに、止水パッキン130は、変形可能で止水可能な合成樹脂から構成されているが、これに限定されず、止水性能を備えるのであれば、任意の素材から構成されてもよい。
【0018】
また、凸部120は、本体部110とコンクリートで一体成形されているので、集水桝用基礎ブロック100の製造が容易となる。なお、凸部120は、本体部110とコンクリートで一体成形されているが、これに限定されず、凸部120と本体部110は、金属や樹脂など、任意の素材によって一体成形されてもよい。また、凸部120は、本体部110とコンクリートで一体成形されているが、これに限定されず、本体部110と凸部120とを別々に製造しておき、その後、凸部120を本体部110に固定することで集水桝用基礎ブロック100を組み立ててもよい。また、凸部120の四隅のコーナーは切欠部122となっているが、これに限定されず、凸部120が集水桝の底部の開口に挿入できるのであれば、凸部120は切欠部122を備えないなど、任意の構成であってもよい。
【0019】
次に、図3に、本願発明の集水桝用基礎ブロック100を取り付ける対象の集水桝200を示す。なお、図3(a)は集水桝200の全体斜視図、図3(b)はA-A断面図である。
【0020】
集水桝200は、全体が略直方体でコンクリート成型されたものであり、本体部210の内部は雨水等を集水可能な集水空間Dとなっている。また、集水桝200の上端には、保護枠300が取り付けられている。この保護枠300は、枠状に構成された平面視略正方形であり、集水桝200の上端側の開口220を蓋閉するグレーチング等を載置できる。
【0021】
集水桝200は、従来から利用されている既存品である。そして、上端側に開口220を備え、下端側に開口230を備えており、各開口は集水空間Dと連通するように構成されている。そして、従来の方法では、集水桝200の上端側の開口220から集水空間D内にインバートコンクリートを打設して、下端側の開口230をインバートコンクリートで充填し、集水空間Dの底面を形成することができるようになっている。なお、集水桝200の底部240は、集水空間Dの下側の開口230を囲むように構成され、安定して地中に設置できるように、底部240は平坦面となっている。
【0022】
ここで、従来の方法では、インバートコンクリートで充填して集水空間Dの底面を形成するが、本願発明では、インバートコンクリートを打設する代わりに、図4から図6に示すように、集水桝200に集水桝用基礎ブロック100を取り付ける。なお、図4は、集水桝200に本願発明の集水桝用基礎ブロック100を取り付ける様子を示した全体斜視図、図5は、集水桝200に本願発明の集水桝用基礎ブロック100を取り付けた状態を示した全体斜視図、図6(a)は集水桝200に本願発明の集水桝用基礎ブロック100を取り付けた状態の平面図、図6(b)は、B-B断面図である。
【0023】
図4、及び図5に示すように、水平面に設置した集水桝用基礎ブロック100の上から集水桝200を載置することで、集水桝用基礎ブロック100は集水桝200に取り付けられる。具体的には、集水桝200の開口230に集水桝用基礎ブロック100の凸部120が挿入されるように、開口230の周囲の底部240は、集水桝用基礎ブロック100の載置面111上に載置される。凸部120が集水桝200の開口230に挿入されるので、集水桝200は集水桝用基礎ブロック100上でズレることなく安定して載置される。また、集水桝用基礎ブロック100の載置面111に取り付けられた止水パッキン130は、集水桝200の底部240に当接している。そして、止水パッキン130は、集水桝200の重さによって、底部240と載置面111の間で弾性変形して広がり、底部240と載置面111とが隙間なく密着した状態とし、集水空間Dに集められた雨水等が、底部240と載置面111との間から外へ漏れないように止水することが出来る。なお、集水桝用基礎ブロック100の大きさ(幅)は、集水桝用基礎ブロック100が集水桝200の底部240から飛び出ないように、集水桝200の底部240の大きさ(幅)と等しくなっている。
【0024】
また、図6(a)に示すように、集水桝200の四隅に設けられた柱部250が、集水桝用基礎ブロック100の凸部120の切欠部122に嵌まる状態となっている。さらに、集水桝用基礎ブロック100の凸部120は、集水桝200の底部240の開口230全体を塞ぐように、開口230内に挿入されている。そして、開口230に挿入された凸部120は、集水空間Dの下側の開口230を塞ぎ、集水空間Dの底面を構成した状態となっている。
【0025】
なお、凸部120の全体形状は、開口230の形状とほぼ同一なので、図6に示すように、凸部120は開口230に隙間なく挿入されて嵌合した状態となっている。また、凸部120と開口230の間に僅かな隙間があっても、凸部120の外側において、底部240と載置面111とが止水パッキン130によって止水された状態で密着しているため、集水空間Dに集められた雨水等が、開口230側から外部へ漏れることを効果的に防止している。
【0026】
次に、本願発明の集水桝用基礎ブロック100を取り付けた集水桝200を、実際に地面等に埋設して使用する状態について、図7を参照して説明する。なお、図7は、地面に埋設した集水桝用基礎ブロック100及び集水桝200の断面図であり、集水桝用基礎ブロック100及び集水桝200は、図6のB-B断面図によって示している。
【0027】
図7に示すように、路面の一部の地中G1内に、水平面を備えた基礎G2を石やコンクリート等で作り、この基礎G2の上に集水桝用基礎ブロック100を水平状態で設置する。そして、集水桝用基礎ブロック100の上に集水桝200を設置し、集水桝200の側面の一部を切り取り、集水孔260を形成する。さらに、集水桝200の側方に、排水管や側溝等の排水構造物U1を接続し、排水構造物U1の排水路U2と集水桝200の集水孔260とを連通させる。すると、排水構造物U1に排水された雨水W等が排水路U2から集水孔260を介して集水空間Dへ集められて排水されるのである。
【0028】
また、集水空間Dの高さ(深さ)H2は、集水空間Dの底部から排水構造物U1までの高さで、いわゆる泥だめ高さや、水路敷き高さと呼ばれており、集水桝200が設置される周囲の環境に応じて(例えば、排水構造物U1の規格など)、所定の高さに設定される場合がある。そして、従来の方法では、集水桝200の埋設現場で、集水空間Dの底面を構成するために、集水桝200の狭い開口220から集水空間D内にインバートコンクリートを打設していた。さらに、必要な場合は、集水空間Dの高さ(深さ)H2が所定の高さになるまで、インバートコンクリートを打設して、集水空間Dの底上げを行っていた。
【0029】
しかしながら、本願発明によれば、集水桝用基礎ブロック100の凸部120によって集水空間Dの底面を構成しているので、集水空間の底面を形成するためにインバートコンクリートを打設する必要がないのである。さらに、凸部120の高さH1を変更するだけで、集水空間Dの高さ(深さ)H2を容易に変更できるのである。また、凸部120を集水桝200の開口230に挿入して、集水空間Dの底面を塞ぐ構成なので、集水桝用基礎ブロック100と集水桝200とが安定して組付けられると共に、集水空間Dから外部へ雨水等が漏れることを効果的に防止できる。
【0030】
なお、本願発明の集水桝用基礎ブロックは、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7