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  • 特開-糸の張力制御装置 図1
  • 特開-糸の張力制御装置 図2
  • 特開-糸の張力制御装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022043423
(43)【公開日】2022-03-16
(54)【発明の名称】糸の張力制御装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 59/38 20060101AFI20220309BHJP
   B65H 63/02 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
B65H59/38 Z
B65H63/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020148687
(22)【出願日】2020-09-04
(71)【出願人】
【識別番号】513057692
【氏名又は名称】アナログアンドシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】上利 喜一
【テーマコード(参考)】
3F111
3F115
【Fターム(参考)】
3F111AA05
3F111CA20
3F111DA03
3F111DB13
3F111DC01
3F111DD01
3F111DD03
3F111DE01
3F115CA23
3F115CA58
3F115CB08
3F115CC01
3F115CC22
3F115CF21
3F115CG02
3F115CG10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】織機巻出しビームの糸の張力を制御する糸の張力制御装置を提供する。
【解決手段】織機の巻出しビームに糸を制御された張力でもって巻回する糸の張力制御装置であって、巻出しビームに巻回されるべき糸20が巻き取られている巻出し装置10と、巻出し装置から巻き出される糸を受けてガイドする複数のフリーローラ17と、複数のフリーローラを経た糸が巻き取られる巻出しビーム15と、巻出し装置及び巻出しビームを回転する駆動モータ14と、複数のうちの1つのフリーローラの回転軸の両端を回転自在に受ける左右の軸受と、左右の軸受の荷重変動の大きさを歪みゲージで検出する左右のロードセル11と、歪みゲージの信号を受け、巻出しビームに巻回される糸の張力を求める張力検出回路と、張力検出回路の信号を受け、求めた糸の張力が設定された上限値と下限値の間の範囲内に入るように駆動モータの回転速度を制御する制御回路と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織機にセットされる巻出しビームに糸を制御された張力でもって巻回するようにした糸の張力制御装置であって、
巻出しビーム(15)に巻回されるべき糸(20)が巻き取られている巻出し装置(10)と、
該巻出し装置(10)から巻き出される糸(20)を受けてガイドする複数のフリーローラ(17)と、
該複数のフリーローラ(17)を経た糸が巻き取られる巻出しビーム(15)と、
上記巻出し装置(10)及び巻出しビーム(15)を回転する駆動モータ(14)と、 上記複数のうちの1つのフリーローラ(17)の回転軸の両端を回転自在に受ける左右の軸受と、
該左右の軸受の荷重変動の大きさを歪みゲージで検出する左右のロードセル(11)と、
該左右の歪みゲージの信号を受け、上記巻出しビーム(15)に巻回される糸(20)の張力を求める張力検出回路(31)と、
該張力検出回路(31)の信号を受け、上記求めた糸(20)の張力が設定された上限値と下限値の間の範囲内に入るように上記駆動モータ(14)の回転速度を制御する制御回路(32)と、
を備えたことを特徴とする糸の張力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は糸の張力制御装置に関し、特に織機の巻出しビームに巻き取られる糸の張力を所定の大きさに制御できるようにした糸の張力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
織機では経糸を機械式や電動式の巻出し機構によって巻出しビームから巻き出しながら巻取ビームで巻き取り、隣接する経糸を相互に逆方向に振ることによって隣接する経糸の間に隙間を作り、横糸を交錯させて布を織ることが行われる。
【0003】
織布を織る際には巻出しビームから巻き出される経糸を所定の張力に制御することが求められ(特許文献1、特許文献2)、そのためには巻出しビームに糸を制御された張力でもって巻き取る必要がある
【0004】
他方、従来よりマグネットワイヤーやシート材を巻き取る際に張力を制御するようにした張力制御装置は知られている(特許文献3、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭59-123180号公報
【特許文献2】特開平07-26446号公報
【特許文献3】特許第3720174号公報
【特許文献4】特開2017-30958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献3、4記載の張力制御装置では張力の制御対象がマグネットワイヤーやシート材であり、糸を巻出しビームに巻き取る際の張力の制御にはそのまま適用できなかった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み、織機の巻出しビームに糸を巻き取る際に糸の張力を所定の大きさに制御できるようにした糸の張力制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明に係る糸の張力制御装置は、織機にセットされる巻出しビームに糸を制御された張力でもって巻回するようにした糸の張力制御装置であって、巻出しビームに巻回されるべき糸が巻出し可能に巻き取られている巻出し装置と、該巻出し装置から巻き出される糸を受けてガイドする複数のフリーローラと、該複数のフリーローラを経た糸が巻き取られる巻出しビームと、上記巻出し装置及び巻出しビームを回転する駆動モータと、上記複数のうちの1つのフリーローラの回転軸の両端を回転自在に受ける左右の軸受と、該左右の軸受の荷重変動の大きさを歪みゲージで検出する左右のロードセルと、該左右のロードセルの歪みゲージの信号を受け、上記巻出しビームに巻回される糸の張力を求める張力検出回路と、該張力検出回路の信号を受け、上記求めた糸の張力が設定された上限値と下限値の間の範囲内に入るように上記駆動モータの回転速度を制御する制御回路と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の特徴の1つは巻出しビームに巻回される糸の張力の大きさをロードセルによってフリーローラの軸受の荷重の大きさとして検出し、糸の張力が上限値と下限値の間の範囲内に入るように巻出し装置及び巻出しビームを回転させる駆動モータの回転速度を制御するようにした点にある。
【0010】
これによって巻出しビームには制御された大きさの張力、すなわち所定の上下限の範囲内の張力でもって糸が安定に巻回され、かかる巻出しビームを織機にセットすると、例えば巻出しビームから巻出しビームに向けて経糸を所定の大きさの張力でもって安定に掛け渡すことができ、所望の織布を正確に織ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る糸の張力制御装置の好ましい実施形態を示す構成例を示す図である。
図2】上記実施形態におけるロードセルのレイアウト例を示す図である。
図3】上記実施形態における機能ブロックの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図3は本発明に係る糸の張力制御装置の好ましい実施形態を示す。図1及び図2において、10は設置台10Aに回転自在に設置された巻出し装置で、巻出し装置10は巻出しビーム15に巻回されるべき糸20が巻回され、巻出しビーム15は糸20が巻回されて織機にセットされる。
【0013】
巻出し装置10から巻き出される糸20は複数のフリーローラ17によって受けられガイドされて巻出しビーム15に巻き取られ、複数のフリーローラ17の回転軸は軸受によって回転自在に受けられ、軸受は装置の固定構造部分に取付けられている。
【0014】
また、巻出し装置10直近のフリーローラ17の軸受はロードセル11によって受けられて装置の固定構造部分に取付けられ、ロードセル11は糸20の張力の大きさを荷重の大きさとして検出するようになっている。
【0015】
装置の固定構造部分には糸20の巻出し・巻取り装置12、13が回転自在に取付けられ、又装置の固定構造部分には駆動モータ14が取付けられ、駆動モータ14の駆動力はギア群やチェーン・スプロケットなどの動力伝達機構によって巻出し装置10及び巻出し・巻取り装置12、13に伝達されるようになっている。
【0016】
巻出しビーム15は装置の固定構造部分に対して着脱可能に取付けられ、巻出しビーム15には動力伝達アーム16によって駆動モータ14の駆動力が伝達され、動力伝達アーム16は取付け軸16Aの回りに揺動可能に設けられ、シリンダ16Bによって揺動されるようになっている。
【0017】
図3において、ロードセル11の出力(アナログ信号)はA/D変換回路30でデジタル信号に変換され、A/D変換回路30の出力は張力演算回路31に入力されて糸20の張力が求められ、張力演算回路31の信号は制御回路32に与えられる。
【0018】
制御回路32では張力演算回路31の信号を受け、張力が上下限の範囲内になるようにモータ制御信号を作成し、駆動モータ14の回転速度を制御するようになっている。張力の上限値及び下限値は糸20の種類などに応じてスイッチ33、34の操作によって調整され、又雰囲気温度35によって校正されるようになっている。図中、36は制御回路32のON/OFFスイッチ、37は制御回路32の各値を記憶する記憶回路である。
【0019】
巻出しビーム15に糸20を巻回する場合、制御回路32のON/OFFスイッチ36をON操作し、スイッチ33、34を操作し、糸20の種類などに応じて張力の上限値及び下限値を設定するとともに、雰囲気温度35に応じて張力の上限値及び下限値を補正する。
【0020】
こうして準備できると、駆動モータ14を作動させ、駆動モータ14を制御された速度で回転させる。駆動モータ14の駆動力は巻出し装置10及び巻出しビーム15に伝えられ、各々回転駆動されて巻出し装置10から糸20が巻き出され、フリーローラ17でガイドされながら巻出しビーム15に巻き取られる。
【0021】
このとき、糸20の張力は巻出し装置10直近のフリーローラ17に荷重として作用し、その荷重はフリーローラ11の左右のロードセル11で検出され、ロードセル11の信号から糸20の張力が求められ、その張力が上下限の範囲内になるように駆動モータ14の回転速度が制御される。
【0022】
ここで、図3に基づいて制御処理を説明すると、左右のロードセル11の信号はA/D回路30でデジタル信号に変換される。このデジタル信号は巻出し装置10直近のフリーローラ17が糸20から受ける荷重の大きさに対応し、この荷重の大きさは張力演算回路31で張力に変換されて制御回路32に与えられる。
【0023】
制御回路32では操作スイッチ36のON操作時にスイッチ33、34の操作によって糸20の種類などに応じて張力の上限値及び下限値が校正(又は設定)されるとともに、雰囲気温度35に応じて張力の上限値及び下限値が補正され、張力演算回路31で求められた張力は上限値と下限値の範囲内に入るようにモータ制御信号が作成されて駆動モータ14に与えられ、これによって駆動モータ14の回転速度が制御され、糸20が上下限の範囲内の張力に制御され、巻出しビーム15には制御された張力でもって糸20が巻回されることとなる。
【符号の説明】
【0024】
10 巻出し装置
11 ロードセル
14 駆動モータ
15 巻出しビーム
17 フリーローラ
20 糸
31 張力演算回路
32 制御回路
図1
図2
図3